説明

油中水型日焼け止め化粧料

【課題】油中水型の日焼け止め化粧料において、分散安定性、乳化安定性に優れ、使用時ののび広がりが良好で、油性感がなくさっぱりしていながら、しっとり感も感じられ、化粧持ちに優れ、高い紫外線防御効果を発現する油中水型日焼け止め化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、(B)有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタン、(C)シリコーン油、成分(D)トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる一種又は二種以上の油剤、(E)イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルを配合することを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型日焼け止め化粧料に関し、さらに詳しくは、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物と、有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンとシリコーン油を配合する油中水型日焼け止め化粧料に、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる一種又は二種以上の油剤と、イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルを配合することにより、分散・乳化安定性が良好なものとなり、使用感、化粧持ちに優れ、高い紫外線防御効果を発現することのできる油中水型日焼け止め化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料は、その使用環境から、日焼け止め効果だけでなく、汗、皮脂に強いことが要求され、そのために油中水型の剤型のものが多いが、油中水型剤型は外相が油系であるため、油特有のべたつきを強く感じる場合があった。そういった背景から、近年の油中水型日焼け止め化粧料においては、さっぱりとしてべたつきのない使用感を出すため、また経時での化粧持ちを向上させるために、油剤としてシリコーン油が多く使用されている。
しかしながら、シリコーン油は他の炭化水素やエステル油などの一般的な化粧料油剤との相溶性が悪く、多量に配合すると、経時安定性を損なうことになる。そのため、シリコーン油を配合した化粧料においては、配合するシリコーン油の種類や配合する添加剤について種々の検討がなされ、種々の化粧料が提案されている。例えば、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物とシリコーン油を配合し、さっぱりとした使用感を持つ化粧料が提案され、これにさらに無水ケイ酸や疎水性シリカ、糖類、糖アルコール類を配合して安定性を向上させた化粧料が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また近年、日焼け止め化粧料においては、より高い日焼け止め効果を期待して、紫外線吸収剤と酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤を併用することが多いが、更に塗布時の滑らかなのびや肌への良好な付着性を得るために、酸化チタンや酸化亜鉛などを微粒子化した粉体を用いることがあり、このための技術についても種々の検討がなされている。例えば、有機チタネートで処理した粉体を配合する技術や、有機チタネート処理などで吸油量を調整した粉体と部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン等の界面活性剤を併用して安定に配合し、負担感を軽減させる技術等が開示されている(特許文献3、4参照)
【0004】
【特許文献1】特開平6−40847号公報
【特許文献2】特開平6−40848号公報
【特許文献3】特開平11−322542号公報
【特許文献4】特開2005−002078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物を配合した化粧料は、油性感がなくさっぱりした使用感、化粧持ちなど使用性に優れるものの、どうしてもしっとり感に欠ける傾向にあり、また他の一般油剤との相溶性や経時安定性などの面において、十分なものとは言えなかった。
また、有機チタネートで処理した粉体を配合したものや、有機チタネート処理等により吸油量を調整した粉体と、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン等の界面活性剤を併用したものは、分散性や肌への付着性は多少改善されるものの、経時で増粘や凝集等が見られる場合があり、安定性や使用感、化粧持ちの点で必ずしも満足のいくものではなく、紫外線防御効果も十分には発揮されない場合があり、更なる改善が望まれていた。
本発明は、かかる要望に応えるもので、分散・乳化安定性に優れ、のび広がりが良好で、油性感がなくさっぱりしていながら、しっとり感も感じられ、化粧持ちにも優れ、紫外線防御効果を十分に発現する油中水型日焼け止め化粧料を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物と有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンとシリコーン油を配合する油中水型日焼け止め化粧料に、特定の油剤、即ちトリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる一種又は二種以上の油剤と、イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルとを配合することで、分散・乳化安定性が良好なものとなり、使用感、化粧持ちに優れ、紫外線防御効果を十分に発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、成分(A)〜(E);(A)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、(B)有機チタネート処理された微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタン、(C)シリコーン油(D)トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる一種又は二種以上の油剤、(E)イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルを配合することを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0008】
