説明

洗車機

【課題】本発明は、利用者のカードを利用して洗車時に設定された洗車情報を確実に確認でき、被洗浄車両の破損等のトラブルの原因が洗車機の不具合によるのか、あるいは利用者の洗車情報の設定ミスかを判断できる洗車機を提供することを目的とする。
【解決手段】リモートパネルから洗車コース、車両のタイプ・装備品の洗車情報が設定される毎に、ドライバ(利用者)の洗車カード57に、前記洗車情報を記憶し、洗車カード57の印字面56に、設定日時と洗車情報を上書きで印字する。これにより、前記洗車情報に基づいて洗車動作が実行され車両にトラブルが発生したとき、利用者の洗車カード57に記憶・印字された洗車情報(少なくとも装備品の情報)を確認することにより、トラブルの原因が、洗車機自体の不具合によるのか、あるいはドライバの設定ミスによるのかを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばSS(サービス・ステーション;給油所)に設置され、洗車に使用される洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗車機の一例が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されている洗車機は、利用者(被洗浄車両のドライバ等)が操作パネルを操作して洗車情報(実行する洗車コース、被洗浄車両のタイプと装備品の情報)を入力し、その洗車情報に応じて洗車装置(洗浄ブラシや乾燥ノズル等)が駆動され被洗浄車両の洗車が実行されるセルフ洗車機であり、SSは、前記利用者に対して利用者の被洗浄車両のタイプ(車種)と装備品の情報を記憶したカード(磁気カード)を渡すようにされている。また前記操作パネルに前記カードのカード・リーダを設け、利用者は、このカード・リーダを使用して前記カードより被洗浄車両のタイプと装備品の情報を入力することにより、誤って利用者が被洗浄車両のタイプまたは装備品の情報を入力したこと、あるいは入力し忘れたことが原因となって、洗車装置により被洗浄車両が破損されることを防止している。
【特許文献1】特開平10−129431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の洗車機、特にセルフ洗車機において、被洗浄車両の破損等のトラブルが発生した場合、利用者からのクレームがでる。このとき、被洗浄車両のトラブルの原因が洗車機の不具合によるのか、あるいは利用者の洗車情報の設定ミス(自己責任)によるのか、判断できない場合があり、また実際に利用者のカードが使用されたかどうかも把握できないために、SSは利用者からのクレームについて有効に対処できない恐れがあった。
【0004】
そこで本発明は、利用者のカードを利用して、洗車時に設定された洗車情報を確実に確認でき、被洗浄車両の破損等のトラブルの原因が、洗車機の不具合によるのか、あるいは利用者の洗車情報の設定ミスかを判断できる洗車機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の各種の洗車動作を、設定された前記被洗浄車両の装備品の情報を含む洗車情報に基づいて行い、洗車機の利用者は、洗車の際に、各種データを記憶可能な洗車カードを使用する洗車機であって、
前記利用者の洗車カードに対して、データの読取、および記憶が可能なカード装置を備え、前記カード装置は、前記洗車情報が設定される毎に、前記洗車カードに、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を記憶することを特徴とするものである。
【0006】
上記構成によれば、利用者の洗車カードに、洗車情報が設定される毎に、その設定日時と洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が記憶され、よって前記洗車情報に基づいて洗車動作が実行され被洗浄車両にトラブルが発生したとき、利用者の洗車カードに記憶された少なくとも装備品の情報を確認することにより、そのトラブルの原因が、洗車機自体の不具合によるのか、あるいは利用者の設定ミスによるのかを判断できる。このとき利用者の洗車カードが使用されることにより、SS側で洗車情報が改ざんされてトラブルの原因が消去されてしまうかもしれないという利用者の懸念・不信感を払拭でき、利用者の信頼の元で原因が判断される。
【0007】
