説明

治療予測モデル構築システム、治療予測モデル構築方法、治療予測モデル構築用プログラム、治療内容検証・提案システム、治療内容検証・提案方法、治療内容検証・提案用プログラム、健康管理データダウンロード方法、着脱可能な記憶メディア

【課題】 より効果的な治療を受けるための基礎的なデータベースとしての治療予測モデルを構築し、個々の対象者について治療内容を検証し、治療予測モデルを用いて新たな治療内容を提案する。
【解決手段】 対象者に対する治療の効果を判断する治療効果判断手段S3と、治療効果の判断結果と、同一対象者のレセプトデータにより示される治療内容及び生活内容データとから、治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断手段S10と、判断された治療内容の適切性を用いて複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリング手段S13を有し、構築されたモデルに基づいて、個々の対象者の治療内容を見直して新たな治療内容を提案するS27。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健診データを用いた健康管理などへのコンピュータ技術及びIT技術の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活習慣病に代表される慢性疾患などの疾病予防対策としては、年一回程度の健康診断が行われ、そこで得られた健診データに基づいて、個々の健診対象者(健常人、病人予備軍、病人を含む)に対する食事や運動の指導や投薬などの治療が行われるものであった。また、健診データを用いて、将来の疾病の可能性を予測するシミュレーション機能を有するコンピュータプログラムが存在し、必要に応じて将来の疾病の可能性を予測することが行われていた。
【0003】
下記の特許文献1には、被評価者の健診データを健常者モデル及び非健常者モデルと比較して比較結果を健康度及び疾病リスク度として可視的に表示する技術が示されている。又、下記の特許文献2には、健診結果と健康余命予測データを用いて健康余命の予測値を個人ごとに算出して表示する技術が示されている。さらに下記の特許文献3には、健診データを健康データとして登録し、利用者の健康データを通信ネットワークを介して利用者端末で参照し、また医師用端末、アドバイザ用端末、管理端末との通信により、健康増進支援サービスを実現する技術が示されている。さらに下記の特許文献4には、患者が保有する携帯端末装置が通信回線を介して健康管理装置と接続され、携帯端末装置により生体データを入力して健康管理装置に送信し、健康管理装置は、健康度及び疾病リスク度の予測を行い最新の予測診断増進結果表示画像を携帯端末装置に送信する技術が示されている。さらに下記の特許文献5には、携帯情報記憶媒体に過去の健診結果を暗号化して記憶し、認証処理により医療機関サーバにアクセスして、記憶した健診結果を送信し、医師に健康診断(健診)などの問診を行わせ、医療情報、診断結果を医療機関サーバから受診者端末に送信する技術が示されている。
【特許文献1】特開2002−63278号公報(図1、要約)
【特許文献2】特開2003−167959号公報(図1、要約)
【特許文献3】特開2002−149829号公報((図1、図2、要約)
【特許文献4】特開2004−157596号公報(図1、要約)
【特許文献5】特開2002−197199号公報(図1、要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこれまで主として企業の従業員や公務員及び地域住民などに対して通常行われている、年一回の健診だけでは適切な疾病予防、適切な医療(治療内容、コストも含む)の検証が十分に機能しているとは言えないし、特許文献1や特許文献2の技術では健診により得られた健診データを用いて、コンピュータにより将来の健康状態、あるいは疾病状態の推移の予測をするにすぎなかった。また、特許文献3〜5の技術は、インターネットなどの通信回線やコンピュータを用いて医療機関とユーザが連絡を取ることが可能であるものの、実際に受けた治療、投薬、生活指導などの効果を検証することができるものではなかった。
【0005】
本発明は上記従来例の問題点に鑑み、より効果的な治療を受けるための基礎的なデータベースとしての治療予測モデル構築のためのシステム、方法、プログラム、及び治療内容検証・提案のためのシステム、方法、プログラムを提供し、さらに健康保険組合(健保組合)及び自治体などの機関に蓄積された健康管理データをユーザが安全にダウンロードすることができる健康管理データダウンロード方法、並びにかかるダウンロードに使用するための個人認証のための着脱可能な記憶メディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、対象者に対する治療の効果を判断する治療効果判断手段と、治療効果の判断結果と、同一対象者のレセプトデータにより示される治療内容及び生活内容データとから、治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断手段と、判断された治療内容の適切性を用いて複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリング手段を有し、構築されたモデルに基づいて、個々の対象者の治療内容を見直して新たな治療内容を提案するようにしたものである。また、個人認証に関する情報が暗号化されて秘匿領域に記憶されている着脱可能な記憶メディアをネットワークに接続された端末に装着することにより、パスワードと個人認証に関する情報を用いて、所定のサーバに正規のユーザであることを認識させ、健康管理情報を安全にダウンロードするようにしたものである。より具体的には、本発明は、既存の健診データ、食生活や運動の内容などを含む生活データと治療内容を示すレセプトデータ及び必要に応じて各種健康測定機器のデータをデータベースとして連動させることで、健診データから生活習慣病などのリスクを予測し、レセプトデータなどから必要なエビデンスを取得し、対象者個人に対して効果のある疾病予防指導、健康・医療支援情報の提供や適切な医療(治療内容、コストも含む)を提供するために、医療内容の効果を検証し、かつその適切性を検証し、EBMに基づき、生涯を通じて継続的に行う仕組み作りをインターネットやIT(情報技術)を利用して行うことができるようにしたものである。また、健保組合や企業、自治体(国)に対し、適正な疾病予防施策及び医療政策のデータべース化と各種ガイドライン策定に役立てることもできる。
