説明

波作動式ポンプおよびそれを海底に接続する手段

水域の表面で波のエネルギーを経済的に採取し、このようなエネルギーを、パイプによって伝送することができ、任意の目的に、但し好ましくは電気の生成または脱塩された水の製造に使用することができる水力に変換する目的で設計された汲み上げ装置。本発明の作動手段をより適切に説明するために図1を参照して、浮き(14)が静止状態であり、蓄圧器(30)がポンプの環境の周囲圧力を超えて加圧され、蓄圧器(30)に流体が充填されポンプが流体で満たされると仮定することから始める。このような状況でチェック弁(10)が閉鎖され、蓄圧器(30)によって汲み上げチャンバ(19)が加圧される。汲み上げチャンバ(18)も同様にピストン(2)を介して均等に加圧される。その端部間の圧力差によってロッドまたは管(3)に軸方向の力が生成される。同様に但し反対方向に、その端部間の圧力差によってロッドまたは管(4)に軸方向の力が生成される。ロッドまたは管(4)はロッドまたは管(3)より直径が大きく、これによりロッドまたは管(4)に対する力の大きさはより大きくなる。これらの力は結果として作動可能に接続された浮き(14)に対して最終的に下向きの力となる。この力は、システムを均衡状態に保つために浮き(14)の浮力の一部によって均衡される。この手段によって、浮きから土台まで一連となったポンプ全体が緊張状態で維持される。ここで上昇する波が浮き(14)に対して作用すると仮定すると、上昇する水の動力学的エネルギーと増大する浮きの浮力の双方によって上向きの力が生成される。この力は上記に言及した下向きの力を上回り、作動可能に接続されたピストン(2)と協同する浮き(14)がシリンダ(1)に対して移動し、汲み上げチャンバ(19)の容積を縮小させチェック弁(9)を閉鎖し、これにより流体を排出パイプ(5)へと排出する。同時に汲み上げチャンバ(18)は容積が増大し、チェック弁(10)およびポート(11)を介して流体をそこに進入させる。浮きが波の頂部に達し波がその後下降し始めるとき、チェック弁(9)が開放しチェック弁(10)が閉鎖し、ロッドまたは管(3および4)の直径の差に起因する上記に言及した力によってピストン(2)がシリンダ(1)に対して最初の往復動作と反対方向に動き、その結果汲み上げチャンバ(19)を拡張させ汲み上げチャンバ(18)を収縮させる。流体はしたがって、ポート(11)、チェック弁(9)およびポート(12)を介して汲み上げチャンバ(18)から汲み上げチャンバ(19)へと中空のピストンの中を通過する。ポンプはこのようにリセットされ、次の上昇する波によって生じる次の汲み上げ往復動作のための準備をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海、海洋および湖などの水域における波の動きからエネルギーを生成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、世界の海洋および湖から再生可能な波エネルギーの採取を可能にすることである。
【0003】
この目的を達成するために過去に多くのデバイスが提案されてきた。以下の1つまたは複数の理由が原因でほとんどのものが商業化されなかった。
【0004】
1/デバイスを製造するのに費用がかかりすぎ、それ故従来のエネルギー生成の化石燃料手段と競うことができない。
【0005】
2/多くのデバイスが極めて複雑である。特に海洋環境ではばね、動索、滑車、軸受、ギアボックスおよび他の回転装置、電気または電子制御装置などの構成要素は全て耐用年数が制限されている。
【0006】
3/多くのデバイスが海で電気を生成しその後それを陸上に送電することを試みる。水、特に海水と電気は水と油のように混ざらない。海水と電気を混合させようとする試みはいずれも建設コストが大きくなり、欠陥および腐食の問題によって長期間の使用は信頼性に欠けることになる。
【0007】
4/多くのデバイスは嵐や高波に耐えることができない。
【0008】
5/多くのデバイスは、業界の基準である少なくとも20年の推定耐用年数を達成するのに不可欠な長期間の保守性およびメンテナンス要件を考慮していない。
【0009】
6/多くのデバイスは、放出された場合ともすれば環境を損なう可能性のある油、重金属および他の材料の使用が不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許番号第0265594号
【特許文献2】フランス特許第2800423号
【特許文献3】カナダ特許第2619100号
【特許文献4】米国特許第4,398,095号
【特許文献5】イギリス特許第2428747号
【特許文献6】米国特許第4,326,840号
【特許文献7】米国特許第4,883,411号