また請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明であって、前記洗車情報を設定する操作パネルと、前記操作パネルにより設定された洗車情報に基づいて前記洗車動作を実行する制御装置を備え、前記制御装置は、前記洗車情報が前記操作パネルにより設定されると、前記洗車情報を記憶するとともに、その設定日時を求め、求めた設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を前記カード装置へ出力することを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、洗車情報が設定される毎に、洗車機の制御装置よりカード装置に、設定日時と、洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が出力され、カード装置により、利用者の洗車カードに、設定日時と洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が記憶される。よって、洗車機の制御装置に記憶された洗車情報が万一、失われても、洗車カードに、設定日時が明確な、洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が残される。
【0009】
また請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記洗車カードを、複数回印字の書き換えが可能とされた印字面を有するリライトカードで形成し、前記カード装置は、前記洗車情報が設定される毎に、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を記憶するとともに、前記印字面に、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を上書きで印字することを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、洗車情報が設定される毎に、カード装置により利用者の洗車カード(リライトカード)の印字面に、設定日時と洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が上書きで印字される。よって、常に最新の洗車情報が、利用者の洗車カードの印字面に印字され、したがって被洗浄車両にトラブルが発生したとき、利用者もSS側も共に最新の印字面の情報により、トラブルの原因が、洗車機自体のトラブルによるのか、あるいは利用者の設定ミスによるのかを判断できる。
【0011】
また請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明であって、前記洗車カードは、プリペイドカード機能を備え、前記カード装置は、前記洗車情報による洗車動作の料金を差し引いた残高を、前記印字面に印字することを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、利用可能な残高が、洗車カード(リライトカード)の印字面に印刷され、利用者は残高に合わせて洗車コースを選択できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗車機は、利用者の洗車カードに、洗車情報が設定される毎に、その設定日時と洗車情報のうち少なくとも装備品の情報が記憶されることにより、前記洗車情報に基づいて洗車動作が実行され被洗浄車両にトラブルが発生したときに、利用者の洗車カードに記憶された少なくとも装備品の情報を確認することによって、トラブルの原因が、洗車機自体の不具合によるのか、あるいは利用者の設定ミスによるのかを確実に判断でき、このとき利用者の洗車カードが使用されることにより、SS側で洗車情報が改ざんされてトラブルの原因が消去されてしまうかもしれないという利用者の懸念・不信感を払拭でき、利用者の信頼の元で前記トラブルの原因を判断できる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3に洗車機の概略外観図、図4に同洗車機の操作パネルの正面図を示す。
図3において、11は、床面に敷設された左右一対のレール12に支持案内されて前後方向Xに往復移動自在な洗車機本体であり、その往復移動は走行駆動装置13により行われる。また、洗車機本体11は、正面視において門型をしており、その内部には、被洗浄車両である車両14をブラッシングする洗浄装置16(図2)と、空気を噴出して車両14を乾燥する乾燥装置17(図2)と、洗浄水あるいは洗剤あるいはコーティング剤を車両14に噴霧するスプレー装置18(図2)が備えられ、さらにレール12に沿って配置された被検出体(図示せず)を検出することにより、洗車機本体11がレール12の始端位置のホームポジションHP(原点)に位置することを検出するリミットスイッチからなるホームポジション検出スイッチ20と、洗車機本体11がレール12の終端位置のエンドポジションEP(終点)に位置することを検出するリミットスイッチからなるエンドポジション検出スイッチ21が備えられている。
