説明

洗米機

【課題】米を搬送した空気を排出する際に、該空気から糠等を取り除くことができる。
【解決手段】機外に設けられた米備蓄庫Fに接続可能な貯米庫2と、貯米庫2から供給される米を洗う洗米槽4と、米備蓄庫Fから貯米庫2へと米を空気搬送すべく貯米庫2内の空気を吸引して米備蓄庫Fから貯米庫2に流入する空気流を形成する空気流発生装置41とを備え、作業部5よりも下方に、洗米槽4よりも下方に、空気流発生装置41により吸引した貯米庫2の空気を排出する排気装置61を備え、排気装置61は、空気流発生装置41に接続されると共に排気口62を備えるケーシング63と、排気口62を覆うフィルタ64とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米を貯留するための貯米庫と、米を洗うための洗米槽とを備え、貯米庫内の米を計量して洗米槽に供給し、該洗米槽にて洗米し、水加減し、これを洗米槽の下方側に配置された内釜に落下供給する洗米装置が公知である。
この種の洗米装置は、米を空気によって搬送する。例えば特許文献1に示す炊飯装置において、貯米庫には、貯米庫内の空気を吸引して負圧にするブロワが上部に取り付けられていると共に、機外の米備蓄庫と貯米庫とを接続する吸引ダクトとが取り付けられている。
【0003】
前記炊飯装置によれば、ブロワを作動させて貯米庫を負圧にすることにより、米備蓄庫から貯米庫へ流れる空気流が形成され、該空気流によって米備蓄庫内の米が貯米庫に空気搬送される。
【特許文献1】特開平8−140846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、米備蓄庫等に蓄えられている米は、糠や籾殻等(以下、糠等という)が付着している米を含んでいることも少なくなく、通常これら糠等は洗米によって除去される。
しかしながら、上記炊飯装置によれば、ブロワは貯米庫に接続されて洗米前の米を吸引すると共に、ブロワは排気口を貯米庫の外部に備えているため、ブロワにより吸引された空気は糠等を含むこととなり、この空気をそのまま機外に排出することにより糠等が空気中に放出されてしまう問題があった。
そこで、本発明は、米を搬送した空気を排出する際に、該空気から糠等を取り除くことができる洗米機を提供するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、米備蓄庫Fと、該米備蓄庫Fに接続された貯米庫2と、該貯米庫2から供給される米を洗う洗米槽4と、貯米庫2内の空気を吸引して米備蓄庫Fから貯米庫2に米を流入する空気流を形成する空気流発生装置41とを備えている洗米機において、
前記洗米槽4よりも下方に、前記空気流発生装置41により吸引した貯米庫2内の空気を排出する排気装置61を備え、該排気装置61は、前記空気流発生装置41に接続されると共に排気口62を備えるケーシング63と、該排気口62を覆うフィルタ64とを備えていることを特徴としている。
【0006】
これによれば、空気流発生装置41により吸引された貯米庫2の空気は排気装置61のフィルタ64を通過した後に排出されることとなり、該フィルタ64によって空気内の糠等が取り除かれることとなる。
また、排気装置61は洗米槽4よりも下方にあるため、フィルタ64の交換も容易に行うことができる。
また、本発明における課題解決のための他の技術的手段は、米を一時的に収容しておく貯米庫2と、該貯米庫2から供給される米を洗う洗米槽4とを備え、洗米槽4内の空気を吸引して貯米庫2から洗米槽4に米を流入する空気流を形成する空気流発生装置41とを備えている洗米機において、
前記洗米槽4よりも下方に、前記空気流発生装置41により吸引した洗米槽4内の空気を排出する排気装置61を備え、該排気装置61は、前記空気流発生装置41に接続されると共に排気口62を備えるケーシング63と、該排気口62を覆うフィルタ64とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記排気口62はケーシング63に設けられた傾斜状の空気排出部75に開設され、該空気排出部75には、前記フィルタ64を上側から上下方向に抜き差し可能にするフィルタ保持部77が設けられていることが好ましい。
これにより、排気口62の面積を可及的大きなものとして一度に多量の空気を排出することができることとなると共に、フィルタ64の取り付け・交換を容易に行うことができる。
