説明

流体吐出装置、及び、その制御方法

【課題】シール部材について十分な密着性を得る。
【解決手段】流体吐出装置は、ヘッド、媒体支持部、シール部材、及び、移動部を有する。ヘッドには、流体が吐出されるノズルが、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向に複数設けられている。媒体支持部は、複数のノズルと対向する位置に配置されて、媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する。シール部材は、媒体支持部に、ループ状に設けられている。移動部は、複数のノズルとシール部材とを近接又は離隔させるように、ヘッドと媒体支持部の少なくとも一方を移動させる。そして、待機状態では、シール部材をヘッドに接触させて、ヘッド、シール部材及び媒体支持部によって区画される空間に、複数のノズルの開口を臨ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出装置、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体吐出装置の一種であるインクジェットプリンタには、用紙の幅方向に複数のノズルを設けた、所謂ラインヘッドを有するものが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。このプリンタは、インク溶媒の蒸発を抑制する等の目的で、キャップ部材にてノズル面を覆うようになっている。
【特許文献1】特開2005−53119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のプリンタにおいて、キャップ部材は単体で設けられていた。このため、用紙の幅全体に渡る大きなサイズのキャップを設けると、十分な蒸発抑制効果が得られないことや、キャップ部材とヘッドで形成された空間に吸引機構によって負圧を付与したときに所定のインク吸引ができないことがあった。これには種々の原因が考えられるが、大きなサイズによる剛性不足等によってヘッドとキャップ部材の間に隙間が生じることも一因と考えられる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な剛性を持つキャップによりヘッドとの密着性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)流体が吐出されるノズルを、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向で少なくとも前記媒体の幅に渡って複数設けたヘッドと、
(B)複数の前記ノズルと対向する位置に配置され、前記媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する媒体支持部と、
(C)前記媒体支持部に、ループ状に設けられたシール部材と、
(D)複数の前記ノズルと前記シール部材とを近接又は離隔させるように、前記ヘッドと前記媒体支持部の少なくとも一方を移動させる移動部と、
を有し、
(E)前記媒体に対する前記流体の吐出を行わずに待機している待機状態では、
前記シール部材を前記ヘッドに接触させて、前記ヘッド、前記シール部材及び前記媒体支持部によって区画される空間に、複数の前記ノズルの開口を臨ませ、
(F)前記媒体に向けて前記流体を吐出する吐出状態では、
前記ヘッドと前記シール部材とを離隔させて、前記複数のノズルの開口と前記シール部材との間に前記媒体が通過し得る空間を設ける、流体吐出装置である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
すなわち、(A)流体が吐出されるノズルを、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向で少なくとも前記媒体の幅に渡って複数設けたヘッドと、(B)複数の前記ノズルと対向する位置に配置され、前記媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する媒体支持部と、(C)前記媒体支持部に、ループ状に設けられたシール部材と、(D)複数の前記ノズルと前記シール部材とを近接又は離隔させるように、前記ヘッドと前記媒体支持部の少なくとも一方を移動させる移動部と、を有し、(E)前記媒体に対する前記流体の吐出を行わずに待機している待機状態では、前記シール部材を前記ヘッドに接触させて、前記ヘッド、前記シール部材及び前記媒体支持部によって区画される空間に、複数の前記ノズルの開口を臨ませ、(F)前記媒体に向けて前記流体を吐出する吐出状態では、前記ヘッドと前記シール部材とを離隔させて、前記複数のノズルの開口と前記シール部材との間に前記媒体が通過し得る空間を設ける、流体吐出装置を実現できることが明らかにされる。
このような流体吐出装置によれば、媒体支持部はヘッドに対して高い平面度や寸法精度を有しており、その媒体支持部にシール部材を設けているので、媒体支持部によって必要な剛性や寸法精度を確保することができる。これにより、十分な密着性を確保することができる。
【0009】
