説明

治療上有効な置換1,7−ジフェニル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロピリド[3,2,1−ij]キノリン化合物

構造式I(I):
【化1】


(I)
により表される化合物が本明細書に開示される。これらに関連する治療方法、組成物、及び薬物がまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は2008年5月8日に出願された米国仮特許出願第61/051,533号の利益を主張し、その開示が参考として本明細書にそのまま含まれる。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴシンは以下に記載される一般式に示される化学構造を有する化合物であり、式中、Y1 は水素である。スフィンゴシンを成分として有する、種々のスフィンゴ脂質が、神経系中の細胞の細胞膜の表面を含む生体中に広く分布されることが知られている。
【0003】
【化1】

【0004】
スフィンゴ脂質は生体中の重要な役割を有する脂質の一種である。リピドーシスと称される疾患は生体中の特定のスフィンゴ脂質の蓄積により引き起こされる。細胞膜に存在するスフィンゴ脂質は細胞成長を調節するように機能し、細胞の発達及び分化に関与し、神経中で機能し、細胞の感染及び悪性等に関係する。スフィンゴ脂質の生理学的役割の多くが解明されるべく残っている。最近、スフィンゴシンの誘導体である、セラミドが細胞シグナル伝達のメカニズムに重要な役割を有するという可能性が示されており、アポトーシス及び細胞サイクルに関するその効果についての研究が報告されていた。
スフィンゴシン-1-ホスフェートはde novo 合成され、又はスフィンゴミエリンサイクル(動物細胞中)の一部として合成されるセラミドから誘導される、重要な細胞の代謝産物である。それはまた昆虫、酵母及び植物中で見られた。
酵素、セラミダーゼはセラミドに作用してスフィンゴシンを放出し、これがシトゾル及び小胞体中の汎存酵素である、スフィンゴシンキナーゼによりリン酸化されてスフィンゴシン-1-ホスフェートを生成する。その逆の反応がまたスフィンゴシンホスファターゼの作用により起こることができ、これらの酵素が協調して作用して代謝産物の細胞濃度を調節し、これらの濃度が常に低い。血漿中で、このような濃度が0.2〜0.9μMに達することができ、代謝産物がリポタンパク質、特にHDLと混在して見られる。また、スフィンゴシン-1-ホスフェート生成はスフィンゴイド塩基の異化作用に必須の工程であることが注目されるべきである
スフィンゴシン-1-ホスフェートは、その前駆体のように、おそらく細胞内及び細胞間の両方で特異に働くが、セラミド及びスフィンゴシンとは非常に異なる機能で働く強力なメッセンジャー分子である。これらの種々のスフィンゴ脂質代謝産物間のバランスが健康に重要であるかもしれない。例えば、細胞内で、スフィンゴシン-1-ホスフェートはそれが抑制する細胞死滅(アポトーシス)とは反対に細胞分裂(有糸分裂)を促進する。細胞内で、それはまた種々の細胞外の刺激に応答してカルシウム代謝及び細胞成長を調節するように機能する。現在の意見は細胞中のスフィンゴシン-1-ホスフェートレベルとセラミド及び/又はスフィンゴシンレベルの間のバランスがそれらの生存に重要であると示唆することが明らかである。リゾリン脂質、特にリゾホスファチジン酸(それによりそれが幾つかの構造類似性を有する)と共通して、スフィンゴシン-1-ホスフェートは細胞表面の5種の特異性Gタンパク質結合受容体との相互作用によりその細胞外の効果の多くを与える。これらは新しい血管の成長、血管成熟、心臓の発達及び免疫、並びに誘導される細胞移動に重要である。
【0005】
スフィンゴシン-1 ホスフェートはヒトの血小板(これらはその異化作用を担う酵素を欠いている)中に比較的高い濃度で貯蔵され、それが生理学的刺激、例えば、成長因子、サイトカイン、及び受容体アゴニスト並びに抗原の活性化後に血流に放出される。それはまた血小板凝集及び血栓症に重要な役割を有しているかもしれず、心血管疾患を悪化し得る。一方で、高密度リポタンパク質(HDL)中の比較的高い濃度の代謝産物はアテローム発生に有益な意味を有しているかもしれない。例えば、スフィンゴシン-1-ホスフェートが、その他のリゾ脂質、例えば、スフィンゴシルホスホリルコリン及びリゾスルファチドと一緒に、血管内皮による強力な坑アテローム発生シグナリング分子酸化窒素の生成を刺激することによりHDLの有益な臨床効果を担うという最近の示唆がある。加えて、リゾホスファチジン酸のように、それは或る型の癌のマーカーであり、細胞分裂又は増殖におけるその役割が癌の発生に影響を有し得るという証拠がある。これらは医療研究者らの間で大きな関心を引き付ける現在のトピックスであり、スフィンゴシン-1-ホスフェート代謝における治療介入の潜在性が活発な研究下にある。
菌類及び植物はスフィンゴ脂質を有し、これらの生物中に含まれる主要なスフィンゴシンは下記の式を有する。これらの脂質が菌類及び植物の細胞成長に重要な役割を有することが知られているが、これらの役割の詳細が解明されるべく残っている。
【0006】
【化2】

