説明

流体調量装置並びに流体調量のためのシステム

本発明は、供給領域と流体調量領域との間に配置されている調量弁と少なくとも2つの駆動エレメントの延びを入力軸の回転に変換するアクチュエータ駆動装置とを備えた流体調量装置に関する。入力軸は機械的に調量弁と連結されていて、この調量弁を調量するために駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力下にある流体を調量するためのシステム及びこのために適した装置に関する。たとえば自動車においてインジャクタを介して又は直接吸気管にも供給される、たとえば内燃機関のシリンダにおいて所望の燃焼を行うためのガスが調量される。
【0002】
ガス運転される自動車において使用するために設けられているインジェクタの場合、使用必要条件に適合するために可能な限り広幅な運転圧帯域が望ましい。特に、ガス供給のために一般的に使用される圧力ガスアキュムレータの全運転圧範囲の使用が望ましい。運転圧範囲は下限値と上限値とにより制限される。圧力アキュムレータの充填度は、圧力アキュムレータ内を予め占めている圧力と直接関係している。高いガス圧は、たとえば故障時に高い危険可能性をはらんでいる。圧力ガスアキュムレータの許容上限値は、実質的に自動車において高いガス圧を安全に取り扱うのに必要である手間により規定される。予め規定された所定の運転圧上限においては、自動車において最大限蓄えられるガス量は圧力ガスアキュムレータの容積により規定される。これに対して自動車の出力レンジ(Reichweite)は最大限の排出量(Entnahmemenge)により規定される。インジェクタは下側の運転圧下限を有している。この運転圧限界の下方では以下の燃焼過程にとって十分な等級のガス配分はもはや保証されていない。インジェクタの運転圧下限は、圧力ガスアキュムレータにて連行されるも使用可能でない残留ガス量に直接関係している。安全工学的及び経済的に有利な最大の運転圧と、可能な限り僅かな圧力アキュムレータ容積のままで高い出力レンジとを達成するという自動車におけるガス供給システムに課される要求がある。この要求からガスインジェクタへの次のような要求、つまり、与えられた最大の運転圧のままで可能な限り低いところにある約10〜20barの下側の運転圧を可能にするということが導き出される。なぜならばこれにより使用可能でない残留ガス量は最小化され、反対に出力レンジにとって重要なガス排出量が最大化されるからである。
【0003】
圧力ガスアキュムレータに直接結合され且つ手間を掛けてしか実現可能でないインジェクタへの高い技術的な前記要求を減じるために、2段式の燃料供給システムが考案される。この燃料供給システムは第1の段部では圧力アキュムレータからのガス排出のためのガス排出システムから成っている。アキュムレータ側の排出運転圧範囲は、約20barの可能な限り低い下限値と、最大約300barの圧力アキュムレータの最大の運転圧に相当する上限値とにより制限されている。ガス排出システムのインジェクタ側の放出運転圧は、約10〜約20barの範囲において一定に調節可能な値にある。第2の段部は、ガス排出システムによって一定の低圧で提供されたガスを内燃機関の吸気管に調量する低圧インジェクタから成っている。この種の技術的な解決手段は、一定の低圧の場合に廉価な磁石弁をガス量測定のために使用することができるという利点を有している。更に前記解決手段の利点は、たとえば多くの国において比較的高い排出基準値で使用できる低価格な構成のままで、ガス排出システムだけでガス量配分を制御できる点にある。
【0004】
先行技術から、たとえば排出側で比較的低い相応の圧力を備えたガス排出システムの閉ループ制御のために、ばね負荷された市販の減圧器又は磁石弁が公知である。
【0005】
本発明の課題は、改良された流体調量装置及び流体調量のための改良されたシステムを提供することにある。
【0006】
この課題は請求項1の特徴部記載の本発明による流体調量装置、及び請求項16の特徴部記載の本発明による流体調量のためのシステムによって解決される。
【0007】
