説明

泡沫皮膚外用エアゾール剤

【課題】スキンケア化粧品など水溶性薬剤やエタノールを配合した化粧料を炭酸ガスを噴射剤として安定して発泡しながら噴射することができる泡沫皮膚外用エアゾール剤を提供する。
【解決手段】(A)所定の水溶性エチレン性不飽和モノマーの混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤0.1〜5.0質量%と、(B)水溶性薬剤と、(C)エタノールと、を含有する組成物を原液とし、炭酸ガスを噴射剤とするエアゾール剤であって、該エアゾール剤がエアゾール容器から発泡しながら噴射する泡沫皮膚外用エアゾール剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の増粘剤とエタノールと水溶性薬剤を含有する組成物を原液とし、炭酸ガスを噴射剤とすることにより、エアゾールの内容物が発泡しながら噴射する泡沫皮膚外用エアゾール剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキンケア化粧品などの化粧料を垂れ落ちることなく皮膚に簡便に塗布することができること、また、滑らかに塗り広げることができるなど使用性に優れることから、スキンケアなどの化粧料を泡状に噴射することができるエアゾール製品が注目されている。
【0003】
そして、このようなエアゾール製品の使用部位は顔の皮膚であることから、噴射剤は通常のヘア用製品に用いられるLPG(液化石油ガス)ではなく、皮膚への影響や臭いが無く、化粧水や乳液などの化粧料への溶解性を有する炭酸ガスが用いられる。また、内容物を泡状に発泡し、泡を所定時間保持するために、化粧料には炭酸ガスとの親和性が高い水溶性高分子を配合することが求められる。
【0004】
しかしながら、スキンケアなどの化粧料においては、清涼感を得るためのエタノールやスキンケア効果を促すための水溶性の薬剤が配合されるため、通常、親水性増粘剤として使用されるカルボキシビニルポリマーやアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体などの安定性が高いとされる増粘剤であっても、エタノールの影響によりポリマーの分散状態が単なる水への分散の場合と異なり、増粘しないか、あるいは増粘しても経時による粘度低下が生じ、発泡した泡が短時間で消失してしまうなど使用性に問題が生じる場合があった。また、増粘剤によっては、水溶性薬剤を起因とする塩の影響により粘度低下を来すものがある。
【0005】
さらに、炭酸ガスを噴射剤として使用する場合には内容物のpHは低下する傾向にあるが、カルボキシビニルポリマーや架橋ポリ(メタ)アクリル酸等の増粘剤は該ポリマーに含まれるカルボキシル基が解離状態になることで水中にてポリマーが膨潤し増粘する性質を有することから、カルボキシル基が充分に解離しない弱酸性以下のpH領域ではこれらは増粘剤として機能しないという欠点があるため、内容物の粘度が安定しないか、粘度が低下するなどの事態が生じる可能性がある。
【0006】
化粧料をエアゾール製品として安定して泡沫状に噴射するためには、化粧料や炭酸ガスとの親和性を高めるために水溶性を呈しながら、エタノールや水溶性薬剤を配合した場合にも粘度の低下がなく、pHの変化(低下)によっても増粘効果を維持し得る増粘剤を配合した皮膚外用エアゾール剤の開発が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−69912号公報
【特許文献2】特開平11−228334号公報
【特許文献3】特開2010−30945号公報
【特許文献4】特開2008−115100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スキンケア化粧品など水溶性薬剤やエタノールを配合した化粧料を、炭酸ガスを噴射剤として安定して発泡しながら噴射することができる泡沫皮膚外用エアゾール剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、水溶性薬剤とエタノールを配合したスキンケア用化粧料のような組成物であっても、所定のアニオン性増粘剤を配合してこれを原液とすることにより、炭酸ガスを噴射剤として、内容物を安定して発泡し噴射できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(A)下記の(a)一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、(b)一般式(II)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体からなる水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤0.1〜5.0質量%と、(B)水溶性薬剤と、(C)エタノールと、を含有する組成物を原液とし、炭酸ガスを噴射剤としてエアゾール容器に充填することにより、内容物を発泡しながら噴射することを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
(a)一般式(I):
【化1】

