説明

洗浄剤物品

【課題】内容物である洗浄剤を、目視によって精度良く確認できる状態の泡として被吐出面の広い範囲に付着できる、発泡吐出型の洗浄剤物品を提供する。
【解決手段】(a)分子中にカチオン基を有する水溶性高分子化合物、(b)界面活性剤、並びに(c)水を含有する洗浄剤を、内壁面が吐出方向前方に向かって断面積を拡大させるテーパー面を有する発泡筒を備えた噴出ノズルが装着された発泡吐出容器に収納した洗浄剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤物品に関する。より具体的には、本発明は、洗浄剤を発泡吐出容器に収納した洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトリガー式スプレイヤー容器等の吐出容器では、トリガー等を介した吐出操作によって噴出ノズルの噴出孔から内容液を噴出させる。噴出孔から内容液を噴出させる吐出容器では、噴出ノズルに発泡筒を装着して、噴出孔から噴出する内容液を発泡させた状態で吐出させるようにした容器も知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、噴出ノズルに発泡筒を装着した吐出容器では、内容液が吐出される被吐出面の形態や、内容液の用途等に応じて、発泡状態での吐出と噴霧状態での吐出とを切り替えたり、吐出面積の大きさの大小を切り替えることができるようにしたものも開発されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
一方、浴室、浴槽、シンク等の硬質表面の洗浄に適した洗浄剤が種々提案されている。特に、手軽に浴室、浴槽、シンク等の水まわり設備に水滴を残さず素早く乾燥させる処理技術は望ましいものであり、特許文献5には、このような観点からなされた、特定の構成単位を含む高分子化合物、界面活性剤、及び水を含有する硬質表面用洗浄剤が開示されており、かかる洗浄剤をスプレーにより硬質表面に適用できることも記載されている。
【特許文献1】特開昭52−116919号公報
【特許文献2】実開平7−9451号公報
【特許文献3】特開平9−285746号公報
【特許文献4】特開2004−255327号公報
【特許文献5】特開2006−143843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、内容液を発泡した状態で吐出させる容器の用途も多様化しており、例えば浴室の洗浄に用いる浴室用洗剤においては、液体洗剤を被洗浄面に吐出した後に、スポンジやブラシ等を使用して、擦り作業を行うことなく、水で洗い流すことのみによって洗浄を行うものが好ましく用いられる場合がある。このような洗剤では、被洗浄面の洗浄領域に液体洗剤が吐出された範囲を目視によって確認できるようにすることが望ましい。このため、被洗浄面に向けて吐出された液体洗剤が、被洗浄面に吐出された後も、吐出毎の液体洗剤の付着面積を目視可能なように、例えば泡の状態で被洗浄面に付着していることが望ましい。また、液体洗剤を吐出した後に拭き取りを行う清掃作業や、その他の液体を吐出して行う作業においても、吐出容器から内容液が吐出された際の付着面積を、吐出毎に泡によって精度良く確認することができれば便利である。
【0006】
内容液を発泡した状態で吐出させる吐出容器では、噴出ノズルに発泡筒を装着した発泡ノズルを備えていることにより、発泡した内容液と、発泡しないで霧状態のまま吐出される内容液とが混在して被吐出面に付着することになる。従来の発泡ノズルでは、目視可能な発泡した状態で被吐出面に付着した部分は、吐出毎の付着面積の一部に集中しやすくなって全体に現れず、発泡していない部分(発泡した泡以外の部分)は、目視が困難な略透明な状態で被吐出面に付着するので、吐出毎の付着面積を目視によって精度良く確認することは困難である。
【0007】
本発明は、内容物である洗浄剤を、目視によって精度良く確認できる状態の泡として被吐出面の広い範囲に付着できる、発泡吐出型の洗浄剤物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の洗浄剤を特定の発泡吐出容器に収納することにより、上記目的を達成し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、(a)分子中にカチオン基を有する水溶性高分子化合物、(b)界面活性剤、並びに(c)水を含有する洗浄剤を、発泡筒を備えた噴出ノズルが装着された発泡吐出容器に収納した洗浄剤物品であって、前記発泡筒の内壁面が、吐出方向前方に向かって前記発泡筒の断面積を拡大させるテーパー面を有する、洗浄剤物品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗浄剤物品によれば、吐出された洗浄液を被吐出面に広い範囲に泡状に付着させることを可能にし、吐出器による吐出毎の洗浄剤の付着面積を目視によって精度良く確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[発泡吐出容器]
本発明の好ましい一実施形態に係る発泡吐出容器は、例えば図1に示す吐出容器であるトリガー式スプレイヤー容器11の先端に、発泡ノズル10がノズル部として取り付けられている。ここで、トリガー式スプレイヤー容器11は、容器本体12の口首部13に吐出器としてのトリガースプレイヤー14が装着固定され、トリガースプレイヤー14の先端ノズル部から容器本体12に収容された洗浄剤を対象物に向けて吐出する吐出容器として用いられるものである。トリガースプレイヤー14は、例えば液体洗剤等を噴霧状又は泡状にして吐出させるスプレイヤーとして公知のものであり、スプレイヤー本体15に回動可能にピン結合されたトリガー15aを操作部として、例えばスプレイヤー本体15の内部に設けたシリンダー部の付勢力に抗して、口首部13側に繰り返し引き寄せる操作を行うことにより、容器本体11から吸引パイプを介して洗浄剤をスプレイヤー本体15に汲み上げると共に、汲み上げた洗浄剤を噴霧状又は泡状にして先端ノズル部から吐出させる機能を備えるものである。
