説明

治療支援装置

【課題】治療時の操作を簡便にする治療支援装置を提供する。
【解決手段】MRI装置2により撮像された患者6の3次元画像データが格納された映像記録装置8から3次元画像データを読み出してナビゲーション画像40を生成し、患者6の病変部に治療を施す超音波プローブ12と、超音波プローブ12の位置及び姿勢を検出する位置検出装置14と、ナビゲーション画像40を含む治療支援情報を表示する治療支援装置において、超音波プローブ12のパラメータを治療前、治療時、治療後の施術状況に対応させて予め設定し、ナビゲーション画像40上で設定された治療対象領域54と、位置検出装置14により検出された超音波プローブ12の位置及び姿勢に基づいて施術位置50を求め、施術位置50と治療対象領域54との距離に応じて施術状況を判定し、設定されたパラメータに合わせて、超音波プローブ12のパラメータを変更する動作条件変更手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像装置(以下、MRI装置という)、超音波装置、X線CT装置等の医療用画像装置を用いた治療支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、連続的に被検体中の水素や燐等の原子核からの磁気共鳴信号(以下、NMR信号という)を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化するものである。MRI装置を用いた心臓イメージングや、手術時の穿刺モニタリング、経皮的治療などに使用されるI−MRI装置(interventional−MRI装置、又は、Intraoperative−MRI装置)では、リアルタイムで撮像する断層面を任意に設定したいという要望がある。
【0003】
撮像する断層面を任意に選択する手法として、モニタにMRI画像を表示し、画面上のボタンをマウスでクリックして、撮像する断層面を決定する方法があるが、撮像する断層面の位置や向きをマウスなどの入力手段で調整、設定しなければならず操作が煩雑となる。MRI装置としては、より簡便に撮像する断層面の位置や向きを調整、設定できることが望ましい。その手法として、特許文献1には、治療具(以下、治療デバイスという)の先端部にポインタを設け、3次元位置検出装置にてポインタの位置を検出し、これに基づいて、断層面の位置や向きを自動的に調整する技術が記載されている。
【0004】
一方、3次元位置検出装置と、予めMRI装置によって撮像した3次元のデータである撮像したボリュームデータから生成される断層画像を用いた3D手術ナビゲーションシステム(以下、治療支援装置という)がある。この治療支援装置は、治療時にポインタにより指定される位置を、当該位置を含む患者の直交3平面それぞれを断面とする断層画像上に表示することにより治療時の操作をナビゲーションするものであり、脳神経外科手術などの高精度の外科手術に適用されている。例えば、特許文献2には、I−MRI装置と治療支援装置を組み合わせた技術について記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、治療支援装置に用いられる治療デバイスとして、集束超音波を用いた治療用プローブを用いた治療支援装置が記載されている。治療用プローブからは、集束超音波を被検体の病変部に照射され、一回の照射時間は数秒間であり、複数の部位を治療する場合には、十数秒間の間隔を設ける。治療効果は、超音波照射により組織が熱凝固する温度以上に加熱されることにより得られると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO03/026505A1
【特許文献2】特開2003−190117号公報
【特許文献3】USP5676692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の治療支援装置では、治療デバイスとMRI装置等の医療用画像装置の連係がとれておらず、ボリュームデータから生成される断層画像を用いての治療は、操作が煩雑になることが多く、操作の誤りを招く可能性があった。