説明

波形マットレス構造体の製造工程

【課題】容易に折り畳める波形の植物繊維マットレスの製造方法を提供する。
【解決手段】波形マットレス構造体の製造工程であって、該工程には、植物繊維細長体25のスタックを、少なくとも植物繊維シートの第1層24と第2層21と間に配置して、予圧縮した組立体を形成するステップ;及び、該予圧縮した組立体を圧縮して、波形マットレス構造体を形成するステップを備える。予圧縮した組立体を100℃〜135℃の温度で1対の造形型を使用して圧縮するが、そこでは少なくとも片方の該造形型の形状を、複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、略三角形断面の角柱及び多角形断面の角柱を縦に並べた形状から成る群から選択する。該植物繊維を、好適には椰子殻繊維とする。少なくとも1層の前述した工程によって製造した波形構造体を有するマットレスを更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してマットレスの製造工程に関し、より詳細には、植物繊維を使用した波形マットレス構造体の製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマットレスは、ラテックスフォーム、ポリウレタン、植物繊維等の材料製である。これらの材料には、バネ及び磁石を埋設している可能性もある。通常、マットレスを作製するのに使用する材料は、平坦だが、弾力的なものとする。
【0003】
植物繊維を使用したマットレスを製造する背景技術には、繊維を解撚して繊維シートの層を作製するステップを備える。次に、繊維上にラテックスを吹付けて、該繊維をラテックスで被覆し、その結果繊維を密着させて繊維シートにする。この繊維シートを、その後乾燥させる。乾燥後、成形寸法に従い繊維シートを切断し、繊維シートの両面にラテックスを再度吹付け、平坦な型上に層を順にスタックして、この繊維シートのスタックを成形機に押入する。成形後、繊維シートのスタックをマットレスに形成して、該マットレスを冷却及び乾燥へと移す。成形したマットレスをサイズに切断し、成形したマットレスの品質を検査し、カバー被覆する。
【0004】
前述の方法で植物繊維によって作製されたマットレスは、通常平坦で、弾力的だが、容易に折畳めない。折畳めるマットレスによって、収納空間を節約できる。更に、それにより、マットレスを梱包及び輸送する際に、取扱いが容易になる。マットレスを波形構造化することで、マットレスはより簡単に折畳めるようになる。
【0005】
本発明は、植物繊維、好適には椰子殻繊維を使用した波形マットレスを製造する工程を提供する。
【発明の開示】
【0006】
本発明の主たる目的は、植物繊維を使用した波形マットレスの製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、容易に折畳める波形の植物繊維製マットレスを製造することである。
【0008】
本発明の他の目的及び効果については、添付図と関連させての、以下の記述から明らかになるが、その中では説明及び例示として、本発明の実施例を開示する。
【0009】
本発明の好適な実施例によれば、植物繊維から波形マットレス構造体を製造するための製造工程について開示している。波形マットレス構造体を、植物繊維細長体(25)のスタック(26)を植物繊維シートの少なくとも第1層(24)と第2層(21)との間に配置して、予圧縮した組立体を形成することにより、これを作製する。本発明の別の実施例では、製造工程に、植物繊維細長体(25)の別の更なるスタック(26)を、植物繊維シートの第2層(21)と第3層(23)との間に配置して、予圧縮した組立体を形成すること、を備えてもよい。予圧縮した組立体を、その後、1対の造形型によって圧縮して、波形マットレス構造体を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面は本明細書の一部を成しており、該図面では本発明に関する典型的な実施例を挙げるが、本発明を様々な形態で実現してもよい。当然のことながら、場合によっては本発明の様々な態様について、強調又は拡大して示して、本発明に関する理解を促進するかも知れない。
【0011】
好適な実施例に関する詳細な記述をここでは行なう。しかし、当然ながら本発明を様々な形態で実現してもよい。従って、ここで開示する特定の詳細は、制限として解釈されず、むしろ、クレームの根拠として、及び当業者に本発明が実質的に任意の適切な詳細なシステム、構造又は方法で採用できるよう教示するための代表的な根拠として、解釈される。
【0012】
図1を参照すると、波形マットレス構造体(20)を示しており、該構造体には複数の略半球状断面の円柱(22)を縦に並べた形状を有している。波形マットレス構造体を、植物繊維細長体(25)、或いは好適には椰子殻繊維細長体のスタック(26)を、少なくとも植物繊維シートの第1層(24)と第2層(21)との間に配置して、予圧縮した組立体を形成することによって構成する。複数の層の植物繊維シートを存在させてもよく、該シートには植物繊維細長体(25)のスタックをそれらの間に配置する。予圧縮した組立体を次に、1対の造形型(95及び96)によって、図6に示すように、圧縮して、波形マットレス構造体を形成する。この好適な実施例では、下側の造形型を平坦にし、一方上側の造形型には複数の略半球状断面の円柱形状を有する。本発明のこの好適な実施例によれば、植物繊維を好適には椰子殻繊維とする。
【0013】
図2では、波形マットレス構造体(30)の別の実施例を示している。この形状を、1対の造形型を使用して予圧縮した組立体を圧縮することにより形成するが、上側及び下側造形型の両形状を、図7で示すように複数の略半球状断面の円柱を縦に並べた形状とする。本発明のこの実施例によれば、予圧縮した組立体を、植物繊維細長体(25)、好適には椰子殻繊維細長体のスタック(26)を、植物繊維シートの第1層(24)と第2層(21)との間に、更なる植物繊維細長体(25)のスタック(26)を、植物繊維シートの第2層(21)と第3層(23)との間に、図5で示すように、配置して形成する。
【0014】
