説明

油圧緩衝器

【課題】 油圧緩衝器において、全長の短いダンパケースの内部にシリンダの油室、外側流路及び油溜室を併せ設けること。
【解決手段】 ダンパケース11が備えるシリンダ13の油室27にピストンロッド14を挿入し、シリンダ13のピストン側油室27Aとロッド側油室27Bの間に減衰力発生装置40を設けてなる油圧緩衝器10において、ダンパケース11におけるシリンダ13の油室27の周囲に、ピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する外側流路13Cを設け、ダンパケース11におけるシリンダ13の油室27及び外側流路13Cの周囲に、油溜室32を設けてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースが備えるシリンダの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、ピストンロッドの先端部に設けたピストンにより、シリンダの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償する油溜室をシリンダの油室に連通し、シリンダのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3462243
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、油溜室を構成するアキュムレータをダンパケースの外部に設けた別体タンクにより形成している。このため、ダンパケースと別体タンクを連通する油圧配管も必要になる。従って、油圧緩衝器の全体がダンパケースと別体タンクの結合体からなるものになり、複雑かつ大型になる。
【0005】
尚、油圧緩衝器において、ダンパケースの軸方向に沿う一端側に油溜室を付帯させる場合には、ダンパケースが軸方向に長大化し、これが搭載される車両におけるレイアウト上の自由度を阻害する。
【0006】
本発明の課題は、油圧緩衝器において、全長の短いダンパケースの内部にシリンダの油室、外側流路及び油溜室を併せ設けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースが備えるシリンダの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、ピストンロッドの先端部に設けたピストンにより、シリンダの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償する油溜室をシリンダの油室に連通し、シリンダのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、ダンパケースにおけるシリンダの油室の周囲に、ピストン側油室とロッド側油室を連通する外側流路を設け、ダンパケースにおけるシリンダの油室及び外側流路の周囲に、油溜室を設けてなるようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ダンパケースがダンパチューブの内部にシリンダを挿嵌し、シリンダが外筒と内筒からなり、内筒の内部に前記油室を形成し、外筒と内筒の間に前記外側流路を形成し、ダンパチューブと外筒の間に前記油溜室を形成してなるようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記減衰力発生装置が、圧側行程で、シリンダのピストン側油室の油をシリンダの外側流路からロッド側油室に向けて流す圧側流路が減衰力発生装置に設けられ、この圧側流路の上流側に圧側減衰バルブを、下流側に圧側チェックバルブを設け、この圧側流路における圧側減衰バルブと圧側チェックバルブの中間部を油溜室に連通し、伸側行程で、シリンダのロッド側油室の油をシリンダの外側流路からピストン側油室に向けて流す伸側流路が減衰力発生装置に設けられ、この伸側流路の上流側に伸側減衰バルブを、下流側に伸側チェックバルブを設け、この伸側流路における伸側減衰バルブと伸側チェックバルブの中間部を油溜室に連通してなるようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記減衰力発生装置が、圧側流路の下流側に設けられる前記圧側チェックバルブに圧側減衰力発生手段を付帯してなるようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において更に、前記減衰力発生装置が、伸側流路の下流側に設けられる前記伸側チェックバルブに伸側減衰力発生手段を付帯してなるようにしたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれかの発明において更に、前記減衰力発生装置が、シリンダに固定化されるバルブピースを有し、バルブピースの外周の軸方向に沿う中央にセンタープレートを設け、バルブピースの外周のセンタープレートを挟む軸方向の一方側に、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブを設け、他方側に伸側減衰バルブと圧側チェックバルブを設け、