説明

流体搬送装置及び該装置を用いた流体搬送方法

【課題】 微小流路内における流体制御について、簡単な構成で耐圧性に優れかつ正確に流体の制御を行い得る流体搬送装置を提供すること。
【解決手段】 流体を流すための流路を用いて流体を搬送する流体搬送装置であって、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有する流体搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体搬送装置及び該装置を用いた流体搬送方法に関する。特には、チップ上で化学分析や化学合成を行う小型化分析システム(μ−TAS:Micro TotalAnalysis System)に適応したものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体微細加工技術の発展に伴い、ガラスやシリコン等の基板上に、微小な流路とポンプ、バルブ等の流体素子およびセンサを集積化し、その基板上で化学分析を行うシステムが注目されている。これらのシステムは、小型化分析システム、μ−TAS(Micro Total Analysis System)あるいはLab on a Chipと呼ばれている。化学分析システムを小型化することにより、無効体積の減少や試料の分量の大幅な低減が可能となる。また、分析時間の短縮やシステム全体の低消費電力化が可能となる。さらに、小型化によりシステムの低価格を期待することができる。μ−TASは、システムの小型化、低価格化および分析時間の大幅な短縮が可能なことから、在宅医療やベッドサイドモニタ等の医療分野、DNA解析やプロテオーム解析等のバイオ分野での応用が期待されている。
【0003】
上述のμ−TASにおいて、微小流路中の流体の流れを制御するために、様々な形態のバルブがこれまでに提案されている。微小流路表面を撥水処理し、流体との表面張力を上げる。これにより流体が一定の圧力に到達するまで停止するバルブが報告されている(特許文献1参照)。また、微小流路内にワックス式バルブを設け、微小流路の外部から熱を加えることにより、流体の流れを制御する方法が報告されている(特許文献2参照)。前記バルブを用いた流体回路は、電気泳動や遠心力を駆動源とし、簡単な構成で複数の処理を行う流体回路を形成することができる。前記流体回路は規模が増大してもシステム全体を小型化することが可能である。
【特許文献1】米国特許明細書第6296020B1
【特許文献2】特開2003−270252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流体との表面張力を用いたバルブやワックス式のバルブは耐圧性に乏しい。このため、流体搬送手段に圧力の高いポンプ等を用いた場合、漏れや破損が生じる恐れがあり、正確な流体制御を行うことが困難となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、簡単な構成で耐圧性に優れかつ正確に流体の制御を行い得る流体搬送装置及び流体搬送方法を提供するものである。
【0006】
本発明により提供される流体搬送装置は、流体を流すための流路を用いて流体を搬送する流体搬送装置であって、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の装置においては、バルブは、前記流路に前記流体が流れたときに前記バルブの上流側と下流側との間に生じる圧力差に応じて作動し、前記圧力差が所定の値未満のときは流体を通過させ、前記圧力差が前記所定の値以上のときは流体の流れを遮断するものとすることができる。
【0008】
また、バルブを前記流路中に複数備え、該複数のバルブは前記流体の流れを遮断するしきい値が異なるものとすることができる。
【0009】
複数のバルブは、前記流路中の上流側に位置するバルブほど、下流側に位置するバルブよりも前記流体の流れを遮断するしきい値が大きいようにすることもできる。
【0010】
また、バルブは、バネと前記バネにより弾性支持された遮蔽部を有し、前記遮蔽部は、バルブ前後の圧力差により変位し、前記圧力差が所定の値以上のときに、前記遮蔽部が前記流路を遮蔽するものとすることができる。
【0011】
また、バルブは、該バルブを構成する少なくとも太い流路の領域と、これよりも細い流路の領域を有し、前記遮蔽部が前記太い流路の領域内に変位可能に設けられ、変位する状態によっては、前記細い流路を塞いで該細い流路への流体の流れを遮断するものとすることができる。
【0012】
また、バルブは、前記太い流路の領域が流路の上流側に、前記細い流路の領域が流路の下流側に位置するように配されているように構成することもできる。
【0013】
