流体送出システム
使用時にリザーバ(1)から液体を引き出し、これを吐出管(4)を通して定量吐出するように配置され、ピストン(22)が往復運動するように移動可能であるシリンダ(21)を含むポンプと、シリンダ内への入口と、入口を通る流れを制御するための一方向入口弁(17)と、シリンダから吐出管に通じる出口と、出口を通る流れを制御する出口弁(27)とを含み、ピストンは、出口弁に選択的に接触して、その下り行程の初期部分の間には出口弁を開いた状態に保持し、行程の残りの間には出口弁を解放して閉じるように配置される、流体送出システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この流体送出システムは、特に、家庭内の環境で用いるための自動ソープ・ディスペンサと共に用いるように設計されている。ソープ・ディスペンサは、基部ユニットの上にひっくり返した構成で配置された、ソープ等の交換可能なリザーバを備えた電池式装置である。リザーバは、該リザーバからの液体の漏れを防止する弁をその下端部に備えた出口を有する。基部は、出口に入り、これにより弁を開け、液体が基部に流入するのを可能にするスピゴットを有する。
【0003】
基部には、電池室、モータ、ポンプ・システム、吐出管(dispensing tube)及びセンサが設けられる。センサがユーザの手を感知すると、モータが作動してポンプを動作させ、吐出管から液体を定量吐出する。
【0004】
本発明は、吐出管からの望ましくない液だれを防止する又は著しく低減することができる、基部ユニットで用いるための流体送出システムに向けられる。
【0005】
流体送出システムは、こうした用途で用いるように設計されているが、液だれを防止又は低減することが必要な、吐出管を介して流体を定量吐出するためのいずれの流体送出システムにも広く適用することができる。
【0006】
これを行うことができる1つのディスペンサが、特許文献1に開示される。この特許文献は、逆止弁の下流で動作するので、ピストンの下り行程時に、補助的ピストンが流体を補助シリンダ内に吸引する補助的ピストン及びシリンダの可能性を開示する。この特許文献はまた、異なる寸法のシリンダ内で往復運動するように配置された一対の環状の可撓性ディスクを有するピストンも開示する。ピストンの下降運動により、2つのディスク間のチャンバのサイズが増大し、これにより吸引力がもたらされ、この吸引力が、定量吐出された製品の一部を吸い戻して液だれを低減又は防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1 604 600号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によると、
使用時にリザーバから流体を引き出し、これを吐出管を通して定量吐出するように配置され、ピストンが往復運動するように移動可能であるシリンダを含むポンプと、
シリンダ内への入口と、
入口を通る流れを制御するための一方向入口弁と、
シリンダから吐出管に通じる出口と、
出口を通る流れを制御する出口弁と、
を含み、ピストンは、出口弁に選択的に接触して、その下り行程の初期部分の間には出口弁を開いた状態に保持し、行程の残りの間には出口弁を解放して閉じるように配置される、流体送出システムが提供される。
【0009】
ピストンが、その下り行程の初期部分の間に出口弁を開いた状態に保持するので、液体は、出口を通って吸い戻される。従って、液体は、吐出管に沿って吸い戻され、液だれが防止又は低減される。これを行うために、既存の構成要素、即ち、ピストン及び出口弁を用いることによって、本発明は、付加的な装置、又は複雑な構造の特注の構成要素を用いる必要なく、解決策を提供する。
【0010】
出口弁は、シリンダの上壁内に存在させることができ、シリンダがピストンと共に下方に移動し、ピストンが上死点より下に所定の距離より多く移動すると、出口とだけ連通するオリフィスを有するように配置することができる。しかしながら、より好ましくは、出口弁は、シリンダの側壁のオリフィス内に配置され、弁要素がシリンダ内に突出する閉鎖位置に付勢された弁要素を含み、この弁要素は、出口弁要素を通り過ぎてシリンダ内を移動し、弾性付勢力の作用に対抗して、弁要素の突出部分をシリンダから押し出すピストンによって開けられるように配置される。入口弁要素は、所定の位置に付勢することができる。しかしながら、この入口弁要素は、浮遊弁要素であることが好ましい。
【0011】
ピストンによってもたらされる吸引が、背圧を生じさせ、それにより、吐出管内に幾分かは液体が保持されるので、吐出管は、どのような構造を有することもできる。好ましくは、吐出管は、ピストンから遠ざかるように、湾曲した移行部分内に延びる上向きの部分を含み、湾曲した移行部分は、ほぼ下方に向いた出口に通じる。ピストンは、液体が重力下で出口から流れ出ることができる地点を超えた位置まで、液体を吸い戻すように構成されることが好ましい。
【0012】
本発明は、その下端部の出口オリフィス及び出口からの流れを制御するためのリザーバ出口弁を備えた交換可能な液体のリザーバと、リザーバ内の出口と係合して弁を開けるスピゴットを備えた基部ユニットとを有し、基部ユニットには、本発明の第1の態様による流体送出システムが備えられ、一方向入口弁が、スピゴットを通り、シリンダ内に入る液体の流れを制御するように配置された、ソープ等のためのディスペンサにまで及ぶことが好ましい。
【0013】