また、前記空気排出部75は上下方向中央部を上下端部よりも膨出させて上下に傾斜部76a、76bを有する断面く字状に形成され、フィルタ64は、上側の傾斜部76a、76bに形成された排気口62を覆う上フィルタ64aと、下側の傾斜部76a、76bに形成された排気口62を覆う下フィルタ64bとを備え、フィルタ保持部77は、上フィルタ64aを保持する上フィルタ保持部77aと下フィルタ64bを保持する下フィルタ保持部77aとを備えていることが好ましい。
【0008】
これによれば、空気排出部75を断面く字状に形成することにより、排気口62の大きさを確保することができる。また、フィルタ64を上下に分けて設けることにより、1枚のフィルタ64a、64bの大きさを小さくすることができ、これによって各フィルタ64a、64bを排気壁に抜き差しするための空間の狭小化が図られて装置全体をコンパクトに形成することができる。
また、前記ケーシング63は、前記空気流発生装置41から延びるダクト60に接続された前室ケース65と、該前室ケース65よりも大きい容積を有すると共に前記空気排出部75を有する排気室ケース66とを連通して形成され、前室ケース65は、前記ダクト60よりも大きい断面積を有し、排気室ケース66は、前記ダクト60の断面積よりも大きい面積を有する連通口73を介して前室ケース65に連通されていることが好ましい。
【0009】
これによれば、空気流発生装置41から排出される空気はダクト60を通過するうちに路内欠損により風力を弱められる。また、ダクト60の断面積よりも前室ケース65の断面積の方が大きいため、ダクト60内の空気はダクト60から前室ケース65に流入することによりさらに風力を弱められる。また、連通口73の面積がダクト60の断面積よりも大きく、前室ケース65よりも排気室ケース66の容積が大きいため、連通口73を介して排気室ケース66に流入する空気はさらに風力が弱められる。
したがって、空気流発生装置41から排出される空気は排気装置61から排出されるまでに著しく風力を弱められる減勢されることとなり、これによって排気装置61からの覇気による埃等の舞上りが確実に防止されることとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、米を搬送した空気を排出する際に、該空気から糠等を取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明していく。
図7及び図8に示す如く、本実施形態の洗米機1は、最上部の貯米庫2と、該貯米庫2の底部に備えた計量機3からの計量米を受け入れて洗米する洗米槽4と、該洗米槽4の同軸直下に配備された作業台(作業部)5とを備え、これら貯米庫2、計量機3、洗米槽4及び作業台5を機枠40に上下配列している。
該洗米機1においては、作業台5に炊飯器の内釜Uを載置することにより、該内釜Uに洗米槽4内で洗米された米を排米することができる。
【0012】
また、該洗米機1は、作業台5に内釜Uに代えて炊飯器を配置することにより、炊飯装置として認識することができる。
図1及び図6に示す如く、機枠40の最上部に設けられた貯米庫2は、底部が漏斗状に形成されていて、内部が米を一時的に収納する米収納部2aを形成している。該米収納部2aは密閉可能に形成されている。
計量機3は、モータで一方向に回転する中空ドラム43を備え、該中空ドラム43にラセン状の切出し口を形成していて、その内容量を一定として回転数により米を定量区分して下方へ落下するドラム式が採用されている。
【0013】
計量機3の下面には、洗米槽に連通する下出口44が設けられており、該下出口44には、中空ドラム43の回転に連動して下出口44を開閉するシャッタ45が設けられている。計量機3は、中空ドラム43のラセン状切出し口を下に向けるだけで米収納部2aを密閉状態とすることができるが、シャッタ45により下出口44を閉鎖することにより、米収納部2aの密閉状態をより確実にしているのである。
また、貯米庫2には空気流発生装置41が取り付けられている。
空気流発生装置41はブロワ等が使用され、その吸引側は米収納部2aに臨み、排出側は貯米庫2の外部となっている。米収容部2aを密閉状態として空気流発生装置41を作動させることにより、貯米庫2の米収納部2a内の空気は吸引され、これによって米収納部2aが負圧となる。
【0014】
