説明

油性睫用化粧料

【課題】無機顔料では実現できない深みのある黒色を演出し、付着力に優れ、白ぼけや色沈みが生じることなく、優れたロング効果及びボリューム効果を付与することができる油性睫用化粧料を提供する。
【解決手段】黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と体質顔料とを含有する油性睫用化粧料であって、該体質顔料が黒色401号で被覆された平均粒径0.1〜50μmの不定形型タルクである油性睫用化粧料である。上記の黒色401号は、層状複水酸化物無機粒子に固着された黒色401号であることが好ましい。また、この油性睫用化粧料には、さらに、繊維を含有させてもよい。この油性睫用化粧料は、コーム型マスカラブラシを使用して睫を化粧するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性睫用化粧料に関する。更に詳しくは、黒発色に優れ、付着力がよく、ボリューム効果、ロング効果を付与する性質に優れた油性睫用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫用化粧料は、睫を上にカールさせることや睫を太く、長く見せることで、目元をはっきりさせるといった化粧効果を要求される化粧料である。油性睫用化粧料は、一般には、揮発しやすい軽質流動イソパラフィンに、黒色顔料、皮膜を形成するワックス類や樹脂などを配合して調製される。睫用化粧料には、最近では、さらに、輪郭をはっきりさせ、見た目のロング効果及びボリューム効果を強調し、目元をさらに際立たせるために、睫用化粧料の黒発色のよさが強く求められるようになってきている。従来、睫用化粧料の黒発色させる黒色顔料として、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックなどの無機顔料が多用されているが(特許文献1)、更なる黒発色のよさが要求されている。
【0003】
また、油性睫用化粧料には、黒発色させる黒色顔料の他に、付着力やロング効果、ボリューム効果、及び化粧膜の均一性を付与するために、タルクや雲母、セリサイト等の体質顔料を配合することが行われている。しかし、これらの体質顔料を配合すると、透明性が損なわれ発色が悪くなったり、彩度が低下する現象(白ぼけ)がみられたり、また化粧料全体が色沈みする傾向があった。また、睫用化粧料に、薄片状基材を黒色401号で被覆した複合粉体と皮膜形成性成分を配合することで、該複合粉体が持つ機能を利用して、睫の一本一本を色の変化により立体的に見せて、目元をはっきりさせる効果を付与する技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−300092号公報
【特許文献2】特開2008−88068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みなされた発明であって、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックなどの無機顔料では実現できない黒発色のツヤ、深みを演出し、付着力に優れ、白ぼけや色沈みが生じることなく、優れたロング効果及びボリューム効果を付与することができる油性睫用化粧料を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と体質顔料とを含有する油性睫用化粧料であって、該体質顔料が黒色401号で被覆された平均粒径0.1〜50μmの不定形型タルクであることを特徴とする油性睫用化粧料である。上記の黒色401号は、層状複水酸化物無機粒子に固着された黒色401号であることが好ましい。また、この油性睫用化粧料には、さらに、繊維を含有させてもよい。上記の黒色401号で被覆された不定形型タルク中の黒色401号の量は0.05〜15質量%が好ましい。また、上記の黒色401号で被覆された不定形型タルクの化粧料への配合量は化粧料の0.5〜40質量%が好ましい。また本発明は、上記の油性睫用化粧料を、コーム型マスカラブラシを使用して睫に塗布することを特徴とする化粧方法である。
【発明の効果】
【0006】
黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックから選ばれる黒色顔料を、黒色401号で被覆された不定形型タルクと組み合わせて、油性睫用化粧料に配合することで、ツヤ感があり、深みのある黒色の化粧膜を形成することができる。また、この黒色401号で被覆された不定形型タルクは体質顔料として機能し、付着力を向上させることができ、見た目のロング効果及びボリューム効果を付与することができる。しかも、黒色401号で被覆された不定形型タルクを配合したので、体質顔料の配合に起因する色沈みや白ぼけを低減できる。そのため、本発明の油性睫用化粧料は、コーム型ブラシを用いて化粧するのに適し、これを用いて束付きがなくきれいにカールした、ロング効果及びボリューム効果に優れた睫に仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と、体質顔料として黒色401号で被覆された不定形型タルクを配合した油性睫用化粧料に係る。ここにおいて、油性睫用化粧料とは、油性成分が連続相とする睫用化粧料をいう。上記の黒色顔料は、睫に付着させる化粧料を黒色に着色し、睫のロング効果及びボリューム効果を強調し、目元をさらに際立たせるために配合する。
