説明

流体噴射装置

【課題】フラッシングに伴う空吸引動作の実行時期を調整する。
【解決手段】複数の噴射ヘッド毎にキャップを設け、それぞれのキャップと接続した吸引ポンプを作動させることにより、少なくとも1つのキャップから流体を吸引する吸引動作を行う。吸引動作を行ったキャップについては、許容値を設定して、噴射ヘッドから対応するキャップに噴射された流体の量の積算値が許容値に達したら吸引動作を行う。そして、この許容値を設定する際には、吸引動作が1つのキャップのみに対して行われた場合には、複数のキャップに対して行われた場合よりも許容値を大きな値に設定する。こうすれば、1つのキャップのみの吸引動作後は、複数のキャップの吸引動作後よりもキャップ内に多くの流体が溜まるまで次回の吸引動作を遅らせて、吸引動作の回数を減らすことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ヘッドから流体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンタでは、微細なノズルから、正確な分量のインクを正確な位置に噴射することによって、高画質の画像を印刷することが可能である。また、この技術を利用して、インクの代わりに各種の流体を基板に向けて噴射すれば、電極や、センサ、バイオチップなどを製造することも可能である。
【0003】
このような技術では、インクなどの流体を、正確な位置に、正確な分量だけ噴射することが可能なように、専用の噴射ヘッドが用いられる。また、噴射ヘッド内に供給されたインクなどの流体は、時間とともに水分が蒸発、あるいは成分が揮発して粘度が増加する。粘度が増加した状態では、噴射ヘッド内の流体を正確な位置に正確な分量で噴射することができないので、流体を噴射しない間はノズルをキャップで覆うことにより、流体の増粘を抑制している。もっとも、キャップで覆っていても、少しずつ増粘していくので、定期的に噴射ヘッドから流体をキャップ内に噴射して、新たな流体を噴射ヘッドに供給する動作(フラッシング動作)が行われる。フラッシング動作により、噴射ヘッド内で増粘した流体を排出することで、新たな流体を適切に噴射することが可能となる。
【0004】
また、こうしたフラッシング動作を繰り返すうちに、キャップ内には噴射ヘッドから排出した流体が蓄積されるので、蓄積された流体をポンプで吸引してキャップ外に排出する動作(フラッシングに伴う空吸引動作)が行われる。この空吸引動作は、流体がキャップから溢れる前に適切に行う必要があることから、フラッシング動作によりキャップ内に排出した流体の量を積算しておき、その積算値が所定の閾値(空吸引閾値)に達した場合に空吸引動作を実行することで、キャップからの流体の溢れ出しを効果的に防止する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−221796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている技術では、次のような理由から、必要以上に空吸引動作を行うことがあるという問題があった。すなわち、空吸引動作によってキャップ内の流体がきれいに吸引された場合には、その後のフラッシング動作で排出される流体をたくさん蓄積することができる。これに対して、何らかの原因で空吸引動作後のキャップ内に流体が残ってしまった場合には、残った流体の量(流体残量)の分だけ、その後のフラッシング動作で蓄積できる量は少なくなる。そして、空吸引閾値は、キャップ内の流体残量が多いときを基準に設定されるのが通常であるため、流体残量が少ないときには、フラッシング動作で排出された流体の積算値が空吸引閾値に達することで、本来は必要がないのに空吸引動作を行うことになる。結果として、空吸引動作を行う頻度が高くなり、流体を噴射する処理の遅延が生じてしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、空吸引動作後のキャップ内の状態に応じて、次回の空吸引動作の実行時期を調整することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の流体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
複数の噴射ヘッドから流体を噴射する流体噴射装置であって、
前記複数の噴射ヘッドの各々に対応して設けられ、該噴射ヘッドからの流体を受ける流体受け部と、
複数の前記流体受け部と接続された吸引ポンプを作動させることにより、少なくとも1つの前記流体受け部から流体を吸引する吸引動作を行う吸引動作実行手段と、
前記吸引動作が終了すると、流体が吸引された前記流体受け部について、対応する噴射ヘッドからの流体を溜めることが可能な許容値を設定する許容値設定手段と、
前記噴射ヘッドから対応する前記流体受け部に噴射された流体の量を、前記流体受け部毎に積算する積算手段と、