また、例えば、治療デバイスが治療用プローブの場合、対象となる深度に応じて出力、焦点位置等の動作条件を変更しなければならないことから、治療を中断して動作条件変更を行う必要があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、治療時の操作を簡便にする治療支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の治療支援装置は、医療用画像装置により撮像された被検体の3次元画像データが格納されたメモリと、該メモリから3次元画像データを読み出してナビゲーション画像を生成するナビゲーション画像処理装置と、被検体の病変部に治療を施す治療デバイスと、被検体に対する治療デバイスの位置及び姿勢を検出する3次元位置検出装置と、ナビゲーション画像を含む治療支援情報を表示する画像表示装置と、ナビゲーション画像処理装置と治療デバイスを制御する治療支援制御装置を備えてなる治療支援装置において、治療支援制御装置は、治療デバイスの動作条件を治療前、治療時、治療後の施術状況に対応させて予め設定する動作条件設定手段と、画像表示装置に表示されるナビゲーション画像上で設定された治療対象領域をメモリの3次元画像データに登録する治療対象領域登録手段と、3次元位置検出装置により検出された治療デバイスの位置及び姿勢に基づいて治療デバイスの施術位置を求めて、ナビゲーション画像上に表示する位置検出手段と、施術位置と治療対象領域との距離に応じて施術状況を判定し、動作条件設定手段により設定された動作条件に合わせて、治療デバイスの動作条件を変更する動作条件変更手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、例えば、動作条件設定手段で、治療デバイスの施術位置が病変部が存在する治療対象領域内にあるときに、その動作条件が治療に最適な動作条件となるように予め設定しておけば、施術位置が治療対象領域内に入ったときに治療デバイスの動作条件が自動的に治療に最適な動作条件に変更されるので、治療時に動作条件を設定する手間が省ける。また、誤って治療に不適切な動作条件に設定してしまうことがない。
【0011】
さらに、動作条件設定手段で、治療前(施術位置が治療対象領域外にあるとき)は、治療デバイスが動作しないように設定しておけば、治療に関係のない領域で誤って動作することを防げる。このようにして、予め設定した動作条件を施術状況に応じて変化させて最適な治療環境を作るとともに治療時間を短縮することができ、患者への負担を低減することができる。なお、施術位置とは、治療デバイスが施術を行う箇所のことであり、治療デバイスが超音波治療用プローブなら、集束超音波の集束点であり、穿刺針なら針の先端である。
【0012】
この場合において、治療デバイスは超音波治療用プローブであり、被検体の断層像を撮像する超音波診断用プローブと一体に形成され、超音波治療用プローブを駆動する治療用超音波送信手段と、超音波診断用プローブを駆動する診断用超音波送信手段と、断層像に基づいて被検体の生体組織の変性を検出する変性検出手段とを有し、動作条件変更手段は、施術状況に応じて、治療用超音波送信手段が停止した際に、診断用超音波送信手段と変性検出手段とを起動するように構成することもできる。
【0013】
これにより、治療時に超音波治療用プローブを停止させると自動で超音波診断用プローブが起動して断層像を撮像し、断層像に基づいて変性領域を求められるので、操作の手間が省ける。また、治療前と治療後の断層像を撮像することにより治療効果を確認することができ、さらに、変性領域をナビゲーション画像に重ねることにより、視認しやすくなる。断層撮影時の超音波診断用プローブの動作条件も治療デバイスと同様に自動で最適な動作条件に変更されるように予め設定しておくことが好ましい。
【0014】
また、治療デバイスを、穿刺針又は放射線治療デバイスとすることもできる。
【0015】
また、動作条件変更手段を、施術状況に応じてナビゲーション画像の解像度を変更するように構成することもできる。また、例えば、MRI装置によるナビゲーション画像は通常はT1強調が好ましいが、治療時にはT2強調が好ましいので、MRI装置でリアルタイムで撮影している際の治療時に、ナビゲーション画像をT2強調とした治療用画像に変更するように構成することもできる。
【0016】
また、動作条件変更手段を、治療デバイスの位置及び姿勢に応じて治療用画像を変更するように構成することもできる。これにより、例えば、治療デバイスの向いている方向の画像を表示することで、施術がし易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、治療時の操作を簡便にする治療支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の治療支援装置の構成図である。
【図2】本発明で用いる超音波プローブの構成図である。