本発明の別の実施例では、製造工程には、複数の植物繊維シートをスタックして予圧縮した組立体を形成すること、及び該予圧縮した組立体を圧縮して波形マットレス構造体を形成すること、を備える。1対の造形型を、予圧縮した組立体を圧縮するステップで使用し、上記造形型の片方の形状を、一定の間隔で配置する複数のロッド、又は複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、三角形断面の角柱又は多角形断面の角柱を縦に並べた形状とする。
【0015】
図3で示す本発明の別の実施例では、波形マットレス構造体(40)の形状を、複数の台形断面の角柱を縦に並べた形状としている。この波形マットレス構造体(40)の製造については、上記と同様である。しかしながら、上側の造形型には複数の台形断面の角柱を縦に並べた形状を有するのに対し、下側の造形型を平坦にしている。本発明によれば、造形型には、複数の三角形断面の角柱又は多角形断面の角柱を縦に並べた形状を有してもよい。
【0016】
図4では、予圧縮した組立体(90)を示しており、繊維細長体(25)、又は好適には椰子殻繊維細長体を、所定の寸法で、椰子殻繊維シートから切断している。その後に、所定数の椰子殻繊維細長体(25)を纏めてスタックして、椰子殻繊維細長体の各スタック(26)を構成する。スタック(26)中の椰子殻細長体(25)数は、マットレスの所定厚によって異なる。椰子殻繊維細長体(25)のスタック(26)を、植物繊維シートの第1層(24)と植物繊維シートの第2層(24)との間に配置するが、該植物繊維を好適には椰子殻繊維とする。製造工程では次に、予圧縮した組立体(90)を圧縮するステップを行う前に、互いに接触する植物繊維シートの層(24及び21)及び椰子殻繊維細長体(25)の面にラテックスを吹付ける。
【0017】
以下のステップでは、予圧縮した組立体を圧縮して、図6又は図7で説明するように、1対の造形型(95及び96)を用いて波形マットレス構造体を形成する。該造形型の片方の形状については、複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、三角形断面の角柱及び多角形断面の角柱を縦に並べた形状から成る群から選択する。本発明のこの好適な実施例では、上側の造形型(95)には、複数の略半球状断面の円柱(22)を縦に並べた形状を有するが、一方下側の造形型(96)を、図6のように、平坦にしている。図4で説明するような予圧縮した組立体(90)を、1対の造形型(95と96)との間に挟み、温度100℃〜135℃で圧縮して、波形マットレス構造体を形成する。この波形マットレス構造体(20)を、その後、取出して、ブローイングによって冷却する。
【0018】
本発明の別の実施例では、複数の円柱形状を有する波形マットレス構造体を図2に示している。この形状を、予圧縮した組立体を1対の造形型を使用して圧縮することにより作製するが、上側及び下側の造形型(95及び96)には、複数の略半球状断面の円柱を、図7のように縦に並べた形状を有している。予圧縮した組立体を、植物繊維細長体(25)、好適には椰子殻繊維細長体のスタック(26)を、植物繊維シートの第1層(24)と第2層(21)との間に;植物繊維細長体(25)の更なるスタック(26)を、植物繊維シートの第2層(21)と第3層(23)との間に配置して形成する。本発明のこの好適な実施例によれば、植物繊維シートを、椰子殻繊維シートとする。1対の造形型を、複数の略台形断面の角柱、三角形断面の角柱又は多角形断面の角柱を縦に並べた形状にもして、波形マットレス構造体を異なる形状で作製してもよい。
【0019】
本発明により、少なくとも波形マットレス構造体の層を備えるマットレスを提供もする。図8では、上側に波形マットレス構造体(20)の層を備えるマットレス(10)を説明している。波形マットレス構造体(20)を、厚い平坦なシート(31)に付着させる。厚い平坦なシート(31)を、PUフォーム、ラテックスフォーム及び植物繊維製にすることが可能である。厚い平坦なシート(31)を作製するのに好適な材料は、椰子殻繊維である。厚い平坦な椰子殻繊維シート(31)の厚さは、完成したマットレスの所定厚により異なる。
【0020】
マットレスを波形マットレス構造体(20)だけで、厚い平坦なシート(31)無しで、また、波形マットレス構造自体の厚さでマットレスの所定厚となる場合にも、そのように作製可能である。
【0021】
成形工程後、成形した組立体を、乾燥、帯鋸及びカバー被覆工程に送り、完成した繊維マットレスを形成する。
【0022】
本発明について好適な実施例と関連して記述したが、それにより本発明の範囲を、述べた特定の形態に限定することを意図するものではなく、それとは逆に、それにより他の変更例及び同等物を、添付のクレームにより定義される本発明の精神及び範囲内に含めてもよい様、カバーすることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適な実施例による波形マットレス構造体の側面図である。
【図2】本発明による別の実施例の波形マットレス構造体の側面図である。
【図3】本発明による別の実施例の波形マットレス構造体の側面図である。
【図4】植物繊維シートの第1層と第2層との間の植物繊維細長体の予圧縮した組立体の横断面図である。
【図5】成形前の予圧縮した組立体の別の実施例の横断面図である。
【図6】成形工程で圧縮した後の波形マットレス構造体の横断面図である。
【図7】成形工程で圧縮した後の波形マットレスの別の実施例の横断面図である。
【図8】上側に波形マットレス構造体の層を有するマットレスを示す。
【符号の説明】
【0024】
10 マットレス
20、30、40 波形マットレス構造体
21 第2層
22 円柱
23 第3層
24 第1層
25 細長体
26 スタック
31 シート
90 組立体
95、96 造形型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)植物繊維細長体のスタックを、少なくとも植物繊維シートの第1層と第2層と間に配置して、予圧縮した組立体を形成するステップ;及び、
b)前記予圧縮した組立体を圧縮して、波形マットレス構造体を形成するステップ
