説明

流体強制流通装置および流体の強制流通方法

【課題】ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることのできる流体強制流通装置および流体の強制流通方法を提供することを目的とする。
【解決手段】流体強制流通装置は、各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板と、2つの電位板間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された振動体と、複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるように制御する制御部と、を有している。2つの電位板と振動体に配設された複数の電極との間で発生する静電気力により当該振動体を振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する2つの電位板の間の流体を強制的に流通させる流体強制流通装置および流体の強制流通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどのコンピュータや電源装置など電子装置には、CPU(中央演算処理装置)などの演算処理チップ、トランジスタなどの半導体素子など発熱する部品が含まれている。
【0003】
これらの電子装置には、発熱部品に密着させたヒートシンク(放熱板)によって当該発熱部品から伝達される熱を放熱するとともに、ファンを使用してその放熱された熱により暖められた空気を外部へ流通(排出)させることにより当該ヒートシンクを冷却することで、当該発熱部品を冷却するようにしたものがある。
【0004】
なお、ヒートシンクを用いた電子装置の冷却機構に関する技術として、例えば特開2006−85422号公報に記載のものがある。
【特許文献1】特開2006−85422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒートシンクとファンを使用した上述した従来技術では、そのファンから発せられる音(モータ音、風切音)による騒音とファンを設置するスペースが必要であるという問題があった。
【0006】
また、放熱フィンの間隔を狭くして、放熱フィンの数を多くすることで、放熱効率を向上させることが可能となるが、放熱フィン間の間隔が狭くなると、その隙間の空気(放熱された熱により暖められた空気)が流通し難くなり、その隙間に滞留することになる。そのため、この場合は、放熱された熱により暖められ滞留した空気を大型のファンにより強制的に外部へ排出させる構造にする必要がある。しかし、ファンが大型化になるにつれて、そのファンから発せられるモータ音や風切音も大きくなり、電子装置からは、常にこれらの音(による騒音)が発生するという問題がある。
【0007】
これと同時に、ファンの大型化に伴って、その設置スペースも多く必要とし、電子装置の小型化を図ることは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることのできる流体強制流通装置および流体の強制流通方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の流体強制流通装置は、各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板と、前記2つの電位板間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された振動体と、前記複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるように制御する制御手段と、を有し、前記2つの電位板と前記振動体に配設された複数の電極との間で発生する静電気力により当該振動体を振動させる、ことを特徴とする。
【0010】
これにより、静電気力により複数の電極が対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体を振動させることができるので、ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記2つの電位板においては、一方の電位板には負極性または正極性の電位が与えられ、他方の電位板には当該一方の電位板に与えられる電位の極性とは異なる極性の電位または零電位が与えられる、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、対向する2つの電位板の間に確実に所定の電位差を発生させることができる。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記振動体は、フレキシブル基板を有し、このフレキシブル基板に前記複数の電極が前記所定の流通方向と同一の方向に配設されている、ことを特徴とする。
【0014】
これにより、静電気力により複数の電極が対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、フレキシブル基板を振動させることができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、前記2つの電位板における前記振動体と対向する側または前記振動体に配設された複数の電極に対し絶縁性に関わるコーティング処理が施されている、ことを特徴とする。
【0016】
これにより、電位板と振動体に配設された複数の電極との間での絶縁性を確保することができる。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、前記複数の電極は、3以上の電極毎にグループ化され、1以上のグループに対応する複数の電極であり、前記制御手段は、各々のグループ内の複数の電極のそれぞれに対し互いに位相の異なる交流電圧が付与されるように制御する、ことを特徴とする。
【0018】
これにより、静電気力により1以上のグループに対応する複数の電極のそれぞれが順次対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体を周期性をもって振動させることができる。
