説明

活性分子を放出するためのシリコーン材料

【課題】活性分子を放出するためのシリコーン材料の提供。
【解決手段】本発明は、好ましくは接着剤、シリコーン材料によって生成された、化粧品用途またはパーソナルケアための活性分子または製薬用途ための薬剤的または生物学的活性分子を放出するシリコーン材料、好ましくは接着材料に関し、取り込まれる分子および適合剤があり、活性分子が可溶性であり、該適合剤が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、分枝鎖のパラフィン、有機官能性シリコーン、あるいは4、5、6または7Dシロキシル単位の環状鎖からなるシリコーンオイルから選択される。本発明はまたそうした材料を取り込むか、材料からなる物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そこに取り込まれる活性分子の放出を可能にするシリコーン材料に関する。本発明は、特に製薬、化粧品およびパーソナルケア分野で使用されてもよい活性分子の放出に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬および化粧品分野において、これらの材料は、パッチ(patch)として一般的に公知であり、そして経皮的に活性分子を配達し、または皮膚疾患を処置するために、皮膚に適用されることを目的とする。
【0003】
シリコーンパッチが記載された。これらの記載は、接着剤のフィルム、活性分子を取り囲むシリコーンゲルによって形成されることを特定する。シリコーンゲルは、皮膚に刺激的でない生体適合性接着剤である。
【0004】
仏国特許発明第2618337号明細書は、ラミネート加工したシリコーンエラストマーフィルムと連携するシリコーンゲル層を含む包帯を記載する。ゲルおよびエラストマーの処方は、重付加処方である。包帯は活性分子を含むことができる。
【0005】
仏国特許発明第2735024号明細書も、シリコーンパッチについて記載する。ゲルは、理論的に0.01〜30%の活性分子を含むことができる。しかし、含有量は、例中では数パーセントに限られる。さらに、Si(CH−CH−CH−Si(CH−架橋を有するポリジメチルシロキサン単位からなるゲルは、この文献中の場合と同様に、非常に限定された溶解力を有し、そしてこれが取り込むことができる活性分子の含有量を必ず制限することは公知である。請求項の範囲のより上の含有量(20%超または10%超さえ)は、実際には満足な状態下で得ることができない。この特許中に記載されたゲルは、その名前が示すように、低拡散速度を有する活性分子の通過を促進することを目的とする皮膚での移送促進剤も含むことができる。組織透過性を促進するために公知であるエチレングリコールモノエチルエーテル等の溶媒の存在可能性についても言及する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この分野は、活性分子を取り込むことの困難性を示す。効果的な適用のための充分な含有量は、特に周囲温度で固体である活性分子またはシリコーンゲルの処方中で低溶解度を有する活性分子の場合には、達成が困難であることが証明された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明の目的は、効果的および目的の用途に使用可能である含有量の活性分子を取り込むことができる、すなわち材料が、目的の用途と適合する量の活性分子を取り込むことができ、そして特に目的とする組織または皮膚との接触でこの活性分子を放出できるような、新材料を提案することである。
【0008】
さらに本発明の目的は、接着剤であるそうした材料を提供することである。
したがって本発明は、シリコーン材料、好ましくは接着剤によって生成される化粧品用途またはパーソナルケアための活性分子または製薬用途ための薬剤的もしくは生物学的活性分子を放出するシリコーン材料、好ましくは接着剤に関し、取り込まれた分子および適合剤があり、該活性分子が可溶性であり、該適合剤が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、分枝鎖のパラフィン、有機官能性シリコーン、あるいは式の4、5、6または7Dシロキシル単位の環状鎖からなるシリコーンオイルから選択される:
(R)SiO2/2
【0009】
ここで、同一であるかまたは異なる記号Rは、各々が直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基、好ましくはメチルまたはアリールまたは6〜8炭素原子を有するアルキルアリール基、好ましくはフェニルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
