説明

洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置

【課題】簡単な構成でトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等に付着する油、カーボン状の汚れを傷つけることなく洗浄する洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一方に傾斜した底板2を有し、内部に被洗浄物載置用のメッシュ板3と洗浄溶液加熱用のヒータ4とを備えた洗浄槽1と、この洗浄槽1の側面に前記ヒータ4の温度を制御する温度制御器7と前記洗浄溶液8の供給器9と洗浄溶液上面の浮遊汚物および前記底板2に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する排出管11および12を配設した洗浄装置内に、10重量%の塩基性水溶性塩よりなるイオン洗浄溶液を水1リットルに対して3〜300グラム混合した洗浄溶液8を満たし、この洗浄溶液8を30〜90℃に加熱すると共に被洗浄物を30分以上浸漬するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンを焼くときに使用するトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等に付着する油、カーボン状の汚れを洗浄する洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置等は各種多様な方法および装置として提案され、技術開示がなされている。その一つとして、焼肉時に付着した油等の汚れを洗浄するに際して、回転機能を有する鉄板入れカセットに網焼き鉄板を複数枚セットし、このカセットを回転させながらバーナーで加熱した後、洗剤や研磨剤が溶かし込まれた洗浄溶液の水槽内で攪拌洗浄する方法および洗浄装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、略中央に金網が配設され、この上部に被洗浄物の受け体を配置した洗浄室と下部に洗浄溶液の貯留槽が配設された洗浄台で、焼肉に使用された金網および鉄板等を受け体上に置き、ポンプ駆動される高圧洗浄ガンを使って洗浄水と砂の混合液体を吹き付けて汚れを落とす方法および洗浄装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】 登録実用新案第3015480号 公報
【特許文献2】 登録実用新案第3048493号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の構成では、特許文献1に開示の洗浄方法および洗浄装置では、被洗浄物の金網および鉄板等を加熱した後、洗剤や研磨剤が溶かし込まれた洗浄溶液の渦巻き水流で研削洗浄するようになっている。したがって、付着した汚れを落とし易くするために被洗浄物の金網および鉄板等を加熱する工程を必要とするし、汚れを強制的に研削洗浄するようにしているため、金網および鉄板等に傷が付くことになる。また、特許文献2に開示の技術でも上記特許文献1に開示の技術と同様に汚れを強制的に研削洗浄するようにしているため、金網および鉄板等に傷が付くことになる。したがって繰り返しこれらの方法で洗浄を行えば、傷への汚れの付着が深くなって徐々に洗浄時間が長くなったり、攪拌洗浄や高圧洗浄の攪拌強度や高圧をより高めていくことが必要になる原因ともなっていた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成でトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等に付着する油、カーボン状の汚れを傷つけることなく洗浄する洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の洗浄装置は、一方に傾斜した底板を有し、内部に被洗浄物載置用のメッシュ板と洗浄溶液加熱用のヒータとを備えた洗浄槽と、この洗浄槽の側面に前記ヒータの温度を制御する温度制御器と前記洗浄溶液の供給器と洗浄溶液上面の浮遊汚物および前記底板に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する排出管を配設した構成としたものである。従って、多数の被洗浄物であるトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等を洗浄槽に浸漬しておくだけで付着している油、カーボン状の汚れ等をトレー、金網および鉄板等を傷つけることなく剥離洗浄することができ洗浄作業が不要となる。