かかる流体吐出装置であって、前記シール部材は、前記媒体支持部における前記ヘッドとの対向面に設けられ、前記媒体支持部には、前記シール部材で囲まれた範囲内に、前記ノズルの開口が臨む凹部が設けられていることが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、ノズルから吐出され、媒体に着弾しなかった流体を、凹部で受けることができる。
【0010】
かかる流体吐出装置であって、前記シール部材は、前記媒体支持部による前記媒体の支持位置よりも、前記ヘッドから遠い位置に設けられていることが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、シール部材に付着した流体等によって、媒体が汚損されてしまう不具合を防止できる。
【0011】
かかる流体吐出装置であって、前記シール部材は、弾性素材によって作製されていることが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、シール部材をヘッドへ密着させることができる。
【0012】
かかる流体吐出装置であって、前記移動部は、前記ヘッドを移動させるものであることが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、媒体の厚みに応じてヘッドを移動させるヘッド移動機構を兼用でき、構成の簡素化が図れる。
【0013】
かかる流体吐出装置であって、前記媒体支持部の表面側における、前記シール部材が区画する部位に連通され、負圧を発生する負圧発生部を有することが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、負圧発生部を動作させることで、ヘッドから流体を吸引することができる。
【0014】
かかる流体吐出装置であって、前記凹部内に配置され、前記ノズルを通じて排出された流体を保持する流体保持材を有することが好ましい。
このような流体吐出装置によれば、流体が他の部分に飛散してしまう不具合を有効に防止できる。
【0015】
また、次の流体吐出装置の制御方法を実現できることも明らかにされる。
すなわち、(A)流体が吐出されるノズルを、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向で少なくとも前記媒体の幅に渡って複数設けたヘッドと、(B)複数の前記ノズルと対向する位置に配置され、前記媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する媒体支持部と、(C)前記媒体支持部に、ループ状に設けられたシール部材と、(D)を有する流体吐出装置の制御方法であって、(E)前記媒体に対する前記流体の吐出を行わずに待機している待機状態では、前記シール部材を前記ヘッドに接触させて、前記ヘッド、前記シール部材及び前記媒体支持部によって区画される空間に、複数の前記ノズルの開口を臨ませ、(F)前記媒体に向けて前記流体を吐出する吐出状態では、前記ヘッドと前記シール部材とを離隔させて、前記複数のノズルの開口と前記シール部材との間に前記媒体が通過し得る空間を設ける、流体吐出装置の制御方法を実現できることも明らかにされる。
【0016】
===第1実施形態===
<プリンタ1の全体構成>
図1は、プリンタ1の構成を説明するブロック図である。例示したプリンタ1は、流体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、流体の一種であるインクを吐出する。このプリンタ1では、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクからなる4色のインクを吐出する。媒体は、流体が吐出される対象となる対象物であり、例えば用紙である。
【0017】
プリンタ1は、用紙搬送機構10、駆動信号生成回路20、ヘッドユニット30、インク供給機構40、インク回収機構50、移動機構60、検出器群DG、及び、プリンタ側コントローラ70を有する。用紙搬送機構10は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当し、媒体としての用紙を所定の搬送方向へ搬送する。駆動信号生成回路20は、駆動信号生成部として機能し、インクを吐出させるために用いられる駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、ヘッドユニット30が有するヘッド32に供給される。そして、駆動信号COMは、ヘッド32が有する駆動素子(発熱素子やピエゾ素子,図示せず。)へ印加される。ヘッドユニット30は、ヘッド制御部31やヘッド32を有する。ヘッド制御部31は、駆動信号COMの駆動素子への印加を制御する。すなわち、ヘッド制御部31は、プリンタ側コントローラ70から送信されるヘッド制御信号に基づき、駆動信号COMにおける必要な部分を駆動素子へ印加する。ヘッド32は、インクを吐出させる部分である。インク供給機構40は、ヘッド32に対してインクを供給する部分である。本実施形態では、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクからなる4色のインクを供給する。インク回収機構50は、ヘッド32から排出されるインクを回収する。このインク回収機構50は、吸引ポンプ51、及び、インク回収部52を有する。また、このプリンタ1では、用紙搬送機構10が有するプラテン13(図4等を参照。)もインク回収機構50の一部として機能する。移動機構60は、ヘッド32を所定方向へ移動させるための機構であり、移動部の一種に相当する。なお、用紙搬送機構10、ヘッド32、インク供給機構40、インク回収機構50、及び、移動機構60については、後で説明する。