【0008】
本発明で用いる上記の黒酸化鉄は、通常化粧料に用いられているもので、天然産でも合成品でもよい。その粒径は、黒発色及び塗布時の滑らかな使用感の点から、0.01〜15μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜10μmである。市販品としては、タロックスブラックBL−100(チタン工業社製)、高純度鉄黒NIB−500(日本無機化学工業社製)等が挙げられる。この黒酸化鉄は、1種又は2種以上用いることができる。また、上記の黒酸化チタンは、酸化チタンをアンモニアガス中約800℃で加熱還元することによって得られるもので、酸化チタン、及び、酸化チタンと窒化チタンの固溶体の混合物からなる黒色の粉末である。その粒径は、黒発色及び塗布時の滑らかな使用感の点から、0.01〜15μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜10μmである。市販品としては、チタンブラックBC12S(ジェムコ社製)等が挙げられる。黒酸化チタンは、1種又は2種以上用いることができる。
【0009】
上記のチタン・酸化チタン焼結物は、チタン末と酸化チタンの混合物を減圧下で3〜5時間、900〜1000℃で焼結することによって得られる黒色の粉末である。黒発色及び塗布時の滑らかな使用感の点から、粒径0.01〜15μmのものが好ましく、さらに好ましくは0.02〜10μmのものである。市販品としては、TILACK D(赤穂化成社製)等が挙げられる。チタン・酸化チタン焼結物は、1種又は2種以上用いることができる。また上記のカーボンブラックは、天然ガス又は液状炭化水素の不完全燃焼又は熱分解によって得られる黒色粉末である。黒発色及び塗布時の滑らかな使用感の点から、粒径0.01〜15μmのものが好ましく、さらに好ましくは0.02〜10μmのものである。市販品としては、ミッドナイトブラック (ジオテック社製)等が挙げられる。カーボンブラックは、1種又は2種以上用いることができる。
【0010】
上記の黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックから選ばれる黒色顔料は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上で表面処理されていてもよい。
【0011】
また、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックから選ばれる黒色顔料の油性睫用化粧料への配合量は、化粧料を睫に付着させたとき、睫に充分な黒さを付与し、睫にロング効果及びボリューム効果を付与するという観点から、油性睫用化粧料中0.01%〜30%が好ましく、更に好ましくは1〜20%である。
【0012】
本発明は、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、カーボンブラックから選ばれる黒色顔料を配合した油性睫用化粧料中に、更に黒色401号で被覆された不定形型タルクを配合する。この黒色401号で被覆された不定形型タルクを配合することによって、化粧料の睫への付着性を向上させ、睫のロング効果及びボリューム効果を向上させることができる。また、上記の黒色顔料は、隠蔽力には優れているものの、彩度の高い黒(鮮やかな色で深みのある黒)が得られず黒色のバリエーションに劣る欠点がある。黒色401号(Black No.401:C.I.20470)は、一般名ナフトールブルーブラックと称される有機色素で、隠蔽力に劣るものの無機顔料にはない鮮やかな色を実現でき、これを併用することによって、黒色顔料の黒発色をツヤがあるものとし、また深みのあるものにすることができる。また、黒色401号と不定形型タルクとを別々に配合したものは、黒色401号が均一に分散せず、発色及び隠ぺい力が劣り、これらの効果が劣る。
【0013】
黒色401号で被覆された不定形型タルクは、不定形型タルクを基材とし、これに黒色401号を被覆させた複合粉体である。ここで不定形型タルクとは、タルクを単に粉砕処理しただけの不定形のタルク粒子の粉末を言う。この不定形型タルクは、粒子の形状が鋭利な先端角をもたず、相似形でない多形状のものであり、薄片状、球状、立方体、六角板状、六角柱状、八面体、十二面体、二十四面体、三十二面体等の多面体状でなく、粒子形状及び粒子径分布にばらつきがあり、全ての粒子が単一の形状ではない。この不定形型タルクは、油性睫用化粧料に配合した際、その形状や吸油性に由来する凝着力から、化粧料塗布時の乾燥速度を低下させることや化粧膜の均一性を損ねることがなく、化粧料の付着力を向上して、もってボリューム効果やロング効果を付与することができる。