【0012】
また、本実施形態では、発泡吐出容器としてのトリガー式スプレイヤー容器11に取り付けられる発泡ノズル10は、図2に示すように、スプレイヤー本体15の液体噴出筒16の先端に嵌合固着される噴出ノズル17に、発泡筒18を装着して構成されるものであり、噴出ノズル17は、液体噴出筒16の先端に形成されるスピン機構19を通過して圧送されてくる洗浄剤を、微小な水滴状若しくは霧状にして所定の噴出角度θで噴出孔20から噴出させる。
【0013】
そして、本実施形態では、発泡ノズル10は、噴出ノズル17に発泡筒18を装着し、トリガー式スプレイヤー容器11の吐出操作によって噴出孔20から噴出する洗浄剤を、発泡筒18の内壁面18aに衝突させて発泡した状態で吐出させるノズル部材であって、図3にも示すように、発泡筒18の内壁面18aが、吐出方向Xの前方に向かって発泡筒18の断面積(開孔面積)を拡大させるテーパー面となっている。
【0014】
また、本実施形態では、発泡筒18の内壁面18aに、凹凸面を形成する複数のリブ21が、周方向に並んで設けられている。
【0015】
本実施形態では、発泡ノズル10を構成する噴出ノズル17は、例えば合成樹脂成形品であって、上述のように、スプレイヤー本体15の液体噴出筒16の先端に嵌合固着される。また噴出ノズル17には、液体噴出筒16の外周の溝(又は、噴出ノズル17の内周の溝)により形成されたスピン機構19のスピン通路19aと連通して、前端面17aの中心に噴出孔20が形成されている。さらに、発泡ノズル10における発泡筒18は、噴出ノズル17の前端面17aの外周部分から吐出方向Xの前方に向かって筒状に突出している嵌着筒状壁22に嵌め込むことにより、噴出ノズル17に装着固定される。尚、発泡ノズル10(噴出ノズル17)と発泡筒18を一体成形することも可能であり、一体成形されたノズルがスプレイヤー本体15の液体噴出筒16の先端に嵌合固着される。
【0016】
発泡筒18は、例えば合成樹脂成形品であって、嵌着筒状壁22の内周面に沿った形状の外周面を備える円環状の外側筒状壁23と、外側筒状壁23との間にスペース部を設けて同心円環状に配置される内側筒状壁24と、外側筒状壁23と内側筒状壁24とを吐出方向Xの前方部分で連結一体化する環状端面壁25とからなる。環状端面壁25には、これの周方向に間隔をおいて空気導入孔26の開口部が形成されており、その開口部から取入れられた外気は、外側筒状壁23と内側筒状壁24との間のスペース部を経由して噴出孔20まで流入され、噴出孔20から噴出する洗浄剤を発泡させる空気として発泡ノズル
10の内部に流入される。尚、空気導入孔26は、その開口部を環状端面壁25でなくノズル10の側壁に形成することも可能であり、前述の発泡ノズル10と発泡筒18を一体成形した場合には、ノズル10の側壁に空気導入孔26の開口部を形成することが好ましい。
【0017】
内側筒状壁24は、外側筒状壁23よりも短く形成され、噴出ノズル17の前端面17aとの間にスペース部を保持して、噴出孔20から噴出する噴霧状の洗浄剤に空気を供給できるようになっている。また発泡筒18の内壁面18aを構成する内側筒状壁24の内壁面は、吐出方向Xの前方に向かって断面積(開孔面積)を拡大させるテーパー面となっている。
【0018】
ここで、テーパー面のより具体的な形状を図4(a)〜(d)に例示する。例えば内側筒状壁24の高さhを3.7mmとして、図4(a)の例では吐出方向Xの後端の内径d(リブ21による凹凸の凹部間の内径、図3参照)は6mm、吐出方向Xの前端の内径D(リブ21による凹凸の凹部間の内径、図3参照)は8mmとなっている。図4(b)の例では吐出方向Xの噴出孔20側である後端の内径dは5mm、吐出方向Xの前端の内径Dは8mmとなっている。図4(c)の例では吐出方向Xの後端の内径dは4mm、吐出方向Xの前端の内径Dは8mmとなっている。図4(d)の例では吐出方向Xの後端の内径d(リブ21よる凹凸の凹部間の内径、図3参照)は5mm、吐出方向Xの前端の内径D(リブ21による凹凸の凹部間の内径、図3参照)は8mmとなっている。
【0019】
これらの例によれば、噴出孔20の内径d'を0.8mmとし、噴出孔20から内側筒状壁24の吐出方向Xの後端までの長さLを1.2mmとして、噴出孔20からの噴出角度θを90度とした場合に、図4(a)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに2.23mmの高さ位置h1よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18a(リブ21による凹凸の凹部)に衝突することになる。図4(b)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.87mmの高さ位置h1よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。図4(c)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.27mmの高さ位置h1よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。図4(d)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.87mmの高さ位置h1よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。