前記複数の流体受け部の何れかで前記積算値が前記許容値に達すると、少なくとも該許容値に達した流体受け部に対して前記吸引動作を実行することを、前記吸引動作実行手段に指示する吸引動作指示手段と
を備え、
前記許容値設定手段は、前記複数の流体受け部の中の1つの流体受け部のみに対して前記吸引動作が行われた場合には、2つ以上の流体受け部に対して前記吸引動作が行われた場合よりも前記許容値を大きな値に設定する手段であることを要旨とする。
【0009】
このような本発明の流体噴射装置においては、複数の噴射ヘッドの各々に対応して流体受け部が設けられているとともに、それぞれの流体受け部には吸引ポンプが接続されており、この吸引ポンプを作動させることによって、少なくとも1つの流体受け部から流体を吸引することが可能となっている。また、吸引動作が行われた流体受け部については、許容値を設定するとともに、噴射ヘッドから対応する流体受け部に噴射された流体の量を流体受け部毎に積算して、何れかの流体受け部で積算値が許容値に達したら、少なくとも許容値に達した流体受け部に対して吸引動作を実行する。そして、この許容値の設定に際しては、吸引動作が1つの流体受け部に対して行われたのか否かを判断し、1つの流体受け部のみに対して行われた場合には、2つ以上の流体受け部に対して行われた場合よりも許容値を大きな値に設定するようになっている。
【0010】
吸引ポンプを作動させて複数(2以上)の流体受け部から流体を吸引した場合には、吸引ポンプの吸引力が各流体受け部に分散するので、1つの流体受け部のみから流体を吸引する場合よりも吸引力が弱くなる。また、複数の流体受け部の中で流体の量が少なかった流体受け部において流体の吸引が完了すると、その流体受け部と吸引ポンプとが連通した状態となって他の流体受け部には吸引力が作用しなくなるので、これら他の流体受け部では流体が吸引されずに残ってしまう。このため、吸引動作を行った流体受け部が1つのみの場合は、複数の場合に比べて流体受け部内に残る流体の量(流体残量)が少ない傾向にあるところ、複数の場合と同様の許容値を設定することとすると、流体受け部内にまだ流体を溜める余地があるのに必要以上に吸引動作を行うことになる。こうした点に鑑み、本発明の流体噴射装置では、吸引動作を行った流体受け部が1つのみであれば、複数の場合よりも許容値を大きな値に設定することとしている。これにより、1つの流体受け部のみに対する吸引動作後は、複数の流体受け部に対する吸引動作後よりも流体受け部内に多くの流体が溜まるまで次回の吸引動作の実行時期を遅らせて、吸引動作の実行回数を減らすことが可能となる。結果として、流体を噴射する処理の遅延を少なくすることができる。また、吸引動作のための吸引ポンプの稼働回数が減少するので、吸引ポンプの耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0011】
上述した本発明の流体噴射装置においては、次のようにしてもよい。先ず、流体受け部を対応する噴射ヘッドに当接することで閉鎖空間を形成し、この閉鎖空間に吸引ポンプの負圧を印加することによって、少なくとも1つの噴射ヘッドから流体を吸引するクリーニング動作を行う。そして、クリーニング動作を終了したら、開放弁を開放して閉鎖空間の負圧を解除した後、クリーニング動作が行われた噴射ヘッドに対応する流体受け部に対して吸引動作を実行する。
【0012】
流体噴射装置では、噴射ヘッド内で流体が増粘した状態になると、増粘した流体を除去するためにクリーニング動作を行う必要があり、このクリーニング動作には、1つの噴射ヘッドのみを指定して行う場合と、複数の噴射ヘッドを指定して行う場合とがある。そして、クリーニング動作の終了後は、クリーニング動作によって流体受け部に溜まった流体を吸引するため、クリーニング動作を行った噴射ヘッドに対応する流体受け部に対して吸引動作を行うようになっている。そのため、1つの噴射ヘッドのみのクリーニング動作(単列クリーニング)に伴う吸引動作後は、複数の噴射ヘッドのクリーニング動作(複数列クリーニング)に伴う吸引動作後に比べて、流体受け部内の流体残量が少ない傾向にある。そこで、単列クリーニングに伴う吸引動作後には、複数列クリーニングに伴う吸引動作終了後よりも許容値を大きな値に設定することによって、積算値が許容値に達することで行われる次回の吸引動作を遅延させて、吸引動作の回数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】インクジェットプリンタを例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】キャリッジケースの底面に複数の噴射ヘッドが設けられている様子を示す説明図である。
【図3】本実施例のインクジェットプリンタに搭載されたメンテナンス機構の構成を示した説明図である。
