説明

洗浄剤

【課題】 従来の皮膚洗浄剤は、界面活性剤の水溶液であり、それに香料やエキスを加えたものである。これを容器から手やスポンジ等にとって使用する。しかし、この従来のものでは1液タイプであり、溶解するものは限られる。また、見た目も1色であり美しくない。そこで、2つのベース液が存在し、且つ見た目にも美しい皮膚洗浄剤を提供する。
【解決手段】 水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、両性界面活性剤及びカプセル膨潤剤を有し、pHが5〜8に調整された洗浄液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいう洗浄剤とは、皮膚の汗や皮脂の汚れ、古い角質を洗い落とし清潔な肌にするための皮膚洗浄剤及び頭髪用のシャンプーをいう。なかでも皮膚洗浄剤は、最近は液状のものが使用されてきており、以前の固形のものより使用しやすく量の調整も容易である。
【0003】
従来の皮膚洗浄剤は、界面活性剤の水溶液であり、それに香料やエキスを加えたものである。これを容器から手やスポンジ等にとって使用する。
【0004】
しかし、この従来のものでは1液タイプであり、溶解するものは限られる。また、見た目も1色であり美しくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、2つのベース液が存在し、且つ見た目にも美しい皮膚洗浄剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明皮膚洗浄剤を完成したものであり、その特徴とするところは、水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、両性界面活性剤及びカプセル膨潤剤を有し、pHが5〜8に調整された洗浄液に浮遊させた点にある。
【0007】
ここでいうアルギン酸塩とは、水に不溶性又は難溶性の塩であり、アルギン酸カルシウムやアルギン酸バリウム等がある。このアルギン酸塩からなるカプセルには、少なくとも水及び添加剤が含まれている。
【0008】
添加剤とは、カプセル内の水に添加するものであって、比重調整剤、保湿剤、種々のエキス、油剤(界面活性剤と共に)、香料、ビタミン類、薬効成分、防腐剤、着色料のうちの1つ又は任意の複数である。即ち、このなかのどれかは必ず含まれているが、必ずしも1つとは限らないのである。
【0009】
比重調整剤は、本体となる液に浮遊させるため、その液とほぼ同等の比重(密度)にするためのものである。例えば、グリセリン、その他の高級アルコール等である。比重調整剤は、液によっては比重が1以下の場合も1以上の場合もある。また、浮遊といってもどちらかといえば浮かす方向にするのか、沈ませるのか、また中間に浮かせるのかによっても使用するものや混合量が異なる。
【0010】
次にこのカプセルの製造方法について説明する。
カプセルは、滴下液をそれを受ける反応液に滴下することによって生成する。滴下液は、例えば、アルギン酸、グリセリン、水、顔料を混合して製造する。反応液は、アルギン酸と不溶性の塩をつくる水溶液である。例えば、0.2〜1%の塩化カルシウムの液である。
【0011】
この滴下液を細いパイプ(内径が0.1〜2mm程度)から、1滴づつ滴下する。反応液に入ると、アルギン酸がカルシウム塩等と直ちに反応し不溶性のアルギン酸塩を作り、球状のカプセルになる。滴下された液は周囲が反応して不溶化するため、滴下した液はそのまま内包されてカプセルになる。カプセルの大きさは前記した滴下パイプの内径で決まるが、0.2〜5mm程度である。
【0012】
このカプセルを反応液から出し、水で適当に洗浄すればよい。勿論、他の工程を加えてもよい。これを網等ですくい水を切ればよい。
【0013】
次に本発明洗浄剤の本体ともいうべき洗浄液を調整する。
この洗浄液は、洗浄成分としては両性界面活性剤である。これにノニオン活性剤を加えてもよい。しかし、カチオンやアニオンのようなイオン性のものはカプセルが破壊されるため好ましくない。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン等が好適である。これらは1種でも複数でもよい。
活性剤の混合量としては、7〜30重量%がよく、特に10〜20重量%が好適である。
【0014】
また、カプセルを膨潤させて、手で簡単に潰れるようにするため、カプセル膨潤剤を混合する。膨潤剤としては、膨潤効果があればどのようなものでもよいが、カルボキシビニルポリマー等が好適である。この量は、0.05〜1.0重量%が好適である。
【0015】
この洗浄液は、pHが5〜8に調整されている。この理由はこの範囲のpHにしなければカプセルが壊れるためである。両性活性剤とカルボキシビニルポリマーでは通常は酸性(pH3〜5程度)となるため、pHを5〜8にするためpH調整剤を加えて調整する。pH調整剤は水酸化カリウムや水酸化ナトリウムのようなアルカリでよい。
また、pH調整剤なしでpHが5〜8に入っていればpH調整剤は不要である。
【0016】
請求項1でいう浮遊は、カプセルが完全にどの位置でも浮かんで停止するというような明確な意味ではなく、少しカプセルが軽くてほとんどすべてが液面に浮いていても、また逆にすべてが沈んでいてもよい。カプセルの量(数)が多ければ、全体として容器の中では浮いたように見える。これらも含めて浮遊と称するのである。しかし、中間位置に浮遊するようにするのがよい。
【0017】
また、カプセルを浮かせるために、洗浄液の粘度や比重が小さい場合には、増粘剤(アルカラン等)を加えてもよい。これはカプセルの比重によっても、また浮かせるか沈ませるか等によって、混合するか否か等は自由に決めればよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明皮膚洗浄剤には次のような利点がある。
(1) カプセルが浮遊して見た目に非常に綺麗である。
(2) カプセル側と洗浄液側と異なるものを含有させることができ便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1
カプセルの調整
滴下する液
1 アルギン酸ナトリウム2%水溶液:20重量%
2 コラーゲン(保湿剤):0.1重量%
3 ヒアルロン酸ナトリウム:0.01重量%
4 加水分解エラスチン:0.1重量%
5 多孔質シリカ(汚れ吸着剤):3重量%
6 水:76.79重量%
滴下を受ける液(反応液)
塩化カルシウムの1重量%水溶液
【0021】
滴下液を反応液中に、内径0.5mmのノズルからゆっくりと1滴づつ落下させた。受ける液中では、すぐに約1mm径のカプセルになった。このカプセルを網ですくい上げて、精製水の中にいれさっと洗った。これでカプセルは完成である。
【0022】
上記のカプセルを使用して、実施例及び比較例を作成し種々の効果を調べた。
【表1】

