説明

注射可能製剤の調製プロセス及び該調製プロセス実施のための器具

【課題】有効成分と液体の混合液の均質性を保ち、有効成分の損失を減少させる注射可能製剤の調製プロセス及び該調製プロセス実施のための器具を提供する。
【解決手段】本発明は、有効成分の固体形態(18)を液体(22)と共に真空において調製するステップと、この液体を真空の作用により固体形態内に吸引して注射可能製剤を得るステップとを含む方法を特徴とする。器具は、乾燥形態(18)を真空下で調節する気密注射器(19)と、液体(22)と注射器と液体リザーバとの間に連結器を形成するキャップ(29)とを含むリザーバ(21)と、キャップ(29)の隔壁(24)に押し進められる注射器の注射針(25)とを含んでなる。本発明は、自動再水和ステップによって、直接的に注射可能である製剤を得ることを可能にする。吸引により固体製剤(18)を含む真空下における容積内に引付けられる液体の作用により、器具エレメントが自力で動くので、始動後に、実際に即時の調製が自動的に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射可能製剤の調製プロセス、前記プロセスの実施のための器具及び該器具によって該プロセスを実施することにより得られる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
注射可能形態が即時に生態有効であり、患者に対する投与の潜在的な受動モードを構成すると共に、緊急の場合に理想的な処置であることは公知である。
非経口形態の開発の別の重要な理由は、経口経路により分解される及び/又は大して吸収されない有効成分(AP)を利用することである。
種々の理由のため、注射可能形態を必要とするこれらすべてのAPの多くは、溶液、懸濁液又は分散液を問わず、水性媒体中で不安定である。
加水分解及び液体製剤に付随するすべての物理化学的問題(析出、凝集、吸着、結晶化)を避けるため、APが固体、乾燥形態又は凍結乾燥形態をとって保存される製剤を用いることが多い。
このため、注射のために必要な液体形態の調製は、注射の直前に即時に行われる。
この調製は、APの可溶化又は懸濁化のために固体形態を液媒体で水和することが含まれる。
【0003】
従来から、この操作は、固体形態を含む密封瓶内で行われている。針がストッパ−隔壁を貫通可能な注射器で、液体は瓶内に導入される。
液体形態は、こうして、注射器内で回復され、それを注射できる。
この微妙な操作に要する時間及びこの操作に関わる汚染の危険性に鑑みて、医療技術に携わる専門家は、即時の調製を単純化し且つ信頼性を高めると共に、可能なかぎり少ない成分を用いる器具を工夫している。
こうした方向に沿って、特許EP−A−0664136、ダイキョウセイコウ(DAIKYO SEIKO)、EP−0599649、ファーマシア(PHARMACIA)、WO−95/11051は、液体媒体と、注射前に注射器内で直接再水和される固体形態とを同じ注射器内で混合する二区画式又は「バイパス」式注射器を開示している。
同様に、ある製造者は、瓶を注射器と組合せ、調製の満足な遂行を管理する器具を提案している(フランス特許デバイオテック(DEBIOTECH)2705898、2715311、2717086)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第664136号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第599649号明細書
【特許文献3】国際公開第95/11051号
【特許文献4】仏国特許出願公開第2705898号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第2715311号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2717086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシステムにおける欠点は、前記した新器具で解決されておらず、こうした新器具は、デッドボリュームにおいて製剤の損失の問題をかかえ、再水和を自動化しないし、静的にもせずに、手動且つ動的なままにしている。すなわち、水和後の液体の流れ及び移送は、固形形態及び、特にAPを押しのけてしまう。従って、注射可能形態は、乾燥形態と同じ分布、均質性を必ずしも有するとはかぎらない。これは、特に懸濁液の場合に問題となる。
調製が動的であると共に、手動で行われるという事実は、オペレータ、オペレータの作業速度、オペレータが液を充填し空気を抜く調節のやり方に応じて重要な差を生じる可能性がある。最終的に、固体APを水和するための力は、空気の微小な泡の相対的に実質的な乳化液にしてしまう可能性がある。
可溶化又は懸濁化させる時間及び液媒体の攪拌は、製剤の均質性を決定する。
懸濁液の場合、劣った均質性又は沈降の開始は、投与量及び投与の問題に結びつく可能性がある。
本発明の目的は、これらの種々の欠点を解決するためのプロセスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、注射可能製剤の調製プロセスは、真空下における有効成分の乾燥形態と液体が調製され、前記液体が真空作用の力で吸引により乾燥形態に導入されて、前記注射可能製剤を形成することを特徴とする。
本発明による調製プロセス及び真空下における包装は、前記した問題(デッドボリューム、手動始動、注射性)と同時に注射された液体製剤の問題(均質性、脱気)を回避する。
プロセスの特徴によれば、真空下における乾燥形態は、液体の厳密に前もって決められた対応する容積による自動水和後に得られる最終形態と同じ容積を占める。
【0007】
本発明のプロセスの実施形態によれば、添加剤の層が乾燥形態に添加され、前記層は、液体ピストンとして注射可能製剤に引続いて用いられて、注射中にその他の層を押すと共に有効成分の損失を減少させる。
本発明のプロセスの別の実施形態によれば、乾燥形態は、自動再水和器具に固定された注射器内に包装され、乾燥形態を調製するために、有効成分を含有する液体は凍結され、特定の量の添加剤溶液は凍結された液体の表面に添加され、この添加剤溶液は凍結され、ユニット全体は凍結乾燥されて、注射器のピストンと真空下における活性成分の固体との間で、添加剤のみを含む凍結乾燥された製品の容積を得る。この容積は、自動水和及びピストンの移動後、注射器を空にするために、注射終了時における注射器及び注射針の底のデッドボリュームを占める。