また、本発明により提供される流体搬送方法は、流体を流すための流路を用いた流体搬送方法であって、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有する流体搬送装置を用意する工程、前記圧力発生手段を用いて前記バルブを開状態で前記流体を前記処理部に搬送する工程、前記圧力発生手段を用いて前記バルブを閉状態とする工程、前記圧力開放手段を用いて前記バルブを開状態とする工程、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の流体搬送方法においては、バルブは、前記流路に前記流体が流れたときに前記バルブの上流側と下流側との間に生じる圧力差に応じて作動し、前記圧力差が所定の値未満のときは流体を通過させ、前記圧力差が前記所定の値以上のときは流体の流れを遮断するものであり、該バルブの開閉制御を前記圧力発生手段と前記圧力開放手段を用いて行うようにすることもできる。
【0015】
また、前記圧力差が前記所定の圧力差以下となるように前記圧力発生手段を制御して、前記バルブを開状態とし、前記流体を前記処理部に搬送するようにすることもできる。
【0016】
また、本発明の流体搬送方法は、流体搬送装置として、前記バルブを前記流路中に複数備え、該複数のバルブは前記流体の流れを遮断するしきい値が異なるものを用意する工程、前記圧力発生手段を用いて、上流側に位置する第一のバルブ前後の圧力差が、第一のバルブのしきい値未満であり、かつ第一のバルブより下流側に位置する第二のバルブの圧力差が第二のバルブのしきい値未満となるように流体を搬送する工程、前記圧力発生手段を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、第一のバルブのしきい値未満であり、かつ第二のバルブ前後の圧力差が、第二のバルブのしきい値以上となるように流体を搬送し、第一のバルブを開状態に保持し、第二のバルブを閉状態とする工程、及び前記圧力開放手段を用いて、第二のバルブの上流側の圧力を開放し、第二のバルブを開状態とする工程を有するものをも包含する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、微小流路中の流体の流れを簡単な構成でかつ正確に制御することが可能となる。特に本発明においては、流路中の圧力を開放する圧力開放手段を設けている。この圧力開放手段により流路中の圧力を開放することによりバルブの開放制御を簡便に行い得る。そして、流体を搬送するための圧力発生手段と、圧力開放手段とを設けていることから、これらを制御することで、流体の処理部における処理時間を制御し、更に次の処理部への流体の搬送及び次の処理部での処理時間を容易に制御し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の流体搬送装置は、流体を流すための流路を用いて流体を搬送する流体搬送装置であって、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有することを特徴とするものである。
【0019】
(流体搬送装置の説明)
以下の図1に示す流体搬送装置においては、流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段としての流体搬送手段108、複数の処理部として第1の反応室102、第2の反応室103、第3の反応室104、バルブとして第1のバルブ105、第2のバルブ106、流路中の圧力を開放する圧力開放手段として圧力開放手段109を備えている。この他、2つのリザーバを備えている。
【0020】
図1は、本発明の流体搬送装置の一例を示す概念図である。図1に示す流体搬送装置100は、第1のリザーバ101、第2のリザーバ107、第1の反応室102、第2の反応室103、第3の反応室104、そして第一のバルブに相当するバルブ105、第二のバルブに相当するバルブ106で構成されている。リザーバ101は流体搬送手段108と接続されており、リザーバ101と流体搬送手段の間には圧力開放手段109が接続されている。本例では、圧力開放手段109は流体搬送装置108の下流側で、処理部を構成する第1の反応室102よりも上流側に設けられている。リザーバ107は不図示の外部容器と接続されている。試料はリザーバに接続された流体搬送手段により、第1の反応室、第2の反応室、第3の反応室を通過し、最後にリザーバ107に搬送される。流体搬送装置100について、搬送手段108側を上流、リザーバ107側を下流とすると、上流側に備えたバルブの方が流れを遮断する所定の値が大きくなるように配置する。
【0021】
ここで、バルブ105及び106の構成は次に詳述するが、これらのバルブは、図面の左側から(上流側)から右側(下流側)への方向については、バルブ前後に発生する圧力差がある特定のしきい値以上の場合には、閉状態となって流体の流れを遮断し、しきい値未満の場合には、開状態となって流体を通過させる特性をもつものが採用できる。
【0022】
(バルブの説明)
図2は、本発明の流体搬送装置に用いることができるバルブの構造の一例を概略図で示したものである。図2(a)にはバルブ200の平面図、図2(b)には断面図を示す。バルブ内の流路は、細い流路203を有する領域と、太い流路204を有する領域に分けられる。遮蔽部は201に示す平板の形状であり、流路204と205の間に、バネ202によって弾性支持された平板201が流路と垂直に、そして流路203の入り口とある距離を保って設置されている。平板201の径は流路203の径よりも大きく、平板201が流路203に向かって変位して流路203と流路205の境界に達した場合、流体の流れを塞ぐことが可能となる。尚、上述の図1に示した流体搬送装置におけるバルブ105及び106は、図2(b)に示した太い流路204側が上流側に細い流路203側が下流側に位置するように配置される。