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブの組と、伸側減衰バルブと圧側チェックバルブの組とをセンタープレートを挟んで線対称配置してなるようにしたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の発明において更に、前記減衰力発生装置が、バルブピースをシリンダのピストン側油室内の一端側で、シリンダの中心軸上に固定化し、センタープレートの周囲に圧側流路と伸側流路を設け、この圧側流路と伸側流路を、センタープレートに設けた連通路、バルブピースに設けた連通路を介して油溜室に連通してなるようにしたものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6又は7の発明において更に、前記減衰力発生装置が、バルブピースの中心軸上に設けた中空部に、圧側減衰バルブと伸側減衰バルブを迂回してシリンダのピストン側油室をロッド側油室及び油溜室に連通するバイパス流路を設け、外部から操作される減衰力調整弁をこのバイパス流路に設けたものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1)
(a)油圧緩衝器において、ダンパケースにおけるシリンダの油室の周囲に、ピストン側油室とロッド側油室を連通する外側流路を設け、ダンパケースにおけるシリンダの油室及び外側流路の周囲に、油溜室を設けた。従って、ダンパケースにおけるシリンダの中心部に油室を設け、油室の外側に外側流路を設け、外側流路の更に外側に油溜室を設けるものになる。これにより、油圧緩衝器において、ダンパケースを長大化することなく、全長の短いダンパケースの内部にシリンダの油室、外側流路及び油溜室を併せ設けることができ、これが搭載される車両におけるレイアウト上の自由度を向上できる。
【0016】
(請求項2)
(b)ダンパケースがダンパチューブの内部にシリンダを挿嵌し、シリンダが外筒と内筒からなり、内筒の内部に前記油室を形成し、外筒と内筒の間に前記外側流路を形成し、ダンパチューブと外筒の間に前記油溜室を形成する。ダンパチューブとシリンダの外筒及び内筒とからなる三重管構造により、コンパクトに上述(a)を実現できる。
【0017】
(請求項3)
(c)油圧緩衝器において、シリンダのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設け、圧側行程で、シリンダのピストン側油室の油をシリンダの外側流路からロッド側油室に向けて流す圧側流路が減衰力発生装置に設けられ、この圧側流路の上流側に圧側減衰バルブを、下流側に圧側チェックバルブを設け、この圧側流路における圧側減衰バルブと圧側チェックバルブの中間部を油溜室に連通し、伸側行程で、シリンダのロッド側油室の油をシリンダの外側流路からピストン側油室に向けて流す伸側流路が減衰力発生装置に設けられ、この伸側流路の上流側に伸側減衰バルブを、下流側に伸側チェックバルブを設け、この伸側流路における伸側減衰バルブと伸側チェックバルブの中間部を油溜室に連通させた。
【0018】
圧側行程では、ピストン側油室の昇圧した油が減衰力発生装置の圧側流路の上流側の圧側減衰バルブを通って圧側減衰力を発生する。この圧側減衰バルブから流出する油のうちの一方の油の流れが圧側チェックバルブからシリンダの外側流路を通ってロッド側油室に流入する。また、この圧側減衰バルブから流出する油のうちの他方の油の流れである、ピストンロッドの進入容積分の油の流れが油溜室に流入する。このとき、ロッド側油室の圧力は(圧側減衰バルブの下流側の圧側チェックバルブ〜シリンダの外側流路の流路抵抗が小さいので)エア室の圧力だけにほぼ依存し、圧側減衰バルブの流路抵抗の設定によって変動しない。従って、伸側反転時の減衰力のさぼりを回避できる。
【0019】
伸側行程では、ロッド側油室の昇圧した油がシリンダの外側流路から減衰力発生装置の伸側流路の上流側の伸側減衰バルブを通って伸側減衰力を発生する。この伸側減衰バルブから流出する油は、油溜室から補給されるピストンロッドの退出容積分の油と合流した後、伸側チェックバルブを通ってピストン側油室に流入する。
【0020】
尚、油溜室を加圧するエア室の圧力を高圧に設定することにより、圧側行程ではロッド側油室の圧力を大きく正圧にして伸側反転時の減衰応答性を向上できる。
【0021】
(請求項4)
(d)上述(c)の減衰力発生装置が、圧側流路の下流側に設けられる圧側チェックバルブに圧側減衰力発生手段を付帯し、この圧側チェックバルブを例えば圧側積層板バルブにした。このとき、圧側行程で、上流側の圧側減衰バルブから流出する油のうちの一方の油の流れは、圧側積層板バルブからシリンダの外側流路を通ってロッド側油室に流入するものの、圧側積層板バルブがチェック機能とともに圧側減衰力発生機能を果たす。圧側積層板バルブはピストン速度に依存する減衰力ΔFを発生し、ロッド側油室の圧力Prは油溜室を加圧するエア室の圧力PaからΔFを減じた値、換言すればピストン速度に依存して制御される値になる。
【0022】