【0015】
また、レール12に沿ってその内側に、洗車機本体11内を貫いて、洗車機本体11の前後方向Xとは直角な左右方向Yに一対のローラコンベヤ25が敷設されている。これら一対のローラコンベヤ25の左右方向Yの間隔は、車両14の左右の車輪14Aの間隔とされ、各ローラコンベヤ25の左右方向Yの幅は、車両14の車輪14Aの幅に余裕を持たせた幅とされている。またこのローラコンベヤ25の正逆駆動は作動装置26により行われる。また一方のローラコンベヤ25に、車両14が所定の洗車開始時の車両停止位置に載ったことを、前記車両14の車輪14Aの検出により判断する車載検出スイッチ27が設けられている。
【0016】
また洗車機本体11の前端には、ローラコンベヤ25上に進入した車両14を前記所定の洗車開始時の車両停止位置に停止させるための表示板28が設けられている。この表示板28には、表面にストップの文字が記載され、水平な姿勢と、この水平な姿勢とは直角な姿勢(垂直な姿勢)と間で略90゜回転自在な構成とされ、洗車の開始前に、水平な姿勢に降ろされて車両停止位置を示し、洗車が開始されるとき、垂直な姿勢とされて洗車機本体11内に格納される。
【0017】
また前記レール12の始端位置の後方には、車両14の運転席から視認可能な位置に、退場誘導灯33が設けられ、この退場誘導灯33に従い洗車機本体11の後方を退場する車両14の通路に、車両14の通過を検出する一対の光電スイッチからなる車両退場検出スイッチ34が設けられている。
【0018】
前記ローラコンベヤ25の前端部の前方には、車両14の進入を阻止する遮断器36が設けられ、さらに遮断器36の前方に、洗車機への車両14の進入通路(移動径路)Sが設けられ、遮断器36の前側上方に、進入通路Sへの車両14の進入を検出する超音波センサからなる車両検出センサ37が設けられ、進入通路Sに面してその側方に操作ボックス38が設けられている。
【0019】
この操作ボックス38は、床面に固定された支持脚39と、この支持脚39の上端に設けられる、車両14のドライバに操作されるリモートパネル(操作パネルの一例)40により構成されている。このリモートパネル40は車両14の運転席より操作できるように進入通路Sに面している。
【0020】
また正面から見て前記洗車機本体11の右側の縦枠部の前面には、メンテナンス用パネル41が設けられ、このメンテナンス用パネル41の裏面側には、本体制御装置(操作パネルにより設定された洗車情報に基づいて洗車動作を実行する制御装置の一例)42が設けられている。
【0021】
前記リモートパネル40には、図4に示すように、その左半分に自動洗車データを入力する操作・選択スイッチ群45として、水洗い洗車コース、ワックス洗車コース、コーティング洗車コースの3つの洗車コース中から1つを選択する洗車コース設定キー46、車両14のタイプを選択するタイプ設定キー47、車両14に特殊な装備品が取付けてあるときその装備品を設定する装備品設定キー48、洗車の設定を確認し洗車開始を入力する確認キー49、および後述する洗車カードによる料金の支払いができないときに操作する精算キー50が設けられ、またその右下半分には、紙幣投入口51、コイン投入口52、コイン返却口53などを有し、現金による洗車料金の払い込みに使用される料金装置54が設けられ、またその右上半分には、車両14のドライバ(車両の利用者の一例)に渡される洗車カード57用のカード装置(リライトカードリーダライタ)58が設けられている。
【0022】
前記洗車カード57は、図1に示すように、複数回印字の書き換えが可能とされた印字面56をその一面側に有し、その反対面に磁気により各種のデータを記憶(書込み)可能とされたリライトカードからなり、この洗車カード57には、磁気データとして、後述する、洗車機に設定された洗車動作(洗車コース)の料金の支払いに使用されるプリペイド情報(残高)、前回実行した利用日時および洗車情報(洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報)が記憶され、印字面56には、プリペイド情報(残高)a、キャンペーン情報などのメッセージ情報b、前回実行した利用日時、洗車情報(洗車コース、車両14のタイプと装備品の情報)cが印字される。このように洗車カード57にはプリペイドカード機能を備えられている。なお、ドライバは、SSにお金を支払うことにより、プリペイド情報(残高)を増すこと(補充すること)ができる。