【0023】
図3(a)に、このバルブに流路204から流路203の向きに液体が流れる場合の経路を示す。このような流れにおいては、液体が流路205を流れる間に圧力の低下を生じる。これにより、平板201の表面では、流路204側と流路205側で圧力差が発生する。この圧力差が駆動力となり、平板201は流路203の入り口に向かって変位する。
【0024】
図3(b)は、流路204から流路203への液体の流れにより生じる圧力差がバルブの閉る所定の値よりも低い場合を示す。平板201は、流路204側と流路205側の圧力差により変位するが、これを保持するバネ202の弾性による復元力により、流路203の入り口を塞ぐまでには至らない。従って、流体は301に示すように、流路204から203へ抜けていく。
【0025】
一方、図3(c)は、流路204から流路203への液体の流れにより生じる圧力差がバルブの閉じる所定の値以上である場合を示す。平板201は、流路204側と流路205側の圧力差により変位し、やがて流路203の入り口を塞ぐ。これにより流体の流れは302に示すように流路204内で止まり、平板201は液体の圧力によって、流路203の入り口をシーリングした状態で保持され続ける。前記バルブの上流側の圧力を開放することにより、平板201はバネ202の復元力によって流路203の入り口から離れ、元の位置に戻る。
【0026】
バルブが駆動する圧力範囲はバネ202のバネ定数、および平板201と流路203の距離により決定される。この内バネ定数は、バネ202の長さ、厚み、本数、材質により決定される。これらを最適化することで、必要な圧力範囲で開閉の切り替わるバルブを設計することが出来る。また、バルブが閉じた状態の時、平板201は流体の圧力により保持されるため、高いシーリング効果が期待でき強度も高い。
【0027】
バネ202および平板201の材質としては、分析や化学反応に用いる溶液に対して耐性があり、かつ弾性変形に対してある程度の耐性を持つ、例えばシリコンが望ましい。シリコーン等の樹脂を用いることも可能である。必要に応じて、表面をコーティングしてもよい。また流路を形成するその他の基板に関しては、前記溶液に対して耐性がある材料であれば特に制限がない。例えば、ガラス、シリコン等が挙げられる。
【0028】
また、遮蔽部の形状は、対向した開口を遮蔽することが可能な形状であれば特に制限はない。特に円形状が、流れの対称性の観点から好ましい。また、遮蔽部を平板状にし、対向する基板との間にギャップを形成することにより、該ギャップ間を流体が流れるときに圧力低下が発生し、遮蔽部の上下で圧力差が発生する。この圧力差により、遮蔽部が基板方向に移動する。
【0029】
また本例では、平板上の遮蔽部を板バネで弾性支持した形態を例にとり説明したが、本発明に適用できるバルブはこれに制限されるものではない。例えば片持ち梁や両持ち梁のように、遮蔽部の片端もしくは両端を固定することにより弾性支持しても良い。
【0030】
本発明の流体搬送装置に用いるバルブは、バルブを流れる流体の圧力差により動作するため、搬送試料の漏れが生じる。しかし、前記漏れは本発明を用いて行う化学分析や化学反応に対してほとんど影響を与えない。その理由について、図2を用いて説明する。本発明に用いるバルブは、遮蔽部201と流路203の距離がバルブ内流路の直径に対して十分小さい。これにより、バルブから漏れる試料の量は無視できるほど少ない。また、漏れの影響を積極的に回避する方法として、バルブと前記バルブの下流に位置する反応室の間の流路長を十分に長く設計する方法がある。
【0031】
(圧力開放手段の説明)
図1に示した圧力開放手段109は、リーク機能を備えた弁から適宜選択することができるが、具体例としては、三方弁、切替バルブ等を挙げることができる。また、圧力開放手段は、好適には圧力発生手段よりも下流側で、処理部よりも上流側に設けることができる。
【0032】
(流体搬送方法の説明)
本発明の流体搬送方法は、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有する流体搬送装置を用意する工程、前記圧力発生手段を用いて前記バルブを開状態で前記流体を前記処理部に搬送する工程、前記圧力発生手段を用いて前記バルブを閉状態とする工程、前記圧力開放手段を用いて前記バルブを開状態とする工程、を有することを特徴とする。
【0033】
以下の説明では、分析や化学反応を行う流体回路について、反応室とバルブが直列に接続された場合の搬送方法を説明する。この場合、反応室にかかる搬送圧力が高くても簡単な構成で正確に流体を制御できる利点がある。しかしながら本発明はこれに限定されるものではない。同一のμTASチップ上に、前記流体回路を並列に複数形成してもよい。このような場合には、1回の搬送で多項目の分析や化学反応が行うことができる。また、流体回路が増加しても送液手段が1台で済むことからシステム全体を小型化できる。