【0019】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、前記制御手段は、前記振動体に複数のグループに対応する複数の電極が配設されている場合は、各々のグループ内における複数の電極に対し、グループ内の電極の並び順における同一順位の電極に対しては同相の交流電圧が付与されるように制御する、ことを特徴とする。
【0020】
これにより、振動体の所定の流通方向の長さを一定とした場合、静電気力により複数のグループに対応する複数の電極のそれぞれが順次対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体を短い周期をもって振動させることができる。
【0021】
請求項7に記載の本発明の流体強制流通装置は、各々が零電位が与えられる対向する2つの第1の電位板と、前記2つの電位板間に介在し正極性または負極性の電位が与えられる第2の電位板と、前記2つの第1の電位板のうちの一方の第1の電位板と前記第2の電位板との間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された第1の振動体と、前記2つの第1の電位板のうちの他方の第1の電位板と前記第2の電位板との間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された第2の振動体と、前記第1の振動体および前記第2の振動体のそれぞれに配設された複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるように制御する制御手段と、を有し、前記一方の第1の電位板および前記第2の電位板と前記第1の振動体に配設された複数の電極との間で発生する静電気力により当該第1の振動体を振動させるとともに、前記他方の第1の電位板および前記第2の電位板と前記第2の振動体との間で発生する静電気力により当該第2の振動体を振動させる、ことを特徴とする。
【0022】
これにより、静電気力により複数の電極が一方の第1の電位板または第2の電位板の方向へ移動するのに伴って、第1の振動体を振動させることができるとともに、静電気力により複数の電極が他方の第1の電位板または第2の電位板の方向へ移動するのに伴って、第2の振動体を振動させることができるので、ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることができる。
【0023】
請求項8に記載の本発明の流体の強制流通方法は、各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板の間に所定の電位差を発生させるとともに、当該2つの電位板間に介在しこれらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された振動体に対し所定の交流電圧を与え、前記2つの電位板間に所定の電位差が発生している状態で前記複数の電極に前記所定の交流電圧が与えられたことに起因して発生する静電気力により当該振動体を振動させ、当該2つの電位板間の流体を前記所定の流通方向に強制的に流通させる、ことを特徴とする。
【0024】
これにより、静電気力により複数の電極が対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体を振動させることができるので、ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の流体強制流通装置および流体の強制流通方法によれば、静電気力により複数の電極が対向する2つの電位板のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体を振動させることができるので、ファンを使用することなく電位板間の流体を強制的に所定の方向へ流通させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の構成要素には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
【0028】
図1は、本発明に係る流体強制流通装置の原理を説明する図を示している。
【0029】
流体強制流通装置は、図1に示すように、各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板11,12と、2つの電位板間11,12に介在し、これらの電位板間の流体例えば気体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極(これの詳細については後述する)が配設された振動体20と、を有している。
【0030】
2つの電位板11,12は導電性の材質例えば銅やアルミニウムなど金属で形成され、電位板11と電位板12との間隔(離間距離)Lは、当該流体強制流通装置の用途に応じて10[μm]〜3[mm]になるように設定される。
【0031】
2つの電位板11,12においては、一方の電位板例えば電位板11には負極性または正極性の電位が与えられ、他方の電位板例えば電位板12には当該一方の電位板11に与えられる電位の極性とは異なる極性の電位または零電位が与えられる。
【0032】
振動体20に配設される上記複数の電極(詳細については後述する)のそれぞれに対し、後述する制御部の制御の下、所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるようになっている。
【0033】
本発明では、2つの電位板11,12間に所定の電位差が発生している状態で振動体20に配設された上記複数の電極に所定の電位が与えられたことに起因して発生する静電気力により、当該複数の電極を対向する2つの電位板11,12のうち何れかの電位板の方向へ移動させ、当該振動体20を振動させるようにしている。このようにして振動体20を振動させることにより、当該2つの電位板11,12間の流体例えば気体を例えば図中矢印Aで示される所定の流通方向に強制的に流通させるようにしている。
【0034】