このように圧側行程でロッド側油室の圧力Prがピストン速度に依存して制御されることは、伸側反転時の減衰力の立上り特性をピストン速度に依存して制御できることを意味する。ピストン速度が高速のときには、圧側積層板バルブの絞りによってΔFが大きくなり、Prが小さくなるから、伸側反転時の減衰力の立上りは緩やかになって乗心地を良くする。ピストン速度が低速のときには、圧側積層板バルブの絞りによるΔFが小さくなり、Prが大きくなるから伸側反転時の減衰力の立上りは急になって車体のフラフラ感を抑えて走行安定性を良くする。
【0023】
このとき、圧側減衰力の総量は、圧側減衰バルブの減衰力と、圧側積層板バルブの減衰力の総和になるが、通常のセッティングでは、圧側減衰バルブの減衰力をより大きくする。圧側減衰力の総量は、概ね圧側減衰バルブの減衰力に依存する。
【0024】
(請求項5)
(e)上述(c)の減衰力発生装置が、伸側流路の下流側に設けられる伸側チェックバルブに伸側減衰力発生手段を付帯し、この伸側チェックバルブを例えば伸側積層板バルブにした。このとき、伸側行程で、上流側の伸側減衰バルブから流出する油のうちの一方の油の流れは、伸側積層板バルブからシリンダの外側流路を通ってピストン側油室に流入するものの、伸側積層板バルブがチェック機能とともに伸側減衰力発生機能を果たす。伸側積層板バルブはピストン速度に依存する減衰力ΔFを発生し、ピストン側油室の圧力Ppは油溜室を加圧するエア室の圧力PaからΔFを減じた値、換言すればピストン速度に依存して制御される値になる。
【0025】
このように伸側行程でピストン側油室の圧力Ppがピストン速度に依存して制御されることは、圧側反転時の減衰力の立上り特性をピストン速度に依存して制御できることを意味する。ピストン速度が高速のときには、伸側積層板バルブの絞りによってΔFが大きくなり、Ppが小さくなるから、圧側反転時の減衰力の立上りは緩やかになって乗心地を良くする。ピストン速度が低速のときには、伸側積層板バルブの絞りによるΔFが小さくなり、Ppが大きくなるから圧側反転時の減衰力の立上りは急になって車体のフラフラ感を抑えて走行安定性を良くする。
【0026】
このとき、伸側減衰力の総量は、伸側減衰バルブの減衰力と、伸側積層板バルブの減衰力の総和になるが、通常のセッティングでは、伸側減衰バルブの減衰力をより大きくする。伸側減衰力の総量は、概ね伸側減衰バルブの減衰力に依存する。
【0027】
(請求項6)
(f)上述(c)〜(e)の減衰力発生装置が、シリンダに固定化されるバルブピースを有し、バルブピースの外周の軸方向に沿う中央にセンタープレートを設け、バルブピースの外周のセンタープレートを挟む軸方向の一方側に、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブを設け、他方側に伸側減衰バルブと圧側チェックバルブを設け、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブの組と、伸側減衰バルブと圧側チェックバルブの組とをセンタープレートを挟んで線対称配置する。これにより、圧側行程で、ピストン側油室から減衰力発生装置を通ってロッド側油室と油溜室を流出する上述(a)の油の流路と、伸側行程で、ロッド側油室と油溜室から減衰力発生装置を通ってピストン側油室へ流出する上述(a)の油の流路を、ともに短い流路長、小さい流路抵抗にし、それらの油の流れをスムースにすることができる。
【0028】
(請求項7)
(g)上述(f)の減衰力発生装置が、バルブピースをシリンダのピストン側油室内の一端側で、シリンダの中心軸上に固定化し、センタープレートの周囲に圧側流路と伸側流路を設け、この圧側流路と伸側流路を、センタープレートに穿設した連通路、バルブピースに穿設した連通路を介して油溜室に連通する。これにより、減衰力発生装置の圧側流路と伸側流路の中間部を油溜室に連通する経路をコンパクトにし、この経路における油の流れをスムースにすることができる。
【0029】
(請求項8)
(h)上述(f)又は(g)の減衰力発生装置が、バルブピースの中心軸上に設けた中空部に、圧側減衰バルブと伸側減衰バルブを迂回してシリンダのピストン側油室をロッド側油室及び油溜室に連通するバイパス流路を設け、外部から操作される減衰力調整弁をこのバイパス流路に設けた。これにより、減衰力発生装置を用いて圧側減衰力及び/又は伸側減衰力の大きさを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は油圧緩衝器の基本的構造を示す模式断面図である。
【図2】図2は油圧緩衝器を示す断面図である。
【図3】図3はダンパケースを示す断面図である。
【図4】図4は減衰力発生装置における油の流れを示し、(A)は圧側行程を示し、(B)は伸側行程を示す断面図である。
【図5】図5はバルブピースを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図6】図6はセンタープレートを示し、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
油圧緩衝器10は、図1〜図3に示す如く、車軸側に取付けられるダンパケース11がダンパチューブ12を有し、ダンパチューブ12の内部にダンパシリンダ13を挿嵌している。そして、油圧緩衝器10は、車体側に取付けられるピストンロッド14をダンパケース11のダンパチューブ12、シリンダ13の中心部に摺動自在に挿入し、ダンパケース11とピストンロッド14の外側部に懸架スプリング15を介装している。