また、洗浄で発生した洗浄溶液上面の浮遊汚物および底板に沈殿した洗浄剥離汚物はそれぞれ排出管にて排出することができるので洗浄溶液の汚濁を防止することができる。また、被洗浄物載置用の載置板をメッシュ形状にしてあるため塊状あるいは粒状の剥離汚物は一方に傾斜した底板上に沈殿し、傾斜下方に集積するようになって排出が容易となる。オーバーフローしたり排出された洗浄溶液は供給器から新しい洗浄溶液が供給されるので洗浄槽内の洗浄溶液は常にきれいな状態に保持され継続して洗浄に供することができるという多くの作用を有することとなる。
【0006】
また本発明の第2の洗浄装置は、洗浄槽内に温度センサーを配設した構成としたものである。従って、洗浄溶液の温度管理が容易となるので設定温度を決定しておけば自動的に管理できるという作用を有する。
【0007】
さらに本発明の第3の洗浄方法は、一方に傾斜した底板を有し、内部に被洗浄物載置用のメッシュ板と洗浄溶液加熱用のヒータとを備えた洗浄槽と、この洗浄槽の側面に前記ヒータの温度を制御する温度制御器と前記洗浄溶液の供給器と洗浄溶液上面の浮遊汚物および前記底板に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する排出管を配設した洗浄装置内に、10重量%の塩基性水溶性塩よりなるイオン洗浄溶液を水1リットルに対して3〜300グラム混合した洗浄溶液を満たし、この洗浄溶液を30〜90℃に加熱すると共に被洗浄物を30分以上浸漬するようにした構成としたものである。従って、イオン洗浄溶液にはタンパク質および有機油を分解する作用を有する酵素およびマイナスイオンを反応させることによって界面活性能力を高めると共に水自体のクラスターをより微細にすることによって浸透力を高める作用を有するため、トレーや焼肉に使用する金網および鉄板等を洗浄槽に浸漬しておくだけで付着している油、カーボン状の汚れ等が分解剥離し、トレー、金網および鉄板等を傷つけることなく洗浄することができ洗浄作業が不要となる作用を有する。また、イオン洗浄溶液には、乳化剤の作用を持つ界面活性剤を使用していないので分解、剥離した汚れは、洗浄溶液の上部に浮く汚れ(油など)と下部に沈んだ汚れ(大きな汚れ)に別れることから本発明で開発した洗浄装置は、上部と下部から汚れのみを取り除くことができることとなる。このことから不足した洗浄溶液を洗浄装置中間部から補うことにより洗浄装置の中の洗浄溶液を全て流すことなく、次の洗浄作業が出来る環境に配慮した洗浄装置となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄装置は、上記構成を備えたことにより、多数の被洗浄物であるトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等を洗浄槽に浸漬しておくだけで付着している油、カーボン状の汚れ等をトレー、金網および鉄板等を傷つけることなく剥離洗浄することができ機械的な力を加える洗浄作業が不要となる。また、発生した洗浄溶液上面の浮遊汚物および底板に沈殿した洗浄剥離汚物はそれぞれ排出管にて排出することができるので洗浄溶液の汚濁を防止することができる。また、被洗浄物載置用の載置板をメッシュ形状にしてあるため塊状あるいは粒状の剥離汚物は一方に傾斜した底板上に沈殿し、傾斜下方に集積するようになって排出が容易となる。オーバーフローしたり排出された洗浄溶液は供給器から新しい洗浄溶液が供給されるので洗浄槽内の洗浄溶液は常にきれいな状態に保持され継続して洗浄に供することができる。また、洗浄槽内に温度センサーを配設することによって、洗浄溶液の温度管理が容易となるので設定温度を決定しておけば自動的に管理できることになる、さらに、イオン洗浄溶液にはタンパク質および有機油を分解する作用を有する酵素およびマイナスイオンを反応させることによって界面活性能力を高めると共に水自体のクラスターをより微細にすることによって浸透力を高める作用を有するため、トレーや焼肉に使用する金網および鉄板等を洗浄槽に浸漬しておくだけで付着している油、カーボン状の汚れ等が分解剥離し、トレー、金網および鉄板等を傷つけることなく洗浄することができ洗浄作業が不要となる。また、イオン洗浄溶液には、乳化剤の作用を持つ界面活性剤を使用していないので分解、剥離した汚れは、洗浄溶液の上部に浮く汚れ(油など)と下部に沈んだ汚れ(大きな汚れ)に別れることから本発明で開発した洗浄装置は、上部と下部から汚れのみを取り除くことができることとなる。