洗濯機
【課題】ダンパの磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加を極力抑制できる洗濯機を提供する。
【解決手段】本実施形態の洗濯機は、水槽を防振支持するダンパを備えている。前記ダンパは、シリンダと、このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備えている。そして、前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されている。
【解決手段】本実施形態の洗濯機は、水槽を防振支持するダンパを備えている。前記ダンパは、シリンダと、このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備えている。そして、前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機、例えばドラム式洗濯機においては、外箱内に、内部にドラムが配設された水槽と、その水槽を防振支持するためのダンパ(サスペンション)を備え、ドラムの回転に伴う水槽の振動を前記ダンパにより低減する構成となっている。そして、そのダンパとしては、防振性能の向上を図るために、磁界の作用に伴い粘性が変化する磁気粘性流体(MR流体)を用いたものが考えられている。このものでは、例えばシリンダ内に、磁界を発生するためのコイルを配設するとともに、このコイルを軸方向に貫通するシャフトを往復動可能に設け、そのシャフトとコイルとの間に磁気粘性流体を設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−32114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成によれば、コイルに通電して磁界を磁気粘性流体に作用させると、磁気粘性流体は、磁界が印加作用された初期には一定の摩擦抵抗(ダンパ力)を生じて、設計上意図した偏荷重による水槽の振動を減衰させることができる。ところが、その後、磁気粘性流体によるダンパ力は、時間の経過とともに次第に二次的増加するようになる。この磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加の理由については、後述する。
以上のように、磁気粘性流体のダンパ力が二次的に増加すると、意図した偏荷重以上の場合にも水槽の振動の減衰を行うようになり、ダンパを含む構造物に過剰に負担がかかる不具合がある。
【0005】
そこで、ダンパの磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加を極力抑制できる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の洗濯機は、水槽を防振支持するダンパを備えている。前記ダンパは、シリンダと、このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備えている。そして、前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態におけるサスペンションの縦断面図
【図2】要部の拡大縦断面図
【図3】サスペンションの外観斜視図
【図4】モールドコイルユニットの外観斜視図
【図5】モールドコイルユニットの縦断面図
【図6】中間部ヨークの正面図
【図7】モールドする前における中間ヨークとコイルのリード線との配置関係を示す斜視図
【図8】ドラム式洗濯機の概略構成を示す縦断側面図
【図9】磁気粘性流体の粒子径の分布図
【図10】磁気粘性流体の粒子径が均一な場合と不均一な場合とを示す特性線図
【図11】本実施形態の磁気粘性流体の特性線図
【図12】異なる特性線図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ドラム式洗濯機に適用した実施形態について図面を参照して説明する。まず、ドラム式洗濯機の概略構成を示す図8において、洗濯機の外殻を形成する外箱1の前面部(図8で右側)のほぼ中央部には、洗濯物出入口2が形成されているとともに、この洗濯物出入口2を開閉する扉3が設けられている。外箱1の前面部の上部には操作パネル4が設けられており、その裏側(外箱1内)に運転制御用の制御装置5が設けられている。
【0009】
外箱1の内部には、水槽6が配設されている。この水槽6は、軸方向を前後(図8では右左)とする横軸円筒状をなすものであり、外箱1の底板1a上に左右一対(一方のみ図示)のサスペンション7によって前上がりの傾斜状態に弾性支持されている。サスペンション7の詳細構造については後述する。水槽6の背面部にはモータ8が取り付けられている。このモータ8は、例えば直流のブラシレスモータからなるもので、アウターロータ形であり、そのロータ8aの中心部に取り付けられた図示しない回転軸を、軸受ブラケット9を介して水槽6の内部に挿通している。
【0010】
水槽6の内部には、ドラム10が配設されている。このドラム10も、軸方向が前後の横軸円筒状をなすものであり、その後部の中心部を前記モータ8の回転軸の先端部に連結することにより、水槽6と同軸の前上がりの傾斜状態に支持されている。この結果、ドラム10はモータ8によりダイレクトに回転されるようになっている。したがって、ドラム10は回転槽であり、モータ8はドラム10を回転させるドラム駆動装置として機能する。
【0011】
ドラム10の周側部(胴部)には、通水および通風が可能な小孔11が多数形成されている。これに対し、水槽6は、基本的に無孔状で、貯水可能な構成となっている。これらドラム10および水槽6は、ともに前面に開口部12、13を有しており、そのうちの水槽6の開口部13と前記洗濯物出入口2との間に、環状のべローズ14が装着されている。これにより、洗濯物出入口2は、ベローズ14、水槽6の開口部13、およびドラム10の開口部12を介して、ドラム10の内部に連なる形態となっている。
【0012】
貯水可能な水槽6の最低部位には、途中に排水弁15を介して排水管16が接続されていて、水槽6内の水は、その排水管16を通して機外へ排出可能となっている。この水槽6の背面側から上方および前方にわたって、乾燥装置17が配設されている。この乾燥装置17は、除湿器18、送風機19、加熱器20、および循環ダクト21から構成されていて、水槽6内(ドラム10内)から排出された空気中の水分を除湿器18において除去し、次いでその空気を加熱器20で加熱して乾燥風を生成し、その乾燥風を水槽6内(ドラム10内)に戻すことを繰り返す循環を行うことにより、ドラム10内に収容された洗濯物を乾燥させるようになっている。
【0013】
次に上記サスペンション7の構造について図1〜図7も参照して説明する。サスペンション7は、図1および図3に示すように、ダンパ23と、圧縮コイルスプリングからなるコイルばね24を備えている。このうち、ダンパ23は、上下方向に延びる円筒状をなすシリンダ25と、このシリンダ25に沿って上下方向に延びるシャフト26を備えていて、シャフト26の下部がシリンダ25内に上下方向に往復動可能に挿入されている。
【0014】