ちなみに、電位板11,12間の所定の電位差は、電位板11と電位板12との離間距離Lおよび当該流体強制流通装置が適用されるシステムなどの条件に応じて、例えば数十[V]〜数千[V]になるように設定される。
【0035】
振動体20は、その長手方向(所定の流通方向)に沿って弛んだ状態で、その両端部20a,20bが固定されるようになっている。すなわち、振動体20を電位板11と電位板12との略中間に配置した場合に、静電気力により当該振動体20に配設された複数の電極が電位板11または電位板12へ近接すべく移動可能なように、振動体20の端部20aおよび端部20bが固定される。
【0036】
また、振動体20は、図2に示すように、フレキシブル基板21を有し、このフレキシブル基板21の一方の面21aに複数の電極1a〜8aが、また他方の面21bに複数の電極1b〜8bがそれぞれ配設されている。そして、一方の面21aに配設された複数の電極1a〜8aおよび他方の面21bに配設された複数の電極1b〜8bが、2つの電位板11,12間の流体例えば気体の所定の流通方向と同一の方向に配置されるように、当該振動体20が配設される。
【0037】
ここで、フレキシブル基板21は、例えばポリイミドで形成され、その厚さt1は例えば6〜7[μm]である。
【0038】
複数の電極1a〜8aおよび複数の電極1b〜8bは、導電性を有する材質例えば銅箔(Cu箔)など金属箔あるいは導電性プラスチックで形成され、その厚さt2は例えば1〜8[μm]である。
【0039】
このような複数の電極においては、例えば一方の面21aに配置された電極1aと他方の面21bに配置された電極1bとは、フレキシブル基板21に形成されたスルーホール21cを介して電気的に接続されている。この場合、電極1aと電極1bとで1つの電極1が形成されたことになる。
【0040】
同様に、一方の面21aに配置された電極2a〜8aと他方の面21bに配置された電極2b〜8bとは、フレキシブル基板21に形成されたスルーホールを介して電気的に接続されており、それぞれ1つの電極2〜8が形成されたことになる。
【0041】
本実施の形態では、電極1〜8を、電極1〜4の4つの電極を有する第1のグループGR1と電極5〜8の4つの電極を有する第2のグループGR2とにグループ化している。
【0042】
なお、1つのグループは3以上の電極を有していればよく、また、このような1以上のグループがフレキシブル基板21に形成されていればよい。
【0043】
すなわち、それぞれ所定数(m)の電極を有する複数(k)のグループをフレキシブル基板21に形成する場合は、「m×k=n」を演算して得られる値nに応じた複数(n)の電極をフレキシブル基板21に配設する必要がある。
【0044】
また、本実施の形態では、グループGR1内の4つの電極1〜4を電極#1〜#4とし、またグループGR2内の4つの電極5〜8も電極#1〜#4とする。
【0045】
ところで、フレキシブル基板21に配設された複数(n)の電極1〜8、すなわち一方の面21aに配設された複数の電極1a〜8aおよび他方の面21bに配設された複数の電極1b〜8bに対しては、図3に示すように、絶縁性に関わる例えばポリイミドによるコーティング31,32が施されている。
【0046】
なお、本実施の形態では、複数の電極に対して絶縁性に関わるコーティング処理を施すようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、2つの電位板11,12における振動体20と対向する側に当該コーティング処理を施すようにしてもよい。すなわち、振動体20が振動することに起因して当該振動体20の一部が電位板11または電位板12に近接した場合に、複数の電極と2つの電位板11,12との間での絶縁性が確保されるようになっていればよい。
【0047】
図4は、流体強制流通装置の制御系の要部図を示している。
【0048】
図4において、フレキシブル基板21は、図2に示すフレキシブル基板21の一方の面21a側から見た状態を示している。
【0049】
図4に示すように、グループGR1の電極1a(電極#1)とグループGR2の電極5a(電極#1)とは、フレキシブル基板21の一方の面21aに設けられたパターン配線41によって電気的に接続されているとともに端子51と電気的に接続されている。
【0050】
グループGR1の電極3a(電極#3)とグループGR2の電極7a(電極#3)とは、フレキシブル基板21の一方の面21aに設けられたパターン配線43によって電気的に接続されているとともに端子53と電気的に接続されている。
【0051】
グループGR1の電極2a(電極#2)とグループGR2の電極6a(電極#2)とは、フレキシブル基板21の一方の面21aに設けられたパターン配線42a、フレキシブル基板21に設けられたスルーホール42c、およびフレキシブル基板21の他方の面21bに設けられたパターン配線42bによって電気的に接続されているとともに端子52と電気的に接続されている。なお、パターン配線42aとパターン配線42bとはスルーホール42cを介して電気的に接続されている。
【0052】
グループGR1の電極4a(電極#4)とグループGR2の電極8a(電極#4)とは、フレキシブル基板21の一方の面21aに設けられたパターン配線44a、フレキシブル基板21に設けられたスルーホール44c、およびフレキシブル基板21の他方の面21bに設けられたパターン配線44bによって電気的に接続されているとともに端子54と電気的に接続されている。なお、パターン配線44aとパターン配線44bとはスルーホール44cを介して電気的に接続されている。
【0053】
また、図4において、電源部60は、振動体20に設けられた複数の電極に所定の電位(電圧)を供給するものであり、電極#1に対し所定の電位(交流電圧)を供給する交流電源AC1と、電極#2に対し所定の電位(交流電圧)を供給する交流電源AC2と、電極#3に対し所定の電位(交流電圧)を供給する交流電源AC3と、電極#4に対し所定の電位(交流電圧)を供給する交流電源AC4と、交流電源AC1〜AC4に対応しオン・オフするスイッチsw1〜sw4と、スイッチsw1〜sw4がオンのときに該当する交流電源からの電位(交流電圧)が出力される端子61〜64とを、備えている。
【0054】