【特許文献8】イギリス特許第2281943号
【特許文献9】イギリス特許第2445951号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記のいくつかのまたは全ての問題に対処する水域において波からエネルギーを生成するための改良されたシステムおよび方法に対する要望がある。
【0012】
海の波エネルギーを獲得するために従来技術が記述するデバイスは広範囲にわたる。しかしながらこの提案されるデバイスに密接に関連する従来技術はわずかな例に限定される。最も関係するのは以下のものである。
【0013】
WINDLEの欧州特許番号第0265594号は、往復動作の戻り行程を作動させるためにロープおよび滑車を備えたまたはそれらのないばねまたはおもりまたは浮きに頼る浮き作動式の往復ポンプを開示している。Windleはまた、往復ポンプの浮きおよび土台に対する設置の多様な構成も開示している。ポンプは逆さにされることもあり、あるいは浮きの中にまたは海底にまたは他の構成で設置される場合もある。
【0014】
またJANODYのフランス特許第2800423号は、往復動作の戻り行程を作動させるためのばねを開示している。
【0015】
BURNSのカナダ特許第2619100号は中空のピストンを利用するポンプを開示しているが、専ら往復動作の戻り行程を作動させるのに重力の使用を提案している。
【0016】
ONOの米国特許第4,398,095号は、表面の空気と深いところの水圧との圧力差を利用することによって往復動作の戻り行程を作動させる水圧式の方法を開示している。
【0017】
WOODのイギリス特許第2428747号は、単一の水圧シリンダに係留された浮きを備えた波エネルギーシステムを開示している。
【0018】
同様にHICKS等の米国特許第4,326,840号は、海底で水圧シリンダに係留された浮きを有する波駆動式ポンプを開示している。波が動力を与える汲み上げ装置および方法はWINDLEの米国特許第4,883,411号にも開示されている。
【0019】
波エネルギーシステムはまたMYUNGのイギリス特許第2281943号およびSMITHのイギリス特許第2445951号にも開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明が意図するのは、波作動式ポンプが単独であるいは好ましくは多数の汲み上げユニットのグループまたは配列で配備されることである。これらの各ポンプの排出パイプは、任意の目的で但し好ましくは電気の生成または海水を脱塩する目的で加圧された水を送達するためにそこから岸に接続される水中排出パイプのシステムに接続される。この送電方法はよく知られており、1つの例は様々な汲み上げステーションから工場および他のユーザに送電する目的で1890年にイギリス、ロンドンに加圧された水のパイプのシステムを設置したロンドン水力会社である。水力からの電気の生成およびまたは脱塩された水の製造は当分野に精通する者には十分理解される。
【0021】
本発明は、海底に接続され、流体をポンプから排出パイプへと放出させる海面で上昇する波に追従する浮きの浮力によって形成される上向きの力によって作動する往復ポンプデバイスである。この汲み上げられた流体の一部は、1つまたは複数の排出パイプに接続された蓄圧器に蓄積される。波が下降する際、排出パイプ内の少量の加圧流体がポンプへと戻り、その往復動作の戻り行程を作動させかつまた浮きに対して下向きの力を維持し、その結果それはポンプの位置を垂直方向に海底での接続地点より上に保持することになる。
【0022】
本発明の第1の態様によると、浮きと、
浮きまたは海底の一方に接続され燃料入り口および燃料排出口を有する密閉式のシリンダと、
シリンダ内に配置されその中で長手方向に可動であり、長手方向にそこを貫通して延在する通路を有するピストンと、
ピストンの中を通る通路と連通するように配置された流体チェック弁と、
ピストンに接続され密閉式シリンダの一端を通って延出し、さらに浮きまたは海底の他方に接続される第1ロッドまたは管と、
第1ロッドまたは管の直径より大きな直径を有し、密閉式のシリンダの他端を通って延出する第2ロッドまたは管とを備える浮き作動式の往復ポンプが提供される。
【0023】
一実施形態において本発明は、密閉式のシリンダの一端を通って摺動式かつ密閉式に配置されたロッドまたは管の一端に作動可能に接続された浮きを備え、該ロッドまたは管の他端が該シリンダ内に摺動可能かつ密閉式に配置されたピストンの一端に接続され、該ピストンがその端部間にある通路と、該通路と連通するために配置されたチェック弁とを有し、該ピストンの他端が、該シリンダの他端を通って摺動可能かつ密閉式に配置された直径がより大きな第2のロッドまたは管に接続され、該シリンダに入り口手段と排出パイプが装着され、該シリンダが海底に作動可能に接続される、浮き作動式の往復汲み上げデバイスを提供する。
