流体発電装置および水上移動具
【課題】効率よく動作できる工夫がなされた流体発電装置および水上移動具を提供する。
【解決手段】流体の相対的な流れの上流側に流体受入口21が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、相対的な流れの下流側に流体受入口21が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で、状態変化する流体受入部材5と、流体受入口21に設けられた流体導入部材16とを備え、流体導入部材16は、流体受入部材5が受入可能状態にあるときに流体受入部材5の内部に流体を導いて流体受入口21を拡大させる。
【解決手段】流体の相対的な流れの上流側に流体受入口21が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、相対的な流れの下流側に流体受入口21が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で、状態変化する流体受入部材5と、流体受入口21に設けられた流体導入部材16とを備え、流体導入部材16は、流体受入部材5が受入可能状態にあるときに流体受入部材5の内部に流体を導いて流体受入口21を拡大させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置、および水の上に浮かぶ浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流れによって回転する回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置が存在する。この流体発電装置として、流体受入口が流体の流れにおける上流側になる位置では内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、流体受入口が下流側になる位置では内部に流体を受入不能な受入不能状態に状態変化する複数の流体受入部材を回転体に取り付けた流体発電装置が提案されている。回転体が回転することで、流体受入部材は受入可能状態と受入不能状態を交互に繰り返していく。この回転体には、複数の流体受入部材の内の少なくとも一つが常に受入可能状態となるように、複数の流体受入部材が回転体の所定位置にそれぞれ配置されている。また、受入不能状態にある流体受入部材は、流体受入部材が収縮して流体抵抗が小さくなるので、その流体受入部材が回転体の回転の妨げとなることを抑制できる。一方、受入可能状態にある流体受入部材の内部に流体が流入して膨張し、その流体受入部材が流体の流れに押されることで、回転体を回転させる力を得ることができる。このような流体発電装置を開示したものとして、たとえば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
【0003】
また、後ろ方向に移動したときに流体を受入可能な受入可能状態になり、前方向に移動したときに流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を水中に有する浮遊体を2つ備えた水上移動具が考えられる。この水上移動具によれば、受入可能状態の流体受入部材は膨張して水の抵抗を受け、受入不能状態の流体受入部材は収縮して水の抵抗が小さくなるので、その2つの浮遊体を例えば交互に前後に移動させることで水上を前方向に進むことができる。水上移動具を開示したものとして、たとえば特許文献4に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−310051号公報
【特許文献2】特開2008−255886号公報
【特許文献3】特開昭61−244876号公報
【特許文献4】特開昭61−21888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が研究したところ、流体受入部材が受入可能状態となっても、流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合や流体受入部材内部に流体が流入するまでに相当時間がかかる場合があることが分かった。これは、受入不能状態となった流体受入部材は、流体受入口が閉じてしまい、一旦流体受入口が閉じると、回転体が回転してその流体受入部材が受入可能状態となっても、閉じている流体受入口からは流体受入部材内に流体が流入しにくくなることが原因と考えられる。流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合には、流体の流れが回転体の回転運動として寄与できない。また、流体受入部材の内部に流体が流入し、流体受入部材が完全に膨らむまでの膨張課程では、流体受入部材に流入した流体は流体受入部材を膨らめる力として働き、回転体の回転エネルギーとして殆ど作用しない。流体受入部材内部に流体が流入するまでに時間がかかると、流体の流れが回転体の回転運動に寄与するまでに時間かかってしまう。その結果、回転体が回転しない、或いは回転体の回転数が少なくなるといった問題が生じてしまう虞がある。
【0006】
また、水上移動具でも、上述の回転体と同様に、浮遊体を後ろ方向に移動しても流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合や流体受入部材内部に流体が流入するまでに時間がかかってしまう場合があることが分かった。これらの場合、浮遊体を前後方向に移動させても移動できない、或いは水上を移動する移動量が小さくなるといった問題が生じてしまう虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、効率よく動作できる工夫がなされた流体発電装置および水上移動具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の流体発電装置は、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、
前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、
前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、
前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は受入不能状態になり、該流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の流体発電装置によれば、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口を素早く確実に拡大させることができ、回転体を効率よく回転させ、発電装置の発電する電気エネルギーを増大させることができる。
【0010】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記回転体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記回転体から離れる方向に傾斜したものであることが好ましい。
【0011】
前記突出部を有することで、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0012】
本発明の流体発電装置において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該回転体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記袋体の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることも好ましい態様の一つである。
【0013】
この態様によれば、所定間隔に応じた開口が維持されるので、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0014】
また、前記間隔保持部材は、前記剛性部材と一体のものであってもよい。
【0015】
上記目的を達成する本発明の水上歩行具は、水の上に浮かぶ2つの浮遊体を有し、該浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具において、
前記2つの浮遊体それぞれに設けられ、該浮遊体を後ろ方向に動作させることで内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、該浮遊体を前方向に動作させることで内部に流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を備え、
前記浮遊体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで推進力を得るものであり、
前記流体受入部材は、前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の水上歩行具によれば、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口を素早く確実に拡大させることができ、水上歩行具による移動効率を増大させることができる。
【0017】
本発明の水上歩行具において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記浮遊体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記浮遊体から離れる方向に傾斜したものであることが好ましい。
【0018】
前記突出部を有することで、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0019】
本発明の水上歩行具において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該浮遊体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記流体受入部材の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることも好ましい態様の一つである。
【0020】