振動体20(フレキシブル21)の端子51〜54と電源部60の端子61〜64とは例えばフレキシブルケーブル65を介して電気的に接続されている。
【0055】
制御部70は、スイッチsw1〜sw4のオンオフを制御するとともに、複数の電極1〜8詳しくは電極#1〜#4のそれぞれに対し所定の極性の電位つまり交流電圧が所定のタイミングで与えられるように制御する。
【0056】
制御部70は、図5に示すように、振動体20つまりフレキシブル基板21に形成された複数のグループGR1,GR2に対応する複数の電極#1〜#4に、所定の周波数の方形波の交流電圧が印加されるように制御する。すなわち、制御部70は振動体20を4相駆動により振動させる。
【0057】
ここで、図5において、(a)はグループGR1,GR2内の電極#1に印加される交流電圧(印加電圧)の波形を示し、(b)はグループGR1,GR2内の電極#2に印加される交流電圧(印加電圧)波形を示し、(c)はグループGR1,GR2内の電極#3に印加される交流電圧(印加電圧)波形を示し、(d)はグループGR1,GR2内の電極#4に印加されるの交流電圧(印加電圧)波形を示している。
【0058】
さて、制御部70は、電極#1に対しては図5(a)に示すように方形波の交流電圧V1が、電極#2に対しては図5(b)に示すように交流電圧V1よりも位相がπ/2異なる方形波の交流電圧V2が、電極#3に対しては図5(c)に示すように交流電圧V2よりも位相がπ/2異なる方形波の交流電圧V3が、電極#4に対しては図5(d)に示すように交流電圧V3よりも位相がπ/2異なる方形波の交流電圧V4が、それぞれ印加されるように制御する。
【0059】
すなわち、制御部70は、上述したようにグループ内の複数の電極#1〜#4のそれぞれに対し互いに位相の異なる(互いに位相がπ/2異なる)交流電圧が印加されるように制御する。
【0060】
また、制御部70は、振動体20つまりフレキシブル基板21に複数のグループGR1,GR2に対応する複数の電極#1〜#4が配設されている場合は、各々のグループ内における複数の電極#1〜#4に対し、グループ内の電極の並び順(電極#1、電極#2、電極#3、電極#4)における同一順位の電極に対しては同相の交流電圧が印加されるように制御する。
【0061】
なお、電極#1〜#4に印加される交流電圧の周波数を高くした場合には、静電気力による当該複数の電極の繰り返しの移動動作が速くなり、これに伴って振動体20の振動も速くなる。
【0062】
図6は、2つの電位板11,12間に介在する振動体20つまりフレキシブル基板21に、上述したような複数の電極#1〜#4を有する4つのグループGR1〜GR4が形成された場合の流体強制流通装置の概略構成図を示している。この場合、振動体20は、図2〜図4に示した例の構成と同様の構成になっている。
【0063】
なお、図6に示す振動体20においては、説明の都合上、フレキシブル基板21を省略し、4つのグループGR1〜GR4に対応する複数の電極#1〜#4を記載している。
【0064】
電位板11には負極性の電位(電圧)E1が与えられ、一方、電位板12には正極性の電位(電圧)E2が与えられる。振動体20の各電極#1〜#4には図5に示す各電極に対応する交流電圧V1〜V4が印加されるものとする。
【0065】
このような前提条件の下、図6に示した流体強制流通装置において、2つの電位板11,12間に所定の電位差が発生している状態で、振動体20のグループGR1〜GR4に対応する複数の電極#1〜#4に図5に示すような方形波の交流電圧が印加されたことに起因して発生する静電気力により、当該振動体20が振動する様子について、図7を参照して説明する。
【0066】
図7は、グループGR1〜GR4内の電極#1〜#4にこれらの電極に対応する交流電源からの1周期分の交流電圧が印加された場合の、静電気力に応じた当該各電極の移動の様子を示している。
【0067】
なお、図7においてはグループGR1〜GR4内の電極#1〜#4の表示については省略しているが、これら電極#1〜#4は図6に示した構成(電極並び)と同様になっている。
【0068】
また、図5(a)〜(d)の各交流電圧波形において、時点t0〜時点t1を時間T1、時点t1〜時点t2を時間T2、時点t2〜時点t3を時間T3、さらに時点t3〜時点t4を時間T4とする。
【0069】
最初に、時間T1においては、図5(a)、(d)に示すように、電極#1および電極#4にはそれぞれ正極性の電圧V1および電圧V4が印加され、また図5(b)、(c)に示すように、電極#2および電極#3には負極性の電圧V2および電圧V3が印加される。
【0070】
そして、グループGR1内の電極#1〜#4は、負極性の電位が与えられている電位板11または正極性の電位が与えられている電位板12との間の静電気力により、電位板11または電位板12に向けて移動する。
【0071】
すなわち、グループGR1内の電極#1〜#4においては、図7(a)に示すように、正極性の電圧が印加された電極#1および電極#4は、負極性の電位が与えられている電位板11に向けて移動し、一方、負極性の電圧が印加された電極#2および電極#3は、正極性の電位が与えられている電位板12に向けて移動する。
【0072】
なお、グループGR2〜4内の電極#1〜#4についても、これらの電極と電位板11,12との間の静電気力により、ループGR1内の電極#1〜#4の場合と同様の移動が行われる。
【0073】
次に、時間T2においては、図5(a)、(b)に示すように、電極#1および電極#2にはそれぞれ正極性の電圧V1および電圧V2が印加され、また図5(c)、(d)に示すように、電極#3および電極#4には負極性の電圧V3および電圧V4が印加される。
【0074】
そのため、図7(a)に示す状態のグループGR1内の電極#1〜#4においては、図7(b)に示すように、時間T1中に負極性の電圧V2が印加されていた電極#2には正極性の電圧V2が印加されることになるので、この電極#2は負極性の電位が与えられている電位板11に向けて移動することになる。
【0075】
また、時間T1中に正極性の電圧V4が印加されていた電極#4には負極性の電圧V4が印加されることになるので、この電極#4は正極性の電位が与えられている電位板12に向けて移動することになる。