【0023】
前記カード装置58は、洗車カード57が挿入可能とされ、この洗車カード57に対してデータの読取、記憶、および印字面56への情報の印字が可能とされ、図4に示すように、表面には、洗車カード57のスロット58Aの他に、カード装置58より洗車カード57を強制的に排出させる際に操作される排出ボタン59と、各種メッセージをユーザーに告知する表示部60が設けられている。
【0024】
前記本体制御装置42とカード装置58の構成図を図2に示す。
図2に示すように、本体制御装置42は、本体制御部61と、カード装置58との間のデータの送受信に使用される通信部62により構成され、本体制御部61に、リモートパネル40の操作・選択スイッチ群45と料金装置54と、上記ホームポジション検出スイッチ20、エンドポジション検出スイッチ21、車載検出スイッチ27、車両14の車高センサや車幅センサ(図示せず)などからなるセンサ部31と、上記走行駆動装置13、洗浄装置16、乾燥装置17、スプレー装置18、ローラコンベヤ25の作動装置26、表示板28、遮断器36などからなる駆動部32とが接続され、さらに通信部62が接続されている。
【0025】
本体制御部61は、時計機能を有し、リモートパネル40の操作・選択スイッチ群45と料金装置54などからの各種信号、および前記センサ部31からのセンサ信号に応じて、前記駆動部32を駆動し、洗車機本体11およびローラコンベヤ25の動作を制御する(詳細は後述する)。
【0026】
またカード装置58には、挿入された洗車カード57を排出させる機能を有するリライトカードリーダライタユニット66が設けられ、このリライトカードリーダライタユニット66の内部に、洗車カード57に磁気により所定のデータの記憶および読み出しを行う洗車カード磁気記憶読み出し部67と、前記印字面56への印字および消去を発熱により実施する印字部68とが設けられている。
【0027】
またカード装置58には、通信ケーブル71を介してデータの送受信を行う通信部72と、洗車カード57から読み出した情報や各種設定データや通信部72を介して入力したデータ等を記憶するメモリ73と、排出ボタン59、リライトカードリーダライタユニット66、表示部60、通信部72およびメモリ73に接続されこれら各部の制御を実施する制御部75が設けられている。
[洗車動作時の洗車カードの使用とデータ更新、メモリカードのデータ更新]
以下、洗車動作時のカード装置58の動作を、洗車機(本体制御装置42の本体制御部61)およびSSスタッフの動作とともに図5および図6のフローチャートにしたがって説明する。なお、洗車設備の洗車に伴う料金の支払いに洗車カード57を使用するものとする。
【0028】
車両14のドライバは、車両14を遮断器36の前へ停止し、洗車カード57をカード装置58に挿入する。
カード装置58の洗車カード磁気記憶読み出し部67は洗車カード57の挿入を確認すると(ステップ−a1)、洗車カード57に磁気データとして記憶されているプリペイド情報と前回実行した情報(利用日時、洗車コース、車両14のタイプと装備品)を読み出して、制御部75へ出力する(ステップ−a2)。なお、この読み出しの際において、印字部53によって洗車カード57の印字面46のプリペイド情報および前記前回実行した情報の消去が実施される。
【0029】
制御部75は、入力した洗車カード57のプリペイド情報と前記前回実行した情報をメモリ73に記憶し(ステップ−a3)、プリペイド情報(残高)を表示部60へ出力して表示させる(ステップ−a4)。
【0030】
ドライバは、続いて操作・選択スイッチ群45を使用して洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報を入力する。
本体制御装置42の本体制御部61は、これら操作・選択スイッチ群45の操作信号により洗車コースとタイプ等を確認すると(ステップ−b1)、入力した洗車コースの料金を求めて、洗車コースおよび求めた洗車コースの料金からなる洗車料金情報を形成して、通信部62、通信ケーブル71、カード装置58の通信部72を介してカード装置58の制御部75へ出力する(ステップ−b2)。
【0031】