【0032】
ダンパケース11はダンパチューブ12のボトムキャップ12Aの外面中央部に車軸側取付部材16を備え、ピストンロッド14は車体側取付部材17を備える。ダンパケース11におけるダンパチューブ12の外周部にはばね受18を備え、ピストンロッド14における車体側取付部材17の外周部にはばね受19を備える。懸架スプリング15は、ばね受18とばね受19の間に介装され、懸架スプリング15のばね力によって車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0033】
ダンパケース11のダンパチューブ12は、ピストンロッド14が貫通するロッドガイド21をその開口部に備える。ロッドガイド21は、頭部21Aをダンパチューブ12に液密に挿着され、オイルシール22、ブッシュ23を備える内径部に、ピストンロッド14を液密に摺動自在に挿入している。
【0034】
油圧緩衝器10は、ダンパケース11がダンパチューブ12の内部にシリンダ13を挿嵌し、シリンダ13が外筒13Aと内筒13Bからなるものにし、ダンパケース11はボトムキャップ12Aの外周にダンパチューブ12の下端内周を嵌合して溶接等により固定している。ボトムピース24の外周の下端複数位置に設けてある脚部24Aがボトムキャップ12Aのカップ状の内側底面の上にセンタリングされて配置され、ボトムピース24の外周で脚部24Aの上に設けた大外径部と小外径部のそれぞれにシリンダ13の外筒13Aと内筒13Bの各下端内周を圧入等して固定している。他方、シリンダ13の外筒13Aと内筒13Bの各上端内周はロッドガイド21の頭部21Aの下に設けた大外径部と小外径部のそれぞれに圧入等して固定されている。外筒13Aの上端内周はロッドガイド21の大外径部に装填してあるOリングに液密に挿着される。そして、ダンパチューブ12はロッドガイド21の頭部21Aを挿着され、頭部21Aの上のオイルシール22、オイルシール22の上面に設けたワッシャ22Aよりも上方に突出し、その突出端を加締部12Bとする。ダンパチューブ12は、ボトムキャップ12Aと加締部12Bの間に、ロッドガイド21、オイルシール22、ワッシャ22A、ボトムピース24を介して、シリンダ13の外筒13A、内筒13Bを軸方向で挟み込み固定するものになる。
【0035】
油圧緩衝器10は、以上により、ダンパケース11の全体をダンパチューブ12と、シリンダ13の外筒13A、内筒13Bとが同軸配置された三重管としている。そして、内筒13Bの内部にピストン側油室27Aとロッド側油室27Bからなる油室27を形成し、外筒13Aと内筒13Bの間の環状間隙によりピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する外側流路13Cを形成し、ダンパチューブ12と外筒13Aの間の環状間隙をエア室31と油溜室32とする。
【0036】
即ち、油圧緩衝器10は、ピストンロッド14をダンパケース11のダンパチューブ12、シリンダ13の中心部に挿入するとき、ピストンロッド14の先端部に挿着したピストン25をナット26で固定し、内筒13Bの内周に摺動可能に挿入されたピストン25により、シリンダ13の油室27をピストン側油室27Aとロッド側油室27Bに区画する。28はリバウンドスプリング、29はバンプラバーである。
【0037】
そして、油圧緩衝器10は、ダンパチューブ12と外筒13Aの環状間隙の上下にエア室31と油溜室32のそれぞれを設け、油溜室32をシリンダ13の油室27に連通するように設け、この油溜室32によりシリンダ13の油室27に進退するピストンロッド14の容積(油の温度膨張分の容積を含む)を補償する。
【0038】
油圧緩衝器10は、シリンダ13のピストン側油室27Aとロッド側油室27Bの間に減衰力発生装置40を設ける。
【0039】
減衰力発生装置40は、ボトムピース24の脚部24Aに対する反対側の上面にて小組されたバルブユニット40Aの状態で、シリンダ13の内筒13Bの下端内周に挿入されて内蔵される。
【0040】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、ボトムピース24の中心軸上に穿設された孔24Bに該ボトムピース24の下面の側から挿通されるボルト状バルブピース41(図5)を有する。バルブピース41は下端部に設けた平板状の頭部41Aをボトムピース24の下面の孔24Bまわりに係止され、棒状ねじ部41Bにナット42を螺着される。そして、バルブピース41の軸方向で頭部41A側の長手方向半部が両面を削ぎ落とされてなる平板部41Cとされ、この平板部41Cの外周に2枚の向かい合せしたセンタープレート45(図6)を設け、バルブピース41の外周のセンタープレート45を挟む軸方向で、ボトムピース24の側から順に、圧側チェックバルブ52、伸側ピストン60、伸側減衰バルブ61を装填し、ナット42の側から順に、伸側チェックバルブ62、圧側ピストン50、圧側減衰バルブ51を装填される。圧側チェックバルブ52、伸側ピストン60、伸側減衰バルブ61の組と、伸側チェックバルブ62、圧側ピストン50、圧側減衰バルブ51の組とは、センタープレート45を挟んで線対称配置されるとともに、バルブピース41の頭部41Aが係止するボトムピース24の上面と、バルブピース41のねじ部41Bに螺着されるナット42との間で、センタープレート45とともに挟圧固定化される。