この態様によれば、所定間隔に応じた開口が維持されるので、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0021】
また、前記間隔保持部材は、前記剛性部材と一体のものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率よく動作できる工夫がなされた流体発電装置および水上移動具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体発電装置を示す平面図である。
【図2】図1の流体発電装置の側面図である。
【図3】図1に示す回転体を下側から見た斜視図である。
【図4】水の流れによって図1に示す回転体が回転する状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は、図4に示す流体受入部材が膨らんだ状態を示す図、(b)は、図4に示す流体受入部材が扁平状となった状態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る流体発電装置の設置状態を示す側面図である。
【図7】図6に示す流体発電装置の要部を示す斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る流体発電装置を示す側面図である。
【図9】第4の実施形態に係る回転体をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【図10】(a)は図9に示す流体受入部材が膨らんだ状態を示す図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は、図9に示す流体受入部材が扁平状となった状態を示す図、(d)は(c)のB矢視図である。
【図11】図11(a)は、第5の実施形態に係る水上移動具を示す側面図であり、(b)は、図11(a)を下側から見た下面図である。
【図12】図11(b)のC−C断面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る流体発電装置を図面にしたがって説明する。
【0025】
まず、図1〜図5に基づいて第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る流体発電装置1を示す平面図であり、図2は、図1の流体発電装置1の側面図である。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る流体発電装置1は、水面又は海面に浮くフローティングユニット4と、フローティングユニット4を所定領域に係留する係留手段9とを有している。フローティングユニット4は、流体の流れ(水流)によって回転する回転体3と、回転体3の上面に設けられた発電機7とを備えている。なお、図1では発電機7を省略している。回転体3の下面(着水面)には、複数の流体受入部材5が取り付けられている。
【0027】
係留手段9は、フローティングユニット4を支持する支持アーム11が連結された矩形状の枠体から成るフレーム18と、岩場等の不動領域に固定された支柱13と、フレーム18と支柱13との間に回動自在に連結されたリンク部材15とを有している。リンク部材15は、回転自在に支柱13に接続された主リンク15aと、その主リンク15aにそれぞれ回転自在に接続された一対の接続リンク15bとを備えている。支柱13と主リンク15aにはジャッキ20の端部がそれぞれ連結されている。洪水が発生したときなど、必要なときには、主リンク15aをジャッキ20により上方に持ち上げることで、フローティングユニット4を水面より引き揚げることができる。
【0028】
支持アーム11の先端部にはベアリング17が固定されており、このベアリング17を介して発電機7の回転軸7aが支持アーム11に接続されている。また、発電機7の本体7bは、図示しない固定機構で、フレーム18に固定されている。
【0029】
水流によって生じる回転体3の回転エネルギーは発電機7によって電気エネルギーに変換され、得られた電力は図示しないケーブルにより蓄電器に蓄えられ、あるいは電力消費体へ送られる。
【0030】
図3は、水面に浮く回転体3をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【0031】
回転体3は発泡スチロール等の浮力が得られる材質で円盤状に形成されており、その下面には周方向に略等間隔に複数の流体受入部材5が設けられている。本実施形態では、回転体3をその材質による浮き性によって浮かせているが、内部を空洞化して浮力を得るようにしてもよい。また、本実施形態では、この流体受入部材5を8つ設ける例を示すが、流体受入部材5は2つ以上であればよい。回転体3の中央部は発電機7の回転軸7aを固定する軸ベース19となっている。
【0032】
流体受入部材5は、ビニール樹脂等の柔軟性を有する材料でポケット状に形成されており、流体(水)が流入する流体受入口21を回転体3の回転方向に対して同一向きにして配置されている。流体受入部材5なお、流体受入部材5を袋状に形成し、その袋状の一部分を回転体3に貼り付けても良い。この流体受入部材5は、水があまり漏れないように数箇所でねじ等により回転体3に固定されている。もちろん、回転体3と接する部分を全て固着してもよい。
【0033】
流体受入部材5の、流体受入口21を画定する縁部50の一部(以下、対向縁部501と称する)は、回転体3に対して接離自在に配置されている。その対向縁部501が、回転体3から離れることで、流体受入口21の大きさが拡大する。
【0034】
流体受入部材5には、流体導入部材16が設けられている。この流体導入部材16は、流体受入部材5より剛性が高く水流を受けても変形しない板状の部材であり、図5(a)および図5(b)に示すように、流体受入部材5の内部であって対向縁部501に貼り付けられた基部160と、対向縁部501から流体受入部材5の外部側に突出した突出部161とを有している。この突出部161は、突出端に向けて対向縁部501が回転体3から離れる方向に傾斜している。
図3では分かり易いように、各流体受入部材5が完全に膨れた状態、換言すれば、回転体3に最も大きな回転エネルギーを与える最大の抵抗形状になった状態を示しているが、水流が作用しない状態ではこのような保形性は有しておらず、上記柔軟性によって型崩れして扁平化した形状となる。
【0035】
図4は、水流によって図1に示す回転体3が回転する状態を示す斜視図であり、図5(a)は、図4に示す流体受入部材5が膨らんだ状態を示す図、図5(b)は、図4に示す流体受入部材5が扁平状となった状態を示す図である。
【0036】
図4に示すように、破線矢印で示す水流は回転体3の全体に対して同一向きに流れる。この流れに対して図4の手前側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の上流側に位置し水を受入可能な受入可能状態となっている。この受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、図5(a)に示すように、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。膨れた流体受入部材5は、水流に対して抵抗体となり、回転体3を図4の矢印R方向に回転させる回転エネルギーを生じさせる。
【0037】
水が入り込んで膨れた流体受入部材5は回転体3の回転に伴って移動する。流体受入部材5が一定の固定形状を有している場合、図4の奥側の流体受入部材5は回転体3をR方向とは逆向きに回転させる抵抗体となり、回転エネルギーが極端に弱まるか拮抗して回転しない状態となる。
【0038】
本実施形態における流体受入部材5は、回転体3の回転により流体受入部材5が移動して流体受入口21が流れの下流側(図4の奥側)に位置すると流体を受入不能な受入不能状態になる。流体受入部材5は柔軟性を有する材質で形成されているので、受入不能状態で、その流体受入部材5が流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受けると、図5(b)に示すように、流体受入部材5内部の水が吐き出されて流体受入部材5は扁平状となり流体受入口21は閉じる。また、流体受入部材5が扁平状となると、その流体受入部材5が回転を弱める抵抗体としての影響は殆どなくなる。
【0039】
このような構成とすれば、回転体3を水面に浮かべておくだけでどの方向の水流も同様に利用することができ、簡易かつ低コストな構成で発電効率を高めることができる。
【0040】
本実施形態では流体受入部材5の変形容易性(可変性)を柔軟な材質によって得ることとしたが、ヒンジ等により予め折り畳み可能な折り目を付けてにしておけば、柔軟性を有する材質ではなくても変形容易性を得ることができる。
【0041】
また、対向縁部501には、流体導入部材16が取り付けられているので、図5(b)に示すように流体受入部材5が受入不能状態となった後、回転体3の回転に伴って受入可能状態に状態変化すると、流体受入部材5の内部に水が素早く流入する。流体導入部材16が存在しない場合には、受入可能状態となっても閉じた流体受入口21が水流によって回転体3に押さえ付けられてしまい、流体受入口21が閉じたままになってしまうことがある。本実施形態では、流体受入部材5の流体受入口21が上流側に位置すると、突出部161に向かって流れる水は、突出部161によって流体受入口21の口内に向かう。すなわち、突出部161によって、流体受入部材5の内部に水を導いて流体受入口21を素早く確実に拡大させることができる。また、突出部161に向かう水流は、流体導入部材16(対向縁部501)を回転体側縁部から離間させる力としても作用するので、流体受入口21をより素早く確実に拡大させることができる。
【0042】
この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませることができるので、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0043】