【0007】
最近、スフィンゴ脂質及びそれらの関連化合物の誘導体が代謝経路の抑制又は刺激により種々の生物学的活性を示すことが知られていた。これらの化合物として、タンパク質キナーゼCのインヒビター、アポトーシスの誘導物質、免疫抑制化合物、抗菌性化合物等が挙げられる。これらの生物学的活性を有する物質が種々の疾患に有益な化合物であると予想される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
下記の構造式により表される化合物が本明細書に開示される。
【0009】
【化3】

【0010】
式中、n及びoは独立に0、1、2、又は3であり、
R1 は独立にH又は式C0-12H0-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有する置換基であり、
ZはO又はSであり、
XはO、S、又はNR2であり、
R及びR2 は独立に水素又はC1-6 ヒドロカルビルであり、かつ
Bは式C0-12H1-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有し、かつ水素、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、又はこれらの組み合わせであり、XがNR2である場合、B及びR2 は一緒に環又は環系を形成してもよい。
これらの化合物は眼の疾患、例えば、ドライアイ、緑内障、網膜及び/又は視神経の神経変性疾患、例えば、黄班変性(年齢関連黄班変性を含む)、糖尿病性網膜症等;敗血症を含む、炎症;血管形成;心血管の症状及び疾患;傷;並びに痛みを含む疾患又は症状の措置に有益である。
その化合物は投薬形態又は薬物に混入され、それを要する、哺乳類、例えば、ヒトに投与される。異なる型の好適な投薬形態及び薬物が当業界で公知であり、本明細書に開示された化合物の送出に直ぐに適応し得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この開示の目的のために、“措置する”、“措置すること”、又は“措置”は疾患又はその他の望ましくない症状の診断、治癒、軽減、治療、又は予防を表す。
特に示されない限り、化合物への言及は化合物、医薬上許される塩、プロドラッグ、互変異性体、別の固体形態、非共有結合複合体、及びこれらの組み合わせ、又は示された構造もしくは化学名の化学的物体を含むと広く見なされるべきである。
医薬上許される塩は動物又はヒトへの投与に適している親化合物のあらゆる塩である。医薬上許される塩はまた酸、その他の塩、又は酸もしくは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果としてin vivo生成し得るあらゆる塩を表す。塩は一種以上の相当する対イオンと会合された、化合物、例えば、共役酸又は塩基の一種以上のイオン形態を含む。塩は一種以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、一種以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)、又はその両方(例えば、双性イオン)から生成することができ、又はこれらを含むことができる。
プロドラッグは投与後に治療上活性な化合物に変換される化合物である。例えば、変換はエステル基又は或る種のその他の生物学的に不安定な基の加水分解により生じ得る。プロドラッグ製剤は当業界で公知である。例えば、“プロドラッグ及び薬物送出系”(これはRichard B. Silverman著, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 第2編, Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, 496-557頁の一章である)が、その主題についての更なる詳細を提示している。
互変異性体は互いに迅速に平衡している異性体である。例えば、互変異性体はプロトン、水素原子、又は水素化物イオンの移動により関連しているかもしれない。
【0012】
立体化学が明白に、またに明瞭に示されていない限り、構造が純粋又はあらゆる可能な混合物中の両方の、あらゆる可能な立体異性体を含むと意図されている。
別の固体形態は本明細書に記載された操作を実施することから生じ得るものとは異なる固体形態である。例えば、別の固体形態は多形、異なる種類の無定形固体形態、ガラス等であってもよい。
非共有結合複合体は化合物と化合物及び付加的な化学種の間の共有結合相互作用を伴なわない一種以上の付加的な化学種の間で生成し得る複合体である。それらは化合物と付加的な化学種の特別な比を有してもよく、また有しなくてもよい。例として、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体等が挙げられるかもしれない。
これらの化合物において、n及びoは独立に0、1、2、又は3である。こうして、下記の構造式により表される化合物が意図されている。
【0013】
【化4】