【0008】
調製及び包装のこのプロセスは、自動再水和をもたらす。使用者は液体用の器具を始動して、固体形態を乾燥又は凍結乾燥の前の状態に戻すことで十分である。器具の始動は、液体容積を真空下における固体容積と接触させることから成る。始動後に、即時の調製は自動である。すなわち、器具の構成部材は、固体製剤にかけた真空による吸引により引かれる液体の作用下でのみ移動する。
真空包装のこの特性は、オペレータとは無関係であると共に、水和は、乾燥又は凍結乾燥の前の液体形態の状態に即時に復帰させる。
固定形態及び有効成分は、この水和の間、静的に保たれる。すなわち、それらは液体により押しのけられない。
この即時の製剤は、従って、注射前の攪拌、移送、空気抜きを要することなく直接的に注射可能である。
【0009】
調製及び包装のこのプロセスは、現在利用できる特定の器具又は容器が、真空下における形態を水和まで真空下で確実に保つならば、それらを用いてもよい。
器具の構成部材は、周囲空気との接触を避けながら、この再水和を可能にしなければならない。
この特徴はまた、調製及び包装のこのプロセスのための一定且つ特定の器具又は構成部材をもたらす。これらの器具又は構成部材を以下に説明する。
【0010】
器具及び包装内に固体形態を真空包装するための手法は、既存の手法(血液サンプリング管、プラスチックフィルム下での包装)から得られる。固体形態及びAPのこの真空包装は、更に、不活性ガスシール(窒素)からの置換えが可能で、特に高温での製剤の安定性(断熱)及び容器との適合性(接触断熱)を改善することが可能である。
以下に説明する本発明のプロセス及び器具の前記した利点は、特定の製剤に対して特に重要である。
【0011】
容易に可溶化された固体製剤の場合、利点は、気泡を含まない脱気された液体製剤を即時に得ることである。
粘度、可溶化に要する時間のいずれかのために可溶化することがより困難な固体製剤の場合、真空下における製剤は、液体中における空気の乳化を回避し、可溶化を単純にし促進する。
懸濁液の場合、更に詳しくは、マイクロスフェアの徐放性懸濁液(Decapeptyl 3.75B.1)の場合、真空下における製剤は、不均質化の問題及び析出の危険性を回避し、従って遮断する一方で、再構成に要する時間が減少する。
真空下における製剤及び前充填された器具は、デッドボリューム、従って有効成分の損失を大幅に減少させることを可能にする。
【0012】
最後に、分散液の場合、更に詳しくは半固体形態の場合、水和された形態の極めて高い粘度により、乾燥形態のための真空下における調製及び包装のプロセスを使用することが実際的に不可欠である。
しかも、真空下における水和後に得られる非液形態又は半固体水性形態は、空気中で水和された形態と異なり且つそれより良好な塩析特性を有する可能性がある。分散液に閉じ込められた空気がないという事実は、(塩析を改善する)同じ量に対する容積を減少させると共に、塩析も改良するインシトゥー貯蔵構造の破壊を回避することを可能にする。
水性液体形態の場合のプロセス、包装及び器具について、ここに記載している。
【0013】
本発明の全体が、同じ利点を伴って、水−有機溶媒の混合液、有機溶媒又は注射可能油の様なその他の液体から再形成される液体形態(溶液、懸濁液又は分散液)に適用されることは言うまでもない。
調製プロセスの速度及び気密包装における速度の実現は、特定の液体の粘度又は蒸発の危険性を補償する。
【0014】
本発明によるプロセス実施のための器具は、乾燥形態を真空包装する手段と、即時の再水和液体を包装する手段と、及び乾燥形態に吸引により液体を添加するための前記両手段間を連結する手段とを含んでなることを特徴とする。
好ましい実施形態によれば、乾燥形態を真空包装する手段は、気密注射器であり、液体を包装する手段は、ピストンを含むリザーバである。
注射器は、真空下における固体形態で前充填され、その包装は、攪拌なしで水和後に即時に注射することを可能にすると共に、液体の製剤リザーバから針を通して溶液又は懸濁液を注射器に移送することの回避を可能にする。
真空包装された器具の別の利点は、このために液体及び固体のリザーバの容積を減少させる一方で、注射される容積の精度を向上させることが可能なことである。
【0015】
事実、空気がないため、固体を含む区画を完全に満たすことが可能である。製剤内の空部の容積プラス器具の容積をふさぐために、液体区画に含める容積を厳密に計算することが可能である。但し、この容積は、再水和のために要する液体の量を厳密に決定する固体中の空スペースの容積であるため、過剰であることも可能である。
再水和液体を含む器具は、好ましくは漏れ止めリザーバ内に含まれており、その容積は液体が真空下における固体形態のリザーバに移送されるに伴い自由に減少してもよい。
これは、特にカートリッジで、又はピストンが液体の移動と共に移動する前充填注射器で容易に得ることができる。
【0016】
リザーバはまた、可撓性壁が液体の移動に追随する前充填可撓性プラスチックバッグから構成されていてもよい。
周囲空気から遮断された液体と真空の連結要素は、隔壁、ゲート、バルブ又はタップから構成されていてもよい。
方法及び器具の特徴の1つは、デッドボリュームを減少させることである。これは、連結部材(液体−真空)あるいは注射部材(針−注射器)の容積を減少させることによるだけではなく、有効成分を含まず、従って注射損失を伴わない液体でデッドボリュームを占めることを可能にする静的な再水和プロセスによっても達成される。
従って、有効成分を含まない液体で連結部材及び/又は針を充填して、損失を排除することが可能である。
【0017】
更に、同じ静的なプロセスによって、前記した有効成分を含まない「液体ピストン」を提供することが可能であり、この「液体ピストン」は、投与後に注射器及び針のデッドボリュームを占めて、有効成分の損失をなお更に減少させることを可能にする。これは、有効成分を含有する液体製剤を凍結後、製剤と同時に凍結及び凍結乾燥される、マニトールの様な添加剤の計算された容積の溶液を添加することにより簡単に得られる。静的及び急速な再水和の効力によって、2種の液体は、一旦再形成されると、全く混合されず、有効成分を含まない液体は、有効成分を含む全液体を注射器及び針から押出す(「液体ピストン」の様に)ことが可能で、損失を回避する。