続いて、図6及び図7に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施の形態で説明した構成上及び機能上の重複した説明は特に必要がない限り省略し、要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る流体発電装置の設置状態を示す側面図であり、図7は、図6に示す回転体の要部を示す斜視図である。
【0045】
本実施形態における流体発電装置1は、図6に示すように、例えば川の水が流れ落ちる傾斜面41に設置して使用するものである。
【0046】
流体発電装置1は、回転体32と、傾斜面41に間隔をおいて固定された2つの脚43とを備えている。回転体32は、各脚43に回転可能に支持された支持部材としての2つのローラ45と、これらのローラ45間に循環移動可能に掛け回された移動体で且つ回転体本体としての無端状のベルト47と、ベルト47の表面に略等間隔に配置された複数の流体受入部材5とを有している。この流体受入部材5の流体受入口21には、流体導入部材16が取り付けられている。また、図7に示すように、一方のローラ45には、発電機7の回転軸7aが固定されている。この回転軸7aは、ベアリング17を介して支持アーム11に支持されている。また、発電機7の本体7bは、図示しない固定機構により回転不能に固定されている。なお、ベルト47を歯付ベルトとし、ローラ45を歯付ベルトとかみ合う歯を設けた歯付プーリとしてもよい。
【0047】
図6に波線で示す矢印は、川の流れを示している。流体受入口21が川の流れの上流側に位置し、受入可能状態となっている流体受入部材5は水流を受けて流体受入部材5が膨らんでいる。この受入可能状態の流体受入部材5が水流を受けることで、ベルト47を回転させる回転エネルギーが生じている。流体受入口21が川の流れの下流側に位置し、受入不能状態となっている流体受入部材5は扁平状となり、回転を弱める抵抗体としての影響は殆どなくなる。
【0048】
扁平状となった流体受入部材5の流体受入口21が上流側に位置すると、突出部161に向かって流れる水は、突出部161によって流体受入口21の口内に向かう。すなわち、突出部161によって、流体受入部材5の内部に水を導くことができる。また、流体受入口21を素早く確実に拡大させることができる。 この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませることができるので、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0049】
また、この実施形態では、地面側(図6における下側)で受入可能状態と成る流体受入部材5を設けているので、川の水が少なく、水面が低い場合であっても、流体受入部材5が水流を受けて回転体3を回転させることができる。
【0050】
続いて、図8に基づいて第3の実施形態を説明する。図8の実施形態は、垂直方向に流れ落ちる川の滝部分に流体発電装置を設置する形態である。
【0051】
図8は、第3の実施形態に係る流体発電装置を示す側面図である。
【0052】
これまでの実施形態は主に水流による力を受けることで回転体を回転させる回転エネルギーを得るものであった。これに対し、この実施形態では、主に流体受入部材5に流入した水の重量により回転エネルギーを得る点が異なる。
【0053】
本実施形態における流体発電装置1の回転体34は、ローラ45と、そのローラ45に巻き掛けられた無端状のベルト47と、ベルト47の表面に略等間隔に配置された複数の流体受入部材5とを有している。ローラ45はベルト47の内側であって、ベルト47の上部に設けられている。流体受入部材5の流体受入口21には、流体導入部材16が取り付けられている。流体受入口21が流体受入部材5の上側に位置している受入可能状態では、流れ落ちてくる滝部の水が、流体導入部材16に導かれて流体受入部材5内部に流入し、流体受入部材5が膨らんでいる。この受入可能状態の流体受入部材5の内部に流入した水の重量により、図8における反時計回りにベルト47を回転させる回転エネルギーが生じている。流体受入口21が流体受入部材5の下側に位置し、受入不能状態となっている流体受入部材5は扁平状態となり、滝部を流れ落ちてくる水が流体受入部材5の内部に流入することはない。また、受入不能状態では、流体受入部材5は、滝部の水から離れた位置にあるので、水の流れがベルト47の回転を妨げることもない。さらに、滝部の水が増えた場合でも、受入不能状態にある流体受入部材5は、扁平状となっているので、回転体34の回転を弱める抵抗体としての影響は殆どない。
【0054】
発電機7は、滝部よりも上方に設けられた台座61に固定されている。ローラ45は、発電機7に固定されたアーム62によって回転自在に保持されている。アーム62の内部にはローラ45の回転を伝達するチェーンなどの図示しない回転伝達機構が設けられており、ローラ45の回転は、駆動チェーンを介して発電機7に伝達されている。なお、ベルト47に流体受入部材5を多数配置することにより、水量が少なくとも大きな回転力を得ることが出来る。
【0055】
この実施形態でも、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませ、回転体34を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0056】
引き続き、図9および図10に基づいて第4の実施形態を説明する。
【0057】
図9は、第4の実施形態に係る回転体36をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【0058】
本実施形態では、流体受入部材5の流体受入口21を画定する縁部50に、柔軟性のある厚手の開口維持部材51を備えている。流体受入部材5の、流体受入口21を画定する縁部50以外の部分は、例えば厚さ1mmのビニール樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されている。開口維持部材51は、厚さ2mm以上の弾性体(ここではシリコンゴム)で形成されている。
【0059】
図9に示すように、図9の手前側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の上流側に位置し水を受入可能な受入可能状態となっている。この受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。膨れた流体受入部材5は、水流に対して抵抗体となり、回転体36を回転させる回転エネルギーを生じさせる。
【0060】
図9の奥側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の下流側に位置し水を受入不能な受入不能状態となっている。受入不能状態では、流体受入部材5は、流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受け、流体受入部材5内部の水が吐き出されて扁平状となる。ただし、本実施形態では、受入不能状態でも流体受入部材5に開口維持部材51を備えているので、流体受入口21は完全に閉じずに開口の一部は維持される。
【0061】
図10(a)は図9に示す流体受入部材5が膨らんだ状態を示す図、図10(b)は図10(a)のA矢視図、図10(c)は、図9に示す流体受入部材5が扁平状となった状態を示す図、図10(d)は図10(c)のB矢視図である。
【0062】
受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、図10(a)に示すように、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。図10(b)に示すように、流体受入部材5が膨れた状態では、開口維持部材51は円弧状をしている。また、開口維持部材51は、水流のない無負荷時にも自身の弾性による復元力によって流体受入口21が最も拡大した形状である円弧状をしている。図10(c)に示すように、受入不能状態の流体受入部材5は流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受ける。この受入不能状態では、流体受入部材5内部の水が吐き出されて流体受入部材5の流体受入口21とは反対側の部分は扁平状となる。図10(d)に示すように、この受入不能状態にある流体受入口21は、水流を受けてある程度変形し、受入可能状態にあるときよりも流体受入口21が縮小するものの、開口維持部材51の弾性により完全に閉じずに体受入口21は多少の開口が維持される。すなわち、開口維持部材51は、受入不能状態にある流体受入口21が密閉されない形状を自身の弾性によって維持する。なお、本実施形態では、流体受入口21を画定する縁部50に開口維持部材51を設けているが、受入不能状態でも流体受入口21が密閉しない位置であれば、流体受入部材5の別の位置に開口維持部材51を設けてもよい。また、開口維持部材51を金属製のバネで構成してもよい。
【0063】
本実施形態では、流体受入部材5が受入可能状態になると、開口維持部材51によって維持された開口に向かって流れる水がすぐに流体受入部材5の内部に流入する。また、開口維持部材51は自身の弾性により流体受入口21を拡大させるので、受入可能状態となった流体受入部材5は素早く確実に膨らむ。これにより、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0064】
本実施形態の流体発電装置からは、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は前記受入不能状態になり、該受入不能状態にあるときに前記流体受入口が縮小するものであり、該流体受入口が密閉されるこを防止する開口維持部材を有するものであることを特徴とする流体発電装置といった発明思想を導きだすことができる。また、この流体発電装置において、前記開口維持部材は、前記流体受入口を画定する縁部に設けられ、受入可能状態にある該流体受入口を拡大させる復元力を有する弾性体で構成されているものであってもよい。
【0065】
次に、図11(a)、図11(b)および図12に基づいて第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態では、2つの浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を進む水上移動具について説明する。
【0066】