【図3】本発明で用いるナビゲーション画像構成の一例である。
【図4】モニタに表示される治療準備時の画面構成の一例である。
【図5】パラメータの説明について使用する図である。
【図6】深度と周波数、出力との関係を示すグラフである。
【図7】モニタに表示される治療前の画面構成の一例である。
【図8】モニタに表示される治療時の画面構成の一例である。
【図9】実施例2におけるパソコンに表示される治療時の画面構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の治療支援装置について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1の治療支援装置の構成図である。患者6は手術台17に固定されており、操作者26は治療デバイス(本実施例では、超音波プローブ12)を用いて患部の治療を行う。本実施例の治療支援装置は、MRI装置2と、MRI装置2を制御する制御装置4と、MRI装置2により撮像された患者6の3次元画像データを格納する映像記録装置8と、ナビゲーション画像を含む治療支援情報を表示するモニタ10と、超音波プローブ12と、患者6に対する超音波プローブ12の位置及び姿勢を検出する位置検出装置14と、超音波プローブ12を駆動する治療用超音波送信手段及び診断用超音波送信手段を備えた超音波装置16と、パソコン18とを備えて構成されている。
【0021】
また、本実施例の超音波装置16は、映像記録装置8から3次元画像データを読み出してナビゲーション画像を生成するナビゲーション画像処理手段と、ナビゲーション画像処理手段と超音波プローブ12を制御する制御手段とを備えている。
【0022】
MRI装置2は、垂直な静磁場を発生させる上部磁石3と下部磁石5と、これらの磁石を連結するとともに上部磁石3を支持する支柱7と、位置検出装置14を支持するアーム9と、上部磁石3に連結され、アーム9と操作者用モニタ11を支持するモニタ支持部13と、基準ツール15と、手術台17とを含んで構成されている。
【0023】
MRI装置2の図示しない傾斜磁場発生部は、領斜磁場をパルス的に発生させる。さらに、静磁場中の患者6に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器、患者6からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備えており、これらは共振型コイルである。
【0024】
位置検出装置14は、2台の赤外線カメラ20と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードを含んで構成され、操作者26が把持する超音波プローブ12に取り付けられた断層面指示デバイスであるポインタ22により超音波プローブ12の位置及び姿勢を検出する。また、位置検出装置14は、アーム9により移動可能に上部磁石3に連結され、図1に示すように、MRI装置2に対する配置を適宜変更することができるように構成されている。
【0025】
基準ツール15は、赤外線カメラ20の座標系とMRI装置2の座標系をリンクさせるもので、3つの反射球24を備え、上部磁石3の側面に設けられている。制御装置4は、ワークステーションで構成され、パソコン18と、映像記録装置8とに接続され、また、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。
【0026】
パソコン18には、赤外線カメラ20が検出したポインタ22の情報が超音波プローブ12の位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。パソコン18は、赤外線カメラ20が検出したポインタ22の位置から超音波プローブ12の位置を算出し、超音波装置16に送信するとともに、MRI装置2で利用可能な位置データに変換し、制御装置4へ送信する。位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映される。
【0027】
新たな撮像断面で取得された画像はモニタ10に表示される。MRI装置2と超音波装置16の装置間の連結情報は操作者用モニタ11上に表示される。また、取得された画像は映像記録装置8に同時記録される。その他、生体情報に同期した計測をすることも可能であり、患者6に取り付けられた同期計測装置28にて各種情報(脈波、心電、呼吸)を取得することができる。
【0028】
