説明

流体微量吐出用シリンジ

【課題】耐薬品性良好、微量吐出可能なシリンジを提供する。
【解決手段】ボデイ1は一端に締め付けナット8を持つ内径減少金具2を形成し、貫通する穴3にシリンジ4を挿入保持している。シリンジ4はPFA等透明樹脂材のチューブ状とし一端は細径にしてノズル5を形成する。丸棒状のピストン6はシリンジ4の内径より若干細い外径とし、シリンジ4の開放端7より挿入する。締め付けナット8を締めるとボデイ1の内径が減少しシリンジ4を掴着すると共にシリンジ4の内径をも減少さしシール部9を形成する。ピストン6が左右に摺動できる程度に締め付けナット8の締め付け力を加減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ガス、薬品、接着剤、ペースト等の流体の分析、液送、塗布に於いて微量の吐出、吸入に使用するシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年DNA分析、液晶の塗布、メタノールの液送等でナノリットル、ピコリットルの吐出量が要求される。インクジェット方式の吐出はピコリットルを達成している。しかしオイル状、ペースト等の液はインクジェット方式には不向きである。
【0003】
流体の微量吐出装置に於いてシリンジポンプ方式(注射器と同じ構造のシリンジのピストンを押し込んでシリンジ内の液を吐出する方式)が極微量を精度良く吐出でき、高粘度液にも対応できるので多用されている。この微量吐出装置に於いてピストンの送り機構はリニヤスライド、ボールネジ、サーボモーター等を使用してサブミクロンの移動量を確保している。
【0004】
シリンジもナノリットル、ピコリットルの吐出が可能なものが要求され、シリンジ内径が数100ミクロンの微小なものが要求される。
【課題】
【0005】
現在微量吐出にはガラスシリンジが多用されている。しかしながらガラスシリンジは
▲1▼ 耐薬品性の適、不適が多い。
▲2▼ ガラス筒の精密加工が必要。
▲3▼ 小径になるほどシール製作が困難である。
▲4▼ シールの磨耗が早く、調整も出来ないので耐圧力がばらつく。
▲5▼ 固体粒子を含む液はかじり易い。
▲6▼ 液の充填時に気泡を噛みこみ易く、除去しにくい。
▲7▼ 高価である。
▲8▼ シリンジとノズルは組み立てて使用するので、接合部に気泡が残る。
等の問題がある。金属シリンジや樹脂シリンジも同様である。
【解決手段】
【0006】
フッソ樹脂チュウブの一端を細く絞りノズルとし、他端外周にチュウブの外径減少金具を設け、チュウブ内径より若干小径の丸棒状のピストンを挿入し、外径減少金具を調整してチュウブ外内径を減少さしピストンにチュウブを密接さす構造のシリンジを提供する。
【実施例1】
【0007】
ボデイ1は一端に締め付けナット8を持つ内径減少金具2を形成し、貫通する穴3にシリンジ4を挿入保持している。シリンジ4はPFA等透明樹脂材のチューブ状とし一端は細径にしてノズル5を形成する。丸棒状のピストン6はシリンジ4の内径より若干細い外径とし、シリンジ4の開放端7より挿入する。締め付けナット8を締めるとボデイ1の内径が減少しシリンジ4を掴着すると共にシリンジ4の内径をも減少さしシール部9を形成する。ピストン6が左右に摺動できる程度に締め付けナット8の締め付け力を加減する。締め付けナット8を緩め、ピストン6を引き抜き、スポイド等でシリンジ4内に液を充填する。再びピストン6を少し挿入し、締め付けナット8を締める。ピストン6をシリンジ4内に少し押し込むと、ピストン6の断面積×押し込み量の体積の液がノズル5より吐出する。例えばピストン直径0.3ミリ、押し込み量0.01ミリとすると僅か0.7ナノリットルの液を吐出することができる。
【0008】
市販品のチュウブ、金属丸棒において極細のもの、例えばチュウブ内径0.2ミリ、金属丸棒0.1ミリを使用して押し込み量0.01ミリとすると80ピコリットルの微量吐出が可能となる。微量吐出には極細径のノズルを必要とするがシリンジ4と一体で成形しているので気泡残留が起き難く高粘度液にも適応。シリンジ4はやや軟質の材質のものとして、締め付けナットの調整で内外径増減を可能にしている。