【0007】
すなわち、本発明によれば、複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込み手段と、
前記健診データ取り込み手段により取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶手段と、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込み手段と、
前記レセプトデータ取り込み手段により取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶手段と、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力手段と、
前記生活内容データ入力手段により入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶手段と、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込み手段により取り込まれ、前記健診データ記憶手段に記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断手段と、
前記治療効果判断手段により得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶手段から読み出される前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断手段と、
前記治療内容適切性判断手段により判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリング手段とを、
有する治療予測モデル構築システムが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記取り込まれた健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込みステップと、
前記取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶ステップと、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込みステップにより取り込まれ、前記健診データ記憶ステップにて記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断ステップと、
前記治療効果判断ステップにより得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶ステップにて記憶された前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断ステップと、
前記治療内容適切性判断ステップにより判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリングステップとを、
有する治療予測モデル構築方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記取り込まれた健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込みステップと、
前記取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶ステップと、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込みステップにより取り込まれ、前記健診データ記憶ステップにて記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断ステップと、
前記治療効果判断ステップにより得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶ステップにて記憶された前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断ステップと、
前記治療内容適切性判断ステップにより判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリングステップとを、
有する治療予測モデル構築方法をコンピュータにより実行させるための治療予測モデル構築用プログラムが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込み手段と、
前記健診データ取り込み手段により取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶手段と、
前記健診データ記憶手段に記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証手段と、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力手段と、
前記生活内容データ入力手段により入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶手段と、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶手段と、
前記治療効果検証手段により検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶手段から読み出された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶手段に記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案手段とを、
有する治療内容検証・提案システムが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記健診データ取り込みステップにより取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データ記憶ステップにより記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証ステップと、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶ステップと、
