説明

泡洗剤吐出装置

【課題】洗浄効果の高い泡洗剤を生成できると共に洗剤の漏れ防止を図ることができる泡洗剤吐出装置を提供すること。
【解決手段】洗剤タンク2の底部に洗剤出口9を設け、洗剤タンク2の上部に、外部から洗剤タンク2内部に取り込まれる空気を溜めるタンク空気層11と、該タンク空気層11の空気を取り出すためのタンク空気出口10とをそれぞれ設ける。洗剤タンク2が着脱自在に装着される本体3側に、洗剤供給路4に通じる本体洗剤受け口12と、エゼクター部6の空気供給路5に通じる本体空気受け口13とをそれぞれ設ける。洗剤タンク2の本体3への装着の際に、洗剤出口9と本体洗剤受け口12とが接続されると同時にタンク空気出口10と本体空気受け口13とが接続される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡洗剤吐出装置に関し、詳しくは洗剤中に空気を混入させて泡洗剤を発生させる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗剤タンクに貯留した洗剤をポンプにより浴槽の内面に湯水を供給する流路の一部に送り込み、これにより洗剤を含む湯水を浴槽の内面に設けた洗浄ノズルから浴槽内に洗剤を吐出するようにした洗剤吐出装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで上記特許文献1、2に示される洗剤吐出装置は、単に洗剤を湯水で希釈したものを吐出するものであって、気泡を含む洗剤を吐出するものではなく、このため洗浄効果が低いという問題がある。そのうえ、外部からの空気を取り込む大気開放弁が外部に露出しているので、洗浄ノズルの閉止時に洗剤が逆流した場合に洗剤が外部に漏れ出すという問題もある。
【特許文献1】特開2003−61850号公報
【特許文献2】特開2002−370052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その課題とするところは、洗浄効果の高い泡洗剤を生成できると共に洗剤の漏れ防止を図ることができる泡洗剤吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、以下の構成を特徴としている。
【0006】
洗剤タンク2が装着される本体3に、洗剤タンク2からの洗剤Aが供給される洗剤供給路4と、洗剤供給路4内の洗剤A中に空気を混入させて泡洗剤Bを発生させるエゼクター部6と、泡洗剤Bを加圧して洗浄ノズル7側に送るポンプ8とを備えた泡洗剤吐出装置である。液状の洗剤Aを溜める洗剤タンク2の底部に洗剤出口9を設ける。洗剤タンク2の上部に、外部から洗剤タンク2内部に取り込まれる空気を溜めるタンク空気層11と、該タンク空気層11の空気を取り出すためのタンク空気出口10とをそれぞれ設ける。洗剤タンク2が着脱自在に装着される本体3側に、上記洗剤供給路4に通じる本体洗剤受け口12と、上記エゼクター部6の空気供給路5に通じる本体空気受け口13とをそれぞれ設ける。洗剤タンク2の本体3への装着の際に、洗剤出口9と本体洗剤受け口12とが接続されると同時にタンク空気出口10と本体空気受け口13とが接続される構成とする。
【0007】
このような構成とすることで、洗剤タンク2の装着動作だけで洗剤出口9から洗剤供給路4内への洗剤供給と、タンク空気出口10から空気供給路5内への空気供給とが可能となり、これにより本体3のエゼクター部6において洗浄効果の高い泡洗剤Bが生成可能となる。また仮りに洗浄ノズル7の閉止時にエゼクター部6から空気供給路5内に洗剤Aが逆流した場合でも、その洗剤Aは本体空気受け口13からタンク空気出口10を介して洗剤タンク2内に循環するので、逆流した洗剤Aが本体空気受け口13から漏れ出ることがなくなる。
【0008】
また、上記タンク空気層11とタンク空気出口10とが空気管路14を介して接続され、該空気管路14は、タンク空気層11の天端レベルLよりも下位で且つタンク空気出口10よりも上位に位置しているのが好ましく、この場合、洗剤Aを洗剤タンク2内に入れ過ぎた場合は、余剰の洗剤Aがタンク空気層11とタンク空気出口10とをつなぐ空気管路14を伝ってタンク空気出口10からオーバーフローするので、洗剤タンク2内が満水になることがない。つまりタンク空気出口10が満水指示線となって、洗剤タンク2内の上部に一定容量のタンク空気層11を確保できるので、タンク空気層11から本体空気受け口13への空気供給を絶え間なく行なえる。