を備えること、を特徴とする波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項2】
植物繊維シートを植物繊維細長体に、所定寸法で切断すること、及び所定数の前記植物繊維細長体をスタックして、前記植物繊維細長体の各スタックを構成することを更に含むこと、を特徴とする請求項1に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項3】
前記植物繊維シートの層及び前記植物繊維細長体のスタックの面にラテックスを吹付けて、それらを互いに着接させて後、前記予圧縮した組立体を圧縮する前記ステップを行うことを更に含むこと、を特徴とする請求項1乃至2に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項4】
1対の造形型を、前記予圧縮した組立体を圧縮する前記ステップにおいて使用し、前記造形型の片方の形状を、複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、三角形断面の角柱及び多角形断面の角柱を縦に並べた形状から成る群から選択すること、を特徴とする請求項3に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項5】
前記予圧縮した組立体を圧縮して前記波形マットレス構造体を形成する前記ステップを100℃〜135℃の温度で行うこと、を特徴とする請求項1乃至4に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項6】
前記波形マットレスをブローイングによって冷却するステップを更に備えること、を特徴とする請求項1乃至5に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項7】
a)植物繊維細長体のスタックを、植物繊維シートの第1層と第2層と間に、及び植物繊維細長体の更なるスタックを、植物繊維シートの前記第2層と第3層との間に配置して、予圧縮した組立体を形成するステップ;及び、
b)前記予圧縮した組立体を圧縮して、波形マットレス構造体を形成するステップ
を備えること、を特徴とする波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項8】
植物繊維シートを植物繊維細長体に、所定寸法で切断すること、及び所定数の前記植物繊維細長体をスタックして、前記植物繊維細長体の各スタックを構成することを更に含むこと、を特徴とする請求項7に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項9】
前記予圧縮した組立体を圧縮する前記ステップを行う前に、互いに接触する前記植物繊維シートの層及び前記植物繊維細長体のスタックの面にラテックスを吹付けることを特徴とする請求項7乃至8に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項10】
1対の造形型を、前記予圧縮した組立体を圧縮する前記ステップにおいて使用し、前記造形型の片方の形状を、複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、三角形断面の角柱及び多角形断面の角柱を縦に並べた形状から成る群から選択すること、を特徴とする請求項9に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項11】
前記予圧縮した組立体を圧縮して前記波形マットレス構造体を形成する前記ステップを100℃〜135℃の温度で行うこと、を特徴とする請求項7乃至10に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項12】
前記波形マットレスをブローイングによって冷却するステップを更に備えること、を特徴とする請求項7乃至11に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項13】
a)複数の植物繊維シートをスタックして、予圧縮した組立体を形成するステップ;及び、
b)前記予圧縮した組立体を圧縮して、波形マットレス構造体を形成するステップ
を備えること、を特徴とする波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項14】
1対の造形型を、前記予圧縮した組立体を圧縮する前記ステップにおいて使用し、前記造形型の片方の形状を、一定の間隔で配置した複数のロッド、複数の略半球状断面の円柱、略台形断面の角柱、三角形断面の角柱及び多角形断面の角柱を縦に並べた形状から成る群から選択すること、を特徴とする請求項13に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項15】
前記予圧縮した組立体を圧縮して前記波形マットレス構造体を形成する前記ステップを100℃〜135℃の温度で行うこと、を特徴とする請求項13乃至14に記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項16】
前記植物繊維を椰子殻繊維とすること、を特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の波形マットレス構造体の製造工程。
【請求項17】
少なくとも1層の請求項1乃至16のいずれかに記載の前記工程によって製造する波形マットレス構造体を備えること、を特徴とするマットレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−167627(P2007−167627A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−301303(P2006−301303)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(506373099)ココ インダストリー エスディーエヌ ビーエイチディー (1)
【氏名又は名称原語表記】COCO INDUSTRY SDN BHD
【Fターム(参考)】