前記治療効果検証ステップにより検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶ステップにより記憶された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶ステップにて記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案ステップとを、
有する治療内容検証・提案方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記健診データ取り込みステップにより取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データ記憶ステップにより記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証ステップと、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶ステップと、
前記治療効果検証ステップにより検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶ステップにより記憶された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶ステップにて記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案ステップとを、
有する治療内容検証・提案方法をコンピュータにより実行させるための治療内容検証・提案用プログラムが提供される。
【0013】
また、本発明によれば端末からネットワークを介して健康管理データを有する機関のサーバにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法において、
ビューアプログラムが記憶され、かつユーザの個人認証に関する情報が暗号化されて秘匿領域に記憶されている着脱可能な記憶メディアを前記ネットワークに接続された前記端末に装着するステップと、
パスワードと前記個人認証に関する情報を用いて、前記サーバに正規のユーザであることを認識させるステップと、
前記正規のユーザであることを認識させた後に、当該ユーザの暗号化された健康管理データを前記サーバから前記端末にダウンロードするステップと、
ダウンロードした前記暗号化された健康管理データを前記ビューアプログラムにより復号するステップと、
復号された前記健康管理データを前記端末の表示装置に表示させるステップとを、
有することを特徴とする健康管理データダウンロード方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば端末からネットワークを介して健康管理データを有する機関のサーバにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法に用いる、前記端末に着脱可能な記憶メディアにおいて、
ユーザの個人認証に関する情報が暗号化されて記憶されている秘匿領域と、
前記サーバからダウンロードされた暗号化された健康管理データを復号して前記端末の表示部に表示させるビューアプログラムが記憶された記憶領域とを、
有することを特徴とする着脱可能な記憶メディアが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、健診データのみならず、レセプトデータを用いて実際の治療内容をデータとして取り込み、複数回の健診の健診データによる治療効果の判断結果と、レセプトデータにより示される治療内容とから、治療内容の適切性を判断することができるので、ユーザ(患者)にとって有益であるのみならず、医療機関にとっても有益であり、さらに適切な医療を行う指針を与える材料を提供できるので、医療費の増大を抑制することができるなどの社会的効果がある。また、本発明の健康管理データダウンロード方法及び、それに用いる着脱可能な記憶メディアは、個人情報である健康管理データを所定のサーバからユーザがダウンロードする際に、着脱可能な記憶メディアの秘匿領域の情報を用いて個人認証ができるので、セキュリティの面で有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る治療予測モデル構築システムをコンピュータにより実現する場合の処理の内容の好ましい実施の形態を示すフローチャートである。すなわち、このフローチャートは、治療予測モデル構築方法を実行するコンピュータの動作を示すものであり、例えば健康保険組合などの、多人数の組合員が健康診断(健診)を受け、さらに医療機関で治療や薬の処方を受けたとき、健診結果を示す健診データと、治療などの医療の内容を示すレセプトデータを容易に入手することが可能な機関のコンピュータの動作を示すものとする。すなわち、健康保険組合及び自治体などには、様々な診療機関や医療機関から多人数の被健診者の診療データ及びレセプトデータが提供されているものとし、健康保険組合及び自治体などはこれらを用いて様々なサービスを提供する。
【0017】
なお、図1は、生活習慣病の例として糖尿病を対象とする治療予測モデルの構築の手順を示している。図1において、ステップS1で被健診者集団の個々の被健診者(本願では対象者という)の健診データを入力する。対象者の数としては、1,000人以上が望ましいが、数百人程度でも実用可能である。健診データには、各対象者の性別、年齢と共に、Hb(ヘモグロビン)A1c、収縮期血圧、総コレステロール、HDLコレステロールなど、図1に示した項目が含まれ、これらの健診データが入力される。健診データは、一般にコードデータ化されているので、そのまま電子データとして入力できる。図1のフローチャートは、上記複数の対象者に対して実行されるが、1つのサイクルは単一の対象者に対する処理として実行される。
【0018】
