説明

洗浄剤組成物

【課題】刺激感が少なく、洗浄効果に優れつつ、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)等の感触に優れ、エモリエント成分としての油性成分の安定配合を図った洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(D);(A)N−アシルアミノ酸有機アミン塩 1〜10質量%、(B)イミダゾリン系両性界面活性剤 1〜5質量%、(C)25℃において液状またはペースト状の油性成分、(D)25℃において液状でIOB値が0.7以上0.9未満の非イオン性界面活性剤を配合し、前記成分(C)、(D)の配合質量比(C)/(D)が1/10〜3/2であることを特徴とする洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関し、更に詳細には、エモリエント成分である油性成分を安定に配合し、優れた洗浄効果を有しながら、刺激感が少なく、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れた洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやハンドソープ等の洗浄剤組成物は、洗浄力と起泡性や使用後の良好な感触を得る為に、アニオン性界面活性剤や両性界面活性剤をはじめ、様々な種類の洗浄剤の配合について検討がなされてきたが、洗浄効果や起泡性を重視するあまり、処方によっては皮膚や頭皮に刺激感を与えてしまったり、また毛髪においては、きしみや乾燥感が強まったりするなどの問題が生ずる場合があった。
そこで洗浄効果や起泡性は有しつつ、刺激感を低減し、良好な使用感を得るために、特定の界面活性剤を組み合わせる方法や油性成分を添加する方法など、さまざまな試みがなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開平10−245590号公報
【特許文献2】特開2003-160797号公報
【特許文献3】特開2001−114653号公報
【特許文献4】特開平7−62389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来用いられてきた手法は、起泡性や泡もちには優れるものの、刺激感の低減や仕上がりのしなやかさ等の面で改善が十分ではない場合があった。
また、刺激感の低減のためには、一般に洗浄剤量の減らすことも有効と考えられているが、洗浄剤量を低減すると、コンディショニング効果を付与する目的で配合している油性成分の可溶化が充分に行なわれなくなり油性成分の安定配合が困難になる場合があるため、洗浄剤量の低減には限界があった。また洗浄剤とは別に可溶化剤として公知の成分を使ってエモリエント成分である油性成分の安定配合を図る方法もあるが、可溶化剤は親水性が強すぎて、べたついたり、ごわついたりして感触面でのデメリットが大きく、また、透明洗浄剤組成物においては透明性を欠いたりした。
つまり、洗浄剤組成物において、さらなる刺激感の低減と、油性成分の安定配合の両立は困難であり、透明洗浄剤組成物においては難しいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる実情に鑑み、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、N−アシルアミノ酸有機アミン塩と、イミダゾリン系両性界面活性剤を特定量配合する洗浄剤組成物において、25℃における性状が液状またはペースト状である油性成分を特定の非イオン性界面活性剤を特定の比率で配合することで、エモリエント成分としての油性成分を安定に配合し、優れた洗浄効果を有しながら、刺激感が少なく、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れた洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D);
(A)N−アシルアミノ酸有機アミン塩 1〜10質量%、
(B)イミダゾリン系両性界面活性剤 1〜5質量%
(C)25℃おいて液状またはペースト状の油性成分、
(D)25℃において液状でIOB値が0.7以上0.9未満の非イオン性界面活性剤
を配合し、前記成分(C)、(D)の配合質量比(C)/(D)が1/10〜3/2であることを特徴とする洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の洗浄剤組成物は、エモリエント成分である油性成分を安定に配合し、優れた洗浄効果を有しながら、刺激感が少なく、毛髪や肌へのコンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について特にその好ましい形態を中心に具体的に説明する。
本発明の洗浄剤組成物に用いられる成分(A)のN−アシルアミノ酸有機アミン塩は通常洗浄剤組成物に用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、N−アシルアミノ酸の骨格としては、N−アシルグルタミン酸、N−アシルアスパラギン酸、N−アシル−DL−アラニン、N−アシル−N−メチル−β−アラニン、N−アシルメチルタウリン、N−アシルサルコシン、N−アシルグリシンなどがあり、また有機アミン塩とする対塩基としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパンジオール、アルギニン、リジン、ヒスチジン等が挙げられ、有機アミン塩になっているものを用いても良いし、または対塩基と別々に配合し製造工程の中で反応させて有機アミン塩として配合してもよい。特に、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸等のN−長鎖アシルグルタミン酸のトリエタノールアミン塩が、十分な洗浄効果を有しつつ、刺激感の少なく好ましい。