“有機官能性シリコーン”の語は、いくつかのケイ素原子がポリエーテル、パラフィン、エステル、アルコールなど等の(ポリジメチルシロキサンの場合はメチル基の代わりの)有機基を有する、シリコーンオイル、好ましくはポリジメチルシロキサンをいい、これらの基の分布は、ランダムまたは統計的またはブロックもしくはくし形の共重合体構造に相当することができる。例は、ポリジメチルシロキサン/ポリエーテルくし形またはブロック共重合体タイプのコポリオールを含む。これらの有機官能性シリコーンは、シリコーン材料中で可溶性であるものである。
【0011】
適合剤は、種々の役割を果たし、そして特定の特性を有する。それは、薬剤的にまたは化粧品的に受け入れられており、すなわち、かなりの毒性を引き起こすことなく、皮膚との接触に使用可能である。実質的な比率で活性成分を溶解し、そして過去に放出されたより多い量の活性材料を可能とする濃度勾配を生成することができる。実際、可溶化された活性分子濃度は、この活性分子の動的な放出をコントロールする重要な役割を担う。適合剤は、シリコーン材料のシリコーン成分と混和して、材料中に取り込まれる全量の活性成分の最適な分散体を可能とする。それは、材料の形成の元である架橋結合反応とは干渉しない。とは言っても、材料の架橋結合後は、活性分子が材料を通ってそして超えて拡散し、そして例えば、皮膚、組織、粘膜などとの接触によって配達することを可能にする。
【0012】
取り込まれる活性分子の量は、有利なことに、適合剤の可溶化容量を超えることができ、活性分子は、部分的に可溶化された状態で、および(液体分散体、例えば液滴、または固体分散体、例えばパウダー)中に部分的に分散した状態で存在する。濃度勾配は材料を通して確立し、皮膚またはその同類のものと接触する区域に向かって、可溶化された部分が消費されるにつれて、分散した部分が徐々に可溶化されることは知られていることである。分散した形は、活性分子の容器として作用する。
【0013】
したがって、本発明は、適合剤の使用により、およびさらに適当な場合、活性分子容器の存在により、過去より多く配達可能である活性分子含有量の取り込みを可能にする。
【0014】
最大の濃度は、材料中および特に適合剤中での活性分子の溶解度の程度の関数として、並びにこの試薬の含有量の関数として変化するであろう。
【0015】
適合剤含有量は、全組成物に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%であってもよい。
【0016】
可溶化された活性材料の濃度は、有利なことに、適合剤の不存在下で可溶化することができるであろう最大濃度の少なくとも1.5倍である。好ましくは少なくとも2倍超、そしてさらによくは少なくとも2.5または3倍超である。適合剤含有量は、可溶化された活性分子の量がこの規定に対応する数量に調整されてもよい。
【0017】
しかし、特定の事例では、本願中で下記に記載されるように、ポケットまたはその同類のものの中に材料を入れることが、望ましいまたは有用であることが可能なことを知った上で、活性分子および適合剤の全含有量は、所望の機械的な特性を有するシリコーン材料の架橋による形成を可能とする制限内に止まらなければならない。この全含有量は、全組成物の75重量%までであってもよい。さらに一般的には、全含有量は、50重量%までであってもよい。
【0018】
シリコーン材料中に可溶化された活性分子の濃度が、材料の全重量に基づく5重量%以上であってもよいことが明確にされてもよい。それは、材料(特に35、40または50重量%まで)の全重量に基づいて、好ましくは10重量%以上、そしてまたさらに好ましくは15、20、25または30重量%以上である。
【0019】
活性分子の全(可溶化されたおよび分散した)含有量は、材料の全重量に基づいて5〜60%、好ましくは10〜40または50重量%、あるいは10〜30重量%であってもよい。
【0020】
活性成分は、適合剤と混合されてもよく、そして混合物が、シリコーン材料を生成する組成物またはそれらのシリコーン成分の1つに導入されてもよい。
【0021】
変化形で、シリコーン材料を生成する組成物および適合剤を混合し、そして活性分子が加えられ、そして混合される。
明らかに、材料は、複数の活性分子を取り込んでもよい。
【0022】
適合剤中で可溶性である化粧品活性成分が、特に、抗酸化剤(ラジカル作用)、ビタミン、保湿剤、アミノ酸、ポリ不飽和脂肪酸の豊富な植物油、植物ステロール、非けん化性物、セラミド、UVフィルター、植物抽出物、α−ヒドロキシ酸および有機顔料等の添加物から選択されてもよい。