【図4】本実施例のインクジェットプリンタがフラッシング動作を行う際に実行する処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】本実施例のインクジェットプリンタがクリーニング動作を行う際に実行する処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】指定した噴射ヘッドからインクを吸い出す様子を示した説明図である。
【図7】クリーニングに伴う空吸引動作を終了した後のキャップ内の様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.流体噴射装置の構成:
A−2.メンテナンス機構の構成:
B.本実施例のフラッシング動作:
C.本実施例のクリーニング動作:
【0015】
A.装置構成 :
A−1.流体噴射装置の構成 :
図1は、いわゆるインクジェットプリンタを例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。図示されているように、インクジェットプリンタ10は、主走査方向に往復動しながら印刷媒体2上にインクドットを形成するキャリッジ20と、キャリッジ20を往復動させる駆動機構30と、印刷媒体2の紙送りを行うためのプラテンローラ40と、正常に印刷可能なようにメンテナンスを行うメンテナンス機構50などから構成されている。キャリッジ20には、インクを収容したインクカートリッジ26や、インクカートリッジ26が装着されるキャリッジケース22、キャリッジケース22の底面側(印刷媒体2に向いた側)に搭載されてインクを噴射する噴射ヘッド24などが設けられており、インクカートリッジ26内のインクを噴射ヘッド24に導いて、噴射ヘッド24から印刷媒体2に正確な分量だけインクを噴射することによって、画像が印刷されるようになっている。
【0016】
キャリッジ20を往復動させる駆動機構30は、主走査方向に延設されたガイドレール38と、内側に複数の歯形が形成されたタイミングベルト32と、タイミングベルト32の歯形と噛み合う駆動プーリ34と、駆動プーリ34を駆動するためのステップモータ36などから構成されている。タイミングベルト32の一部はキャリッジケース22に固定されており、タイミングベルト32を駆動することによって、ガイドレール38に沿ってキャリッジケース22を移動させることができる。また、タイミングベルト32と駆動プーリ34とは歯形によって互いに噛み合っているので、ステップモータ36で駆動プーリ34を駆動すると、駆動量に応じて精度良くキャリッジケース22を移動させることが可能となっている。
【0017】
印刷媒体2の紙送りを行うプラテンローラ40は、図示しない駆動モータやギア機構によって駆動されて、印刷媒体2を副走査方向に所定量ずつ紙送りすることが可能である。
【0018】
また、メンテナンス機構50は、印字領域外のホームポジションと呼ばれる領域に設けられている。メンテナンス機構50は、大まかに言えば、キャップユニット100、およびポンプユニット150から構成されている。キャップユニット100は、噴射ヘッド24毎に設けられており、それぞれのキャップユニット100を個別に上下動させることが可能となっている。メンテナンス機構50の詳細な構成については、後述する。
【0019】
図2は、キャリッジケース22を底面側(印刷媒体2の側)から見た様子を示す説明図である。図示されるように、キャリッジケース22の底面には、複数の噴射ヘッド24が設けられている。尚、本実施例のキャリッジケース22には、4つの噴射ヘッド24が設けられている。これは、本実施例のインクジェットプリンタ10は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクの4種類のインクを噴射可能であり、これらインク毎に噴射ヘッド24が設けられている為である。また、各噴射ヘッド24には、複数の噴射ノズルが、一定の間隔を空けて千鳥状に形成されている。各噴射ヘッド24は、これらの噴射ノズルから、それぞれの種類のインクを噴射することによって、印刷媒体2上に画像を印刷することができる。
【0020】
A−2.メンテナンス機構の構成 :
図3は、本実施例のインクジェットプリンタ10に搭載されたメンテナンス機構50の構成を示した説明図である。前述したように、メンテナンス機構50は、大まかには、キャップユニット100、およびポンプユニット150から構成されている。また、キャップユニット100は、噴射ヘッド24毎に設けられている。図2に示したように、本実施例では、4つの噴射ヘッド24が設けられているから、キャップユニット100も4つ、設けられている。
【0021】
図中に示されているように、キャップユニット100は、略矩形形状をしたキャッププレート116の上面のほぼ中央に、ゴムなどの弾性樹脂材料を用いて「ロの字型」に形成されたキャップ114が設けられ、そして、キャッププレート116の上面の一端には、板状のワイパーブレード112が突設されて構成されている。また、4つのキャップユニット100は、図示しないアクチュエータによって、個別に上下動させることが可能となっている。そして、キャリッジ20をホームポジションに移動させて、キャップユニット100を上昇させると、キャップ114が噴射ヘッド24に押し付けられて、噴射ノズルの部分からインクが増粘することを防ぐことが可能となる。