成分(A)はこれらの塩から一種又は二種以上を用いることができ、市販品としてはアラノンALTA(川研ファインケミカル社製)、アミノサーファクトACMT−L(旭化成ケミカルズ社製)等を用いることができる。
【0007】
本発明の洗浄剤組成物における成分(A)の配合量は、組成物全量中1〜10質量%(以下、単に「%」と記す)であり、より好ましくは3〜8%である。この範囲であれば、洗浄剤組成物としての十分な洗浄効果を有しつつ、刺激感の少ない良好なものが得られるが、1%より少ないと十分な洗浄効果を得ることができず、10%を超えると刺激感の低減効果が弱く、後述する成分(C)の油性成分の配合効果(コンディショニング効果)が得られにくい上に、すすぎ時や洗浄後のぬるつき感が強くなる。
【0008】
本発明に用いられる成分(B)のイミダゾリン系両性界面活性剤は、クリーミィーな泡質、後肌の滑らかさに優れた洗浄剤であり、通常、洗浄料に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2−ヤシ油アルキル−1−カルボキシエチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインナトリウム、2−ヤシ油アルキル−1−カルボキシエトキシエチル−1−カルボキシエチルイミダゾリウムジナトリウムヒドロキシド、2−ヤシ油アルキル−1−カルボキシメトキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリウムジナトリウムヒドロキシド、2−ヤシ油アルキル−1−カルボキシメトキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリウムジナトリウムラウリル硫酸等が挙げられ、市販品としては、REWOTERIC AMC(ゴールドシュミット社製)、MIRANOL C2M(ローヌ・プーラン社製)等を用いることができる。成分(B)はこれらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0009】
本発明の洗浄剤組成物における成分(B)の配合量は、組成物全量中1〜5%であり、より好ましくは2〜4%である。この範囲であれば、クリーミィーな泡質で、十分な洗浄効果を有しつつ、刺激感の少ない良好なものが得られるが、1%より少ないと十分な洗浄効果を得ることができず、5%を超えると刺激感の低減効果が弱く、さらに成分(C)の油性成分の効果が得られにくい上に、すすぎ時や洗浄後のぬるつき感が強くなる。
【0010】
更にまた、本発明の洗浄剤組成物においては、成分(A)と成分(B)の配合質量比(A)/(B)が2/1〜4/1であることが好ましい。この範囲であると、十分な洗浄効果を有しつつ、刺激感の低減を図ることができ、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れたものが得られる。
【0011】
本発明に用いる成分(C)の25℃において液状またはペースト状の油性成分(以下、単に「成分(C)の油性成分」という場合がある)は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されないが、液状である油性成分としては不揮発性油が好ましく用いられ、例えばスクワラン、流動パラフィン等の炭化水素油、ミリスチン酸イソステアリル、ノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、イソステアリン酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル、オクチルドデシル)、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のエステル油、ひまし油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、月見草油、サフラワー油、オレンジ油、オリーブ油、ペパーミント油、液状ラノリン等の動植物油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ジグリセライド、トリグリセライド等が挙げられる。
またペースト状の油性成分としては、具体的には、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、ワセリン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイル−サルコシンイソプロピル等が挙げられる。
成分(C)の油性成分は、これらを一種又は二種以上用いることができるが、特に構成脂肪酸に不飽和脂肪酸を含有する植物由来の油性成分、具体的にはひまし油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、月見草油、サフラワー油、オリーブ油、メドウフォーム油等の植物油、またはテルペノイド類を含有する植物由来の油性成分、具体的には、オレンジ油、レモンオイル、ユーカリ油、ペパーミント油、サイプレスオイル、ラベンダー油、ザラニウムオイル、ローズオイル等の植物油が、刺激感の低減効果や毛髪や肌へのコンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)付与の点で好ましい。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の配合量は、組成物全量中0.01〜4.5%が好ましく、更に好ましくは0.05〜3%である。成分(C)をこの範囲で配合すると刺激感の低減効果を有し、毛髪や肌になめらかさや保湿感を与えコンディショニング効果に優れたものが得られる。
【0013】
