説明

油中水乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量包含せしめる技術を提供する。
【解決手段】 1)有機変性粘土鉱物と、2)L−カルニチン及び/又はその塩とを、皮膚外用剤に含有させる。更に、ジメチコン乃至はシクロメチコンを15〜30質量%含有することが好ましく、更に、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンを1〜10質量%含有することが好ましく、油中水乳化剤形であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料などの皮膚外用剤に関し、更に詳細には、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水乳化物は、連続相に油性成分が存するため、水中油乳化物に比して、閉塞効果による保湿性が高く、且つ、油性有効成分の経皮吸収性に優れる特性を有している。その反面、使用感としては、油ぽっく、重たい欠点を有する。この様な欠点を克服して、油中水乳化物の利点を生かす方法として、高内相の油中水乳化物を作る試みが種々為され、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物製造技術が開発されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。しかしながら、この様な技術を用いても尚、シリコーンなどの非極性油を15〜30質量%含有する場合においては、油溶性の有効成分を包含する許容性に欠く場合の存する問題点が存した。前記シリコーンは油中水乳化物の油っぽい使用時の感触を緩和するとともに、デカメチルペンタシクロシロキサンなどのシクロメチコン等、揮発性を有するものの場合においては、仕上がりの脂てかりを抑制する作用も有し、前記油中水乳化組成物における準必須成分と言えるものであった。即ち、有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量、取り分け0.05質量%以上、包含せしめる技術の開発が望まれていたと言える。
【0003】
一方、L−カルニチン及び/又はその塩は、抗炎症作用等を有する化粧料用の有効成分として知られており、化粧料に含有させる技術は既に知られているが(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)、油中水乳化剤形に配合することも知られていないし、有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量包含せしめる作用を有することも全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−255623号公報
【特許文献2】特開2004−292373号公報
【特許文献3】特開2001−58937号公報
【特許文献4】特開2005−53835公報
【特許文献5】特開2004−339144公報
【特許文献6】特開2004−242509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量包含せしめる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量包含せしめる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、L−カルニチン及び/又はその塩を共存させることにより、前記油中水乳化物の系の安定性が高まり、前記有効成分を安定に系に包含できることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)1)有機変性粘土鉱物と、2)L−カルニチン及び/又はその塩とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)ジメチコン乃至はシクロメチコンを15〜30質量%含有することを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)更に、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンを1〜10質量%含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)油中水乳化剤形であることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)有機変性粘土鉱物と、L−カルニチン及びその塩の質量の比が、1:1〜3:1であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)有機変性粘土鉱物を用いて、ジメチコン乃至はシクロメチコンを含有する油相を乳化し、油中水乳化組成物を製造する場合において、L−カルニチン及び/又はその塩を、有機変性粘土鉱物の質量に対し、当量乃至は1/3当量添加することを特徴とする、前記油中水乳化組成物の安定性向上方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物において、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を、十分な量包含せしめる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である有機変性粘土鉱物
本発明の皮膚外用剤は有機変性粘土鉱物を必須成分として含有することを特徴とする。ここで有機変性とは、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して強固乃至は緩やかな結合を生ぜしめ、有機化合物の性質の一部乃至は全部を粘土鉱物に付与させることを意味し、この様な変性としては4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法、カルボキシル基と粘土鉱物のカチオン部分を結合させる方法等が例示でき、4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法が特に好ましく例示できる。
【0009】
粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物としては、特に限定されるわけではないが、クオタニウムと称される化合物が例示される。クオタニウムとは、低分子の置換第4級アンモニウム塩であって、国際基準化粧品原材料(INCI)に登録された化粧料原料が好ましい。さらに、粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物は、クオタニウム化合物のなかでも、従来の皮膚外用剤に含有されるクオタニウム化合物であることが好ましい。従来の皮膚外用剤で使用されているクオタニウム化合物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等が好ましく例示される。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等は、粘土鉱物とともに安定な油中水乳化構造を形成することができるので好ましい。