ここで、超音波プローブ12について、図2を用いて説明する。超音波プローブ12は、治療・診断一体型のプローブである。診断用コンベックス型超音波プローブ30は放射状の超音波31を発するのに対して、収束超音波プローブ32は、ある点33に収束するように照射35が行われる。本実施例では、収束超音波中心部に診断用プローブを取り付け、超音波診断装置36と治療用ジェネレータ・アンプ38を備えた治療・診断一体型のプローブを用いる。
【0029】
図3に、本システムで用いられるナビゲーション画像40を示す。ナビゲーション画像40は、実空間42において、MRI装置2により予め撮像された患者6の3次元画像データを、所望の断面で切断した断面図から生成される。本実施例では、3軸断面画像46の他にボリュームレンダリング画像48を用いる。
【0030】
位置検出装置14に取り付けられた赤外線カメラ20にてポインタ22の位置から検出された超音波プローブ12の位置及び施術位置50は、ナビゲーション画像40にそれぞれ重畳表示される。なお、施術位置50は、超音波プローブ12の超音波の集束位置である。また、ナビゲーション画像40には、後述する警告領域52と治療対象領域54が重畳表示される。
【0031】
ここで、本実施例の特徴となる構成と動作を説明する。図4には、治療前にモニタ10に表示される画像が示されている。モニタ10には、治療開始までの手順を示すフローチャート56と、ナビゲーション画像40と、フローチャート56の各ステップ時に表示される作業詳細メッセージ58と、各ステップで使用する3D撮像ボタン60、治療対象領域描出ボタン62、パラメータ設定ボタン64、レジストレーションボタン66、治療デバイス登録ボタン68とが表示されている。この画面を用いて手術開始までの準備を行う。
【0032】
まず、フローチャート56において、3D撮像ボタン60を用いて3Dボリューム撮像を行う(ステップ1)。撮像した3次元画像データは、映像記録装置8に記録されるとともに、ナビゲーション画像40として3軸断面画像46及びボリュームレンダリング表示48される。次に、治療対象領域描出ボタン62を押下し、3D画像から治療対象領域54(セグメンテーション)をボリューム検出して治療対象領域54を3D画像に登録する(ステップ2)。
【0033】
治療対象領域54とは、施術すべき病変部である。また、ステップ2では、治療対象領域54の周辺に警告領域52を設定することもできる。警告領域52とは、この領域に施術位置50が進入すると、後述する治療モードになる領域である。
【0034】
次に、パラメータ設定ボタン64を押下して、通常(治療前)パラメータ設定(ステップ3)及び治療時のパラメータ設定(ステップ4)を行う。ここで、図5を参照して、パラメータの設定、変更について説明する。患者6に対する超音波プローブ12の位置A、Bの場合について説明する。位置A、Bでは、超音波プローブ12の角度、位置及び方向が異なっている。位置Aの超音波画像70は治療対象領域72を描出しており、プローブ位置Bの超音波画像74は治療対象領域76を描出している。また、超音波装置16は、焦点位置自動変更機能80と距離に伴う周波数自動変更機能を備えている。
【0035】
位置Aの超音波プローブ12の施術位置50と登録された治療対象領域72の距離は、3次元画像データに基づいてリアルタイムに計算されて超音波装置16にフィードバックされており、超音波装置16は距離から治療前、治療時、治療後の施術状況を判定する。施術位置50が治療対象領域72に近付いている場合は治療前と判定し、治療対象領域72内にある場合は、治療時と判定し、遠ざかっている場合は治療後と判定する。
【0036】
パラメータの設定は、超音波装置16のパラメータ設定手段によって行われる。パラメータは、治療前、治療時、治療後についてそれぞれ設定される。パラメータ(動作条件)とは、超音波プローブ12の鮮明な画像を得るために最適な周波数、深度、角度、フレームレート等のことである。
【0037】
例えば、高周波及び低周波の生体内深度における周波数と出力強度の関係は、図6に示すように、深度が深くなるにつれて周波数82は低くなり、出力84が増大する設定になっている。これらのパラメータ設定は、操作者26が予め設定しておくことが可能である。
【0038】
さらに、ナビゲーション画像40を各施術状況に合わせて設定しておく。例えば、治療時にナビゲーション画像40を治療用画像に設定する。治療用画像は、通常のナビゲーション画像40を拡大し、解像度を上げた画像であり、超音波プローブ12の位置及び姿勢に応じて治療を行いやすいように変更されるように設定される。
【0039】