また、本発明においては、上記の成分(C)、(D)、(E)の配合質量比が(C):(D):(E)=5〜1:1:0.01〜0.05であり、かつ(C)と(D)を合計した配合量が30〜60質量%であることを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料は、分散・乳化安定性に優れ、のび広がりが良く、油性感がなくさっぱりしていながら、しっとり感が感じられ、化粧持ちに優れ、紫外線防御効果を十分に発現する油中水型日焼け止め化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明に使用される成分(A)の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、(イ)Si−H基含有シロキサン化合物と、(ロ)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有する化合物とを付加反応させて得られる重合物であって、且つ分子中に少なくとも一つ以上のポリオキシアルキレン基を含有する重合物である。この重合体としては、特開平4−272932号公報、特開平5−140320号公報等に記載されているものが例示される。
【0011】
すなわち、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、例えば、次の(イ)、(ロ)を原料として製造することができる。(イ)のSi−H基含有シロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(1)
1a2bcSiO(4-a-b-c)/2・・・(1)
[式中、R1は同種又は異種の炭素数1〜18の非置換、又は置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン化炭化水素基、R2は一般式Cn2nO(C24O)d(C36O)e3〔ここにR3は水素原子又は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基もしくは−(CO)−R4(R4は炭素数1〜5の飽和脂肪族炭化水素基)で示される基、dは2〜200の整数、eは0〜200の整数、d+eは3〜200の整数、nは2〜6をそれぞれ示す〕で示されるポリオキシアルキレン基、aは1.0≦a≦2.5、bは0.001≦b≦1.0、cは0.001≦c≦1.0をそれぞれ示す。]で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び/又は下記一般式(2)
1fgSiO(4-f-g)/2・・・(2)
(式中、R1は上記と同じ、fは1.0≦f≦3.0、gは0.001≦g≦1.5をそれぞれ示す。)で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0012】
また、(ロ)の分子中に少なくとも2個のアルケニル基含有する化合物としては、例えば、下記一般式(3)
m2m-1O(C24O)h(C36O)im2m-1・・・(3)
(式中、hは2〜200の整数、iは0〜200の整数、h+iは3〜200の整数、mは2〜6をそれぞれ示す。)で表わされるポリオキシアルキレン及び/又は下記一般式(4)
1j5kSiO(4-j-k)/2 ・・・(4)
(式中、R1は前記に同じ、R5は末端に脂肪族不飽和基を有する炭素数2〜10の1価炭化水素基、jは1.0≦j≦3.0、kは0.001≦k≦1.5をそれぞれ示す。)で表わされるオルガノポリシロキサン及び/又は、α,ω−不飽和アルケンが挙げられる。
【0013】
そして、本発明で使用する部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、これら(イ)の一般式(1)で表される成分及び/又は一般式(2)で表される成分、並びに(ロ)の一般式(3)で表される成分及び/又は一般式(4)で表される成分及び/又はα,ω−不飽和アルケンを組合せて付加重合させて製造するが、このとき一般式(1)で表わされる成分及び/又は一般式(3)で表わされる成分を必須成分として重合させる。この他の点では特には限定されないが、みずみずしさやさっぱり感などの官能特性上、一般式(2)で表わされる成分と一般式(3)で表される成分を必須成分とする重合物が好ましい。また、本発明で使用する部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、シリコーン油以外の炭化水素油やエステル油、トリグリセライド油との親和性、相溶性を良好にするには、分子中に少なくとも一つの炭素数8〜18のアルキル基を含有する重合物にすることが好ましい。
【0014】
本発明で用いられる成分(A)の重合物の市販品としては、例えば、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物にシリコーン油を配合したものとして、シリコン KSG−21、炭化水素油やエステル油を配合したものとして、シリコン KSG−31、シリコン KSG−32、シリコン KSG−33、シリコン KSG−34(いずれも信越化学工業(株)製)等が挙げられる。本発明で用いられる成分(A)の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物の配合量は、特に限定はないが、効果の発現及び使用性において、0.01〜5質量%(以下、単に「%」とする)が好ましく、更に好ましくは0.1〜3%である。又、この部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)の有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタン(以下、「表面処理微粒子酸化亜鉛」、「表面処理微粒子酸化チタン」という場合がある)は、通常日焼け止め化粧料に用いられる微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを有機チタネートで処理したものである。