【0009】
また、上記本体洗剤受け口12とエゼクター部6との間の洗剤供給路4に、一定量の洗剤Aを溜めるサブタンク15を設けると共に、上記本体空気受け口13とエゼクター部6との間の空気供給路5から分岐した分岐管路16を該サブタンク15内部に連通させるのが好ましく、この場合、サブタンク15は、洗剤タンク2内の洗剤不足を補う役目に加えて、洗剤タンク2内に洗剤Aを入れ過ぎた場合に、タンク空気出口10からオーバーフローする余剰の洗剤Aが、本体空気受け口13から空気供給路5の分岐管路16を伝ってサブタンク15内部に供給される構成となり、洗剤Aの入れ過ぎによる漏れを防止する役目をする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、洗剤タンクを本体に装着するだけで、本体のエゼクター部において洗浄効果の高い泡洗剤が生成可能となり、また洗浄ノズルの閉止時等において空気供給路内に洗剤が逆流した場合でも外部に漏れ出ることを確実に防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図1は本実施形態の泡洗剤吐出装置1全体の概略構成図であり、図2は洗剤タンク2を本体3から取り外した状態の説明図であり、図3はエゼクター部6の内部構造の説明図である。
【0013】
液状の洗剤Aを溜める洗剤タンク2の底部には、逆止弁付き洗剤出口9が設けられている。この逆止弁付き洗剤出口9が本体洗剤受け口12に接続されると逆止弁が開いて洗剤出口9からの洗剤供給が可能な状態となり、一方、洗剤タンク2を本体3から取り外した際には、逆止弁が閉じて洗剤出口9から洗剤Aが漏れない構造となっている。なお液状の洗剤Aとしては、例えば、界面活性剤を含む洗剤原液を水で5〜10倍希釈して得たものが使用される。勿論、洗剤Aの種別は問わない。
【0014】
上記洗剤タンク2内の上部には、外部から洗剤タンク2内部に取り込まれる空気を溜めるタンク空気層11が設けられており、洗剤タンク2の上部の片側にはタンク空気層11の空気を排出するためのタンク空気出口10が下方に向けて開口している。
【0015】
上記タンク空気層11とタンク空気出口10は、空気管路14を介して接続されている。空気管路14は側面視逆U字形に形成されており、タンク空気層11の天面部2aの天端レベルLよりも下位で且つタンク空気出口10よりも上位に位置しており、洗剤Aの入れ過ぎにより洗剤タンク2内が満水となった場合は、余剰の洗剤Aが空気管路14を伝ってタンク空気出口10からオーバーフローする構造となっている。つまり、空気管路14は、タンク空気層11の空気をタンク空気出口10に導く役目に加えて、洗剤タンク2内の上部に常に一定容量のタンク空気層11を確保する役目と、後述のように洗剤Aの入れ過ぎ防止の役目とを果たす。
【0016】
上記洗剤タンク2の天面部2aには、外部からの空気をタンク空気層11内に取り込むための逆止弁付き空気取り込み口19が設けられている。この逆止弁付き空気取り込み口19は、空気取り込み口19からの洗剤Aの漏れを防止すると共に、洗剤Aの減少に伴うタンク空気層11内の気圧低下時には逆止弁が開いて空気取り込み口19からの外部の空気の取り込みを可能とする。さらに洗剤タンク2の天面部2aの片側半部は段落ち部2bとなっており、この段落ち部2bにキャップ18で開閉される洗剤投入口20が設けられ、その下方にはゴミ等を収集するストレーナ21が配置されている。
【0017】
一方、洗剤タンク2が着脱自在に装着される本体3は、持ち運び可能な可搬式とされ、本体3内部には、洗剤供給路4、エゼクター部6、ポンプ8等が収納されている。なお、図1中の22は操作部、23は制御ユニット、24はACアダプター(スイッチング電源)、25はプラグ、26a,26b,26cは電気配線である。
【0018】