【0041】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、シリンダ13の内筒13Bに挿入され、圧側ピストン50と伸側ピストン60の外周を内筒13Bの内周に液密に固定し、内筒13Bの内部における圧側ピストン50の反伸側ピストン側のスペースをピストン側油室27Aとし、内筒13Bの内部における伸側ピストン60の反圧側ピストン側のスペースをシリンダ13の外筒13Aと内筒13Bの間の外側流路13Cを介してロッド側油室27Bに連通する伸圧共用流路46Bとする。尚、ボトムピース24において内筒13Bが固定される小外径部の周辺には伸圧共用流路46Bの一部となる溝流路が切欠き形成されている。内筒13Bの上端側には、ロッド側油室27Bを外側流路13Cに連通する伸圧共用流路46Cが穿設されている。内筒13Bの内部におけるセンタープレート45の周囲で圧側ピストン50と伸側ピストン60に挟まれる環状スペースを伸圧共用流路46Aとする。伸圧共用流路46Aは、2枚の向かい合せしたセンタープレート45が、それらの孔空き板の合せ面に放射状に設けてある複数の半径方向溝45A(図6)を相向かい合せて形成してなる孔状の伸圧共用流路48A(連通路)に連通する。センタープレート45が形成する伸圧共用流路48Aは、バルブピース41の平板部41Cがセンタープレート45、伸側ピストン60、ボトムピース24の各中心孔との間に形成する伸圧共用流路48B(連通路)に連通する。伸圧共用流路48Bはボトムピース24の下面がボトムキャップ12Aとの間に形成する伸圧共用流路48C(連通路)を介して、ダンパチューブ12とシリンダ13の外筒13Aの間の油溜室32に連通する。
【0042】
また、減衰力発生装置40は、圧側ピストン50に圧側減衰バルブ51により開閉される圧側流路50Aと伸側チェックバルブ62により開閉される伸側流路50Bを設けるとともに、伸側ピストン60に圧側チェックバルブ52により開閉される圧側流路60Bと伸側減衰バルブ61により開閉される伸側流路60Aを設ける。減衰力発生装置40は、伸圧共用流路46A、46Bと、圧側ピストン50に設けた圧側流路50A、伸側流路50Bと、伸側ピストン60に設けた圧側流路60B、伸側流路60Aと、シリンダ13の外筒13Aと内筒13Bの環状間隙に設けられる外側流路13Cを介して、シリンダ13のピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する(ピストン25はピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する流路を備えない)。
【0043】
従って、油圧緩衝器10にあっては、圧側行程で、シリンダ13のピストン側油室27Aの油を、シリンダ13の外側流路13Cからロッド側油室27Bに向けて流す圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)が減衰力発生装置40に設けられ、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)の上流側に圧側減衰バルブ51を、下流側に圧側チェックバルブ52を設け、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)における圧側減衰バルブ51と圧側チェックバルブ52の中間部を、伸圧共用流路46A、48A〜48Cを介して油溜室32に連通するものになる。
【0044】
また、伸側行程で、シリンダ13のロッド側油室27Bの油を、シリンダ13の外側流路13Cからピストン側油室27Aに向けて流す伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)が減衰力発生装置40に設けられ、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)の上流側に伸側減衰バルブ61を、下流側に伸側チェックバルブ62を設け、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)における伸側減衰バルブ61と伸側チェックバルブ62の中間部を、伸圧共用流路46A、48A〜48Cを介して油溜室32に連通するものになる。
【0045】
従って、油圧緩衝器10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧側行程)(図4(A)の実線矢印の流れ)
ピストン側油室27Aの油が昇圧し、減衰力発生装置40の圧側ピストン50の圧側流路50Aの圧側減衰バルブ51を押し開いて圧側減衰力を発生する。この圧側減衰バルブ51から伸圧共用流路46Aに流出する油は伸圧共用流路46Aにおいて2分し、一方の油は伸側ピストン60の圧側流路60Bの圧側チェックバルブ52からシリンダ13の外側流路13Cを通ってロッド側油室27Bに流出し、他方の油は油溜室32に排出される。この油溜室32に排出される他方の油は、ピストンロッド14の進入容積分の油を補償する。