今、ある対象者A氏の健診データが入力されると、ステップS2で生活習慣病シミュレーションの確認を行う。このシミュレーションでは、A氏の健診検査結果と医療費予想、合併症リスクの表示がなされ、さらにA氏に対する必要なアドバイスをも出力することができる。次いでステップS19で、前回の健診データが有るか否かが判断される。無いときは、後述するステップS4へ行く。ステップS1が1回目の健診データのみを入力した状態では、その前の健診データは存在しないので、健診データの比較をすることができない。前回の健診データが有るときは、ステップS20で、前回の健診データを読み出す。次いでステップS3では、A氏に対する治療効果の検証と改善目標の設定が行われる。検証のためには、個々の対象者、すなわちここではA氏の前回と今回の健診データを項目別に比較する。この比較結果を用いて、目標とする体重、HbA1c、収縮期血圧、総コレステロール、HDLコレステロール、喫煙情報などの値を示すデータが入力される。次いでステップS4では、A氏の食生活データの入力が行われる。ここでは、A氏の性別、年齢が不明のときは、入力するが、ステップS1で入力したデータを用いることができるときは、それを用いる。さらにA氏の身長、体重、体脂肪率、生活活動強度、活動項目、食事内容などが入力される。上記比較結果、すなわち治療効果の検証結果は、所定の記憶手段に記憶され後述する治療の効果測定のステップS10で用いることとなる。
【0019】
次いでステップS5では、A氏の食生活診断の確認が行われる。具体的には、A氏の肥満度、ダイエットプラン、動物性・植物性食品比率などが表、グラフなどの形式で表示される。次いでステップS6では、A氏に対する効果的な食生活指導の確認が行われる。具体的には、A氏に対して生活指導、食事指導、運動指導などが行われる。この指導は、コンピュータの画面への表示、プリントアウト、音声での伝達などを用いて行うことができる。次いでステップS7で、レセプトデータが存在するか否かを判断する。最初の健診のときは未治療であり、一般にレセプトデータは存在しないが、最初の健診からある程度の時間(数ヶ月〜1年程度)が経過していれば、その間にA氏に対して治療がなされ、A氏のレセプトデータが存在することとなる。レセプトデータが無いときは、ステップS1に戻るか、あるいは、処理を終了する。
【0020】
レセプトデータが存在すれば、ステップS8でレセプトデータの入力を行う。レセプトデータでコードデータ化されているものは、そのまま電子データとして入力できる。一方、コード化されていないプリントアウトの場合は、OCRなどにより読み取りコード化して入力する。レセプトデータには、治療内容、投薬類の内容、通院の頻度、医療費が含まれる。また、その他のデータとして、A氏の消費カロリー、摂取カロリー、改善目標値との相関関係などを入力することもできる。
【0021】
次いで、ステップS10で、医師によるA氏に対する治療(EBM:エビデンス−ベースド−メディスン)とA氏に対する食生活指導のそれぞれの、あるいは全体としての効果測定が行われる。この効果測定は、A氏のレセプトデータにより示されるA氏に対する治療の結果、A氏の健康状態/疾病状態が改善しているか否かを前回の健診データと最新の健診データの比較により行うものである。健診データの比較は、既にステップS3で実行され、治療効果の検証結果が記憶されているので、これを読み出す。治療自体の他にステップS4〜ステップS6で扱った食事や運動という生活内容データも考慮する。本明細書では、「治療」や「治療内容」の用語を、純粋な治療のみならず、治療と食事や運動という生活データを加味したものを指す用語として用いることがある。ステップS10では、このようにA氏に対してどのような治療を行ったら、前回の健康状態/疾病状態がどれだけ改善されたか、あるいは改善されなかったかなどが判断される。
【0022】
なお、改善がなされても、最新の健診データが前回目標とした数値に達していない場合は、その達成割合を数値化することもできる。例えば、HbA1cの数値が前回の健診では、7.5であったとき、目標値として5.5を設定していたものとし、最新の健診データでは、6.0であったとすると、前回から1.5の改善はあったものの、目標値を達成していないので、達成値を75%とすることができる。このようにしてA氏の健診データの各項目(パラメータ)ごとに前回の健康状態/疾病状態がどれだけ改善されたか、あるいは改善されなかったかなどが判断され、必要に応じて達成率が算出される。こうして効果測定の結果が得られると、ステップS11で測定結果を所定の記憶手段に記憶する。
【0023】
ステップS12では、測定結果数、すなわち何人分の測定結果が得られたかが判断される。具体的には、測定結果数(人数)が所定数N以上となったか否かを判断する。所定数Nとしては、例えば300を用いることができる。これは、300人以上分の測定結果が蓄積されれば、これらの人々を集団として扱い、治療結果を解析して各パラメータを用いてグループ分けしたり、パターン化(モデル化)したりして有意義な予測値(予測モデル)が構築できると考えられるからである。
【0024】
こうして、ステップS13では、この集団に関するデータの解析を行い、効果的な治療介入予測値(予測モデル)の構築が行われる。ここでは治療介入予測値(予測モデル)の構築をモデリングと言う。なお、モデリングは、健診データ、レセプトデータ、食生活内容に変更、追加があったり、個人測定データなどが新たに入手できたときなどには、これらのデータを追加的に入力してからステップS13を実行することができる。ステップS12で、測定結果数(人数)が所定数N以上となっていないと判断されると、ステップS1に戻る。
【0025】
このようにして予測モデルが構築される。すなわち、予測モデルは、多数の対象者の健診データとレセプトデータを用いて、どのような疾患の人が、一定の時間(例えば1年)経過中に、どのような治療などの医療(食事指導、運動指導などを含む)を受けたら、どのように症状が変化し、その後の医療の内容がどのように変化するかをモデルとしてとらえるものである。このようにして構築された多数のモデルが様々なパラメータから検索可能な状態で健保組合及び自治体などのサーバとして機能するコンピュータの所定の記憶装置(コンピュータの内部及び/又は外部の記憶装置)に記憶される。
【0026】
次に、構築された予測モデルリングを用いて、個々の被健診者に対して治療などのアドバイス(提案)を行う場合の運用フローについて図2〜図4を用いて説明する。図2は、糖尿病の場合の運用フローを示すフローチャート、図3は、高脂血症/高血圧症の場合の運用フローを示すフローチャート、図4は、糖尿病予備軍/発症予測の場合の運用フローを示すフローチャートである。なお、図2〜図4のフローチャートは、図1のフローチャートで示した最初の健診からある程度の時間(数ヶ月〜1年程度)が経過していて、2回目以降の健診を受けた後に運用されるものである。