図11(a)は、本実施形態に係る水上移動具60を示す側面図であり、図11(b)は、図11(a)を下側から見た下面図である。また、図12は、図11(b)のC−C断面である。この図11(a)および図11(b)では、浮遊体71を前後方向にずらした状態が示されている。図11(a)および図11(b)では図の左側が浮遊体71の前側となり、図の右側が浮遊体71の後ろ側となる。また、図11(a)および図11(b)における左方向を前方向と称し、右方向を後ろ方向と称することがある。
【0067】
本実施形態に係る水上移動具60は、2つの浮遊体71と、各浮遊体71の下面(着水面)に取り付けられた流体受入部材81とを備えている。浮遊体71は、発砲スチロールなどの浮力が得られる材質で構成されており、前側部分の下面が傾斜した船形状に形成されている。浮遊体71を構成する材料は、発砲スチロールでなくても浮遊性があればよく、例えば内部に空洞を有する樹脂製のものであってもよい。浮遊体71の前後方向の略中央部分には、上方が開口した凹部73が形成されている。この凹部73は、水上移動具60を使用する人が足を挿入する空間を形成する部分である。
【0068】
流体受入部材81は、柔軟性を有するビニール樹脂によってポケット状に構成されたものであり、後端部分に流体受入口84を有する。また、流体受入部材81の上面は浮遊体71の下面にネジなどで固定されている。流体受入部材81なお、流体受入部材81を完全な袋状に形成し、その袋状の一部分を浮遊体71に貼り付けても良い。図11(a)に示すように、この実施形態では、流体受入部材81は2つの浮遊体71に4つづつ設けているが、浮遊体71に設ける流体受入部材81の数はいくつでもよく、例えば1つづつでもよい。
【0069】
図12に示すように、流体受入部材81の、流体受入口84を画定する縁部82の一部(以下、対向縁部821と称する)は、浮遊体71に対して接離自在に配置されている。その対向縁部821と浮遊体71との間隔が変化することで、流体受入口84の大きさも変化する。
【0070】
図12に示すように、流体受入部材81には、流体導入部材85が設けられている。この流体導入部材85は、剛性部材83と間隔保持部材87とから構成されている。剛性部材83は、流体受入部材81の、浮遊体71と対向する部分に溶着されている。この剛性部材83は、流体受入部材81に接着材などで貼り付けてもよい。剛性部材83は、流体受入部材5より剛性が高く水の抵抗を受けても変形しない樹脂製の板状部材であり、前端部分がヒンジ86により浮遊体71に結合されている。また、剛性部材83の後端部分は対向縁部821まで延在している。なお、剛性部材83として、金属製や木製の板状部材を用いてもよい。剛性部材83は、浮遊体71に対して接近する方向と離れる方向にヒンジ86を中心として回転可能となっている。なお、ヒンジ86は必ずしも設けなくてよいが、ヒンジ86を設けることで剛性部材83の回転動作を安定させることができる。
【0071】
剛性部材83の上面には、流体導入部材85の回転を規制する間隔保持部材87が設けられている。流体導入部材85が浮遊体71に接近する方向に回転すると、対向縁部821が浮遊体71に接触する前に、間隔保持部材87が浮遊体71と接触して、その回転は停止する。従って、流体受入口84が完全に閉じることはなく、浮遊体71と対向縁部821とは所定量以上の間隔が常に保たれている。図12の二点鎖線は、剛性部材83が最も浮遊体側に接近した状態を示している。なお、間隔保持部材87は、流体受入部材81と浮遊体71の間であればどこに設けられていてもよく、例えば対向縁部821に設けてもよく、浮遊体71に設けてもよい。また、間隔保持部材87と剛性部材83を一体に形成してもよい。また、剛性部材83は、前後方向の長さが短いものであってもよい。
【0072】
浮遊体71を前方向に動かすと、図11(a)の左側の浮遊体71に示すように、流体受入部材81の流体受入口84は、流体受入部材81における反移動方向の端部に位置し、流体を受入不能な受入不能状態になる。これは、第1の実施形態において、流体受入口が水の流れにおける下流側に位置した状態と同様の状態である。また、浮遊体71を後ろ方向に動かすと、図11(a)の右側の浮遊体71に示すように、流体受入部材81の流体受入口84は、流体受入部材81における移動方向の端部に位置し、流体を受入可能な受入可能状態になる。これは、第1の実施形態において、流体受入口が水の流れにおける上流側に位置した状態と同様の状態である。
【0073】
受入不能状態では、流体受入部材81内部の水が吐き出されて対向縁部821が浮遊体側に接近した図12に二点鎖線で示した状態となる。この状態では、流体受入部材81は扁平状となり、その流体受入部材81が浮遊体71の移動抵抗として殆ど影響しなくなる。ただし、この状態でも、対向縁部821は、浮遊体71から所定間隔が保たれているので、流体受入口84は所定間隔に応じた開口が維持される。流体受入部材81が受入不能状態となっている浮遊体71を後ろ方向に動かすと、流体受入部材81は受入可能状態となり、水は流体導入部材85の上面に導かれて流体受入口84から流体受入部材81の内部に流入して流体受入部材81が膨れる。膨れた流体受入部材81は水に対する大きな抵抗体となる。2つの浮遊体71のうちの一方を前方向に動かすと、他方の浮遊体71は、前方向に動かした浮遊体71による反力を受けて後ろ方向に移動しようとするが、受入可能状態となった流体受入部材81が水の抵抗を受けるため後ろ方向に殆ど移動しない。前方向に動かしている浮遊体71は、水の抵抗を殆ど受けないので効率的に前方向に進むことができる。
【0074】
この実施形態においては、流体導入部材85を設けているので、受入不能状態から受入可能状態となったときに流体受入部材81の内部に水が素早く流入する。流体導入部材85が存在しない場合には、受入可能状態となっても閉じた流体受入口84が水の相対的な流れにより浮遊体71に押し付けられてしまい、流体受入口84が閉じたままになってしまうことがある。本実施形態では、流体受入部材81が受入可能状態になると、流体導入部材85によって維持された開口に向かって流れる水は流体受入部材81の内部に導かれる。流体受入部材81の内部に導かれた水は、流体導入部材85を浮遊体71から離間する力として作用し、流体受入口84を拡大させる。
【0075】
この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材81を素早く確実に膨らませることができるので、浮遊体71を効率よく前に進ませることができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形
態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。また、以上説明した各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や変形例に適用してもよい。例えば、第5の実施形態に用いた流体導入部材85を第1〜3の実施形態に適用してもよく、逆に第1〜4の実施形態に用いた流体導入部材16を第5の実施形態に適用してもよい。
【0077】
上記実施形態では、流体として水を例示したが、風、ガス、蒸気、水中を上昇する泡などにおいても同様に実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 流体発電装置
3、32、34、36 回転体
5、81 流体受入部材
16、85 流体導入部材
21、84 流体受入口
60 水上移動具
71 浮遊体
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置、および水の上に浮かぶ浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流れによって回転する回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置が存在する。この流体発電装置として、流体受入口が流体の流れにおける上流側になる位置では内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、流体受入口が下流側になる位置では内部に流体を受入不能な受入不能状態に状態変化する複数の流体受入部材を回転体に取り付けた流体発電装置が提案されている。回転体が回転することで、流体受入部材は受入可能状態と受入不能状態を交互に繰り返していく。この回転体には、複数の流体受入部材の内の少なくとも一つが常に受入可能状態となるように、複数の流体受入部材が回転体の所定位置にそれぞれ配置されている。また、受入不能状態にある流体受入部材は、流体受入部材が収縮して流体抵抗が小さくなるので、その流体受入部材が回転体の回転の妨げとなることを抑制できる。一方、受入可能状態にある流体受入部材の内部に流体が流入して膨張し、その流体受入部材が流体の流れに押されることで、回転体を回転させる力を得ることができる。このような流体発電装置を開示したものとして、たとえば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
【0003】
また、後ろ方向に移動したときに流体を受入可能な受入可能状態になり、前方向に移動したときに流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を水中に有する浮遊体を2つ備えた水上移動具が考えられる。この水上移動具によれば、受入可能状態の流体受入部材は膨張して水の抵抗を受け、受入不能状態の流体受入部材は収縮して水の抵抗が小さくなるので、その2つの浮遊体を例えば交互に前後に移動させることで水上を前方向に進むことができる。水上移動具を開示したものとして、たとえば特許文献4に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−310051号公報
【特許文献2】特開2008−255886号公報
【特許文献3】特開昭61−244876号公報