【0014】
R1 は独立にH又は式C0-12H0-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有する置換基である。
置換基は1個以上の環炭素に結合された部分であり、また2個以上の置換基それら自体がアリール環もしくはヘテロアリール環又は環系を含む付加的な一つ以上の環を形成してもよい。
置換基は水素、1個以上のヒドロカルビルフラグメント、1個以上のハロゲン原子、及び1個以上の官能基、又はこれらの組み合わせからなる。
ヒドロカルビルは炭素と水素からなり、夫々の炭素が4個の共有結合を有し、夫々の水素が炭素原子への単結合を有する。二重結合は2個の共有結合としてカウントし、三重結合は3個の共有結合としてカウントする。“ヒドロカルビルフラグメント”は“ヒドロカルビル”と同じ意味を有するが、カウント目的のための便宜のために単に使用される。例えば、1個以上のヒドロカルビルフラグメントは夫々がヒドロカルビル(これは別の部分により中断されてもよい)からなる1個、2個、又はそれ以上の異なる部分を意味する。例えば、官能基が2個の異なるヒドロカルビルフラグメントに結合されてもよい。
【0015】
ヒドロカルビルとして、水素と炭素のみを含むアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロカルビルは線状、分岐、環状、又はこれらの組み合わせであってもよい。
アルキルは二重結合を有しないヒドロカルビルである。例として、メチル、エチル、プロピル異性体、ブチル異性体、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
アルケニルは1個以上の二重結合を有するヒドロカルビルである。例として、エテニル、プロペニル、ブテニル異性体、ペンテニル異性体、ヘキセニル異性体、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等が挙げられる。
アルキニルは1個以上の三重結合を有するヒドロカルビルである。例として、エチニル、プロピニル、ブチニル異性体、ペンチニル異性体、ヘキシニル異性体、シクロペンチニル、シクロヘキシニル等が挙げられる。
アリールは置換又は未置換芳香族環又は環系である。アリールは本明細書に定義されたあらゆる型の置換基を有してもよいが、ヒドロカルビルがアリールを含む場合、アリールは置換されておらず、又は置換基のためのヒドロカルビルフラグメントを有するであろう。アリールの例として、置換及び未置換フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。
夫々の水素原子は炭素、窒素、酸素、又は硫黄への1個の共有結合を有する。
ハロゲン原子はF、Cl、Br、又はIである。夫々のハロゲン原子はヒドロカルビルフラグメントの炭素原子への単結合を形成する。
官能基は以下に示される部分の一つである。
【0016】
【化5】

【0017】
波線は別の原子への結合を示す。夫々のYは独立にS又はOである。官能基は下記の基が存在しないことを条件として、水素又は炭素原子に直接結合する。
【0018】
【化6】

【0019】
官能基が非対称である場合、それは可能なあらゆる方向に配向されてもよい。例えば、エステル官能基は下記の構造の両方を示すと意図されている。
【0020】
【化7】

【0021】
置換基中、1個以上のヒドロカルビルフラグメント及び/又は1個以上の官能基が1個以上の環又は環系に含まれてもよい。
官能基の破線は官能基のいずれかの窒素原子が別の炭素原子、水素原子と付加的な結合を形成してもよく、又はアンモニウムもしくは四級アンモニウム型の官能基が形成されるように示された結合の一つと二重結合を形成してもよいことを示す。こうして、破線官能基は実際には個々の官能基の基を表す。例えば、官能基:
【0022】
【化8】

は下記の可能な構造を表す。
【0023】
【化9】

【0024】
同様に、官能基:
【0025】
【化10】

は下記の可能な構造を表す。
【0026】
【化11】

【0027】
式C0-12H0-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3 はそれが表す構造の特徴が0-12 個の炭素原子、0-30 個の水素原子、0-3 個の窒素原子、0-5 個の酸素原子、0-2 個のリン原子、0-3 個の硫黄原子、0-6 個のフッ素原子、0-3 個の塩素原子、0-3 個の臭素原子、及び0-3 個のヨウ素原子を有することを示す。
一実施態様において、夫々のR1 が独立にH、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボキシレート、アルキルアミド、アミノカルボニル、アミノ、シアノ、ジアゾ、ニトロ、チオ、スルホキシル、スルホニル、ホスフェート、又はホスフィネートである。
ZがO又はSである。
一実施態様において、ZがOである。
別の実施態様において、ZがSである。
XがO、S、又はNR2である。
一実施態様において、XがOである。
別の実施態様において、XがSである。
別の実施態様において、XがNR2である。
【0028】
R及びR2 が独立に水素又はC1-6 ヒドロカルビルである。
C1-6 ヒドロカルビルが1-6個の炭素原子を有するヒドロカルビルである。
C1-6 アルキルが1-6個の炭素原子を有するアルキルである。
C1-6 アルケニルが1-6個の炭素原子を有するアルケニルである。
C1-6 アルキニルが1-6個の炭素原子を有するアルキニルである。
一実施態様において、Rが水素、C1-6 アルキル又はフェニルである。
別の実施態様において、Rが水素、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。
一実施態様において、R2 が水素、C1-6 アルキル又はフェニルである。
別の実施態様において、R2 が水素、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。
Bが式C0-12H1-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有し、かつ水素、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、又はこれらの組み合わせである。
こうして、Bは上記された、ヒドロカルビルであってもよい。
Bがまたヘテロヒドロカルビルであってもよい。ヘテロヒドロカルビルは1) 1個以上のヒドロカルビルフラグメント、2) 官能基、ハロ、又はこれらの組み合わせの1個以上、及び3) あらゆる必要な水素からなる。
ヘテロヒドロカルビルの例として、-R10-G1-R11、-R10-Hl、-G1-R10、-G1-R10-Hl、G1-R10-G2、及びG1-R10-G2-R11(式中、R10 及びR11 は独立にヒドロカルビル又は水素 (但し、水素が1個のC原子、N原子、O原子、又はS原子のみに結合されていることを条件とする)であり、G1 及びG2 は独立に官能基であり、かつHlはハロである)が挙げられる。
更に、ヘテロヒドロカルビルの例が以下に示され、式中、R10、R11、R12、及びR13 は独立にヒドロカルビル又は水素である。その他の可能性が存在するが、ここでは示されない。
【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
一実施態様において、R10、R11、R12、及びR13 が独立にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル (あらゆる異性体)、ペンチル (あらゆる異性体)、ヘキシル (あらゆる異性体)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。
Bがまた置換又は未置換アリールであってもよい。アリールは上記意味を有する。
Bがまた置換又は未置換ヘテロアリールであってもよい。ヘテロアリールはN、O、S、及びこれらの組み合わせから選ばれた環又は環系の一部である(置換基の全て又は一部であることとは反対であるように)1-4個の原子を含む芳香族環又は環系である。ヘテロアリールの例として、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ナフタレン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、イソベンゾフラン、イソインドール、テトラリン、クロマン、イソクロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、チオクロメン、インダン、インデン、クマリン、クマリノン等が挙げられる。
アリール又はヘテロアリールが置換されている場合、置換基は先に定義されたものと同じである。例として、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボキシレート、アルキルアミド、アミノカルボニル、アミノ、シアノ、ジアゾ、ニトロ、チオ、スルホキシル、スルホニル、ホスフェート、ホスフィネート等が挙げられる。
XがNR2である場合、B及びR2 が一緒に環又は環系を形成してもよい。こうして、下記の構造式の化合物が意図されている。
【0033】
【化15】