制御部75は、前記洗車料金情報を入力すると(ステップ−a5)、この情報をメモリ73へ記憶し(ステップ−a6)、続いて情報の洗車コースの料金の請求と残高を比較して料金の徴収が可能かどうかを判断し(ステップ−a7)、料金の徴収が可能と判断すると、洗車OK信号を通信部72、通信ケーブル71、本体制御装置42の通信部62を介して本体制御部61へ出力する(ステップ−a8)。また料金の徴収が不可能と判断すると、徴収不足信号を同様に本体制御部61へ出力する(ステップ−a9)。
【0032】
本体制御装置42の本体制御部61は、洗車OK信号を入力しているかを確認し(ステップ−b3)、徴収不足信号を入力しているかを確認する(ステップ−b4)。徴収不足信号の入力を確認すると、リモートパネル40の精算キー50のランプを点灯させる(ステップ−b5)。
【0033】
ドライバは、精算キー50のランプの点灯を確認すると、料金不足を認識してこの精算キー50を操作する。
本体制御装置42の本体制御部61は、この精算キー50の操作信号を確認すると(ステップ−b6)、精算信号をカード装置58の制御部75へ出力し(ステップ−b7)、今まで設定した洗車コースなどの情報を全てリセットして(ステップ−b8)、終了する。
【0034】
カード装置58の制御部75は、精算信号を確認すると(ステップ−a10)、メモリ73に記憶していた洗車カード57のプリペイド情報と前回実行した情報(利用日時、洗車コース、車両14のタイプと装備品の情報)をそのまま洗車カード磁気記憶読み出し部67および印字部68へ出力して洗車カード57に元の情報を記憶し、印字面56に元のプリペイド情報と前記前回実行した情報を印字させる(ステップ−a11)。続いて、リライトカードリーダライタユニット66へ洗車カード排出信号を出力して洗車カード57を排出させる(ステップ−a12)。
【0035】
ドライバは、排出された洗車カード57を受け取る。
またステップ−b3において、洗車OK信号の入力を確認すると、リモートパネル40の確認キー49のランプを点灯させる(ステップ−b9)。
【0036】
ドライバは、確認キー49のランプの点灯を確認すると、洗車OKを認識してこの確認キー49を操作する。
本体制御装置42の本体制御部61は、この確認キー49の操作信号を確認すると(ステップ−b10)、時計機能による現在の日時(利用日時に相当する)と先に設定された洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報(洗車情報)を、通信部62、通信ケーブル71、カード装置58の通信部72を介してカード装置58の制御部75へ出力する(ステップ−b11)。
【0037】
制御部75は、利用日時、および洗車情報(洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報)を入力すると(ステップ−a13)、入力したこれら利用日時、および洗車情報を、メモリ73に記憶し(ステップ−a14)、続いて、メモリ73に記憶した上記プリペイド情報から、メモリ73に記憶した上記洗車情報の洗車コースの料金を減算して新たな残高を求め、メモリ73に記憶する(ステップ−a15)。続いて、メモリ73に記憶した、新たな残高、利用日時、および洗車情報を、洗車カード磁気記憶読み出し部67および印字部68へ出力して洗車カード57にこれら情報を記憶し、洗車カード57の印字面56に図1に示すように印字させる(ステップ−a16)。続いて、リライトカードリーダライタユニット66へ洗車カード排出信号を出力して洗車カード57を排出させ(ステップ−a17)、終了する。
【0038】
ドライバは、排出された洗車カード57を受け取り、洗車カード57の印字面56を確認する。
続いて、本体制御部61は、先に設定された洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報に基づいて洗車を実行する(ステップ−b12)。
【0039】
すなわち、車載検出スイッチ27がオフかどうかを確認し(ローラコンベヤ7上の車両4の有無を確認し)、オフのとき、遮断器36を開駆動し、表示板28を水平に降ろして車両停止位置を表示し、ドライバへ車両14のローラコンベヤ25への乗り込みを促す。
【0040】
ドライバは、遮断器36が開くと、車両14を前進させてローラコンベヤ25上へ乗り入れ、表示板28前に停止する。
次に車載検出スイッチ27がオンとなると、表示板28を格納し、続いて遮断器36を閉駆動する。
【0041】
次に、走行駆動装置13により洗車機本体11を前方に駆動し、作動装置26によりローラコンベヤ25を後方に作動させる。これにより、洗車機本体11はレール12に支持案内されてホームポジションHPから前方へ走行移動し、往路における洗浄装置16およびスプレー装置18による所定の洗浄工程を行う。このとき、ローラコンベヤ25は洗車機本体11と逆方向に作動され、車両14は洗車機本体11と逆方向に移動する(相対移動する)ため、洗車の際、洗車機本体11の移動距離を短縮して洗車し得る。