【0022】
もっとも、噴射ヘッド24にキャップ114を押し付けていても、少しずつインクの水分や揮発成分が減少して増粘が進んでいくので、定期的に噴射ヘッド24からインクをキャップ114の内側に噴射する動作(フラッシング動作)を行うことにより、増粘したインクを排出して新しいインクを噴射ヘッド24に供給する。
【0023】
また、「ロの字型」に形成されたキャップ114の内側には、小さな排出口が設けられており、排出口は、樹脂製のチューブ130を介して、ポンプユニット150に接続されている。
【0024】
ポンプユニット150の内部には、各キャップユニット100からのチューブ130が接続される切換ユニット152や、負圧を発生させて液体を吸引する吸引ポンプ156などが設けられている。各キャップユニット100からのチューブ130は、切換ユニット152の内部で1つの通路にまとめられた後、樹脂製の接続チューブ154を介して吸引ポンプ156に接続される。詳しくは後述するが、前述したフラッシング動作を繰り返すうちに、噴射ヘッド24から噴射されたインクがキャップ114の内側に溜まった場合には、吸引ポンプ156で吸引してキャップ114内のインクを排出する動作(フラッシングに伴う空吸引動作)を行うようになっている。
【0025】
また、長期間に亘ってインクジェットプリンタ10が使用されなかったなどの理由でインクの増粘が進んでしまうことがあるので、このような場合には、吸引ポンプ156を作動させてキャップ114の内側を負圧にすることにより、噴射ヘッド24内の増粘したインクを吸い出す動作(クリーニング動作)を行うことが可能となっている。尚、本実施例のインクジェットプリンタ10では、切換ユニット152の内部に設けられた開閉バルブの開閉を選択することにより、前述した4つの噴射ヘッド24の中の1つだけ、あるいは複数を指定してクリーニング動作を行うことが可能である。本実施例のクリーニング動作の詳細については、後述する。
【0026】
加えて、本実施例のキャップユニット100は、キャップユニット100を下げた状態で、各キャップユニット100を前後方向に動かすことも可能となっている。すなわち、キャップユニット100を上下動させるアクチュエータとは別に、キャップユニット100を前後方向に動かすアクチュエータ(図示は省略)も設けられており、所定位置までキャップユニット100を下降させると、そのキャップユニット100を前後動させることが可能となっている。前述したクリーニング動作を行うと、噴射ノズルの周囲には吸い出されたインクが付着した状態となっており、そのまま放置しておけば、噴射ノズルが目詰まりするなどの不具合の原因になる。そこで、クリーニング動作の終了後は、キャップユニット100を下げた状態で前後方向に動かすことによって、噴射ノズルの周囲に付着しているインクを、キャップユニット100の一端に突設されたワイパーブレード112で拭き取る動作(ワイピング動作)を行うようになっている。
【0027】
本実施例のインクジェットプリンタ10では、以上のようなメンテナンス機構によって各種のメンテナンスを行うことにより、正常に印刷可能な状態を維持している。以下では、本実施例のインクジェットプリンタ10で行われるメンテナンスのうち、フラッシング動作およびクリーニング動作について説明する。
【0028】
B.本実施例のフラッシング動作 :
図4は、本実施例のインクジェットプリンタ10がフラッシング動作を行う際に実行する処理(フラッシング処理)の流れを示したフローチャートである。かかる処理を開始すると、先ず初めに、前回にフラッシング動作あるいはクリーニング動作を行ってから、規定時間が経過したか否かを判断する(ステップS100)。前述したように、印刷を行っていないときには噴射ヘッド24にキャップ114を押し付けているものの、少しずつインクの水分や揮発成分が減少して増粘が進んでいく。また、印刷中においても、必ずしも全ての噴射ノズルからインクを噴射するわけではないので、噴射していないノズルでは増粘が進んでいく。そこで、本実施例のインクジェットプリンタ10では、フラッシング動作あるいはクリーニング動作によって噴射ヘッド24に新しいインクが供給された際に経過時間の計時を開始して、規定時間が経過した場合には、フラッシング動作を行うこととしている。そのため、経過時間が規定時間に達していない場合には(ステップS100:no)、規定時間に達するまでそのまま待機する。
【0029】