【0034】
Bがまた水素、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換もしくは未置換アリール、又は置換もしくは未置換ヘテロアリールの一つ以上の組み合わせであってもよい。例えば、Bが以下に示される構造の一つを有してもよい。
【0035】
【化16】

【0036】
有益な化合物の仮定の例が以下に示される。
【0037】
【化17】

【0038】
【化18】

【0039】
一実施態様において、XがOである。
別の実施態様において、Bがメチル又はエチルではない。
別の実施態様において、Bが少なくとも3個の炭素原子を有する。
別の実施態様において、XがNR2である。
別の実施態様において、R1 がH、C1-3 アルキル、F、Cl、Br、I、OH、CN、又はCF3である。
別の実施態様において、nが0である。
別の実施態様において、ZがOである。
別の実施態様は下記の構造式により表される化合物である。
【0040】
【化19】

【0041】
上記構造に関して、
別の実施態様において、ZがOである。
別の実施態様において、ZがSである。
別の実施態様において、BがC1-6 アルキル、C1-6 アルケニル、C1-6 アルキニル、C1-6 ハロアルキル、フェニル、ベンジル、フリルメチルであり、又はX-B がモルホリノである。
ハロアルキルは1個以上のF、Cl、Br、又はI置換基を有するアルキルである。
C1-6 ハロアルキルは1個のF、Cl、Br、又はI置換基を有するC1-6アルキルである。ハロアルキルの例として、-CH2F、-CH2CH2F、-C3H6F、-C4H8F、-C5H10F、-C6H12F、フルオロシクロプロピル、フルオロシクロブチル、フルオロシクロペンチル、フルオロシクロヘキシル、-CH2CH2Cl、-C3H6Cl、-C4H8Cl、-C5H10Cl、-C6H12Cl、クロロシクロプロピル、クロロシクロブチル、クロロシクロペンチル、クロロシクロヘキシル、-CH2CH2Br、-C3H6Br、-C4H8Br、-C5H10Br、-C6H12Br、ブロモシクロプロピル、ブロモシクロブチル、ブロモシクロペンチル、ブロモシクロヘキシル、-CH2CH2I、-C3H6I、-C4H8I、-C5H10I、-C6H12I、ヨードシクロプロピル、ヨードシクロブチル、ヨードシクロペンチル、ヨードシクロヘキシルが挙げられる。
モルホリノは下記の基である。
【0042】
【化20】

【0043】
別の実施態様は下記の中から選ばれる化合物である。
【0044】
【化21】

【0045】
【化22】

【0046】
別の実施態様は哺乳類の疾患又は症状の措置のための薬物の製造における本明細書に開示された化合物の使用であり、前記疾患又は症状は緑内障、ドライアイ、血管形成、心血管の症状及び疾患、傷、並びに痛みから選ばれる。
別の実施態様において、哺乳類がヒトである。
別の実施態様は措置を要する哺乳類に本明細書に開示された化合物を投与することを含む疾患又は症状の措置方法であり、前記疾患又は症状は緑内障、ドライアイ、血管形成、心血管の症状及び疾患、傷、並びに痛みから選ばれる。
別の実施態様において、哺乳類がヒトである。
合成方法
反応スキームA、B、C及びDは本明細書に開示された化合物を得るのに有益な方法の例である。
反応スキームA
【0047】
【化23】