【0018】
検出器群DGは、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器を有する。そして、各検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ70に出力される。プリンタ側コントローラ70は、プリンタ1における制御の中心となる部分であり、コンピュータCPから受け取った印刷データや検出器群DGによる検出結果に基づいて各部を制御し、用紙に画像を印刷させる。例えば、用紙搬送機構10に対して搬送信号を出力し、用紙を搬送させる。インク供給機構40に対しては加圧信号を出力する。インク回収機構50に対しては、吸引信号を出力し、ヘッド32から排出されたインクを回収させる。このプリンタ側コントローラ70は、インタフェース部71と、CPU72と、メモリ73とを有する。インタフェース部71は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU72は、プリンタ1における全体的な制御を行う演算処理装置である。メモリ73は、CPU72に用いられる各種の情報を記憶する。
【0019】
===プリンタ1の要部===
<ヘッド32について>
ヘッド32は、流体の一種であるインクを吐出させるものであり、図2に一部を示すように、直方体状の外観をしている。このヘッド32は、長手方向が用紙の幅方向(以下、紙幅方向ともいう。)と揃うように取り付けられている。図3Bに示すように、ヘッド32は、インクが吐出されるノズル321を複数有している。複数のノズル321は、ヘッド32の底面側に設けられている。複数のノズル321は、ノズル321の底面に設けられた隆起部323に設けられている。この隆起部323はヘッド32の長手方向(紙幅方向)に延びている。そして、複数のノズル321もまた、ヘッド32の長手方向に沿って所定ピッチで並んだ状態で設けられ、ノズル列322を構成している。このノズル列322は、印刷可能な最大幅以上の長さに設けられている。このため、このプリンタ1では、用紙の1回の搬送によって、この用紙における所望の位置に画像を印刷できる。このノズル列322は、吐出されるインクの色毎(流体の種類毎)に複数設けられている。このヘッド32では4色のインクを吐出するので、ノズル列322が4つ設けられている。そして、各ノズル列322は、紙幅方向と交差する搬送方向(このプリンタ1において紙幅方向と搬送方向とはほぼ直交している。)に、位置をずらして設けられている。便宜上、隆起部323におけるノズル321の開口面をノズル面ともいう。
【0020】
このヘッド32では、各ノズル321に対応して、駆動素子(図示せず)が設けられている。駆動信号生成回路20で生成された駆動信号COMが駆動素子に印加されると、この駆動素子はインクを吐出するための動作をする。例えば、駆動素子が発熱素子の場合には、駆動信号COMの印加によって発熱素子が急激に発熱する。この発熱によってインクが突沸し、気泡によってインクがノズル321から吐出される。また、駆動素子がピエゾ素子の場合には、駆動信号COMの印加によってピエゾ素子が変形する。この変形によって圧力室内のインクに圧力変化が与えられ、インクがノズル321から吐出される。このように、ヘッド32ではインクの吐出をノズル321毎に制御できる。
【0021】
<インク供給機構40について>
図1に示すように、インク供給機構40は、インクカートリッジ41と、加圧ポンプ42と、流路形成部材43とを有する。
【0022】
インクカートリッジ41は、インクを貯留するインク貯留部であって、ユーザによって交換できるような形態で設けられている。このインクカートリッジ41は、ケースと、ケースの内部に収容されたインクパックとを有する(何れも図示せず)。ケース内は気密に設けられており、加圧ポンプ42から送られる圧縮空気によってインクパックは加圧される。インクパックは、チューブを通じて流路形成部材43と連通されている。このため、インクパックの加圧によって、インクは流路形成部材43側に供給される。ここで、ヘッド32内のインク流路は、ノズル321まで一連に設けられている。このため、インクの加圧度合いに応じて、単にインクをヘッド32に供給すること、又は、ヘッド32内のインクをノズル321から強制的に排出することの何れかを選択できる。
【0023】
なお、インクは、流路形成部材43を通じてヘッド32に供給されるので、加圧ポンプ42は、ヘッド32側へ供給すべくインクカートリッジ41に貯留されたインクを加圧する加圧部に相当する。そして、このプリンタ1において、加圧ポンプ42は、プリンタ側コントローラ70からの加圧信号によって動作する。
【0024】