即ち、本発明に係る流体調量装置は、流体調量装置において、供給領域と流体調量領域との間に配置されている調量弁が設けられており、少なくとも2つの駆動エレメントの伸長を入力軸の回転に変換するアクチュエータ駆動装置が設けられており、前記入力軸が調量弁と機械的に連結されていて、前記調量弁を調量のために駆動することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明に係る流体調量装置のためのシステムは、請求項14記載の流体調量装置を有する、流体調量装置のためのシステムであって、入力軸の回転角度と測定センサの測定値との関係と、駆動エレメントに対する制御指示とが制御部に記憶されており、流体調量領域において規定された圧力が調節されるように当該システムが駆動装置を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の別の形態は従属請求項から明らかである。
【0010】
即ち、本発明に係る流体調量装置は、有利には、当該流体調量装置において調量弁が供給領域に配置されていて、且つリザーバ圧で負荷されている弁座を有している。
【0011】
有利には、駆動エレメントがリニア駆動装置として構成されている。
【0012】
有利には、当該流体調量装置においてアクチュエータ駆動装置が少なくとも2つの電気機械式の駆動エレメントと、該2つの駆動エレメントにより回転摺動運動させられる少なくとも1つの駆動リングと、該駆動リングによって取り囲まれていて摩擦接続的に又は形状接続的に前記駆動リングに結合されている入力軸とを有しており、該入力軸の外径が駆動リングの内径よりも小さくなっている。
【0013】
有利には、当該流体調量装置においてアクチュエータが圧電式の積層アクチュエータとして構成されている。
【0014】
有利には、当該流体調量装置においてアクチュエータ駆動装置が圧力リザーバ領域と直接連結されている支持体に配置されている。
【0015】
有利には、当該流体調量装置において入力軸が偏心体又はカムディスクを介して調量弁に連結されている。
【0016】
有利には、当該流体調量装置において偏心体又はカムディスクと調量弁との間にローラ構造体が配置されている。
【0017】
有利には、当該流体調量装置において弁座に、流体調量領域に結合されている弁内室が追従している。
【0018】
有利には、当該流体調量装置において弁座を閉鎖する弁エレメントが軸線方向に駆動可能であり、弁エレメントと弁体との間にシールのためにシールエレメントが配置されている。
【0019】
有利には、前記弁が内側座部を有している。
【0020】
有利には、前記弁が外側座部を有している。
【0021】
有利には、当該流体調量装置において流体調量領域に測定センサが配置されている。
【0022】
有利には、当該流体調量装置において流体調量領域が圧力流体インジェクタに流体ガイド式に結合されている。
【0023】
有利には、測定センサからの測定信号を受信し且つ測定センサから伝送された信号に関連して駆動装置を制御するために、該駆動装置に連結されている制御装置が設けられている。
【0024】
更に、本発明に係る流体調量装置のためのシステムは、有利には、当該システムにおいて前記関係が基準として記憶されている。
【0025】
有利には、当該システムにおいて前記関係が特性線として記憶されている。
【0026】
特に有利には、本発明による流体調量装置は調量弁を有している。この調量弁は流体調量領域に配置されていて、前記調量弁の駆動は少なくとも2つの伸長可能な駆動エレメントを介して行われる。これらの駆動エレメントは機械的に調量弁と連結されている入力軸の回転を引き起こす。こうして有利にはセルフロック式の弁駆動可能性を提供可能であり、これにより、たとえば圧電アクチュエータといった適切な駆動エレメントを介して強力な力作用を精確に提供できる。
【0027】
更に有利には本発明による流体調量装置は別の形態において、供給領域に剛性に配置されていて且つリザーバ圧で負荷される弁座を有する調量弁を有している。なぜならばこうしてリザーバ内に存在している高圧の力を弁を戻すために使用できるかである。
【0028】