【0020】
また、本実施形態では、発泡筒18の内壁面18aには、例えば図3に示すように、吐出方向Xに延びる複数の帯状のリブ21が、周方向に並んで設けられて凹凸面を形成している。周方向に並んだ複数のリブ21の形状としては、発泡筒18の内壁面18aの周方向に11.25度の角度幅を有する、高さが0.3mmの帯状のリブ21を、隣接するリブ21の間に11.25度の角度幅の間隔をおいて並べて配置した形状を好ましく採用することができる。
【0021】
これによって、噴出孔20の内径d'を0.8mmとし、噴出孔20から内側筒状壁24の吐出方向Xの後端までの長さLを1.0mmとして、噴出孔20からの噴出角度θを90度とした場合に、図4(a)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.81mmの高さ位置h2よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18のリブ21による凸部に衝突することになる。図4(b)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.39mmの高さ位置h2よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。図4(c)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに0.61mmの位置h2よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。図4(d)の例では、内側筒状壁24の後端から吐出方向Xに1.39mmの高さ位置h2よりも前方部分の領域において、噴出孔20から噴出する洗浄剤が、発泡筒18の内壁面18aに衝突することになる。
【0022】
そして、上述の構成を備える本実施形態の発泡ノズル10を備えるトリガー式スプレイヤー容器11によれば、洗浄剤が吐出された被吐出面の広い範囲に泡を付着させて、トリガー式スプレイヤー容器11による吐出毎の付着面積を目視によって精度良く確認することが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、噴出孔20から噴出する洗浄剤を衝突させる発泡筒18の内壁面18aが、吐出方向X前方に向かって発泡筒18の開口面積を拡大させるテーパー面となっているので、概テーパー面に沿って、発泡した液が流れてゆき、発泡筒18の先端部に到達したときに、その方向(直進方向からテーパー面の角度を
もった方向)を保持した状態で吐出される作用によって、発泡させた洗浄剤を被吐出面の広い範囲に付着させることが可能になる。
【0023】
また、本実施形態の発泡ノズル10によれば、発泡筒18の内壁面18aには、凹凸面を形成する複数のリブ21が並んで設けられているので、このようなリブ21による凹凸面により、噴出孔20から噴出する洗浄剤が発泡筒18の内壁面18aに衝突する回数、量が増加するため、発泡性を良好なものとするから、吐出されて被吐出面に付着した洗浄剤の泡となっている範囲を広くすることを可能にし、目視によって広い範囲に洗浄剤を付着させたことを確認することができる。
【0024】
なお、本発明の発泡吐出容器は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、発泡筒の内壁面の吐出方向前方に向かって開口面積を拡大させるテーパー面は、直線状に傾斜するテーパー面である必要は必ずしもなく、湾曲するテーパー面や、階段状に開口面積を拡大させるテーパー面等であっても良い。また、発泡筒の内壁面に凹凸面を形成する複数のリブは、吐出方向Xに延設する帯状のリブを、周方向に並べて設けたものである必要は必ずしもなく、周方向に延設するリブを吐出方向Xに並べて配置したり、スパイラル状に配置して設けることもできる。さらに、リブは、吐出方向Xの全長に亘って連続して設けられている必要は必ずしもなく、吐出方向Xに断続させて設けたり、噴出孔から噴出する洗浄剤が衝突する部分のみに設けても良い。吐出方向Xの先端部近傍部分を切り欠いて設けても良い。スピン通路と連通する噴出孔から噴出する噴霧状の洗浄剤は、スピンによって斜めに噴出することになるが、これらのリブは、このような斜めの噴出方向と交差する方向に延設していることが好ましい。さらにまた、噴出ノズルに発泡筒を装着してなる発泡ノズルを、トリガー式スプレイヤー容器以外の、洗浄剤を泡状にして吐出させるその他の種々の吐出容器のノズル部分に取り付けて、本発明の発泡吐出容器を構成することもできる。
【0025】
[洗浄剤]
本発明の洗浄剤は、(a)分子中にカチオン基を有する水溶性高分子化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)界面活性剤〔以下、(b)成分という〕、並びに(c)水を含有する。
【0026】
<(a)成分>
(a)成分の、分子中にカチオン基を有する水溶性高分子化合物としては、下記一般式(i−1)で表される単量体及び一般式(i−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位〔以下、構成単位(i)という〕を含む水溶性高分子化合物を挙げることができる。(a)成分のカチオン基は、構成単位(i)に由来するものが好ましい。一般式(i−2)で表される単量体を用いる場合は、重合後に4級化される。
【0027】
【化4】

【0028】
〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X1、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X1−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、Z-は陰イオンを示す。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0029】
構成単位(i)の由来となる具体的な単量体化合物としては、ジアリルジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N−ジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アミン、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N,N−トリアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルオキシアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N,N−トリアルキル(アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、及びN−(ω−アルケニル(該アルケニル基の炭素数は2〜10))−N,N−ジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アミンから選ばれる化合物が挙げられる。
【0030】
更に、(a)成分の水溶性高分子化合物は、下記一般式(ii)で表される単量体に由来する構成単位〔以下、構成単位(ii)という〕を含むことが好ましい。
【0031】
【化5】

【0032】
〔式中、R12は水素原子、メチル基、又は−COOMであり、R13は水素原子、メチル基、又はヒドロキシ基である。TはOH、−COOM、OCOR14、又は−ph−SO3Mである。ここでMは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、phはベンゼン環を示し、そしてR14は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
【0033】
更に、本発明の(a)成分である水溶性高分子化合物は、前記一般式(ii)で表される単量体に由来する構成単位として、下記一般式(ii−1)で表される単量体及び一般式(ii−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。以下、一般式(ii−1)で表される単量体に由来する構成単位を構成単位(ii−1)、一般式(ii−2)で表される単量体に由来する構成単位を構成単位(ii−2)とする。
【0034】
【化6】

【0035】
〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【0036】
(a)成分の構成単位中、構成単位(i)及び構成単位(ii)の合計が50〜100モル%、更に80〜100モル%、特には実質的に100モル%であることが、効果の点から好ましい。また、(a)成分においては、構成単位(ii−1)及び構成単位(ii−2)のモル比が、(ii−1)/(ii−2)で100〜1、好ましくは50〜1.3、更に好ましくは20〜1.5であることが、配合成分の相溶性、及び性能の点から好ましい。
【0037】
さらに、(a)成分が構成単位として構成単位(i)、構成単位(ii−1)及び構成単位(ii−2)を含む場合(更に、他の構成単位(ii)を含まない場合)、(a)成分の構成単位中、構成単位(i)が0.01〜10モル%、更に0.01〜5モル%であることが、配合成分の相溶性、及び効果の点から好ましい。
【0038】
本発明の(a)成分はいかなる重合法によって得てもよいが、ビニルアルコール低級(炭素数1〜3)脂肪酸エステル、及びカチオン基を有し且つビニルアルコール低級脂肪酸エステルと共重合可能な不飽和化合物、好ましくは一般式(i−1)、(i−2)の化合物及び/または一般式(ii)の化合物、及び所望によりこれらと共重合可能な上記単量体をラジカル重合法、特に好ましく、塊状、溶液、又は乳化系にてこれを行うことができる。ラジカル重合は加熱によりこれを開始してもよいが、開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、などのアゾ系開始剤、過酸化水素及び、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過安息香酸などの有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素−Fe3+などのレドックス開始剤、など既存のラジカル開始剤を用いてもよく、光増感剤の存在/又は非存在下での光照射や、放射線照射により重合を開始させてもよい。
【0039】
本発明ではこのように重合して得られた重合体のビニルアルコール低級(炭素数1〜3)脂肪酸エステルに由来する構成単位の一部をケン化する。ケン化する方法は特に限られず、一般的な方法を採用することができる。
【0040】
例えば、該共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解し、必要に応じてポリマー中の酸成分を中和後、或いは中和と同時に酸触媒又はアルカリ触媒でケン化が行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるがメタノールが特に好適に使用される。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが通常は10〜60質量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、或いは硫酸、塩酸等の酸触媒が用いられる。触媒の使用量は、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、通常ビニルアルコール低級(炭素数1〜3)脂肪酸エステルに対して0.1〜10モル%が適当である。又、ケン化反応温度は特に制限はなく、目標のケン化度に従って適宜選択され、通常10〜60℃好ましくは20〜50℃の範囲から選ばれ、ケン化反応は5〜240分にわたって行われる。