【利点】
【0009】
▲1▼ ガラス管の内径加工のような精密加工を必要としない。
▲2▼ シール部の構造が簡単で、耐圧力の調整が簡単に行える。
▲3▼ シリンジ4をPFAチュウブ、ピストン6は金属丸棒をPFA被覆したものにすると接液部はすべてPFA材となり耐薬品性の優れたものになる。
▲4▼ シリンジ4、ノズル5は一体成形でき、気泡が残らず、液の滞留が無く、流れがスムースである。
▲5▼ ピストン6の押し込み中はシール部より離れていく方向になるので、固体粒子がかじらない。銀ペースト等の微量吐出が可能になる。
▲6▼ ノズル5部で圧着封止し液をいれて密閉して液体容器とできる。
▲7▼ ピストン6を抜いて、シリンジ4をピストン6と同径の他の直管ノズルの先端に装着し極細ノズルとして使用できる。
▲8▼ ピストン6の代わりに、圧力、流速、流量、導入時間を制御したエア、ガスを導入するとシリンジ4内の液を吐出するより安価な装置が可能となる。
▲9▼ ノズル5は加熱成形等で極細ノズルに加工できる。
▲10▼ シリンジ4の内径、ピストン6の外径共に極細径で構成できるので微量吐出が容易に得られる。
【実施例2】
【0010】
ボデイ11は一端に締め付けナット18を持つ内径減少金具12を形成し、貫通する穴13にシリンジ14を挿入保持している。シリンジ14はPFA等透明樹脂材のチューブ状とし一端は細径にしてノズル15を形成する。シリンジの開放端17にピストン挿入穴20のあるスリーブ19を挿入する。丸棒状のピストン16は挿入穴20の内径より若干細い外径とする。締め付けナット18を締めるとボデイ11の内径を減少し、シリンジ14を掴着すると共に、スリーブ19の内径も減少さしシール部21を形成する。ピストン16が左右に摺動できる程度に締め付けナット18の締め付け力を加減する。
【0011】
実施例1の場合シリンジ4とピストン6との直径方向スキマが僅かなので沈殿、分離する液のとき振っても混合しにくいが、実施例2の場合スキマが大で混合が容易になる。
【実施例3】
【0012】
ボデイ30は両端に締め付けナット33,34を設け、内径収縮用のコーン31,32を挿入している。シリンジ35はボデイ30の左側に挿入し、スリーブ36は右側に挿入する。ピストン37はスリーブ36の内径より若干細くしている。シリンジ35は締め付けナット34でボデイ30に固着し、ピストン37は左右に摺動できるように締め付けナット33の締め加減を調節する。
【0013】
実施例3はシリンジ35がシール部のスリーブ36と分離しており、シール部のみの交換が可能となる。ボデイ30の胴部にタンク管路、バルブ管路等の設置が容易となる。
スリーブ36に換わりエア配管を挿入し、圧力、流速、流量、導入時間を制御したエア、ガスを導入するとシリンジ35内の液を吐出できる。
締め付けナット34側でもピストン37を支えると、ピストン37は2点で支えられるので、ふらつきが抑えられ高精度の移動が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【00014】
【図1】 実施例1の流体微量吐出シリンジの断面図
【図2】 実施例2の流体微量吐出シリンジの断面図
【図3】 実施例3の流体微量吐出シリンジの断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッソ樹脂等のチュウブの一端を細く絞りノズルとし、他端外周にチュウブの外径減少金具を設け、チュウブ内径より若干小径の丸棒状のピストンを挿入し、外径減少金具を調整してチュウブ外内径を減少さしピストンにチュウブを密接さす構造のシリンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−160296(P2007−160296A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381063(P2005−381063)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000212407)
【Fターム(参考)】