そして、経過時間が規定時間に達した場合には(ステップS100:yes)、噴射ヘッド24からインクをキャップ114内に噴射する動作(フラッシング動作)を実行する(ステップS102)。フラッシング動作では、キャリッジ20をホームポジションに移動させるとともに、各キャップ114を対応する噴射ヘッド24に近づけた後、噴射ヘッド24の全ての噴射ノズルから一斉にインクを噴射する。これにより、全ての噴射ノズルを正常な状態に保っておくことが可能となる。尚、印刷中も経過時間を計時していることから、印刷中に経過時間が規定時間に達した場合には、印刷を一旦中断して、フラッシング動作を行うことになる。また、前述したように、本実施例のインクジェットプリンタ10では、4つの噴射ヘッド24が設けられており、フラッシング動作をこのうちの1つ噴射ヘッド24だけで行ってもよいし、もちろん、複数の噴射ヘッド24で同時に行うことも可能である。
【0030】
こうしてフラッシング動作を終了すると、噴射ヘッド24から噴射したインクの量を積算する処理を行う(ステップS104)。本実施例のインクジェットプリンタ10では、フラッシング動作において噴射ヘッド24から所定量のインクを噴射することとしており、フラッシング動作を行う度に、この所定量を積算していく。また、噴射したインク量の積算は、噴射ヘッド24毎(キャップ114毎)に行われ、本実施例では、4つの噴射ヘッド24のそれぞれについて、噴射したインク量が積算される。尚、本実施例では、噴射ヘッド24から噴射するインク量を重量(g)で管理しているが、もちろん、体積(ml)で管理することとしてもよい。
【0031】
フラッシング動作で噴射したインク量の積算を行ったら、次いで、その積算値が空吸引閾値に達したか否かを判断する(ステップS106)。ここで、空吸引閾値とは、フラッシングに伴う空吸引動作(フラッシング動作によりキャップ114内に溜まったインクを排出する動作)を実行する基準として予め設定される数値であり、キャップ114内に溜めることが可能なインク量に基づいて設定される。そして、積算値が空吸引閾値に達していないと判断された場合は(ステップS106:no)、フラッシング処理の先頭に戻って、再び規定時間が経過したか否かを判断し(ステップS100)、規定時間が経過したら(ステップS100:yes)、上述した一連の処理を繰り返す。
【0032】
これに対して、積算値が空吸引閾値に達したと判断された場合は(ステップS106:yes)、フラッシングに伴う空吸引動作を実行する(ステップS108)。前述したように、本実施例では、フラッシング動作で噴射したインク量を噴射ヘッド24毎(キャップ114毎)に積算しており、積算値が空吸引閾値に達したキャップ114に対して空吸引動作を実行する。図3に示したように、各キャップ114は、切換ユニット152を介して吸引ポンプ156に接続されていることから、フラッシングに伴う空吸引動作では、吸引ポンプ156を作動させるとともに、切換ユニット152の内部に設けられた開閉バルブの開閉の選択により、積算値が空吸引閾値に達したキャップ114からインクを吸引して排出する。
【0033】
こうしてフラッシングに伴う空吸引動作を実行したら、それまでのフラッシング動作で噴射したインク量の積算値をクリアする(「0」に戻す)とともに(ステップS110)、空吸引閾値を初期値(例えば、0.07g)に設定する(ステップS112)。本実施例のインクジェットプリンタ10では、後述する所定の条件が満たされると、空吸引閾値の設定を変更するようになっていることから、積算値が空吸引閾値に達して空吸引動作を行ったら、空吸引閾値を初期値に戻す処理を行う。尚、積算値をクリアする処理や、空吸引閾値を初期値に設定する処理は、空吸引動作が行われたキャップ114(すなわち、積算値が空吸引閾値に達したキャップ114)に対してのみ行われる。
【0034】
そして、空吸引閾値を初期値の設定する処理を終了すると、フラッシング処理の先頭に戻って、再び規定時間が経過したか否を判断した後(ステップS100)、続く上述した一連の処理を実行する。
【0035】
C.本実施例のクリーニング動作 :
図5は、本実施例のインクジェットプリンタ10がクリーニング動作を行う際に実行する処理(クリーニング処理)の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、キャリッジ20をホームポジションに移動させて、各キャップユニット100のキャップ114を対応する噴射ヘッド24に押し付けた状態で開始される。
【0036】
クリーニング処理を開始すると、先ず初めに、クリーニング動作を行う噴射ヘッド24の指定を行う(ステップS200)。前述したように、本実施例のインクジェットプリンタ10では、4つの噴射ヘッド24が設けられており、このうちの何れか1つだけ、あるいは複数を指定してクリーニング動作を行うことが可能となっている。また、クリーニング動作が必要な噴射ヘッド24は、例えば、所定のテストパターンを印刷するなどして、インクジェットプリンタ10のユーザーが予め調べておき、インクジェットプリンタ10に設けられた操作パネル(図示は省略)によって選択することが可能となっている。従って、ステップS200では、操作パネルでの選択情報に基づいて、4つの噴射ヘッド24の中の少なくとも何れか1つを指定する処理を行う。