【0076】
なお、電極#1および電極#3には時間T1時に印加されていた電圧の極性と同一の極性の電圧が印加されているので、当該電極#1および電極#3は、そのままの状態になっている。
【0077】
この場合も、グループGR2〜4内の電極#1〜#4は、これらの電極と電位板11,12との間の静電気力により、ループGR1内の電極#1〜#4の場合と同様の移動が行われる。
【0078】
続いて、時間T3においては、図5(a)、(d)に示すように、電極#1および電極#4にはそれぞれ負極性の電圧V1および電圧V4が印加され、また図5(b)、(c)に示すように、電極#2および電極#3には負極性の電圧V2および電圧V3が印加される。
【0079】
そのため、図7(b)に示す状態のグループGR1内の電極#1〜#4においては、図7(c)に示すように、時間T2中に正極性の電圧V1が印加されていた電極#1には負極性の電圧V1が印加されることになるので、この電極#1は正極性の電位が与えられている電位板12に向けて移動することになる。
【0080】
また、時間T2中に負極性の電圧V3が印加されていた電極#3には正極性の電圧V3が印加されることになるので、この電極#3は負極性の電位が与えられている電位板11に向けて移動することになる。
【0081】
なお、電極#2および電極#4には時間T2時に印加されていた電圧の極性と同一の極性の電圧が印加されているので、当該電極#2および電極#4は、そのままの状態になっている。
【0082】
この場合も、グループGR2〜4内の電極#1〜#4は、これらの電極と電位板11,12との間の静電気力により、ループGR1内の電極#1〜#4の場合と同様の移動が行われる。
【0083】
さらに、時間T4においては、図5(a)、(b)に示すように、電極#1および電極#2にはそれぞれ負極性の電圧V1および電圧V2が印加され、また図5(c)、(d)に示すように、電極#3および電極#4には正極性の電圧V3および電圧V4が印加される。
【0084】
そのため、図7(c)に示す状態のグループGR1内の電極#1〜#4においては、図7(d)に示すように、時間T3中に正極性の電圧V2が印加されていた電極#2には負極性の電圧V2が印加されることになるので、この電極#2は正極性の電位が与えられている電位板12に向けて移動することになる。
【0085】
また、時間T3中に負極性の電圧V4が印加されていた電極#4には正極性の電圧V4が印加されることになるので、この電極#4は負極性の電位が与えられている電位板11に向けて移動することになる。
【0086】
なお、電極#1および電極#3には時間T3時に印加されていた電圧の極性と同一の極性の電圧が印加されているので、当該電極#2および電極#4は、そのままの状態になっている。
【0087】
この場合も、グループGR2〜4内の電極#1〜#4は、これらの電極と電位板11,12との間の静電気力により、ループGR1内の電極#1〜#4の場合と同様の移動が行われる。
【0088】
以上説明したように、1周期分の方形波の交流電圧がグループGR1〜GR4内の電極#1〜#4に印加されることにより、これらの電極#1〜#4は、図7(a)に示す状態、図7(b)に示す状態、図7(c)に示す状態および図7(d)に示す状態の4つの状態に順次遷移する。そして、次の1周期分についても、前述した4つの状態に順次遷移することになる。
【0089】
これにより、電位板11と電位板12との間の気体は、各グループGR1〜GR4の電極#1側から電極#2側に、次に電極#2側から電極#3側に、さらに電極#3側から電極#4側に向けて流通されることとなる。
【0090】
なお、本実施の形態では、振動体20において複数の電極はフレキシブル基板21の一方の面21aおよび他方の面21bの両面に配設するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、複数の電極はフレキシブル基板21の両面のうち何れか一方の面に配設するようにしてもよい。
【0091】
すなわち、振動体20は、図8に示すように、例えばフレキシブル基板21の一方の面21aに、複数のグループ例えば2つのグループGR1,GR2に対応する複数の電極#1〜#4を配設するようにしてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、電位板11には負極性の電位が与えられ、電位板12には正極性の電位が与えられるようになっているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
【0093】
(1)すなわち、電位板11には正極性の電位を与え、電位板12には負極性の電位を与えるようにしてもよい。つまり、電位板11には正極性または負極性の電位を与え、電位板12には電位板11に与えられた電位の極性とは反対の極性の電位を与えるようにしてもよい。
【0094】
(2)また、電位板11および電位板12の何れかの電位板には正極性または負極性の電位を与え、他方の電位板には零電位(グランドレベル)を与えるようにしてもよい。
【0095】
(3)さらに、電位板11および電位板12には、電位板11と電位板12との間で電位差が発生するような、同極性の電位を与えるようにしてもよい。
【0096】
ただし、2つの電位板11,12と複数の電極#1〜#4との間で確実に静電気力を発生させるという観点から最も好ましいのは、上記(1)の場合の電位の与え方である。次に好ましいのは上記(2)の場合の電位の与え方である。
【0097】
さらに、本実施の形態では、各グループ内の電極#1〜#4に印加される印加電圧としての交流電圧は方形波の交流電圧としているが、本発明はこれに限定されることなく、その印加電圧は正弦波の交流電圧とするようにしてもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、正極性または負極性の電位が与えられる電位板11およびこの電位板11に与えられる電位の極性とは反対の極性の電位が与えられる電位板12、または、正極性または負極性の電位が与えられる電位板11,12のうち一方の電位板および零電位が与えられる他方の電位板と、交流電圧が供給される振動体20(のフレキブル基板21)に配設された複数の電極#1〜#4との間で発生する静電気力により、当該複数の電極#1〜#4が2つの電位板11,12のうち何れかの電位板の方向へ移動するのに伴って、振動体20を振動させることができる。