図6に示す如く、貯米庫2は洗米槽4の直上に配備されており、貯米庫2、計量機3、これらを制御する制御部8等、洗米槽4の上方に配備された機器はカバー51に覆われており、該カバー51の背部は、貯米庫2の背面に沿って上下方向に延びる第1後壁部52と、機枠40の背面から立ち上がって延びる第2後壁部53と、これら第1後壁部52と第2後壁部53とを平板部54により連結することによって段状に形成されたオフセット部55を備えている。該オフセット部55が形成されることにより、貯米庫2の背面と機枠40の背面との間には隙間が設けられ、該隙間に貯米庫2と米備蓄庫Fとを接続するための米吸引ダクト42が配備されている。
【0015】
該米吸引ダクト42はベンドタイプのものが採用され、一方の端部が第1後壁部52及び貯米庫2の後壁を貫通して貯米庫2の米収納部2aに貫入しており、図1中に矢示する如く該貯米庫2に対し軸心廻りに回動自在とされている。また、該米吸引ダクト42の他方の端部に吸引パイプを連結し、該吸引パイプを米備蓄庫Fに接続することにより、米備蓄庫Fと貯米庫2とが米吸引ダクト42を介して接続される。
図6に示す如く、貯米庫2には、貯米量を検出するための上下一対のセンサ49U、49Dが設けられており、上側のセンサ49Uは上限を、下側のセンサ49Dは下限をそれぞれ検出し、これら一対のセンサ49U、49Dによって、制御部8を介して空気流発生装置41が制御される。具体的には、米収納部2a内の米の残量が少なくなってセンサ49Dがそれを検出すると、空気流発生装置41を作動して米の供給を行い、供給された米がセンサ49Uに達すると、空気流発生装置41を停止する。
【0016】
計量機3の下出口44から排出された計量米は、洗米槽4に落下供給される。該洗米槽4の上部には計量米の水分率(量)を測定する測定手段7が設けられており、該測定手段7の測定結果に基づいて米への水吸入(ざる上げ)時間を考慮して水加減量を制御部8によって制御可能とされている。
洗米槽4は、その下部を漏斗形に形成した円筒状に形成されている。また、洗米槽4の底部には、排米口9が設けられており、該排米口9は逆円錐状の排米弁10によって開閉自在とされている。
【0017】
洗米槽4の縦方向の中心軸上には筒状の回転軸10aが配備されている。該回転軸10aの上部は、洗米槽4の天板4aに軸受12を介して支持されている。また、回転軸10aは、貯米庫2の下側方に配備されたモータと巻掛体によって回転自在とされ、該回転軸10aに放射状配置で撹拌棒15を設けることにより、計量機3から落下供給された計量米を一定時間、洗米(研米)することが可能となる。
また、回転軸10aの中空の円筒状に形成されており、該回転軸10aには弁棒16が挿通され、該弁棒16の下端部に排米弁10に取り付けられている。また、弁棒16の上端部は、カム、リンク、モータ等による昇降手段に連結されており、該昇降手段を作動させることにより排米弁10が上下動され、これによって排米口9を開閉自在としている。
【0018】
図1に示す如く、洗米槽4には水道系に配管接続された給水手段17が備えられ、給水時間等を制御部8にて制御することで水加減量が調整可能である。
また、洗米槽4の下部には排水ジャケット21が設けられ、該排水ジャケット21内には、糠分や水を通過させるが米を通過させない網やパンチングメタル等からなる濾体が設けられている。
排水ジャケット21には、横排水管22を介して排水ボックス23が接続されており、該排水ボックス23内には横排水管22の端部開口を開閉する開閉弁22aが内蔵されている。また、この排水ボックス23には、放水管24が接続されている。また、洗米槽4は上部にてオーバーフロー管25に連結されており、該オーバーフロー管25も排水ボックス23に連結されている。
【0019】
作業台5は、水平方向な架台28と、該架台28の端部から下方に延びる垂壁部29とを備え、該架台28に内釜Uを載置することにより、洗米槽4にて洗米された米が内釜Uに受けられる。
ところで、空気流発生装置41には排気ダクト(ダクト)60が連結されており、これによって空気流発生装置41により吸引された米収納部2a内の空気は、空気流発生装置41の内部を通じて排気ダクト60に排出される。
図1に示す如く、空気流発生装置41に接続された排気ダクト60は、機枠40を構成する左右一対の柱40aの内、一方の(本実施形態においては左側)柱40aの内部に収容された状態で機枠40の下部まで延びており、作業台5の下方に配備された排気装置61に接続されている。
【0020】