【0034】
以下、流体搬送装置100を用いて本発明の流体搬送方法により、液体試料を搬送する方法について説明する。
【0035】
まず、本発明の流体搬送装置100が予め液体で満たされている場合について説明する。
【0036】
図4は流路中を液体試料401が搬送される工程を示している。
【0037】
(a)工程
ここでは、流体搬送機構を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、前記バルブの一定の圧力差以下であり、かつ前記第一のバルブより下流にある第二のバルブ前後の圧力差が、前記第二のバルブの所定の圧力差以下となるように、流体を搬送する。
【0038】
図4(a)を用いて説明する。流体搬送手段108にてバルブ105前後に発生する圧力差がバルブ105の閉じる所定の圧力差以下であり、かつバルブ106前後に発生する圧力差がバルブ106の閉じる所定の圧力差以下となるように液体を搬送する。このとき、予め流路中に存在する液体の移動によりバルブ105、106は閉状態に至らない。これにより、バルブ105、106は開状態に保持され、液体試料401はリザーバ101よりバルブ105の方向へ搬送される。
【0039】
(b)工程
ここでは、流体搬送機構を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、前記第一のバルブの所定の圧力差以上となるように、流体を搬送する。
【0040】
図4(b)を用いて説明する。液体試料401は量が決まっているため、所定の搬送時間の後、バルブ105に搬送される。このとき、流体搬送手段108にて、バルブ105前後に発生する圧力差がバルブ105の閉じる所定の圧力差になるように、液体を搬送する。これにより、バルブ105は閉状態になる。搬送圧力をモニタリングすることにより、バルブ105が閉状態になるのを確認し、液体を搬送するのを停止する。図4(b)の工程中、液体試料401は第1の反応室102の位置に保持される。
【0041】
(c)工程
ここでは、前記流路中の圧力を開放する機構を用いて、前記バルブの上流側の圧力を開放し、前記バルブを開状態とする。
【0042】
図4(c)に示ように、圧力開放手段109を開状態にすることにより、バルブ105の上流側の圧力を開放する。これにより、バルブ105前後の圧力差がなくなり、バネの復元力によりバルブ105は開状態になる。図4(b)の工程の後、圧力開放手段109は閉状態にする。
【0043】
(d)工程
ここでは、前記流体を搬送する手段を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、前記第一のバルブの所定の圧力差以下であり、かつ前記第二のバルブ前後の圧力差が、前記第二のバルブの所定の圧力差以上となるように流体を搬送し、前記第一のバルブを開状態に保持し、前記第二のバルブを閉状態とする。
【0044】
図4(d)を用いて説明する。まず、(a)工程と同様の方法により、液体試料401は第二の反応室103に搬送される。液体試料401は所定の時間搬送された後、バルブ106に搬送される。このとき、流体搬送手段108により、バルブ105前後に生じる圧力差がバルブ105の閉じる所定の値以下であって、かつバルブ106前後に生じる圧力差がバルブ106の閉じる所定の圧力差以上となるように液体を搬送する。これにより、バルブ105は開状態に保持され、バルブ106は閉状態になる。搬送圧力をモニタリングすることにより、バルブ106が閉状態であることを確認し、液体を搬送するのを停止する。図4(d)の工程中、液体試料401は第2の反応室103の位置に保持される。
【0045】
(e)工程
ここでは、前記流路中の圧力を開放する機構を用いて、前記バルブの上流側の圧力を開放し、前記バルブを開状態とする。
【0046】
図4(e)に示すように、圧力開放手段109を開状態にすることにより、バルブ106の上流側の圧力を開放する。これにより、バルブ106前後の圧力差がなくなり、バネの復元力によりバルブ106は開状態になる。このときバルブ105についても開状態となる。図4(e)の工程の後、圧力開放手段109は閉状態にする。
【0047】
(f)工程
ここでは、前記流体を搬送する手段を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、前記バルブの所定の圧力差以下であり、かつ前記第二のバルブ前後の圧力差が、前記第二のバルブの所定の圧力差以下となるように、流体を搬送する。
【0048】
図4(f)に示すように、(a)工程と同様に液体を搬送する。これにより、バルブ105、106は開状態に保持されるため、液体試料401はリザーバ107に搬送される。
【0049】
本例では、流体搬送装置100に予め液体が満たされており、液体試料を搬送する方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。流路中に予め気体が満たされており、気体試料を搬送することも可能である。