このことから不足した洗浄溶液を洗浄装置中間部から補うことにより洗浄装置の中の先浄溶液を全て流すことなく、次の洗浄作業が出来る環境に配慮した洗浄装置となるといったような多くの作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の洗浄装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の洗浄装置断面図である。図において、1は本発明の洗浄装置で構成される洗浄槽でほぼ四角い容器となっている。2は図示で一方の右方向に傾斜した底板を、3は洗浄槽1の下方に被洗浄物載置用のメッシュ板を、4は底板2とメッシュ板3との間に配設された洗浄溶液加熱用のシーズヒータ等のヒータを、5は洗浄槽1内に配設された温度センサーを、6は開閉蓋を示し、これらで洗浄槽1が構成されている。7は洗浄槽1の側部に配設された洗浄溶液加熱用のヒータ4と温度センサー5の温度を制御する温度制御器である。8は洗浄槽1内の洗浄溶液を示し、洗浄槽1の他方の側部に配設された洗浄溶液8の供給器9より供給されるように構成されている。10は洗浄溶液8のオーバーフロー分を受けるオーバーフローボックスで排出管11が接続されている。このオーバーフローボックス10は特に必要とせず、排出管11を直接接続しても良い。12は上記した傾斜した底板2の下方に配設された排出管で、底板2上に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する。上記した排出管11と排出管12は別個配設しても差し支えないが一体的に接続しても良いし、適当箇所にバルブを配設しておけばバルブの開閉によって排出が制御できる。なお、13は開閉蓋6の把手を、14および15は洗浄槽1の脚である。また、洗浄槽1内に洗浄溶液の汚れセンサーを配設して洗浄溶液の汚れを管理し、洗浄溶液の排出と供給を管理するようにすれば洗浄能力の維持が保持できる。
【0010】
本発明の洗浄装置は上記構成体より構成されており、洗浄に際しては、10重量%の塩基性水溶性塩よりなるイオン洗浄溶液を水1リットルに対して3〜300グラム混合した洗浄溶液8が満たされた洗浄槽1内のメッシュ板3上にパンを焼くときに使用するトレーや焼肉に使用する金網および鉄板等の油、カーボン状の汚れが付着した多数の被洗浄物を載置し、ヒータ4で洗浄溶液8を30〜90℃に加熱すると共に被洗浄物を30分以上浸漬する。被洗浄物の載置は縦でも横でもよいが少し間隔を空けておくことが望ましい。イオン洗浄溶液にはタンパク質および有機油を分解する作用を有する酵素およびマイナスイオンを反応させることによって界面活性能力を高めると共に、水自体のクラスターをより微細にすることによって浸透力を高める作用を有するため、金網および鉄板等被洗浄物に付着した油、カーボン状の汚れは加熱された洗浄溶液8によって分解剥離され、金網および鉄板等の被洗浄物に傷をつけることなくきれいに洗浄される。被洗浄物の浸漬は被洗浄物の枚数にもよるが通常約30分から10時間位で、付着汚れがひどい場合は約70時間を要した。
【0011】
つぎに本発明の洗浄に使用するイオン洗浄溶液について記述する。洗浄剤組成物を溶解する水にマイナスイオン生成体を収納したマイナスイオン発生装置によりマイナスイオンを付与すると共に、水を多数の超微細気泡を有するようにして水に界面活性作用を持たせ、かつ水を80℃程度の温水とし、この温水に洗浄剤組成物として使用されている塩基性塩系の無機薬品である炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムに加えてタンパク質および有機油を分解する作用を有する酵素およびマイナスイオンを反応させることによって界面活性能力を高めると共に、水自体のクラスターをより微細にすることによって浸透力を高め、従来の洗浄剤より極めて優れた洗浄効果を有するイオン洗浄溶液を得る。
【0012】