【0014】
また、不定形型タルクの平均粒径(レーザー回折式粒度分布測定により得られる値、ここでは、単に「平均粒径」という。)は、0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜20μmである。平均粒径がこの範囲内であると、付着性に優れ、黒色の発色がよく、伸び広がりが良好な複合粉体(黒色401号で被覆された不定形型タルク)を得ることができる。
【0015】
本発明において、黒色401号をそのまま不定形型タルクの被覆に用いてもよいが、黒色401号を層状複水酸化物無機粒子に固着させた状態にして用いるのが好ましい。すなわち、黒色401号を層状複水酸化物無機粒子に固着させた状態にし、この状態にある黒色401号で不定形型タルクを被覆することにより、黒色401号で直接被覆した場合より、黒色401号の分散状態がよくなり、睫用化粧料に配合した際に、黒色顔料の黒発色を、よりツヤがあるものにし、また深みがあるものにすることができる。
【0016】
層状複水酸化物無機粒子に黒色401号を固着するには、既知の方法、例えば次の方法で行うことができる。すなわち、黒色401号を水に溶解させ、二種類以上の無機塩の存在下でpHを調整しながら二種類の無機水酸化物を析出させ、層状複水酸化物無機粒子を添加して、黒色401号と二種類の無機水酸化物と層状複水酸化物無機粒子とを一体にさせることによって、黒色401号を層状複水酸化物無機粒子に固着させる。黒色401号の固着は、層状複水酸化物無機粒子の結晶構造層間に固着させるのが好ましい。この黒色401号を結晶構造層間に含有する層状複水酸化物は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の二価金属イオン(M)とアルミニウム等の三価金属イオン(M')と黒色401号(An−)から形成される[M1−x M' (OH)](An−x/n・mHO(0.10<x<0.75)の構造を有する。ここで二価金属イオン(M)としては亜鉛、三価金属イオン(M')としてはアルミニウムが、黒色401号を固着するためには好ましい。
【0017】
不定形型タルクを黒色401号で被覆する方法は、例えば、黒色401号、或は層状複水酸化物無機粒子に固着させた黒色401号と、不定形型タルクとを一緒に水に分散し、室温で数時間熟成させる。その後、生成物をろ過し、水、アセトンで洗浄した後、50℃で乾燥する。不定形型タルクに黒色401号を被覆させた複合粉体が得られる。また、不定形型タルクを均一に分散させたスラリーに、黒色401号と、層状複水酸化物の原料となる二価金属イオンと三価金属イオンとを添加、撹拌し、徐々にpHを中和しながら、黒色401号を含む層状複水酸化物を不定形型タルク表面に析出させることによって、不定形型タルクに黒色401号を被覆させた複合粉体を得ることができる。
【0018】
複合粉体中の黒色401号の量は、複合粉体全体の0.05〜15質量%(以下、単に「%」で示す。)が好ましい。より好ましくは、0.5〜10%である。この範囲であれば、発色性が良く、また色素の溶出がない点で好ましい。複合粉体は、必要によりフッ素化合物、シリコーン化合物、無水ケイ酸、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いてもよい。黒色401号で被覆してなる不定形型タルクの油性睫用化粧料中への配合量は、化粧料中0.5〜40%が好ましく、更に好ましくは1〜30%である。この範囲であれば、付着力があがり、黒発色の均一性、ボリューム効果、ロング効果の点で優れるものが得られる。
【0019】
本発明の油性睫用化粧料には、繊維を含有させてもよい。この繊維としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリメチルメタクリレート等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等、及びこれらを複合化したものが挙げられる。繊維の長さ及び太さは、睫への化粧効果、及び良好な使用性と均一な化粧膜の形成の観点から、長さは0.01〜5mmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜3mmであり、太さは0.01〜30テックスの範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜20テックスである。これらの繊維は、材質、太さ、長さ、形状の異なるその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いてもよい。