【0010】
一方、4級アミノ基を有する化合物で変性される粘土鉱物(未変性粘土鉱物)としては、従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物であれば特段の限定無く使用することができる。従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物としては、スメクタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモンモリロナイト;カオリナイト;イライト;マリーン粘土鉱物(海泥);デザートローズ粘土鉱物;パスカライトなどが好ましく挙げられる。これらのうち、油中水乳化構造を安定化させることができるベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト又はカオリナイトが好ましく例示される。
【0011】
本発明の皮膚外用剤に含有される4級アミノ基を有する化合物で変性された粘土鉱物の製造方法の一例を以下に説明する。
前記未変性粘土鉱物を分散媒に分散させる。該分散剤は水系の溶媒であることが好ましく、水であってもよい。分散未変性粘土鉱物を含む分散液に、さらに4級アミノ基を有する化合物を加え、よく撹拌する。4級アミノ基を有する化合物は、水に溶解されて加えられてもよい。加えられる4級アミノ基を有する化合物の量は、分散未変性粘土鉱物の量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この様な構成を取ることにより、乳化系において、好ましい使用感を呈するためである。撹拌後、分散質を濾取し、脱水、乾固することにより本発明における変性粘土鉱物を得ることができる。あるいは、分散質を濾取することなく、減圧濃縮することにより分散剤を除去して乾固させることにより、本発明における変性粘土鉱物を得ることもできる。得られた変性粘土鉱物は、好ましくは所望のサイズ(粒径が1〜1000μmであることが好ましい)に粉砕され、本発明の皮膚外用剤に含有される。
【0012】
本発明における変性粘土鉱物は、前述したように調製して使用されることもできるが、市販されているものを使用することもできる。市販されている変性粘土鉱物には、化粧料などの皮膚外用剤などとして用いられているものもある。市販されている変性粘土鉱物としては、例えば、エレメンティス社より「ベントン38V」の名称で販売されている、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどが好ましく例示される。
【0013】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分は0.5〜10質量%好ましく含有され、より好ましくは1〜5質量%含有される。かかる成分は、前記の含有量の範囲において、乳化剤として、高内相の油中水乳化剤形を形成すべく働く。
【0014】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるL−カルニチン
本発明の皮膚外用剤は必須成分として、L−カルニチン及び/又はその塩を含有することを特徴とする。L−カルニチンは下記に示す構造を有しており、既に、化粧料用の原料として使用されている。この様な市販品を購入して使用することができる。又、試薬としても市販れているのでその入手は容易である。本発明では、かかるL−カルニチンをそのまま使用することもできるし、酸などともに塩と無し、かかる塩を含有させることもできる。保存においては塩の状態の方が安定性が高いので、塩を用いることが好ましい。塩としては、通常皮膚外用剤で使用されている塩であれば特段の限定なく使用することができ、例えば、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩等の有機酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等の酸性アミノ酸塩等が好適に例示できる。かかる成分は、前記有機変性粘土鉱物の作る構造を安定化させ、油溶性の有効成分を包含させる能力を向上せしめる作用を有する。この様な作用を発揮するためには、L−カルニチン及び/又はその塩は、L−カルニチン相当量に換算して、皮膚外用剤全量に対して、0.1〜10質量%含有することが好ましく、0.5〜5質量%含有することがより好ましい。少なすぎると、前記効果を奏さない場合が存し、多すぎると却って乳化系を損なう場合が存するからである。
【0015】
【化1】

L−カルニチン
【0016】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤では、油中水乳化剤形であることが好ましい。これは、必須成分である有機変性粘土鉱物が、油中水乳化剤形の組成物を作るのに非常に好適であるためである。ことに、高内相の油中水乳化剤形が好適である。ここで、高内相の油中水乳化剤形とは、水の質量と、エタノールの質量と、多価アルコールの質量との和が、50質量%を越えるものを意味する。又、前記の如くに、油中水乳化剤形を取る場合には、油中水乳化剤形の使用感、仕上がり感の欠点を補うために、シリコーンを含有することが好ましく、該シリコーンの含有量としては、10〜35質量%含有することが好ましく、より好ましくは、20〜30質量%である。この内、ジメチコン乃至はシクロメチコンは10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。特にジメチコン及びシクロメチコンの質量の和に対して、シクロメチコンの質量が50%以上であることが好ましい。ジメチコン、シクロメチコン以外のシリコーンとしては、POE変性メチルポリシロキサン、POP変性メチルポリシロキサン、POP・POE変性メチルポリシロキサン等のポリエーテル変性メチルポリシロキサンが好適に例示でき、かかる成分を含有することが油中水乳化系を安定化できるので好ましい。かかるポリエーテル変性メチルポリシロキサンの好ましい含有量は、0.5〜5質量%、1〜3質量%がより好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は、前記の構成を取ることにより、系に安定に油溶性の有効成分、取り分け、固形の油溶性の有効成分を含有させることができる。この様な有効成分としては、例えば、ウルソール酸、オレアノール酸、ベツリン酸などのトリテルペン酸、前記トリテルペン酸のアルキルエステル、アルケニルエステル、芳香族エステルなどの誘導体、スフィンゴシン類、セラミド類、フィトステロール類、フィトステロールグルコシドなどのフィトステロールの配糖体が好適に例示できる。前記フィトステロールは、植物性ステロール類の総称であり、植物性のステロール類には、スチグマスタノール、カンペステロール、シトステロールなどが存し、これらを一括して、フィトステロールと総称している。フィトステロールとしては小麦胚芽などの植物体から、複数のフィトステロールを含有するステロール分画を取り出して用いる場合が多く、この様な分画のみを精製した化粧料原料も市販されており、本発明のかかる市販原料を購入して利用することができる。この様な市販原料としては、例えば、岡安商店株式会社から販売されている「フィトステロール」などが存する。この様な油溶性の有効成分、取り分け固形の油溶性成分の好ましい含有量は、それぞれ0.05〜0.5質量%である。