シリンダ25の軸方向の一端部である下端部には連結部材28が設けられている。この連結部材28は、蓋部28aと、この蓋部28aから下方へ突出する連結軸部28bとを一体に有していて、そのうちの蓋部28aをシリンダ25の下端開口部に嵌合するとともに、その蓋部28aの外周部をシリンダ25の内周部に溶接(TIG溶接)することによりシリンダ25に固着されている。その連結部材28の連結軸部28bを、外箱1の底板1aに固定された取付部材29(図8参照)にゴムなどの弾性座板30等を介してナット31で締結することにより、シリンダ25は、底板1a側の取付部材29に連結されている。
【0015】
前記シャフト26の上端部には、上部連結部材32が連結されている。この上部連結部材32の連結軸部32aを、水槽6の取付部材33(図8参照)に、前記連結軸部28bと同様に、ゴムなどの弾性座板34等を介してナット35で締結することにより、シャフト26は、水槽6側の取付部材33に連結されている。上部連結部材32の下端部にはばね受け座36が嵌合固定されていて、このばね受け座36とシリンダ25の上端部との間に、前記コイルばね24がシャフト26を囲繞する状態で装着されている。
【0016】
シリンダ25内の上下方向の中間部には、環状をなす下部軸受ケース38が収容されている。この下部軸受ケース38の外周部には周方向に延びる溝部39が形成されていて、シリンダ25の周壁部のうちの前記溝部39に対応する部分を内方へかしめることにより、下部軸受ケース38をシリンダ25内に固定している。かしめた部分をかしめ部40としている。なお、下部軸受ケース38の外周部の一箇所には、軸方向に開通した溝部39a(図1参照)が形成されている。下部軸受ケース38の内周部には、シャフト26を軸方向(上下方向)へ往復動可能に支持する環状の軸受41が収納固定されている。軸受41は、例えば焼結含油メタルから構成されている。シャフト26の下端部には抜止め部材26aが装着されていて、その抜止め部材26aが下部軸受ケース38の下面に当接することにより、シャフト26の上方への移動が規制されている。
【0017】
シリンダ25において、軸方向の他端部となる上端部の内部にも、環状をなす上部軸受ケース42が収容されている。この上部軸受ケース42は、これの上部に下部42aより外径寸法が小さな筒部42bを有していて、その下部42aと筒部42bとの間に段部42cが形成されている。筒部42bは、シリンダ25から上方へ突出している。この上部軸受ケース42における下部42aの外周部には、図2にも示すように溝部43が全周にわたって形成されていて、シリンダ25の周壁部のうちの前記溝部43に対応する部分を内方へかしめることにより、上部軸受ケース42をシリンダ25の上端部に固定している。かしめた部分をかしめ部44としている。この場合、かしめ部44は、ローリングかしめにより全周に設けている。溝部43にはOリング45が装着されていて、そのOリング45は、上部軸受ケース42の溝部43とシリンダ25のかしめ部44との間に挟まれて押し付けられている。
【0018】
コイルばね24の下端部は、上部軸受ケース42の段部42cにて受けられている。上部軸受ケース42の内周部の上部には、シャフト26を軸方向(上下方向)へ往復動可能に支持する環状の軸受46が収納固定されている。この軸受46も、下部の軸受41と同様に、例えば焼結含油メタルから構成されている。上部軸受ケース42の内周部において、軸受46の下側には、環状をなす摩擦部材47が圧入状態で収納されていて、この摩擦部材47の内周部が、シャフト26の外周面に摺動可能に圧接している。
【0019】
シリンダ25内において、下部軸受ケース38と上部軸受ケース42との間の部分には、モールドコイルユニット50が収容されている。このモールドコイルユニット50は、それら下部軸受ケース38と上部軸受ケース42により挟み付けられた状態で固定されている。モールドコイルユニット50は、図1、図4、図5に示すように、下部ヨーク51と、第1のコイル52を巻装した第1のボビン53と、中間部ヨーク54と、第2のコイル55を巻装した第2のボビン56と、上部ヨーク57と、これらを一体化するための成形用の樹脂58とを備えている。樹脂58としては、例えば熱可塑性樹脂(ナイロン、PBT、PET、PP等)を用いる。モールドコイルユニット50の軸方向の両端部となる下部ヨーク51と上部ヨーク57に、環状をなすシール部材59が圧入状態で装着されている。これらシール部材59は、前記摩擦部材47と同じものを用いていて、内周部がシャフト26の外周面に摺動可能に圧接している。
【0020】
モールドコイルユニット50は、中央部に軸方向に貫通した貫通孔61を有し、全体として円筒状をなしていて、その貫通孔61に、シャフト26が軸方向に往復動可能に挿入されている。モールドコイルユニット50の外周部には、軸方向に延びる溝部62が形成されているとともに、その溝部62にあって中間部ヨーク54と対応する部位に位置させて円形の凹部63と、この凹部63から周方向に連なって矩形状の凹部64が形成されている。このうちの矩形状の凹部64から、前記第1のコイル52と第2のコイル55の、2本のリード線65が外部に導出されている。各リード線65の基端部は、図5に示すように、対応するボビン53、56の端板を貫通して各コイル52、55の端部に接続されていて、樹脂58で覆われている。各リード線65は、導線の周りが樹脂製のチューブ65aで覆われている。
【0021】
ここで、中間部ヨーク54には、図6および図7に示すように、外周部の1箇所に、リード線配置溝66と渡り線配置溝67とを有する溝部68が形成されている。リード線配置溝66と渡り線配置溝67は、中間部ヨーク54の軸方向に開通している。溝部68の中央部には、円形のねじ孔からなる注入口69が形成されていて、その注入口69に、端面に六角凹部70aを有する円柱状のねじ70(図4参照)が装着されている。注入口69は、後述する磁気粘性流体を注入するためのものである。なお、中間部ヨーク54の外周部には、図6に示すように前記溝部68より幅狭の溝部71が3箇所に形成されている。中間部ヨーク54には、第1および第2のボビン53、56の位置決めとなる位置決め孔72が複数形成されている。
【0022】
第1のコイル52と第2のコイル55は渡り線73(図7参照)により直列に接続されている。第1のコイル52に接続された1本のリード線65と、第2のコイル55に接続された1本のリード線65は、次のようにしてモールドコイルユニット50から外部へ導出されている。この場合、図7に示すリード線案内部材74を用いる。リード線案内部材74は、合成樹脂製で、一端が開口した断面コ字形をなし、2個の孔75と、これら孔75間を仕切るように仕切部76を有している。2本のリード線65をそれぞれリード線案内部材74の孔75に挿入してL字状に屈曲させた状態で、リード線案内部材74を、前記中間部ヨーク54のリード線配置溝66に配置し、また、渡り線73を渡り線配置溝67に配置した状態で、これらリード線配置溝66および渡り線配置溝67にも樹脂58が充填される。樹脂58は、リード線案内部材74内にも充填される(図5参照)。
【0023】
2本のリード線65は、基端部が樹脂58により覆われた状態で、図4に示すように、凹部64からモールドコイルユニット50の外部に導出されている。中間部ヨーク54の他の溝部71にも樹脂58が充填されている。中間部ヨーク54の外周部において前記溝部68、71以外の部分は、樹脂58から露出している。モールドコイルユニット50において、2本のリード線65の導出部分である凹部64に、例えばシリコーンからなる防湿材77(図1、図2、図4、図5参照)をポッティングすることにより、防湿材77がリード線案内部材74の内側まで充填されて凹部64内全体を埋めることにより、リード線65の位置を外力に対しても安定させながら防水処理している。