また、フッ素化合物、シリコーン化合物、無水ケイ酸、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いてもよい。繊維の配合量は、油性睫用化粧料中0.1〜6%が好ましく、更に好ましくは1〜4%である。この範囲内にあれば、睫を長く見せ、目元を際立たせる化粧効果に優れるものが得られる。睫用化粧料に用いられる繊維は、一般に白色や灰色のものが多い。そのため、繊維を配合すると白ぼけが強くなることがあって、睫を長く見せたり、太く見せたりするために、折角、繊維を配合しても、期待するほどの目元を際立たせる効果が得られなかった。本発明に依れば、化粧膜の黒色発色が良いので、黒色が強調され、繊維を配合することにより得られるロング効果及びボリューム効果をより高めることができる。
【0020】
本発明の油性睫用化粧料は、油性成分が連続相を形成する睫用化粧料である。この油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、揮発性油剤、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。このうち揮発性油剤は、化粧料基材の溶媒として用いられ、具体的には、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン等のシリコーン油等を挙げることができる。他の油性成分は、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、水素添加ポリイソブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ホホバ油等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、部分架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリシロキサン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0021】
本発明の油性睫用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記必須成分以外の通常化粧料に使用される各種成分、例えば、粉体成分、油溶性樹脂、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、褪色防止剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0022】
粉体成分としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、黄酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆合成金雲母、ガラス末、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、ベンガラ被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、酸化鉄被覆雲母、有機顔料被覆雲母チタン、多層被覆雲母チタン、ケイ酸・酸化チタン被覆雲母、ベンガラ被覆無水ケイ酸、酸化チタン被覆無水ケイ酸、酸化チタン被覆酸化アルミニウム等のパール剤やポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等のラメ剤の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機色素粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0023】
油溶性樹脂としては、皮膜形成能を有するものが用いられ、例えばキャンデリラレジン、ロジン酸ペンタエリスリトール等のテルペン系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0024】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0025】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。保湿剤としては、モイスチャー効果を付与する目的で用いる水性成分が用いられ、水及び水に可溶な成分であり、水の他に、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の多糖類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプリピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0026】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられる。