【0023】
本発明に従う材料中に潜在的に取り込まれることができる、適合剤中に可溶性の薬用活性成分の例は、特に、抗細菌性剤、抗真菌剤、抗座瘡剤、鎮静剤および精神安定剤、抗不安薬、ホルモン、男性ホルモンステロイド、エストロゲンステロイド、プロゲステロンステロイド、鎮痛剤、血糖降下剤、抗けいれん剤、βブロッカー、非ステロイド抗炎症剤、抗骨粗しょう症剤、皮膚の漂白剤、血管拡張、抗高血圧、抗パーキンソン病、抗片頭痛剤、抗癌剤およびビタミン等の栄養源摂取、必須アミノ酸および必須脂肪酸を含む。皮膚の適用が特に望ましい。
【0024】
さらに例は、ローディア(Rhodia)社によって供給されるメントールおよびメチルジイソプロピルプロピオンアミド(WS−23(商標))等のパーソナルケアまたは身体の健康、例えばさわやかなおよび/又は脱臭またはデオドラント作用で有利な効果を有する化合物を含む。
【0025】
シリコーン材料は、ゲルまたはエラストマーであってもよい。この材料は、ヒドロシリル化触媒の存在下で、アルケニルシロキシ単位を有するポリ有機シロキサンと、水素化シロキシ単位を有するポリ有機シロキサンとの間のヒドロシリル化反応(重付加)によって得られる。架橋結合は、一般的に50℃未満の冷却または低温で行われ、活性分子の完全性が守られることを可能にする。
【0026】
関係するシリコーン材料は、2〜6炭素原子を含む反応性アルケニル基、好ましくはケイ素に結合したビニルを有するポリ有機シロキサン、ケイ素に結合した水素原子を有するポリ有機シロキサン、および白金触媒を含む混合物中で基本的に起こるヒドロシリル化反応の生成物から通常なる。
【0027】
ゲル処方:米国特許第4072635号明細書、欧州特許第69451号明細書、欧州特許第322118号明細書、欧州特許第532362号明細書、欧州特許第737721号明細書を含む種々の文献中に記載されてきた。
ゲルは、一般的に標準DIN ISO 2137で150〜350×1/10mmの範囲の貫通値に特徴がある。
【0028】
本発明が関係するエラストマーは、標準DIN53505で、約5〜約30のショアA硬度を有する冷加硫可能エラストマー(RTV)、および約15〜約40のショア00硬度を有するものである。当業者は、このタイプの組成物に完全に精通している。
【0029】
本発明を実施するために好適なものは、以下を含むゲル組成物である:
(I)以下を含む少なくとも1種のポリ有機シロキサンPOS(I):
a)次式のM−タイプ末端シロキシル単位:
(R)(アルケニル)SiO1/2
ここで同一かまたは相違するR基は、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基および/又は置換または非置換アリールであり、該アルケニル基が好ましくは2〜6炭素原子を有し、そしてさらに好ましくはビニルである;
b)同一かまたは相違するD−タイプシロキシル単位
(RSiO2/2
ここでRはRと同じ定義である、
【0030】
(II)以下を含む少なくとも1種のポリ有機シロキサンPOS(II):
a)次式のM−タイプ末端シロキシル単位:
(H)(RSiO1/2
ここで、RはRと同一の定義を有し、sは1、2および3の値から選択され、そして
s+tの合計は3に等しい、
b)次式の、同一または相違するD−タイプシロキシル単位:
(H)(RSiO2/2
ここでRはRと同一の定義を有し、uは0および1の値から選択され、vは、1および2の値から選択され、そしてu+vの合計は2に等しく;
POS(II)の少なくとも一つのD単位が、水素原子(u=1、v=1)の担体であり、そしてs+uの合計が2以上である条件を有する;
【0031】
(III)“増量剤”としての資格がある、以下を含む、任意選択的に少なくとも1種のポリ有機シロキサンPOS(III):
a)次式のD−タイプシロキシル単位:
(RSiO2/2
ここでRはRと同一の定義を有し;
b)次式のM−タイプ末端シロキシル単位:
(H)(RSiO1/2
ここでRはRと同一の定義を有し、wは、1、2および3の値から選択され、xは、0、1および2の値から選択され、そして、
w+xの合計が3に等しい;
【0032】
(IV)特にPOS(I)ための希釈剤として使用されてもよく、
そして以下を含む、任意選択的に少なくとも1種のポリ有機シロキサンPOS(IV)、
次式のM−タイプ末端シロキシル単位:
(RSiO1/2
および次式のD−タイプシロキシル単位:
(RSiO2/2
ここで同一または相違するR、Rは、Rと同一の定義を有する;