すべての場合(溶液、懸濁液又は分散液)、固体形態が乾燥又は凍結乾燥されてしまえば、注射器が連結部材、針又は隔壁により注射側で閉じられている場合、ピストンは、例えば、凍結乾燥器内部に遮断システムを備えて、又は備えずに真空下に置かれる。注射器が開放である場合、注射器を、プラスチックフィルムのもとで包装する時点で真空包装することができる。
閉じられた注射器の包装を真空下で前もって行うとしても、注射器でなく包装が保存中の気密を保証する様な方法で、注射器を真空下で包装することが最善である。これは、二重安全機構となり、使用(開封)前に包装の完全性を監視することも容易にする。
【0018】
固体の水和後に得られる製品又は最終形態は、以下の3種の形態の1つをとることが可能である。
1)溶液:例えば、マニトールと混合された有効成分は、注射可能製剤のために水で可溶化される。溶液は、注射器内部にその容積だけ分配される。注射器は従来のプロセスにより凍結及び凍結乾燥され、凍結乾燥された固体製品は、注射器が即時の水和器具のその他の部材に前もって固定されているか否かを問わず、注射器で真空包装される。
2)懸濁液:例えば、徐放性マイクロスフェアの場合、マイクロスフェアの投与量は、注射器内で計量され、分散液の容積が加えられる。マイクロスフェアは、その後、液体中に機械的に分散される。好ましくは、超音波がこの分散操作のために用いられる。分散液は、その後、好ましくは液体窒素中で急速に凍結されて、凍結された液中にマイクロスフェアの均質な分散液を得る。液体は、例えば、マニトールの様な凍結乾燥された製品の母液を含む。凍結乾燥は、固体を得るために行われ、その固体中で、マイクロスフェアが液体の均質な分散液の理想状態において母液により懸濁される。
この固体は、即時の再水和のための自動器具の部材と組合されるかどうかを問わず、その後、真空包装される。
3)分散液:半固体インプラント、例えば、半固体オートゲル(Autogel)BIM23014Cの場合、有効成分は、気密目盛付投薬注射器内部で計量される。
本発明によるプロセス及び器具の実施により得られる製品は、非経口投与のための乾燥形態を含んでなり、注射製剤を再構成するために、吸引により乾燥形態と混合されるように用意の整った、液体容積も含む注射器具内部に真空包装される。
乾燥形態は、凍結乾燥形態又は溶媒を除去後に得られる粉体であってもよい。
本発明のその他の特徴及び利点は、非制限的な実施例を用いて特定の数の実施形態を例示する添付した図面の引用と共に記載する以後の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、有効成分を含む気密注射器を示す側面図である。
【図2】図2は、図1の注射器内の有効成分の圧縮を示す図である。
【図3】図3は、図2の注射器の有効成分を真空下に置くことを示す図である。
【図4】図4は、閉位置におけるバルブによって液体リザーバに連結された図3の注射器を示す縦側面図である。
【図5】図5は、バルブが開けられた後、固体を含む注射器内への液体の吸引を示す図である。
【図6】図6は、当初に液体で充填されたリザーバ内への前記混合物の吸引による液体と固体との間の混合の補完段階を示す図である。
【図7】図7は、事前に充填され第二の注射器から分離された注射器からの小注射器の充填段階を示す図である。
【図8】図8は、液体リザーバに連結されるように用意が整った図7の小注射器を示す図である。
【図9】図9は、挿入されたバルブで液体リザーバに連結された図8の注射器を示す図である。
【図10】図10は、真空下で包装された図9の注射器−液体リザーバユニット全体を示す図である。
【図11】図11は、本発明によるプロセス及び器具の第一の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図12】図12は、本発明によるプロセス及び器具の第一の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図13】図13は、本発明によるプロセス及び器具の第一の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図14】図14は、本発明によるプロセス及び器具の第一の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図15】図15は、本発明による器具の第二の実施形態の実施を示す図11から14に類似の側面図である。
【図16】図16は、本発明による器具の第二の実施形態の実施を示す図11から14に類似の側面図である。
【図17】図17は、本発明による器具の第二の実施形態の実施を示す図11から14に類似の側面図である。
【図18】図18は、本発明によるプロセス及び器具の第三の実施形態の実施を示す図である。
【図19】図19は、本発明によるプロセス及び器具の第三の実施形態の実施を示す図である。
【図20】図20は、本発明によるプロセス及び器具の第三の実施形態の実施を示す図である。
【図21】図21は、本発明によるプロセス及び器具の第三の実施形態の実施を示す図である。
【図22】図22は、本発明による器具の第四の実施形態を示す縦側面図である。
【図23】図23は、本発明による器具の第五の実施形態の調製及び真空包装の連続段階を示す図である。
【図24】図24は、本発明による器具の第五の実施形態の調製及び真空包装の連続段階を示す図である。
【図25】図25は、本発明による器具の第五の実施形態の調製及び真空包装の連続段階を示す図である。
【図26】図26は、本発明による器具の第六の実施形態の実施を示す縦側面図及び部分断面図である。
【図27】図27は、本発明による器具の第六の実施形態の実施を示す縦側面図及び部分断面図である。
【図28】図28は、本発明による器具の第六の実施形態の実施を示す縦側面図及び部分断面図である。
【図29】図29は、本発明による器具の第六の実施形態の実施を示す縦側面図及び部分断面図である。
【図30】図30は、本発明の器具の第七の実施形態の実施を示す縦側面図である。
【図31】図31は、本発明の器具の第七の実施形態の実施を示す縦側面図である。
【図32】図32は、本発明の器具の第七の実施形態の実施を示す縦側面図である。
【図33】図33は、本発明による器具の第八の実施形態の実施を示す図である。