【0037】
こうしてクリーニング動作を行う噴射ヘッド24を指定したら、吸引ポンプ156を作動させて、指定した噴射ヘッド24からのインクの吸引を開始する(ステップS202)。図6は、指定した噴射ヘッド24からインクを吸い出す様子を示した説明図である。このうち、図6(a)は、4つの噴射ヘッド24の全てを指定して吸引を行う様子を示している。一方、図6(b)は、4つの噴射ヘッド24の中の左から2番目の噴射ヘッド24だけを指定して吸引を行う様子を示している。尚、図6では、キャッププレート116についての図示が省略されている。
【0038】
図6に示されているように、4つの噴射ヘッド24の各々に対応する4つのキャップ114は、切換ユニット152を介して吸引ポンプ156に接続されており、この切換ユニット152の内部には、各キャップ114からのチューブ130が接続される通路に、1つずつ開閉バルブ153が設けられている。これらの開閉バルブ153は、通常時には「閉」状態となっているが、クリーニング動作を行う際には、指定された噴射ヘッド24に対応する開閉バルブを「開」状態とすることにより、吸引ポンプ156の作動で発生する負圧をキャップ114に導いて、噴射ヘッド24内のインクを吸い出すことが可能となる。
【0039】
図6(a)では、4つの開閉バルブ153を全て「開」状態として、吸引ポンプ156を作動させており、4つのキャップ114のそれぞれに負圧が及ぶことから、4つ全ての噴射ヘッド24からインクが吸い出されることになる。尚、吸い出されたインクは、切換ユニット152内の通路を経由して、最終的には吸引ポンプ156から排出される。
【0040】
一方、図6(b)では、指定された左から2番目の噴射ヘッド24に対応する開閉バルブ153だけを「開」状態として、それ以外の開閉バルブ153は「閉」状態のままとなっている。そのため、左から2番目のキャップ114にのみ選択的に吸引ポンプ156の負圧が及んで、噴射ヘッド24内のインクが吸い出されることになる。尚、図6(b)では、指定されていない(クリーニング動作を行わない)噴射ヘッド24に対応するキャップ114については、破線で示されている。
【0041】
以上のようにして、指定した噴射ヘッド24からのインクの吸引を終了すると、噴射ヘッド24から吸い出されてキャップ114内に溜まったインクを排出する動作(クリーニングに伴う空吸引動作)を行う(ステップS204)。本実施例のインクジェットプリンタ10では、各キャップ114と接続された大気開放弁(図示は省略)が設けられており、吸引ポンプ156を作動させたまま、この大気開放弁を開けてキャップ114内に大気を導入する(キャップ114内の負圧を解除する)ことによって、クリーニングに伴う空吸引動作を開始する。そして、所定時間が経過したら、吸引ポンプ156を停止させて、空吸引動作を終了する。
【0042】
図7は、クリーニングに伴う空吸引動作を終了した後のキャップ114内の様子を示した説明図である。図7(a)は、4つの噴射ヘッド24の全てを指定してクリーニング動作を行って、それに伴う空吸引動作が終了した後の様子を示している。前述しようにクリーニング動作は、指定された噴射ヘッド24に対応する開閉バルブ153を「開」状態にして行われ、その後の空吸引動作においても、開閉バルブ153の「開」状態はそのまま維持される。そのため、4つの噴射ヘッド24を指定してクリーニング動作を行った場合は、空吸引動作の際に吸引ポンプ156の吸引力が4つのキャップ114のそれぞれに分散することになる。加えて、各キャップ114内に溜まったインクの量に差がある場合には、最も量が少ないキャップ114でインクの排出が完了すると、そのキャップ114と吸引ポンプ156とが連通した状態となるので、インクが未だ残っている他のキャップ114に吸引ポンプ156の吸引力が及ばなくなる。図7(a)には、左から3番目のキャップ114で最初にインクの排出が完了したことにより、それ以外のキャップ114ではインクが残っている例が示されている。
【0043】
これに対して、図7(b)は、4つの噴射ヘッド24の中の左から2番目の噴射ヘッド24だけを指定してクリーニング動作を行って、それに伴う空吸引動作が終了した後の様子を示している。1つの噴射ヘッド24だけを指定してクリーニング動作を行った場合には、対応する1つの開閉バルブ153のみ「開」状態となっており、空吸引動作において吸引ポンプ156の吸引力が、クリーニング動作を行った噴射ヘッド24に対応する1つのキャップ114だけに集中してかかることになる。そのため、複数の噴射ヘッド24を指定してクリーニング動作を行った場合に比べて、空吸引動作の終了時にはキャップ114内のインクがきれいに排出されているのが通常である。図7(b)には、クリーニング動作が行われた左から2番目の噴射ヘッド24に対応するキャップ114について、空吸引動作によってインクがきれいに排出された状態が示されている。尚、図7(b)では、クリーニング動作が行われなかった噴射ヘッド24に対応するキャップ114については、破線で示されている。これらの噴射ヘッド24に対応するキャップ114内のインクの量については、クリーニング動作の前後でほとんど変化はない。