美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0027】
本発明の油性睫用化粧料は、コーム型マスカラブラシを用いて化粧するのに適する。コーム型マスカラブラシは、頭髪用の櫛(コーム)を小さくした形状をしている。コーム型マスカラブラシには、細い櫛歯を1列に配置したもの、あるいは2列、3列など複数列に配置したものがある。図1は、コーム型マスカラブラシの一例を示したもので、細い櫛歯を2列に配置したコーム型マスカラブラシの斜視図である。1は櫛歯、2は櫛歯を支える台である。3は塗布軸である。コーム型マスカラブラシは、塗布及び梳かしの二つの機能を有している。すなわち、コーム型マスカラブラシを用いて化粧すると、睫を梳かしながらマスカラ液を塗布することができ、したがって束付きがなくきれいにカールした睫に仕上げる効果を有している。その反面、コームで睫を梳かすときにマスカラ液が睫から取り除かれてしまうため、マスカラ液を充分な量で付着させ難く、ボリューム効果を出し難い欠点があった。さらにコームで塗布した化粧膜は均一でありながらも薄いため、繊維を配合すると化粧膜が白ぼけてしまうという欠点があった。本発明の油性睫用化粧料は、前述したように、ツヤ感があり、深みのある黒色の化粧膜を形成することができ、色沈みや白ぼけを低減できるので、コーム型マスカラブラシを使用しても、上記の問題点を解消し、コーム型マスカラブラシ使用の利点である、束付きがなくきれいにカールした睫に化粧できる。
【0028】
本発明の油性睫用化粧料としては、マスカラ、マスカラオーバーコート、マスカラ下地等が挙げられ、より好ましくはマスカラ、マスカラオーバーコートである。その形態としては、クリーム状、ゲル状、液状等が挙げられる。本発明の油性睫用化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば油性成分を90℃以上で加熱混合し、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と、黒色401号で被覆された不定形型タルク、更に他の成分を加え均一に混合し、容器に充填することで得られる。
【0029】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。まず、黒色401号で被覆された不定形型タルクの製造例を挙げる。
(製造例1)
不定形型タルク〔「ハイフィラー」(松村産業社製):平均粒径5μm〕95gと黒色401号5gを3Lの水に分散させた。次に塩化アルミニウム6水塩12gと塩化亜鉛10gを溶解させ、90分以上かけて2%水酸化ナトリウム溶液で中和して黒色401号を含有する層状複水酸化物を、不定形型タルク表面に析出させた。その後90℃まで温度を上げ熟成し、ろ液が透明になるまで水洗を行ない100℃で乾燥した。乾燥後粉砕を行い複合粉体を得た(黒色401号含有量5%)。
(製造例2)
不定形型タルク〔「ハイフィラー」(松村産業社製):平均粒径5μm〕99gと黒色401号1gを3Lの水に分散させた。次に塩化アルミニウム6水塩12gと塩化亜鉛10gを溶解させ、90分以上かけて2%水酸化ナトリウム溶液で中和して黒色401号を含有する層状複水酸化物を不定形型タルク表面に析出させた。その後90℃まで温度を上げ熟成し、ろ液が透明になるまで水洗を行ない100℃で乾燥した。乾燥後粉砕を行い複合粉体を得た(黒色401号含有量1%)。
【0030】
(製造例3)
不定形型タルク〔「ハイフィラー」(松村産業社製):平均粒径5μm〕90gと黒色401号10gを3Lの水に分散させた。次に塩化アルミニウム6水塩12gと塩化亜鉛10gを溶解させ、90分以上かけて2%水酸化ナトリウム溶液で中和して黒色401号を含有する層状複水酸化物を不定形型タルク表面に析出させた。その後90℃まで温度を上げ熟成し、ろ液が透明になるまで水洗を行ない100℃で乾燥した。乾燥後粉砕を行い複合粉体を得た(黒色401号含有量10%)。
(製造例4)
不定形型タルク〔「タルク1μ」(松村産業社製)〕99.9gと黒色401号0.1gを3Lの水に分散させた。次に塩化アルミニウム6水塩12gと塩化亜鉛10gを溶解させ、90分以上かけて2%水酸化ナトリウム溶液で中和して黒色401号を含有する層状複水酸化物を不定形型タルク表面に析出させた。その後90℃まで温度を上げ熟成し、ろ液が透明になるまで水洗を行ない100℃で乾燥した。乾燥後粉砕を行い複合粉体を得た(黒色401号含有量0.1%)。
【0031】
(製造例5)