この処理を行なうことで、成分(E)であるイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステル、成分(D)であるトリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールとの親和性を高め、分散安定性が向上する。成分(B)における有機チタネートは、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ、炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましく、これらは下記一般式(5)で示される化合物が例示できる。
【0016】
【化1】

【0017】
(pは正の整数で、p=8〜24)
【0018】
前記有機チタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
これら有機チタネートの中でも、上記一般式(5)においてp=17で示されるイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを選択すると、油剤中での粉体の分散安定性や付着性、使用感がより良好なものとなる。
【0019】
成分(B)における有機チタネート処理酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンを調製する方法としては、通常公知の処理方法が用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、直接粉体と混合する方法、水やエタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いる湿式法、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。また、成分(B)における有機チタネートと粉体との処理比は、質量比として、0.5:99.5〜10:90が好ましく、1.5:98.5〜8:92がより好ましい。この範囲で処理した微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンを配合すれば、凝集が無く、分散安定性や付着性がより優れた油中水型日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0020】
成分(B)の有機チタネート処理酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンは、更に、化粧料中の他の成分との分散性改良、感触改良等の目的で、トリアルコキシアルキルシラン等のシリコーン化合物、フッ素化合物、油剤、油脂、高級アルコール、ワックス、高分子、樹脂、金属石鹸、シリカ等で処理して用いても良い。
【0021】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料における成分(B)の配合量は、特に限定はないが、0.5〜25%が好ましく、1〜20%がより好ましい。成分(B)をこの範囲で配合すると、分散安定性や紫外線防御効果が最も良好となり、使用感や経時安定性がより良好な油中水型日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0022】
本発明に用いられる成分(C)のシリコーン油は、通常化粧料に用いられる油性成分であり、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン、フッ素変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン等の変性シリコーン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。尚、これらの中でも、成分(C)として、分子量が20000以下の低分子量の鎖状シリコーンや、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン油を選択すると、塗布時のなめらかなのび広がりに優れ、ベタツキや油っぽさのないさっぱりとした、優れた使用感の油中水型日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料における成分(C)の配合量は、特に限定はないが、効果の発現及び使用性において15〜50%が好ましく、更に好ましくは20〜35%がより好ましい。成分(C)をこの範囲で用いると、より塗布時のなめらかなのび広がりに優れる油中水型日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0024】
本発明に用いられる成分(D)のトリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールは、化粧料に一般的に用いられる室温で液状の油剤であるが、本発明においては、成分(C)のシリコーン油の相溶性を高めるだけでなく、成分(B)の有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンの分散性を高める働きをする。さらに成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルと併用することで分散・乳化安定性が、他の炭化水素油や植物油に比べ、極めて良好なものになり、有用である。成分(Dを配合することで、従来の油中水型日焼け止め化粧料では十分なものが得がたかった、のび広がりがなめらかで、油性感のないさっぱりとした使用感と、しっとり感の付与効果を合わせもち、化粧持ちに優れ、結果、高い紫外線防御効果を発現することができる。