反応スキームB
【0048】
【化24】

反応スキームC
【0049】
【化25】

反応スキームD
【0050】
【化26】

【実施例】
【0051】
実施例A
方法 A:メチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート (272)についての操作
【0052】
【化27】

【0053】
アセトニトリル (8 mL)中の4-ニトロアニリン (中間体 1) (1.8 g, 10 ミリモル) の溶液に1当量のトリフルオロ酢酸(1.14 g, 10ミリモル)を添加した。この懸濁液にスチレン(中間体 2), (5.74 mL, 50 ミリモル) 及び37% ホルムアルデヒド溶液(4.06 mL, 50 ミリモル) の不均一な混合物をアルゴン雰囲気下で撹拌しながら添加して、黄色の沈殿を得た。沈殿は室温で30分の撹拌後に再度溶解することができず、こうしてその混合物をアルゴン雰囲気下で更に30分間にわたって加熱、還流し、その時間中に沈殿が再度溶解した。その反応混合物を室温に冷却した。沈殿を濾過し、アセトニトリルで洗浄して黄色の固体、9-ニトロ-1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン, (中間体 3), (1.53 g, 41 %)を得た。
MeOH (100 mL)中の9-ニトロ-1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン, (中間体 3), (1.2 g, 7.06 ミリモル)の混合物をH2 バルーンのもとに室温で12時間にわたって10% Pd/C (120 mg) の作用により水素化反応にかけた。その混合物をセライトにより濾過し、減圧で溶媒を除いて1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-アミン (中間体 4) を固体, (1.08 g, 98%)として得た。
ジクロロメタン(10 mL)中の1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-アミン (中間体 4), (207 mg, 0.608 ミリモル) の溶液に3当量のトリエチルアミン (0.252 mL, 1.8 ミリモル)、続いてメチルクロロホルメート (0.071 mL, 0.91 ミリモル) をアルゴン雰囲気下で0℃で添加した。次いでその反応混合物を室温で一夜撹拌した。その混合物を水(30 mL)で反応停止した。残渣を典型的な水処理で単離し、シリカゲルカラムを使用して10 〜15 % EtOAc:ヘキサンを用いてMPLC (中間圧力液体クロマトグラフィー) により精製してメチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, (272), (181 mg 75%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 2.00 - 2.18 (m, 2 H) 2.22 - 2.39 (m, 2 H) 3.03 - 3.22 (m, 4 H) 3.50 - 3.64 (m, 3 H) 3.54 - 3.65 (m, 3 H) 4.05 - 4.23 (m, 2 H) 6.61 (br. s., 2 H) 7.08 - 7.38 (m, 10 H)
【0054】
エチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 273
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 1.11 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 2.02 - 2.17 (m, 2 H) 2.21 - 2.37 (m, 2 H) 3.04 - 3.17 (m, 4 H) 4.04 (q, 2 H) 4.09 - 4.21 (m, 2 H) 6.61 (br. s., 2 H) 7.08 - 7.39 (m, 10 H)
イソブチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 274
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.94 (d, J=6.74 Hz, 6 H) 1.84 - 2.02 (m, 1 H) 2.02 - 2.17 (m, 2 H) 2.20 - 2.37 (m, 2 H) 3.31-3.22 (m, 4 H) 4.19-4.14 (m, 2 H) 6.63 (br. s., 2 H) 7.11 - 7.24 (m, 5 H) 7.25 - 7.37 (m, 5 H)
プロピル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 275
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.85 (t, J=6.89 Hz, 3 H) 1.46 - 1.64 (m, 2 H) 2.00 - 2.18 (m, 2 H) 2.21 - 2.37 (m, 2 H) 3.03 - 3.19 (m, 4 H) 3.88 - 4.00 (m, 2 H) 4.09 - 4.23 (m, 2 H) 6.61 (br. s., 2 H) 7.07 - 7.37 (m, 10 H)
ブチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 276
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.87 (t, J=7.0 Hz, 3 H) 1.30 (br. s., 2 H) 1.42 - 1.56 (m, 2 H) 2.02 - 2.17 (m, 2 H) 2.19 - 2.39 (m, 2 H) 3.03 - 3.17 (m, 4 H) 3.91 - 4.03 (m, 2 H) 4.10 - 4.22 (m, 2 H) 6.61 (br. s., 2 H) 7.08 - 7.38 (m, 10 H)
【0055】
フェニル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 277
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 2.05 - 2.19 (m, 2 H) 2.21 - 2.40 (m, 2 H) 3.04 - 3.20 (m, 4 H), 4.11 - 4.24 (m, 2 H) 6.71 (br. s., 2 H) 6.99 - 7.44 (m, 15 H)
ベンジル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 278
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ ppm 1.91 - 2.09 (m, 2 H) 2.10 - 2.29 (m, 2 H) 2.93 - 3.13 (m, 4 H) 4.01 - 4.15 (m, 2 H) 4.92 (s, 2 H) 6.56 (br. s., 2 H) 7.01 - 7.32 (m, 15 H)
プロピル 1,7-ビス (3-フルオロフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 094