【0018】
前記の成分以外に、本発明の皮膚外用剤においては、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することができる。本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0019】
この様な任意成分の内、特に好ましいものとしては、乳化状態を安定化できる、多価アルコールが例示できる。特に、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、イソプレングリコールが好適に例示できる。かかる成分は唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対して、10〜30質量%であり、より好ましくは15〜25質量%である。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、これらの成分を常法に従って処理することにより製造できる。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はされないが、例えば、ローション、エッセンス、乳液、クリーム、パックなどの基礎化粧料、ファンデーション、アンダーメークアップ、コントロールカラー、ハイライトなどのメークアップ化粧料、サンケアミルクやサンケアクリームなどの紫外線防護化粧料、リンス、シャンプー、ボディーシャンプーなどの洗浄料、ヘアクリーム、ヘアパックなどの毛髪用の化粧料、抗真菌皮膚外用医薬、抗炎症皮膚外用医薬、ステロイド皮膚外用医薬、皮膚外用殺菌剤、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、中でも化粧料が好ましく、特に基礎化粧料が好ましい。基礎化粧料においては、有効成分が効率よく経皮吸収できるとともに、閉塞性による皮膚バリア機能の保全効果が存し、TEWL(経皮的水分散逸量)の亢進を抑制することができるためである。
【0021】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0022】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、油中水乳化剤形である化粧料を製造した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イを混練りしてゲルを形成させ、この中にハを加えて溶解させ、これに攪拌下徐々にロを加えて乳化し、攪拌冷却して油中水乳化剤形の化粧料1を得た。同様に操作して、「ベントン38V」を「シリコーンKF6017」に置換した比較例1及び塩化L−カルニチンを水に置換した比較例2も作成した。
【0023】
【表1】

【0024】
<試験例1>
化粧料1、比較例1及び比較例2を、−10で24時間保持した後、24時間かけて5℃まで昇温し、24時間5℃に保持し、24時間かけて−10℃まで冷却する動作を1サイクルとする、周期的温度変化保存庫である、冬場エージングボックス中に1ヶ月保存し、20℃に1において、血球計数板に延ばし、20視野を100倍の倍率で観察し、不溶性の固体の数を計数し、1視野あたりの平均数を求めた。化粧料1には全く析出固体は観察されなかったが、比較例1では、5.6個、比較例2では9.1個を観察した。これより、本発明の化粧料は油溶性の有効成分保持効果に優れることがわかる。
【実施例2】
【0025】
化粧料1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、油中水剤形の化粧料2〜8を製造した。これらについて、試験例1と同様に評価したが、何れのサンプルにおいても析出固体は観察されなかった。これより、本発明の化粧料は油溶性の有効成分保持効果に優れることがわかる。
【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【実施例3】
【0028】
化粧料1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、油中水剤形の皮膚外用抗真菌医薬1を製造した。これらについて、試験例1と同様に評価したが、析出固体は観察されなかった。
【0029】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、化粧料や皮膚外用医薬などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)有機変性粘土鉱物と、2)L−カルニチン及び/又はその塩とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
ジメチコン乃至はシクロメチコンを15〜30質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
更に、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンを1〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
油中水乳化剤形であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
有機変性粘土鉱物と、L−カルニチン及びその塩の質量の比が、1:1〜3:1であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
有機変性粘土鉱物を用いて、ジメチコン乃至はシクロメチコンを含有する油相を乳化し、油中水乳化組成物を製造する場合において、L−カルニチン及び/又はその塩を、有機変性粘土鉱物の質量に対し、当量乃至は1/3当量添加することを特徴とする、前記油中水乳化組成物の安定性向上方法。

【公開番号】特開2007−254308(P2007−254308A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77945(P2006−77945)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】