【0025】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料における成分(D)の配合量は、効果の発現及び使用性において5〜30%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜25%であることがより好ましい。この範囲であれば、成分(A)の部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物や成分(C)のシリコーン油との相溶性に優れ、成分(B)の有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタンの分散安定性が良好なものとなり、また、成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルとの併用による製剤の乳化・分散安定化作用も十分に発現し、使用感、化粧持ちに優れ、紫外線防御効果が十分発揮されるものとなり好ましい。
【0026】
本発明に用いられる成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルは、油剤をゲル化し幅広い範囲で粘度を付与する効果だけでなく、成分(B)や成分(D)との親和性が高く、分散安定性を向上させることができる。分散安定性が良好なものとなるため、使用感、化粧持ちがよく、紫外線防御効果の高い油中水型日焼け止め化粧料が得られる。成分(E)イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリンの脂肪酸エステルは、多糖類の一種であるイヌリン及び/又はそのイヌリンの加水分解物である加水分解イヌリンと脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体とのエステルで、具体的には特開2002−284620号公報に記載されているものが挙げられる。市販品としては、レオパールISK(千葉製粉社製)等が挙げられる。
成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリンの脂肪酸エステルは、一単糖単位あたりの脂肪酸置換度が2.2以上であると、油剤のゲル化能力が高く好ましい。ここで示す脂肪酸置換度とは、単糖単位中の3個の水酸基を脂肪酸でエステル化した平均モル数を示す。また、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上は、炭素数16〜22の直鎖炭化水素骨格を有するアシル基が好ましく、具体的にはヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基があげられる。アシル基の炭素鎖長においては、ヘキサデカノイル基より炭素数の少ないアシル基では、油性成分との溶解性やゲル構造性の付与が充分でなく、反対にドコサノイル基より炭素数の多いアシル基では、使用時に重い感触を伴ったり、経時で析出したりする場合がある。
また、総アシル基の40モル%未満は、他のアシル基で置換されていても構わない。他のアシル基を例示するならば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、テトラコサノイル基、ヘキサコサノイル基、オクタコサノイル基、トリアコンタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、イソステアロイル基、イソヘキサデカノイル基、イソデカノイル基、イソオクタノイル基等が挙げられる。
【0027】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料における成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリンの脂肪酸エステルの配合量は、特に限定はないが、0.05〜1.5%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5%である。この範囲であれば、分散安定性や紫外線防御効果、経時安定性、使用感においてより優れたものが得られる。またこれらのイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリンの脂肪酸エステルは必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。
【0028】
また、本発明においては、上記成分のうち、成分(C)、(D)、(E)の配合質量比が(C):(D):(E)=5〜1:1:0.01〜0.05で、かつ(C)と(D)を合計配合量が30〜60%である場合、特に分散・乳化安定性に優れたものとなり、なめらかなのび広がりで、さっぱりとしてべたつきのない良好な使用感としっとり感を感じられ、化粧持ちが良く、高い紫外線防御効果が得られる。
【0029】
本発明の油中水型日焼け止め化粧料には、上記必須成分(A)〜(E)の他、油中水型日焼け止め化粧料とするために水(温泉水、海洋深層水、精製水等)を配合(概ね5〜60%)する他、通常油中水型日焼け止め化粧料に配合することのできる成分を本発明の効果を損なわない質的量的範囲において適宜配合することができる。例えば、乳化剤、油性成分、多価アルコ−ル、低級アルコール、水溶性高分子、粘度調整剤、保湿剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、塩類、防腐剤、殺菌剤、香料、色素、顔料、粉体、紫外線吸収剤、ビタミン類、アミノ酸類、美容成分等が挙げられる。
【0030】
乳化剤としては、油中水型乳化を形成するものであれば、特に限定されるものではなく、具体的に例示するのであれば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(1E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンなどが挙げられる。これらの中でも、本願発明の経時安定性及び使用感向上効果の観点から、シリコーン系界面活性剤が好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、KF−6015、KF−6016、KF−6017(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、ABIL−EM90(ゴールドシュミット社製)、ポリ(オキシエチレン・オキプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、ABIL−EM97(ゴールドシュミット社製)、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンとしては、KF−6028(信越化学工業社製)、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体としては、KF−6026(信越化学工業社製)、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサンとしてはKF6104、KF6105(信越化学工業社製)、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンとしてはKF−6038(信越化学社製)などの市販品を使用することができる。