【0027】
図2〜図4において、これらのフローチャートは、個々の被健診者を対象とする点で、多数の被健診者を対象とする図1の予測モデルの構築フローとは異なるが、図1のフローチャートのステップと対応するステップには、図1のステップの番号にAを付して説明を省略する。
【0028】
図2において、ステップS2Aの後、ステップS20Aにおいて前回の健診データを読み出す。すなわち、ステップS6Aの後には、ステップS27で効果的な糖尿病治療の提案が行われる。この提案は、ステップS3Aで得られた治療効果の検証結果に基づき、ステップS4A〜ステップS6Aでの食生活のデータや運動の内容(これらをまとめて生活データとも言う)などを考慮し、かつ図1で説明した予測値(予測モデル)を適用して行われる。すなわち、予測モデルとして、どのような性別/年齢の人であって、どのような健康状態/疾病状態の人に、どのような治療をし、どのような食事や運動が行われたかにより、所定期間経過後にどのような改善が見られるかがパターン化されているので、ある対象者であるB氏に対して運用する場合は、B氏の前回と今回の健診データやB氏の食生活データや運動内容を示すデータ(生活データ)などを用いてコンピュータが自動的にB氏の現在の状態に最も適した治療内容を提案することができる。
【0029】
提案の具体的手法としては、B氏に対する治療方針などをコンピュータの画面への表示、プリントアウト、音声などにより出力することができる。治療内容を決定するに際し、B氏に対する前回の健診以降の治療内容を示すレセプトデータが存在するときは、これを参照することもできる。すなわち、レセプトデータの解析結果によるEBMを行うこともできる。次いでステップS28で医師による治療の実施とB氏自身による生活習慣の改善がなされる。その後、定期健康診断を受けると、ステップS29で健診結果が判定される。すなわち、個々の被健診者である特定の対象者が、1.糖尿病である、2.高脂血症あるいは高血圧症である、3.糖尿病予備軍である、のいずれかに該当するかが判定される。
【0030】
具体的には、例えば50歳の男性の場合で、糖尿病患者の場合、第1回の健診データ(ステップS20Aで読み出される前回の健診データ)ではHbA1cが7%なので高血糖による単純性網膜症の恐れがある。そこで治療として、強化インスリン法によりHbA1cを6.5%以下にすることと、運動と食事によりカロリーを制限をするものとする。この場合、強化インスリン法及び運動と食事療法によりHbA1cが安定的に6.5%になったか否かを第2回の健診データ(最新の健診データであり図2のステップS1Aで入力されるもの)から判断する。
【0031】
次に高脂血症/高血圧症用の運用フローである図3について図2と異なる点を説明する。なお、図3中、図2中のステップと同一、あるいは対応するステップは、図2中のステップ番号と同一の番号が付されている。図3において、ステップS6Aの後には、ステップS35で健診データを用いて総コレステロールが220以上か否か、又は、収縮期血圧が140以上か否かが判定される。判定結果がNoであれば、ステップS29へ行き、健診結果が判定される。すなわち、個々の被健診者である特定の対象者が、1.糖尿病である、2.高脂血症あるいは高血圧症である、3.糖尿病予備軍である、のいずれかに該当するかが判定される。
【0032】
具体的には、例えば50歳の男性の場合で、高脂血症患者の場合、第1回の健診の健診データで総コレステロールが270になり心筋梗塞、脳卒中のリスクがあるため、経口薬剤メバロチンと運動と食事療法で総コレステロールを220以下にする必要があるものとする。この場合、第2回の健診データで、メバロチンと運動と食事療法で総コレステロールが220以下になったかを検証する。
【0033】
ステップS35の判定結果がYESであれば、ステップS36で図2のステップS27と同様の手法で効果的な高脂血症/高血圧症治療の提案が行われる。次いでステップS28で医師による治療の実施と生活習慣の改善の指導がなされる。その後、定期健康診断を受けると、ステップS29で前述と同様に健診結果が判定される。
【0034】
次に糖尿病予備軍/発症予測用の運用フローである図4について図2と異なる点を説明する。なお、図4中、図2中のステップと同一、あるいは対応するステップは、図2中のステップ番号と同一の番号が付されている。図4において、ステップS6Aの後には、ステップS40で対象者自身による生活習慣の改善が行われ、その後ステップS29へ行き、健診結果が判定される。すなわち、個々の被健診者である特定の対象者が、1.糖尿病である、2.高脂血症あるいは高血圧症である、3.糖尿病予備軍である、のいずれかに該当するかが判定される。
【0035】
具体的には、例えば50歳の男性の場合で、糖尿病予備軍の場合、第1回の健診の健診データで身長が170で体重が95kg、空腹時血糖値が120なので糖尿病の発症リスクがあるものとする。このリスクを軽減するために、現状のBMI31(95kg)を25以下(72kg)にするため、月に約2kgを食事と運動で減量し、10ヶ月後に72kgにする。月に2kgを減らすには、食事と運動で1日500kcalを消費するか摂取を控えるかが必要である。また、目標の減量を達成した結果、空腹時血糖値が110以下になると思われるが、体重を減らした結果空腹時血糖値は110以下になったか否かが第2回の健診の健診データから検証される。
【0036】
健保組合及び自治体などの機関は、本発明を実施するためのサーバを有しているものとし、組合員や住民などは、自己の健診データや、医師からの食事や運動に関するアドバイスなどを必要なときにいつでも見ることができるように、自己の端末パソコンを用いて、インターネットなどの通信ネットワークを介してサーバにアクセスできるものとする。この場合、健診データなどの健康管理データは個人情報であり、また多数の被健診者の健診データなどはデータベースとしての価値があるものであるため、関係者以外の者がサーバにアクセスして、これらのデータを取得することは防止しなければならない。そこで、本発明では健保組合の組合員や自治体の住民であり、被健診者である個人(ユーザとも言う)が、サーバにアクセスして、健康管理データをダウンロードする際には、所定のセキュリティ対策を施す必要がある。