【特許文献4】特開昭61−21888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が研究したところ、流体受入部材が受入可能状態となっても、流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合や流体受入部材内部に流体が流入するまでに相当時間がかかる場合があることが分かった。これは、受入不能状態となった流体受入部材は、流体受入口が閉じてしまい、一旦流体受入口が閉じると、回転体が回転してその流体受入部材が受入可能状態となっても、閉じている流体受入口からは流体受入部材内に流体が流入しにくくなることが原因と考えられる。流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合には、流体の流れが回転体の回転運動として寄与できない。また、流体受入部材の内部に流体が流入し、流体受入部材が完全に膨らむまでの膨張課程では、流体受入部材に流入した流体は流体受入部材を膨らめる力として働き、回転体の回転エネルギーとして殆ど作用しない。流体受入部材内部に流体が流入するまでに時間がかかると、流体の流れが回転体の回転運動に寄与するまでに時間かかってしまう。その結果、回転体が回転しない、或いは回転体の回転数が少なくなるといった問題が生じてしまう虞がある。
【0006】
また、水上移動具でも、上述の回転体と同様に、浮遊体を後ろ方向に移動しても流体受入部材内部に流体が全く流入しない場合や流体受入部材内部に流体が流入するまでに時間がかかってしまう場合があることが分かった。これらの場合、浮遊体を前後方向に移動させても移動できない、或いは水上を移動する移動量が小さくなるといった問題が生じてしまう虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、効率よく動作できる工夫がなされた流体発電装置および水上移動具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の流体発電装置は、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、
前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、
前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、
前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は受入不能状態になり、該流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の流体発電装置によれば、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口を素早く確実に拡大させることができ、回転体を効率よく回転させ、発電装置の発電する電気エネルギーを増大させることができる。
【0010】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記回転体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記回転体から離れる方向に傾斜したものであることが好ましい。
【0011】
前記突出部を有することで、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0012】
本発明の流体発電装置において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該回転体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記袋体の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることも好ましい態様の一つである。
【0013】
この態様によれば、所定間隔に応じた開口が維持されるので、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0014】
また、前記間隔保持部材は、前記剛性部材と一体のものであってもよい。
【0015】
上記目的を達成する本発明の水上歩行具は、水の上に浮かぶ2つの浮遊体を有し、該浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具において、
前記2つの浮遊体それぞれに設けられ、該浮遊体を後ろ方向に動作させることで内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、該浮遊体を前方向に動作させることで内部に流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を備え、
前記浮遊体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで推進力を得るものであり、
前記流体受入部材は、前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の水上歩行具によれば、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口を素早く確実に拡大させることができ、水上歩行具による移動効率を増大させることができる。
【0017】
本発明の水上歩行具において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記浮遊体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記浮遊体から離れる方向に傾斜したものであることが好ましい。
【0018】
前記突出部を有することで、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0019】
本発明の水上歩行具において、前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該浮遊体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記流体受入部材の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることも好ましい態様の一つである。
【0020】
この態様によれば、所定間隔に応じた開口が維持されるので、受入可能状態にある流体受入部材の流体受入口に流体を素早く流入させることができる。
【0021】
また、前記間隔保持部材は、前記剛性部材と一体のものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率よく動作できる工夫がなされた流体発電装置および水上移動具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体発電装置を示す平面図である。
【図2】図1の流体発電装置の側面図である。
【図3】図1に示す回転体を下側から見た斜視図である。
【図4】水の流れによって図1に示す回転体が回転する状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は、図4に示す流体受入部材が膨らんだ状態を示す図、(b)は、図4に示す流体受入部材が扁平状となった状態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る流体発電装置の設置状態を示す側面図である。
【図7】図6に示す流体発電装置の要部を示す斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る流体発電装置を示す側面図である。
【図9】第4の実施形態に係る回転体をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【図10】(a)は図9に示す流体受入部材が膨らんだ状態を示す図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は、図9に示す流体受入部材が扁平状となった状態を示す図、(d)は(c)のB矢視図である。
【図11】図11(a)は、第5の実施形態に係る水上移動具を示す側面図であり、(b)は、図11(a)を下側から見た下面図である。
【図12】図11(b)のC−C断面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る流体発電装置を図面にしたがって説明する。
【0025】
まず、図1〜図5に基づいて第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る流体発電装置1を示す平面図であり、図2は、図1の流体発電装置1の側面図である。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る流体発電装置1は、水面又は海面に浮くフローティングユニット4と、フローティングユニット4を所定領域に係留する係留手段9とを有している。フローティングユニット4は、流体の流れ(水流)によって回転する回転体3と、回転体3の上面に設けられた発電機7とを備えている。なお、図1では発電機7を省略している。回転体3の下面(着水面)には、複数の流体受入部材5が取り付けられている。
【0027】
係留手段9は、フローティングユニット4を支持する支持アーム11が連結された矩形状の枠体から成るフレーム18と、岩場等の不動領域に固定された支柱13と、フレーム18と支柱13との間に回動自在に連結されたリンク部材15とを有している。リンク部材15は、回転自在に支柱13に接続された主リンク15aと、その主リンク15aにそれぞれ回転自在に接続された一対の接続リンク15bとを備えている。支柱13と主リンク15aにはジャッキ20の端部がそれぞれ連結されている。洪水が発生したときなど、必要なときには、主リンク15aをジャッキ20により上方に持ち上げることで、フローティングユニット4を水面より引き揚げることができる。
【0028】
支持アーム11の先端部にはベアリング17が固定されており、このベアリング17を介して発電機7の回転軸7aが支持アーム11に接続されている。また、発電機7の本体7bは、図示しない固定機構で、フレーム18に固定されている。
【0029】
水流によって生じる回転体3の回転エネルギーは発電機7によって電気エネルギーに変換され、得られた電力は図示しないケーブルにより蓄電器に蓄えられ、あるいは電力消費体へ送られる。