更に有利には、流体調量装置は本発明の更に別の形態において、少なくとも2つの電気機械式の駆動エレメントと入力軸とを有している。前記駆動エレメントは少なくとも1つの駆動リングを回転摺動運動させ、前記入力軸は前記駆動リングによって取り囲まれていて、摩擦接続式又は比較的高い達成可能な作動力と作動正確性とに基づき、マイクロ歯列の形式で駆動リングと形状接続的に結合されている。入力軸の外径と駆動リングの内径との直径差異、もしくは形状接続されている場合における駆動リングと入力軸との間の歯列対偶は、アクチュエータのストローク差異に適合されている。
【0029】
こうして有利には積層圧電アクチュエータの使用時には、高圧領域におけるガス量定の開ループ制御のために必要な強力な力を加えることができ、且つ弁の作動過程は極めて正確に調量できる。
【0030】
有利には本発明による流体調量装置の更に別の形態では、入力軸は偏心体を介して弁と連結される。
【0031】
このことは有利にはカムディスクを介しても行ってもよい。従って偏心体ディスクもしくはカムディスクに適切な輪郭が与えられることにより、入力軸が一定に回転する場合には非線形の送り運動が達成可能である。
【0032】
有利には偏心体ディスク又はカムディスクはローラ構造体を介して弁と結合されている。これによって弁の可能な限り低摩擦で且つ精確に調量可能でスムーズな作動可能性が達成される。
【0033】
更に有利には本発明の更に別の形態の流体調量装置は、弁の弁座に後置されている弁内室を有している。この弁内室は調量領域に結合されている。なぜならばそれゆえに技術的に極めて僅かな構成手間で、たとえば自動車において使用するために一定の圧力をもった環境を提供することができるからである。従って更に流体調量領域における調量圧を開ループ制御することは簡単に可能である。
【0034】
更に有利には、本発明による流体調量装置の更に別の形態は、弁座を閉鎖する軸線方向で運転可能な弁エレメントを有している。この場合、弁エレメントと弁体との間にシールのためにシールエレメントが配置されている。
【0035】
有利にはこの技術的な解決手段に基づき、圧力アキュムレータの高圧は周囲に対してシールされる必要はなく、流体調量領域に存在する調量圧をシールするだけでよい。これによりシールする場合には廉価な金属ベローズ又はダイヤフラムを使用することができる。場合によっては廉価なエラストマパッキン又はOリングをシールエレメントとして使用してもよい。
【0036】
有利には当該装置の更に別の形態では弁に内側座部が設けられている。なぜならばここでは圧力アキュムレータ内に存在する圧力は弁の開放のために使用できるからである。
【0037】
有利には当該装置の更に別の形態では調量弁に外側座部が設けられている。なぜならばこの種の弁においては圧力アキュムレータの圧力は弁の閉鎖のために使用することができるからである。これにより弁駆動装置は持続的な閉鎖力を形成しなくてよい。
【0038】
本発明の流体調量装置の更に別の形態は、流体調量領域に配置されている測定センサを現行の運転状態を測定するために有している。この種の測定センサにより弁駆動のために適切な作動量を、可能な限り一定の運転圧を流体調量領域にて達成するために規定可能である。更に有利には、本発明の更に別の形態では流体調量装置の流体調量領域は圧力流体インジェクタに流体ガイド式に結合されている。なぜならばこうして有利には技術的に簡単な構造が提供されるからである。この構造は自動車における流体調量装置の運転を可能にする。
【0039】
更に有利には本発明の更に別の形態において制御装置は流体調量装置に連結される。この制御装置は測定センサから測定信号を受信し且つ駆動装置に連結されている。制御装置はこうして測定センサから伝送された信号に関連して駆動装置を開ループ制御することができ、これにより駆動装置の閉ループ制御は必要ない。
【0040】
更に有利には本発明は流体調量のためのシステムを提供する。このシステムは流体調量装置を有していて且つ入力軸の回転角度と測定センサの測定値との関係と、駆動エレメントのための付属の制御指示とが記憶されている制御部を有していて、システムが駆動装置を開ループ制御し、これにより流体調量領域にて規定可能な圧力が調節される。こうして有利には閉ループ制御を省くことができ、可能な限り一定の運転圧を流体調量領域に達成できる。
【0041】
更に有利には本発明によるシステムの更に別の形態では、前記関係は基準として記憶されている。
【0042】
更に有利には本発明によるシステムの更に別の形態では、前記関係は特性線の形式で記憶されている。