【0050】
次に、本発明の流体搬送装置100に予め気体が満たされており、液体試料を搬送する例について説明する。図5は流路内を液体試料501が搬送される工程を示している。
【0051】
(a)工程
ここでは、流体を搬送する手段を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が第一のバルブの所定の圧力差以上になるように流体を搬送する。
【0052】
図5(a)に示すように、流体搬送手段108にてバルブ105前後に発生する圧力差がバルブ105が閉じる所定の圧力差となるように液体を搬送する。これにより、液体試料501は第1の反応室102に搬送される。搬送圧力をモニタリングすることにより、バルブ105が閉状態になるのを確認し、液体を搬送するのを停止する。図5(a)の工程中、液体試料501は第1の反応室102の位置に保持される。
【0053】
ここで、本発明に用いるバルブは、流体の粘性によりバルブが閉じる所定の圧力差が決まる。バルブ105、106の液体によって決まる前記所定の圧力差は、気体によって決まる前記所定の圧力差に比べて十分に小さい。これにより、前記(a)工程において、流路中に存在する気体がバルブ105、106を流れることにより、バルブ105、106を閉状態にすることはない。
【0054】
(b)工程
ここでは、前記流路中の圧力を開放する機構を用いて、第一のバルブの上流側の圧力を開放し、前記第一のバルブを開状態とする。
【0055】
図5(b)に示すように、圧力開放手段109を開状態にすることにより、バルブ105の上流側の圧力を開放する。これにより、バルブ105前後の圧力差がなくなり、バネの復元力によりバルブ105は開状態になる。図5(b)の工程の後、圧力開放手段109は閉状態にする。
【0056】
(c)工程
ここでは、第一のバルブ前後の圧力差が、前記第一のバルブの所定の圧力差以下であり、かつ前記第一のバルブより下流側にある第二のバルブ前後の圧力差が、前記第二のバルブの所定の圧力差以上となるように流体を搬送する。
【0057】
図5(c)に示すように、バルブ105前後に生じる圧力差はバルブ105が閉じる所定の圧力差以下であり、かつバルブ106前後に生じる圧力差はバルブ106が閉じる所定の圧力差以上になるように液体を搬送する。これにより、バルブ105は開状態に保持され、液体はバルブ105を通過し第1の反応室102から第2の反応室103に搬送される。液体試料501がバルブ106に注入され、バルブ106は閉状態になる。搬送圧力をモニタリングすることにより、バルブ106が閉状態であることを確認し、液体を搬送するのを停止する。図5(c)の工程中、試料は第2の反応室103の位置に保持される。
【0058】
(d)工程
ここでは、前記流路中の圧力を開放する機構を用いて、前記第二のバルブの上流側の圧力を開放し、第二のバルブを開状態とする。
【0059】
図5(d)に示すように、圧力開放手段109を開状態にすることにより、バルブ106の上流側の圧力を開放する。これにより、バルブ106前後の圧力差がなくなり、バネの復元力によりバルブ106は開状態になる。図5(d)の工程の後、圧力開放手段109は閉状態にする。
【0060】
(e)工程
ここでは、第一のバルブ前後の圧力差が、前記第一のバルブが閉じる所定の圧力差以下であり、かつ前記第二のバルブ前後の圧力差が、前記第二のバルブの所定の圧力差以下となるように液体を搬送する。
【0061】
図5(e)に示すように、バルブ105前後に生じる圧力差がバルブ105が閉じる所定の圧力差以下であり、かつバルブ106前後に生じる圧力差がバルブ106が閉じる圧力差以下になるように液体を搬送する。これにより、バルブ105およびバルブ106は開状態に保持され、液体試料501は第2の反応室103から、バルブ106を通過して第3の反応室104に搬送される。また、図5(e)の工程の後、液体試料501はリザーバ107に搬送される。
【0062】
本例では、所定の圧力差以上になると閉じるバルブを直列に配置した流体回路を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、流路が並列に分岐した流体回路についても、バルブに搬送圧力を印加させることと搬送圧力を開放することで流体を制御することが可能である。
【0063】
また、所定の圧力差以上になると閉じるバルブを複数配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。バルブ前後の圧力差が所定の圧力以上になると流体を通過させるバルブを本発明の流体搬送装置と組み合わせても良い。これにより、種種の制御方法が実現可能である。
【0064】
また、本項では、バルブに液体を搬送し、搬送圧力をモニタリングすることで閉状態を確認し、液体を搬送することを停止したが、本発明はこれに限定されるものではない。ポンプの搬送圧力が設定値に到達すると自動的に搬送を停止する機能を用いても良い。
【0065】