図5に示す如く、該排気装置61は、排気ダクト60に接続されると共に排気口62を備えるケーシング63と、該排気口62を覆うフィルタ64とを備えている。
該ケーシング63は、排気ダクト60に接続された前室ケース65と、該前室ケース65に接続される排気室ケース66とを備え、架台28の後側から延びる垂壁部29から下方に向けて延びる立板67の一方の面(本実施の形態においては表面)に排気室ケース66を取り付けると共に、他方の面(本実施の形態においては裏面)に前室ケース65を排気室ケース66にオーバラップさせた状態で取り付けて形成されている。
【0021】
図4及び図5に示す如く、前室ケース65は、板金をプレス加工することにより立板67に対向する面を開口させたボックス状に形成されており、各周壁68の開口側の端部には外方に張り出すフランジ部69が形成されている。該フランジ部69がボルト等の締結具を介して立板67に締結されることにより、前室ケース65は立板67に取り付けられている。前室ケース65は立板67に取り付けられることにより左右一対40aの柱の間に位置することとなる。
また、左側の周壁68に開設された貫通孔68aには円筒部材60aが嵌入しており、該円筒部材60aに排気ダクト60の先端が接続されている。また、前室ケース65は排気ダクト60よりも大きい断面積を有している。
【0022】
なお、断面積とは、排気ダクト60及び排気ダクト60から排気室ケース66に流入する空気の流入方向に対し垂直な面の断面積のことを指しており、具体的には図5の如き洗米機1の側断面における排気ダクト60及び排気室ケース66の断面積のことを指している。
図2及び図5に示す如く、排気室ケース66は、立板67に接合される壁部70に開口部71を有するボックス状に形成されている。該開口部71は、前室ケース65の開口と略同一の大きさに形成されている。また、立板67の中央部にもこれら開口や開口部71と略同じ大きさ開口部72が形成されており、これら開口及び開口部71、72を重ね合わせた状態で立板67に排気室ケース66と前室ケース65とが取り付けられている。
【0023】
これにより、排気室ケース66は、これら開口及び開口部71、72を重ね合わせてなる連通口73を介して前室ケース65に連通される。また、該排気室ケース66の容積は前室ケース65よりも大きい。
図3及び図5に示す如く、排気室ケース66は、壁部70と対向する位置に排気口62を備えた空気排出部75を有している。
該空気排出部75は、上下方向中央部を上下端部よりも膨出させて上下に傾斜部76a、76bを有する断面く字状に形成されており、上側の傾斜部76aに左右一対の排気口62を有すると共に、下側の傾斜口76bに左右一対の排気口62を有している。これら排気口62は、排気室ケース66の外側からフィルタ64によって覆われている。フィルタ64は、上側の傾斜部76aに形成された左右一対の排気口62を覆う上フィルタ64aと、下側の傾斜部76bに形成された左右一対の排気口62を覆う下フィルタ64bとを備えている。
【0024】
また、フィルタ64は、空気排出部75に設けられたフィルタ保持部77に保持されている。フィルタ保持部77は、上フィルタ64aを保持する上フィルタ保持部77aと下フィルタ64bと保持する下フィルタ保持部77bとを備えている。
上フィルタ保持部77aは、僅かな間隔を介して空気排出部75の上側の傾斜部76aに対向する対向壁部78と、該対向壁部78の両側部から突出する舌片部79と、対向壁部78の下端から傾斜部76に向けて屈曲する屈曲部78aとを備え、該屈曲部78aを傾斜部76aに当接させた状態で舌片部79をボルト等の締結具を介して傾斜部76に締結することにより、上フィルタ保持部77aが空気排出部75の上側の傾斜部76aに取り付けられる。
【0025】
これによって、上フィルタ保持部77aは上方開放状となって傾斜部76aに取り付けられることとなり、図5に示す如く上フィルタ保持部77aと傾斜部76aの間の隙間Sに向けて該隙間Sの上方より上フィルタ64aを差し入れることにより、上フィルタ64aが排気口62を覆った状態で配備される。また、該上フィルタ64aの上部に形成された把持部80を掴んで該上フィルタ64aを上方に向けて引き上げることにより、容易にフィルタ64を取り外すことができる。
なお、下フィルタ保持部77bの構成や該下フィルタ77bを下側の傾斜部76bに取り付ける構成は上記上フィルタ保持部77aの場合と同様である。
【0026】