【0099】
このように振動体20が振動することにより、ファンを使用することなく電位板間の気体(流体)を強制的に所定の方向へ流通させることができる。これにより、電位板間の暖められた気体(空気)を速やかに当該電位板外へ排出させることができる。
【0100】
(実施の形態2)
【0101】
図9は、実施の形態2に係る流体強制流通装置の概略構成図を示している。
【0102】
この流体強制流通装置は、2つの第1の電位板110,120と、第2の電位板130と、第1の振動体210と、第2の振動体220と、電源部140と、制御部150とを備えている。
【0103】
2つの第1の電位板110,120は、導電性の材質例えば銅やアルミニウムなど金属で形成され、互いに対向し各々が零電位が与えられる。
【0104】
第2の電位板130は、導電性の材質例えば銅やアルミニウムなど金属で形成され、2つの電位板110,120間に介在し正極性または負極性の電位が与えられる。本実施の形態では、電位板130には正極性の電位E3が与えられるものとする。
【0105】
第2の電位板130が第1の電位板110,120間に介在した場合、第2の電位板130と電位板110および電位板120のそれぞれとの間隔(離間距離)Lは、当該流体強制流通装置の用途に応じて10[μm]〜3[mm]になるように設定される。
【0106】
第1の振動体210は、2つの第1の電位板110,120のうちの一方の第1の電位板例えば電位板110と第2の電位板130との間に介在し、これらの電位板間の流体例えば気体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設されている。
【0107】
第2の振動体220は、2つの第1の電位板110,120のうちの他方の第1の電位板例えば電位板120と第2の電位板との間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設されている。
【0108】
なお、振動体210および振動体220は、上述した実施の形態1の振動体20と同様の構成および機能を有している(図2〜図4参照)ので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0109】
電源部140は、第1の振動体210および第2の振動体220のそれぞれに設けられた複数の電極に所定の電位(交流電圧)を供給する。すなわち、電源部140は、上述した実施の形態1の電源部60と同様の構成および機能を有している。
【0110】
制御部150は、第1の振動体210および第2の振動体220のそれぞれに配設された複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位(交流電圧)が所定のタイミングで与えられるように制御する。すなわち、制御部150は、上述した実施の形態1の制御部70と同様の制御機能を有している(図5参照)。
【0111】
本実施の形態では、振動体210および振動体220に対し、図10に示すように、単数の制御部150の制御に従って作動する共通の電源部140から所定の交流電圧が供給されるようになっている。
【0112】
すなわち、振動体210の端子と振動体220の端子とが電気的に並列に接続された場合の共通の端子201〜204と、電源部140の各交流電源AC1〜AC4に対応する端子141〜144とを、例えばフレキシブルケーブル145などで電気的に接続するようにする。
【0113】
勿論、振動体210および振動体220それぞれに対応して、電源部140および制御部150を設け、各振動体に対し、対応する制御部150の制御に従って作動する電源部140から所定の交流電圧が供給されるようにしてもよい。
【0114】
さて、図10に示すような状態で交流電圧が供給される図9に示す振動体210,220に対し、図5に示した方形波の交流電圧を供給した場合の当該各振動体すなわちフレキシブル基板に配設された複数の電極#1〜#4の移動について、図11を参照して説明する。ここでは、図5に示した方形波の交流電圧の期間T1のみについて説明する。
【0115】
図11に示すように、正極性の電圧が供給された電極は、グランド(GND)レベルの電位板110または電位板120に向けて移動する。例えば振動体210では、電極#1,#4が電位板110に向けて移動し、振動体220では、電極#1,#4が電位板120に向けて移動する。
【0116】
一方、負極性の電圧が供給された電極は、正極性の電圧が供給されている電位板130に向けて移動する。例えば振動体210および振動体220では、電極#2,#3が電位板130に向けて移動する。
【0117】
図12は、流体強制流通装置の応用例を示している。
【0118】
図12に示す例では、図9に示した構造、すなわち、2つの第1の電位板110,120と、これらの電位板110,120間に介在する第2の電位板130と、電位板110と第2の電位板130との間に介在する第1の振動体210と、電位板120と第2の電位板との間に介在する第2の振動体220とを有する構造を、複数配置した構造となっている。因みに図12に示す例では、図9に示した構造が4つ配置されている。
【0119】
この図12に示す流体強制流通装置においても、図11を参照して説明したように、振動体210,220に印加される方形波の交流電圧に応じて当該各振動体に配設されている複数の電極が所定の電位板に向けて移動する。
【0120】
これにより一方の第1の電位板110と第2の電位板130との間および他方の第1の電位板120と第2の電位板130との間に所定の電位差が発生している状態で、第1の振動体210および第2の振動体220のそれぞれに配設された複数のグループに対応する複数の電極#1〜#4に所定の電位(交流電圧)が与えられたことに起因して発生する静電気力により、当該第1の振動体210および当該第2の振動体220を振動させ、一方の第1の電位板110と第2の電位板120間および他方の第1の電位板120と第2の電位板130間の流体例えば気体(所定の温度に達した空気)を所定の流通方向に強制的に流通させることができる。