これらの中でも、経時安定性及び使用感向上効果の観点から、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンがより好ましい。これらの成分は、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができ、また、その配合量は、油剤の種類、組合わせ等で限定はできないが、概ね、0.05〜5%が好ましい。
【0031】
油性成分としては、上記成分(C)、(D)以外のものであれば、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、成分(D)以外のエステル油類やトリグリセライド類、脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられ、エモリエント感の付与、感触調整等の目的に応じ適宜配合すればよい。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0032】
粉体としては、通常化粧料に用いられるもので成分(B)以外のものであれば特に限定はされないが、具体的には、マイカ、合成雲母、セリサイト、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、板状アルミナ、タルク、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸等の無機体質顔料、酸化チタン、酸化セリウム等の無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラック等の無機着色顔料、タール系色素、天然色素等の有機着色顔料、ナイロンパウダー、シリコーン樹脂パウダー、シルクパウダー、ポリスチレン、ポリエチレンパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体等を特に本発明の効果を損なわない範囲において、本発明にて処理剤として使用する以外のフッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理を施したもの及び未処理のものを組み合わせて使用してもよい。
【0033】
その他、水性成分として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルキル化カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸またはそれらの塩、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液、水溶性ビタミンC及びその誘導体、コラーゲン等のタンパク質やそれらの塩等の美容成分を配合することができる。
【0034】
更に、本発明の日焼け止め化粧料には、日焼け止め効果の更なる向上を目的として、上記成分(B)等の紫外線防御剤と併せ、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、通常日焼け止め化粧料に用いられるものであれば何れのものでも配合することが可能であり、具体的には、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、サリチル酸−2−エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、(1,3,5)−トリアジン−2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びそのナトリウム塩等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
製造例1:有機チタネート5%処理微粒子酸化亜鉛
イソプロピルアルコール500gとイソプロピルトリイソステアロイルチタネート50gを混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)中で酸化亜鉛〔MZ−500(テイカ社製)〕950gと混合する。その後、減圧下、60℃でイソプロピルアルコールを回収し、粉砕して、有機チタネート5%処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0037】
製造例2:有機チタネート3%及びメチルハイドロジェンポリシロキサン3%処理微粒子酸化チタン
前記製造例1と同様に、微粒子酸化亜鉛の代わりに酸化チタン〔MT−500B(テイカ社製)〕を用いて、有機チタネート3%及びメチルハイドロジェンポリシロキサン3%処理微粒子酸化チタンを得た。
【0038】
実施例1〜6及び比較例1〜7 油中水型日焼け止め化粧料
表1に示す処方の油中水型日焼け止め化粧料を下記製造方法にて調製し、分散安定性、乳化安定性、使用感(のび広がり、べたつきのなさ、しっとり感)紫外線防御効果について下記方法により評価した。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例1〜6及び比較例1〜7 油中水型日焼け止め化粧料
【0041】
<製造方法>
A.成分(1)〜(19)を室温にて均一に混合分散する。
B.成分(20)〜(23)を室温にて均一に混合する。
C.AにBを加え乳化し、油中水型日焼け止め化粧料を得る。
【0042】
<評価方法>
〔分散安定性〕
各試料を調製直後と40℃恒温槽に1ヶ月間保管後、石英板上に、各試料の薄膜(厚さ6μm)を作成して、透過スペクトルを測定し、波長400nmにおける透過率を測定した。
ここで、可視光400nmの透過率を直後と1ヶ月後で比較し、下記(ハ)の4段階判定基準を用いて判定した。