流路形成部材43は、インクカートリッジ41とヘッド32との間に設けられ、インクカートリッジ41側から供給されたインクを、ヘッド32に供給する。図2や図3Aに示すように、このプリンタ1における流路形成部材43は、ヘッド32の上面(ノズル面とは反対側の面)に取り付けられている。流路形成部材43の内部には、インクを流すための個別流路431が、インクの種類に対応する数(この例では4つ)設けられている。また、ヘッド32の上面には複数の接合管324が突設されている。これらの接合管324は、個別流路431内のインクをヘッド32の内部に導入する導入部に相当する。すなわち、接合管324が対応する個別流路431に挿入されることで、個別流路431内のインクがヘッド32内に流入する。
【0025】
<用紙搬送機構10について>
用紙搬送機構10は、図6に示すように、供給ローラ11と、排紙ローラ12と、プラテン13とを有する。供給ローラ11は、プラテン13よりも搬送方向における上流側に設けられている。この供給ローラ11は、用紙における未印刷の部分を、印刷位置に送り込むために用いられる。排紙ローラ12は、プラテン13よりも搬送方向における下流側に設けられている。この排紙ローラ12は、用紙における印刷済の部分を、搬送方向へ搬送するために用いられる。
【0026】
プラテン13は、媒体支持部に相当し、印刷位置にて用紙を背面(インクの着弾面とは反対側の面)から支持する。このため、図2にも示すように、プラテン13は、ヘッド32が有する複数のノズル321と対向する位置に配置される。そして、図4や図5に示すように、プラテン13は、上面が略長方形状とされた板状の部材によって作製されている。このプラテン13における長辺方向の長さ(紙幅方向の大きさ)は、印刷可能な最大サイズの用紙の幅よりも、少し広く定められている。これは、最大サイズの用紙であっても全幅に亘って支持するためである。また、このプラテン13における短辺方向の長さ(搬送方向の大きさ)は、用紙をノズル面とほぼ平行に保つことができる長さであって、複数のノズル列322の形成範囲を超える長さに設けられている。さらに、プラテン13には、長手方向に撓みが生じないように、十分な剛性が与えられている。例えば、十分な肉厚を与えることで、撓みを抑制している。これは、プラテン13が用紙を支持するための部材であることに起因する。すなわち、プラテン13が撓んでしまうと、このプラテン13に支持されている用紙も撓み、画質劣化の原因となり得るからである。また、プラテン13は、高い寸法精度を有するとともに、ヘッド32(ノズル面)に対して高い平面度を有している。これは、用紙が撓んで支持されてしまうと、インクの着弾位置が正規の位置からずれてしまう虞があり、これを防止するためである。
【0027】
プラテン13の上面(ノズル321との対向面)には、凹部131が設けられている。この凹部131の開口は、プラテン13の外形よりも一回り小さい大きさの長方形状である。凹部131が設けられることで、プラテン13の上面には縁部132が形成される。この縁部132には、上側(ヘッド32側)に向けてガイド部133が複数設けられる。これらのガイド部133は、用紙に接することでこの用紙を裏面側から支持する。
【0028】
凹部131は、図5における断面からも判るように、2段に構成されている。便宜上、凹部131における奥側の部分を底部134ともいい、この底部134よりも手前側の部分を中段部135ともいう。ここで、底部134の平面形状は、凹部131の開口よりもよりも一回り小さい大きさの長方形状である。この底部134の中心は、凹部131の中心に揃えられている。
【0029】
中段部135は、底部134の開口よりも外側に位置する部分が該当する。この中段部135は、シール部材SLが取り付けられる部分である。この中段部135は、プラテン13におけるヘッド32との対向面の一種に相当する。シール部材SLは、ヘッド32に接触する部材であり、接触時において複数のノズル321を囲む。このため、シール部材SLは、ループ状(無端状)に形成され、底部134における開口134aの外側に沿って長方形状に配置される。例示したシール部材SLは、断面が半円形状の太ひもであって、エラストマーや合成ゴム等の、弾性を有し、かつ、気密性や液密性に優れた素材で作製されている。図6にも示すように、シール部材SLは、プラテン13による用紙の支持位置Sよりも、ヘッド32から遠い位置に設けられている。言い換えれば、ガイド部133よりも奥まった位置に設けられている。このようにシール部材SLを設けたことで、シール部材SLに付着したインクが用紙に接触することを防止できる。そして、用紙の汚損を防止できる。
【0030】
底部134は、ノズル321の開口が臨む凹部に相当する。このため、底部134の平面形状は、ノズル321の形成範囲よりも一回り大きい長方形状に設けられている。また、底部134は、シール部材SLで囲まれた範囲内に設けられている。底部134の主な役割は、各ノズル321から吐出されたが用紙に着弾しなかったインクを受けること、ノズル321のメンテナンス時においてヘッド32から排出されたインクを受けること、及び、印刷を所定期間に亘って行わない待機状態において、ノズル321からのインク溶媒の蒸発を抑制するための空間を形成することである。なお、これらの役割については、後で説明する。
【0031】