【0024】
ここで、モールドコイルユニット50の貫通孔61の内径寸法について説明する。図5に示すように、下部、中間部および上部の3個のヨーク51、54、57の内径寸法は同じ寸法に設定されており、シャフト26の外周面との間に例えば0.4mm程度の隙間78が形成されるように構成されている。第1および第2の2個のボビン53、56の内径寸法は同じ寸法に設定され、かつ3個のヨーク51、54、57の内径寸法より若干大きい寸法に設定されており、シャフト26の外周面との間に例えば1.0mm程度の隙間79が形成されるように構成されている。
【0025】
そして、シャフト26の外周面と前記3個のヨーク51、54、57の内周面との間の隙間78、およびシャフト26の外周面と前記2個のボビン53、56の内周面との間の隙間79には、磁気粘性流体80が注入されている。なお、磁気粘性流体80は、上下のシール部材59の内側まで注入されている。この磁気粘性流体80は、モールドコイルユニット50の前記注入口69から注入され、その注入口69はねじ70によって閉鎖されている。
【0026】
磁気粘性流体80は、ベース液例えばポリアルファオレフィンの中に強磁性粒子例えば鉄(鉄粉)および該鉄の表面を覆う界面活性剤を混合した磁性コロイド溶液であり、本実施形態では、強磁性粒子たる鉄の粒子径はほぼ一定(ほぼ均一)になるように設定(選定)されている。磁気粘性流体80は、磁界が作用されると、強磁性粒子(鉄)が磁力線に沿って鎖状に凝集してクラスタを形成することで粘度が一時的に上昇する特性を有するものである。
【0027】
この場合、モールドコイルユニット50の下部および上部のシール部材59、ならびに上部軸受ケース42の摩擦部材47は、磁気粘性流体80が外部へ漏れ出ることを防止する作用と、シャフト26との間に生ずる摩擦を利用した摩擦ダンパの作用を発揮する。また、図5に示すように、下部ヨーク51と第1のボビン53との間、第1のボビン53と中間部ヨーク54との間、中間部ヨーク54と第2のボビン56との間、ならびに第2のボビン56と上部ヨーク57との間には、それぞれシール用のOリング81が設けられている。これらOリング81も、磁気粘性流体80が外部へ漏れ出ることを防止する機能がある。
【0028】
シリンダ25の周壁部における軸方向の中間部には、前記円形の凹部63に対応する位置に、円形の孔からなるリード線引出口82(図1、図2参照)が形成されている。このリード線引出口82には、リード線挿通孔83aを有するブッシュ83が嵌合されていて、前記2本のリード線65が、そのブッシュ83のリード線挿通孔83aを通して外部に引き出されている。この場合ブッシュ83は、樹脂、例えばナイロン製のものを用いている。
【0029】
シリンダ25の外周部には、ブッシュ83の上方(リード線引出口82の上方)に位置させて、山形状の庇部84が設けられている。この庇部84は、この場合シリンダ25の外面に接着材により接着されている。この庇部84は、上からの水が、リード線引出口82(リード線挿通孔83a)からシリンダ25内に浸入することを防止する。
【0030】
また、シリンダ25の外周部には、配線固定部材85(図3参照)を装着していて、この配線固定部材85に設けられた配線保持具86により、シリンダ25の外部に引き出されたリード線65を保持するようにしている。なお、シリンダ25内において連結部材28の蓋部28aと下部軸受ケース38との間には、空間部88(図1参照)が形成されている。
【0031】
このようなサスペンション7は、水槽6の左右両側に配設される。また、各サスペンション7から導出されたリード線65は、図示しない駆動回路に接続される。第1および第2のコイル52、55は、前記制御装置5により駆動回路を介して通断電制御される。
【0032】
なお、図8に示すように、水槽6を前方側から視て、左側壁の後側上部外面には、振動検出手段としての振動センサ90が配設され、右側壁の前側下部外面には、振動検出手段としての振動センサ91が配設されている。これらの振動センサ90、91は、水槽6の振動が閾値以上となったときに異常振動信号を制御装置5に与えるようになっている。
【0033】
上記構成において、洗濯運転に関連する前述したサスペンション7の動作について説明する。まず、第1および第2のコイル52、55が通電されていない状態を考える。
ドラム10が洗濯行程や乾燥行程においてモータ8により低速度(例えば50〜60rpm)で回転駆動されることに伴い、水槽6が上下方向を主体に振動する。この水槽6の上下振動に応動して、サスペンション7では、外箱1の底板1a側に固定されたシリンダ25に対して、水槽6側に連結されたシャフト26がコイルばね24を伸縮させながら上下動する。このとき、このコイルばね24による振動低減作用に加え、摩擦部材47、およびシール部材59がシャフト26に対して摩擦抵抗で減衰力を常時作用させると共に、シャフト26と3個のヨーク51、54、57、及び2個のボビン53、56との間に充填された磁気粘性流体80が、その粘性による摩擦抵抗(ダンパ力)で減衰力を作用させ、水槽6の振幅を減衰させる。
【0034】
ドラム10がモータ8により高速度(例えば1300rpm)で回転駆動をされる脱水行程では、運転開始当初から前記第1および第2のコイル52、55に通電されるようになっている。第1および第2のコイル52、55が通電されると、特にヨーク51、54、57を介して磁気粘性流体80に磁界が与えられ、磁気粘性流体80の粘度が高まる。これにより、磁気粘性流体80の摩擦抵抗(ダンパ力)が大きくなるように増加する。かくして、シャフト26に対する摩擦抵抗が、前述の場合(第1および第2のコイル52、55の非通電の場合)よりさらに増加することにより、減衰力が大きくなる。従って、水槽6の振動を効果的に減衰できる。
【0035】
ここで、磁気粘性流体のダンパ力特性について、図9〜図12も参照して説明する。
図10に示すように、磁気粘性流体の強磁性流体の粒子径が均一な場合には、特性線Laのように、一定の磁界が印加されると、その磁界の作用によりに一定のダンパ力を発生し、その後も前記一定の磁界が作用すれば、前記一定のダンパ力を発生し続ける。これに対して、従来のように磁気粘性流体の強磁性粒子の粒子径が不均一な場合は、特性線Lbのように、一定の磁界が印加されると、その磁界の作用によりに一定のダンパ力を発生するが、その後も前記一定の磁界が作用されると、時間の経過とともにダンパ力が前記一定のダンパ力から二次的に増加するようになる。
【0036】
この磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加の理由は、次のように考えられる。即ち、磁気粘性流体は、一定の磁界が作用されると、強磁性粒子が磁力線に沿って鎖状に凝集してクラスタを形成することで、粘度が一時的に増加して一定の摩擦抵抗(ダンパ力)を発生する。ところが、磁気粘性流体中の強磁性粒子の粒子径が不均一であると、一定の磁界の作用の基に、時間の経過とともに粒子径の異なる強磁性粒子も遅れて次第にクラスタに凝集(二次的凝集)して二次的にダンパ力が増大するようになるものである。
【0037】
そこで、本実施形態では、磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定に設定(選定)したものである。ここで、「強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定」とは、