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表わす。)
(b)一般式(II):
【化2】

(R及びRはそれぞれ独立にH又はメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン若しくはNHを表わす。)
【0011】
さらに本発明は、前記(A)アニオン性増粘剤が、前記(a)ジアルキルアクリルアミドと、前記(b)アニオン性アクリルアミド誘導体と、さらに下記の(c)一般式(III)に示される架橋性モノマーからなる水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤であることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。

(c)一般式(III)
【化3】

(R13およびR17はHまたはメチル基、R14およびR16は−O−または−NH−、R15は炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基または−(CHCHO)−(但しn=4〜100)を表す。)
【0012】
さらに本発明は、前記(a)一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド及びN−メチル−N−ペンチルアクリルアミドからなる群から選ばれる1又は2種以上であることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0013】
さらに本発明は、前記(b)一般式(II)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩であることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0014】
さらに本発明は、前記(c)一般式(III)に示される架橋性モノマーが、N,N’−メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0015】
また本発明は、前記(A)アニオン性増粘剤が、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物の分散相中に、水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルであることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0016】
さらに本発明は、前記(A)アニオン性増粘剤が、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相中に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルであることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0017】
さらに本発明は、前記(B)水溶性薬剤が、L−アスコルビン酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルコキシサリチル酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、及びこれらの塩から選ばれる1又は2種以上であることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【0018】
また本発明は、エアゾール内の圧力が、0.4〜0.8MPaであることを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤によれば、スキンケア化粧品など水溶性薬剤やエタノールを配合した化粧料を原液とし、炭酸ガスを噴射剤として安定して発泡しながら噴射することが可能となる。
【0020】
また、増粘剤による経時での粘度低下が生じないため、泡を長時間にわたり保持することができ、垂れ落ちることなく皮膚に塗布することができる。また、塗布後は増粘剤による皮膚のベタつきもない。
【0021】
本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤は原液に、水溶性薬剤を含有するためスキンケア効果を奏することが可能であり、エタノールを含有するため清涼感を与え使用感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ヘキサン(Wで示す)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(Oで示す)の3成分系相図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(a)ジアルキルアクリルアミド
本発明に用いるジアルキルアクリルアミドは、下記の一般式(I)で表される。
【化1】

【0024】
はHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。RとRの組み合わせは、前記アルキル基の中から任意のアルキル基の組み合わせのものが使用できる。本発明においては(a)ジアルキルアクリルアミドとして、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミドが好ましく使用される。
【0025】
(b)アニオン性アクリルアミド誘導体
本発明に用いるアニオン性アクリルアミド誘導体は、下記の一般式(II)で表される。
【化2】

【0026】
及びRはそれぞれ独立にH又はメチル基、Rは炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン若しくはNHであり、任意に組み合わせたものを使用することができる。本発明においては(b)アニオン性アクリルアミド誘導体として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0027】
共重合に使用されるアニオン性モノマーを、一般式(II)のようにスルホン酸残基を含むモノマーとすることで、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった水溶性薬剤やエタノールを配合した製剤の増粘も可能となる。
【0028】
(c)架橋性モノマー
本発明に用いる架橋性モノマーは、下記の一般式(III)で表される。
【化3】