【0024】
代替の実施形態において本発明は、浮きがシリンダに作動可能に接続され第1ロッドまたは管が海底に作動可能に接続されること以外は上記に記載したような浮き作動式の往復汲み上げデバイスを提供する。
【0025】
使用中ポンプの浮きは水域内で波に作用されるように配置される。装置は海、湖、海洋、川、河港などを含めた波が伝播する水域で使用されてよい。本明細書での「海」および「海底」への言及は限定ではなく、このような水域の他の全ての部分に対する言及と理解されるべきである。
【0026】
第2ロッドまたは管は最も好ましくは、流体がそこを通ってシリンダの中に進入しそこから出る導管を形成する管である。
【0027】
一つの好ましい実施形態において、シリンダの入り口は該シリンダの外部と内部を連通させるために設置されるチェック弁を備える。チェック弁はシリンダの壁の中の任意の好適な位置にあってよく、直径がより大きな第2のロッドまたは管が中を通るシリンダ端部に隣接するまたはその中の一定の位置にあるのが好ましい。
【0028】
一つの好ましい実施形態において、直径がより大きな第2のロッドまたは管は1本の管であり、シリンダの入り口は該管の内部と外部を連通させるために設置されたチェック弁を備え、該管の内部はまた該管の壁の中のポートを介してシリンダと連通する。好ましくはポートは管とピストンの接続部に隣接して配置される。
【0029】
本発明はまたデバイスを配備しかつ回収する方法および手段に関する。
【0030】
本発明はまた嵐のときにデバイスを防護するための方法および手段に関する。
【0031】
本発明はまた嵐の被害からの自己防衛および波エネルギーの最適な獲得に対する浮きの幾何学的形状に関する。
【0032】
本明細書に開示される発明は、先の発明に対する上記に言及した全ての欠点を以下のようにして克服する。
【0033】
1/本明細書に開示される発明は容易に入手できる材料および部品から構築され、大量生産技術を使用して容易に製造することができ、したがってそのコストが低くなる。
【0034】
2/本明細書に開示される発明は、可動部品が極めて少ないため余り複雑なものにならない。
【0035】
3/本明細書に開示される発明は、海において電気を生成する設備を必要としない。
【0036】
4/本明細書に開示される発明は、嵐および高波からの少なくとも2つの防護手段を有するように設けることができる。
【0037】
5/本明細書に開示される発明は、適切な作業寿命を保証するために一般的に極めて硬質であり長持ちする材料から構築されるのに適している。必要なときにそれを保守するまたは修理することができるように、デバイスを配備および回収するための方法および手段も同様に提案されている。
【0038】
6/本明細書に開示される発明は、環境を損なうことが分かっている材料の使用を避けることができる。
【0039】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として以下に記載する。
【0040】
次に図面、すなわち図1、図2および図3に注目されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の完成したポンプ組立体の図である。
【図2】本発明の別の実施形態のポンプの図である。
【図3】海底でポンプをその土台に対して接続するまたは分離させる機構の一実施形態の拡大図である。 まず図1を参照して、ポンプおよびその作動を次に詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
任意の浮揚性の材料で構築され得る浮き(14)は、ガスが入っているまたは入っていない容器を含む。浮きの幾何学的形状は、その水平方向の寸法が大きくかつ相対的にその垂直方向の寸法が小さくなければならない。浮きは、水平方向にそれに近づく水に対して最小限の抵抗を有するように流線形でなければならない。この形状にはいくつかの理由がある。表面積が大きいことにより、浮きが上昇する波から動力学的エネルギーと位置エネルギーの双方を吸収することが可能になる。浮きは、波が小さく上昇するだけでその最大浮力を発揮する。流線形であることにより、波の動きまたは辺りに広がる潮流によってあるいは嵐のときにそれが沈められる際に生じる浮きの水平方向の変位が最小限になる。上記に記載される浮きは、連結金具またはUリンクまたはトグルによって、それ自体が同様の方法でロッドまたは管(3)の一端に接続される可撓性のロープまたは鎖またはロッドまたは管(15)に接続される。このロッドまたは管の他端はピストン(2)の一端に堅く接続される。ピストン(2)は、ピストン(2)の中またはそれに近接して設置されたチェック弁(9)に流体が移動することができるように中空である。