本発明に用いられる成分(D)の25℃において液状でIOB値が0.7以上0.9未満の非イオン性界面活性剤(以下、単に「成分(D)の非イオン性界面活性剤」という場合がある)は、成分(C)の油性成分を安定に配合する溶媒として、また、刺激感の低減やコンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)をもたらすエモリエント成分としても配合するものであり、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。ここでいうIOB値(Inorganic
Organic Balance)とは、藤田穆の有機概念図によるもので、無機性及び有機性の値の比である。有機化合物の極性の指標であり、この数値が高いほど極性が高くなることを示す。
成分(D)の非イオン性界面活性剤は、25℃において液状で、かつIOB値が0.7以上0.9未満のものであるが、この条件を満たすものであれば、洗い流し性が良く、親油性成分としてエモリエント感の付与や刺激感の低減に寄与し、さらに、界面活性剤である成分(A)、(B)だけでは困難であった成分(C)の油性成分を安定に配合することが可能になり、仕上がりのなめらかさ、保湿感といったコンディショニング効果の良好なものが得られる。
【0014】
本発明に用いられる成分(D)の非イオン性界面活性剤としては、IOB値が0.7以上0.9未満かつ25℃において液状のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエーテル類等が用いられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(5E.O.)(IOB値:0.75)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(6E.O.)(IOB値:0.83)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(3E.O.)(IOB値:0.75)、トリイソステアリン酸デカグリセリル(IOB値:0.76)、ジラウリン酸ポリエチレングリコール(8E.O.)(IOB値:0.81)、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール(12E.O.)(IOB値:0.80)、ジオレイン酸ポリエチレングリコール(12E.O.)(IOB値:0.79)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)(IOB値:0.79)、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(5E.O.)(IOB値:0.77)、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(6E.O.)(IOB値:0.84)、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)(IOB値:0.78)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)(IOB値:0.78)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(30E.O.)(IOB値:0.72)、トリミリスチン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン(20E.O.)(IOB値:0.87)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン(20E.O.)(IOB値:0.78)、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル(10E.O.)(IOB値:0.76)等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
これらの中でも、IOB値が0.75以上0.80未満であるものが好ましく、さらには、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)(IOB値:0.79)、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(5E.O.)(IOB値:0.77)、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)(IOB値:0.78)、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル(10E.O.)(IOB値:0.76)が、洗い流し性やコンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)、エモリエント成分としての成分(C)の安定配合の点から好ましい。
成分(D)の市販品としては、EMALEX GWIS−320(25℃において液状、IOB値:0.79)EMALEX GWIS−105(25℃において液状、IOB値:0.77)(いずれも日本エマルジョン社製)等を用いることができる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物における成分(D)の非イオン性界面活性剤の配合量は特に制限されないが組成物全量中0.1〜3%が好ましく、より好ましくは0.5〜2%である。成分(D)をこの範囲で配合すると、エモリエント成分である成分(C)の油性成分を安定に配合できるため、刺激感を低減し、洗浄効果、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れる洗浄剤組成物が得られる。
即ち、洗浄成分を低減することにより低刺激を図った洗浄剤組成物において、従来、その両立が困難とされていた、十分な洗浄力を有しつつ、刺激感が少なく、コンディショニング効果に優れる良好な洗浄剤組成物が得られる。