【図34】図34は、本発明による器具の第八の実施形態の実施を示す図である。
【図35】図35は、本発明による器具の第八の実施形態の実施を示す図である。
【図36】図36は、本発明による器具の第八の実施形態の実施を示す図である。
【図37】図37は、本発明による注射器具の第九の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図38】図38は、本発明による注射器具の第九の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図39】図39は、本発明による注射器具の第九の実施形態の実施の連続段階を示す図である。
【図40】図40は、図37から39の実施形態の実施の可能な3つの変形を示す部分側面図である。
【図41】図41は、図37から39の実施形態の実施の可能な3つの変形を示す部分側面図である。
【図42】図42は、図37から39の実施形態の実施の可能な3つの変形を示す部分側面図である。
【図43】図43は、本発明による器具の第十の実施形態の部分断面図及び立面図である。
【図44】図44は、本発明による器具の第十一の実施形態の図40に類似の図である。
【図45】図45は、本発明による注射器具の第十二の実施形態の縦断面図及び部分立面図である。
【図46】図46は、本発明により提供される包装器具の第十三の実施形態の縦断面図及び部分立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至10を参照して、本発明による注射可能製剤の調整プロセスの実施形態及び前記プロセスの実施のための真空下における再水和器具の実施形態の説明が先ずなされる。
有効成分3は、注射針の位置にタップ又はバルブ2を装着された注射器1内に充填されており、前記有効成分は真空をかける前又は後に計量され、注射器1のピストン4(図2)の圧力により、半固体形態が占める容積に近似した又は等しい容積にされる。図2及び図3において、例えば、有効成分3が、図3の段階で行われる真空をかける前に、スピンドル5により支えられたピストン4により圧縮されると考えてもよい。スピンドル5には、注射器1の端に載置され、ピストン4を保持するための小片26が装着されており、これは、有効成分3の容積内の真空保持のためのものである。
有効成分3は、最終容積に調整するために及び/又は後続の水和を促進するために前処理されていてもよい。従って、粉砕、噴霧乾燥又は凍結乾燥による有効成分の粒子サイズの分布を計算して濃度を決定することが可能である。
【0021】
真空下で有効成分3を含む目盛付投薬注射器1は、その後、例えば、水の様な固体3の再水和のための液体の容積7を含む同じ注射器6に漏れ止めバルブ2により連結される(図4)。この液体容積7は、注射器6内に、この注射器のピストン8及びスピンドル9により収容されている。
その後、バルブは開放され(図5)、その結果、液体7は、真空の作用下での吸引により、加えておそらく、ピストン8への機械的作用により、固体3内に進む。保持小片26は、その後、除去してもよい。
製剤はこうして注射器1内で先ず混合され、その後、製剤は、一方の注射器から他方に後退及び前進移動により即時に又は水和期間後に再び混合される(図6)。この後退及び前進移動は、例えば、注射器の押下又は水圧によるピストン8及びピストン4への機械的作用により得られる。
いったん均質になれば、混合物は、直ちに又は一定期間後に、サイズが大きい2つの混合注射器1及び6の1方から容積計量により注射器具の11の様な小注射器内に分配される。各注射器11内への計量の量及び精度のため、混合物の調製用の注射器から直接分配することが許されない場合、特に、混合注射器6が大容積に相応している場合、それより小さい直径の中間注射器を用いて分配される。
【0022】
注射器11は、例えば、1つのこうした中間注射器であってもよい。大型注射器6の内容物は、こうして小容量の幾つかの中間注射器11内に分配され、各中間注射器は、その後最終段階で小容量の幾つかの小注射器内に移される。
例えば、200ml注射器6内に調製されたバッチから、10個の10ml注射器を用いて最終注射器に1つあたり0.2mlの投薬量を充填することが可能である。
半固体13が充填され、また、ピストン14、スピンドル15が装着された最終注射器11又は12(図8)は、次に、凍結乾燥され真空包装され、その後、即時水和のための自動器具16と組み合わされる(図9)。
この器具16は、それ自体、液体17を含む注射器であってもよく、漏れ止めバルブ2により注射器11又は12に連結される。
最終的に、こうして得られた器具(図9)は、真空包装30内に包装されて、固体13がそのもとにおかれている真空作用の力で吸引により液体17と固体13とを混合することにより得られる注射可能製剤の注射のために用いられるように用意が整う。
【0023】
図11乃至14の実施形態において、乾燥形態18は、ピストン23を含むリザーバから構成され、液体の容積22を含む自動再水和器具21に固定された注射器19内に包装される。凍結乾燥製品すなわち固体18は、前記注射器が液体リザーバ21に連結される前に、注射器19内部に真空下で前充填される。リザーバ21と注射器19との間の連結手段は、示した例において、注射器19の注射針25の先が挿入される隔壁24を含む連結部29から構成される。前記注射器は、固体18がそのもとにおかれている真空を考慮して、適切な位置にスピンドル27とそのピストン28を維持する小片26も装着される。器具全体は可撓性包装31内に真空包装される。
【0024】
図11の器具から注射可能製剤を得るために、包装31を先ず除去し、次に、注射器19をスピンドル27で押して、隔壁24に針25を挿入する(図12、13)。針25の先が液体22の容積を貫いた時に、前記液体は、混合する固体18内にある真空により、固体18が占める容積を変えずに吸引される一方で、ピストン23は、注射器19の方向に摺動する。その後、使用者が小片26、リザーバ21及びキャップ隔壁29を除去した後(図14)、注射器19は、その中に含まれる製剤の注射のために用いるのに用意が整う。
【0025】
図15乃至17に示した例において、注射器19内に真空下で前充填された凍結乾燥製品すなわち固体18は、例えば、1/4回転型のバルブ31を介して液体リザーバ21(ここでは、図11から14の例の様なカートリッジ)に連結される。注射器19は、可撓性包装32内に真空包装され、液体リザーバ21と連通している連結器33に固定される。連結器33には、バルブ31が装着されている。