【0029】
13およびR17はHまたはメチル基、R14およびR16は−O−または−NH−、R15は炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基または−(CHCHO)−(但し=4〜100)を表し、これらを任意に組み合わせたものを使用することができる。本発明においては、架橋性モノマーはN,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。
【0030】
水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を共重合する方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の公知の重合法で重合すれば良いが、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られる合成高分子のミクロゲルとして得ることが好ましい。重合開始剤としてはラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限は無いが、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0031】
ミクロゲルからなる増粘剤とは、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られる合成高分子のミクロゲルからなる増粘剤である。
【0032】
ミクロゲルとは逆相マイクロエマルション重合法で製造された合成高分子電解質の微粒子である。ミクロゲルからなる増粘剤は、水、エタノールあるいは水―エタノール混合溶液中で膨潤し、外観上肉眼的に均一な高粘度溶液を提供できる。
【0033】
ミクロゲルからなる増粘剤は不均一重合系で重合される。得られる合成高分子は微細な高分子ゲル、すなわちミクロゲルとなり、化粧料に配合する際に新たに粉砕して粉末状態にする必要がなく、優れた増粘効果と優れた使用感を発揮し、さらに化粧料の外観上も好ましい。
【0034】
ミクロゲルからなる増粘剤は逆相乳化重合法において製造することができる。すなわち、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して製造される。重合されたミクロゲルは洗浄、乾燥されるが、粉砕する必要はない。特に適宜選択された親水性−疎水性バランス(HLB)に調節された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルからなる増粘剤が製造されることが好ましい。
【0035】
一相マイクロエマルションとは熱力学的に安定に油相と水相が共存している状態で油・水間の界面張力は極小になっている状態である。また、微細W/Oエマルションは熱力学的には不安定であるが速度論的に安定に油と水が微細なW/Oエマルションとして存在している状態である。一般的に微細W/Oエマルションの内水相の粒子径は数10〜100nm程度である。これらの状態は系の組成と温度のみで決定され、機械的な攪拌条件などには左右されない。
【0036】
重合系を構成する組成物は、水とは混合しない有機溶媒若しくは油分からなる分散媒(外相を構成する)、水からなる分散相(内相を構成する)とからなる。好ましい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。好ましい油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
【0037】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、分散相である水に溶解し次いで分散媒である有機溶媒あるいは油分と混合され、所望の温度に加熱した後、重合開始剤を水相に添加し重合を行う。
【0038】
一般的に不均一重合法では重合中の攪拌条件により製造される高分子の物性が異なることが知られている。その理由は乳化系が熱力学的に安定な状態ではない為に攪拌条件による乳化粒子の形状、サイズに変化が生じる為である。本発明においては、熱力学的に安定な一相マイクロエマルション領域あるいは準安定的である一相領域の近傍に存在する微細W/Oエマルション領域で重合を行うことでこれらの問題を回避できることを見出した。具体的には、通常の熱重合あるいはレドックス重合用の重合開始剤の最適重合温度近傍に上記一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルション領域が出現するように重合系の組成(有機溶媒の種類、界面活性剤のHLB)を調節することで微細な水相(水滴)内で高分子を重合することで増粘効果が高いミクロゲルを得ることが可能になった。相図による例を図1に示す。図1は、有機溶媒にヘキサンを使用した場合の、ヘキサン(Wで示す)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(Oで示す)の3成分系の相図である。図中に示したA領域が一相マイクロエマルション領域〜微細W/Oエマルション領域であり、この領域で重合を行うことにより、好ましいミクロゲルの重合が可能である。
【0039】
上記一般式(I)に示すジアルキルアクリルアミドと一般式(II)に示すアニオン性アクリルアミド誘導体の重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=8:2である。特に好ましい増粘剤は、水溶性エチレン性不飽和モノマーにジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルである。この場合に、架橋モノマーは必要がなく、自己架橋により優れた増粘効果と使用感が発揮される増粘剤が得られる。
【0040】
水溶性エチレン性不飽和モノマーを、分散相に溶解して本発明に好ましいミクロゲルを重合するためには、最適な外相油分あるいは有機溶媒と、界面活性剤とをそれぞれを選択することが必要である。本発明者は、非イオン界面活性剤の親水性−疎水性バランス(HLB)を重合系の組成において相図を作成することにより、熱ラジカル重合に適する温度において曇点を示すように調製することで、通常の熱ラジカル重合温度において一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する状態を作り、増粘剤として好ましいレオロジー特性を持つミクロゲルが得られることを見出した。
【0041】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。これらの界面活性剤を適宜組み合わせて所望のHLBに調整して重合系に添加することが出来る。
【0042】
第三成分の(c)架橋性モノマーは必ずしも必要ではないが、これを添加し共重合しても本発明に使用されるミクロゲルは合成可能である。多官能性架橋モノマーは、一般式(III)に示されるモノマーが好ましく、一般式(III)で示される架橋モノマーの一種類あるいは二種類以上を使用して架橋することが出来る。これらの架橋性モノマーはジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体との重合系において効率よく架橋構造を取り得ることが必須である。
【0043】
好ましい架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート等が挙げられ、この中から選ばれた一種または二種以上を用いることが出来る。本発明においては、特に、N,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましく使用される。
【0044】
本発明の増粘剤である共重合体中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位とジアルキルアクリルアミド単位の含有量のモル比は、通常、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1であり、さらに好ましくは=1:9〜3:7である。最適比は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=2:8である。本発明の増粘剤の粘性は強解離基であるスルホニル基に基づく静電反発による分子鎖の伸展およびジアルキルアクリルアミドの自発架橋反応あるいは架橋性単量体による架橋構造に起因しているが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位またはその塩の含有量が、ジアルキルアクリルアミド単位に対して5モル%未満では十分に分子鎖の伸展が起こらないため十分な粘度が得られないことがある。