【0030】
図3は、水面に浮く回転体3をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【0031】
回転体3は発泡スチロール等の浮力が得られる材質で円盤状に形成されており、その下面には周方向に略等間隔に複数の流体受入部材5が設けられている。本実施形態では、回転体3をその材質による浮き性によって浮かせているが、内部を空洞化して浮力を得るようにしてもよい。また、本実施形態では、この流体受入部材5を8つ設ける例を示すが、流体受入部材5は2つ以上であればよい。回転体3の中央部は発電機7の回転軸7aを固定する軸ベース19となっている。
【0032】
流体受入部材5は、ビニール樹脂等の柔軟性を有する材料でポケット状に形成されており、流体(水)が流入する流体受入口21を回転体3の回転方向に対して同一向きにして配置されている。流体受入部材5なお、流体受入部材5を袋状に形成し、その袋状の一部分を回転体3に貼り付けても良い。この流体受入部材5は、水があまり漏れないように数箇所でねじ等により回転体3に固定されている。もちろん、回転体3と接する部分を全て固着してもよい。
【0033】
流体受入部材5の、流体受入口21を画定する縁部50の一部(以下、対向縁部501と称する)は、回転体3に対して接離自在に配置されている。その対向縁部501が、回転体3から離れることで、流体受入口21の大きさが拡大する。
【0034】
流体受入部材5には、流体導入部材16が設けられている。この流体導入部材16は、流体受入部材5より剛性が高く水流を受けても変形しない板状の部材であり、図5(a)および図5(b)に示すように、流体受入部材5の内部であって対向縁部501に貼り付けられた基部160と、対向縁部501から流体受入部材5の外部側に突出した突出部161とを有している。この突出部161は、突出端に向けて対向縁部501が回転体3から離れる方向に傾斜している。
図3では分かり易いように、各流体受入部材5が完全に膨れた状態、換言すれば、回転体3に最も大きな回転エネルギーを与える最大の抵抗形状になった状態を示しているが、水流が作用しない状態ではこのような保形性は有しておらず、上記柔軟性によって型崩れして扁平化した形状となる。
【0035】
図4は、水流によって図1に示す回転体3が回転する状態を示す斜視図であり、図5(a)は、図4に示す流体受入部材5が膨らんだ状態を示す図、図5(b)は、図4に示す流体受入部材5が扁平状となった状態を示す図である。
【0036】
図4に示すように、破線矢印で示す水流は回転体3の全体に対して同一向きに流れる。この流れに対して図4の手前側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の上流側に位置し水を受入可能な受入可能状態となっている。この受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、図5(a)に示すように、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。膨れた流体受入部材5は、水流に対して抵抗体となり、回転体3を図4の矢印R方向に回転させる回転エネルギーを生じさせる。
【0037】
水が入り込んで膨れた流体受入部材5は回転体3の回転に伴って移動する。流体受入部材5が一定の固定形状を有している場合、図4の奥側の流体受入部材5は回転体3をR方向とは逆向きに回転させる抵抗体となり、回転エネルギーが極端に弱まるか拮抗して回転しない状態となる。
【0038】
本実施形態における流体受入部材5は、回転体3の回転により流体受入部材5が移動して流体受入口21が流れの下流側(図4の奥側)に位置すると流体を受入不能な受入不能状態になる。流体受入部材5は柔軟性を有する材質で形成されているので、受入不能状態で、その流体受入部材5が流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受けると、図5(b)に示すように、流体受入部材5内部の水が吐き出されて流体受入部材5は扁平状となり流体受入口21は閉じる。また、流体受入部材5が扁平状となると、その流体受入部材5が回転を弱める抵抗体としての影響は殆どなくなる。
【0039】
このような構成とすれば、回転体3を水面に浮かべておくだけでどの方向の水流も同様に利用することができ、簡易かつ低コストな構成で発電効率を高めることができる。
【0040】
本実施形態では流体受入部材5の変形容易性(可変性)を柔軟な材質によって得ることとしたが、ヒンジ等により予め折り畳み可能な折り目を付けてにしておけば、柔軟性を有する材質ではなくても変形容易性を得ることができる。
【0041】
また、対向縁部501には、流体導入部材16が取り付けられているので、図5(b)に示すように流体受入部材5が受入不能状態となった後、回転体3の回転に伴って受入可能状態に状態変化すると、流体受入部材5の内部に水が素早く流入する。流体導入部材16が存在しない場合には、受入可能状態となっても閉じた流体受入口21が水流によって回転体3に押さえ付けられてしまい、流体受入口21が閉じたままになってしまうことがある。本実施形態では、流体受入部材5の流体受入口21が上流側に位置すると、突出部161に向かって流れる水は、突出部161によって流体受入口21の口内に向かう。すなわち、突出部161によって、流体受入部材5の内部に水を導いて流体受入口21を素早く確実に拡大させることができる。また、突出部161に向かう水流は、流体導入部材16(対向縁部501)を回転体側縁部から離間させる力としても作用するので、流体受入口21をより素早く確実に拡大させることができる。
【0042】
この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませることができるので、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0043】
続いて、図6及び図7に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施の形態で説明した構成上及び機能上の重複した説明は特に必要がない限り省略し、要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る流体発電装置の設置状態を示す側面図であり、図7は、図6に示す回転体の要部を示す斜視図である。
【0045】
本実施形態における流体発電装置1は、図6に示すように、例えば川の水が流れ落ちる傾斜面41に設置して使用するものである。
【0046】
流体発電装置1は、回転体32と、傾斜面41に間隔をおいて固定された2つの脚43とを備えている。回転体32は、各脚43に回転可能に支持された支持部材としての2つのローラ45と、これらのローラ45間に循環移動可能に掛け回された移動体で且つ回転体本体としての無端状のベルト47と、ベルト47の表面に略等間隔に配置された複数の流体受入部材5とを有している。この流体受入部材5の流体受入口21には、流体導入部材16が取り付けられている。また、図7に示すように、一方のローラ45には、発電機7の回転軸7aが固定されている。この回転軸7aは、ベアリング17を介して支持アーム11に支持されている。また、発電機7の本体7bは、図示しない固定機構により回転不能に固定されている。なお、ベルト47を歯付ベルトとし、ローラ45を歯付ベルトとかみ合う歯を設けた歯付プーリとしてもよい。
【0047】
図6に波線で示す矢印は、川の流れを示している。流体受入口21が川の流れの上流側に位置し、受入可能状態となっている流体受入部材5は水流を受けて流体受入部材5が膨らんでいる。この受入可能状態の流体受入部材5が水流を受けることで、ベルト47を回転させる回転エネルギーが生じている。流体受入口21が川の流れの下流側に位置し、受入不能状態となっている流体受入部材5は扁平状となり、回転を弱める抵抗体としての影響は殆どなくなる。
【0048】
扁平状となった流体受入部材5の流体受入口21が上流側に位置すると、突出部161に向かって流れる水は、突出部161によって流体受入口21の口内に向かう。すなわち、突出部161によって、流体受入部材5の内部に水を導くことができる。また、流体受入口21を素早く確実に拡大させることができる。 この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませることができるので、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0049】
また、この実施形態では、地面側(図6における下側)で受入可能状態と成る流体受入部材5を設けているので、川の水が少なく、水面が低い場合であっても、流体受入部材5が水流を受けて回転体3を回転させることができる。
【0050】
続いて、図8に基づいて第3の実施形態を説明する。図8の実施形態は、垂直方向に流れ落ちる川の滝部分に流体発電装置を設置する形態である。
【0051】
図8は、第3の実施形態に係る流体発電装置を示す側面図である。
【0052】
これまでの実施形態は主に水流による力を受けることで回転体を回転させる回転エネルギーを得るものであった。これに対し、この実施形態では、主に流体受入部材5に流入した水の重量により回転エネルギーを得る点が異なる。
【0053】
本実施形態における流体発電装置1の回転体34は、ローラ45と、そのローラ45に巻き掛けられた無端状のベルト47と、ベルト47の表面に略等間隔に配置された複数の流体受入部材5とを有している。ローラ45はベルト47の内側であって、ベルト47の上部に設けられている。流体受入部材5の流体受入口21には、流体導入部材16が取り付けられている。流体受入口21が流体受入部材5の上側に位置している受入可能状態では、流れ落ちてくる滝部の水が、流体導入部材16に導かれて流体受入部材5内部に流入し、流体受入部材5が膨らんでいる。この受入可能状態の流体受入部材5の内部に流入した水の重量により、図8における反時計回りにベルト47を回転させる回転エネルギーが生じている。流体受入口21が流体受入部材5の下側に位置し、受入不能状態となっている流体受入部材5は扁平状態となり、滝部を流れ落ちてくる水が流体受入部材5の内部に流入することはない。また、受入不能状態では、流体受入部材5は、滝部の水から離れた位置にあるので、水の流れがベルト47の回転を妨げることもない。さらに、滝部の水が増えた場合でも、受入不能状態にある流体受入部材5は、扁平状となっているので、回転体34の回転を弱める抵抗体としての影響は殆どない。