底部134の中心には、プラテン13の板厚方向を貫通する連通口136aが設けられている。凹部131とは反対側のプラテン裏面において、連通口136aに対応する部分には、チューブ接続部136が突設されている。このチューブ接続部136には、回収チューブ53が接続される。この回収チューブ53は、プラテン13が有する凹部131(底部134)とインク回収部52とを連通するためのものである。この回収チューブ53の途中には、吸引ポンプ51が配設されている。この吸引ポンプ51を作動させると、底部134側からインク回収部52側に向けて、空気やインクを移動させることができる。この吸引ポンプ51は、負圧を発生する負圧発生部に相当するものであり、回収チューブ53等を介して、シール部材SLが区画する部位(底部134)に連通され、この部位を負圧にする。
【0032】
<インク回収機構50及び移動機構60について>
インク回収機構50が有するインク回収部52は、前述したように回収チューブ53を通じてプラテン13(底部134)と連通されている。そして、回収チューブ53の途中には、吸引ポンプ51が設けられている。この吸引ポンプ51は、空気やインクを移動させるためのものであり、例えばチューブポンプが用いられている。そして、吸引ポンプ51は、プリンタ側コントローラ70からの吸引信号に基づいて動作をする。すなわち、プリンタ側コントローラ70は、吸引ポンプ51による吸引動作を制御している。
【0033】
移動機構60は、ヘッド32を上下方向に移動させる部分である。言い換えれば、ヘッド32を、プラテン13に対して近接する方向と、プラテン13から離隔させる方向とに移動させるものである。前述したように、プラテン13にはシール部材SLが設けられている。このため、下方向は、ヘッド32とシール部材SLとを近接させる方向に相当し、上方向は、ヘッド32とシール部材SLとを離隔させる方向に相当する。この移動機構60としては、ヘッド32を移動させることができれば、どのような構成であってもよい。例えば、ヘッド32を支持する支軸(図示せず)を偏心カムによって上下方向に移動させる構成でもよいし、ヘッド32を支持しているアームを回動させる構成でもよい。また、電磁石による磁力を用いてヘッド32を上下方向に移動させる構成でもよい。そして、いずれの構成であっても、プリンタ側コントローラ70は、動力源(モータや電磁石)に対して移動制御信号を出力する。すなわち、プリンタ側コントローラ70は、移動機構60によるヘッド32の移動を制御することができる。
【0034】
本実施形態において、移動機構60はヘッド32を移動させているが、これは構成を簡素化するためである。単にノズル面とシール部材SLとを接触させるだけならば、ヘッド32を移動させてもよいしプラテン13を移動させてもよい。ここで、プラテン13を移動させたとすると、付随する機構、例えば供給ローラ11や排紙ローラ12、或いは搬送モータ(図示せず)等をも移動させる必要が生じ、移動機構60が大掛かりになってしまう。この点、本実施形態のように、移動機構60に関し、ヘッド32を移動させる構成にすると、移動の対象物を少なくすることができ、構成の簡素化が図れる。また、プリンタ1には、ヘッド32を媒体に対して近接或いは離隔する方向に移動させる機構が備えられている。この機構は、厚みの異なる様々な媒体に対しても適した間隔でインクを吐出させる観点から設けられている。そして、移動機構60を、ヘッドを移動させる構成にすると、媒体の厚みに対応するためにヘッド32を移動させる機構と、キャッピングのためにヘッド32を移動させる機構とを兼用することができ、この点でも構成の簡素化が図れる。
【0035】
プリンタ側コントローラ70は、インクを用紙に向けて吐出する吐出状態において、ヘッド32を上側停止位置に移動させる。図6に実線で示すように、この上側停止位置において、ヘッド32のノズル面は、シール部材SLよりも上方に位置する。詳しくは、プラテン13のガイド部133等によって定められる用紙の搬送予定位置(図6に符号Sで示す位置)よりも、上方に位置する。これにより、ノズル面(各ノズル321)とシール部材SLとの間には、用紙が通過し得る空間が設けられる。
【0036】
また、プリンタ側コントローラ70は、用紙に対する印刷を行わずに待機している待機状態において、ヘッド32を下側停止位置に移動させる。図6に一点鎖線で示すように、この下側停止位置において、ヘッド32のノズル面はシール部材SLに当接される。このとき、シール部材SLは、ヘッド32からの押圧力によって多少潰された状態になり、ヘッド32のノズル面に密着する。ここで、シール部材SLがエラストマー等の弾性素材によって作製されているので、ノズル面との密着度合いを高めることができ、隙間が生じてしまう不具合を防止できる。
【0037】