ロッドまたは管(3)より直径が大きい別のロッドまたは管(4)がピストン(2)の他端に堅く接続される。本発明の好ましい実施形態では、ロッドまたは管(4)は、その長さの範囲内にまたはその端部に設置されたチェック弁(10)を備える管である。以下に記載される別の実施形態では、それはチェック弁のないロッドまたは密閉された管である。ロッドまたは管(3、4)の一部およびチェック弁(9、10)と協同するピストン(2)はシリンダ(1)の中に密閉され、その中でピストン(2)は自由に摺動することができる。シリンダ(1)はいかなる長さであってもよく、それはロッドまたは管(3、4)が通ることができるようにする以外は両端で閉鎖され、一端に取り付けられた浮揚性のつば(13)を有する。シリンダの各閉鎖端部には、好ましく調節されたクリアランスタイプを含めた任意のタイプのシールであり得るシール(7、8)が装着される。ピストン(2)はこのシリンダ(1)を2つの汲み上げチャンバ(10と18)に分ける。ポートまたは開口(11および12)によって、流体が中空のピストンおよびチェック弁(9)を介してこれらのチャンバ間を移動することが可能になる。ロッドまたは管(3)に隣接するシリンダ(1)の端部は、排出パイプ(5)に接続された開口またはポートを有する。排出パイプ(5)は、全てが可撓性のパイプでも部分的に剛性で部分的に可撓性であってもよい。排出パイプ(5)の他端は岸に直接接続されるか、あるいは好ましい実施形態では海底でポンプをその土台に接続するまたはそこから分離させる機構に接続されるかのどちらかであってよい。この機構はこの本文において後に記載する。好ましい実施形態において、排出パイプ(21)は海面から遠隔式に作動可能である三方サービス弁(29)に接続される。1つまたは複数の排出パイプ(21)にその長さに沿った任意の地点で蓄圧器(30)が接続される。支持構造体(17)が、一端でシリンダ(1)におよびその他端で可撓性のジョイント(16)に堅く接続される。この支持構造体(17)は海に対して開放される場合がある、あるいはその表面に取り付けられたフィルタまたはスクリーンを含む場合がある。別の実施形態において、それは入り口ポート(6)を備えその端部が閉鎖されたシリンダであってよい。この入り口ポートは任意の流体源に接続される場合、または海に対して開放される場合、あるいは任意のタイプの濾過または前処理設備に接続される場合がある。
ポンプの作動
【0043】
本発明の作動手段をより適切に説明するために、浮き(14)が静止状態であり蓄圧器(30)がポンプの環境の周囲圧力を超えて加圧され、蓄圧器(30)に流体が充填されポンプが流体で満たされると仮定することから始める。このような状況でチェック弁(10)が閉鎖され、蓄圧器(30)によって汲み上げチャンバ(19)が加圧される。汲み上げチャンバ(18)も同様にピストン(2)を介して均等に加圧される。その端部間の圧力差によってロッドまたは管(3)に軸方向の力が生成される。同様に但し反対方向に、その端部間の圧力差によってロッドまたは管(4)に軸方向の力が生成される。ロッドまたは管(4)はロッドまたは管(3)より直径が大きく、これによりロッドまたは管(4)に対する力の大きさはより大きくなる。これらの力は結果として作動可能に接続された浮き(14)に対して最終的に下向きの力となる。この力は、システムを均衡状態に保つために浮き(14)の浮力の一部によって均衡される。この手段によって、浮きから土台まで一連となったポンプ全体が緊張状態で維持される。ここで上昇する波が浮き(14)に対して作用すると仮定すると、上昇する水の動力学的エネルギーと増大する浮きの浮力の双方によって上向きの力が生成される。この力は上記に言及した下向きの力を上回り、作動可能に接続されたピストン(2)と協同する浮き(14)がシリンダ(1)に対して移動し、汲み上げチャンバ(19)の容積を縮小させチェック弁(9)を閉鎖し、これにより流体を排出パイプ(5)へと排出する。同時に汲み上げチャンバ(18)の容積が増大し、チェック弁(10)およびポート(11)を介して流体をそこに進入させる。浮きが波の頂部に達し波がその後下降し始めるとき、チェック弁(9)が開放しチェック弁(10)が閉鎖し、ロッドまたは管(3および4)の直径の差に起因する上記に言及した力によってピストン(2)がシリンダ(1)に対して最初の往復動作と反対方向に動き、その結果汲み上げチャンバ(19)を拡張させ汲み上げチャンバ(18)を収縮させる。流体はしたがって、ポート(11)、チェック弁(9)およびポート(12)を介して汲み上げチャンバ(18)から汲み上げチャンバ(19)へと中空のピストンの中を通過する。ポンプはこのようにリセットされ、次の上昇する波によって生じる次の汲み上げ往復動作のための準備をする。次の汲み上げ往復動作が始まるまたは終わるとき、ピストン(2)はシリンダ(1)の長さのいずれの位置にあってもよい。この手段によって、例えば潮によって生じるいかなる水の深さの変動に対してもポンプは自動調整する。三方向サービス弁(29)は、デバイスを保守または修理のために回収することができるように、残りの1つまたは複数の排出パイプ(21)からそれを隔離するのに使用される。