【0054】
発電機7は、滝部よりも上方に設けられた台座61に固定されている。ローラ45は、発電機7に固定されたアーム62によって回転自在に保持されている。アーム62の内部にはローラ45の回転を伝達するチェーンなどの図示しない回転伝達機構が設けられており、ローラ45の回転は、駆動チェーンを介して発電機7に伝達されている。なお、ベルト47に流体受入部材5を多数配置することにより、水量が少なくとも大きな回転力を得ることが出来る。
【0055】
この実施形態でも、受入可能状態となった流体受入部材5を素早く確実に膨らませ、回転体34を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0056】
引き続き、図9および図10に基づいて第4の実施形態を説明する。
【0057】
図9は、第4の実施形態に係る回転体36をその下面(着水面)側から見た斜視図である。
【0058】
本実施形態では、流体受入部材5の流体受入口21を画定する縁部50に、柔軟性のある厚手の開口維持部材51を備えている。流体受入部材5の、流体受入口21を画定する縁部50以外の部分は、例えば厚さ1mmのビニール樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されている。開口維持部材51は、厚さ2mm以上の弾性体(ここではシリコンゴム)で形成されている。
【0059】
図9に示すように、図9の手前側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の上流側に位置し水を受入可能な受入可能状態となっている。この受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。膨れた流体受入部材5は、水流に対して抵抗体となり、回転体36を回転させる回転エネルギーを生じさせる。
【0060】
図9の奥側の流体受入部材5は、流体受入口21が水流の下流側に位置し水を受入不能な受入不能状態となっている。受入不能状態では、流体受入部材5は、流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受け、流体受入部材5内部の水が吐き出されて扁平状となる。ただし、本実施形態では、受入不能状態でも流体受入部材5に開口維持部材51を備えているので、流体受入口21は完全に閉じずに開口の一部は維持される。
【0061】
図10(a)は図9に示す流体受入部材5が膨らんだ状態を示す図、図10(b)は図10(a)のA矢視図、図10(c)は、図9に示す流体受入部材5が扁平状となった状態を示す図、図10(d)は図10(c)のB矢視図である。
【0062】
受入可能状態では、流体受入口21が水流と対向するため、図10(a)に示すように、水が流体受入口21から入り込み、流体受入部材5が膨れる。図10(b)に示すように、流体受入部材5が膨れた状態では、開口維持部材51は円弧状をしている。また、開口維持部材51は、水流のない無負荷時にも自身の弾性による復元力によって流体受入口21が最も拡大した形状である円弧状をしている。図10(c)に示すように、受入不能状態の流体受入部材5は流体受入口21が存在する側とは反対側から水流を受ける。この受入不能状態では、流体受入部材5内部の水が吐き出されて流体受入部材5の流体受入口21とは反対側の部分は扁平状となる。図10(d)に示すように、この受入不能状態にある流体受入口21は、水流を受けてある程度変形し、受入可能状態にあるときよりも流体受入口21が縮小するものの、開口維持部材51の弾性により完全に閉じずに体受入口21は多少の開口が維持される。すなわち、開口維持部材51は、受入不能状態にある流体受入口21が密閉されない形状を自身の弾性によって維持する。なお、本実施形態では、流体受入口21を画定する縁部50に開口維持部材51を設けているが、受入不能状態でも流体受入口21が密閉しない位置であれば、流体受入部材5の別の位置に開口維持部材51を設けてもよい。また、開口維持部材51を金属製のバネで構成してもよい。
【0063】
本実施形態では、流体受入部材5が受入可能状態になると、開口維持部材51によって維持された開口に向かって流れる水がすぐに流体受入部材5の内部に流入する。また、開口維持部材51は自身の弾性により流体受入口21を拡大させるので、受入可能状態となった流体受入部材5は素早く確実に膨らむ。これにより、回転体3を効率よく回転させて流体発電装置1の発電効率を高めることができる。
【0064】
本実施形態の流体発電装置からは、流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は前記受入不能状態になり、該受入不能状態にあるときに前記流体受入口が縮小するものであり、該流体受入口が密閉されるこを防止する開口維持部材を有するものであることを特徴とする流体発電装置といった発明思想を導きだすことができる。また、この流体発電装置において、前記開口維持部材は、前記流体受入口を画定する縁部に設けられ、受入可能状態にある該流体受入口を拡大させる復元力を有する弾性体で構成されているものであってもよい。
【0065】
次に、図11(a)、図11(b)および図12に基づいて第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態では、2つの浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を進む水上移動具について説明する。
【0066】
図11(a)は、本実施形態に係る水上移動具60を示す側面図であり、図11(b)は、図11(a)を下側から見た下面図である。また、図12は、図11(b)のC−C断面である。この図11(a)および図11(b)では、浮遊体71を前後方向にずらした状態が示されている。図11(a)および図11(b)では図の左側が浮遊体71の前側となり、図の右側が浮遊体71の後ろ側となる。また、図11(a)および図11(b)における左方向を前方向と称し、右方向を後ろ方向と称することがある。
【0067】
本実施形態に係る水上移動具60は、2つの浮遊体71と、各浮遊体71の下面(着水面)に取り付けられた流体受入部材81とを備えている。浮遊体71は、発砲スチロールなどの浮力が得られる材質で構成されており、前側部分の下面が傾斜した船形状に形成されている。浮遊体71を構成する材料は、発砲スチロールでなくても浮遊性があればよく、例えば内部に空洞を有する樹脂製のものであってもよい。浮遊体71の前後方向の略中央部分には、上方が開口した凹部73が形成されている。この凹部73は、水上移動具60を使用する人が足を挿入する空間を形成する部分である。
【0068】
流体受入部材81は、柔軟性を有するビニール樹脂によってポケット状に構成されたものであり、後端部分に流体受入口84を有する。また、流体受入部材81の上面は浮遊体71の下面にネジなどで固定されている。流体受入部材81なお、流体受入部材81を完全な袋状に形成し、その袋状の一部分を浮遊体71に貼り付けても良い。図11(a)に示すように、この実施形態では、流体受入部材81は2つの浮遊体71に4つづつ設けているが、浮遊体71に設ける流体受入部材81の数はいくつでもよく、例えば1つづつでもよい。
【0069】
図12に示すように、流体受入部材81の、流体受入口84を画定する縁部82の一部(以下、対向縁部821と称する)は、浮遊体71に対して接離自在に配置されている。その対向縁部821と浮遊体71との間隔が変化することで、流体受入口84の大きさも変化する。
【0070】
図12に示すように、流体受入部材81には、流体導入部材85が設けられている。この流体導入部材85は、剛性部材83と間隔保持部材87とから構成されている。剛性部材83は、流体受入部材81の、浮遊体71と対向する部分に溶着されている。この剛性部材83は、流体受入部材81に接着材などで貼り付けてもよい。剛性部材83は、流体受入部材5より剛性が高く水の抵抗を受けても変形しない樹脂製の板状部材であり、前端部分がヒンジ86により浮遊体71に結合されている。また、剛性部材83の後端部分は対向縁部821まで延在している。なお、剛性部材83として、金属製や木製の板状部材を用いてもよい。剛性部材83は、浮遊体71に対して接近する方向と離れる方向にヒンジ86を中心として回転可能となっている。なお、ヒンジ86は必ずしも設けなくてよいが、ヒンジ86を設けることで剛性部材83の回転動作を安定させることができる。
【0071】
剛性部材83の上面には、流体導入部材85の回転を規制する間隔保持部材87が設けられている。流体導入部材85が浮遊体71に接近する方向に回転すると、対向縁部821が浮遊体71に接触する前に、間隔保持部材87が浮遊体71と接触して、その回転は停止する。従って、流体受入口84が完全に閉じることはなく、浮遊体71と対向縁部821とは所定量以上の間隔が常に保たれている。図12の二点鎖線は、剛性部材83が最も浮遊体側に接近した状態を示している。なお、間隔保持部材87は、流体受入部材81と浮遊体71の間であればどこに設けられていてもよく、例えば対向縁部821に設けてもよく、浮遊体71に設けてもよい。また、間隔保持部材87と剛性部材83を一体に形成してもよい。また、剛性部材83は、前後方向の長さが短いものであってもよい。
【0072】
浮遊体71を前方向に動かすと、図11(a)の左側の浮遊体71に示すように、流体受入部材81の流体受入口84は、流体受入部材81における反移動方向の端部に位置し、流体を受入不能な受入不能状態になる。これは、第1の実施形態において、流体受入口が水の流れにおける下流側に位置した状態と同様の状態である。また、浮遊体71を後ろ方向に動かすと、図11(a)の右側の浮遊体71に示すように、流体受入部材81の流体受入口84は、流体受入部材81における移動方向の端部に位置し、流体を受入可能な受入可能状態になる。これは、第1の実施形態において、流体受入口が水の流れにおける上流側に位置した状態と同様の状態である。
【0073】