【0045】
架橋性モノマーの使用量は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩とジアルキルアクリルアミドの全モル数に対し0.0001〜2.0モル%の範囲で添加されることが好ましい。0.0001モル%未満で調製された増粘剤は架橋の効果が見られない場合がある。また、2モル%を超えて調製された場合、架橋密度が高すぎてミクロゲルが充分に膨潤出来ないために充分な増粘効果を発揮しない場合がある。
【0046】
本発明に用いる増粘剤の分子量は重量平均分子量10万〜500万(PEG換算:GPCによる測定)程度であり、増粘剤として求められる粘度により調節される。
【0047】
ミクロゲルからなる増粘剤は重合後簡単な沈殿精製工程を経て粉末状態で分離することが可能である。粉末状に分離されたミクロゲルは、水あるいはエタノールまたは水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し増粘剤として機能する。
【0048】
本発明に用いるアニオン性増粘剤は、従来、増粘若しくはゲル化が困難とされたアルコールの増粘若しくはゲル化も可能である。本発明に用いる増粘剤は増粘若しくはゲル化の用途に使用され、化粧料に増粘剤として配合すると、優れた増粘効果を発揮し、さらに従来の増粘剤の問題とされていた、化粧料使用時のぬるつき及び乾き際のべたつきが大幅に改善され、極めて優れた使用感を持つ化粧料の製造が可能になる。
【0049】
かくしてアニオン性増粘剤が得られるが、該アニオン性増粘剤は、例えば特開2001−114641号公報、特開2004−43785号公報に記載されている。
【0050】
本発明に配合するアニオン性増粘剤の量は、目的や用途に応じて特に制限されるものではないが、泡を一定時間保持しつつ皮膚へ塗り広げ易く、さらに塗布後においてべたつきのない使用性を得るためには、原液となる組成物中に0.1〜5.0質量%含有することが好ましい。
【0051】
(B)水溶性薬剤
本発明に配合する水溶性薬剤とは、水に可溶性である任意の活性成分を意味し、皮膚外用剤に配合できるものであれば特に制限されるものではない。また、水溶性薬剤は塩として配合することもできる。例えば、L−アスコルビン酸およびその誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体、アルコキシサリチル酸およびその誘導体、グルタチオンおよびその誘導体、およびこれらの塩などが挙げられる。これらは、美白などのスキンケア効果を奏する成分であるが、これらの成分を配合することはイオン性増粘剤の粘度低下を引き起こす要因となる。
【0052】
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCと言われ、強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレートなどのL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類;L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。本発明では、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドの各塩の形で好適に用いられる。
【0053】
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体、(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)などが挙げられる。本発明ではトラネキサム酸の塩あるいはトラネキサム酸誘導体の塩の形で好適に用いられる。
【0054】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸などが挙げられる。本発明ではアルコキシサリチル酸およびその誘導体(エステルなど)の各塩の形で好適に用いられる。
【0055】
上記薬剤の塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
【0056】
(B)成分は1種または2種以上を用いることができ、その配合量は任意である。製品設計において目的に応じて水溶性薬剤の配合量を適宜決定すべきであるが、原液となる組成物中、0.001〜10.0質量%程度配合されることが好ましい。0.001質量%未満であると、水溶性薬剤の効果が十分に発揮されないことがあり、10質量%を超えて配合しても、さらなる効果の向上が期待できないためである。
【0057】
(C)エタノール
原液におけるエタノールの配合量は目的や用途に応じて適宜設定すべきものであるが、適度な清涼感を得るためには原液の1.0〜60.0質量%、好適には5.0〜40.0質量%が好ましい。
【0058】
本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤の原液には、化粧料等としての目的、用途に応じて、油性基剤、界面活性剤、粉体、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、薬剤、染料、顔料、香料、水等を発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することが出来る。
【0059】
本発明にかかる泡沫皮膚外用エアゾール剤は、スキンケア製品などの化粧料を泡状に噴射し、発泡した内容物を直接あるいは手に取った後、皮膚に塗布して使用する。通常、ヘア用製品などのエアゾールでは、噴射剤はLPG(液化石油ガス)を使用するが、皮膚への影響や臭いが無く、化粧水や乳液(O/Wタイプ)などの化粧料への溶解性を有する炭酸ガスを噴射剤として用いることが望ましい。炭酸ガスは、噴射の強さや発泡した泡の硬さ等に影響するものであり、スキンケア化粧料として皮膚に塗り広げやすさから、原液に対して0.01〜10%、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%配合する。また、エアゾール内の圧力は、0.4〜0.8MPaが好ましく、特に0.6MPaが好ましい。
【0060】
本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤は、炭酸ガスの圧力により内容物を噴射するとともに原液に溶解していた炭酸ガスが膨張し、内容物は噴射しながら発泡するが、例えば、噴射剤に比較的高い沸点の液化ガスなどを混合することにより、内容物を噴射し、暫く時間が経過した後に発泡させることも可能である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における配合量は特に断りのない限り%(質量百分率)である。
【0062】
まず、本発明に用いる増粘剤の合成例を説明する。合成例で得られる増粘剤はミクロゲルである。
【0063】
<合成例1>
ジメチルアクリルアミド(興人製)を40gと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)9gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n−ヘキサン250gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0064】
<合成例2>
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n−ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびエポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0065】
上記合成により得た増粘剤を配合したエアゾール剤について各種評価試験を行った。
【0066】
各種増粘剤の泡保持性等の効果を評価した結果を表1に示す。テスト品は、表に示す組成物を原液とし、さらに炭酸ガスを充填剤として最終平衡圧0.6MPaとなるようにエアゾール容器に充填したものを評価した。
【0067】
表1に示すように、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(合成例1)、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2)は、エタノールが配合される組成物中においても、組成物を増粘する効果を発揮し、「泡保持性」や「垂れ落ちの無さ」について優れた結果を示した。
【0068】
【表1】

