説明

流体の制御のための電磁弁

【課題】リフトから大リフトまでの位置で弁エレメントの変形及び/又は損傷が発生し、部分リフト位置で弁エレメントが弁ボディーと接触してしまうのを防止する。
【解決手段】アーマチュア2、半球形の端部30を持ち、且つアーマチュア2と結合されていてこのアーマチュア2と共に動くことが出来、その際アーマチュア2の周りに第一のガイド領域20が備えられている弁要素3、及び弁ボディー4を含み;弁ボディ4ーが弁座6、弁座6の上の弁要素3によって開閉される貫通穴5、及びガイド要素40を備えており;ガイド要素40が弁要素3の案内のための第二のガイド領域を画定し又このガイド要素40は電磁弁1が開かれている時に弁要素3をガイドし、その際ガイド要素40が弁ボディー4と一体的に作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体の制御のための電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の制御のための電磁弁は従来技術から様々な形態のものが、とりわけ自動車の中のABS/TCS/ESP装置のための排出弁として知られている。それ等の電磁弁の弁エレメントは制御作動の際通常弁アーマチュアの上で且つ弁ボディーの円錐形の弁座の中での接触によってガイドされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらその場合特定の負荷=或いは作動=状態の下では特に、中リフトから大リフトまでの位置で弁エレメントの変形及び/又は損傷が発生し、その際には部分リフト位置で弁エレメントが弁ボディーと接触してしまうことがある。このことは弁機能の許されない低下或いは変化をもたらすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それに対して請求項1のメルクマールを持つ流体の制御のための本発明に基づく電磁弁によれば弁要素の追加のガイドが弁ボディーの上に備えられていると云う利点を持っている。これによって弁座からの弁要素の引上げが既に小さなリフト領域内で強制される。更に中及び大リフト領域内でラジアル方向のガイド力がより良く受け止められので、とりわけ部分リフト位置で、弁要素と弁ボディーとの間の接触が又それに基づく損傷が大幅に抑制される。このことは本発明によれば、流体の制御のための電磁弁がアーマチュアと弁要素とを含むと云うことによって達成される。弁要素は半球形の端部領域を持ち且つアーマチュアと結合されていてアーマチュアと一緒に動くことが出来、このアーマチュアの上に第一のガイド領域が備えられている。電磁弁は更に弁座と貫通穴とを持つ弁ボディーを備えており、この貫通穴は弁座の上の弁要素によって開閉される。加えてガイド要素が弁ボディーの上に備えられており、このガイド要素は第二のガイド領域を定めており、電磁弁が開かれている時に弁要素をガイドする。その際ガイド要素は弁ボディーと一体的に作られている。これによって、追加の構成部品無しに簡単なやり方で弁要素の改善されたガイドが達成される。更にそれによって電磁弁の公差連鎖の明確な短縮が達成される。従ってそれによって得られる大きなガイド長さが可能となり、弁要素の密で且つ精確なガイドが達成される。更に密閉=及びガイド=機能が、それぞれ負担の上で問題の無い別の構成要素の上へ配分される。
【0005】
諸従属請求項は本発明の好ましい拡張例を示している。
【0006】
本発明のその他の有利な実施態様では弁要素がガイド部を備えており、このガイド部は軸方向に半球形の端部に直接接続され且つこのガイド部は第二のガイド領域(41)の上をガイドされることが出来る。これによって効果的な支持或いはガイドを半球形の端部領域と弁ボディーとの間の密閉線から出来る限り短い間隔で実現することが出来る。油圧作動の際に大きな負荷を受けなければならない弁要素のラジアル方向のガイドが半球形の端部領域の外で行われると云うことによって、発生する負荷を損傷を受け易い構成部品領域から損傷の上で問題の無い構成部品の上へ迂回させることが出来る。
【0007】
ガイド部は好ましくは弁要素の上に円筒形に或いは先細りに、とりわけ円錐形に、作られている。それによって簡単且つコスト的に有利な製造の他に弁ボディーの上のガイド要素との協働のために最適な輪郭線形成が達成される。
【0008】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば半球形の端部領域はガイド要素と弁座との間に備えられた前室の中に配置されている。本発明の別の有利な実施態様では少なくとも一つの流出穴が軸方向に前室の壁部に弁座とガイド要素との間に備えられている。これによって弁要素の半球形の端部領域の上の有利な流れ挙動並びに流体の動作上確実な流出が達成される。代わりのやり方として多数の流出穴を壁部に備えることも出来る。流出穴は更に様々な数と形状で配置し又適当な任意の製造法によって作ることが出来る。
【0009】
好ましくは、電磁弁が閉じられた状態の時にラジアル方向のリング状の間隔が弁要素のガイド部と弁ボディーの上のガイド要素との間に存在している。これによって、閉じられた状態の下でのガイド要素との機械的接触が防止されるか、或いは電磁弁の閉弁の際の弁座の中の密閉位置の自主的な発見が達成される。