一方、パラメータ設定は治療目的の他に、患者の安全性確保(治療対象領域外監視、生体モニタ異常監視、血管等のアクセス禁止領域等の警告)を目的とした使用することも可能である。予め設定した値(生体異常上限等)を越えた場合には、モニタ10に警告を表示し音声にて警告を発する。
【0040】
次に、実空間と画像のレジストレーションボタン66及び使用する治療デバイスの登録ボタン68を押下し(ステップ5)、手術前の作業が終了となる。最後に手術機器・装置を起動し(ステップ6)、手術が開始される。治療対象領域54は、ナビゲーション画像40だけでなく、絶対(装置)座標86上にも重畳表示することができ、また、各ステップでは、作業詳細メッセージ58を表示して、次の作業内容をアシスト又は警告する機能を有している。
【0041】
なお、超音波装置16は、周波数設定や深度の自動設定オン・オフや治療対象領域54の表示・非表示の設定を行うことができる。一方、ナビゲーション画像40については、画像の選択や治療対象領域54の複数個設定、治療デバイス表示方法、色別表示方法や警告方法の設定がある。これらは操作者26が自由に設定でき、どのタイミングで表示方法を変更するかのタイミングも設定できる。
【0042】
図7に、通常モード時(施術位置50が警告領域52外にあるとき)のモニタ10に表示される画面を示す。図7には、超音波画像90と、各情報92と、ナビゲーション画像40と、通常モード時に使用するPlanningボタン94、生体情報ボタン96、超音波画像ボタン98、ナビゲーション画像ボタン100、パラメータ変更ボタン102、画像情報変更ボタン104、治療開始ボタン106とが表示されている。
【0043】
ナビゲーション画像40は超音波プローブ12の位置に応じてが更新される。操作者26は必要に応じて、Planning94を用いて手術経路を作成(補正)しながら、生体情報ボタン96、超音波画像ボタン98やナビゲーション画像ボタン100を用いて画像誘導を行う。各情報92には、脈、呼吸等の生体情報や治療デバイス等の情報の詳細が表示されており、超音波画像90には、深度や周波数等の各種パラメータも表示されている。ナビゲーション画像40は、3軸断面画像46の他にボリュームレンダリング画像48が表示され、超音波プローブ12の位置及び施術位置50、警告領域52が重畳表示されている。
【0044】
3軸断面画像46の中心は、一般的に施術位置50に設定されているが、超音波プローブ12や施術位置50を表示させることも可能である。その他、パラメータ変更ボタン102を押下することで、事前に設定したパラメータ群を一括変更することができ、押下する毎にリアルタイムに変更することが可能である。ナビゲーション画像40もMRI画像やCT画像を予め登録しておくことで、画像情報変更ボタン104を押下するだけで変更が可能である。治療モードへは、警告領域52内に施術位置50が入った瞬間に移行されるが、治療開始ボタン106を押下することで、強制的に治療モードへ移行することもできる。
【0045】
図8に、治療モード時にモニタ10に表示される画面を示す。図8には、超音波画像91,93と、各情報92と、パラメータ一覧95と、ナビゲーション画像40と、治療時に使用するプランニング(Planning)ボタン94、生体情報ボタン96、超音波画像ボタン98、ナビゲーション画像ボタン100、治療開始ボタン106、診断パラメータ設定ボタン108、治療パラメータ設定ボタン110、画像情報ボタン112、治療経過ボタン114、ログボタン116とが表示されている。
【0046】
治療モード時では、超音波装置16に組み込まれたパラメータ変更手段が、図4で設定されたパラメータに合わせて、超音波プローブ12のパラメータを変更し、ナビゲーション画像40を、治療用画像122,124,126に変更する。
【0047】
また、治療モードでは、超音波プローブ12での治療を一時停止した際に、超音波画像91,93を撮像できるようになっている。これにより、治療時の領域118と残治療領域120が分かる。また、超音波画像に基づいて検出された変性領域をナビゲーション画像40に重ねることもできる。
【0048】
変性領域は、超音波装置16の変性検出手段によって検出される。変性検出手段は、治療超音波が照射されることによって上昇した病変部の温度を検出し、検出した温度をそれぞれ輝度に変換して超音波画像上に表示する。なお、変性領域は、MRI装置2で撮影したT2強調画像により検出することもできる。
【0049】