ポンプを用いる場合、搬送圧力を制御するモードで駆動する方法と、搬送流量を制御するモードで駆動する方法がある。また、バルブが閉じる所定の値は搬送圧力だけでなく搬送流量によっても決まる。そこで、本例では搬送圧力を制御するモードで流体を搬送する方法について説明したが、搬送流量を制御するモードで流体を搬送する場合においても同様に本発明を実施することが可能である。
【実施例1】
【0066】
実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中における、寸法、形状、材料は一例であり、本発明の要件を満たす範囲内であれば、設計事項として任意に変更することができる。
【0067】
本例では、バルブに流体の圧力を印加することと、流体の圧力を開放することによりバルブの開閉の制御を行う流体搬送装置の作製例を示す。
【0068】
図6に図1に示した流体搬送装置の作製例を示す。図6(a)は、図1に示す流体回路を形成する基板601の上面図を示し、図6(b)は、図6(a)中のA−A’間の断面図を示す。
【0069】
流体制御装置は、図6(b)に示すように、流路を形成するガラス基板601、バルブの可動部を構成する基板602、バルブの可動部が流路を塞ぐ部分を形成した基板603、バルブと次のプロセスを接続する流路を形成した基板604からなる。
【0070】
図6(b)に、流体がリザーバ101から反応室、バルブ内を通過してリザーバ107に抜けるまでの具体的な経路を示す。リザーバ101を通過した流体は、第1の反応室102に注入され、基板602内に形成されたバルブ内流路のうち、太い流路を有する領域204に注入される。基板602内に形成された平板201は、流体の圧力およびバネ202のバネ定数により決定される量の変位を受け、平板201が基板603内の細い流路を有する領域205の入口を塞ぐ。これにより、流体は基板602内の太い流路を有する領域204内で止まり、それ以上流路202へは流れていかない。不図示のリークバルブを開けると、平板201はバネ202の復元力によって元の位置に戻る。
【0071】
次に、第1の反応室102と太い流路を有する領域204に満たされた流体は、流路203、流路605、流路606を通って第2の反応室103に注入される。第2の反応室103を満たし、バルブ106に注入された流体はバルブ105と同様に流れを遮る。不図示のリークバルブを開けるとバルブ105と同様に開状態になる。
【0072】
次いで、第2の反応室103とバルブ106内に満たされた流体は、流路607、流路608を通って第3の反応室に注入される。その後、リザーバ107を経由してシステムの外へ廃棄される。
【0073】
各部の寸法例は、以下のとおりである。基板601、604の厚みは200〜500μm、。基板603の厚みは200μmである。基板601に形成される流路の幅は500μm、深さは20〜500μmである。基板602はSOI基板を用いており、シリコン/シリコン酸化膜/シリコンの厚みが5μm/0.5μm/200〜500μmとなっている。基板603に形成される流路203、スルーホール606、608は直径100μmである。バルブ内の太い流路で形成される領域204は、直径300μmである。バルブを形成する可動部201は直径200μm、厚み5μmで、バネ202は長さ50〜300μm、厚み5μm、幅20〜40μmである。流路205の長さ、すなわち変位のない状態の可動部201と流路203の距離は5μmである。基板601の各リザーバの直径は1mmである。
【0074】
本例の流体搬送装置の作製方法は、以下のとおりである。
【0075】
バルブの作製は、次のようにする。基板602、基板603、基板604にシリコンを用い、フォトリソグラフィ法とドライエッチング(例えばSF6ガスとC4F8ガスを用いたプラズマエッチング)等を利用してバルブを作製する。基板602、基板603、基板604は熱融着法により接合する。
【0076】
流路基板の作製は以下のとおりである。ガラス基板601にフォトリソグラフィ法とウエットエッチング(例えばHFを用いる)等を利用して流路をパターニング形成して流路基板を作製する。スルーホールはサンドブラスト加工により形成する。
【0077】
こうして得られた流路基板601とバルブを構成する基板602、基板603、基板604を陽極接合法により接合して流体搬送装置が作製される。
【実施例2】
【0078】
本例では、実施例1で説明した流体搬送装置を利用し、サンプルとして腫瘍マーカーであるα−フェトプロテイン(AFP)を抗原抗体反応により蛍光分析するための装置について説明する。
【0079】
図7に分析システムの概略図を示す。流路は基板701上に形成され、サンプルのリザーバ702、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したウサギ抗ヒトAFP(以下、標識抗体という)のリザーバ703、サンプル中に含まれる血球成分を分離する分離部704、サンプルと標識抗体が混合する混合部705、抗原抗体反応を行う反応部706を有する。分離部704と混合部705の間にはバルブ708、リザーバ703と混合部705の間にはバルブ710、反応部706と廃液部707の間にはバルブ709が接続されている。また、リザーバ702と分離部704の間、およびリザーバ703とバルブ710との間は流路表面が撥水処理されており、前記リザーバ内の液体は漏れない。反応部はビーズが充填されており、ビーズ表面にはマウス抗ヒトAFPが吸着している。ビーズはポリスチレンビーズ、直径45μmを使用する。分析システムは流路基板701、ポンプ712、リークバルブ713で構成されている。リザーバ702、703はリークバルブ713を介してポンプ712に接続されている。なお、蛍光顕微鏡711は反応部706を挟むように配置されている。