本体3には、図2に示すように、洗剤タンク2が装着される装着凹部27が設けられている。装着凹部27は本例では上方に向けて開放されており、装着凹部27の底面部に本体洗剤受け口12が上方に開設され、装着凹部27の側面上部に本体空気受け口13が上方に開設されている。本体洗剤受け口12は洗剤供給路4の上流端を構成しており、本体空気受け口13はエゼクター部6の空気供給路5の上流端を構成している。この本体空気受け口13には逆止弁(図示せず)が設けられており、後述のように洗剤タンク2が本体3に装着されてタンク空気出口10が本体空気受け口13に接続されたときは逆止弁が押し開かれることでタンク空気出口10からの空気供給が可能となり、一方、洗剤タンク2を本体3から取り外した際には逆止弁が閉じられることで、可搬式の本体3が転倒した際にも、本体空気受け口13から洗剤Aが漏れない構造となっている。なお、洗剤タンク2の着脱方法は上下方向に限らず、横方向或いは斜め方向からであってもよい。
【0019】
本体3内部の洗剤供給路4は、図1に示すように、上記本体洗剤受け口12から下方に垂下しており、洗剤供給路4の途中に後述するサブタンク15、エゼクター部6が設けられており、洗剤供給路4の下流端がポンプ8の吸い込み側に接続されている。
【0020】
本体3内部の空気供給路5は、本体空気受け口13から下方に垂下しており、空気供給路5の途中には後述するサブタンク15に接続される分岐管路16が分岐しており、空気供給路5の下流端5aはエゼクター部6に連通している。
【0021】
ここで、洗剤タンク2を本体3の装着凹部27内に装着した際には、洗剤出口9と本体洗剤受け口12とが接続され且つ同時にタンク空気出口10と本体空気受け口13とが接続される構成となっている。これにより、洗剤出口9からの洗剤Aが本体洗剤受け口12を介して洗剤供給路4内に供給されるようになり、且つ、タンク空気出口10からの空気が、本体空気受け口13から空気供給路5内を通ってエゼクター部6に吸い込まれ、エゼクター部6内を通過する洗剤A中に該空気が混入されることで、泡洗剤Bが生成されるものである。
【0022】
即ち、エゼクター部6内には、図3に示すように、下流側(ポンプ8側)に行く程径が小さくなるテーパー筒状の絞り部30を形成しており、絞り部30の外周面とエゼクター部6の内周面との間には環状の空間31を形成している。エゼクター部6の下面部には空気供給路5の下流端5aが接続されている。ポンプ8を駆動させると、エゼクター部6内の洗剤Aの流れにより絞り部30の先端近傍で負圧が発生し、この負圧によりタンク空気層11の空気がタンク空気出口10から空気供給路5を介してエゼクター部6内に吸い込まれ、このときタンク空気層11が負圧になると洗剤タンク2の空気取り込み口19から外部の空気が取り込まれることでタンク空気層11には常に空気が補給される。これにより、エゼクター部6内を流れる洗剤A中に絶え間なく空気Cが混合されて泡洗剤Bが生成され、この泡洗剤Bがポンプ8にて加圧され、ポンプ8の吐出側に接続された吐出ホース32から洗浄ノズル7へと送られるようになる。洗浄ノズル7から吐出される泡洗剤Bは、例えば気泡の径が10〜100μmの範囲で且つボイド率が50〜80%のマイクロバブル状であるのが好ましい。
【0023】
また本例では、上記本体洗剤受け口12とエゼクター部6との間の洗剤供給路4の途中に、洗剤タンク2からの洗剤Aを一旦溜めるためのサブタンク15が設けられている。サブタンク15内に一定量の洗剤Aを溜めることにより、例えば洗剤補給のために洗剤タンク2を取り外した場合でも、洗剤Aの供給を停止させることなくサブタンク15から洗剤供給路4への洗剤供給を継続して行なえるようになる。さらにサブタンク15には、本体空気受け口13とエゼクター部6との間の空気供給路5から分岐した分岐管路16が接続されており、これにより、サブタンク15は、洗剤タンク2内の洗剤不足や洗剤Aの入れ過ぎによる弊害を防止する役目をする。
【0024】
しかして上記構成によれば、洗剤タンク2を本体3に装着した際に、洗剤出口9と本体洗剤受け口12との接続と、タンク空気出口10と本体空気受け口13との接続とが同時に行なわれるので、洗剤タンク2の装着動作だけで洗剤出口9から洗剤供給路4内への洗剤供給と、タンク空気出口10から空気供給路5内への空気供給とが可能となり、これにより本体3のエゼクター部6において洗浄効果の高い泡洗剤Bが生成可能となる。しかも、本体空気受け口13がタンク空気出口10に接続されるので、仮りに洗浄ノズル7の閉止時に空気供給路5から洗剤Aが逆流した場合でも、逆流した洗剤Aは本体空気受け口13からタンク空気出口10の空気管路14を伝って洗剤タンク2内に循環するので、逆流した洗剤Aが本体空気受け口13から外部に漏れ出るのを防止でき、本体3内部のポンプ8や制御ユニット23の絶縁劣化等の不安全現象をなくすことができる利点がある。