【0046】
(伸側行程)(図4(B)の実線矢印の流れ)
ロッド側油室27Bの油が昇圧し、シリンダ13の外側流路13Cを通って減衰力発生装置40の伸側ピストン60の伸側流路60Aの伸側減衰バルブ61を押し開いて伸側減衰力を発生する。この伸側減衰バルブ61から伸圧共用流路46Aに流出する油は、油溜室32から補給される油と合流した後、圧側ピストン50の伸側流路50Bの伸側チェックバルブ62を通ってピストン側油室27Aに流出する。油溜室32から補給される油はピストンロッド14の退出容積分の油を補償する。
【0047】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)油圧緩衝器10において、シリンダ13のピストン側油室27Aと、ロッド側油室27Bの間に減衰力発生装置40を設け、圧側行程で、シリンダ13のピストン側油室27Aの油をシリンダ13の外側流路13Cからロッド側油室27Bに向けて流す圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)が減衰力発生装置40に設けられ、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)の上流側に圧側減衰バルブ51を、下流側に圧側チェックバルブ52を設け、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)における圧側減衰バルブ51と圧側チェックバルブ52の中間部を油溜室32に連通し、伸側行程で、シリンダ13のロッド側油室27Bの油をシリンダ13の外側流路13Cからピストン側油室27Aに向けて流す伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)が減衰力発生装置40に設けられ、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)の上流側に伸側減衰バルブ61を、下流側に伸側チェックバルブ62を設け、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)における伸側減衰バルブ61と伸側チェックバルブ62の中間部を油溜室32に連通させた。
【0048】
圧側行程では、ピストン側油室27Aの昇圧した油が減衰力発生装置40の圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)の上流側の圧側減衰バルブ51を通って圧側減衰力を発生する。この圧側減衰バルブ51から流出する油のうちの一方の油の流れが圧側チェックバルブ52からシリンダ13の外側流路13Cを通ってロッド側油室27Bに流入する。また、この圧側減衰バルブ51から流出する油のうちの他方の油の流れである、ピストンロッド14の進入容積分の油の流れが油溜室32に流入する。このとき、ロッド側油室27Bの圧力は(圧側減衰バルブ51の下流側の圧側チェックバルブ52〜シリンダ13の外側流路13Cの流路抵抗が小さいので)エア室31の圧力だけにほぼ依存し、圧側減衰バルブ51の流路抵抗の設定によって変動しない。従って、伸側反転時の減衰力のさぼりを回避できる。
【0049】
伸側行程では、ロッド側油室27Bの昇圧した油がシリンダ13の外側流路13Cから減衰力発生装置40の伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)の上流側の伸側減衰バルブ61を通って伸側減衰力を発生する。この伸側減衰バルブ61から流出する油は、油溜室32から補給されるピストンロッド14の退出容積分の油と合流した後、伸側チェックバルブ62を通ってピストン側油室27Aに流入する。
【0050】
尚、油溜室32を加圧するエア室31の圧力を高圧に設定することにより、圧側行程ではロッド側油室27Bの圧力を大きく正圧にして伸側反転時の減衰応答性を向上できる。
【0051】
(b)上述(a)の減衰力発生装置40が、ダンパケース11に設けたシリンダ13に固定化されるバルブピース41を有し、バルブピース41の外周の軸方向に沿う中央にセンタープレート45を設け、バルブピース41の外周のセンタープレート45を挟む軸方向の一方側に、圧側減衰バルブ51と伸側チェックバルブ62を設け、他方側に伸側減衰バルブ61と圧側チェックバルブ52を設け、圧側減衰バルブ51と伸側チェックバルブ62の組と、伸側減衰バルブ61と圧側チェックバルブ52の組とをセンタープレート45を挟んで線対称配置する。これにより、圧側行程で、ピストン側油室27Aから減衰力発生装置40を通ってロッド側油室27Bと油溜室32を流出する上述(a)の油の流路と、伸側行程で、ロッド側油室27Bと油溜室32から減衰力発生装置40を通ってピストン側油室27Aへ流出する上述(a)の油の流路を、ともに短い流路長、小さい流路抵抗にし、それらの油の流れをスムースにすることができる。
【0052】