即時の再水和調整は、その後、バルブ31の開放からなり、液体22は、カートリッジ21から注射器19に吸引により自動的に進む(図16)一方で、カートリッジ21のピストン23は、注射器19に向かって移動する。カートリッジ21及び注射器19のタップ31(図17)は、その後分離されて、注射針25を前記注射器に固定する。注射器19内に得られた混合物は、その後、注射される用意が整う。
【0026】
図18乃至21の実施形態において、注射器34は、可撓性包装35内に真空包装され、カートリッジから構成された液体リザーバ37と連通している連結器36に固定される。連結器36は、プラスチック包装35に貫通すると共に(図19)、注射器34を液体(水)のリザーバ37に固定するように作用する。
連結器36は軸流路39で貫通し、連結器36によるプラスチック包装35の貫通は、液体38の容積を固体乾燥形態41と連通させる。この貫通により、連結器36を介して液体38は乾燥形態に引き寄せられる(図20)。ピストン23は、液体38の移動に追随する。リザーバ37は、こうして、自動的に空になり、固体41を再水和する。液体リザーバ37は、その後、注射器34から分離され(図21)、注射針25が注射器34に装着される。
【0027】
図22の実施形態において、器具は、キャップ43により、液体45を含むカートリッジ−隔壁44に連結された注射器42からなる。固体(乾燥形態46)を含む注射器42は、エラストマの様な可撓性材料製の包装48におけるキャップ43内で所定の位置に導入され維持される注射針47が装着される。包装48は、キャップ43内で隔壁49に向い合って針47を所定の位置に維持する。針47は、その後、注射器42への液体45の通路及び、従って有効成分46の固体の再水和をもたらすために、隔壁49に挿入されるように用意が整う。
【0028】
図23乃至25に例示した器具の実施形態において、注射器51は、キャップ53に係合された注射針52を備え、キャップ内で、それは摺動可能で、固体54を含む注射器51の内部容積を液体56を含むリザーバすなわちカートリッジ55と連通させる。これらの2つの要素は別々に製造され、その後、適切な連結器57(図25)によって、カートリッジ55の端部55aにキャップ53を固定することにより、即時の再水和器具(図24及び25)内で連結される。
ユニット全体は、可撓性包装58内で真空包装され、この包装58の除去、端部55a内に針52を挿入、及び固体54内に液体56を吸引後に用いられるように用意が整う。
針52は、隔壁53a内に挿入され、液体56による固体54の真空下での再水和の瞬間には完全に隔壁53を貫通している。
【0029】
図26乃至29に例示した器具において、本発明が関連するプロセスは、液体ピストンとして注射可能製剤の後に用いられる添加剤59の層を乾燥形態58に添加して、注射中にその他の層を押すと共に有効成分の損失を減少させる。
本器具は、固体有効成分58を含む注射器61の他に、ピストン60と再水和液体63とを含むリザーバ62及び注射器61側でリザーバ62を遮断すると共に、中で注射針25が係合される隔壁64からなる。注射器61は、そのピストン65とスピンドル27を保持する小片26が装着され、小片26は、注射器の本体の端に装着されている。
【0030】
本プロセスによれば、有効成分を含む液体を冷凍後且つ凍結乾燥又は乾燥前に、マニトールの様な添加剤の特定量の溶液を凍結された液体の表面に添加する。
この容積は、次に、凍結され、ユニット全体(58、59)はその後凍結乾燥される。添加剤(マニトール)のみを含む凍結乾燥された製品の容積59は、こうして、ピストン65と真空下における有効成分の固体58との間で得られる。この容積59は、針25による隔壁64の貫通による自動且つ静的な再水和(図27)及びリザーバ62の分離後に、有効成分の液体形態66を押すために用いられる。注射の終了時に、容積59は、注射器61及び針25の底におけるデッドボリューム59a(図29)に収容される。
液体ピストン59のおかげで、有効成分の一切の損失が実際上避けられる。前記有効成分のコストの点で、これは重要な利点である。
【0031】
図30、31に示した器具の実施形態は、再水和液体68の容積を含む可撓性バッグ67から構成された液体リザーバからなる。バッグ67は、針25により貫通されるように用意された隔壁72が装着されたストッパ71により注射器69に連結される。固体製剤74を含む注射器69は、可撓性包材73に真空包装されている。針25は、ピストン28への圧力により、真空下における製剤74が再水和液体68の容積と連結することを可能にする(図31)。
混合が行われてしまうと、包装材73は除去され、バッグ67は分離されると共に、ストッパ隔壁71も除去される。注射器69は、その後、使用のための用意が整う(図32)。
【0032】
図33乃至36に例示した実施形態において、器具は、真空包装76に包装された注射器75とストッパ70が装着された液体78のリザーバ77とを含む。
支持体79を介して連結器を形成する注射針25は、ストッパ70を通してカートリッジ−リザーバ77内に前もって導入される。リザーバ77は、連結部79を介して包装76を貫通することにより注射器75に連結されることが可能である(図34)。
この操作が実施されてしまえば、液体78の容積と固体製剤81は連通されて、その結果、液体が注射器75内に引かれる(図35)。その後、注射器75を使用する用意が整うように、カートリッジ77、そのストッパ70及びプラスチック包装76を除去することで十分である(図36)。この実施形態において、針25及びその支持体79は適切な連結器を形成し、針25は、カートリッジ77のストッパ70内に前もって導入される。
【0033】
図37乃至39に示した実施形態において、注射可能製剤のための真空包装及び再水和器具は、ストッパ110により覆われた針116を有する注射器81を含む。この注射器は、それぞれ液体82a及び固体製剤83aを含む2つの区画82、83からなる。これらの区画は、始動スピンドル85と一体の第一のピストン84及びピストン84と注射オリフィス89との間に並置されたその他の3つの独立のピストン86、87、88により形成される。これらの3つのピストン86乃至88は相互に独立している。すなわち、相互に固定されていない。