【0037】
そこで、ユーザである個人が健康管理データを保持している機関へアクセスして自己の健康管理データをダウンロードする方法について説明する。図5は、端末18、20、22、24からインターネット16などのネットワークを介して健康管理データを有する機関10、12、14のサーバ10A、12A、14Aにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法の好ましい実施の形態を模式的に示す図である。図5中、各サーバ10A、12A、14Aは、それぞれ記憶手段として動作するデータベース10B、12B、14Bに接続されている。各データベース10B、12B、14Bには、当該機関の管轄する組合員や会員などの健康管理データが個人を特定する情報と共に記憶されている。
【0038】
端末18、20、22には、それぞれICカード18Bを受け入れるICリーダライター18A、カード型光メディアであるメガブリッドカード20Bを受け入れるCDドライブ20A、USBキー22Bを受け入れるUSB端子22Aが設けられている。なお、ICカード18Bには、ビューアプログラムが記憶されたメモリー領域18Cと、個人IDが記憶された秘匿領域18Dがある。同様に、メガブリッドカード20Bには、ビューアプログラムが記憶されたCD−ROM領域20Cと、個人IDが記憶された秘匿(CD−R)領域20Dがある。さらに、USBキー22Bには、ビューアプログラムが記憶されたROM領域22Cと、個人IDが記憶された秘匿領域22Dがある。各端末18、20、22は、インターネット16を介して、各機関10、12、14のいずれかにアクセスする構成となっている。
【0039】
次に図6のフローチャートに沿って、図5のシステムの動作について説明する。今、ユーザが図5中の端末18を用いて健保組合10へアクセスするものとして説明する。ステップS61で、ICリーダライター18AにICカード18Bが装着されたか否かを判断する。装着が検出されると、ステップS62で、秘匿領域18Dから暗号化されている個人認証情報である個人IDを読み取りサーバ10Aに送信する。次いでステップS63でメモリー領域18Cに記憶されているビューアプログラムを読み出し、起動する。サーバ10Aでは、受信した個人IDが正規ユーザのものであるか否かの判定を行い、正規であると判定すると、認証済を示す信号を端末18に送信する。
【0040】
次のステップS64で、認証確認がOKであるか否かを判断する。認証済を示す信号がサーバ10Aから送られているときは、認証確認がOKとなり、次のステップS65へ行き、生活習慣病シミュレーション、食生活診断結果、各種アドバイスなどのうち、ユーザが閲覧したいものを端末の操作により選択させる。次いでステップS66でログインが行われ、ステップS67で先の選択に応じた内容のデータのダウンロードが行われる。端末18は、ダウンロードされた暗号化されている健康管理データをステップS68でビューアプログラムにより復号して表示装置に表示させる。
【0041】
なお、図6のフローチャートでは、ICカード18Bの秘匿領域18Dに記憶されている暗号化されている個人認証情報である個人IDを用いて個人認証を行うことにより正規のユーザであることを確認しているが、これに加えてパスワードを用いることもできる。すなわち、ユーザを特定するパスワードを端末18から入力させ、サーバ10Aがこれをあらかじめ登録してあるパスワードと同一か否かを判断することができる。
【0042】
なお、個人認証に関する情報として、個人カードID、個人生体認証データ、PKI認証に関する証明書のいずれか1つ以上を用いることができる。また、図5の例では、各端末18、20、22に対してそれぞれ着脱可能な記憶メディアとして、ICカード18B、カード型光メディア(メガブリッドカード)20B、USBキー22Bが示されているが、単一の端末に複数の記憶メディアを着脱可能とすることもできる。
【0043】
なお、上記着脱可能な記憶メディア、すなわち、ユーザの個人認証に関する情報が暗号化されて記憶されている秘匿領域と、サーバからダウンロードされた暗号化された健康管理データを復号して端末の表示部に表示させるビューアプログラムが記憶された記憶領域とを有する着脱可能な記憶メディア自体と、これを用いてネットワークを介して健康管理データを有する機関のサーバにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法も本発明の範囲に入るものである。
【0044】
図7は、本発明のシステムや着脱可能な記憶メディアを用いたソーシャル総合サービスシステムを示す模式図である。ユーザは、例えば自宅のパソコンを用いて、インターネットを介して所定の総合認証サーバにアクセスし、そこから健保組合などに接続して、図5、図6で説明したように健康管理データをダウンロードすることができる。さらに、健康管理データのダウンロードに加えて、医療関連の他のサービス、スポーツ会員としてのサービス、ショッピング、レジャーに関するサービス、グルメ会員としてのサービスをウェブコンテンツサービスとして受けたり、ネット決済などのe−コマースを利用することができる。また、旅先での旅行保険や医療機関の紹介、病院・薬局での支払いへの対応、ユーザが居住している地域での介護施設、スポーツ施設の利用と支払いへの対応などを受けることができる。これらのサービスを受けるに際し、サーバを経由した情報の授受、着脱可能な記憶メディアによる個人認証、費用支払いの決済などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は治療予測モデル構築のためのシステム、方法、プログラム、及び治療内容検証・提案のためのシステム、方法、プログラム、並びに健康管理データダウンロード方法及び着脱可能な記憶メディアを提供するものであり、より効果的な治療を提供し、医療費の上昇の抑制、あるいは削減に寄与するものであり、医療、健康保険など、健康管理に関する様々な産業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る治療予測モデル構築システムをコンピュータにより実現する場合の処理の内容の好ましい実施の形態を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る治療内容検証・提案方法を糖尿病に適用した場合の運用フローを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る治療内容検証・提案方法を高脂血症/高血圧症に適用した場合の運用フローを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る治療内容検証・提案方法を糖尿病予備軍/発症予測に適用した場合の運用フローを示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る健康管理データダウンロード方法の好ましい実施の形態を模式的に示す図である。