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 0.89 (t, 7.0 Hz, H) 1.47 - 1.67 (m, 2 H) 1.99 - 2.14 (m, 2 H) 2.19 - 2.37 (m, 2 H) 3.08 (t, J=5.71 Hz, 4 H) 3.91 (t, J=6.74 Hz, 2 H) 4.17 (t, J=6.01 Hz, 2 H) 6.67 (br. s., 2 H) 6.81 - 7.04 (m, 6 H) 7.22 - 7.38 (m, 2 H)
【0056】
エチル 1,7-ビス (3-フルオロフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 093
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 1.15 (t, 7.0 Hz, H) 1.98 - 2.16 (m, 2 H) 2.18 - 2.37 (m, 2 H) 2.96 - 3.18 (m, 4 H) 4.00 (q, J=7.13 Hz, 2 H) 4.19 (t, J=5.86 Hz, 2 H) 6.68 (br. s., 2 H) 6.77 - 7.01 (m, 6 H) 7.20 - 7.35 (m, 2 H)
ブチル 1,7-ビス (3-フルオロフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 202
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6) δppm 0.86 (t, 7.0 Hz, 6 H) 1.20 - 1.39 (m, 2 H) 2.06 - 2.15 (m, 2 H) 2.21 - 2.39 (m, 2 H) 3.02 - 3.17 (m, 4 H) 3.94 (t, J=6.59 Hz, 2 H) 4.22 (t, J=5.86 Hz, 2 H) 6.83 (br. s., 2 H) 6.88 - 7.09 (m, 6 H) 7.28 - 7.42 (m, 2 H)
メチル 1,7-ビス(3-フルオロフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 779
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 2.01 - 2.15 (m, 2 H) 2.21 - 2.37 (m, 2 H) 3.09 (t, J=5.71 Hz, 4 H) 3.57 (s, 3 H) 4.18 (t, J=6.15 Hz, 2 H) 6.67 (s, 2 H) 6.81 - 7.03 (m, 6 H) 7.25 - 7.38 (m, 2 H)
【0057】
2-フルオロエチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 095
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 1.99 - 2.16 (m, 2 H) 2.19 - 2.36 (m, 2 H) 3.00 - 3.16 (m, 4 H) 4.09 - 4.27 (m, 4 H) 4.29 - 4.36 (m, 1 H) 4.46 - 4.52 (m, 1 H) 6.66 (br. s., 2 H) 7.07 - 7.21 (m, 6 H) 7.21 - 7.33 (m, 4 H)
ブト-3-エンイル(But-3-enyl) 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 354
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6) δppm 2.04 - 2.15 (m, 2 H) 2.18 - 2.41 (m, 4 H) 3.02 - 3.18 (m, 4 H) 3.89 - 4.01 (m, 2 H) 4.90 - 5.14 (m, 2 H) 5.69 - 5.88 (m, 1 H) 6.78 (br. s., 2 H) 7.08 - 7.25 (m, 6 H) 7.23 - 7.38 (m, 4 H)
ブト-2-インイル(But-2-ynyl) 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 353
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6) δppm 1.74 (s, 3 H) 2.06 - 2.13 (m, 2 H) 2.19 - 2.34 (m, 2 H) 3.02 - 3.20 (m, 4 H) 4.19 (t, J=6.01 Hz, 2 H) 4.52 (q, J=2.54 Hz, 2 H) 6.78 (s, 2 H) 7.12 - 7.24 (m, 6 H) 7.26 - 7.35 (m, 4 H)
【0058】
プロプ-2-インイル(Prop-2-ynyl) 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 352
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6) δppm 2.05 - 2.15 (m, 2 H) 2.20 - 2.36 (m, 2 H) 2.90 (t, J=2.49 Hz, 1 H) 3.00 - 3.20 (m, 4 H) 4.19 (t, J=6.01 Hz, 2 H) 4.59 (d, J=2.34 Hz, 2 H) 6.78 (s, 2 H) 7.11 - 7.24 (m, 6 H) 7.25 - 7.37 (m, 4 H)
4-クロロブチル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 206
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6) δppm 1.66 - 1.96 (m, 4 H) 2.06 - 2.11 (m, 2 H) 2.22 - 2.32 (m, 2 H) 3.04 - 3.17 (m, 4 H) 3.58 (t, J=6 Hz, 2H) 3.96 (t, J=6.3 Hz, 2H) 4.19 (t, J=6.3 Hz, 2 H) 6.77 (s, 2 H) 7.16 - 7.20 (m, 6 H) 7.22 - 7.33 (m, 4 H)
3-クロロプロピル 1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イルカルバメート, 205
(方法: A)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 1.91 - 2.14 (m, 4 H) 2.20 - 2.34 (m, 2 H) 3.02 - 3.15 (m, 4 H) 4.07 (t, J=6.01 Hz, 2 H) 4.11 - 4.21 (m, 2 H) 6.64 (br. s., 2 H) 7.09 - 7.21 (m, 6 H) 7.23 - 7.31 (m, 4 H)
実施例B
方法 B: 1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-エチル尿素 (484)についての操作
【0059】
【化28】