【0043】
以下に、本発明を図面及び実施の形態を参照して詳細に説明する。
【0044】
図1には駆動装置の例として電気機械式のモータが示されている。有利には、このモータは少なくとも1つの機械的なベースプレート1000から成っている。このベースプレート1000ではモータの軸22が軸受を介して可能な限り遊びなく回転可能に案内されている。更に第1の機械的な駆動エレメント131と第2の機械的な駆動エレメント132とが存在していて、それぞれ1つの圧電式の低電圧積層アクチュエータ(PMA)23を有している。これらのPMA23をそれぞれ1つの電気的な増幅器によって電気的な供給線路24を介して制御することができる。また所定の電気機械的な駆動エレメント(PMA)23が本発明の場合には、たとえば電磁的、電気力学的、電気ひずみ式又は磁気ひずみ式のアクチュエータ又は直線駆動装置の形式といった自体開ループ制御されて長手方向で伸長する別の任意のアクチュエータを使用することができる。PMA23を電気的に制御することによりPMA23は圧電式の長手方向アクチュエータの挙動に基づき、加えられた電圧にほぼ比例して軸線方向で伸長することができる。各PMA23はプランジャ26を有するヘッドプレートと、支承ブロック27と、機械的に可能な限り柔軟な、たとえばスリット付けされた中空筒状ばね28との間において機械的に高い圧縮プリロード下にて組み付けられている。機械的な圧縮プリロードは、通常高周波の持続運転中に発生することがある引張応力によるPMA23の損傷を避けるために働く一方で、PMA23が電気的に解放されるとPMA23の戻しのために働く。
【0045】
PMA23のストロークが中空筒状ばね28により減じられるので、中空筒状ばね28は圧電アクチュエータの剛性に対して可能な限り小さなばね定数を有していることが望ましい。
【0046】
PMA23、ヘッドプレート25、支承ブロック27及び中空筒状ばね28の持続的に不動な結合は溶接結合を介して行われる。支承ブロックは長孔20を通って案内されるねじを介してベースプレート1000に固定結合することができる。この固定結合は、たとえばベースプレート1000と支承ブロック27との溶接といった別の手段によっても製造することができる。電気機械的なモータは、軸22の直径dMよりも多少大きな直径dRを備えた、可能な限り剛性且つ低質量で、そして同心的な駆動リング111を有している。この駆動リング111はベースプレート1000に対して所定の間隔を有してプランジャ26と溶接されている。従って駆動リング111はベースプレート1000の上で自由に可動である。支承ブロック27を介してベースプレート1000に固定結合された駆動エレメント131,132は、ここでは運動平面に相当するベースプレート1000の平面において互いに90°の角度を成して配置されている。この場合、駆動エレメント131,132の主作用方向は駆動リング111の中心点に方向付けられている。この形態はこれまで公知の圧電駆動装置の欠点を、回転可能に支承された軸22の、駆動エレメント131,132によって周期的に円形に摺動させられる駆動リング111の内側での転動により回避する。この場合、圧電モータの典型的な利点は制限されずに保持されたままである。
【0047】
駆動リング111の円形の摺動運動の実行のために、2つの駆動エレメント131,132は、有利には位相を90°だけ移動する同じピーク振幅の正弦波状の2つの電圧信号で制御される。軸22と駆動リング111の内面との間のギャップ量は、PMA23の特性とモータの取付けとに関連して、転動運動の各位相中に軸22と駆動リング111との間に1回の著しい摩擦接続が、特に2つのPMA23に電気が通っていないモータが停止している場合でも存在するように設計されている。有利にはマイクロ歯列が軸22と駆動リング111との間に設けられていて、軸22と駆動リング111との間の形状接続を保証する。これにより力伝達は改善され作動正確性も高められる。つまり、モータは各運転状態においてセルフロック式であり、特にガス圧力弁もしくは本発明による流体調量装置における調量弁の弁駆動に対して良好に使用することができる。なぜならばモータは運転されていない状態においても高圧によりもたらされる高圧力により負荷され、この高圧力に耐えるからである。
【0048】