【0041】
(a)成分の重量平均分子量は10,000〜1,000,000、更に10,000〜500,000、特に10,000〜200,000、更に特に50,000〜150,000が好ましい。ここでいう重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準として求めることができる。
【0042】
<(b)成分>
(b)成分の界面活性剤としては、(b−1)陰イオン界面活性剤、(b−2)非イオン界面活性剤、(b−3)陽イオン界面活性剤及び(b−4)両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0043】
(b−1)陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18の高級脂肪酸塩、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)ベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル塩、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸エステル塩、α−オレフィン(炭素数10〜18)スルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸(炭素数10〜18)の低級アルキル(炭素数1〜2)エステル塩、炭素数10〜18のアルケニルコハク酸塩、二級アルカンスルホン酸塩(炭素数13〜18)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩(炭素数10〜18)、ポリオキシエチレンアミドアルキルエーテルカルボン酸塩(炭素数8〜18)等が挙げられる。中でも洗浄時の泡立ちや油性汚れに対する洗浄性の観点から、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)ベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィン(炭素数10〜18)スルホン酸塩、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数1〜6)アルキル(炭素数10〜18)エーテル硫酸エステル塩から選ばれる陰イオン界面活性剤を配合することが好ましい。陰イオン界面活性剤の塩は、アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、あるいはアンモニウム塩が好ましい。また、洗浄時の泡立ちとすすぎを容易にする観点から炭素数10〜18の脂肪酸のアルカリ金属塩、あるいはエタノールアミン塩、あるいはアンモニウム塩を界面活性剤の一部として配合することが好ましい。
【0044】
(b−2)陽イオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数10〜20)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(炭素数6〜14)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数6〜18)ジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。
【0045】
(b−3)非イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数10〜18のアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、炭素数10〜18の脂肪酸基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルポリグリコシド、炭素数8〜18の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルポリグリセリルエーテル等が挙げられる。中でも油性汚れに対する洗浄性の観点から、炭素数10〜14のアルキル基を有するポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数5〜20)アルキルエーテルが好ましい。
【0046】
(b−4)両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイドや脂肪酸アミドプロピルアミンオキサイド等のアミンオキサイド、アルキル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミノプロピオン酸等が挙げられる。中でも洗浄時の泡立ちや石鹸カス等のスカム汚れに対する洗浄性の観点から、アルキル(炭素数10〜16)ジメチルアミンオキシド、炭素数12〜14の脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキル(炭素数12〜14)アミノプロピオン酸を配合することが好ましい。
【0047】
これらの界面活性剤は、複数を組み合わせて使用することが好ましい。