この状態で、各ノズル列322(複数のノズル321)は、シール部材SLの内側に位置する。すなわち、各ノズル321の開口は、ヘッド32、シール部材SL及びプラテン13(主に底部134)によって区画される空間に臨む。ここで、ノズル面にシール部材SLが密着しているので、複数のノズル321が臨んでいる側の空間と外側の空間とは、気密及び液密な状態で区画される。このプリンタ1では、高い剛性を有するプラテン13にシール部材SLを設けているので、プラテン13によって必要な剛性が確保できる。また、プラテン13はヘッド32に対して、高い平面度や寸法精度を有している。この点でも、ヘッド32に対するシール部材SLの密着性を高めることができる。従って、紙幅方向の全体に亘ってノズル面とシール部材SLとの間の気密性や液密性を確保できる。これにより、十分な蒸発抑制効果を得ることができる。これは、蒸発したインク溶媒が、ヘッド32等で区画された空間に留まっていることに起因していると考えられる。すなわち、この空間における溶媒の濃度を、外側の空間よりも高くできることから、溶媒の蒸発を抑制できると考えられる。
【0038】
また、ヘッド32とシール部材SLとを密着させた状態で吸引ポンプ51を動作させると、ノズル321の開口が臨む空間を負圧にすることができる。これにより、ヘッド32内のインクを空間側に吸い出すことができる。その結果、溶媒の蒸発等によってノズル321の近傍で増粘しているインク(以下、増粘インクともいう。)を、空間側に排出させることができ、増粘していない良好なインクでヘッド32内を満たすことができる。このとき、シール部材SLをプラテン13に設けていることから、吸引状態におけるシール部材SLの変形を防止できる。このため、吸引力を高めることができる。
【0039】
===プリンタ1の動作===
用紙に対するインクの吐出を行わずに待機している待機状態において、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を下側停止位置に移動させる。これにより、シール部材SLをヘッド32のノズル面に接触させて、ヘッド32、シール部材SL及びプラテン13によって区画される空間に、複数のノズル321の開口を臨ませる。その結果、ノズル321を通じたインク溶媒の蒸発が抑制される。そして、ヘッド32からインクを吸引する吸引クリーニングを行う場合も同様に、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を下側停止位置に移動させる。一方、用紙に対するインクの吐出を行う吐出状態において、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を上側停止位置に移動させる。これにより、ヘッド32とシール部材SLとを離隔させて、ノズル321の開口とプラテン13(シール部材SL)との間に用紙が通過し得る空間を設ける。そして、ヘッド32からインクを吐出させるフラッシングを行う場合も同様に、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を上側停止位置に移動させる。以下、これらの制御を中心に動作を説明する。
【0040】
図7は、プリンタ1で行われる一連の処理を示す図である。これらの処理は、プリンタ側コントローラ70のCPU72が、メモリ73に記憶されたコンピュータプログラムに従って各部を制御することで行われる。このため、コンピュータプログラムは、これらの処理を行うためのコードを有する。
【0041】
例示した処理では、プリンタ1の電源をオンにすると(t1)、イニシャライズ動作が行われる(t2)。このイニシャライズ動作では、プリンタ1における初期設定などが行われる。例えば、プログラムの読み込みや、各部に対する通電チェックが行われる。ここで、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を上側停止位置に移動させる。すなわち、プラテン13(シール部材SL)とヘッド32(ノズル面)とが離隔した離隔状態にする。イニシャライズ動作の後、吸引クリーニングが行われる(t2−t3)。前述したように吸引クリーニングは、ヘッド32内のインクを吸い出す動作であり、ノズル321に対するメンテナンス動作(ヘッド32を正常な状態にするための動作)の一種である。この吸引クリーニングにおいて、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を下側停止位置に移動させてシール部材SLをノズル面に当接させる。すなわち、キャッピング状態にする。その後、吸引ポンプ51を動作させる。これにより、ヘッド32等で区画される空間が負圧化され、ノズル321を通じてヘッド32内のインクが吸い出される。ここで、シール部材SLをプラテン13に設けているので、シール部材SLの変形を防止でき、高い吸引力を得ることができる。そして、吸い出されたインクは、回収チューブ53を通じてインク回収部52に送られる。なお、吸引クリーニングは、ヘッド32から気泡を排出する場合にも行われる。
【0042】
吸引クリーニングが終わると、フラッシングが行われる(t5)。このフラッシングも、ノズル321に対するメンテナンス動作の一種である。このフラッシングにおいて、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を上側停止位置まで移動させ、ヘッド32が有する駆動素子にフラッシング用の駆動信号COMを印加する。これにより、駆動素子がインクを吐出させるための動作をし、各ノズル321からインクが吐出される。このとき、ヘッド32から吐出されたインクは、プラテン13の底部134で受けられる。なお、フラッシング動作に代えて、加圧クリーニングを行ってもよい。この加圧クリーニングは、インクカートリッジ41のインクを加圧することで、ヘッド32から強制的にインクを排出させる動作である。