(c)上述(b)の減衰力発生装置40が、バルブピース41をシリンダ13のピストン側油室27A内の一端側で、シリンダ13の中心軸上に固定化し、センタープレート45の周囲に伸圧共用流路46Aを設け、この伸圧共用流路46Aを、センタープレート45に設けた伸圧共用流路48A、バルブピース41に設けた伸圧共用流路48Bを介して油溜室32に連通する。これにより、減衰力発生装置40の伸圧共用流路46Aを油溜室32に連通する経路をコンパクトにし、この経路における油の流れをスムースにすることができる。
【0053】
尚、減衰力発生装置40は、圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、圧側流路50A、60B)の下流側に設けられる圧側チェックバルブ52に圧側減衰力発生手段を付帯させても良い。この圧側減衰力発生手段は圧側チェックバルブ52を積層板バルブとし、及び/又は圧側チェックバルブ52が設けられる圧側流路60Bを絞り流路とする等により構成できる。
【0054】
これによれば、圧側行程で、上流側の圧側減衰バルブ51から流出する油のうちの一方の油の流れは、圧側チェックバルブ52からシリンダ13の外側流路13Cを通ってロッド側油室27Bに流入するものの、圧側チェックバルブ52がチェック機能とともに圧側減衰力発生機能を果たす。圧側チェックバルブ52はピストン速度に依存する減衰力ΔFを発生し、ロッド側油室27Bの圧力Prは油溜室32を加圧するエア室31の圧力PaからΔFを減じた値、換言すればピストン速度に依存して制御される値になる。
【0055】
このように圧側行程でロッド側油室27Bの圧力Prがピストン速度に依存して制御されることは、伸側反転時の減衰力の立上り特性をピストン速度に依存して制御できることを意味する。ピストン速度が高速のときには、圧側チェックバルブ52の絞りによってΔFが大きくなり、Prが小さくなるから、伸側反転時の減衰力の立上りは緩やかになって乗心地を良くする。ピストン速度が低速のときには、圧側チェックバルブ52の絞りによるΔFが小さくなり、Prが大きくなるから伸側反転時の減衰力の立上りは急になって車体のフラフラ感を抑えて走行安定性を良くする。
【0056】
このとき、圧側減衰力の総量は、圧側減衰バルブ51の減衰力と、圧側チェックバルブ52の減衰力の総和になるが、通常のセッティングでは、圧側減衰バルブ51の減衰力をより大きくする。圧側減衰力の総量は、概ね圧側減衰バルブ51の減衰力に依存する。
【0057】
また、減衰力発生装置40は、伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、伸側流路50B、60A)の下流側に設けられる伸側チェックバルブ62に伸側減衰力発生手段を付帯させても良い。この伸側減衰力発生手段は伸側チェックバルブ62を積層板バルブとし、及び/又は伸側チェックバルブ62が設けられる伸側流路50Bを絞り流路とする等により構成できる。
【0058】
これによれば、伸側行程で、上流側の伸側減衰バルブ61から流出する油のうちの一方の油の流れは、伸側チェックバルブ62からシリンダ13の外側流路13Cを通ってピストン側油室27Aに流入するものの、伸側チェックバルブ62がチェック機能とともに伸側減衰力発生機能を果たす。伸側チェックバルブ62はピストン速度に依存する減衰力ΔFを発生し、ピストン側油室27Aの圧力Ppは油溜室32を加圧するエア室31の圧力PaからΔFを減じた値、換言すればピストン速度に依存して制御される値になる。
【0059】
このように伸側行程でピストン側油室27Aの圧力Ppがピストン速度に依存して制御されることは、圧側反転時の減衰力の立上り特性をピストン速度に依存して制御できることを意味する。ピストン速度が高速のときには、伸側チェックバルブ62の絞りによってΔFが大きくなり、Ppが小さくなるから、圧側反転時の減衰力の立上りは緩やかになって乗心地を良くする。ピストン速度が低速のときには、伸側チェックバルブ62の絞りによるΔFが小さくなり、Ppが大きくなるから圧側反転時の減衰力の立上りは急になって車体のフラフラ感を抑えて走行安定性を良くする。
【0060】
このとき、伸側減衰力の総量は、伸側減衰バルブ61の減衰力と、伸側チェックバルブ62の減衰力の総和になるが、通常のセッティングでは、伸側減衰バルブ61の減衰力をより大きくする。伸側減衰力の総量は、概ね伸側減衰バルブ61の減衰力に依存する。
【0061】
また、減衰力発生装置40は、バルブピース41に、圧側減衰バルブ51と伸側減衰バルブ61を迂回してシリンダ13のピストン側油室27Aをロッド側油室27B及び油溜室32に連通するバイパス流路を設け、外部から操作される減衰力調整弁をこのバイパス流路に設けても良い。これにより、減衰力発生装置40を用いて圧側減衰力と伸側減衰力の大きさを調整できる。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースが備えるシリンダの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、ピストンロッドの先端部に設けたピストンにより、シリンダの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償する油溜室をシリンダの油室に連通し、シリンダのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、ダンパケースにおけるシリンダの油室の周囲に、ピストン側油室とロッド側油室を連通する外側流路を設け、ダンパケースにおけるシリンダの油室及び外側流路の周囲に、油溜室を設けてなるものにした。これにより、油圧緩衝器において、全長の短いダンパケースの内部にシリンダの油室、外側流路及び油溜室を併せ設けることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 油圧緩衝器