【0048】
本発明では貯蔵安定性を改善する目的、及び洗浄力の点から溶剤〔以下(d)成分という〕を含有することができる。具体的にはエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素数4〜8)エーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数3)フェニルエーテル及びアルキル基の炭素数が3〜8のモノアルキルグリセリルエーテルから選ばれる水溶性溶剤が挙げられる。これらの中でも貯蔵安定性及び洗浄力の点からグリコールエーテル系溶剤が好ましく、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素数4〜8)エーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルが好適である。
【0049】
本発明ではキレート剤〔以下(e)成分という〕を含有することが洗浄効果を高める点から好ましく、キレート剤としては、トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸及びこれらのアルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩;アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩;アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキシアクリル酸及びこれらのアルカリ金属塩;クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上;アルキルグリシン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸又はこれらの塩等が挙げられる。本発明ではこれらの中で特にエチレンジアミン四酢酸、及びクエン酸が好適である。
【0050】
本発明ではp−トルエンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−クメンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸などのハイドロトロープ剤、香料、抗菌剤、粘度調整剤、顔料、染料、懸濁剤などの任意成分〔以下(f)成分という〕を添加することができる。
【0051】
本発明の洗浄剤は、液体組成物であり、(a)成分を0.01〜5質量%、好ましくは0.03〜3質量%含有する。(b)成分を0.1〜20質量%、更に0.3〜15質量%、特に0.5〜10質量%含有することが好ましい。残部は(c)水である。また、(a)成分と(b)成分の質量比は、(a)/(b)=1/500〜2/1、更に1/100〜1/1、特に1/50〜1/2が好ましい。なお、本発明の洗浄剤は、硬質表面用に用いることが好ましい。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明の洗浄剤は、(b−1)成分を0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1.8〜5質量%含有する。(b−2)成分を、0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%含有する。(b−3)成分を、0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%含有する。(b−4)成分を、0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%含有する。
【0053】
また、(b−1)成分/(b−2)成分の質量比は、1/9〜14/1、更には1/8〜10/1、特には1/5〜5/1が好ましい。さらに(a)成分/〔(b−1)成分+(b−2)成分〕の質量比は、1/500〜2/1、更には1/100〜1/1、特には1/50〜1/2が好ましい。
【0054】
好ましい実施形態において、本発明の洗浄剤は、(d)成分は任意ではあるが洗浄力を増強すると共に貯蔵安定性を改善できるため、含有することが好ましく、組成物中に0.1〜20質量%、更に1〜15質量%、特に5〜15質量%含有することが好ましい。さらに(e)成分も洗浄力増強効果が得られるため含有することが好ましく、組成物中に0.1〜15質量%、更に0.1〜10質量%含有することが好ましい。
【0055】
本発明では(a)成分〜(c)成分、及び所望により(d)成分〜(f)成分を水に溶解させた水溶液の形態であることが好ましく、20℃におけるpHは、2〜11、更に3〜10、特に4〜8が作業時の安全性、及び基材に対する損傷性の点から好適である。pH調節剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いても構わない。また、これらの酸剤とアルカリ剤を組み合わせて緩衝剤系として用いても構わない。
【0056】
本発明の洗浄剤は、硬質表面の処理に応じて組成を調整する。また、それぞれの濃厚溶液を調製しておき、使用時に希釈して用いることもできる。
【0057】
本発明の洗浄剤は、さまざまな硬質表面、例えば、プラスチック、セラミックス及び金属から選ばれる材質からなる疎水性の硬質表面や親水性の硬質表面に対して適用されることが好ましく、具体的には強化プラスチック(FRP)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ナイロン、ステンレス、ガラス、鏡、陶器、タイルなどに対して適用されることが好ましい。
【0058】