「狙い(目標)の粒子径に対して正規分布の標準偏差値が1.0以下であること。」と定義するものとする。本実施形態では、具体的には、磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径は、目標粒子径を2μmとした図9に示すような分布になるように設定されている。
【0038】
以上のように構成された磁気粘性流体80に、前記第1および第2のコイル52、55に通電して磁界を作用させた場合について、図11を参照して説明する。磁気粘性流体80に磁界を印加作用させると(時刻ta)、磁気粘性流体80の粘度が高まり、摩擦抵抗(ダンパ力)が一時的に大きくなるように増加して一定のダンパ力を生じる。磁気粘性流体80にそのまま一定の磁界を作用させると、特性線Lcに示すように、ダンパ力は二次的に増加するようになる。これは、本実施形態の磁気粘性流体80において、強磁性粒子たる鉄の粒子径がほぼ均一であるといえども、粒子径に若干のばらつきがあるので、強磁性流体たる鉄の一時的凝集の後に粒子径の異なる鉄の二次的凝集が僅かながら発生するからであると考えられる。
【0039】
しかしながら、本実施形態の磁気粘性流体80の特性線Lcと従来の磁気粘性流体の特性線Lbとの比較から明らかなように、磁気粘性流体80のダンパ力の二次的増加の変化率は従来のそれよりも著しく小である。本発明者らの実験によれば、特性線Lcに示すように、磁気粘性流体80に一定の磁界を作用させた時刻taから二次的に増加するダンパ力が設計上の上限値Lsに達する時刻tbまでの時間は3分であった。従って、本実施形態では、前記第1および第2のコイル52、55により磁界を発生させる連続時間は、所定時間たる例えば3分以下に設定されている。
【0040】
さて、本実施形態では、脱水行程においては、実質的な制御として第1および第2のコイル52、55により磁界を断続的に発生させるようにしている。即ち、図12に示すように、脱水行程開始と同時に第1および第2のコイル52、55に通電して一定の磁界を発生させて磁気粘性流体80に印加作用させ(時刻t1)、継続設定時間T1(例えば10秒)の経過後に第1および第2のコイル52、55を断電して磁界の発生を停止させ(時刻t2)、更に、停止設定時間T2(例えば1秒以下)の経過後に第1および第2のコイル52、55に通電して一定の磁界を発生させて磁気粘性流体80に印加作用させる(時刻t3)、ことを繰り返すのである。
【0041】
そして、脱水行程開始(時刻t1)からモータ8により回転駆動されるドラム10の回転速度が共振回転速度(約100〜300rpm)を超えるまでの時間(約3分)が経過すると、その後は、第1および第2のコイル52、55を断電して磁界の発生を停止させる。従って、その後のサスペンション7の動作は、前記洗濯行程および乾燥行程時と同様である。
【0042】
なお、上記脱水行程中において、水槽6の振動が振動センサ90或いは91の閾値以上となったときには、振動センサ90或いは91が異常振動信号を制御装置5に与えるようになっている。そして、制御装置5は、振動センサ90或いは91から異常振動信号が与えられると、モータ8を断電してドラム10の回転を停止させ、その後、モータ8に通電してドラム10を低速度(例えば50〜60rpm)で回転させて洗濯物の偏荷重を是正させる。そして、所定時間後、制御装置5は、上述したような脱水行程を再開させる。
【0043】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
サスペンション7のダンパ23を構成する磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定に設定(選定)したので、磁気粘性流体80の二次的ダンパ力の増加を極力防止することができる。これにより、設計上意図した偏荷重以上の場合の水槽6の振動を減衰することはなく、ダンパ23を含む構造物に過剰に負担がかかることはなく、安全性に優れたものになる。しかも、磁気粘性流体80に一定の磁界を作用させる連続時間は、二次的ダンパ力が上限値に達するまでの時間(例えば3分)以下に設定したので、一層安全性が向上する。
【0044】
ところで、従来の磁気粘性流体のように二次的ダンパ力が大きく増加すると、水槽(6)の振動が振動センサ(90、91)の閾値(意図した偏荷重による振動)を超える場合でもこれを増加したダンパ力で減衰させてしまい、振動センサ(90、91)が異常振動信号を発生することはなくなる、という不具合がある。そして、その後、ドラム(10)の回転速度が共振回転速度(約100〜300rpm)を超えるまでの時間(約3分)が経過すると、その後はコイル(52、55)が断電されて磁界の発生が停止されるので、水槽(6)は意図した偏荷重を超える偏荷重により異常に振動して危険になる。本実施形態では、磁気粘性流体80の二次的ダンパ力の増加が極力抑制されるので、上記従来のような不具合は生じない。
【0045】
しかして、脱水行程では、具体的には、コイル52、55に断続的に通電して磁気粘性流体80に断続的に磁界を印加作用させるようにしたので(具体的には、10秒印加、1秒以下停止)、磁気粘性流体80による二次的ダンパ力を平均化することができ、磁界を連続的に作用させる場合に比し、安全性が著しく向上する。
【0046】
(その他の実施形態)
モールドコイルユニット50において、コイルは1個のみでも3個以上でもよく、また、ヨークは2個でもそれ以上でもよい。
洗濯機の実施形態としては、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機に限られず、縦軸型の水槽の内部に回転槽を備えるとともに、この回転槽内に撹拌体を備えたいわゆる縦軸型の洗濯機でもよい。
【0047】
以上のように本実施形態によると、水槽を防振支持するダンパを構成する磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されているので、磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加を極力抑制できる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は外箱、6は水槽、7はサスペンション、8はモータ、10はドラム(回転槽)、23はダンパ、24はコイルばね、25はシリンダ、26はシャフト、51は下部ヨーク、52は第1のコイル、54は中間部ヨーク、55は第2のコイル、57は上部ヨーク、80は磁気粘性流体、90おび91は振動センサを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機、例えばドラム式洗濯機においては、外箱内に、内部にドラムが配設された水槽と、その水槽を防振支持するためのダンパ(サスペンション)を備え、ドラムの回転に伴う水槽の振動を前記ダンパにより低減する構成となっている。そして、そのダンパとしては、防振性能の向上を図るために、磁界の作用に伴い粘性が変化する磁気粘性流体(MR流体)を用いたものが考えられている。このものでは、例えばシリンダ内に、磁界を発生するためのコイルを配設するとともに、このコイルを軸方向に貫通するシャフトを往復動可能に設け、そのシャフトとコイルとの間に磁気粘性流体を設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−32114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成によれば、コイルに通電して磁界を磁気粘性流体に作用させると、磁気粘性流体は、磁界が印加作用された初期には一定の摩擦抵抗(ダンパ力)を生じて、設計上意図した偏荷重による水槽の振動を減衰させることができる。ところが、その後、磁気粘性流体によるダンパ力は、時間の経過とともに次第に二次的増加するようになる。この磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加の理由については、後述する。