注射器81は、有効成分83を含む液体で充填されている。製剤は、その後、凍結乾燥され、凍結乾燥された製品83aは、フラットで独立した3つのピストン86、87、88を有する注射器の底に真空包装される。再水和液体82aの容積は、その後、注射器81に添加され、スピンドル85を有するピストン84は、液体82aの背後に配置されて、二区画注射器を形成する。ピストン84は標準非硬質ゴム製である。
スピンドル85によってピストン84を引き上げると、平らな3つのピストン86乃至88は吸引され(図38)、旋回し、固体83aと液体82aとを連通状態にする。この吸引及びピストン84の摺動中に、固体と液体形態とは混ざり、ピストン86乃至88の移動により混合される。液体(例えば、水)は、固体内を自動的に進み、製剤を有効成分の液体に再構成し、その後、この液は即時に注射に用いることができる(図39)。
【0034】
このシステムは、特定のバイパス注射器を避け、標準注射器によって実施することができる。
注射器内の独立した3つのピストン86乃至88を普通に平らに配置すれば、液体/凍結乾燥製品の良好な混合を妨害するであろうが、3つのピストンの配置次第でこの危険性を回避できる。ピストンの回転の最大角は、静止時のピストン間の距離と関連している。前記ピストンは、90°の回転を避けるのに相互に十分接近しており、2つのチャンバ82、83が連通するとすぐに、ピストン86乃至88は、注射ピストン84に接触するほどまで押し退けられるような力を受けることはない。
しかし、より確実にするために、変形として、対で繋ぐ可撓性接合材をピストン86乃至88の間に形成することが可能である。これらの接合材は、接合材120及び121(図40)の様に中央に置くか、接合材122及び123(図41)の様に非対称であるか、又は接合材124及び125(図42)の様に注射器81の軸の同じ側に配置されることが可能である。
こうした配置は、可撓性接合材によりピストンを固定することを可能にしながら、各ピストンを自由に旋回させる。
【0035】
図43に示した器具は、真空下における固体92が前充填された注射器91,液体94を含むと共に隔壁95が装着されたカートリッジ93、及び注射器91とカートリッジ93との間で連通している連結器96からなる。注射針25は、連結器96内に導入され、隔壁95を貫通するために用意されている。
針25の末端刃が隔壁95に挿入されるとすぐに、固体形態92と液体形態94は連通状態にされ、液体94は注射器91の乾燥製剤92内に吸引される。
図44に示した図43の実施形態において、液体リザーバ93のピストン97は、液体94が前記リザーバ93に導入された後、スピンドル98が装着され、この配置により誤った取扱いによる一切の危険性を避け得るという利点を有する。
図45の実施形態において、器具は、注射器の壁の局部的な横窪みにより得られる中央バイパス103により分離された2つの区画101、102形式の注射器99を含み、これにより、当該場所における断面が増加する。2つの区画の一方、すなわち、再水和液体101aを収容するために有する区画101は、独立の2つのピストン104、105を含み、それらの間に液体が入ってもよい。
【0036】
この器具によって注射可能製剤を実施するプロセスは以下の通りである。
バイパス103と注射針25との間に含まれる区画102内には、液体が充填され、凍結される。前記液体は有効成分102aを含有し、添加剤106の溶液は、バイパス103に充填され、その後、引き続き凍結される。添加剤は、マニトールの冷希釈溶液であってもよい。ユニット全体は、真空下で凍結乾燥され、第一のピストン104は、真空下における添加剤106上に配置される。第二の区画101は、液体101aで充填され、第二のピストン105は、液体101a上に配置され、第二のピストン105のスピンドル(図示していない)が、設置される。
この第二のピストン105によって、真空下で凍結乾燥された添加剤106を押しつぶす圧力が加えられ、その結果、第一のピストン104が摺動し、バイパス103のレベルに達する。液体101aは、その後、バイパス103を経て、第一の区画102に自動的に進むと共に、真空下における固体102aを再水和し、最終的に、注射用調剤が得られる。
【0037】
バイパスを利用した従来のシステムとの比較における本システムの利点は、非充填の再溶液又は再懸濁液の容積を回避できることと、バイパス、注射器の底及び針の底のピストンにおいて無駄になった容積を、有効成分を含まない液体製剤で充填することを可能にしたことである。但し、水和された有効成分が、注射前に、水和された添加剤と混合されることにならない場合にかぎる。例えば、PLGA(ポリ乳酸−グリシド酸)のマイクロスフェアに関して、これが当てはまる。
従って、例えば、当初わずか1mlだけのために意図されたバイパス注射器99内に2ml以上の量を充填することが可能となる。
図46に例示した器具は、注射針25が装着されると共に、カートリッジ隔壁108を含む注射器107からなる。この後者には、注射器107の注射ピストン111内に挿入することにより遮断された短い針109が装着されている。カートリッジ隔壁108は、再水和液体112を含んでもよく、注射器107は、乾燥形態113を含んでもよい。
【0038】
カートリッジ隔壁108には、ピストン114、及び注射ピストン111のスピンドルとしてカートリッジ隔壁108を用いることが可能な十分な長さのスピンドル115が装着される。短い針109を有する小注射器の同等物であるカートリッジ隔壁108は、液体112で前充填され、注射器107のバレル内に配置される。短い針109は、注射ピストン111内に挿入することにより遮断される。器具の始動は、注射ピストン111内にカートリッジ隔壁108の針109を挿入することにより得られる。この挿入は、注射ピストン111と針25との間に含まれると共に、真空下における固体113を含む注射器107のリザーバ内に液体112を通すことを可能にし、注射可能製剤の再構成で終る。
【0039】
この実施形態においては、注射ピストン111は、液体112の容積と真空下における固体113との間の隔壁すなわちバリアとして作用する。従って、全体としての器具は、同じ注射器107内に存在すると共に、針25は、隔壁を貫通するためや連結要素としては作用しない。