本発明の洗浄剤物品では、発泡ノズル10は、トリガー式スプレイヤー容器11に、例えば浴室の洗浄に用いる液状の浴室用洗剤を洗浄剤として収用して、収容した浴室用洗剤を被洗浄面に塗布する際に、先端ノズル部に取り付けて用いることが好ましい。浴室用洗剤は、当該浴室用洗剤を被洗浄面に塗布した後に、スポンジやブラシ等を使用して、擦り作業を行うことなく、水で洗い流すことのみによって洗浄を行う洗剤として用いられる場合があり、特に垂直面等に対して塗布された際に液だれが生じないように、単位面積あたりの液量は少ないが発泡性の良いものが求められる。さらに、このような浴室用洗剤を用いた洗浄形態では、被洗浄面の洗浄領域の全体に洗剤が塗布されたか否かを目視によって容易に確認できるようにすることが好ましいことから、本実施形態の発泡ノズル10を用いて浴室用洗剤の吐出毎の塗布面積を目視によって精度良く確認することにより、効率良く被洗浄面の洗浄を行うことが可能になる。
【実施例】
【0059】
表1、2に示す洗浄剤を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、組成物のpHは、水酸化ナトリウム及び塩酸により調整した。
【0060】
(1)発泡比容
各種発泡筒を備えた噴出ノズルが装着された発泡吐出容器を用いて、直径4cm、高さ24cm、容積200mlのメスシリンダーに洗浄剤を10回吐出した時の泡容積(cm3)と、吐出した洗浄剤の重さ(g)を測定し、発泡比容(cm3/g)を測定した。メスシリンダーを45°に傾け、発泡筒の先端がシリンダーの先端から1cm内部に位置し、吐出した泡がシリンダーの壁面に付着しないようにスプレイヤーを固定した。発泡吐出容器として、図5のストレート形状を有する発泡筒(A)(比較品)、又は図4(d)のテーパー形状を有する発泡筒(B)(本発明品)を備えた噴出ノズルが装着されたトリガー式スプレイヤーを使用した。
【0061】
(2)泡視認可能領域
各種洗浄剤を収容し、噴出ノズルから20cm離れた位置に垂直に設けた被吐出面に対して、発泡筒を備えた噴出ノズルが装着された発泡吐出容器から洗浄剤を吐出する実験を行った。その際、泡にならず透明な状態で付着した領域を含む洗浄剤の全付着面積と、容易に目視可能な泡の状態で付着した領域の面積を測定した。両者の数値が大きく且つ近いことが泡付着状況において望ましいことを意味する。発泡吐出容器として、図5のストレート形状を有する発泡筒(A)(比較品)、又は図4(d)のテーパー形状を有する発泡筒(B)(本発明品)を備えた噴出ノズルが装着されたトリガー式スプレイヤーを使用した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
(注)
表中の成分は以下のものである。
・カチオン変性PVA(ア):酢酸ビニルとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとの共重合物の部分ケン化物(全構成単位中、構成単位(i)及び構成単位(ii)の合計は100モル%であり、構成単位(i)は0.9モル%であり、構成単位(ii−1)及び構成単位(ii−2)のモル比は(ii−1)/(ii−2)=6.7である。重量平均分子量は約9万である。)
・カチオン変性PVA(イ):酢酸ビニルとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとの共重合物の部分ケン化物(全構成単位中、構成単位(i)及び構成単位(ii)の合計は100モル%であり、構成単位(i)は0.9モル%であり、構成単位(ii−1)及び構成単位(ii−2)のモル比は(ii−1)/(ii−2)=6.7である。重量平均分子量は約3万である。)
・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム:ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数2.0)アルキル(炭素数12〜16)エーテル硫酸エステルナトリウム
・高級脂肪酸ナトリウム:ミリスチン酸ナトリウム
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:エチレンオキサイド平均付加モル数10、アルキル基の炭素数12〜16
・アルキルグリコシド:アルキル(炭素数10〜16)ポリグルコース(平均糖縮合度1〜2)
・脂肪酸アミドプロピルベタイン:ラウリン酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン
・アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:アルキル基の炭素数8
・キレート剤:EDTA−4Na/クエン酸=4(質量比)の混合物
【0065】
<調製例>
(a)カチオン変性PVA(ア)を、下記の水溶性高分子化合物に代える以外は、実施例1−1と同一の組成物を調製すると、実施例1−1とほぼ同様の効果が得られる。
・水溶性高分子化合物1:マーコート100[塩化ジアリルジメチルアンモニウムのホモポリマー(Nalco社製、重量平均分子量40万、ゲルパーミエーションクロマトグラムで測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
・水溶性高分子化合物2:マーコート280[塩化ジアリルジメチルアンモニウム化合物とアクリル酸(モル比8:2)の共重合体、(Nalco社製、重量平均分子量170万、ゲルパーミエーションクロマトグラムで測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