PMAを使用するこの種の駆動モータは、たとえばこの種の駆動装置の形態が更に詳しく記載されているEP1098429B1において開示されている。
【0049】
図2には組み立てられた状態にある本発明による流体調量装置の一形態が示されている。この形態ではガス圧アキュムレータの高圧領域1が容器壁2により画成されている。ガスの代わりに液体を流体調量装置で調量することもできる。容器壁2の一部分に支持体3が機械的に剛性に取り付けられている。この支持体3は略示された駆動装置4の機械的に剛性な取付けのためにも働く。高い所要の力と所望のセルフロッキング及びコンパクトな寸法設定とに基づき、特に有利には圧電アクチュエータ駆動装置が使用される。入力軸22の左右対称軸線に対して回転可能に支承されている駆動装置4の入力軸22には、たとえば偏心ディスク6a又は適切に形成された外側輪郭を備えたカムディスク6bが配置されている。たとえば偏心ディスク又はカムディスクは、たとえば嵌合キー、歯列、プレス嵌め等の機械的に剛性な結合技術によって嵌着されている。カムディスクはこの形態では有利には回転可能に支承されているローラ構造体7上を転動する。このローラ構造体7は弁エレメント8と機械的に剛性な作用結合をしている。この形態では弁エレメント8は狭い隙間嵌めの形式で弁体9の上側端部にて、可能な限り僅かなリークしか有さないように軸線方向で案内される。弁エレメント8は対向している弁体9の下側の端部にて弁体と共に弁座を形成する。弁エレメント8と弁体9とに気密に接続されている、たとえば溶接により取り付けられたシールエレメントにより、周囲に対して弁エレメントはシールされる。このために有利には最大約40barのシールエレメントの圧力耐性だけが必要である。この場合、たとえばシールエレメント10として金属ベローズ又はダイヤフラム又はエラストマパッキン又はOリングを使用することもできる。この関係において、金属ベローズ又はダイヤフラム又はエラストマパッキン又はOリングは、運転中に発生する弁エレメント8の変位のための軸線方向での空隙を十分に許容することが重要である。低圧領域又は流体調量領域は弁座に後続している弁内室又は環状室11と、たとえば吸気管もしくは低圧インジェクタに通じていて且つ周囲に対して気密にシールされている低圧管路13とから成っている。有利にはここでこの形態において示されているように、低圧管路内に、制御電子機器を介して低圧領域における目下のガス流を測定可能にする温度センサ14又は圧力センサが配置されてもいる。
【0050】
高圧領域1、ガス領域又は供給領域寄りの、弁エレメント8の側に、ガス圧アキュムレータの満たされた運転圧が作用する。ガスの進出は座弁のシールラインによってのみ塞がれる。
【0051】
ここでは圧力はたとえば最大300barである。約8mmの典型的なシール座直径において、弁エレメント8はこの形態では最大1500Nの圧力で負荷される。
【0052】
このように高負荷時には、実践において発生する僅かな弁ストロークに関連して、構造体の剛性な構造及び前記構造体とガスタンクとの連結、連結部材同士の結合が特に重要になってくる。従って支持体3と、駆動装置4と、入力軸22とカムディスク6とローラ構造体7とはいずれにしてもこの種の負荷においては変形することはないか、又は変形は駆動装置の作動量の設定時に修正して取り入れることができる程度に少なくとも僅かであることが望まれる。支持体3は、たとえば剛性なハニカム構造として構成されていてよい。図示されていない別の形態では入力軸を二重に支承することができる。この場合、偏心体又はカムは所定の支持体の不動に固定された2つの橋脚の間に設けられている。2つの橋脚はそれぞれ1つの軸受を収容する。
【0053】
弁エレメント8の上側端部はローラ構造体7とカムディスク6とを介して入力軸22に支持される。たとえば所定の制御部(図示せず)を介しての電気的な制御により駆動装置は軸22を回転させる。これによりモータ軸及びカムディスクとローラとのコンタクトラインの間の軸線間隔は短縮され、弁エレメントは、たとえば圧力により駆動され上方へと動かされる。従ってシールラインの領域において弁エレメントと弁体との間のギャップが開放される。その結果、圧力下にあるガスは弁を通って絞られて高圧領域1から流体調量領域に流入でき、低圧管路を通って流出できる。センサ14によって伝送された圧力及び温度に関するセンサ信号によって、目下のガス流はセンサ電子機器(図示せず)により算出され、モータ制御部のシステム内に記憶されている目標値と比較される。