操作者26は、必要に応じてプランニング(Planning)ボタン94を用いて手術経路を作成(補正)しながら、生体情報ボタン96、超音波画像ボタン98やナビゲーション画像ボタン100を用いて画像誘導を行う。各情報92は、生体情報や治療デバイス等の情報の詳細が表示されており、超音波画像は、治療前の超音波画像91、治療時(リアルタイム)の超音波画像93がそれぞれ表示されており、深度や周波数等の各種パラメータと、治療時の領域118と残治療領域120が分かる。また、超音波プローブ12が移動した場合には自動追随機能が働き、周波数や深度が最適なパラメータが自動変更されるようになっている。
【0050】
ナビゲーション画像40は、3軸断面画像46の他にボリュームレンダリング画像48が表示され、超音波プローブ12の位置及び施術位置50を画像上に重畳表示することができる。
【0051】
パラメータは手動で適宜変更することができ、設定状況はパラメータ一覧95で表示することが可能である。治療開始ボタン106に連動して画像情報ボタン112、治療経過ボタン114、ログボタン116がオンとなるが、必要に応じて手動でオフとすることもできる。
【0052】
この機能により、治療前情報と治療時情報とその差分情報(治療経過情報、残治療領域等)が画像情報として表示される。また、ログ情報は、過去に行った治療経過内容を見直すために使用される。治療前後の情報は超音波画像91,93と、3軸断面画像46とボリュームレンダリング画像48の他に、数値データとして表示することもできる。
【0053】
以上説明したように、本実施例によれば、パラメータ設定で、超音波プローブ12の施術位置50が病変部が存在する治療対象領域54内にあるときに、そのパラメータが治療に最適なパラメータとなるように予め設定しておけば、施術位置50が治療対象領域54内に入ったときに超音波プローブ12のパラメータが自動的に治療に最適なパラメータに変更されるので、治療時にパラメータを設定する手間が省ける。また、誤って治療に不適切なパラメータに設定してしまうことがない。
【0054】
さらに、パラメータ設定で、治療前は、超音波プローブ12が動作しないように設定しておけば、治療に関係のない領域で誤って動作することを防げる。本実施例により、予め設定したパラメータを施術状況に応じて変化させて最適な治療環境を作るとともに治療時間を短縮することができ、患者への負担を低減することができる。
【0055】
また、治療時に超音波プローブ12の治療用プローブを停止させると自動で診断用プローブが起動して超音波画像を撮像し、断層像に基づいて変性領域を求められるので、操作の手間が省ける。また、治療前と治療後の超音波画像91,93を撮像することにより治療効果を確認することができ、さらに、変性領域をナビゲーション画像40に重ねることにより、視認しやすくなる。
【実施例2】
【0056】
実施例2について、図9を参照して説明する。実施例1と異なる点は、実施例2では、超音波プローブ12に代えて穿刺針130を用いており、病変部への直接穿刺と針先端部136からの直接治療を行う。実施例1の超音波装置16で行った図4におけるパラメータ設定、パラメータ変更等はパソコン18で行うようになっている。
【0057】
図9は、治療モード時にパソコン18に表示される画面であり、図8との相違点としては、穿刺直後画像132と、治療中画像134の表示である。これらは、MRI装置2で撮影される。また、治療前の画像はT1強調画像であり、治療時の画像はT2強調画像となるように設定されている。
【0058】
図9では、治療対象領域54への穿刺を行い、穿刺針130の先端136から温熱療法にて経過をモニタリングしている様子を示している。ナビゲーション画像40は、ボリューム画像更新毎に治療経過の差分画像が表示できる機能を有している。例えば、ポインタ22を穿刺針130に取り付け、穿刺針130のある位置を常に撮像断面とするように構成した場合、パソコン18には穿刺針130を常に含む断面が表示されることになる。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、治療デバイスとして穿刺針130を適用することができる。
【0060】
以上、実施例1,2について説明したが、本発明は、これらに限らず適宜構成を変更して適用することができる。例えば、パラメータ設定の際の場合分けについて、治療前と治療時と治療後としたが、さらに詳細な場合分けをして複数の条件毎に画像情報や機器稼働条件を設定するようにしてもよい。
【0061】
また、ナビゲーション画像処理手段、ナビゲーション画像処理手段と超音波プローブ12を制御する制御手段、パラメータ設定、パラメータ変更手段等は、超音波装置16に設けても、パソコン18に設けてもよい。