・水溶性高分子化合物3:マーコート550[塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミド(モル比30/70)の共重合体(Nalco社製、重量平均分子量500万、ゲルパーミエーションクロマトグラムにより測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
・水溶性高分子化合物4:塩化ジアリルジメチルアンモニウム化合物とマレイン酸(モル比50:50)の共重合体、(重量平均分子量2万、ゲルパーミエーションクロマトグラムで測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
・水溶性高分子化合物5:N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとアクリル酸(モル比50/50)の共重合体、(重量平均分子量20万、ゲルパーミエーションクロマトグラムで測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
・水溶性高分子化合物6:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとアクリル酸(モル比50/50)の共重合体、(重量平均分子量20万、ゲルパーミエーションクロマトグラムで測定、ポリエチレングリコールを標準として使用)]
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る発泡吐出容器としてのトリガー式スプレイヤー容器を示す要部側面図である。
【図2】噴出ノズルに発泡筒を装着してなる発泡ノズルの構成を説明する断面図である。
【図3】発泡ノズルの発泡筒の拡大斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、発泡筒の内壁面のテーパー形状を具体的に例示する説明図である。
【図5】発泡筒の内面壁のストレート形状を具体的に例示する説明図(比較例)である。
【符号の説明】
【0067】
10 発泡ノズル
11 トリガー式スプレイヤー容器(発泡吐出容器)
12 容器本体
13 口首部
14 トリガースプレイヤー(吐出器)
15 スプレイヤー本体
15a トリガー
16 液体噴出筒
17 噴出ノズル
17a 噴出ノズルの前端面
18 発泡筒
18a 発泡筒の内壁面
19 スピン機構
19a スピン通路
20 噴出孔
21 リブ
22 嵌着筒状壁
23 外側筒状壁
24 内側筒状壁
25 環状端面壁
26 空気導入孔
X 吐出方向
θ 噴出角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分子中にカチオン基を有する水溶性高分子化合物、(b)界面活性剤、並びに(c)水を含有する洗浄剤を、発泡筒を備えた噴出ノズルが装着された発泡吐出容器に収納した洗浄剤物品であって、前記発泡筒の内壁面が、吐出方向前方に向かって前記発泡筒の断面積を拡大させるテーパー面を有する、洗浄剤物品。
【請求項2】
前記洗浄剤の(a)成分が、下記一般式(i−1)で表される単量体及び一般式(i−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位を含む水溶性高分子化合物である、請求項1に記載の洗浄剤物品。
【化1】


〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X1、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X1−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、Z-は陰イオンを示す。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【請求項3】
前記洗浄剤の(a)成分が、更に、下記一般式(ii)で表される単量体に由来する構成単位を含む水溶性高分子化合物である、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【化2】


〔式中、R12は水素原子、メチル基、又は−COOMであり、R13は水素原子、メチル基、又はヒドロキシ基である。TはOH、−COOM、OCOR14、又は−ph−SO3Mである。ここでMは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、phはベンゼン環を示し、そしてR14は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
【請求項4】
前記一般式(ii)で表される単量体に由来する構成単位として、下記一般式(ii−1)で表される単量体及び一般式(ii−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位を含む請求項3に記載の洗浄剤物品。
【化3】


〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【請求項5】
前記発泡吐出容器の前記発泡筒の内壁面には、凹凸面を形成する複数のリブが並んで設けられている請求項1〜4の何れか1項の洗浄剤物品。
【請求項6】
前記発泡吐出容器がトリガー式スプレイヤーである請求項1〜5の何れか1項記載の洗浄剤物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−265766(P2008−265766A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107304(P2007−107304)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】