(*1)商品名「シンタレンK」(和光純薬工業(株)販売)を使用
(*2)商品名「ペミュレンTR−2」を使用
(*3)商品名「SIMULGEL EG」(SEPPIC社製)のW/Oエマルジョン(有効分37.5%)からポリマーのみ取り出したものを使用
【0069】
尚、評価項目である「泡保持性」とは、エアゾールの噴射後、10秒、30秒経過時点において、発泡した内容物の泡が潰れずに保持されていることを目視で評価したものである。また、「垂れ落ちの無さ」とは、水平に対し45度に傾斜した板上に内容物を噴射し、噴射後10秒後に発泡した内容物が所定の場所に流れずに留まっていることを目視で評価したものである。「泡保持性」と「垂れ落ちの無さ」は、増粘剤による増粘効果が高いほど向上する傾向にある。
【0070】
水溶性薬剤であるトラネキサム酸を配合した組成物における各種増粘剤の泡保持性等の効果を評価した結果を表2に示す。
【0071】
【表2】

(*4)商品名「セピゲル502」(SEPPIC社製)
【0072】
表2に示すように、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(合成例1)、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2)は、トラネキサム酸が配合される組成物中においても、組成物を増粘する効果を発揮し、「泡保持性」や「垂れ落ちの無さ」について優れた結果を示した。
【0073】
表3に、塩酸0.01%を配合し弱酸性(pHは約3.7〜4.0)に調整した系における各増粘剤の泡保持性等について評価した結果を示す。
【0074】
【表3】