【0025】
また、洗剤Aを洗剤タンク2内に入れ過ぎた場合、余剰の洗剤Aが空気管路14を伝ってタンク空気出口10からオーバーフローするので、洗剤タンク2内が満水になることがない。つまりタンク空気出口10が満水指示線となり、洗剤タンク2内の上部に一定容量のタンク空気層11を確実に確保できるので、タンク空気層11から本体空気受け口13への空気供給を絶え間なくできるようになる。また仮に洗剤タンク2を本体3に装着したままで、洗剤タンク2内に洗剤Aを供給する際に洗剤Aを入れ過ぎた場合は、タンク空気出口10からオーバーフローする余剰の洗剤Aが、本体空気受け口13から空気供給路5の分岐管路16を伝ってサブタンク15内に供給されるようになるので、オーバーフローした洗剤Aが漏れ出すこともなくなる。そのうえ、サブタンク15には分岐管路16を介して本体空気受け口13に連通しているので、サブタンク15内の上部にも一定容量の空気層17が確保され、この空気層17によって、分岐管路16からオーバーフローした洗剤Aをサブタンク15内部に受け入れ可能となる。
【0026】
また本例では、本体空気受け口13にも逆止弁を設けているので、洗剤タンク2を取り外したときは逆止弁が閉じることによって洗剤Aの逆流を防止でき、仮りに可搬式の本体3が転倒した場合であっても本体空気受け口13から洗剤Aが外部に溢れ出してしまうのを防止できる利点もある。
【0027】
前記実施形態では、本体3を持ち運び可能な可搬式としたが、勿論可搬式に限らず、一箇所に固定する据え置き式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の泡洗剤吐出装置を説明する概略側面図である。
【図2】同上の洗剤タンクを本体から取り外した状態の概略側面図である。
【図3】同上のエゼクター部を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 泡洗剤吐出装置
2 洗剤タンク
3 本体
4 洗剤供給路
5 空気供給路
6 エゼクター部
7 洗浄ノズル
8 ポンプ
9 洗剤出口
10 タンク空気出口
11 タンク空気層
12 本体空気受け口
13 本体洗剤受け口
14 空気管路
15 サブタンク
16 分岐管路
A 洗剤
B 泡洗剤
L 天端レベル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤タンクが装着される本体に、洗剤タンクからの洗剤が供給される洗剤供給路と、洗剤供給路内の洗剤中に空気を混入させて泡洗剤を発生させるエゼクター部と、泡洗剤を加圧して洗浄ノズル側に送るポンプとを備えた泡洗剤吐出装置であって、液状の洗剤を溜める洗剤タンクの底部に洗剤出口を設け、洗剤タンクの上部に、外部から洗剤タンク内部に取り込まれる空気を溜めるタンク空気層と、該タンク空気層の空気を取り出すためのタンク空気出口とをそれぞれ設け、洗剤タンクが着脱自在に装着される本体側に、上記洗剤供給路に通じる本体洗剤受け口と、上記エゼクター部の空気供給路に通じる本体空気受け口とをそれぞれ設け、洗剤タンクの本体への装着の際に、洗剤出口と本体洗剤受け口とが接続されると同時にタンク空気出口と本体空気受け口とが接続される構成であることを特徴とする泡洗剤吐出装置。
【請求項2】
上記タンク空気層とタンク空気出口とが空気管路を介して接続され、該空気管路は、タンク空気層の天端レベルよりも下位で且つタンク空気出口よりも上位に位置していることを特徴とする請求項1記載の泡洗剤吐出装置。
【請求項3】
上記本体洗剤受け口とエゼクター部との間の洗剤供給路に、一定量の洗剤を溜めるサブタンクを設けると共に、上記本体空気受け口とエゼクター部との間の空気供給路から分岐した分岐管路を該サブタンク内部に連通させてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の泡洗剤吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−29777(P2010−29777A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194137(P2008−194137)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】