【0033】
(V)効果的な量の、好ましくは白金タイプのヒドロシリル化触媒(V)。
ポリ有機シロキサンPOS(I)、POS(II)およびPOS(III)の比率は、架橋結合工程中にゲルを得るためにそれ自体公知であるとして選択される。
【0034】
実際には、POS(I)の最も直ちに使用される形は、ポリジメチルシロキサンα、ω−(ジメチルビニルシロキシ)である。POS(I)のそうした形は、商業的に入手可能(例えば、ローディア社のロドーシル(RHODORSIL:商標)620V)である。
POS(II)は、鎖中に分散されたおよび/又は鎖の末端にある(u=1または2)H−Si単位を含んでもよい。好ましくは、これらの単位は、鎖中および鎖末端の両方に位置する。
【0035】
POS(II)のD単位ために上記に与えられた式のuおよびvの組み合わせによって許されるほど多くのものを除外しないが、好ましくはPOS(II)の形で2つの異なるタイプのD単位がある。
【0036】
POS(II)の例は、以下を含む:
ポリ(ジメチルシロキシ)(シロキシメチル水素)α、ω(ジメチル水素化シロキシ)。
POS(II)のこれらの形は、例えば、ローディア社からのロドーシル(商標)626V300H1.7等の市販されている製品であり、そしてそれらの構造およびそれらの合成に関する技術上の文献中に広く開示されてきた。
【0037】
増量剤(III)は、有利なことにその末端シロキシル単位M上だけにH−Si単位を有するポリ有機シロキサン(POS)である。その粘度は、例えばPOS(II)の粘度と同じ程度で、好ましくはPOS(I)の粘度よりはるかに低い。
【0038】
POS(III)の実際例は、以下を含む:
ポリ(ジメチルシロキシ)α、ω(ジメチル水素化シロキシ)。
本発明の組成物中に使用できるPOS(III)の構造および調製ための方法は、以前の技術文献によって広く具体的に説明される。POS(III)として使用可能な市販されている製品の例は、ローディア社からのロドーシル(商標)620H2を含む。
【0039】
本発明の任意選択的、しかしとは言っても好都合の条件に従って、POS(I)は、置換基RおよびRが好ましくはPOS(I)の置換基RおよびRと同じタイプであるMおよびD単位を含むPOS(IV)を使用して希釈される。さらに好ましくは、R=R=R=R=CHである。例えば、このPOS(IV)は、ポリジメチルシロキサンα、ω(トリメチルシロキシ)オイルからなる。このタイプのPOSは、容易に商業的に入手可能である、例えば、ロドーシル(商標)47V100の名称でローディア社から販売されている製品である。希釈剤POS(IV)は、明らかにPOS(I)の性質の関数として選択され、そしてPOS(IV)は、定義によりPOS(I)より低粘度であることが明らかである。従って、本発明の好ましい特徴に従って、組成物は、少なくとも基本的に直鎖構造およびPOS(I)より高くない動粘度、POS(I)の粘度より好ましくは少なくとも20倍高くない、そしてさらに好ましくは5倍までも高くない動粘度を有するPOS(IV)を含む。
【0040】
明らかに、組成物のそれぞれのPOS(I)〜(III)中に存在するアルケニルおよびH−Si基の比率は重要である。限定されない具体的な説明を以下に与える:
−POS(I):Viは、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜1重量%の比率、およびさらに好ましくは約0.1重量%の比率でも存在する;
−POS(II):H−Siは、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%の比率、そしてさらに好ましくは約0.7重量%の比率でも存在する;
−POS(III):H−Siは、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜1重量%の比率、そしてさらに好ましくは約0.2重量%の比率でも存在する。
【0041】
触媒(V)は、本発明に従う組成物のもう一つの重要な要素である。好ましくは白金の有機金属性錯体あるいは白金ベースの触媒の一つは、伝統的にSiH基とSiVi基と間のヒドロシリル化反応を触媒するために使用される。例は、黒色白金、クロロ白金酸、アルコールによってクロロ白金酸改質されたオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサンまたはアセチレンアルコールとクロロ白金酸の錯体を含む。米国特許第2823218号明細書は、クロロ白金酸タイプヒドロシリル化触媒を開示し、そして米国特許第3419593号明細書は、ビニルシロキサンタイプのクロロ白金酸および有機ケイ素錯体によって生成される触媒に関する。ヒドロシリル化触媒として使用できる白金および炭化水素錯体は、米国特許第3159601号明細書および第3159662号明細書により開示される。米国特許第3723497号明細書は、白金アセチルアセトネートを記載し、そして米国特許第3220972号明細書は、白金アルコラート白金ベースの触媒に関する。