【0016】
更に本発明の洗浄剤組成物においては、成分(C)の油性成分と成分(D)の非イオン性界面活性剤との配合質量比(C)/(D)が、1/10〜3/2であることが必要である。この範囲であれば、成分(C)に該当する油性成分を安定に配合し、優れた洗浄効果を有しながら、刺激感が少なく、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れた洗浄剤組成物が得られるが、(C)/(D)が1/10未満の場合は、刺激感の低減効果や毛髪や肌へのコンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)が得られにくい場合があり、(C)/(D)が3/2を超えると、洗浄効果や経時安定性において満足できるものが得られない場合がある。
また、(C)/(D)が1/10〜3/2の範囲であれば、1cm角セルでの波長500nmにおける光の透過率は70%以上となり(測定機器:島津製作所社製 分光光度計UV−2500PC)、成分(C)の油性成分が安定配合された透明性に非常に優れたものが得られる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物には、上記成分(A)〜(D)の他に、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、即ち、水(精製水、温泉水、深層水等)、成分(A)、(B)、(D)以外の界面活性剤、成分(C)以外の油性成分、アルコール類、水溶性高分子、粉体、パール光沢付与剤、皮膜形成剤、樹脂、塩類、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、清涼剤、抗菌剤、香料、消臭剤、保湿剤、植物抽出物、ビタミン類、アミノ酸類等を本発明の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。尚、成分(A)、(B)以外のアニオン界面活性剤や両性界面活性剤は、刺激感低減の観点からその配合総量を5%以下に抑えることが望ましく、25℃おいて固形状である成分(C)以外の油性成分は、安定性の観点から実質0.01%以下であることが望ましい。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、特に制限はなく、常法により調製される。即ち、上記成分(A)〜(D)及び必要に応じ上記任意成分を加え、これを混合することにより調製することができる。
【0019】
斯くして得られる本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物としての十分な洗浄力を有しつつ、刺激感が少なく、エモリエント成分である油性成分の安定配合に優れているので、コンディショニング効果(仕上がりのなめらかさ、保湿感)に優れ、特に頭髪や皮膚の洗浄に好適であり、シャンプー、ハンドソープ、ボディシャンプー、洗顔料等としてポンプ容器、チューブ容器等の容器に入れて使用することができる。
【実施例】
【0020】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1:本発明品1〜8及び比較品1〜6:透明ヘアシャンプー
表1及び表2に示す処方及び下記製造方法により透明ヘアシャンプーを調製し、イ)洗浄効果、ロ)使用後の髪のなめらかさ、ハ)使用後の髪の保湿感、ニ)経時安定性(透過率)及びホ)経時安定性(外観)について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

(注1):アミノサーファクトACMT−L(旭化成ケミカルズ社製 N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン(30%)含有)
(注2):アラノンALTA(川研ファインケミカル社製 N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン(30%)含有)
(注3):アミライトGCK−12(味の素社製 N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グリシンカリウム(30%)含有)
(注4):REWOTERIC AMC(ゴールドシュミット社製 2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン(32.5%)含有)
(注5):エルデュウPS−304(味の素社製)
(注6):EMALEX GWO−320
(日本エマルジョン社製、液状(25℃)、IOB値0.78)
(注7):EMALEX RWIS−150
(日本エマルジョン社製、ペースト状(25℃)、IOB値1.15)
(注1)〜(注4)は純分量で記載
*:(C)/(D)として、成分(C)、成分(D)を配合していない比較品3、6については、それぞれ成分(C)の代わりに配合した油性成分、成分(D)の代わりに配合した非イオン性界面活性剤との比を参考値として記載。
【0024】
(製造方法)
A:成分1〜5を80℃に加熱して均一混合する。
B:Aに成分6〜10を溶解したものを均一混合する。
C:Bに11〜18を添加混合し、30℃まで冷却して透明ヘアシャンプーを得た。
【0025】
〔イ)〜ハ)の評価項目の評価方法〕
化粧品評価専門パネル16名に、本発明品1〜8及び比較品1〜6の透明ヘアシャンプーを使用してもらい、使用時のイ)洗浄効果、ロ)使用後の髪のなめらかさ、ハ)使用後の髪の保湿感のそれぞれの項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
<判定基準>:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上4.5未満 : ○