精製水100gに、塩化アルミニウム6水塩13gを溶解した。次に30%アンモニア水17.6g、不定形型タルク〔「ハイフィラー」(松村産業社製):平均粒径5μm〕11.7gを加え、30分間均一分散後、黒色401号を5.85g添加した。あらかじめ別のビーカーに精製水133gと塩化アルミニウム6水塩33.4gを溶解した塩化アルミニウム溶液を調製し、前記の不定形型タルクを分散した黒色401号溶液にゆっくりと滴下した。更に精製水50gに炭酸ナトリウム12.6gを溶解した溶液を加え、室温にて4時間熟成した。そして精製水を滴下し、1昼夜放置した。デカンテーションにより上澄みを除き、精製水を加え、洗浄工程を3回繰り返した。得られた複合粉体を50℃で乾燥し、粉砕することにより、本発明の複合粉体(黒色401号−不定形型タルク)を得た(黒色401号含有量33.3%)。
【実施例】
【0032】
実施例1〜9及び比較例1〜8:マスカラ(クリーム状)
表1に示す組成のマスカラを下記製造方法により調製し、(イ)発色の良さ、(ロ)ボリューム効果、(ハ)化粧膜の均一性、(ニ)ロング効果の評価を以下に示す評価方法及び判定基準により行った。その結果も併せて表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
注1:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
注2:KF−7312J(信越化学工業社製:50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
注3:高純度鉄黒NIB−500(日本無機化学工業社製)
注4:TILACK D(赤穂化成社製)
注5:チタンブラックBC12S(ジェムコ社製)
注6:ミッドナイトブラック(ジオテック社製)
注7:製造例1で得た複合粉体
注8:ハイフィラー(松村産業社製:平均粒径5μm)
注9:製造例1と同様にして得た、黒401号5%処理雲母チタン(平均粒径47μ、厚み0.5μ、アスペクト比88)
【0035】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を90℃以上で均一に加熱混合した後、成分(7)〜(16)を加え、均一に混合した。
B.Aを塗布具付き容器に充填して製品を得た。
【0036】
(評価方法)
下記評価項目について各々評価を行った。
上記の実施例、比較例で得たマスカラを、スクリュー型マスカラブラシを用いて塗布し、評価項目イ〜ニ、すなわち発色の良さ(白ぼけがないこと、色沈みがないこと)、ボリューム効果、化粧膜の均一性、ロング効果を基準に化粧効果について評価した。評価項目イ〜ニついて、各試料に対し専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記(1)7段階絶対評価にて評価し評点を付け、各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記(2)4段階判定規準により判定した。なお、イの項目の発色の良さについては、更に、実施例1及び比較例6、7で得られたマスカラ組成物の適量をガラス板上にのせ、ドクターブレード(50μmのもの)で一定の厚さに引き伸ばして製膜し、塗布体を隠蔽性試験紙の白色面を背面とし、分光色差計(SE-2000 日本電色工業(株)社製)にて測色を行い、L値が小さい試料ほど黒色の発色が高いと評価し、使用テストの結果と比較した。
【0037】
評価項目:
イ.発色の良さ
ロ.ボリューム効果
ハ.化粧膜の均一性
ニ.ロング効果
【0038】
(使用評価)
(1)7段階評価:
評点:評価
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
(2)4段階判定基準
〈評価平均値〉 :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3.5点を超えて5点以下 :良好 :○
1.5点を超えて3.5点以下:やや不良 :△
1.5点以下 :不良 :×
【0039】
表1の結果から明らかな如く、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と黒色401号で被覆された不定形型タルクを共に配合した本発明の実施例1〜9の油性睫用化粧料は、発色の良さ、ボリューム効果、化粧膜の均一性、ロング効果の全てにおいて優れたものであった。
一方、黒色401号被覆不定形型タルクを配合し、黒色顔料を配合しない比較例1は、黒発色が劣り、また化粧膜が見た目に均一でなく、期待するボリューム効果、ロング効果が得られなかった。また、黒色顔料を配合し、黒色401号被覆不定形型タルクを配合しない比較例2〜5は、マスカラ液の睫への付着が悪く、またツヤ感、深みのある黒発色が得られず、ボリューム効果、化粧膜の均一性、ロング効果のいずれも劣っていた。黒色401号被覆不定形型タルクに代えて、不定形型タルクを配合した比較例6は、色沈みや白ぼけによる彩度の低下が見られ、ツヤ感、深みのある黒発色が得られなく、また化粧膜が見た目に均一でなく、期待するボリューム効果、ロング効果が得られなかった。黒色401号と不定形型タルクとを別々に配合した比較例7は、黒色401号の発色が劣り、色沈みや白ぼけが見られ、また化粧膜が見た目に均一でなく、期待するボリューム効果、ロング効果が得られなかった。黒色401号被覆不定形型タルクに代えて黒色401号被覆雲母チタンを配合した比較例8は、黒発色が向上し、化粧膜の濁りが無く均一な発色にも優れるものの、薄片状の粉体が睫上で滑りやすいため付着性が良くなく、期待するボリューム効果、膜の均一性、ロング効果が得られなかった。また、発色の良さについて、実施例1のL値は17.88であったが、比較例6及び比較例7のL値はそれぞれ25.96及び22.06であって、明度があがり、黒さが得られず、使用テストも結果と一致した。