【0042】
使用するための触媒的に効果的な量に関して、問題になっている該分野中の当業者は、架橋結合を促進するために最適な量の触媒を完全に決定することができることは明らかである。特に、この実体は、問題になっている触媒の性質およびPOSの形による。議論のために、POS(I)の100重量部当たり0.1〜40ppm(例えば、15ppm)であろうと明記してもよい。
【0043】
POS(I)〜(IV)の他の有益な特徴を先に進めるために、それらが、有利なことに実質的に直鎖構造を有すると明記してもよい。
【0044】
本発明に従う組成物のPOSの粘度は、特にこの組成物の取り扱いの容易性、およびこの組成物の架橋結合によって手に入るゲルの粘弾性特性に関して、さらに検討すべきパラメーターである。
【0045】
この点および好都合な本発明の提供に従って、POS(I)は、実質的に直鎖であり、そして500、000mPa・s以下、好ましくは1、000〜200、000mPa・sの動粘度を有し;
および/又はPOS(II)は、実質的に直鎖であり、そして100、000mPa・s以下、好ましくは1、000mPa・s以下、そしてさらに好ましくは10〜100mPa・sまでもの動粘度を有し;
および/又はPOS(III)は、実質的に直鎖であり、そして100、000mPa・s未満、好ましくは1、000mPa・s未満、そしてさらに好ましくは10〜100mPa・sまでもの動粘度を有する。
【0046】
実際には、本発明の好ましい態様に従う組成物は、以下の特徴を有してもよい:
POS(I)は、0.2〜1重量%までのM単位、(ここでR=CH、アルケニル=ビニル、m=2およびn=1)、およびまた0.9〜0.98重量%までD単位(ここでR=CH、p=2およびq=0)を含み;
POS(II)は、4〜6重量%までのM単位(R=CH、s=1およびt=2)、および12〜18重量%までのD単位(ここでR=CHまたはH、v=2およびn=0)を含み;
POS(III)は、8〜10重量%までのM単位(ここでR=CH、w=1およびx=2)、および80〜92重量%までのD単位(ここでR=CH)を含み;
【0047】
そしてそこで希釈剤POS(IV)が与えられ、その単位MおよびDは、それぞれR=R=CHを含み、そして約10〜80重量%まで存在する、希釈剤(IV)は、混合物POS(I)+(IV)を基準として、好ましくは50重量%未満、好ましくは40重量%未満、そしてさらに好ましくは5〜20%までもの量で存在する。
【0048】
シリコーン材料の組成物は、可塑剤およびまた皮膚の移送加速剤または吸着促進剤等の他の成分も含んでもよく、皮膚を通した活性成分の拡散を促進する。これらの生成物は、通常、任意選択的にオキシエチレン化した、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、プロピレングリコールの脂肪誘導体、エチレングリコールの脂肪誘導体、テルペンの脂肪誘導体の群に属する。さらに例は、充分に公知の拡散促進剤であるエチレングリコールモノエチルエーテル(例えばトランスクトール(Transcutol:商標))を含む。
【0049】
本発明は、本発明に従う材料を取り込むか、材料からなる任意の物品にも関する。
【0050】
この物品は、化粧品(化粧品用途ための分子)または製薬(生物学的または薬剤的活性分子、特に皮膚科での)用途ために皮膚または組織と接触して配置される、パッチ、好ましくは接着パッチであってもよい。
【0051】
特別な配置に従って、パッチは、活性分子を含み、適用を可能にする支持体の上に配置される本発明に従う材料を含む。材料は、支持体上での堆積および保護フィルムによって任意選択的に保護される、0.数ミリメートル厚であるフィルムの形の中に存在してもよい。
【0052】
この物品は、強いが、そこを通して活性分子が通過および拡散可能である材料でできた膜またはフィルムで形成された、材料を取り囲むポケットまたはその同類のものであっても良い。膜またはフィルムは、例えば、ポリウレタンベースであってもよい。
【0053】