以上のように、磁気粘性流体のダンパ力が二次的に増加すると、意図した偏荷重以上の場合にも水槽の振動の減衰を行うようになり、ダンパを含む構造物に過剰に負担がかかる不具合がある。
【0005】
そこで、ダンパの磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加を極力抑制できる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の洗濯機は、水槽を防振支持するダンパを備えている。前記ダンパは、シリンダと、このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備えている。そして、前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態におけるサスペンションの縦断面図
【図2】要部の拡大縦断面図
【図3】サスペンションの外観斜視図
【図4】モールドコイルユニットの外観斜視図
【図5】モールドコイルユニットの縦断面図
【図6】中間部ヨークの正面図
【図7】モールドする前における中間ヨークとコイルのリード線との配置関係を示す斜視図
【図8】ドラム式洗濯機の概略構成を示す縦断側面図
【図9】磁気粘性流体の粒子径の分布図
【図10】磁気粘性流体の粒子径が均一な場合と不均一な場合とを示す特性線図
【図11】本実施形態の磁気粘性流体の特性線図
【図12】異なる特性線図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ドラム式洗濯機に適用した実施形態について図面を参照して説明する。まず、ドラム式洗濯機の概略構成を示す図8において、洗濯機の外殻を形成する外箱1の前面部(図8で右側)のほぼ中央部には、洗濯物出入口2が形成されているとともに、この洗濯物出入口2を開閉する扉3が設けられている。外箱1の前面部の上部には操作パネル4が設けられており、その裏側(外箱1内)に運転制御用の制御装置5が設けられている。
【0009】
外箱1の内部には、水槽6が配設されている。この水槽6は、軸方向を前後(図8では右左)とする横軸円筒状をなすものであり、外箱1の底板1a上に左右一対(一方のみ図示)のサスペンション7によって前上がりの傾斜状態に弾性支持されている。サスペンション7の詳細構造については後述する。水槽6の背面部にはモータ8が取り付けられている。このモータ8は、例えば直流のブラシレスモータからなるもので、アウターロータ形であり、そのロータ8aの中心部に取り付けられた図示しない回転軸を、軸受ブラケット9を介して水槽6の内部に挿通している。
【0010】
水槽6の内部には、ドラム10が配設されている。このドラム10も、軸方向が前後の横軸円筒状をなすものであり、その後部の中心部を前記モータ8の回転軸の先端部に連結することにより、水槽6と同軸の前上がりの傾斜状態に支持されている。この結果、ドラム10はモータ8によりダイレクトに回転されるようになっている。したがって、ドラム10は回転槽であり、モータ8はドラム10を回転させるドラム駆動装置として機能する。
【0011】
ドラム10の周側部(胴部)には、通水および通風が可能な小孔11が多数形成されている。これに対し、水槽6は、基本的に無孔状で、貯水可能な構成となっている。これらドラム10および水槽6は、ともに前面に開口部12、13を有しており、そのうちの水槽6の開口部13と前記洗濯物出入口2との間に、環状のべローズ14が装着されている。これにより、洗濯物出入口2は、ベローズ14、水槽6の開口部13、およびドラム10の開口部12を介して、ドラム10の内部に連なる形態となっている。
【0012】
貯水可能な水槽6の最低部位には、途中に排水弁15を介して排水管16が接続されていて、水槽6内の水は、その排水管16を通して機外へ排出可能となっている。この水槽6の背面側から上方および前方にわたって、乾燥装置17が配設されている。この乾燥装置17は、除湿器18、送風機19、加熱器20、および循環ダクト21から構成されていて、水槽6内(ドラム10内)から排出された空気中の水分を除湿器18において除去し、次いでその空気を加熱器20で加熱して乾燥風を生成し、その乾燥風を水槽6内(ドラム10内)に戻すことを繰り返す循環を行うことにより、ドラム10内に収容された洗濯物を乾燥させるようになっている。
【0013】
次に上記サスペンション7の構造について図1〜図7も参照して説明する。サスペンション7は、図1および図3に示すように、ダンパ23と、圧縮コイルスプリングからなるコイルばね24を備えている。このうち、ダンパ23は、上下方向に延びる円筒状をなすシリンダ25と、このシリンダ25に沿って上下方向に延びるシャフト26を備えていて、シャフト26の下部がシリンダ25内に上下方向に往復動可能に挿入されている。
【0014】
シリンダ25の軸方向の一端部である下端部には連結部材28が設けられている。この連結部材28は、蓋部28aと、この蓋部28aから下方へ突出する連結軸部28bとを一体に有していて、そのうちの蓋部28aをシリンダ25の下端開口部に嵌合するとともに、その蓋部28aの外周部をシリンダ25の内周部に溶接(TIG溶接)することによりシリンダ25に固着されている。その連結部材28の連結軸部28bを、外箱1の底板1aに固定された取付部材29(図8参照)にゴムなどの弾性座板30等を介してナット31で締結することにより、シリンダ25は、底板1a側の取付部材29に連結されている。
【0015】
前記シャフト26の上端部には、上部連結部材32が連結されている。この上部連結部材32の連結軸部32aを、水槽6の取付部材33(図8参照)に、前記連結軸部28bと同様に、ゴムなどの弾性座板34等を介してナット35で締結することにより、シャフト26は、水槽6側の取付部材33に連結されている。上部連結部材32の下端部にはばね受け座36が嵌合固定されていて、このばね受け座36とシリンダ25の上端部との間に、前記コイルばね24がシャフト26を囲繞する状態で装着されている。
【0016】
シリンダ25内の上下方向の中間部には、環状をなす下部軸受ケース38が収容されている。この下部軸受ケース38の外周部には周方向に延びる溝部39が形成されていて、シリンダ25の周壁部のうちの前記溝部39に対応する部分を内方へかしめることにより、下部軸受ケース38をシリンダ25内に固定している。かしめた部分をかしめ部40としている。なお、下部軸受ケース38の外周部の一箇所には、軸方向に開通した溝部39a(図1参照)が形成されている。下部軸受ケース38の内周部には、シャフト26を軸方向(上下方向)へ往復動可能に支持する環状の軸受41が収納固定されている。軸受41は、例えば焼結含油メタルから構成されている。シャフト26の下端部には抜止め部材26aが装着されていて、その抜止め部材26aが下部軸受ケース38の下面に当接することにより、シャフト26の上方への移動が規制されている。