【0060】
ジクロロメタン(15 mL)中の1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-アミン (中間体 4), (102 mg, 0.30 ミリモル) の溶液にアルゴン雰囲気下で0℃でエチルイソシアネート(0.026 mL, 0.33 ミリモル)を添加した。次いでその反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧で除去し、シリカゲルカラムを使用して15 〜20 % EtOAc:ヘキサンを用いてMPLC (中間圧力液体クロマトグラフィー) により精製して1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-エチル尿素 (484) (120 mg 97%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.91 (t, J=7.18 Hz, 3 H) 2.05 - 2.20 (m, 2 H) 2.21 - 2.39 (m, 2 H) 2.96 - 3.28 (m, 6 H) 4.07 - 4.19 (m, 2 H) 4.35 (br. s., 1 H) 5.58 (s, 1 H) 6.43 (s, 2 H) 7.06 - 7.36 (m, 10 H)
1-ブチル-3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)尿素, 485
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.85 (t, J=7 Hz, 3 H) 1.04 - 1.38 (m, 4 H) 2.05 - 2.19 (m, 2 H) 2.19 - 2.38 (m, 2 H) 2.89 - 3.29 (m, 6 H) 4.14 (t, J=6.15 Hz, 2 H) 4.38 (br. s., 1 H) 5.61 (s, 1 H) 6.43 (s, 2 H) 7.05 - 7.38 (m, 10 H)
1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-ペンチル尿素, 486
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 0.84 (t, J=7.18 Hz, 3 H) 1.03 - 1.33 (m, 6 H) 2.04 - 2.19 (m, 2 H) 2.20 - 2.38 (m, 2 H) 2.90 - 3.28 (m, 6 H) 4.07 - 4.20 (m, 2 H) 4.38 (br. s., 1 H) 5.58 (s, 1 H) 6.43 (s, 5 H) 7.07 - 7.39 (m, 10 H)
1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-ヘキシル尿素, 487
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δppm 0.86 (t, J=7.1 Hz3 H) 1.06 - 1.33 (m, 8 H) 2.00 - 2.20 (m, 2 H) 2.21 - 2.40 (m, 2 H) 2.93 - 3.29 (m, 6 H) 4.02 - 4.17 (m, 2 H) 4.29 - 4.45 (m, 1 H) 5.57 (br. s., 1 H) 6.43 (br. s., 2 H) 7.03 - 7.40 (m, 10 H)
【0061】
1-(2-クロロエチル)-3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)尿素, 769
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CD3OD)δppm 1.99 - 2.15 (m, 2 H) 2.19 - 2.35 (m, 2 H) 3.04 - 3.15 (m, 4 H), 3.49 (m, 2 H) 3.41 - 3.50 (m, 2 H) 4.11 - 4.22 (m, 2 H) 6.55 (s, 2 H) 7.09 - 7.21 (m, 5 H) 7.21 - 7.32 (m, 5 H)
1-アリル-3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)尿素, 773
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 2.00 - 2.14 (m, 2 H) 2.20 - 2.36 (m, 2 H) 3.04 - 3.16 (m, 4 H) 3.58 - 3.69 (m, 2 H) 4.11 - 4.23 (m, 2 H) 4.94 - 5.13 (m, 1 H) 5.73 (m, 1 H) 6.56 (s, 2 H) 7.09 - 7.21 (m, 5 H) 7.23 - 7.31 (m, 5 H)
1-tert-ブチル-3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)尿素, 148
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δppm 7.12 - 7.33 (m, 10H) 6.41 (s, 2H) 4.14 (t, J=6 Hz, 2H) 3.14 - 3.19 (m, 4H) 2.25 - 2.30 (m, 2H) 2.10 - 2.17 (m, 2H) 2.25 - 2.33 (m, 2H)
1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-(フラン-3-イルメチル)尿素, 258
(方法: B)
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δppm 7.12 - 7.33 (m, 11H) 6.56 (s, 2H), 6.25 - 6.27 (m, 1H) 6.08 - 6.10 (m, 1H) 4.19 (s, 2H) 4.16 (t, J=6 Hz, 2H) 3.07 - 3.12 (m, 4H) 2.01 - 2.11 (m, 2H) 2.27 - 2.29 (m, 2H)
実施例C
方法 C: 3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-1,1-ジメチル尿素 (405)
【0062】
【化29】