【0044】
図5に示したクリーニング処理では、クリーニングに伴う空吸引動作を終了すると、前述したフラッシングに伴う空吸引動作を終了した場合(図4のステップS108)と同様に、それまでのフラッシング動作で噴射したインク量の積算値をクリアする(ステップS206)。尚、積算値のクリアが行われるのは、クリーニング動作が行われた(指定された)噴射ヘッド24に対してのみであり、クリーニング動作が行われなかった(指定されていない)噴射ヘッド24に対しては行われない。
【0045】
積算値をクリアする処理に続いて、今回行ったクリーニング動作が、1つの噴射ヘッド24だけを指定したクリーニング動作(以下、単列クリーニング)であったか否かを判断する(ステップS208)。そして、単列クリーニングではなかった場合、すなわち、複数の噴射ヘッド24を指定したクリーニング動作(以下、複数列クリーニング)であった場合には(ステップS208:no)、複数列クリーニング後の空吸引閾値(例えば、0.05g)を設定した後(ステップS210)、図5のクリーニング処理を終了する。前述したように空吸引閾値とは、フラッシングに伴う空吸引動作を行うか否かを判断する際に基準となる数値である。こうして複数列クリーニング後の空吸引閾値が設定されると、前述したフラッシング処理(図4参照)では、フラッシング動作で噴射したインク量の積算値が「複数列クリーニング後の空吸引閾値」に達することによって、フラッシングに伴う空吸引動作が実行される(図4のステップS106,108)。
【0046】
一方、今回行ったクリーニング動作が単列クリーニングであった場合には(ステップS208:yes)、単列クリーニング後の空吸引閾値(例えば、0.1g)を設定した後(ステップS212)、図5のクリーニング処理を終了する。尚、単列クリーニング後の空吸引閾値は、クリーニング動作が行われた噴射ヘッド24に対応するキャップ114にのみ設定される。図7に示したように、複数列クリーニングを行った場合と、単列クリーニングを行った場合とで、クリーニングに伴う空吸引動作を終了した時点でのキャップ114内の状態を比較すると、単列クリーニングの場合は、複数列クリーニングの場合よりもキャップ114内に残るインクの量(以下、インク残量)が少ない傾向にあり、その分だけ、クリーニング動作後に行われるフラッシング動作では、多くのインクを溜めておくことが可能となる。こうした点に鑑み、本実施例のインクジェットプリンタ10では、単列クリーニング後の空吸引閾値を複数列クリーニング後の空吸引閾値よりも大きな値に設定している。こうして単列クリーニング後の空吸引閾値が設定された状態で図4のフラッシング処理が行われると、フラッシング動作で噴射したインク量の積算値が「単列クリーニング後の空吸引閾値」に達することによって、フラッシングに伴う空吸引動作が実行される。その結果、単列クリーニング後は、複数列クリーニング後に比べて、フラッシングに伴う空吸引動作の実行時期が延期されることになる。
【0047】
以上に説明したように、本実施例のインクジェットプリンタ10では、フラッシング動作によって噴射ヘッド24から対応するキャップ114に噴射したインク量を積算しておき、その積算値が空吸引閾値に達すると、フラッシングに伴う空吸引動作を実行して、キャップ114内に溜まったインクを排出するようになっている。そして、この空吸引閾値は、先に行われたクリーニング動作の態様に応じて異なる値が設定され、単列クリーニング後は、複数列クリーニング後よりも大きな値に設定される。このため、フラッシングに伴う空吸引動作が必要以上に行われることを回避することが可能となる。すなわち、仮に単列クリーニング後にも、複数列クリーニング後と同じ空吸引閾値を設定することとした場合には、前述したように単列クリーニング後のキャップ114には複数列クリーニング後よりも多くのインクを溜めることが可能であることから、単列クリーニング後においては、フラッシングに伴う空吸引動作を、まだキャップ114内にインクを溜めることができるのに実行することになる。これに対して、単列クリーニング後の空吸引閾値を複数列クリーニング後よりも大きな値に設定することとすれば、単列クリーニング後は、複数列クリーニング後よりもキャップ114内に多くのインクが溜まるまで、フラッシングに伴う空吸引動作の実行を遅らせて、必要以上に行うことを回避することが可能となる。結果として、空吸引動作によって生じる印刷時間の遅延を減少することができる。また、空吸引動作のための吸引ポンプ156の稼働回数が減少するので、吸引ポンプ156の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0048】
以上、本実施例の流体噴射装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0049】