【0043】
ヘッド32から吐出等されたインクは、吸引ポンプ51が動作するまでの間、底部134や回収チューブ53内に留まる。このため、キャッピング状態にしたとき、このインクから蒸発した溶媒が、ヘッド32等で区画される空間に留まる。その結果、ノズル321の開口を通じてなされる溶媒の蒸発を効果的に抑制できる。フラッシングの終了によって用紙に対する印刷準備が整う。このため、プリンタ側コントローラ70は、コンピュータCPからの印刷命令を待つ。そして、印刷命令を受信すると(t6)、プリンタ側コントローラ70は印刷動作を実行する。
【0044】
印刷動作の途中でインクカートリッジ41内のインクが規定量以下になると印刷動作は中断され、ユーザに対してカートリッジの交換を促すメッセージが出力される。例えば、複数枚の用紙に対する印刷を行っている場合において、或る用紙に対する印刷が終了した後であって次の用紙に対する印刷を行う前に、印刷動作を中断してメッセージを出力する。このメッセージに基づき、ユーザがインクカートリッジ41を交換すると(t7)、吸引クリーニングが行われる(t8−t9)。この吸引クリーニングでも、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を下側停止位置に移動させてキャッピング状態にし、吸引ポンプ51を動作させる。その後、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を上側停止位置まで移動させて離隔状態としてフラッシング動作を行う(t10)。そして、残りの用紙に対する印刷が行われる(t10−t11)。
【0045】
印刷動作の終了後において、所定の待機時間が経過しても印刷命令を受信しなかった場合、プリンタ側コントローラ70は、待機状態のモードに移行させる。この待機状態では、ヘッド32を下側停止位置に移動させてキャッピング状態とする。これにより、ノズル321付近におけるインクの増粘を抑制できる。そして、このキャッピング状態は、電源がオフ状態の期間中も維持される(t13−)。なお、離隔状態の時に電源がオフ状態に切り替えられた場合、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド32を下側停止位置に移動させてキャッピング状態にした後、電源を遮断する。
【0046】
<まとめ>
このプリンタ1では、高い剛性を有するプラテン13に、シール部材SLを設けている。そして、ヘッド32のノズル面をシール部材SLに当接させることにより、ヘッド32やシール部材SLで区画される空間内に各ノズル321の開口を臨ませている。このように、シール部材SLがプラテン13に支持されているので、キャッピング状態におけるシール部材SLとノズル面との密着性を高めることができる。これにより、キャッピング状態にて、インク溶媒の蒸発を抑制することができ、インクの増粘を効果的に抑制することができる。
【0047】
シール部材SLは、プラテン13におけるヘッド32との対向面に設けられている。そして、プラテン13におけるシール部材SLで囲まれた範囲内には、複数のノズル321の開口が臨む底部134(凹部)が設けられている。これにより、ノズル321から吐出され、用紙に着弾しなかったインクを底部134で受けることができる。
【0048】
===その他の実施形態===
前述した実施形態は、プリンタ1について記載されているが、その中には、流体吐出装置や流体吐出方法の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0049】
ヘッドに関し、前述したプリンタ1は、長尺なヘッド32を1つ有していたが、複数の短尺ヘッドを繋ぎあわせてもよい。例えば、複数の短尺ヘッドを千鳥状に配置してラインヘッドユニットを構成してもよい。シール部材に関し、前述したプリンタ1では、ループ状のシール部材SLをノズル面に当接させるようにしていたが、ヘッド32におけるノズル面以外の部分に当接させるようにしてもよい。例えば、図8A及び図8Bに示すように、シール部材SLをヘッド32のケース部分に当接させるようにしてもよい。加えて、シール部材SLは、ループ状であればよく、無端のひも状に限定されるものではない。例えば、板状部材に対する打ち抜き加工等によって、枠状のシール部材を作製してもよい。移動機構60に関し、図8Bに示すように、プラテン13側を移動させるようにしてもよい。また、底部134にフェルトやスポンジ等のインク保持部材137(流体保持部材の一種)を取り付けてもよい。こうすると、ノズル321を通じて排出されたインクがインク保持部材137に保持される。これにより、インクが他の部分に飛散してしまう不具合を防止できる。また、インクが保持されることで空間が保湿され、蒸発抑制効果を一層高めることもできる。
【0050】
また、前述の実施形態では、流体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含む)を噴射したり吐出したりする流体吐出装置に具体化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、粉体吐出装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】プリンタの構成を説明するブロック図である。