【0044】
次に図2を参照する。
ポンプの記載
【0045】
この図は、入り口とチェック弁の位置が異なるデバイスの別の実施形態を示す。この記載は以下の変更を除いて図1における実施形態の記載と同様である。この実施形態では、入り口ポート(31)は排出パイプ(5)とは反対のシリンダ(1)の端部に位置している。このポート内にまたはこれに隣接して入り口チェック弁(32)が配置されている。ロッドまたは管(4)は、チェック弁のないロッドまたは密閉された管である。ポート(31)は任意の流体源に接続される場合、または海に対して開放される場合、あるいは任意のタイプの濾過または前処理設備に接続される場合がある。
ポンプの作動
【0046】
ポンプの作動は、入ってくる流体が今度はポート(31)およびチェック弁(32)を通過して直接汲み上げチャンバ(18)へと入ること以外は図1の実施形態と同様である。
【0047】
上記に言及した実施形態はいずれも、シリンダに作動可能に接続された浮きと海底に作動可能に接続されたピストンとを逆さにした位置で有するポンプによって構成される場合もある。すなわちロッドまたは管(3)を可撓性のジョイント(16)に接続することができ、シリンダ(1)を可撓性のロープまたは鎖またはロッドまたは管(15)に接続することができる。ポンプの構成および作動は基本的に上記に記載したものと同様である。
ポンプを海底に取り付ける機構の記載
【0048】
次に図3を参照する。
【0049】
図3は、ポンプを土台に接続するまたはそこから分離させることができる機構を示す。
【0050】
トグル、Uリンク、鎖、ロープ、連結金具または任意のタイプの可撓性部材であり得る可撓性ジョイント(16)によってポンプ組立体がこの機構に接続される。可撓性ジョイント(16)の他端はピン(25)の一端に堅く接続される。ピン(25)はその長さの一部を貫通して中空である。排出パイプ(5)がその中空の部分と連通するようにピン(25)に接続される。さらにピンに沿ったところに位置するポート(33)は、ピンの中空の部分およびピンの外部とも連通する。ピン(25)の他端は溝であり、先細になり、滑車(22)およびロック(24)上のフェアリーダを介して海面までおよびこれを超えて延出するロープまたはつなぎ鎖またはケーブルまたは鎖であり得る作動ライン(23)に接続される。このピン(25)は容器(26)に収容され、容器は2つのシール(34)を装備する。シール(34)の間は、排出パイプ(21)と連通する容器(35)内の環状の溝である。ロック(24)は、枢軸を中心に水平方向に回転しピン(25)上の溝に係合するように成形される。ロック(24)内にはフェアリーダが内蔵されている。容器(26)は、支持構造体(28)によって土台(27)に堅く取り付けられる。
【0051】
図3はまた、コンクリート、金属または任意の他の高密度材料から構築される重力を利用した土台であり得る土台(27)を示す。土台(27)はまた、海底の下に設置されるねじ、杭および板を含めた任意の種類の錨であってもよい。
海底にポンプと取り付ける機構の作動
【0052】
図3に示される土台および機構は既知の配向で海底に設置される。ポンプを配備するために、作動ライン(23)の上端はモーターボートまたは他の船に接続される。モーターボートは作動ライン(23)に張力を加え、よってピン(25)およびしたがって作動可能に取り付けられたポンプを容器(26)へ向かってその中に入るように下に引っ張る。モーターボートは、作動ライン(23)に対してなお張力を維持しながらデバイスの周囲を弧を描いて航行する。モーターボートがこのように動くことによって作動ライン(23)がロック(24)のフェアリーダ部分を支え、これによりロックをその枢軸を中心に回転させピン(25)の溝と係合させる。作動ライン(23)は次にモーターボートから切り離され、後に回収するために用意された面で任意の物体に取り付けられる。モーターボートがデバイスを配備するのに使用されたのと反対方向に弧を描いて航行し、ロック(24)をピン(25)の溝から分離させ、よって容器(26)からデバイスを解放させること以外は、デバイスの回収は同様の方法で行なわれる。図1の浮揚性のつば(13)によって分離されたポンプはこの面まで上昇する。
嵐のときの1つまたは複数のポンプの作動
【0053】