例えば、上述した実施例では、フラッシングに伴う空吸引動作は、積算値が空吸引閾値に達したキャップ114に対して実行するものとして説明した。しかし、何れかのキャップ114で積算値が空吸引閾値に達したら、全てのキャップ114に対して空吸引動作を行うこととしてもよい。尚、複数のキャップ114に対して同時に空吸引操作を行う場合、各キャップ114内の溜まっているインクの量に差があると、最もインクの少ないキャップ114でインクの排出が完了した時点で、そのキャップ114と吸引ポンプ156とが連通した状態となり、他のキャップ114に吸引ポンプ156の吸引力が及ばなくなることから、キャップ114毎に空吸引動作を行うことが好ましい。具体的には、吸引ポンプ156を作動させるとともに、複数の開閉バルブ153の中の何れか1つだけを「開」状態とし、キャップ114内のインクを吸引したら、そのバルブを「閉」状態とした後、次のバルブを「開」状態とする。これを順に繰り返すことにより、キャップ114毎に空吸引動作を行う。このようにすれば、空吸引動作を行う前の各キャップ114内のインク量に差があっても、各キャップ114から均一に吸引を行って、空吸引動作の終了後においては、各キャップ114内のインク残量の差を小さくすることが可能となる。
【0050】
また、フラッシングに伴う空吸引動作を1つのキャップ114のみに対して行う場合と、複数のキャップ114に対して行う場合とを設けてもよい。そして、複数のキャップ114に対して行う場合に、空吸引動作を複数のキャップ114で一斉に実行するのであれば、前述したクリーニングに伴う空吸引動作と同様に、1つのキャップ114のみの空吸引動作後は、複数のキャップ114で一斉に行った空吸引動作後よりもキャップ114内のインク残量が少ない傾向にあるので、空吸引閾値を大きな値に設定することとしてもよい。これにより、フラッシングに伴う空吸引動作の回数を減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10…インクジェットプリンタ、 20…キャリッジ、
22…キャリッジケース、 24…噴射ヘッド、 30…駆動機構、
40…プラテンローラ、 50…メンテナンス機構、
100…キャップユニット、 112…ワイパーブレード、
114…キャップ、 116…キャッププレート、 130…チューブ、
150…ポンプユニット、 152…切換ユニット、 153…開閉バルブ、
154…接続チューブ、 156…吸引ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴射ヘッドから流体を噴射する流体噴射装置であって、
前記複数の噴射ヘッドの各々に対応して設けられ、該噴射ヘッドからの流体を受ける流体受け部と、
複数の前記流体受け部と接続された吸引ポンプを作動させることにより、少なくとも1つの前記流体受け部から流体を吸引する吸引動作を行う吸引動作実行手段と、
前記吸引動作が終了すると、流体が吸引された前記流体受け部について、対応する噴射ヘッドからの流体を溜めることが可能な許容値を設定する許容値設定手段と、
前記噴射ヘッドから対応する前記流体受け部に噴射された流体の量を、前記流体受け部毎に積算する積算手段と、
前記複数の流体受け部の何れかで前記積算値が前記許容値に達すると、少なくとも該許容値に達した流体受け部に対して前記吸引動作を実行することを、前記吸引動作実行手段に指示する吸引動作指示手段と
を備え、
前記許容値設定手段は、前記複数の流体受け部の中の1つの流体受け部のみに対して前記吸引動作が行われた場合には、2つ以上の流体受け部に対して前記吸引動作が行われた場合よりも前記許容値を大きな値に設定する手段である流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記流体受け部を対応する前記噴射ヘッドに当接することによって該噴射ヘッドの周囲に閉鎖空間を形成した後、前記吸引ポンプを作動させて該閉鎖空間内に負圧を印加することにより、前記複数の噴射ヘッドの少なくとも1つの噴射ヘッドから流体を吸引するクリーニング動作を行うクリーニング動作実行手段と、
前記クリーニング動作が終了すると、前記流体受け部に接続された開放弁を開放して大気を導入することにより、前記閉鎖空間内の負圧を解除する負圧解除手段と
を備え、
前記吸引動作実行手段は、前記閉鎖空間内の負圧が解除されると、前記クリーニング動作が行われた前記噴射ヘッドに対応する前記流体受け部に対して前記吸引動作を実行する手段である流体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208175(P2010−208175A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57504(P2009−57504)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】