1.5以上3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0026】
〔ニ)経時安定性(透過率)の評価方法〕
本発明品1〜8及び比較品1〜6の透明ヘアシャンプーを5℃で1ヶ月間保存し、経時安定性として透過率を測定した。
透過率は分光光度計UV−2500PC(島津製作所社製)を用いて、1cm角セルでの500nmにおける透過率を測定し、下記4段階判定基準を用いて判定した。
<4段階判定基準>
(観察結果) :(判定)
透過率が80%以上 : ◎
透過率が70%以上80%未満 : ○
透過率が60%以上70%未満 : △
透過率が60%未満 : ×
【0027】
〔ホ)経時安定性(外観観察)の評価方法〕
本発明品1〜8及び比較品1〜6の透明ヘアシャンプーを5℃で1ヶ月間保存し、経時安定性として外観を目視にて観察し、下記3段階判定基準を用いて判定した。
<3段階判定基準>
(観察結果) :(判定)
油浮きや沈殿、分離等の変化が全く観察されない : ◎
油浮きや沈殿、分離は観察されないが、濁りを生じる : △
油浮きや沈殿、分離が観察される : ×
【0028】
本発明品1〜8のシャンプー組成物は、いずれも洗浄効果、使用後の髮のなめらかさ、保湿感、経時安定性の全てにおいて優れたヘアシャンプーであった。
一方、シャンプー組成物に成分(A)のN−アシルアミノ酸の有機アミン塩の代わりにN−アシルアミノ酸のカリウム塩を配合した比較品1は、使用後の髪のなめらかさ、保湿感で劣り、経時でも分離が観察される安定性の悪いものであった。
成分(B)を配合せず、他のアニオン性の洗浄成分を配合した比較品2は、使用後の髪のなめらかさ、保湿感、経時安定性のいずれも十分なものではなかった。
成分(C)を配合せず、25℃おいて固形状の油性成分を配合した比較品3は、可溶化が満足に行なわれず、洗浄効果が十分でなく、また使用後の髪のなめらかさ、保湿感に欠けるもので、経時でも結晶状の沈殿が見られる安定性の悪いものであった。
また、(C)/(D)の配合質量比が1/10より小さい比較品4は、使用後の髪のなめらかさ、保湿感に劣り、(C)/(D)が3/2より大きい比較品5は、洗浄効果、使用後の髪のなめらかさ、保湿感に劣り、経時安定性においても油浮きが見られる安定性の悪いものであった。
そして、成分(D)の非イオン界面活性剤の代わりにIOB値が高く(1.15)、25℃の性状がペースト状である非イオン界面活性剤を配合した比較品6は、全ての項目で満足いくものが得られなかった。
【0029】
実施例2 ボディシャンプー
(処方) (%)
1:N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン(注1) 5
2:2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチル
イミダゾリニウムベタイン(注4) 2.5
3:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.5
4:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1
5:イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(5E.O.)(注8) 2
6:サフラワー油 2
7:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 1
8:エデト酸2ナトリウム 0.1
9:安息香酸ナトリウム 0.1
10:リンゴ酸 0.1
11:1,3−ブチレングリコール 10
12:1,2−ペンタンジオール 1
13:パラオキシ安息香酸エステル 0.1
14:フェノキシエタノール 0.1
15:精製水 残量
16:香料 0.1
(注8):EMALEX GWIS−105(日本エマルジョン社製、液状(25℃)、IOB値0.77)
【0030】
(製造方法)
A:成分1〜4を80℃に加熱して均一混合する。
B:成分5、6を混合し、Aに加え均一混合する。
C:Bに成分7〜16を添加混合して、ボディシャンプーを得た。
【0031】
実施例2のボディシャンプーは、(C)/(D)が1/1であり、刺激感の低減効果、洗浄効果、使用後の肌のなめらかさ、使用後の肌の保湿感、経時安定性の全てにおいて優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D);
(A)N−アシルアミノ酸有機アミン塩 1〜10質量%、
(B)イミダゾリン系両性界面活性剤 1〜5質量%
(C)25℃おいて液状またはペースト状の油性成分
(D)25℃において液状でIOB値が0.7以上0.9未満の非イオン性界面活性剤
を配合し、前記成分(C)、(D)の配合質量比(C)/(D)が1/10〜3/2であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分(A)がN−長鎖アシルグルタミン酸トリエタノールアミン塩であることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(C)、(D)の配合量が、(C)0.01〜4.5質量%、(D)0.1〜3質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(C)が、植物由来の油性成分であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
波長500nmの光の透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−235507(P2010−235507A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84968(P2009−84968)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】