1つまたは複数の排出パイプ(21)に沿った任意の地点、但し蓄圧器(30)を超える地点に1つまたは複数の弁が装着することができる。この1つまたは複数の弁は、ポンプの排出パイプ(5)から外に流体が流れ出るのを阻止するために閉鎖され、よってその汲み上げ往復動作でのピストン(2)の動きを阻止することができる。蓄圧器からの加圧された流体が往復動作の戻り行程を作動させ続け、その結果ピストン(2)に作動可能に接続された浮き(14)を最も低い波の谷間のレベルまで下降させる。波が上昇する際浮きはそれより下に沈み、この手段によって、嵐によって引き起こされる波頂に生成される大きな力による損傷からそれ自体が保護される。ピストンおよびしたがって作動可能に接続された浮きの動きを制限するために、弾性の止め具がシリンダ(1)内に装着されるまたはピストン(2)の端部に取り付けられる場合もある。
【符号の説明】
【0054】
1 シリンダ
2 ピストン
3、4 ロッドまたは管
5 排出パイプ
6 入り口ポート
7、8 シール
9、10 チェック弁
11、12 ポート
13 つば
14 浮き
15 ロッドまたは管
16 ジョイント
17 支持構造体
18、19 チャンバ
21 排出パイプ
22 滑車
23 作動ライン
24 ロック
25 ピン
26、35 容器
27 土台
28 支持構造体
29、36 三方サービス弁
30 蓄圧器
31 入り口ポート
32 入り口チェック弁
33 ポート
34 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮きと、
前記浮きまたは海底の一方に接続され燃料入り口および燃料排出口を有する密閉式のシリンダと、
前記シリンダ内に配置されその中で長手方向に可動であり、長手方向にそこを貫通して延在する通路を有するピストンと、
前記ピストンの中を通る通路と連通するように配置された流体チェック弁と、
前記ピストンに接続され前記密閉式シリンダの一端を通って延出し、さらに前記浮きまたは海底の他方に接続される第1ロッドまたは管と、
前記第1ロッドまたは管の直径より大きな直径を有し、前記密閉式のシリンダの他端を通って延出する第2ロッドまたは管とを備える浮き作動式の往復ポンプ。
【請求項2】
前記シリンダの前記入り口が、前記シリンダの内部と外部を連通させるために設置されたチェック弁を備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記チェック弁が、前記直径がより大きな第2のロッドまたは管が中を通る前記シリンダ端部に隣接するまたはその中の一定の位置にある、請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記直径がより大きな第2のロッドまたは管が1本の管であり、前記シリンダの入り口が前記管の内部と連通させるために設置されたチェック弁を備え、前記管の内部がまた前記管の壁の中のポートを介して前記シリンダと連通する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ポートが前記管と前記ピストンの接続部に隣接して配置される、請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
海底への接続部が、その一端が前記ポンプ組立体に可撓性に接続されその他端がロープの一端に接続された密閉式の中空のピンを備え、前記ロープが前記ピンのための容器の中に通され、そこから滑車を通るように通され、そこからフェアリーダの中に通され、前記ロープの他端が水面まで延出し、前記滑車が海底に作動可能に接続され、前記容器が海底に接続され、前記フェアリーダが前記容器に作動可能に接続されたロックに接続され、前記ロックが前記ピン内の溝に係合するまたはそこから分離するように配置され、前記ピンの中空の部分が前記ポンプ排出パイプに接続されかつそれと連通し、前記ピンが前記中空の部分とその外側との間にポートを有し、前記容器が前記ピン内の前記ポートと連通するように中に通路を有し、前記通路が別の排出パイプに接続されかつそれと連通する、前記請求項のいずれかに記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−527402(P2011−527402A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517231(P2011−517231)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001718
【国際公開番号】WO2010/004293
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510341031)
【Fターム(参考)】