【0062】
画面の構成については、図4,7乃至9の構成に限られず、モニタ10、操作者用モニタ11、パソコン18のいずれにも表示するようにしてもよい。
【0063】
実施例1では、超音波プローブ12として治療・診断一体型のプローブを用いたが、治療用プローブのみを用いてもよく、実施例2で、超音波画像を得るために診断用プローブを用いてもよい。治療デバイスを、放射線治療デバイスとすることもできる。
【0064】
本発明は、操作者26自身(手技)による治療、あるいは、ロボット・マニピュレータを用いた間接的な治療のいずれにも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
2 MRI装置
6 患者
10 モニタ
11 操作者用モニタ
12 超音波プローブ
14 位置検出装置
16 超音波装置
18 パソコン
22 ポインタ
26 操作者
40 ナビゲーション画像
50 施術位置
54 治療対象領域
130 穿刺針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像装置により撮像された被検体の3次元画像データが格納されたメモリと、該メモリから前記3次元画像データを読み出してナビゲーション画像を生成するナビゲーション画像処理装置と、前記被検体の病変部に治療を施す治療デバイスと、前記被検体に対する前記治療デバイスの位置及び姿勢を検出する3次元位置検出装置と、前記ナビゲーション画像を含む治療支援情報を表示する画像表示装置と、前記ナビゲーション画像処理装置と前記治療デバイスを制御する治療支援制御装置を備えてなる治療支援装置において、
前記治療支援制御装置は、
前記治療デバイスの動作条件を治療前、治療時、治療後の施術状況に対応させて予め設定する動作条件設定手段と、
前記画像表示装置に表示されるナビゲーション画像上で設定された治療対象領域を前記メモリの3次元画像データに登録する治療対象領域登録手段と、
前記3次元位置検出装置により検出された前記治療デバイスの位置及び姿勢に基づいて前記治療デバイスの施術位置を求めて、前記ナビゲーション画像上に表示する位置検出手段と、
前記施術位置と前記治療対象領域との距離に応じて前記施術状況を判定し、前記動作条件設定手段により設定された動作条件に合わせて、前記治療デバイスの動作条件を変更する動作条件変更手段とを備えてなることを特徴とする治療支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の治療支援装置において、
前記治療デバイスは超音波治療用プローブであり、前記被検体の断層像を撮像する超音波診断用プローブと一体に形成され、前記超音波治療用プローブを駆動する治療用超音波送信手段と、前記超音波診断用プローブを駆動する診断用超音波送信手段と、前記断層像に基づいて前記被検体の生体組織の変性を検出する変性検出手段とを有し、前記動作条件変更手段は、前記施術状況に応じて、前記治療用超音波送信手段が停止した際に、前記診断用超音波送信手段と前記変性検出手段とを起動することを特徴とする治療支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の治療支援装置において、
前記治療デバイスは、穿刺針又は放射線治療デバイスであることを特徴とする治療支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の治療支援装置において、
前記動作条件変更手段は、前記施術状況に応じて前記ナビゲーション画像の解像度を変更することを特徴とする治療支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の治療支援装置において、
前記動作条件変更手段は、前記治療デバイスの位置及び姿勢に応じて前記ナビゲーション画像を変更することを特徴とする治療支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−269067(P2010−269067A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125230(P2009−125230)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人科学技術振興機構、「急性脳梗塞治療における経頭蓋超音波脳血栓溶解装置に関する新技術の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】