【0042】
そして、エンドポジション検出スイッチ21が動作し、図3に2点鎖線で示すように、洗車機本体11がエンドポジションEPに到達したことを確認すると、走行駆動装置13により洗車機本体11を後方に駆動し、作動装置26によりローラコンベヤ25を前方に作動させる。これにより、洗車機本体11はレール12に支持案内されてエンドポジションEPから後方へ走行移動し、復路における乾燥装置17による所定の乾燥工程を行う。このとき、ローラコンベヤ25は洗車機本体11と逆方向に作動されることから、車両14は逆方向の前方に移動する。
【0043】
そして、設定された洗車コースによっては、上記往路の工程と復路の工程を繰り返す。
そして、最終洗車工程が終了し、洗車機本体11がホームポジションHPに戻ると、洗車機本体11の走行駆動装置13を停止し、ローラコンベヤ25の作動装置26を停止し、退場誘導灯33を点灯し、ドライバに車両14の退場を促す。
【0044】
これにより、洗車機本体11はホームポジションHPで停止し、ローラコンベヤ25が停止し、ドライバは車両14を前進させ、ローラコンベヤ25より下ろして退場させる。車両14の移動(退場)により車両退場検出スイッチ34がオンとなると、退場誘導灯33を消灯し、洗車動作を終了する。
【0045】
洗車動作が終了すると、ステップ−b8を実行して、すなわち今まで設定した洗車コースなどの情報を全てリセットして、終了する。
上記洗車動作時の洗車カード57の使用とデータ更新、印字面56の更新のステップにより、洗車コースおよび車両14のタイプと装備品が設定される毎に、その設定日時と、洗車コースおよび車両14のタイプと装備品の情報が記憶され、印字面56に利用日時、洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報が印字され、またプリペイド情報(残高)が更新され印字される。
【0046】
以上のように本実施の形態によれば、カード装置58によりドライバ(利用者)の洗車カード57に、リモートパネル40から洗車情報(洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報)が設定される毎に、その洗車情報が利用日時とともに記憶されることによって、前記洗車情報に基づいて洗車動作が実行され車両14にトラブルが発生したとき、利用者の洗車カード57に記憶された洗車情報(少なくとも装備品の情報)を確認することにより、その原因が洗車機自体の不具合によるのか、あるいはドライバの設定ミスによるのかを確実に判断することができる。このとき、ドライバ自身の洗車カード57に記憶された洗車情報が使用されることにより、SS側で洗車情報が改ざんされてトラブルの原因が消去されてしまうかもしれないという利用者の懸念・不信感を払拭でき、利用者の信頼の元で事故の原因を判断することができる。
【0047】
また本実施の形態によれば、洗車情報が設定される毎に、カード装置58によりドライバ(利用者)の洗車カード57に、洗車情報とともに設定日時が記憶されることによって、洗車機本体11の本体制御装置42に記憶された洗車情報が万一、失われても、洗車カード57に、設定時間が明確とされた洗車情報を残すことができる。
【0048】
また本実施の形態によれば、洗車情報が設定される毎に、カード装置58により利用者の洗車カード(リライトカード)57の印字面56に、設定日時と洗車情報が上書きで印字され、常に最新の前回の洗車情報が、利用者の洗車カード57の印字面56に印字されることによって、車両14にトラブルが発生したとき、利用者もSS側も共に、最新の印字面56の情報により、トラブルの原因が、洗車機自体の不具合によるのか、あるいは利用者の設定ミスによるのかを確実に判断することができる。
【0049】
また本実施の形態によれば、洗車カード57はプリペイドカード機能を備え、利用可能な残高が、洗車カード(リライトカード)57の印字面56に印刷されることにより、利用者は残高を確認でき、この残高に応じて可能な洗車コースを選択することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、洗車カード57に洗車情報を記憶し、印字面56に印字させているが、少なくとも設定された装備品の情報を記憶、印字するようにしてもよい。何故なら、車両14のトラブルは、ミラー等の装備品の損傷のトラブルが大半を占めており、少なくとも装備品の情報が記憶され、印字されているとトラブルの原因を判断することができるからである。