【図2】ヘッド及びその周辺部分を説明する斜視図である。
【図3】図3Aは、ヘッドの側面図である。図3Bは、ヘッドの底面図である。
【図4】プラテンの平面図である。
【図5】プラテンの部分拡大斜視図である。
【図6】動作を模式的に説明する図である。
【図7】動作の流れを説明する図である。
【図8】図8Aは、他の実施形態におけるヘッドの底面図である。図8Bは、他の実施形態における動作を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
13 プラテン,131 凹部,134 底部,135 中段部,
137 インク保持部材,32 ヘッド,321 ノズル,
322 ノズル列,50 インク回収機構,51 吸引ポンプ,
60 移動機構,70 プリンタ側コントローラ
SL シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)流体が吐出されるノズルを、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向で少なくとも前記媒体の幅に渡って複数設けたヘッドと、
(B)複数の前記ノズルと対向する位置に配置され、前記媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する媒体支持部と、
(C)前記媒体支持部に、ループ状に設けられたシール部材と、
(D)複数の前記ノズルと前記シール部材とを近接又は離隔させるように、前記ヘッドと前記媒体支持部の少なくとも一方を移動させる移動部と、
を有し、
(E)前記媒体に対する前記流体の吐出を行わずに待機している待機状態では、
前記シール部材を前記ヘッドに接触させて、前記ヘッド、前記シール部材及び前記媒体支持部によって区画される空間に、複数の前記ノズルの開口を臨ませ、
(F)前記媒体に向けて前記流体を吐出する吐出状態では、
前記ヘッドと前記シール部材とを離隔させて、前記複数のノズルの開口と前記シール部材との間に前記媒体が通過し得る空間を設ける、流体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体吐出装置であって、
前記シール部材は、
前記媒体支持部における前記ヘッドとの対向面に設けられ、
前記媒体支持部には、
前記シール部材で囲まれた範囲内に、前記ノズルの開口が臨む凹部が設けられている、流体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体吐出装置であって、
前記シール部材は、
前記媒体支持部による前記媒体の支持位置よりも、前記ヘッドから遠い位置に設けられている、流体吐出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の流体吐出装置であって、
前記シール部材は、
弾性素材によって作製されている、流体吐出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の流体吐出装置であって、
前記移動部は、
前記ヘッドを移動させるものである、流体吐出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の流体吐出装置であって、
前記媒体支持部の表面側における、前記シール部材が区画する部位に連通され、負圧を発生する負圧発生部を有する、流体吐出装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6の何れかに記載の流体吐出装置であって、
前記凹部内に配置され、前記ノズルを通じて排出された流体を保持する流体保持材を有する、流体吐出装置。
【請求項8】
(A)流体が吐出されるノズルを、流体が着弾する媒体の搬送方向とは交差する方向で少なくとも前記媒体の幅に渡って複数設けたヘッドと、
(B)複数の前記ノズルと対向する位置に配置され、前記媒体を流体の着弾面とは反対側から支持する媒体支持部と、
(C)前記媒体支持部に、ループ状に設けられたシール部材と、
(D)を有する流体吐出装置の制御方法であって、
(E)前記媒体に対する前記流体の吐出を行わずに待機している待機状態では、
前記シール部材を前記ヘッドに接触させて、前記ヘッド、前記シール部材及び前記媒体支持部によって区画される空間に、複数の前記ノズルの開口を臨ませ、
(F)前記媒体に向けて前記流体を吐出する吐出状態では、
前記ヘッドと前記シール部材とを離隔させて、前記複数のノズルの開口と前記シール部材との間に前記媒体が通過し得る空間を設ける、流体吐出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−307862(P2008−307862A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160510(P2007−160510)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】