【0017】
シリンダ25において、軸方向の他端部となる上端部の内部にも、環状をなす上部軸受ケース42が収容されている。この上部軸受ケース42は、これの上部に下部42aより外径寸法が小さな筒部42bを有していて、その下部42aと筒部42bとの間に段部42cが形成されている。筒部42bは、シリンダ25から上方へ突出している。この上部軸受ケース42における下部42aの外周部には、図2にも示すように溝部43が全周にわたって形成されていて、シリンダ25の周壁部のうちの前記溝部43に対応する部分を内方へかしめることにより、上部軸受ケース42をシリンダ25の上端部に固定している。かしめた部分をかしめ部44としている。この場合、かしめ部44は、ローリングかしめにより全周に設けている。溝部43にはOリング45が装着されていて、そのOリング45は、上部軸受ケース42の溝部43とシリンダ25のかしめ部44との間に挟まれて押し付けられている。
【0018】
コイルばね24の下端部は、上部軸受ケース42の段部42cにて受けられている。上部軸受ケース42の内周部の上部には、シャフト26を軸方向(上下方向)へ往復動可能に支持する環状の軸受46が収納固定されている。この軸受46も、下部の軸受41と同様に、例えば焼結含油メタルから構成されている。上部軸受ケース42の内周部において、軸受46の下側には、環状をなす摩擦部材47が圧入状態で収納されていて、この摩擦部材47の内周部が、シャフト26の外周面に摺動可能に圧接している。
【0019】
シリンダ25内において、下部軸受ケース38と上部軸受ケース42との間の部分には、モールドコイルユニット50が収容されている。このモールドコイルユニット50は、それら下部軸受ケース38と上部軸受ケース42により挟み付けられた状態で固定されている。モールドコイルユニット50は、図1、図4、図5に示すように、下部ヨーク51と、第1のコイル52を巻装した第1のボビン53と、中間部ヨーク54と、第2のコイル55を巻装した第2のボビン56と、上部ヨーク57と、これらを一体化するための成形用の樹脂58とを備えている。樹脂58としては、例えば熱可塑性樹脂(ナイロン、PBT、PET、PP等)を用いる。モールドコイルユニット50の軸方向の両端部となる下部ヨーク51と上部ヨーク57に、環状をなすシール部材59が圧入状態で装着されている。これらシール部材59は、前記摩擦部材47と同じものを用いていて、内周部がシャフト26の外周面に摺動可能に圧接している。
【0020】
モールドコイルユニット50は、中央部に軸方向に貫通した貫通孔61を有し、全体として円筒状をなしていて、その貫通孔61に、シャフト26が軸方向に往復動可能に挿入されている。モールドコイルユニット50の外周部には、軸方向に延びる溝部62が形成されているとともに、その溝部62にあって中間部ヨーク54と対応する部位に位置させて円形の凹部63と、この凹部63から周方向に連なって矩形状の凹部64が形成されている。このうちの矩形状の凹部64から、前記第1のコイル52と第2のコイル55の、2本のリード線65が外部に導出されている。各リード線65の基端部は、図5に示すように、対応するボビン53、56の端板を貫通して各コイル52、55の端部に接続されていて、樹脂58で覆われている。各リード線65は、導線の周りが樹脂製のチューブ65aで覆われている。
【0021】
ここで、中間部ヨーク54には、図6および図7に示すように、外周部の1箇所に、リード線配置溝66と渡り線配置溝67とを有する溝部68が形成されている。リード線配置溝66と渡り線配置溝67は、中間部ヨーク54の軸方向に開通している。溝部68の中央部には、円形のねじ孔からなる注入口69が形成されていて、その注入口69に、端面に六角凹部70aを有する円柱状のねじ70(図4参照)が装着されている。注入口69は、後述する磁気粘性流体を注入するためのものである。なお、中間部ヨーク54の外周部には、図6に示すように前記溝部68より幅狭の溝部71が3箇所に形成されている。中間部ヨーク54には、第1および第2のボビン53、56の位置決めとなる位置決め孔72が複数形成されている。
【0022】
第1のコイル52と第2のコイル55は渡り線73(図7参照)により直列に接続されている。第1のコイル52に接続された1本のリード線65と、第2のコイル55に接続された1本のリード線65は、次のようにしてモールドコイルユニット50から外部へ導出されている。この場合、図7に示すリード線案内部材74を用いる。リード線案内部材74は、合成樹脂製で、一端が開口した断面コ字形をなし、2個の孔75と、これら孔75間を仕切るように仕切部76を有している。2本のリード線65をそれぞれリード線案内部材74の孔75に挿入してL字状に屈曲させた状態で、リード線案内部材74を、前記中間部ヨーク54のリード線配置溝66に配置し、また、渡り線73を渡り線配置溝67に配置した状態で、これらリード線配置溝66および渡り線配置溝67にも樹脂58が充填される。樹脂58は、リード線案内部材74内にも充填される(図5参照)。
【0023】
2本のリード線65は、基端部が樹脂58により覆われた状態で、図4に示すように、凹部64からモールドコイルユニット50の外部に導出されている。中間部ヨーク54の他の溝部71にも樹脂58が充填されている。中間部ヨーク54の外周部において前記溝部68、71以外の部分は、樹脂58から露出している。モールドコイルユニット50において、2本のリード線65の導出部分である凹部64に、例えばシリコーンからなる防湿材77(図1、図2、図4、図5参照)をポッティングすることにより、防湿材77がリード線案内部材74の内側まで充填されて凹部64内全体を埋めることにより、リード線65の位置を外力に対しても安定させながら防水処理している。
【0024】
ここで、モールドコイルユニット50の貫通孔61の内径寸法について説明する。図5に示すように、下部、中間部および上部の3個のヨーク51、54、57の内径寸法は同じ寸法に設定されており、シャフト26の外周面との間に例えば0.4mm程度の隙間78が形成されるように構成されている。第1および第2の2個のボビン53、56の内径寸法は同じ寸法に設定され、かつ3個のヨーク51、54、57の内径寸法より若干大きい寸法に設定されており、シャフト26の外周面との間に例えば1.0mm程度の隙間79が形成されるように構成されている。
【0025】
そして、シャフト26の外周面と前記3個のヨーク51、54、57の内周面との間の隙間78、およびシャフト26の外周面と前記2個のボビン53、56の内周面との間の隙間79には、磁気粘性流体80が注入されている。なお、磁気粘性流体80は、上下のシール部材59の内側まで注入されている。この磁気粘性流体80は、モールドコイルユニット50の前記注入口69から注入され、その注入口69はねじ70によって閉鎖されている。
【0026】
磁気粘性流体80は、ベース液例えばポリアルファオレフィンの中に強磁性粒子例えば鉄(鉄粉)および該鉄の表面を覆う界面活性剤を混合した磁性コロイド溶液であり、本実施形態では、強磁性粒子たる鉄の粒子径はほぼ一定(ほぼ均一)になるように設定(選定)されている。磁気粘性流体80は、磁界が作用されると、強磁性粒子(鉄)が磁力線に沿って鎖状に凝集してクラスタを形成することで粘度が一時的に上昇する特性を有するものである。