【0010】
別の有利な実施態様ではガイド要素が周囲を取巻いているカラーとなっている。これによって、従来の組込み状況に対応可能な、コスト的に有利で且つ経済的に製造出来る弁ボディーを作ることが出来る。更にこの構造部品は又既存のモデルの換装=或いは後装備のために使用することも出来る。
【0011】
好ましくは、ガイドの方に向いているカラーの側面が丸みを付けられており且つガイド領域を形成している。これによって弁要素の点状の接触が又それによって全リフト領域にわたり又制御作動の中での弁要素の可能な動きの全角度領域にわたる効果的で且つ作動的に確実なガイドが達成される。
【0012】
更に、好ましくは、電磁弁を通電無しに開の状態に保持する様に作られた戻し要素が備えられている。
【0013】
本発明の一つの好ましい実施態様によればラジアル方向のリング状の間隔は、弁要素の半球形の端部領域が既に小さいリフト、とりわけ50から70μmまで、の時から弁座から持ち上げられる様に、弁要素の最大リフトと弁ボディーの上の弁座角度に合わせて作られている。更に、最小リフト領域(とりわけ0から50μmまで)の下でラジアル方向に動いて弁座と接触する弁要素の加速動程と衝突パルスが小さいので、損傷させる様な負荷となることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に本発明の一つの実施例が添付の図面に基づいて詳しく説明される。図面において:
【図1】図1は本発明の好ましい実施例に基づく流体の制御のための電磁弁の略断面図を示す。
【図2】図2は、図1の電磁弁の弁ボディーの略断面図を示す。
【図3】図3は、図1の電磁弁の閉じられた状態の時の部分略図を示す。
【図4】図4は、小さな開弁リフトで部分的に開弁された図1の電磁弁の部分略図を示す。
【図5】図5は、中間の開弁リフトで部分的に開弁された図1の電磁弁の部分略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施例に基づく流体の制御のための電磁弁が図1から5までに基づいて説明される。
【0016】
図1は本発明の好ましい実施例に基づく流体の制御のための電磁弁1の略断面図を示している。
【0017】
この電磁弁1はアーマチュア2、弁要素3、並びに弁ボディー4を含んでおり、それ等は極容器9或いはそれと結合されている容器13の中に軸方向X−Xに対して同心状に配置されている。その際アーマチュア2は極容器9の中にも容器13の中にも納められている。弁要素3はアーマチュア2と結合されており、アーマチュア2と一緒に動くことが出来る。アーマチュア2の上には容器13の第一の端部領域130の高さにアーマチュア2のガイドのための第一のガイド領域20が備えられている。弁要素3は半球形の端部領域30と円筒形のガイド部31を備えており、このガイド部31は軸方向X−Xに直接半球形の端部領域30に対して接続されている。弁ボディー4は弁座6と、弁要素3によって開閉される貫通穴5とを備えている。弁ボディー4更にガイド要素40を備えており、このガイド要素40は弁ボディー4と一体的に作られており、弁要素3のガイドのための第二のガイド領域41(図2参照)を形成している。ガイド要素40とアーマチュア2との間には軸方向X−Xに戻し要素7が備えられており、この戻し要素7は電磁弁1を非通電状態の下で開に保持する。図1から更に分かる様に、半球家の端部領域30はガイド要素40と弁座6との間に作られた前室10の中に配置されている。
【0018】
前室10の壁部11には、図2から分かる様に、複数の流出穴12が配置されている。第二のガイド領域41は周囲を取巻くリング状のカラーとして作られており、軸方向X−Xに対してラジアル方向を向いたカラーの側面には丸みが付けられている。この様な輪郭線の形成によって、軸方向X−Xから制御作動の際にわずかにずれた弁要素3の角度調整(或いはゆがみ状態)の際にも、作動が確実な、円筒形のガイド部31との点状のガイド接触が保証される。
【0019】
図3に示されている様に、電磁弁1が閉じられている状態の時に半球形の端部領域30は弁座6の上にあって貫通穴5を閉じている。その際弁要素3のガイド部31と第二のガイド領域41との間にはラジアル方向のリング状の間隔Aが存在している、即ち弁要素3のガイド部31はガイドされない。
【0020】
図4は70μmまでの最小リフトでの電磁弁の開弁の直ぐ後、即ち弁座6からの半球形の端部領域30の持ち上げの直前、における弁ボディー6と弁要素3の位置関係を示している。その際には半球形の端部領域30は、横方向にずらされており、それでも弁座6には触れているけれども、既に第二のガイド領域41のカラーの側面も接触しており、従って弁リフトが大きくなるとこの位置の直後に完全に弁座6から持ち上げられてしまう。ガイド要素40の第二のガイド領域41は寸法形状的に次の様に、即ち、例えとりわけ約50から70μmまでの、最小リフト領域内であっても、半球形の端部領域30と弁座6との接触が開弁の直後に可能となり且つ弁要素3が可能な限り速やかに弁座6から持ち上げられる様に、設計されている。