受入不能状態では、流体受入部材81内部の水が吐き出されて対向縁部821が浮遊体側に接近した図12に二点鎖線で示した状態となる。この状態では、流体受入部材81は扁平状となり、その流体受入部材81が浮遊体71の移動抵抗として殆ど影響しなくなる。ただし、この状態でも、対向縁部821は、浮遊体71から所定間隔が保たれているので、流体受入口84は所定間隔に応じた開口が維持される。流体受入部材81が受入不能状態となっている浮遊体71を後ろ方向に動かすと、流体受入部材81は受入可能状態となり、水は流体導入部材85の上面に導かれて流体受入口84から流体受入部材81の内部に流入して流体受入部材81が膨れる。膨れた流体受入部材81は水に対する大きな抵抗体となる。2つの浮遊体71のうちの一方を前方向に動かすと、他方の浮遊体71は、前方向に動かした浮遊体71による反力を受けて後ろ方向に移動しようとするが、受入可能状態となった流体受入部材81が水の抵抗を受けるため後ろ方向に殆ど移動しない。前方向に動かしている浮遊体71は、水の抵抗を殆ど受けないので効率的に前方向に進むことができる。
【0074】
この実施形態においては、流体導入部材85を設けているので、受入不能状態から受入可能状態となったときに流体受入部材81の内部に水が素早く流入する。流体導入部材85が存在しない場合には、受入可能状態となっても閉じた流体受入口84が水の相対的な流れにより浮遊体71に押し付けられてしまい、流体受入口84が閉じたままになってしまうことがある。本実施形態では、流体受入部材81が受入可能状態になると、流体導入部材85によって維持された開口に向かって流れる水は流体受入部材81の内部に導かれる。流体受入部材81の内部に導かれた水は、流体導入部材85を浮遊体71から離間する力として作用し、流体受入口84を拡大させる。
【0075】
この実施形態によれば、受入可能状態となった流体受入部材81を素早く確実に膨らませることができるので、浮遊体71を効率よく前に進ませることができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形
態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。また、以上説明した各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や変形例に適用してもよい。例えば、第5の実施形態に用いた流体導入部材85を第1〜3の実施形態に適用してもよく、逆に第1〜4の実施形態に用いた流体導入部材16を第5の実施形態に適用してもよい。
【0077】
上記実施形態では、流体として水を例示したが、風、ガス、蒸気、水中を上昇する泡などにおいても同様に実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 流体発電装置
3、32、34、36 回転体
5、81 流体受入部材
16、85 流体導入部材
21、84 流体受入口
60 水上移動具
71 浮遊体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、
前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、
前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、
前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は受入不能状態になり、該流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする流体発電装置。
【請求項2】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記回転体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記回転体から離れる方向に傾斜したものであることを特徴とする請求項1に記載の流体発電装置。
【請求項3】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該回転体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記袋体の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の流体発電装置。
【請求項4】
水の上に浮かぶ2つの浮遊体を有し、該浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具において、
前記2つの浮遊体それぞれに設けられ、該浮遊体を後ろ方向に動作させることで内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、該浮遊体を前方向に動作させることで内部に流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を備え、
前記浮遊体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで推進力を得るものであり、
前記流体受入部材は、前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする水上移動具。
【請求項5】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記浮遊体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記浮遊体から離れる方向に傾斜したものであることを特徴とする請求項4に記載の水上移動具。
【請求項6】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該浮遊体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記流体受入部材の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることを特徴とする請求項4に記載の水上移動具。
【請求項1】
流体の流れによって回転する回転体を有し、該回転体の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する流体発電装置において、
前記回転体に設けられ、該回転体が回転することで、流体の流れの上流側に流体受入口が位置し内部に流体を受入可能な受入可能状態と、該流れの下流側に該流体受入口が位置し内部に流体を受入不能な受入不能状態との間で状態変化する2つの流体受入部材を備え、
前記回転体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで回転エネルギーを生じるものであり、
前記2つの流体受入部材は、一方の流体受入部材が受入可能状態にあるときに他方の流体受入部材は受入不能状態になり、該流体受入部材が前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする流体発電装置。
【請求項2】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記回転体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記回転体から離れる方向に傾斜したものであることを特徴とする請求項1に記載の流体発電装置。
【請求項3】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記回転体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該回転体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記袋体の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の流体発電装置。
【請求項4】
水の上に浮かぶ2つの浮遊体を有し、該浮遊体を前後方向に動作させることにより生じる推進力によって水の上を前方向に進む水上移動具において、
前記2つの浮遊体それぞれに設けられ、該浮遊体を後ろ方向に動作させることで内部に流体を受入可能な受入可能状態となり、該浮遊体を前方向に動作させることで内部に流体を受入不能な受入不能状態となる流体受入部材を備え、
前記浮遊体は、前記受入可能状態の流体受入部材内に流体が流入することで推進力を得るものであり、
前記流体受入部材は、前記受入可能状態にあるときに該流体受入部材の内部に流体を導いて該流体受入口を拡大させる流体導入部材を有するものであることを特徴とする水上移動具。
【請求項5】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部が、前記浮遊体から離れることで該流体受入口の大きさが拡大するものであり、
前記流体導入部材は、前記一部から前記流体受入部材の外部側に突出した突出部を有し、
前記突出部は、突出端に向けて、前記一部が前記浮遊体から離れる方向に傾斜したものであることを特徴とする請求項4に記載の水上移動具。
【請求項6】
前記流体受入部材は、前記流体受入口を画定する縁部の一部が前記浮遊体に対して接離する方向に移動自在に配置され、該一部と該浮遊体との間隔が変化することで該流体受入口の大きさも変化するものであり、
前記流体導入部材は、前記間隔を所定間隔以上に保つ間隔保持部材と、前記一部に前記流体受入部材の剛性よりも高い剛性の剛性部材とを有するものであることを特徴とする請求項4に記載の水上移動具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−32755(P2013−32755A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169908(P2011−169908)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(511189997)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(511189997)
【Fターム(参考)】
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