また、図2及び図5に示す如く、各フィルタ保持部77a、77bの対向壁部78には、排気口62と対向する位置に複数個(本実施形態においては3個)のスリット81が形成されている。これにより、排気室ケース66内の空気は、排気口62→フィルタ64→スリット81を通過した後に排気装置61の外方に排出されることとなる。
また、図5に示す如く、各フィルタ64a、64bの表面の中央部に凸部83が設けられると共にフィルタ保持部77a、77bの対向壁部78の裏面に凹部84が形成されており、各フィルタ64a、64bを前記隙間Sに差し入れて凸部83を凹部84に係合させることにより、各フィルタ64a、64bがフィルタ保持部77a、77bにそれぞれ保持されることとなる。
【0027】
本実施の形態は以上の構成からなるものであって、米吸引ダクト42に連結された吸引パイプを米備蓄庫Fに接続した状態で空気流発生装置41を作動させると、貯米庫2の米収納部2aが負圧となり、これによって米備蓄庫Fから貯米庫2の米収納部2aに向けて米が空気搬送(吸引)される。該米を搬送する空気流は、米収納部2a内に流入すると速度を低下させる。これにより、該空気により吸引された米は米収納部2a内に貯まる一方、空気は空気流発生装置41を通じて貯米庫2の外部に放出される。この様に米を空気搬送することにより、米備蓄庫Fが米収納部2aより下方にある場合にも、こぼすことなく米を確実に貯米庫2に供給することができる。
【0028】
また、空気流発生装置41により吸引された米収納部2aの空気は、空気流発生装置41の内部を通じて排気ダクト60に流入し、該排気ダクト60により排気装置61まで導かれた後、該排気装置61を通じて排出される。
空気流発生装置41により吸引された米収納部2aの空気は、米を空気搬送するために米に付着している糠等を含むこととなるが、排気装置61を通じて排出されることによってフィルタ64を通過するので、該フィルタ64によって糠等が取り除かれることとなる。これにより、排気装置61からは清浄な空気が排出されることとなる。
【0029】
また、排気室ケース66の空気排出部75が断面く字状に形成されているため、面一とした壁に排気口62を形成する場合よりも排気口62やフィルタ64を大きく形成することができ、一度に多量の空気を排出することが可能となって排気の効率化が図られる。
また、糠等を取り除くためにフィルタ64は短期間の内に目詰まりを生じてまう虞があるが、排気装置61は作業者の足下となる作業台5の下方に配備されているため、作業者によるフィルタ64の交換も容易に行うことが可能となる。
また、フィルタ64の交換においても、上フィルタ64aと下フィルタ64bとを別々に取り外すことができる。このため、本実施形態は、フィルタを上方に引き抜くことにより取外し可能な排気装置であってフィルタ一枚によって空気排出部の全面を覆ったものと比べると、フィルタ64を上方に引き抜くために必要な排気装置61と作業台5との間の空間の高さを半分にすることができ、これら排気装置61と作業台5の間の狭小化が図られて洗米機1全体のコンパクト化が図られることとなるのである。
【0030】
また、空気排出部75の上側の傾斜部76aに沿って上フィルタ64aが配備されているため、作業台の前方に位置する作業者は、上フィルタ64aの把持部80を奥方に引き上げることにより該上フィルタ64aを取り外すことができる。また、下側の傾斜部76bに沿って下フィルタ64bが配備されているため、前記作業者は、下フィルタ64bの把持部80を手前側に引き上げることによって該下フィルタ64bを取り外すことができる。
この様に、両フィルタ64a、64bは、図5中の1点鎖線で示す如く一方のフィルタ64aを抜き差しするための軌跡に他方のフィルタ64bを抜き差しするための軌跡が重なり合うことはなく、これによって例えば上フィルタ64aを交換する際に下フィルタ64bが邪魔になることはない。
【0031】
また、空気流発生装置41から排気ダクト60に流入する空気は排気ダクト60を通過するうちに管内欠損により風力を弱められる。そして、排気ダクト60の断面積よりも前室ケース65の断面積の方が大きいため、排気ダクト60の空気は該排気ダクト60から前室ケース65に流入することによりさらに風力を弱められる。また、連通口73の面積が排気ダクト60の断面積よりも大きく、前室ケース65よりも排気室ケース66の容積が大きいため、連通口73を介して排気室ケース66に流入する空気はさらに風力が弱められる。
【0032】