【0040】
実施例10及び比較例9〜10:マスカラ(クリーム状)
表1に示す組成のマスカラを下記製造方法により調製し、(イ)発色の良さ、(ロ)ボリューム効果、(ハ)化粧膜の均一性、(ニ)ロング効果の評価を、前記の評価方法及び判定基準により行った。但し、イの項目の発色の良さについては、コーム型マスカラブラシを用いて塗布し、色沈みや白ぼけの有無及び黒くツヤのある化粧膜が得られたかどうかを基準に化粧効果について評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0041】
【表2】

注10:ナイロンファイバー 6D-2MM (中部パイル社製)
【0042】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を90℃以上で均一に加熱混合した後、成分(7)〜(14)を加え、均一に混合した。
B.Aを塗布具付き容器に充填して製品を得た。
【0043】
この実施例は、本発明の油性睫用化粧料を、図1に示すコーム型マスカラブラシを用いて塗布した場合の実施例であるが、表2の結果から明らかな如く、黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と黒色401号で被覆された不定形型タルクを配合し、更に繊維を配合した本発明の実施例10の油性睫用化粧料は、発色の良さ、ボリューム効果、化粧膜の均一性、ロング効果の全てにおいて優れたものであった。これに対し、黒色401号被覆不定形型タルクに代えて、黒色401号と不定形型タルクとを別々に配合した比較例9は、黒色401号の発色が劣り、色沈みや白ぼけが見られ、また化粧膜が見た目に均一でなく、期待するボリューム効果、ロング効果が得られなかった。また、黒色401号被覆不定形型タルクに代えて、黒色401号被覆雲母チタンを配合した比較例10は、発色は良かったが、マスカラ液の付着性が劣り、ボリューム効果、化粧膜の均一性、ロング効果が劣っていた。
【0044】
実施例11:マスカラ(ゲル状)
(成分) (%)
(1)キャンデリラロウ樹脂(注11) 8
(2)トリメチルシロキシケイ酸溶液(注2) 5
(3)パルミチン酸デキストリン 1
(4)カルナウバロウ 2
(5)セレシン 3
(6)軽質流動イソパラフィン 残量
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 5
(8)有機変性ベントナイト 5
(9)無水ケイ酸 2
(10)黒401号被覆不定形型タルク(注7) 20
(11)黒401号被覆不定形型タルク(注12) 10
(11)フッ素化合物処理黒酸化鉄(注13) 7
(13)チタン・酸化チタン焼結物(注4) 1
(14)黒酸化鉄被覆雲母チタン 7
(15)フッ素化合物処理不定形型タルク(注14) 1
(16)ナイロン繊維(注15) 1
注11:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
注12:製造例3で得た複合粉体
注13:フルオロアルキルアルコキシシラン3%処理
注14:フルオロアルキルアルコキシシラン5%処理
注15:ナイロンファイバー20D−2MM(中部パイル社製)
A.成分(1)〜(7)を均一に90℃以上で加熱混合する。
B.Aに成分(8)〜(16)を均一に混合する。
C.Bを充填成型して製品とする。
以上の製法にて得られたマスカラは、発色の良さ、ボリューム効果、膜の均一性、ロング効果全ての点において優れたものであった。
【0045】
実施例12:マスカラ(液状)
(成分) (%)
(1)水添アビエチン酸グリセリル(注16) 12
(2)軽質流動イソパラフィン 残量
(3)パルミチン酸ナトリウム 1
(4)ミツロウ 3
(5)無水ケイ酸 10
(6)煙霧状無水ケイ酸 5
(7)ジメチルジステアリルヘクトライト 3
(8)黒401号被覆不定形型タルク(注12) 0.5
(9)黒401号被覆不定形型タルク(注17) 0.5
(10)ポリプロピレン繊維(注18) 0.5
(11)レーヨン繊維(注19) 0.5
(12)チタンブラック(注5) 5
注16:パインクリスタルKE-311(荒川化学工業社製)
注17:製造例4で得た複合粉体