【0051】
また本実施の形態では、洗車機本体11を前後方向Xに走行させ、かつ車両14をローラコンベヤ25により前後方向Xに移動させることにより、車両14と洗車機本体11を前後方向に相対移動させているが、車両14を移動させず、洗車機本体11のみを前後方向Xに走行させることにより、車両14と洗車機本体11を前後方向Xに相対移動させてもよく、また洗車機本体11を固定し、ローラコンベヤ25のみを前後方向Xに移動させることにより、車両14と洗車機本体11を前後方向Xに相対移動させるようにしてもよい。
【0052】
また本実施の形態では、前回の洗車情報として、利用日時、洗車コース、車両14のタイプ・装備品の情報を記憶し印字しているが、さらにリモートパネル40において、オプションとして特殊に制御を選択できるとき、たとえば高圧スプレー洗浄を選択できるとき、選択されたオプションの情報を、新たに洗車カード57に洗車情報として記憶し、印字面56に印字させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態における洗車機において使用される洗車カードの正面図である。
【図2】同洗車機の制御構成図である。
【図3】同洗車機の概略斜視図である。
【図4】同洗車機のリモートパネルの正面図である。
【図5】同洗車機におけるカード装置の洗車時の動作を説明するフローチャートである。
【図6】同洗車機における本体制御装置の洗車時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
11 洗車機本体
12 レール
13 走行駆動装置
14 車両
25 ローラコンベヤ
40 リモートパネル
42 本体制御装置
45 操作・選択スイッチ群
54 料金装置
56 印字面
57 洗車カード
58 カード装置(リライトカードリーダライタ)
61 本体制御部
62 通信部
66 リライトカードリーダライタユニット
67 洗車カード磁気記憶読み出し部
68 印字部
71 通信ケーブル
72 通信部
73 メモリ
75 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の各種の洗車動作を、設定された前記被洗浄車両の装備品の情報を含む洗車情報に基づいて行い、洗車機の利用者は、洗車の際に、各種データを記憶可能な洗車カードを使用する洗車機であって、
前記利用者の洗車カードに対して、データの読取、および記憶が可能なカード装置を備え、
前記カード装置は、前記洗車情報が設定される毎に、前記洗車カードに、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を記憶すること
を特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記洗車情報を設定する操作パネルと、
前記操作パネルにより設定された洗車情報に基づいて前記洗車動作を実行する制御装置
を備え、
前記制御装置は、前記洗車情報が前記操作パネルにより設定されると、前記洗車情報を記憶するとともに、その設定日時を求め、求めた設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を前記カード装置へ出力すること
を特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記洗車カードを、複数回印字の書き換えが可能とされた印字面を有するリライトカードで形成し、
前記カード装置は、前記洗車情報が設定される毎に、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を記憶するとともに、前記印字面に、その設定日時と、前記洗車情報のうち少なくとも装備品の情報を上書きで印字すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記洗車カードは、プリペイドカード機能を備え、
前記カード装置は、前記洗車情報による洗車動作の料金を差し引いた残高を、前記印字面に印字すること
を特徴とする請求項3に記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6084(P2010−6084A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163909(P2008−163909)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】