したがって、空気流発生装置41から排出される空気は排気装置61から排出されるまでに著しく風力を弱められる(減勢される)こととなり、これによって排気装置61からの排気による埃等の舞上りが確実に防止されることとなる。
なお、洗米槽4においては、計量機3より米が供給された後、横排水管22を開閉する開閉弁22aを開いた状態で米にシャワー給水しながら攪拌棒15を回転させることにより米を攪拌する洗米工程と、給水を止めて攪拌だけを行う研米工程とが繰り返し行われ、その後、浮遊ゴミを流すべく、開閉弁22aによって横排水管22の端部開口を閉じた状態で給水して、洗米槽4上部のオーバーフロー管25から排水を行うオーバーフロー工程が行われる。そして、給水を止めると共に開閉弁22aを開放して横排水管22から排水した後、再び開閉弁22aを閉じて、水加減水を供給される。かかる工程を経て洗米された米は、排米弁10が開放されることにより内釜Uに排米される。
【0033】
図9は本発明の第2実施形態を示しており、本実施形態の洗米機11は、米を貯留するための貯米庫2と、該貯米庫2内の米を計量する計量機3とを洗米槽4の下方に備えると共に、計量された米を洗米槽4内に搬送する米搬送手段85を備えている。
米搬送手段85は、ブロワ等からなる空気流発生装置41と、洗米槽4内に通じる給米管86と、洗米槽4の側方に配置された吸引パイプ87とを備えている。該吸引パイプ87は、ホース90を介して洗米槽4に連通しているオーバーフロー管25に連通されていると共に吸引路89によって空気流発生装置41の吸込み側に連通されている。また、給米管86は米搬送路88を介して計量機3の米を受ける計量米収容ケース3aに連通されている。
【0034】
かかる構成により、第2実施形態の空気流発生装置41は、洗米槽4内の空気を吸引して計量米収容ケース3a内の米を洗米槽4に空気搬送すべく機能する。また、空気流発生装置41は排気ダクト60を介して排気装置61に接続されている。排気ダクト60及び排気装置61の構成は上記第1実施形態と同様である。
なお、該排気装置61も洗米槽4よりも下方に配備されている。
第2実施形態によれば、空気流発生装置41を作動させて吸引パイプ87の空気を吸引すると、オーバーフロー管25から洗米槽4内の空気が吸引されて洗米槽4が負圧となり、米搬送路88及び給米管86を通じて洗米槽4内に流入する空気流によって計量米収容ケース3a内の米が洗米槽4へと搬送される。このとき、オーバーフロー管25の排水口が、洗米槽4の空気を吸引するための吸引口を兼ねることとなる。
【0035】
また、空気流発生装置41により吸引された洗米槽4内の空気は、空気流発生装置41の内部を通じて排気ダクト60に流入し、該排気ダクト60により排気装置61まで導かれた後、該排気装置61を通じて機外に排出されることとなる。
上記第2実施形態においては、空気流発生装置41により吸引された洗米槽4内の空気は、米を吸引するために該米に付着している糠等ばかりでなく洗米槽4からの空気であるために水分を含んでいるが、排気装置61を通じて排出されることによって該排気装置61のフィルタ64を通過するので、該フィルタ64によって糠等や水分が取り除かれることとなる。これにより、排気装置61からは清浄な空気が排出されることとなる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、排気装置61の空気排出部75の上端部を下端部よりも前方に膨出させることにより、該空気排出部75を全体に亘って傾斜状に形成することも可能であり、これとは逆に空気排出部75の下端部を上端部よりも前方に膨出させて空気排出部75を全体に亘って傾斜状とすることも可能である。
また、空気排出部75を複数段状に形成することにより、排気口62を有する傾斜部76を複数段に亘って形成する構成も採用可能である。
【0037】
また、空気流発生装置41を作業台5の下方に配備し、該空気流発生装置41と貯米庫2又は洗米槽4をダクト部材によって接続する構成を採用する場合にも、本実施の形態と同様の効果を奏する。
また、空気流発生装置41に排気装置61を取り付ける構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の洗米機の一部を断面として示す斜視図である。
【図2】洗米機の下部の正面図である。
【図3】排気装置のフィルタ及びフィルタ取付部を外した状態を示す正面図である。