【図6】図5のシステムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明のシステムや着脱可能な記憶メディアを用いたソーシャル総合サービスシステムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
10、12、14 健康管理データを有する機関
10A、12A、14A サーバ
10B、12B、14B データベース
16 インターネット
18、20、22、24 端末
18A ICリーダライター
18B ICカード
18C メモリー領域
18D、22D 秘匿領域
20A CDドライブ
20B メガブリッドカード
20C CD−ROM領域
20D 秘匿(CD−R)領域
22A USB端子
22B USBキー
22C ROM領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込み手段と、
前記健診データ取り込み手段により取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶手段と、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込み手段と、
前記レセプトデータ取り込み手段により取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶手段と、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力手段と、
前記生活内容データ入力手段により入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶手段と、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込み手段により取り込まれ、前記健診データ記憶手段に記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断手段と、
前記治療効果判断手段により得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶手段から読み出される前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断手段と、
前記治療内容適切性判断手段により判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリング手段とを、
有する治療予測モデル構築システム。
【請求項2】
複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記取り込まれた健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込みステップと、
前記取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶ステップと、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込みステップにより取り込まれ、前記健診データ記憶ステップにて記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断ステップと、
前記治療効果判断ステップにより得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶ステップにて記憶された前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断ステップと、
前記治療内容適切性判断ステップにより判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリングステップとを、
有する治療予測モデル構築方法。
【請求項3】
複数の対象者の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記取り込まれた健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データの基礎となる健診後に行われた前記複数の対象者に対する治療の内容を示すデータが含まれるレセプトデータを取り込むレセプトデータ取り込みステップと、
前記取り込まれた前記レセプトデータを記憶するレセプトデータ記憶ステップと、
前記複数の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
前記健診後の2回目の健診により得られた前記複数の対象者の健診データが前記健診データ取り込みステップにより取り込まれ、前記健診データ記憶ステップにて記憶された後に、同一対象者の前記最初の健診データと前記2回目の健診の健診データとの比較から、治療の効果を判断する治療効果判断ステップと、
前記治療効果判断ステップにより得られた治療効果の判断結果と、前記同一対象者の前記レセプトデータにより示される前記治療内容及び前記生活内容データ記憶ステップにて記憶された前記生活内容データとから、前記治療内容の適切性を判断する治療内容適切性判断ステップと、
前記治療内容適切性判断ステップにより判断された前記治療内容の適切性を用いて前記複数の対象者の治療内容を所定パラメータごとにモデル化するモデリングステップとを、
有する治療予測モデル構築方法をコンピュータにより実行させるための治療予測モデル構築用プログラム。
【請求項4】
特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込み手段と、
前記健診データ取り込み手段により取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶手段と、