任意選択的にポケットまたはその同類のものに包装されている本発明に従う材料は、靴、膝当て、衣類、スポーツのまたは身体上保護品、およびさらに直接的または間接的に体の一部と接触する部分で、生き物、特に人間によって着用されることを目的とする、一般的に任意の物品中の挿入物、任意選択的に緩衝挿入物として使用されてもよく、活性分子の拡散と関係する特異的性質を同時に有しながら、パーソナルまたは化粧品ケアー、例えばメントール、発汗抑制剤、香水、デオドラントためのタイプの分子である。本発明は、そうした挿入物を含むこのタイプの任意の物品にも関する。
【0054】
同じ形で、織物または不織繊維製物品に、本発明に従う材料を含浸させることも考えられ、材料は、それらの架橋結合前に繊維製品上に堆積される。材料は、堆積(例えば、100μm〜数mmの範囲の層)され、そして架橋結合によってこのタイプの繊維製品に固定されていてもよい。本発明は、この様に処理された繊維製品およびそうした繊維製品を含有する任意の物品に関する。
【0055】
材料の調製に関して、周囲温度で、または活性分子および適合剤を破壊しそうでない温度で加熱後に、組成物が架橋されることを明らかにしてもよい。
【0056】
本発明は、限定されない例による態様を参照して今まで以上に詳しく記載されるであろう。
【実施例】
【0057】
本願中で以下に記載された操作のモードに従って、メントールをミリスチン酸イソプロピル中でもしくはD5中でまたはこれらの2つの溶媒の混合物中で可溶化した。そして、これらの溶液を、ゲルの部分AおよびBの混合物中に導入する。
【0058】
2.1.使用された生成物
・メントール:メルク社
・溶媒:ペンタジメチルシロキサン[D5]=供給業者ローディアシリコーン社ミリスチン酸イソプロピル[IPM]=供給業者メルクシュカード(Schuchardt)社
・シリコーンゲル:周囲温度において、白金触媒の存在下で重付加反応で架橋する2成分の生成物に相当するこれらのテストを行うために選択されたゲル。これらの処方の一つは、他がそうしたオイルを含まない一方で、可塑剤として作用する非反応性オイルを含む。これらの2つの処方の部分AおよびBの組成物を表1中に示す。
【0059】
表1:シリコーンゲル処方の組成物
【表1】

*使用したゲルの部分AおよびBの参照
【0060】
以下の構造に相当する成分:
オイル1:鎖末端に位置するSi−CH=CH基を有する、60、000mPa・sの粘度を有するpdms(ポリジメチルシロキサン)オイル;CH=CH含有量0.1重量%で〜0.06;
オイル2:CHSiHおよびSi(CHH基と300mPa・sの粘度を有するpdmsオイル;H含有量〜0.17重量%;
オイル3:鎖末端に位置するSi(CHH基と7〜10mPa・sの粘度を有するpdmsオイル;H含有量〜0.19重量%;
オイル4:100mPa・sの粘度を有する反応基のないポリジメチルシロキサンオイル;
10%の0の酸化度を有する白金触媒。
【0061】
2.2.メントール溶液
メントール溶液を、30〜50℃でD5またはIPM中にメントール結晶を溶解することによって調製した。一旦溶解すると、溶液を周囲温度まで戻し;第2の溶媒を適当であれば、この時に加えた。
使用した溶液の特徴を以下の表2に示す。
【0062】
表2:メントール溶液の参照および組成物:重量%。
【表2】

【0063】
3. メントールパッチ
パッチを調製するために使用した種々の成分の混合物を、周囲温度で以下のように得た:
それぞれのゲル処方の部分AおよびBを、1部のBに対して1部のAの比率で手を使ってスパチュラで混合した;
種々の量の溶液および溶媒を計量して、そして再び手で混合した結果として先の混合物に導入した;
混合物を調製した際に、導入した空気の泡を除くために混合物の次にガス抜きをした。軽い真空下で処理を行うことによって脱気した。
【0064】
調製されるや否や、混合物をペトリ皿またはポリエチレン箱内に注いだ。架橋結合を周囲温度で12〜24時間かけて行った。
このモードの操作を使用して調製したパッチの特徴を、表3に示す。
【0065】
表3:メントールパッチの特徴
【表3】

【0066】
調製後24時間で、パッチは透明であった;それらは、また皮膚、ガラス、および可塑性材料に自己接着し、そしてその特定の臭いにより検出可能なメントールを放出した。
これらの特徴が長い間維持された。〜20から23℃で空気と接触させ、メントール臭は、一週間以上後でも依然感知された。それらの自己接着および透明性も維持された。
【0067】