注18:4.5dTex、4mm、未処理、青色1号0.05%で染色
注19:6.5dTex、2mm、未処理
A.成分(1)〜(4)を均一に90℃以上で加熱混合する。
B.Aに成分(5)〜(12)を均一に混合する。
C.Bを充填成型して製品とする。
以上の製法にて得られたマスカラは、発色の良さ、ボリューム効果、膜の均一性、ロング効果全ての点において優れたものであった。
【0046】
実施例13:油性マスカラ(ゲル状)
(成分) (%)
(1)メタクリル変性メチルポリシロキサン溶液(注20) 12
(2)ロジン酸ペンタエリスリット 5
(3)軽質流動イソパラフィン 残量
(4)メチルトリメチコン 20
(5)ポリブテン 3
(6)カルナウバワックス 3
(7)煙霧状無水ケイ酸 0.5
(8)ポリエチレンテレフタレート・ナイロン−66混合繊維(注21) 4
(9)酸化チタン被覆ガラス末 2
(10))黒401号被覆不定形型タルク(注22) 0.5
(11)ベンガラ 10
(12)酸化チタン 1
(13)不定形型タルク 5
注20:KP−545(信越化学工業社製:デカメチルシクロペンタシロキサンの30質量%溶液)
注21:15dTex、0.5mm、未処理
注22:製造例2で得た複合粉体
A.成分(1)〜(6)を均一に90℃以上で加熱混合する。
B.Aに成分(7)〜(13)を均一に混合する。
C.Bを充填成型して製品とする。
以上の製法にて得られたマスカラは、化粧膜は深みのある茶色を演出することができ、発色の良さ、ボリューム効果、膜の均一性、ロング効果全ての点において優れたものであった。
【0047】
実施例14:マスカラオーバーコート(ゲル状)
(成分) (%)
(1)キャンデリラロウ樹脂(注11) 15
(2)軽質流動イソパラフィン 残量
(3)イソドデカン 10
(4)ミリスチン酸カリウム 1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン(注23) 0.5
(6)N−ビニルピロリドントリアコンタンコポリマー 注24 2
(7)有機変性ベントナイト 4
(8)黒酸化鉄 1
(9)黒401号被覆不定形型タルク(注17) 0.4
(10)黒401号被覆不定形型タルク(注25) 0.1
(11)青色1号アルミニウムレーキ 3
(12)不定形型タルク 5
注23:レオドールTW−S120V(花王社製)HLB15
注24:ANTARON WP660(ISP社製)
注25:製造例5で得た複合粉体
A.成分(1)〜(6)を均一に90℃以上で加熱混合する。
B.Aに成分(7)〜(12)を均一に混合する。
C.Bを充填成型して製品とする。
以上の製法にて得られたマスカラは、化粧膜は深みのある青色を演出することができ、発色の良さ、ボリューム効果、膜の均一性、ロング効果全ての点において優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】コーム型マスカラブラシの一例の斜視図
【符号の説明】
【0049】
1 櫛歯、2 櫛歯を支える台、3 塗布軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒酸化鉄、黒酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物及びカーボンブラックから選ばれる黒色顔料と体質顔料とを含有する油性睫用化粧料であって、該体質顔料が黒色401号で被覆された平均粒径0.1〜50μmの不定形型タルクであることを特徴とする油性睫用化粧料。
【請求項2】
黒色401号が、層状複水酸化物無機粒子に固着された黒色401号である請求項1記載の油性睫用化粧料。
【請求項3】
さらに、繊維を含有する請求項1又は2記載の油性睫用化粧料。
【請求項4】
黒色401号で被覆された不定形型タルク中の黒色401号の量が0.05〜15質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の油性睫用化粧料。
【請求項5】
黒色401号で被覆された不定形型タルクの化粧料への配合量が化粧料の0.5〜40質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の油性睫用化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の油性睫用化粧料を、コーム型マスカラブラシを使用して睫に塗布することを特徴とする化粧方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−59121(P2010−59121A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228135(P2008−228135)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】