11 ダンパケース
12 ダンパチューブ
13 ダンパシリンダ
13A 外筒
13B 内筒
14 ピストンロッド
25 ピストン
27 油室
27A ピストン側油室
27B ロッド側油室
31 エア室
32 油溜室
40 減衰力発生装置
41 バルブピース
45 センタープレート
50A 圧側流路
50B 伸側流路
51 圧側減衰バルブ
52 圧側チェックバルブ
60 伸側ピストン
60A 伸側流路
60B 圧側流路
61 伸側減衰バルブ
62 伸側チェックバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースが備えるシリンダの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、
ピストンロッドの先端部に設けたピストンにより、シリンダの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、
シリンダの油室に進退するピストンロッドの容積を補償する油溜室をシリンダの油室に連通し、
シリンダのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、
ダンパケースにおけるシリンダの油室の周囲に、ピストン側油室とロッド側油室を連通する外側流路を設け、
ダンパケースにおけるシリンダの油室及び外側流路の周囲に、油溜室を設けてなることを特徴とする油圧緩衝器。
【請求項2】
前記ダンパケースがダンパチューブの内部にシリンダを挿嵌し、シリンダが外筒と内筒からなり、内筒の内部に前記油室を形成し、外筒と内筒の間に前記外側流路を形成し、ダンパチューブと外筒の間に前記油溜室を形成してなる請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項3】
前記減衰力発生装置が、
圧側行程で、シリンダのピストン側油室の油をシリンダの外側流路からロッド側油室に向けて流す圧側流路が減衰力発生装置に設けられ、この圧側流路の上流側に圧側減衰バルブを、下流側に圧側チェックバルブを設け、この圧側流路における圧側減衰バルブと圧側チェックバルブの中間部を油溜室に連通し、
伸側行程で、シリンダのロッド側油室の油をシリンダの外側流路からピストン側油室に向けて流す伸側流路が減衰力発生装置に設けられ、この伸側流路の上流側に伸側減衰バルブを、下流側に伸側チェックバルブを設け、この伸側流路における伸側減衰バルブと伸側チェックバルブの中間部を油溜室に連通してなる請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
【請求項4】
前記減衰力発生装置が、
圧側流路の下流側に設けられる前記圧側チェックバルブに圧側減衰力発生手段を付帯してなる請求項3に記載の油圧緩衝器。
【請求項5】
前記減衰力発生装置が、
伸側流路の下流側に設けられる前記伸側チェックバルブに伸側減衰力発生手段を付帯してなる請求項3又は4に記載の油圧緩衝器。
【請求項6】
前記減衰力発生装置が、
シリンダに固定化されるバルブピースを有し、
バルブピースの外周の軸方向に沿う中央にセンタープレートを設け、
バルブピースの外周のセンタープレートを挟む軸方向の一方側に、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブを設け、他方側に伸側減衰バルブと圧側チェックバルブを設け、圧側減衰バルブと伸側チェックバルブの組と、伸側減衰バルブと圧側チェックバルブの組とをセンタープレートを挟んで線対称配置してなる請求項3〜5のいずれかに記載の油圧緩衝器。
【請求項7】
前記減衰力発生装置が、
バルブピースをシリンダのピストン側油室内の一端側で、シリンダの中心軸上に固定化し、
センタープレートの周囲に圧側流路と伸側流路を設け、この圧側流路と伸側流路を、センタープレートに設けた連通路、バルブピースに設けた連通路を介して油溜室に連通してなる請求項6に記載の油圧緩衝器。
【請求項8】
前記減衰力発生装置が、
バルブピースの中心軸上に設けた中空部に、圧側減衰バルブと伸側減衰バルブを迂回してシリンダのピストン側油室をロッド側油室及び油溜室に連通するバイパス流路を設け、外部から操作される減衰力調整弁をこのバイパス流路に設けた請求項6又は7に記載の油圧緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−174596(P2011−174596A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40951(P2010−40951)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】