【0027】
この場合、モールドコイルユニット50の下部および上部のシール部材59、ならびに上部軸受ケース42の摩擦部材47は、磁気粘性流体80が外部へ漏れ出ることを防止する作用と、シャフト26との間に生ずる摩擦を利用した摩擦ダンパの作用を発揮する。また、図5に示すように、下部ヨーク51と第1のボビン53との間、第1のボビン53と中間部ヨーク54との間、中間部ヨーク54と第2のボビン56との間、ならびに第2のボビン56と上部ヨーク57との間には、それぞれシール用のOリング81が設けられている。これらOリング81も、磁気粘性流体80が外部へ漏れ出ることを防止する機能がある。
【0028】
シリンダ25の周壁部における軸方向の中間部には、前記円形の凹部63に対応する位置に、円形の孔からなるリード線引出口82(図1、図2参照)が形成されている。このリード線引出口82には、リード線挿通孔83aを有するブッシュ83が嵌合されていて、前記2本のリード線65が、そのブッシュ83のリード線挿通孔83aを通して外部に引き出されている。この場合ブッシュ83は、樹脂、例えばナイロン製のものを用いている。
【0029】
シリンダ25の外周部には、ブッシュ83の上方(リード線引出口82の上方)に位置させて、山形状の庇部84が設けられている。この庇部84は、この場合シリンダ25の外面に接着材により接着されている。この庇部84は、上からの水が、リード線引出口82(リード線挿通孔83a)からシリンダ25内に浸入することを防止する。
【0030】
また、シリンダ25の外周部には、配線固定部材85(図3参照)を装着していて、この配線固定部材85に設けられた配線保持具86により、シリンダ25の外部に引き出されたリード線65を保持するようにしている。なお、シリンダ25内において連結部材28の蓋部28aと下部軸受ケース38との間には、空間部88(図1参照)が形成されている。
【0031】
このようなサスペンション7は、水槽6の左右両側に配設される。また、各サスペンション7から導出されたリード線65は、図示しない駆動回路に接続される。第1および第2のコイル52、55は、前記制御装置5により駆動回路を介して通断電制御される。
【0032】
なお、図8に示すように、水槽6を前方側から視て、左側壁の後側上部外面には、振動検出手段としての振動センサ90が配設され、右側壁の前側下部外面には、振動検出手段としての振動センサ91が配設されている。これらの振動センサ90、91は、水槽6の振動が閾値以上となったときに異常振動信号を制御装置5に与えるようになっている。
【0033】
上記構成において、洗濯運転に関連する前述したサスペンション7の動作について説明する。まず、第1および第2のコイル52、55が通電されていない状態を考える。
ドラム10が洗濯行程や乾燥行程においてモータ8により低速度(例えば50〜60rpm)で回転駆動されることに伴い、水槽6が上下方向を主体に振動する。この水槽6の上下振動に応動して、サスペンション7では、外箱1の底板1a側に固定されたシリンダ25に対して、水槽6側に連結されたシャフト26がコイルばね24を伸縮させながら上下動する。このとき、このコイルばね24による振動低減作用に加え、摩擦部材47、およびシール部材59がシャフト26に対して摩擦抵抗で減衰力を常時作用させると共に、シャフト26と3個のヨーク51、54、57、及び2個のボビン53、56との間に充填された磁気粘性流体80が、その粘性による摩擦抵抗(ダンパ力)で減衰力を作用させ、水槽6の振幅を減衰させる。
【0034】
ドラム10がモータ8により高速度(例えば1300rpm)で回転駆動をされる脱水行程では、運転開始当初から前記第1および第2のコイル52、55に通電されるようになっている。第1および第2のコイル52、55が通電されると、特にヨーク51、54、57を介して磁気粘性流体80に磁界が与えられ、磁気粘性流体80の粘度が高まる。これにより、磁気粘性流体80の摩擦抵抗(ダンパ力)が大きくなるように増加する。かくして、シャフト26に対する摩擦抵抗が、前述の場合(第1および第2のコイル52、55の非通電の場合)よりさらに増加することにより、減衰力が大きくなる。従って、水槽6の振動を効果的に減衰できる。
【0035】
ここで、磁気粘性流体のダンパ力特性について、図9〜図12も参照して説明する。
図10に示すように、磁気粘性流体の強磁性流体の粒子径が均一な場合には、特性線Laのように、一定の磁界が印加されると、その磁界の作用によりに一定のダンパ力を発生し、その後も前記一定の磁界が作用すれば、前記一定のダンパ力を発生し続ける。これに対して、従来のように磁気粘性流体の強磁性粒子の粒子径が不均一な場合は、特性線Lbのように、一定の磁界が印加されると、その磁界の作用によりに一定のダンパ力を発生するが、その後も前記一定の磁界が作用されると、時間の経過とともにダンパ力が前記一定のダンパ力から二次的に増加するようになる。
【0036】
この磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加の理由は、次のように考えられる。即ち、磁気粘性流体は、一定の磁界が作用されると、強磁性粒子が磁力線に沿って鎖状に凝集してクラスタを形成することで、粘度が一時的に増加して一定の摩擦抵抗(ダンパ力)を発生する。ところが、磁気粘性流体中の強磁性粒子の粒子径が不均一であると、一定の磁界の作用の基に、時間の経過とともに粒子径の異なる強磁性粒子も遅れて次第にクラスタに凝集(二次的凝集)して二次的にダンパ力が増大するようになるものである。
【0037】
そこで、本実施形態では、磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定に設定(選定)したものである。ここで、「強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定」とは、
「狙い(目標)の粒子径に対して正規分布の標準偏差値が1.0以下であること。」と定義するものとする。本実施形態では、具体的には、磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径は、目標粒子径を2μmとした図9に示すような分布になるように設定されている。
【0038】
以上のように構成された磁気粘性流体80に、前記第1および第2のコイル52、55に通電して磁界を作用させた場合について、図11を参照して説明する。磁気粘性流体80に磁界を印加作用させると(時刻ta)、磁気粘性流体80の粘度が高まり、摩擦抵抗(ダンパ力)が一時的に大きくなるように増加して一定のダンパ力を生じる。磁気粘性流体80にそのまま一定の磁界を作用させると、特性線Lcに示すように、ダンパ力は二次的に増加するようになる。これは、本実施形態の磁気粘性流体80において、強磁性粒子たる鉄の粒子径がほぼ均一であるといえども、粒子径に若干のばらつきがあるので、強磁性流体たる鉄の一時的凝集の後に粒子径の異なる鉄の二次的凝集が僅かながら発生するからであると考えられる。
【0039】
しかしながら、本実施形態の磁気粘性流体80の特性線Lcと従来の磁気粘性流体の特性線Lbとの比較から明らかなように、磁気粘性流体80のダンパ力の二次的増加の変化率は従来のそれよりも著しく小である。本発明者らの実験によれば、特性線Lcに示すように、磁気粘性流体80に一定の磁界を作用させた時刻taから二次的に増加するダンパ力が設計上の上限値Lsに達する時刻tbまでの時間は3分であった。従って、本実施形態では、前記第1および第2のコイル52、55により磁界を発生させる連続時間は、所定時間たる例えば3分以下に設定されている。