【0075】
表3に示すように、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(合成例1)、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2)は、弱酸性(pHは約3.73)の内容物においても増粘する効果を発揮し、「泡保持性」や「垂れ落ちの無さ」について良好な結果を示した。これらの増粘剤を配合することにより噴射剤である炭酸ガスの影響を受けることなく内容物は安定した粘度を維持することが可能になるとともに、弱酸性を呈する化粧料処方にも対応することが可能となる。
【0076】
本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤について、増粘剤(架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2))の配合量を検討した結果を表4に示す。
【0077】
各テスト品は、表に示す処方にしたがいジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール20000,増粘剤(架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2))、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、苛性カリ、トラネキサム酸、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムを溶解した精製水に、フェノキシエタノールと香料を溶解したエタノールを添加した化粧水を原液とし、さらに炭酸ガスを充填剤として最終平衡圧0.6MPaとなるようにエアゾール容器に充填したものを評価対象とした。
【0078】
【表4】

【0079】
評価項目である「ベタつきの無さ」とは、顔に塗布した後の増粘剤によるベタつきがないことを官能により評価したものである。
【0080】
表4に示すように、増粘剤(架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−N,N’−メチレンビスアクリルアミド共重合体(合成例2)の配合量を増やすにしたがい「泡保持性」と「垂れ落ちの無さ」は向上するが、「ベタつきの無さ」は低下する傾向にある。テスト品22乃至27(実施例9乃至14)では、泡保持性、垂れ落ちの無さ、ベタつきの無さについて、いずれも非常に良好あるいは良好な結果を得ることができた。このことから、組成物中の増粘剤の配合量は、0.1〜5質量%が好適である。
【0081】
以下に、本発明の泡沫皮膚外用エアゾール剤の原液として配合される化粧料の処方例を示す。いずれも上記評価試験により非常に良好あるいは良好な結果が確認されたものである。
【0082】
<処方例1:美容液>
【表5】

【0083】
<処方例2:乳液>
【表6】

【0084】
<処方例3:クリーム>
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記の(a)一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、(b)一般式(II)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体からなる水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤0.1〜5.0質量%と、(B)水溶性薬剤と、(C)エタノールと、を含有する組成物を原液とし、炭酸ガスを噴射剤とするエアゾール剤であって、該エアゾール剤がエアゾール容器から発泡しながら噴射することを特徴とする泡沫皮膚外用エアゾール剤。
(a)一般式(I):
【化1】

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表わす。)
(b)一般式(II):
【化2】

(R及びRはそれぞれ独立にH又はメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Xは金属イオン若しくはNHを表わす。)
【請求項2】
前記(A)アニオン性増粘剤が、前記(a)一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドと、前記(b)一般式(II)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体と、さらに下記の(c)一般式(III)に示される架橋性モノマーからなる水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤であることを特徴とする請求項1記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
(c)一般式(III)
【化3】

(R13およびR17はHまたはメチル基、R14およびR16は−O−または−NH−、R15は炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基または−(CHCHO)−(但しn=4〜100)を表す。)
【請求項3】
前記(a)一般式(I)に示されるジアルキルアクリルアミドが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド及びN−メチル−N−ペンチルアクリルアミドからなる群から選ばれる1又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項4】
前記(b)一般式(II)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項5】
前記(c)一般式(III)に示される架橋性モノマーが、N,N’−メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項6】
前記(A)アニオン性増粘剤が、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物の分散相中に、水溶性エチレン性不飽和モノマー混合物を溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項7】
前記(A)アニオン性増粘剤が、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相中に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項8】
前記(B)水溶性薬剤が、L−アスコルビン酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルコキシサリチル酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、及びこれらの塩から選ばれる1又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。
【請求項9】
エアゾール内の圧力が、0.4〜0.8MPaであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の泡沫皮膚外用エアゾール剤。

【図1】
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【公開番号】特開2012−116806(P2012−116806A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269614(P2010−269614)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】