このイオン洗浄溶液については、本発明者らが先に特許出願し、登録された特許第3850645号に詳細が記されているので、以下概略のみを記述する。第一工程として、第一の基材である蒟蒻いもの精粉(蒟蒻粉あるいは蒟蒻溶液)を重量に対して約5〜30倍、好ましくは15倍の重量の水に投入して混合攪拌して精粉(蒟蒻粉あるいは蒟蒻溶液)を充分に水に溶かし、粘着性が出るまで攪拌作業を続け、充分な粘着性を有する蒟蒻溶液を得る。つぎに第二工程として、上記第一工程で得られた粘着性を有する蒟蒻溶液に、蒟蒻溶液の重量に対して第二の基材であるトルマリン微粉末10〜50重量%および第三の基材である竹炭または木炭の炭微粉末10〜50重量%、好ましくは30重量%をそれぞれ混入すると共に、添加剤として千枚石、水晶、ハモナイト、角閃石、蛇紋石、石英閃緑石、花崗班石、凝灰石、酸化カルシウム、マグネシア、シリカ等の遠赤外線放射特性を有するセラミックスの単体またはその複合物よりなるセラミックス微粉末3〜10重量%、好ましくは5重量%を添加混入して基材および添加剤の混合溶液を得る。基材および添加剤の粒径は特に限定する必要はないが100μm以下、好ましくは30μm以下が推奨される。
【0013】
また第三工程として、第二工程で得られた基材および添加剤の混合溶液の重量にたいして2〜5重量%、好ましくは3重量%の炭酸ナトリウム、もしくは木灰を固化材として混合溶液と共に熱湯に溶かし、この混合溶液が柔軟性を有する程度(つきたての餅の状態)まで半固化するよう攪拌して半固化物を得る。そして第四工程として第三工程て得られた半固化物を最終使用形態、例えば球状、多角形状、円盤状等の所定の形状に合わせて成形し、所定形状の成形体を得る。最後に第五工程として、第四工程で得られた成形体を熱湯に投入して約1〜3時間程度煮沸して成形体を蒟蒻程度の硬さまで固化せしめた後、取り出して−40〜−150℃、好ましくは−100℃で急冷凍し、然る後成形体を30〜50℃、好ましくは40℃で真空乾燥させて成形体より水分を除去することにより、マイナスイオン生成体の製造工程を完了しマイナスイオン生成体を得る。
【0014】
上記したマイナスイオン生成体から放出されるマイナスイオンを付与すると共に、超微細気泡を無数に発生させた水を80℃程度の温水とし、洗浄剤組成物として塩基性塩系の無機薬品である炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムとさらに酵素の各粉末を温水中に添加混合して30分程度攪拌してイオン洗浄溶液を得る。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の洗浄方法およびこの洗浄方法を用いた洗浄装置は、トレーや焼肉に使用する金網および鉄板等に付着する油、カーボン状の汚れを傷つけることなく洗浄する洗浄装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の洗浄装置の断面図
【符号の説明】
【0017】
1 洗浄槽
2 底板
3 メッシュ板
4 ヒータ
5 温度センサー
6 開閉蓋
7 温度制御器
8 洗浄溶液
9 供給器
10 オーバーフローボックス
11 排出管
12 排出管
13 把手
14 脚
15 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に傾斜した底板を有し、内部に被洗浄物載置用のメッシュ板と洗浄溶液加熱用のヒータとを備えた洗浄槽と、この洗浄槽の側面に前記ヒータの温度を制御する温度制御器と前記洗浄溶液の供給器と洗浄溶液上面の浮遊汚物および前記底板に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する排出管を配設したことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
上記洗浄槽内に温度センサーを配設したことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
一方に傾斜した底板を有し、内部に被洗浄物載置用のメッシュ板と洗浄溶液加熱用のヒータとを備えた洗浄槽と、この洗浄槽の側面に前記ヒータの温度を制御する温度制御器と前記洗浄溶液の供給器と洗浄溶液上面の浮遊汚物および前記底板に沈殿した洗浄剥離汚物を排出する排出管を配設した洗浄装置内に、10重量%の塩基性水溶性塩よりなるイオン洗浄溶液を水1リットルに対して3〜300グラム混合した洗浄溶液を満たし、この洗浄溶液を30〜90℃に加熱すると共に被洗浄物を30分以上浸漬するようにしたことを特徴とする洗浄方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−245469(P2011−245469A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135550(P2010−135550)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(308015197)株式会社クリア (2)
【Fターム(参考)】