【0040】
さて、本実施形態では、脱水行程においては、実質的な制御として第1および第2のコイル52、55により磁界を断続的に発生させるようにしている。即ち、図12に示すように、脱水行程開始と同時に第1および第2のコイル52、55に通電して一定の磁界を発生させて磁気粘性流体80に印加作用させ(時刻t1)、継続設定時間T1(例えば10秒)の経過後に第1および第2のコイル52、55を断電して磁界の発生を停止させ(時刻t2)、更に、停止設定時間T2(例えば1秒以下)の経過後に第1および第2のコイル52、55に通電して一定の磁界を発生させて磁気粘性流体80に印加作用させる(時刻t3)、ことを繰り返すのである。
【0041】
そして、脱水行程開始(時刻t1)からモータ8により回転駆動されるドラム10の回転速度が共振回転速度(約100〜300rpm)を超えるまでの時間(約3分)が経過すると、その後は、第1および第2のコイル52、55を断電して磁界の発生を停止させる。従って、その後のサスペンション7の動作は、前記洗濯行程および乾燥行程時と同様である。
【0042】
なお、上記脱水行程中において、水槽6の振動が振動センサ90或いは91の閾値以上となったときには、振動センサ90或いは91が異常振動信号を制御装置5に与えるようになっている。そして、制御装置5は、振動センサ90或いは91から異常振動信号が与えられると、モータ8を断電してドラム10の回転を停止させ、その後、モータ8に通電してドラム10を低速度(例えば50〜60rpm)で回転させて洗濯物の偏荷重を是正させる。そして、所定時間後、制御装置5は、上述したような脱水行程を再開させる。
【0043】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
サスペンション7のダンパ23を構成する磁気粘性流体80の強磁性粒子たる鉄の粒子径をほぼ一定に設定(選定)したので、磁気粘性流体80の二次的ダンパ力の増加を極力防止することができる。これにより、設計上意図した偏荷重以上の場合の水槽6の振動を減衰することはなく、ダンパ23を含む構造物に過剰に負担がかかることはなく、安全性に優れたものになる。しかも、磁気粘性流体80に一定の磁界を作用させる連続時間は、二次的ダンパ力が上限値に達するまでの時間(例えば3分)以下に設定したので、一層安全性が向上する。
【0044】
ところで、従来の磁気粘性流体のように二次的ダンパ力が大きく増加すると、水槽(6)の振動が振動センサ(90、91)の閾値(意図した偏荷重による振動)を超える場合でもこれを増加したダンパ力で減衰させてしまい、振動センサ(90、91)が異常振動信号を発生することはなくなる、という不具合がある。そして、その後、ドラム(10)の回転速度が共振回転速度(約100〜300rpm)を超えるまでの時間(約3分)が経過すると、その後はコイル(52、55)が断電されて磁界の発生が停止されるので、水槽(6)は意図した偏荷重を超える偏荷重により異常に振動して危険になる。本実施形態では、磁気粘性流体80の二次的ダンパ力の増加が極力抑制されるので、上記従来のような不具合は生じない。
【0045】
しかして、脱水行程では、具体的には、コイル52、55に断続的に通電して磁気粘性流体80に断続的に磁界を印加作用させるようにしたので(具体的には、10秒印加、1秒以下停止)、磁気粘性流体80による二次的ダンパ力を平均化することができ、磁界を連続的に作用させる場合に比し、安全性が著しく向上する。
【0046】
(その他の実施形態)
モールドコイルユニット50において、コイルは1個のみでも3個以上でもよく、また、ヨークは2個でもそれ以上でもよい。
洗濯機の実施形態としては、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機に限られず、縦軸型の水槽の内部に回転槽を備えるとともに、この回転槽内に撹拌体を備えたいわゆる縦軸型の洗濯機でもよい。
【0047】
以上のように本実施形態によると、水槽を防振支持するダンパを構成する磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されているので、磁気粘性流体の二次的ダンパ力の増加を極力抑制できる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は外箱、6は水槽、7はサスペンション、8はモータ、10はドラム(回転槽)、23はダンパ、24はコイルばね、25はシリンダ、26はシャフト、51は下部ヨーク、52は第1のコイル、54は中間部ヨーク、55は第2のコイル、57は上部ヨーク、80は磁気粘性流体、90おび91は振動センサを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽を防振支持するダンパを備えた洗濯機において、
前記ダンパは、
シリンダと、
このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、
前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、
このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備え、
前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
コイルにより磁界を発生させる連続時間は、所定時間以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
コイルは、磁界を断続的に発生するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。
【請求項1】
水槽を防振支持するダンパを備えた洗濯機において、
前記ダンパは、
シリンダと、
このシリンダの内部に収容され、磁界を発生するコイルおよびこのコイルの磁界を誘導するヨークと、
前記コイルおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、
このシャフトと前記ヨークとの間に充填され磁界の作用に応じて粘性が変化する磁気粘性流体とを備え、
前記磁気粘性流体は、粒子径がほぼ一定になるように設定されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
コイルにより磁界を発生させる連続時間は、所定時間以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
コイルは、磁界を断続的に発生するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−55619(P2012−55619A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204282(P2010−204282)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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