【0021】
図5に示されている中リフトと大リフトによる部分開弁領域内では、弁要素3のガイド部31はガイド要素40のガイド領域41の上を連続的のラジアル方向にガイドされる。これによって弁要素3の半球形の端部領域30と弁座6との接触は最早生じなくなる。逆に電磁弁1の閉弁過程の際には70から50μmまでの最小リフトになるまで弁要素3の案内がガイド領域41の上で行われる。その後は半球形の端部領域30は円錐形の弁座6と接触し、更にリフトが小さくなって行くと弁座の表面に沿って密閉位置(リフトゼロ)へ案内されるが、その際にはガイド領域41に触れることはない。
【0022】
本発明に基づく電磁弁1はかくして、弁ボディー4の上に一体的に作られた第二のガイド要素40によって公差連鎖(例えば組立て位置やゆがみ状態の様な)のより大きな部分が無くなると云う利点を備えている。更に第一と第二のガイド領域20、40の間のガイド長さが長いために、弁要素3の密な案内が可能となり又密閉=及びガイド=機能を、それぞれ負荷の点で問題の無い別の構成要素へ配分することが出来る。更に電磁弁1のほぼ全部のリフト領域にわたって弁座6の上での半球形の端部領域30の接触或いは衝突が又その結果として生じる負荷或いは損傷が防止される。そこから電磁弁1の大幅に改善された作動確実性と耐久性が得られる。
【符号の説明】
【0023】
1 電磁弁、 2 アーマチュア、 3 弁要素、 4 弁ボディー、 5 貫通穴、 6 弁座、 7 戻し要素、 9 極容器、 10 前室、 11 前室の壁部、 12 流出穴、 13 容器、 20 第一のガイド領域、 30 半球形の端部、 31 ガイド部、40 ガイド要素、 41 第二のガイド領域、 130 第一の端部領域、
A ラジアル方向のリング状の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の制御のための電磁弁において、この電磁弁が
アーマチュア(2)、
半球形の端部(30)を持ち且つアーマチュア(2)と結合されていてこのアーマチュア(2)と共に動くことができ、アーマチュア(2)の周りに第一のガイド領域(20)が備えられている弁要素(3)、及び
弁ボディー(4)を含み、
上記の弁ボディーが
弁座(6)、
弁座(6)の上の弁要素(3)によって開閉され貫通穴(5)、及び
ガイド要素(40)
を備えており、
上記のガイド要素が弁要素(3)の案内のための第二のガイド領域を確定し又このガイド要素は電磁弁が開かれている時に弁要素(3)をガイドし、
上記のガイド要素(40)が弁ボディー(4)と一体的に作られている、
電磁弁。
【請求項2】
弁要素(3)がガイド部(31)を備えており、このガイド部が軸方向(X−X)に半球形の端部(30)に直接接続されており又このガイド部が第二のガイド領域(41)によってガイドされることを特徴とする、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
上記のガイド部(31)が弁要素(3)内で円筒形或いは先細りに、とりわけ円錐形に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
上記の半球形の端部(30)がガイド要素(40)と弁座(6)との間に備えられた前室(10)の中に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の電磁弁。
【請求項5】
少なくとも一つの流出穴(12)が、軸方向(X−X)に関してガイド要素(40)と弁座(6)との間に備えられている前室(10)の壁部(11)に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の電磁弁。
【請求項6】
電磁弁が閉じられた状態の時には、軸方向(X−X)に対してラジアル方向のリング状の間隔(A)が、弁要素(3)のガイド部(31)とガイド要素(40)との間に存在していることを特徴とする、請求項2から5までの何れか一項に記載の電磁弁。
【請求項7】
上記のガイド要素(40)が周囲を取巻いているリング状のカラーであることを特徴とする、上記諸請求項の何れか一項に記載の電磁弁。
【請求項8】
ガイド部(31)面するカラーの側面が丸みを付けられており且つガイド領域(41)を形成していることを特徴とする、請求項7に記載の電磁弁。
【請求項9】
更に、戻し要素(7)を含んでおり、この戻し要素が、電磁弁を非通電状態の下で開の状態に保持する様に構成されている、請求項1から8の何れか一項に記載の電磁弁。
【請求項10】
上記のラジアル方向のリング状の間隔(A)が弁要素(3)の最大リフトよりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233575(P2012−233575A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99739(P2012−99739)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】