【0063】
ジクロロメタン(10 mL)中の1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-アミン (中間体 4), (106 mg, 0.31 ミリモル) の溶液にトリエチルアミン(0.130 mL, 0.933 ミリモル) 続いてジメチルカルバミン酸クロリド(0.043 mL, 0.46 ミリモル)をアルゴン窒素雰囲気下で0℃で添加した。次いでその反応混合物を室温で一夜撹拌した。その混合物を水(30 mL)で反応停止した。残渣を典型的な水処理で単離し、シリカゲルカラムを使用して10 〜15 % EtOAc:ヘキサンを用いてMPLC (中間圧力液体クロマトグラフィー) により精製して3-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-1,1-ジメチル尿素, (405), (63 mg 49%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 2.01 - 2.16 (m, 2 H) 2.20 - 2.37 (m, 2 H) 2.85 (s, 6 H) 3.00 - 3.15 (m, 4 H) 4.12 - 4.25 (m, 2 H) 5.78 (s, 1 H) 6.62 (s, 2 H) 7.10 - 7.22 (m, 5 H) 7.23 - 7.34 (m, 5 H)
N-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)モルホリン-4-カルボキサミド, 983
(方法: C)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 2.03 - 2.17 (m, 2 H) 2.20 - 2.38 (m, 2 H) 2.92 - 3.42 (m, 8 H) 3.53 - 3.65 (m, 4 H) 3.98 - 4.20 (m, 2 H) 6.52 - 6.72 (m, 2 H) 7.08 - 7.23 (m, 5 H) 7.24 - 7.37 (m, 5 H)
実施例D
方法 D: 1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-プロピルチオ尿素 (255)
【0064】
【化30】

【0065】
ジクロロメタン(15 mL)中の1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-アミン (中間体 4), (100 mg, 0.294 ミリモル) の溶液にプロピルイソチオシアネート(0.038 mL, 0.323 ミリモル) をアルゴン雰囲気下で0℃で添加した。次いでその反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧で除去し、シリカゲルカラムを使用して15 〜20% EtOAc:ヘキサンを用いてMPLC (中間圧力液体クロマトグラフィー) により精製して1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-プロピルチオ尿素 (255) (64 mg 49%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 7.08 - 7.34 (m, 10H) 6.39 (s, 2H) 4.11 (t, J=6 Hz, 2H) 3.32 - 3.46 (m, 2H) 3.16 - 3.23 (m, 4H) 2.25 - 2.30 (m, 2H) 2.13 - 2.17 (m, 2H) 1.32 - 1.39 (m, 2H, 0.73 (t, J=6 Hz, 3H)
1-(1,7-ジフェニル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-ij]キノリン-9-イル)-3-ヘキシルチオ尿素, 256
(方法: D)
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δppm 7.07 - 7.34 (m, 10H) 6.39 (s, 2H) 4.11 (t, J=6 Hz, 2H), 3.46 - 3.49 (m, 2H) 3.15 - 3.25 (m, 4H) 2.25 - 2.32 (m, 2H) 2.11 - 2.18 (m, 2H) 1.17 - 1.31 (m, 8H) 0.87 (t, J=6Hz, 3H)
in vitro データ
S1P3受容体中のこれらの化合物のin vitro活性を、2007年10月4日に公開された米国特許出願第20070232682号のパラグラフ [0067] に記載されたアッセイを使用して測定した。結果を下記の表に示す。
表1生物学的データ: 活性効力nM, (IC50)、抑制率(%):
【0066】
【表1】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】

により表される化合物。
[式中、n及びoは独立に0、1、2、又は3であり、
R1 は独立にH又は式C0-12H0-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有する置換基であり、
ZはO又はSであり、
XはO、S、又はNR2であり、
R及びR2 は独立に水素又はC1-6 ヒドロカルビルであり、かつ
Bは式C0-12H1-30N0-3O0-5P0-2S0-3F0-6Cl0-3Br0-3I0-3を有し、かつ水素、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、又はこれらの組み合わせであり、XがNR2である場合、B及びR2 は一緒に環又は環系を形成してもよい]
【請求項2】
XがOである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Bがメチル又はエチルではない、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Bが少なくとも3個の炭素原子を有する、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
XがNR2である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1 がH、C1-3 アルキル、F、Cl、Br、I、OH、CN、又はCF3である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
nが0である、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
構造式:
【化2】

により更に表される、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
ZがOである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
BがC1-6 アルキル、C1-6 アルケニル、C1-6 アルキニル、C1-6 ハロアルキル、フェニル、ベンジル、フリルメチルであり、又はX-Bがモルホリノである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
下記の化合物から選ばれた請求項10記載の化合物。
【化3】

【化4】

【請求項12】
ZがSである、請求項8記載の化合物。
【請求項13】
BがC1-6 アルキル、C1-6 アルケニル、C1-6 アルキニル、C1-6 ハロアルキル、フェニル、ベンジル、フリルメチルであり、又はX-Bがモルホリノである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
下記の化合物から選ばれた請求項13記載の化合物。
【化5】

【請求項15】
措置を要する対象に治療有効量の請求項1記載の化合物を投与することを特徴とする疾患又は症状(前記疾患又は症状は緑内障、ドライアイ、血管形成、心血管の症状及び疾患、傷、並びに痛みから選ばれる)の措置方法。
【請求項16】
対象がヒトである、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2011−519938(P2011−519938A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508561(P2011−508561)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/042474
【国際公開番号】WO2009/137342
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】