当然のことながら、請求項によって規定される本発明は、先の記載に示された具体的な実施例に限定されず、本発明の範囲および精神のいずれからも離れる2ことなくそれらの変化を含むことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン材料、好ましくは接着性のシリコーン材料で形成された、化粧品もしくはパーソナルケアで使用のための活性分子、または製薬用途ための薬剤的もしくは生物学的活性分子を放出するためのシリコーン材料、好ましくは接着材料であって、
該シリコーン材料中に該活性分子および適合剤が取り込まれており、該適合剤が該シリコーン材料のシリコーン成分と混和性であり、そして該活性分子が可溶性であり、
該適合剤がミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、分枝パラフィン、有機官能性シリコーン、あるいは式:
(R)SiO2/2
(ここで、同一であるか又は相違する記号Rは、それぞれが直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cアルキル基、好ましくはメチル基、またはアリール基、または6〜8炭素原子を有するアルキルアリール基、好ましくはフェニルを表す。)
の4、5、6または7Dシロキシル単位の環状鎖からなるシリコーンオイルから選択される、材料。
【請求項2】
該適合剤の含有量が、全組成物に対して表して、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
可溶化された活性材料の濃度が、該適合剤の不存在下で可溶化することが可能な最大濃度より少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、さらによくは少なくとも2.5または3倍多い、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の材料。
【請求項4】
該活性分子が、可溶化された状態および分散した状態で存在するように、取り込まれた該活性分子の量が、該適合剤の可溶化容量を超える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の材料。
【請求項5】
該活性分子および適合剤の全含有量が、全組成物の重量で75%まで、好ましくは50%までである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項6】
該シリコーン材料中に可溶化された該活性分子の濃度が、該材料の全重量に基づく重量で5、10、15、20、25または30%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
全活性分子含有量が、該材料の全重量に基づく重量で5〜60%、好ましくは10〜50%、または10〜30%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
該シリコーン材料が、ヒドロシリル化触媒の存在下で、アルケニルシロキシ単位を有するポリ有機シロキサンと、水素化シロキシ単位を有するポリ有機シロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の材料。
【請求項9】
ゲル形態またはエラストマー形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の材料を含む、物品。
【請求項11】
該物品が、靴への挿入品、膝当て、衣類、スポーツまたは身体の保護品、およびさらに一般的に生き物、特に人間によって着用されることを目的とした任意の物品から選択されるか、またはである物品であることを特徴とする、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
該活性分子が、メントール、メチルジイソプロピルプロピオンアミドおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の材料。

【公開番号】特開2013−14621(P2013−14621A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−227376(P2012−227376)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2007−547581(P2007−547581)の分割
【原出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【出願人】(507208484)ブルースター シリコンズ フランス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (3)
【Fターム(参考)】