【図4】洗米機の下部の背面図である。
【図5】排気装置の断面側面図である。
【図6】洗米機の上部の側面図である。
【図7】洗米機の斜視図である。
【図8】内釜及び蓋を取り外して示す洗米機の斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態の洗米機の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 洗米機
2 貯米庫
3 計量機
4 洗米槽
5 作業台
40 機枠
41 空気流発生装置
60 排気ダクト
61 排気装置
62 排気口
63 ケーシング
64 フィルタ
64a 上フィルタ
64b 下フィルタ
65 前室ケース
66 排気室ケース
67 立板
73 連通口
75 空気排出部
76a 傾斜部
76b 傾斜部
77 フィルタ保持部
77a 上フィルタ保持部
77b 下フィルタ保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米備蓄庫(F)と、該米備蓄庫(F)に接続された貯米庫(2)と、該貯米庫(2)から供給される米を洗う洗米槽(4)と、貯米庫(2)内の空気を吸引して米備蓄庫(F)から貯米庫(2)に米を流入する空気流を形成する空気流発生装置(41)とを備えている洗米機において、
前記洗米槽(4)よりも下方に、前記空気流発生装置(41)により吸引した貯米庫(2)内の空気を排出する排気装置(61)を備え、該排気装置(61)は、前記空気流発生装置(41)に接続されると共に排気口(62)を備えるケーシング(63)と、該排気口(62)を覆うフィルタ(64)とを備えていることを特徴とする洗米機。
【請求項2】
米を一時的に収容しておく貯米庫(2)と、該貯米庫(2)から供給される米を洗う洗米槽(4)とを備え、洗米槽(4)内の空気を吸引して貯米庫(2)から洗米槽(4)に米を流入する空気流を形成する空気流発生装置(41)とを備えている洗米機において、
前記洗米槽(4)よりも下方に、前記空気流発生装置(41)により吸引した洗米槽(4)内の空気を排出する排気装置(61)を備え、該排気装置(61)は、前記空気流発生装置(41)に接続されると共に排気口(62)を備えるケーシング(63)と、該排気口(62)を覆うフィルタ(64)とを備えていることを特徴とする洗米機。
【請求項3】
前記排気口(62)はケーシング(63)に設けられた傾斜状の空気排出部(75)に開設され、該空気排出部(75)には、前記フィルタ(64)を上側から上下方向に抜き差し可能にするフィルタ保持部(77)が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗米機。
【請求項4】
前記空気排出部(75)は上下方向中央部を上下端部よりも膨出させて上下に傾斜部(76a、76b)を有する断面く字状に形成され、フィルタ(64)は、上側の傾斜部(76a)に形成された排気口(62)を覆う上フィルタ(64a)と、下側の傾斜部(76b)に形成された排気口(62)を覆う下フィルタ(64b)とを備え、フィルタ保持部(77)は、上フィルタ(64a)を保持する上フィルタ保持部(77a)と下フィルタ(64b)を保持する下フィルタ保持部(77a)とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の洗米機。
【請求項5】
前記ケーシング(63)は、前記空気流発生装置(41)から延びるダクト(60)に接続された前室ケース(65)と、該前室ケース(65)よりも大きい容積を有すると共に前記空気排出部(75)を有する排気室ケース(66)とを連通して形成され、前室ケース(65)は、前記ダクト(60)よりも大きい断面積を有し、排気室ケース(66)は、前記ダクト(60)の断面積よりも大きい面積を有する連通口(73)を介して前室ケース(65)に連通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の洗米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−43887(P2008−43887A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222648(P2006−222648)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】