【表2】

【0023】
表1及び表2の数値(pH以外)は、重量%である。
また、効果の程度表記は次の通りである。
カプセルの膨潤具合では、◎は膨潤し綺麗に膨らむ、○は膨潤し膨らむ、×はほとんど膨潤しないかカプセルが壊れる。カプセルの均一性では、◎は均一に分散し長期間そのまま保つ、○は均一に分散しある程度の期間保つ、×はカプセルが沈降する。洗浄力では、◎は洗浄力が大きい、○は洗浄力がある。使用感では、○はよく泡立ち使いやすい、△はよく泡立つがカプセルが膨潤していないので使用感が悪い、×泡立たない。
【0024】
表1から、実施例では、すべて膨潤具合もよく洗浄力も優れているだけでなく、見た目も綺麗であった。
【0025】
表2から、比較例では効果がないことがわかる。比較例1は陰性界面活性剤を使用しているためカプセルが壊れた。比較例2は膨潤剤がないためカプセルがうまく膨れなかった。比較例3は活性剤として、陽性界面活性剤しかないため洗浄力が落ちる。比較例4はpHが高いためカプセルが壊れた。
【0026】
図1は、本発明洗浄剤をボディーソープとして使用する1例であり、透明容器1に入れたものである。薄い黄色の液2に、色のついた小さなカプセル3が多数浮遊して見た目も非常に綺麗である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明洗浄剤の1例であり、透明容器1に入れたものの側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 透明容器
2 洗浄液
3 カプセル





【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、両性界面活性剤及びカプセル膨潤剤を有し、pHが5〜8に調整された洗浄液に浮遊させたことを特徴とする洗浄剤。
【請求項2】
該添加剤は、比重調整剤、保湿剤、種々のエキス、油剤、香料、ビタミン類、薬効成分、防腐剤、着色料のうち1つ又は任意の複数である請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
該洗浄液に増粘剤を混合したものである請求項1又は2記載の洗浄剤。
【請求項4】
該洗浄液に更に、保湿剤、種々のエキス、油剤、香料、ビタミン類、薬効成分、着色料のうち1つ又は任意の複数を混合したものである請求項1〜3記載の洗浄剤。





【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−43047(P2010−43047A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209924(P2008−209924)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(391027929)三粧化研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】