【0080】
分析対象サンプル溶液として、血液を20μlを、洗浄溶液として、20mMリン酸緩衝液(pH=7.0;KHPO−NaHPO)を用意する。
【0081】
まず、サンプル中の血球成分を分離する。次に、血球成分が分離されたサンプルと標識抗体を混合させ、反応部で抗原抗体反応を行う。その後、反応が終わったサンプルは廃液部に搬送される。なお、リザーバ702内の血液サンプルおよびリザーバ703内の標識抗体はポンプよりリン酸緩衝液を搬送することにより流路内を移動する。
【0082】
ここで、バルブが閉じる所定の値について説明する。サンプルを搬送するホンプは、搬送流量を制御するモードで駆動する。また、前記流路において、ポンプ側に位置するバルブほどバルブが閉じる流量が大きくなるように構成する。バルブ708およびバルブ710が閉る流量は500μl/min、バルブ709が閉る流量は50μl/minである。
【0083】
また、サンプルの搬送流量は次のとおりである。血球成分を分離する工程では流量1000μl/min、サンプルと標識抗体を混合する工程では流量100μl/min、反応が終わったサンプルを搬送する工程では流量10μl/minで搬送する。
【0084】
分析工程は以下のとおりである。図8(a)に示すように、まず、リザーバ702から分離部704へサンプルを流量1000μl/minで注入する。サンプルはサンプル中の血球成分が分離されバルブ708に搬送される。また、このとき、リザーバ703内の標識抗体はバルブ710に搬送される。バルブ708、710が閉る流量は500μl/minであるため、バルブ708、710は閉状態になりサンプルの搬送を停止する。
【0085】
次に、図8(b)に示すように、リークバルブ713を開状態にし、バルブ708、710を開状態にする。
【0086】
そして、前記サンプルと前記標識抗体を流量100μl/minで搬送する。このとき、搬送流量はバルブ708、710が閉じる流量を下回るため、前記サンプルと前記標識抗体は同時に混合部に搬送される。これにより、標識されたウサギ抗ヒトAFPはサンプル中のヒトAFPと抗原抗体反応を生じる。
【0087】
図8(c)に示すように、サンプルは反応部706に流量100μl/minで注入される。バルブ709が閉じる流量は50μl/minより、バルブ709は閉状態になり、サンプルの搬送を停止する。このとき、ヒトAFPと結合した標識抗体とビーズに吸着したマウス抗ヒトAFPとは抗原抗体反応を生じる。反応のため10分間サンプルを反応部に保持する。その後、リークバルブ713を開状態にし、バルブ709を開状態にする。
【0088】
そして、図8(d)に示すように、反応に関わらない血液サンプルを流量10μl/minで廃液部707に搬送する。引き続きポンプより、リン酸緩衝液を搬送することにより反応706を洗浄する。蛍光顕微鏡711によって抗原抗体反応が生じたサンプルを観察する。反応部706に充填されたビーズ表面に結合したヒトAFPは、FITC蛍光反応により確認することができる。
【0089】
以上のように、本発明の流体搬送装置を用いれば、簡単な構成で流体を搬送することが可能である。また、バルブは耐圧性を備えた構造であることから、搬送圧力が高い場合も正確な流体制御が可能である。特に、μ−TASの分野ではシステム全体の小型化が要求されるため、本発明は有用である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の流体搬送装置は、搬送圧力を印加することと搬送圧力を開放することにより、バルブの開閉の制御を容易に行うことができ、簡単な構成で流体の搬送制御をすることができる。また、耐圧性を備えているので高圧力の流体の搬送に対しても正確な制御が可能となる。特にチップ上で化学分析や化学反応を行う小型化分析システム(μ―TAS)において、流体の流れを制御するための流体搬送装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の流体制御方法の実施形態の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の流体制御装置に用いるバルブの一実施形態を示す概念図である。
【図3】本発明の流体制御装置に用いるバルブが駆動する工程を示す図である。
【図4】本発明の流体搬送方法の一実施形態を示す概念図である。
【図5】本発明の流体搬送方法の一実施形態を示す概念図である。
【図6】本発明の流体制御装置の一実施形態を示す概念図である。
【図7】本発明の流体搬送装置の一実施形態を示す概念図である。