【0054】
弁エレメントの位置と目下のガス流との間に単純で一義的な関係が存在している一方で、更にカムディスクを介して駆動装置のモータ軸の回転角度制御と弁エレメントの位置との間に別の一義的な関係が存在するので、目標値からのずれが生じた場合、モータ軸の新たな回転角度が制御電子機器により算出され、そこに向かって開ループ制御することができる。この関係は、たとえば制御電子機器(図示せず)においては基準(Modell)又は特性マップとして記憶できる。
【0055】
図3には本発明による流体調量装置の別の形態が示されている。図2の形態とは異なり、弁エレメントは外側座部12を有している。つまり図3に示した弁はガス圧領域1にある高圧により閉鎖され、適切な駆動力により開放しなければならない。駆動力は軸5と、ディスク6と、ローラ装置7(Rollentrieb)と弁エレメント8とを介して座部に作用する。それ以外の機能は図2に示した形態と同じである。
【0056】
本発明による流体調量装置は以下に示す特別な利点を有している。EP1098429B1記載のマイクロ歯列を備えた圧電アクチュエータ駆動装置は極めて高い作動正確性を有していて、角度位置に関して極めて高い再現精度を有している。従ってこの圧電アクチュエータ駆動装置を介して弁エレメントは極めて高い精度をもって制御できる。
【0057】
更に圧電アクチュエータ駆動装置はその原理に基づき高い駆動装置剛性を有していて、従ってたとえば弁領域におけるダイナミックな圧力変化により引き起こされるような負荷変化に対しては耐性がある。この特性は弁エレメントの精確な制御と迅速な制御とを促進する。
【0058】
この圧電アクチュエータ駆動装置によって、弁エレメントの高い作動量をmmの範囲で原則的に実現できる。これにより圧力アキュムレータの極めて広い圧力範囲が利用可能になる。
【0059】
調節された角度及びこの角度に伴う弁位置を保持する場合、圧電アクチュエータ駆動装置は、圧電アクチュエータが容量式及び高抵抗式の構成エレメントとして負荷状態の保持のために電気的なエネルギを受容しないので電気的なエネルギを消費しない。
【0060】
適切に構成されたカムディスクによって圧電アクチュエータ駆動装置の出力を、全運転圧範囲において弁エレメントの運動のための所要出力に最適に適合させることができる。
【0061】
本発明により機械的にコンパクトな駆動装置が高圧弁に連結され、こうして単純な構造と僅かな寸法の流体調量装置が提供される。駆動装置及び使用する弁の機械的な特性により、駆動装置及び使用する弁を、ガス内燃機関でのガス混合気の調製のためにガス内燃機関にて使用するのに特に有利に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による流体調量装置を駆動させるために特に適している電気機械式のモータを示した図である。
【図2】本発明による流体調量装置の一形態である。
【図3】本発明による流体調量装置の別の形態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体調量装置において、
a)供給領域(1)と流体調量領域(11)との間に配置されている調量弁(8,9)が設けられており、
b)少なくとも2つの駆動エレメントの伸長を入力軸(22)の回転に変換するアクチュエータ駆動装置(4)が設けられており、前記入力軸(22)が調量弁と機械的に連結されていて、前記調量弁を調量のために駆動することを特徴とする、流体調量装置。
【請求項2】
当該流体調量装置において調量弁(8,9)が供給領域(1)に配置されていて、且つリザーバ圧で負荷されている弁座(12)を有している、請求項1記載の流体調量装置。
【請求項3】
駆動エレメントがリニア駆動装置として構成されている、請求項1又は2記載の流体調量装置。
【請求項4】