【0121】
図13は、図12に示した流体強制流通装置が適用される一例の概略図を示している。
【0122】
図13において、ヒートシンク(放熱板)H10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータや電源装置など電子装置に設けられる発熱する部品(発熱部品)H20に密着して配設される。
【0123】
発熱部品H20としては、例えばCPU(中央演算処理装置)などの演算処理チップ、トランジスタなどの半導体素子などが挙げられる。
【0124】
ヒートシンク(放熱板)H10は、所定の間隔をもって複数(N)のフィンH1−1,H1−2,H1−3,H1−4,H1−Nが設けられている。
【0125】
対向する2つのフィン例えばフィンH1−1とフィンH1−2の間には所定の極性の電位が与えられる電位板H2が配置され、フィンH1−1と電位板H2との間には振動体H3aが配置され、またフィンH1−2と電位板H2との間には振動体H3bが配置されている。
【0126】
電位板H2は、ヒートシンクH10との間での絶縁が確保されるべく、ヒートシンクH10から所定の距離離間して配設されている。
【0127】
振動体H3aおよび振動体H3bは、上述した振動体210および振動体220と同様に、上述した実施の形態1の振動体20と同様の構成および機能を有している(図2〜図4参照)。
【0128】
同様に、フィンH1−2とフィンH1−3との間、フィンH1−3とフィンH1−4との間においても、電位板H2および振動体H3a,H3bが配置されている。
【0129】
図14は、図13のヒートシンクH10を同図中矢印Bの方向から見た様子に加えて、電気的な概略の構成を説明する図を示している。
【0130】
図14に示すように、フィンH1−1〜H1−Nを含むヒートシンクH10は、グランド(GND)レベルに設定されている。これらのフィンH1−1〜H1−Nにおいて、対向する2つのフィンが、例えばフィンH1−1およびフィンH1−2の場合は、前者が図9に示した第1の電位板110に相当し、後者が図9に示した第1の電位板120に相当する。また、対向する2つのフィンが、フィンH1−2およびフィンH1−3の場合は、前者が電位板110に相当し、後者が電位板120に相当する。他の対向する2つのフィンについても、前述のような関係がある。
【0131】
複数の電位板H2は、図9に示した第1の電位板130に相当し、正極性または負極性の電位が与えられる。ここでは、例えば正極性の電位が与えられるものとする。
【0132】
振動体H3aは図9に示した振動体210に相当し、一方、振動体H3bは図9に示した振動体220に相当し、これらの振動体H3a、H3bに設けられた複数のグループ内の複数の電極#1〜#4には、制御部150(図10参照)の制御に従って作動する電源部140(図10参照)からの図5に示したような方形波の交流電圧が供給される。
【0133】
この場合、上記図12を参照して説明したように、静電気力により振動体H3aおよび振動体H3bを振動させ、一方のフィン(例えばフィンH1−1)と電位板H2間および他方のフィン(例えばフィンH1−2)と電位板H2間の流体例えば気体(所定の温度に達した空気)を所定の流通方向例えば図14中矢印Cの方向に強制的に流通させることができる。
【0134】
以上説明したように、実施の形態2によれば、ヒートシンク(放熱板)に所定の電位(電圧)を与えることができない状態であっても、零電位レベルの対向する2つのフィン、正極性または負極性の電位が与えられる電位板H2、および交流電圧が印加される振動体H3a、H3bの複数の電極#1〜#4との間で発生する静電気力により、当該電極#1〜#4を、2つのフィンのうちの一方のフィンまたは電位板H2に向けて移動させることができ、これにより当該振動体H3aおよび振動体H3bを振動させることができる。
【0135】
これにより、対向する2つのフィンのうちの一方のフィンと電位板H2間および他方のフィンと、これらのフィン間に介在する電位板の流体例えば気体(所定の温度に達した空気)を所定の流通方向に強制的に流通させることができる。そして、例えばフィン間の暖められた気体(空気)を速やかに当該ヒートシンク外へ排出させることができ、結果的に、発熱部品を効率よく冷却することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、発熱する部品を有し該部品を冷却する必要のある様々な装置、例えば空調機などに適用することができるものであり、上記実施の形態に示す装置の冷却に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明に係る流体強制流通装置の原理を説明する図である。
【図2】実施の形態1に係る振動体の構造を示す構造図(断面図)である。
【図3】図2に示した振動体にコーティング処理が施された状態の当該振動体の構造を示す構造図(断面図)である。
【図4】実施の形態1に係る流体強制流通装置の制御系の要部構成を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る振動体に配設される複数の電極に印加される交流電圧の波形を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る振動体のフレキシブル基板に複数の電極を有する複数のグループが形成された場合の流体強制流通装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図7】図6に示した状態において、複数のグループ内の複数の電極にこれらの電極に対応する交流電源からの1周期分の交流電圧が印加された場合の、静電気力に応じた当該各電極の移動の様子を説明する図である。
【図8】実施の形態1に係る振動体の他の構造例を示す構造図(断面図)である。