【図8】本発明の流体搬送方法の一実施形態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0092】
101、107、702、703 リザーバ
102 第1の反応室
103 第2の反応室
104 第3の反応室
105、106、200、708、709、710 バルブ
108 流体搬送手段
109 圧力開放手段
201 平板
202 バネ
203、204、205 バルブ内流路
301、302 流体の流れ
401、501 液体試料
601、602、603、604 基板
605、606、607、608 流路
704 分離部
705 混合部
706 反応部
711 蛍光顕微鏡
712 ポンプ
713 リークバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流すための流路を用いて流体を搬送する流体搬送装置であって、前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有することを特徴とする流体搬送装置。
【請求項2】
前記バルブは、前記流路に前記流体が流れたときに前記バルブの上流側と下流側との間に生じる圧力差に応じて作動し、前記圧力差が所定の値未満のときは流体を通過させ、前記圧力差が前記所定の値以上のときは流体の流れを遮断することを特徴とする請求項1に記載の流体搬送装置。
【請求項3】
前記バルブを前記流路中に複数備え、該複数のバルブは前記流体の流れを遮断するしきい値が異なることを特徴とする請求項2に記載の流体搬送装置。
【請求項4】
前記複数のバルブは、前記流路中の上流側に位置するバルブほど、下流側に位置するバルブよりも前記流体の流れを遮断するしきい値が大きいことを特徴とする請求項3に記載の流体搬送装置。
【請求項5】
前記バルブは、バネと前記バネにより弾性支持された遮蔽部を有し、前記遮蔽部は、バルブ前後の圧力差により変位し、前記圧力差が所定の値以上のときに、前記遮蔽部が前記流路を遮蔽することを特徴とする請求項2に記載の流体搬送装置。
【請求項6】
前記バルブは、該バルブを構成する少なくとも太い流路の領域と、これよりも細い流路の領域を有し、前記遮蔽部が前記太い流路の領域内に変位可能に設けられ、変位する状態によっては、前記細い流路を塞いで該細い流路への流体の流れを遮断することを特徴とする請求項5に記載の流体搬送装置。
【請求項7】
前記バルブは、前記太い流路の領域が流路の上流側に、前記細い流路の領域が流路の下流側に位置するように配されていることを特徴とする請求項6に記載の流体搬送装置。
【請求項8】
流体を流すための流路を用いた流体搬送方法であって、
前記流体を搬送するための圧力を発生する圧力発生手段と、前記流体に対し処理を行う複数の処理部と、該複数の処理部の間に位置し前記流体の流れを制御するためのバルブと、前記流路中の圧力を開放する圧力開放手段と、を有する流体搬送装置を用意する工程、
前記圧力発生手段を用いて前記バルブを開状態で前記流体を前記処理部に搬送する工程、
前記圧力発生手段を用いて前記バルブを閉状態とする工程、
前記圧力開放手段を用いて前記バルブを開状態とする工程、
を有することを特徴とする流体搬送方法。
【請求項9】
前記バルブは、前記流路に前記流体が流れたときに前記バルブの上流側と下流側との間に生じる圧力差に応じて作動し、前記圧力差が所定の値未満のときは流体を通過させ、前記圧力差が前記所定の値以上のときは流体の流れを遮断するものであり、該バルブの開閉制御を前記圧力発生手段と前記圧力開放手段を用いて行うことを特徴とする請求項8に記載の流体搬送方法。
【請求項10】
前記圧力差が前記所定の圧力差以下となるように前記圧力発生手段を制御して、前記バルブを開状態とし、前記流体を前記処理部に搬送することを特徴とする請求項9に記載の流体搬送方法。
【請求項11】
前記流体搬送装置として、前記バルブを前記流路中に複数備え、該複数のバルブは前記流体の流れを遮断するしきい値が異なるものを用意する工程、
前記圧力発生手段を用いて、上流側に位置する第一のバルブ前後の圧力差が、第一のバルブのしきい値未満であり、かつ第一のバルブより下流側に位置する第二のバルブの圧力差が第二のバルブのしきい値未満となるように流体を搬送する工程、
前記圧力発生手段を用いて、第一のバルブ前後の圧力差が、第一のバルブのしきい値未満であり、かつ第二のバルブ前後の圧力差が、第二のバルブのしきい値以上となるように流体を搬送し、第一のバルブを開状態に保持し、第二のバルブを閉状態とする工程、
及び前記圧力開放手段を用いて、第二のバルブの上流側の圧力を開放し、第二のバルブを開状態とする工程を有することを特徴とする請求項9に記載の流体搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−153609(P2006−153609A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343355(P2004−343355)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】