当該流体調量装置においてアクチュエータ駆動装置が少なくとも2つの電気機械式の駆動エレメント(23)と、該2つの駆動エレメントにより回転摺動運動させられる少なくとも1つの駆動リング(111)と、該駆動リング(111)によって取り囲まれていて摩擦接続的に又は形状接続的に前記駆動リング(111)に結合されている入力軸(22)とを有しており、該入力軸(22)の外径が駆動リング(111)の内径よりも小さくなっている、請求項1から3までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項5】
当該流体調量装置においてアクチュエータ(23)が圧電式の積層アクチュエータとして構成されている、請求項1から4までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項6】
当該流体調量装置においてアクチュエータ駆動装置(4)が圧力リザーバ領域(1)と直接連結されている支持体(3)に配置されている、請求項1から5までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項7】
当該流体調量装置において入力軸(22)が偏心体(6a)又はカムディスク(6b)を介して調量弁(8,9)に連結されている、請求項1から6までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項8】
当該流体調量装置において偏心体又はカムディスクと調量弁(8,9)との間にローラ構造体(7)が配置されている、請求項7記載の流体調量装置。
【請求項9】
当該流体調量装置において弁座(12)に、流体調量領域に結合されている弁内室(11)が追従している、請求項2から8までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項10】
当該流体調量装置において弁座を閉鎖する弁エレメント(8)が軸線方向に駆動可能であり、弁エレメント(8)と弁体(9)との間にシールのためにシールエレメント(10)が配置されている、請求項2から9までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項11】
前記弁(8,9)が内側座部(12)を有している、請求項9又は10記載の流体調量装置。
【請求項12】
前記弁(8,9)が外側座部(12)を有している、請求項9又は10記載の流体調量装置。
【請求項13】
当該流体調量装置において流体調量領域(11)に測定センサ(14)が配置されている、請求項1から12までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項14】
当該流体調量装置において流体調量領域(11)が圧力流体インジェクタに流体ガイド式(13)に結合されている、請求項1から13までのいずれか一項記載の流体調量装置。
【請求項15】
測定センサからの測定信号を受信し且つ測定センサから伝送された信号に関連して駆動装置を制御するために、該駆動装置に連結されている制御装置が設けられている、請求項13又は14記載の流体調量装置。
【請求項16】
請求項14記載の流体調量装置を有する、流体調量装置のためのシステムであって、入力軸(22)の回転角度と測定センサ(14)の測定値との関係と、駆動エレメント(23)に対する制御指示とが制御部に記憶されており、流体調量領域(11)において規定された圧力が調節されるように当該システムが駆動装置を制御することを特徴とする、流体調量装置のためのシステム。
【請求項17】
当該システムにおいて前記関係が基準として記憶されている、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
当該システムにおいて前記関係が特性線として記憶されている、請求項16記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−531624(P2009−531624A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502028(P2009−502028)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052721
【国際公開番号】WO2007/107600
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】