乾燥形態を得るために、半固体の場合、液体の分散液は、注射器107内に充填され、凍結乾燥されるか、又は乾燥されると共に、注射ピストン111と共に真空包装される。
図面に例示した様々な実施形態において既述した器具及びプロセスを実施することにより得られる製品は、一般的方式において、非経口投与のための乾燥形態を含み、また注射製剤を再構成するために吸引により乾燥形態と混合されるように用意された液体容積も含む注射器具内部に真空包装される。
【0040】
乾燥形態は、凍結乾燥形態又は溶媒を除去後に得られる粉体であってもよい。
乾燥形態は、有効成分だけであってもよく、また有効成分及び注射可能な添加剤、例えば、マニトールを含んでもよい。
真空下における乾燥形態を含む容積は、乾燥形態を必要な液体と混合した後に得られる注射可能製剤により占められる容積に等しい。
液体は、水、水性媒体、水を含むか又は含まない有機溶媒、無水液体又は注射可能油であってもよい。
得られる注射可能製剤は、液体溶液、液体中の固体懸濁液、ゲル又は半固体分散液であってもよい。
【0041】
本発明による調製プロセスのために必要な真空は、注射(水和、その他)前の再調節液の流れを、気泡、デッドスペース、まだ乾燥している製品の区域を残さずに、注射されるべき容積の全体内に吸引するのに十分な真空である。
乾燥又は凍結乾燥された注射可能製品を包装するための従来のプロセスによれば、乾燥形態を含むリザーバを閉じる前に空気又は不活性ガス(窒素)の「部分真空」を用いて、栓をした後の過剰圧を回避することが可能である。
この部分真空は、大気圧への復帰に対して栓をすることにより補うことが可能であり、又は大気圧より若干低い圧力を瓶中又は注射器中で維持して、液体媒体の添加中に過剰の圧力がかかることを防止することが可能である。
【0042】
凍結乾燥後に「完全真空」下で瓶に栓をすることが、もちろん可能であるが、これは、固体が真空下で全容積を占め、また液体が直接的に注射器具(注射器)内で真空下におけるこの容積を厳密に占めることになる本発明の厳密な場合を除けば、固体を再調節することに対して特に利点はない。
部分真空は、大気圧の0.9と0.6との間であってもよい。完全真空は、大気圧の1/2未満、好ましくは、大気圧の1/10以下の低圧に対応する真空と定義することが可能である。
この完全真空は、用いられる真空ポンプ、例えば、凍結乾燥機用のものにより得られる真空と定義することも可能である。2段階バルブを有する回転ポンプは、1×10-3mbar又は1μbarに達することが可能である。
本発明に用いられる真空は、このように、100mbar未満、好ましくは、10mbar未満又は更に0.1mbar未満であることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の容積を有する真空包装手段を形成する注射器具内に、乾燥形態の有効成分(3)が調製され、即時の再水和により注射可能製剤を形成するための液体(7)が前記器具の前記有効成分の容積に導入される注射可能製剤の調製方法であって、
前記乾燥形態の有効成分が完全に前記所定の容積を満たして真空の下に保持され、真空作用による吸引力で前記液体が前記有効成分の容積内に導入されることにより、前記有効成分の容積が注射可能製剤の全量によって完全に満たされると共に、有効成分の損失量が減じるようにしたことを特徴とする注射可能製剤の調製方法。
【請求項2】
前記所定の容積中の真空は完全真空であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記完全真空は100ミリバール以下であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記完全真空は10ミリバール以下であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
添加剤(59)の層が乾燥形態に添加され、前記層が液体ピストンとして注射調製に引続いて用いられて、注射中にその他の層(58)を押すと共に、有効成分の損失を減少させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
乾燥形態の有効成分(58)が自動再水和器具(62、64)に固定された注射器(61)内に調製される請求項5に記載の方法であって、
乾燥形態の有効成分を調製するために、有効成分を含む液体が凍結され、凍結された液体の表面に添加剤溶液が添加され、前記添加剤溶液が凍結され、注射器全体が凍結乾燥され、その結果、注射器のピストン(65)と真空下における有効成分の固体(58)との間に、真空下において一定容積を占め、添加剤のみを含む凍結乾燥された製品の容積(59)を得、この添加剤層は、自動再水和のため及び注射可能製剤を注射するためのピストンの移動後の注射終了時において注射器及び注射針(25)の間のデッドボリューム(59a)に残されることを特徴とする方法。
【請求項7】
乾燥形態の有効成分が、注射器の中央区域における断面を増加させてバイパスを構成したバイパス方式の注射器(99)内で調製される請求項1〜6いずれか1項記載の方法であって、
有効成分を含む液体(102a)が、注射針からバイパス(103)の手前までの間に含まれる第一区画(102)内に充填され凍結され、添加剤(106)の溶液がバイパスに添加され、該添加剤溶液がその後凍結され、引続いて注射器全体が真空下で凍結乾燥され、
真空下で、第一のピストン(104)がバイパスに充填された添加剤に一端で接して配置され、第一のピストンの他端に接する第二の区画(101)が液体(101a)で充填され、第二のピストン(105)が液体(101a)にその一端を接して配置され、第二のピストン(105)のスピンドルが設けられ、この第二のピストンにより、液体を通して凍結乾燥された添加剤を押しつぶす圧力が加えられ、その結果、第一のピストンがバイパスに達する時に、液体がバイパスを経て第一の区画に自動的に進むと共に、真空下における固体を再水和し、最終的に、注射用調剤が得られることを特徴とする方法。
【請求項8】
乾燥形態の有効成分(3)が、注射可能な添加剤を含む又は含まない有効成分を含み、種々の正確な容積で得られた乾燥形態の有効成分を器具(11)内に分配した後、乾燥形態の有効成分が調製され、器具はその後真空下で閉鎖されることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