(ハ)4段階判定基準
(評価) (判定)
透過率の差が5%未満であった :◎
透過率の差が5〜10%未満であった :○
透過率の差が10〜20%未満であった:△
透過率の差が20%以上であった :×
【0043】
〔乳化安定性〕
各試料を40℃恒温槽に3ヶ月間保管し、調製直後の状態を基準として、外観の変化を以下の(ニ)4段階判定基準を用いて判定した。
(ニ)4段階判定基準
(評価) (判定)
変化なく良好 :◎
油剤のしみ出し等外観にわずかに変化があるが、化粧品として問題はない。:○
外観、使用性に変化がある。 :△
明らかに変化があり、形状維持が困難である。 :×
【0044】
〔使用感(のび広がり、べたつきのなさ、しっとり感の付与)〕
専門評価パネル20名により、各試料を顔面に塗布し、使用感(のび広がり、べたつきのなさ、しっとり感の付与)について、下記(ホ)の5段階評価基準にて評価し、更に各試料の評点の平均値を(ヘ)の4段階判定基準を用いて判定した。
(ホ)5段階評価基準
(評点): (評価)
4 : 非常に良い
3 : 良い
2 : 普通
1 : やや悪い
0 : 悪い
(ヘ)4段階判定基準
(評点の平均値) :(判定)
3.5以上 : ◎
2.5以上、3.5未満 : ○
1.5以上、2.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0045】
〔紫外線防御効果〕
5cm×8cm四方のサージカルテープ(住友3M社製 型番:1526)上に各試料40mgを均一に塗布し、SPF Analyzer System UV−1000S(Labsphere社製)にて測定し、1サンプル15点測定(N=3)の平均値により、UVB領域である300nmの透過率を算出し、下記(ト)の4段階判定基準を用いて判定した。
(ト)4段階判定基準
(評価) : (判定)
UVB透過率が10%未満で、遮断効果が非常に良好 :◎
UVB透過率が10以上30%未満で、遮断効果が良好 :○
UVB透過率が30以上40%未満で、遮断効果がやや劣る :△
UVB透過率が40%以上で、遮断効果が劣る :×
【0046】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6の油中水型日焼け止め化粧料はいずれも分散安定性、乳化安定性、使用感(のび広がり、べたつきのなさ、しっとり感の付与)、化粧持ち、紫外線防御効果の全項目において優れた油中水型日焼け止め化粧料であった。
一方、特に成分(D)、(E)を配合することの効果を確認した比較例において、成分(D)の油剤を、イソノナン酸イソノニル、流動パラフィン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、マカデミアナッツ油に置き換えて配合した比較例1〜4は、分散・乳化安定化作用が十分ではなく、使用感も悪く、紫外線防御効果も劣るものであった。また、成分(D)成分は配合しているが、成分(E)を配合していない比較例5、或いは成分(E)を他のゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンに置き換えた比較例6も、共に分散・乳化安定化作用に劣り、使用感も悪く、紫外線防御効果も劣るものであった。更に、成分(D)の油剤も成分(E)のイヌリン脂肪酸エステルも配合していない比較例7は、成分(B)の表面処理微粒子酸化亜鉛が凝集により増粘してしまい分散安定性が悪く、乳化安定性も損なわれ、のび広がりやべたつきのなさ等の使用感も紫外線防御効果も劣るものであった。
つまり、本発明の実施例1〜6の油中水型日焼け止め化粧料は、比較例1〜7と比較して、特に成分(D)、(E)を配合することにより、分散安定性、乳化安定性が非常に優れたものとなり、それは、使用時ののび広がり、べたつきのなさ、しっとり感の付与等の使用感を良好なものとし、更には紫外線防御効果の高い油中水型日焼け止め化粧料とすることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン
(B)有機チタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタネート処理微粒子酸化チタン
(C)シリコーン油
(D)トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる一種又は二種以上の油剤
(E)イヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステル
を配合することを特徴とする油中水型日焼け止め化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)、(D)、(E)の配合質量比が(C):(D):(E)=5〜1:1:0.01〜0.05であり、かつ(C)と(D)の合計配合量が30〜60質量%であることを特徴とする請求項1記載の油中水型日焼け止め化粧料。
【請求項3】
前記成分(E)のイヌリン脂肪酸エステル及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルが、一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上であり、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の油中水型日焼け止め化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)がイソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理微粒子酸化亜鉛及び/又はイソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理微粒子酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項記載の油中水型日焼け止め化粧料。

【公開番号】特開2009−191033(P2009−191033A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34811(P2008−34811)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】