前記健診データ記憶手段に記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証手段と、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力手段と、
前記生活内容データ入力手段により入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶手段と、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶手段と、
前記治療効果検証手段により検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶手段から読み出された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶手段に記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案手段とを、
有する治療内容検証・提案システム。
【請求項5】
特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記健診データ取り込みステップにより取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データ記憶ステップにより記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証ステップと、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶ステップと、
前記治療効果検証ステップにより検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶ステップにより記憶された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶ステップにて記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案ステップとを、
有する治療内容検証・提案方法。
【請求項6】
特定の対象者の複数回の健診の健診データを取り込む健診データ取り込みステップと、
前記健診データ取り込みステップにより取り込まれた前記健診データを記憶する健診データ記憶ステップと、
前記健診データ記憶ステップにより記憶された前記複数回の健診の健診データを相互に比較して、前記複数回の健診の間に行われた治療の効果を検証する治療効果検証ステップと、
前記特定の対象者の生活内容を示す生活内容データを入力する生活内容データ入力ステップと、
前記生活内容データ入力ステップにより入力された前記生活内容データを記憶する生活内容データ記憶ステップと、
多数の対象者に対する過去の治療と、その効果の検証結果を用いてあらかじめ作成されている治療予測モデルを記憶する治療予測モデル記憶ステップと、
前記治療効果検証ステップにより検証された前記特定の対象者に対する治療の効果と、前記生活内容データ記憶ステップにより記憶された前記特定の対象者の前記生活内容データとを用いて、前記特定の対象者に最適な治療内容を、前記治療予測モデル記憶ステップにて記憶されている複数の治療予測モデルから選択することにより決定して提案する治療内容提案ステップとを、
有する治療内容検証・提案方法をコンピュータにより実行させるための治療内容検証・提案用プログラム。
【請求項7】
端末からネットワークを介して健康管理データを有する機関のサーバにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法において、
ビューアプログラムが記憶され、かつユーザの個人認証に関する情報が暗号化されて秘匿領域に記憶されている着脱可能な記憶メディアを前記ネットワークに接続された前記端末に装着するステップと、
パスワードと前記個人認証に関する情報を用いて、前記サーバに正規のユーザであることを認識させるステップと、
前記正規のユーザであることを認識させた後に、当該ユーザの暗号化された健康管理データを前記サーバから前記端末にダウンロードするステップと、
ダウンロードした前記暗号化された健康管理データを前記ビューアプログラムにより復号するステップと、
復号された前記健康管理データを前記端末の表示装置に表示させるステップとを、
有することを特徴とする健康管理データダウンロード方法。
【請求項8】
前記個人認証に関する情報として、個人カードID、個人生体認証データ、PKI認証に関する証明書のいずれか1つ以上を用いることを特徴とする請求項7に記載の健康管理データダウンロード方法。
【請求項9】
前記着脱可能な記憶メディアとして、カード型光メディア、USBキー、ICカードのいずれか1つ以上を用いることを特徴とする請求項7又は8に記載の健康管理データダウンロード方法。
【請求項10】
端末からネットワークを介して健康管理データを有する機関のサーバにアクセスして、自己の健康管理データを取得して表示する、健康管理データダウンロード方法に用いる、前記端末に着脱可能な記憶メディアにおいて、
ユーザの個人認証に関する情報が暗号化されて記憶されている秘匿領域と、
前記サーバからダウンロードされた暗号化された健康管理データを復号して前記端末の表示部に表示させるビューアプログラムが記憶された記憶領域とを、
有することを特徴とする着脱可能な記憶メディア。
【請求項11】
前記着脱可能な記憶メディアとして、カード型光メディア、USBキー、ICカードのいずれか1つ以上を用いることを特徴とする請求項10に記載の着脱可能な記憶メディア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−155411(P2006−155411A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347617(P2004−347617)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(597015852)株式会社 法研 (1)
【出願人】(595131754)株式会社テクノサイエンス (2)
【出願人】(500114519)株式会社エス・エー・エス ジャパン (1)
【Fターム(参考)】