【図9】実施の形態2に係る流体強制流通装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図10】実施の形態2に係る流体強制流通装置の制御系の要部構成を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る2つの振動体に対し図5に示した方形波の交流電圧を供給した場合の当該各振動体のフレキシブル基板に配設された複数の電極の移動の様子を説明する図である。
【図12】実施の形態2に係る流体強制流通装置の応用例を示す図である。
【図13】図12に示した流体強制流通装置が適用される一例の構成を示す概略図である。
【図14】図13のヒートシンクを同図中矢印Bの方向から見た様子に加えて、電気的な概略構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0138】
1〜8,1a〜8b,1a〜8b,#1〜#4 電極
11,12 電位板
20 振動体
21 フレキシブル基板
21a フレキシブル基板の一方の面
21b フレキシブル基板の他方の面
31a,31b コーティング
41、41a,41b 42a,42b,43,44a,44b パターン配線
42c,44c スルーホール
51〜54,61〜64 端子
60,140 電源部
70,150 制御部
110,120 第1の電位板
130 第2の電位板
210 第1の振動体
220 第2の振動体
AC1〜AC4 交流電源
H1−1〜H1−N フィン(第1の電位板)
H2 電位板(第2の電位板)
H3a 第1の振動体
H3a 第2の振動体
H10 ヒートシンク
H20 発熱部品
sw1〜sw4 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板と、
前記2つの電位板間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された振動体と、
前記複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるように制御する制御手段と、
を有し、
前記2つの電位板と前記振動体に配設された複数の電極との間で発生する静電気力により当該振動体を振動させる、
ことを特徴とする流体強制流通装置。
【請求項2】
前記2つの電位板においては、一方の電位板には負極性または正極性の電位が与えられ、他方の電位板には当該一方の電位板に与えられる電位の極性とは異なる極性の電位または零電位が与えられる、
ことを特徴とする請求項1記載の流体強制流通装置。
【請求項3】
前記振動体は、
フレキシブル基板を有し、このフレキシブル基板に前記複数の電極が前記所定の流通方向と同一の方向に配設されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体強制流通装置。
【請求項4】
前記2つの電位板における前記振動体と対向する側または前記振動体に配設された複数の電極に対し絶縁性に関わるコーティング処理が施されている、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の流体強制流通装置。
【請求項5】
前記複数の電極は、
3以上の電極毎にグループ化され、1以上のグループに対応する複数の電極であり、
前記制御手段は、
各々のグループ内の複数の電極のそれぞれに対し互いに位相の異なる交流電圧が付与されるように制御する、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の流体強制流通装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記振動体に複数のグループに対応する複数の電極が配設されている場合は、各々のグループ内における複数の電極に対し、グループ内の電極の並び順における同一順位の電極に対しては同相の交流電圧が付与されるように制御する、
ことを特徴とする請求項5記載の流体強制流通装置。
【請求項7】
各々が零電位が与えられる対向する2つの第1の電位板と、
前記2つの電位板間に介在し正極性または負極性の電位が与えられる第2の電位板と、
前記2つの第1の電位板のうちの一方の第1の電位板と前記第2の電位板との間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された第1の振動体と、
前記2つの第1の電位板のうちの他方の第1の電位板と前記第2の電位板との間に介在し、これらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された第2の振動体と、
前記第1の振動体および前記第2の振動体のそれぞれに配設された複数の電極のそれぞれに対し所定の極性の電位が所定のタイミングで与えられるように制御する制御手段と、
を有し、
前記一方の第1の電位板および前記第2の電位板と前記第1の振動体に配設された複数の電極との間で発生する静電気力により当該第1の振動体を振動させるとともに、前記他方の第1の電位板および前記第2の電位板と前記第2の振動体との間で発生する静電気力により当該第2の振動体を振動させる、
ことを特徴とする流体強制流通装置。
【請求項8】
各々異なる値の電位が与えられる対向する2つの電位板の間に所定の電位差を発生させるとともに、当該2つの電位板間に介在しこれらの電位板間の流体についての所定の流通方向と同一の方向に複数の電極が配設された振動体に対し所定の交流電圧を与え、
前記2つの電位板間に所定の電位差が発生している状態で前記複数の電極に前記所定の交流電圧が与えられたことに起因して発生する静電気力により当該振動体を振動させ、当該2つの電位板間の流体を前記所定の流通方向に強制的に流通させる、
ことを特徴とする流体の強制流通方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−57384(P2008−57384A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233497(P2006−233497)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(505285618)
【出願人】(599063446)
【Fターム(参考)】