液体と固体形態の有効成分が、連結器を介して2つの注射器(11,16)間での後退及び前進移動により混合されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特定の容積を完全に満たしている乾燥形態の有効成分(18)を真空包装する手段(19)と、即時の再水和のための所定容積の液体(22)を包装する手段(21)と、前記液体を乾燥形態の有効成分に対し吸引により添加して、前記特定容積の全体に亘って満たすための前記手段間の連結手段(29)とを有しており、前記真空包装手段(19)は即時の再水和後注射器となることを特徴とする注射可能製剤の調製器具。
【請求項11】
乾燥形態の有効成分を真空包装する手段が気密注射器(11,12)であり、前記液体を包装する手段がピストン(10)を含むリザーバ(16)であることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記連結手段がキャップ隔壁(29)と注射針(25)又はバルブ(2)のいずれかを含んでなることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項13】
乾燥形態の有効成分を真空包装する手段である注射器が可撓性包装(31)内に真空包装されると共に、液体を包装する手段である液体リザーバ(21)と連通している連結手段(29)に固定されることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項14】
乾燥形態の有効成分を真空包装する手段である注射器(19)が、連結手段の一部を構成するキャップ隔壁(29)に係合され、液体を包装する手段である液体リザーバ(21)と注射器を連通にするためにキャップ内で摺動可能な注射針(25)を備え、注射器、液体リザーバ及び連結手段が可撓性包装(31)内に真空包装されることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項15】
液体を包装する手段である液体リザーバが、連結手段の一部を構成するストッパ隔壁(71)を介して、乾燥形態の有効成分を真空包装する手段である注射器(69)に連結された可撓性バッグ(67)であると共に、注射器が真空包装されていることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項16】
乾燥形態の有効成分を真空包装する手段である注射器(75)が、可撓性包装(76)内に真空包装されていると共に、連結手段の一部を構成する連結器である注射針(25)を備え、該注射針は、ストッパ隔壁(70)を介して、液体を包装する手段である液体リザーバ内に導入され、前記可撓性包装(76)を介して注射器に結合されることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項17】
注射器(81)が、始動スピンドル(85)と一体の第一のピストン(84)及び独立のピストン、例えば、3つのピストン(86、87、88)により、注射器の長手方向において分離される2つの区画(82、83)を含んでなり、該2つの区画は、乾燥形態の有効成分を真空包装する区画(83)及び液体を包装する区画(82)であり、任意に相互連通されることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項18】
注射器(99)が中央のバイパス(103)により注射器の長手方向において分離された2つの区画(101,102)形式のものであり、2つの区画の1つはバイパスを含まず且つ2つの独立のピストン(104、105)を含み、そのピストン間に再水和液体が収納され、他の区画はバイパスを含み且つ乾燥形態の有効成分を真空包装する区画であることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項19】
注射器(107)が、注射器の注射ピストン(111)内に挿入されることにより遮断される針(109)を備えたカートリッジ隔壁(108)を含み、前記カートリッジ隔壁が再水和液(112)を包装する手段であると共に、前記注射器が乾燥形態の有効成分(113)を真空包装する手段であり、前記針が前記ピストンに挿入されて乾燥形態の有効成分を真空包装する手段内に再水和液を通すことを可能にすることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項20】
カートリッジ隔壁(108)が、ピストン(114)と、注射ピストン(111)内にカートリッジ隔壁の針(109)を挿入後、注射ピストン(111)のスピンドルとしてカートリッジ隔壁を用いることが可能な十分な長さのスピンドル(115)とを装着され、カートリッジ隔壁内に収容された液体を、注射ピストンと注射針との間にあり真空下における乾燥形態の有効成分を含む注射器内にカートリッジ隔壁の針を経由して導入し、この操作が注射可能製剤を再構成することを可能にすることを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項21】
乾燥形態の有効成分を真空包装する手段である注射器(42)が、液体(45)を包装する手段であるカートリッジ−隔壁(44)にキャップ(43)により結合されており、前記注射器は注射針(47)を装着しており、前記注射針は、キャップ内に挿入されカートリッジ−隔壁の隔壁(49)に向い合う位置に保持されており、且つ前記注射針を隔壁に挿入して注射器内に含まれた乾燥の有効成分(46)の再水和を引起こすことができることを特徴とする請求項10に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2009−254899(P2009−254899A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185856(P2009−185856)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【分割の表示】特願平10−500280の分割
【原出願日】平成9年6月4日(1997.6.4)
【出願人】(505474717)ソシエテ・ドゥ・コンセイユ・ドゥ・ルシェルシュ・エ・ダプリカーション・シャンティフィック・エス・ア・エス (41)
【Fターム(参考)】