ディスペンサは、手動操作式にすることができ、その場合、ピストンは、手動レバー機構によって動かされる。しかしながら、基部ユニットには、モータと、制御回路と、吐出管の近くの動きの存在を検出するためのセンサとが備えられ、制御回路は、動きが検出されたときに、モータを駆動してピストンを動かすように配置されることが好ましい。ディスペンサは、壁掛け式ユニットであっても、又は、周辺ユニット内に一体に構築されたものであってもよい。しかしながら、ディスペンサは、自立型ユニットであることが好ましく、その場合、基部ユニットは、電池室も含むことが好ましい。
【0014】
ここで本発明による流体送出システムの一例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】主として流体送出システム用に設計されたディスペンサの断面図である。
【図2A】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2B】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2C】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2D】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2E】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2F】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2G】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2H】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2I】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2J】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2K】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本ディスペンサは、一般的に家庭での使用に適した、手を使わないで操作できる(ハンズフリーの)ディスペンサである。このディスペンサは、主として、液体ソープを定量吐出するように意図されているが、ハンドクリーム、ボディローション、保湿剤、美顔用クリーム、シャンプー、シャワー用ジェル、泡タイプのハンドソープ、ひげそり用クリーム、食器洗い用液体洗剤、歯磨き粉、又はアルコール・ジェルのような殺菌剤といった、他の液体又は半液体製品(理想的には、水よりも高い粘度を有する)を定量吐出するために用いることもできる。
【0017】
ディスペンサは、2つの主要部分、即ち、リフィル1及び基部ユニット2を含む。リフィル1は、定量吐出される液体のリザーバを提供し、下記に示されるように、基部ユニット2に嵌合される。
【0018】
残りの図面を参照して説明されるように、基部は、液体がリフィル・ユニットから定量吐出される界接面を有する。界接面は、吐出管4と流体連通している。残りの図面を参照して詳細に説明されるように、モータ5を備えた下記に説明されるようなポンプは、定量の液体を吐出管4に沿って吐出ヘッド6から吸い出すように、選択的に動作可能である。
【0019】
基部は、ディスペンサの近くにあるユーザの手の存在を感知するように、ウィンドウ8を通して赤外線ビームを受信機7Bに送る赤外線送信機7Aを有する。制御回路が、近接センサからの信号に反応して、ポンプを作動させる。図示されるセンサは、ブレイク・ビーム・センサであるが、反射式センサとすることもできる。赤外線センサが示されるが、容量センサのような任意の周知の近接センサを用いることができる。装置は、電源式であっても、又は電池式であってもよい。代替的には、装置は、ユーザがレバーを押して製品を押しのける手動操作式ポンプ装置とすることができる。
【0020】
基部ユニット2は、リフィルを保護し支持するように、リフィルのかなりの部分を囲むカップ状のハウジングを形成するカウリング10を含む。スピゴット11が、カウリング10の基部を通って突出する。
【0021】
リフィル1は、カップ13がその下端部に取り付けられたボトル12を含む。下端部には、スピゴットが挿入される出口14がある。出口14は、該出口の環状壁の上部の上に弾性的に付勢される弁要素15によって閉じられている。弁15は、スピゴット11により、基部2への挿入時にその座部から持ち上げられる。これにより、スピゴットの上部の周囲に流路が開かれる。空気入口弁16は、ディスペンサから外に出る液体の流れを妨げることなく、ボトル内に入る空気が失われた液体に置き換わるのを可能にする通気孔を提供する。
【0022】
本発明は、基部ユニット内のポンプ機構に関係し、ここでこれを、図2A乃至図2Kを参照して説明する。
【0023】
図2Aに示されるように、入口弁要素17が、スピゴット11内に設けられる。この入口弁要素17は、相補的な弁座18上に着座する円錐形の上壁を有する。この弁要素17は、等しくボール弁とすることができる。弁要素17は、その上部がスピゴット11内に突出するシリンダ・ハウジング19によって、スピゴット11内に浮遊するように保持される。このシリンダ・ハウジング19は、O形リング20によってスピゴットに封止される。
【0024】
シリンダ・ハウジング19は、ピストン22が往復運動するように取り付けられたシリンダ21を定める。ピストン22には、環状シール・リング23と、モータ5(図1)によって駆動される回転カム(図示せず)と結合するピストン棒24とが設けられる。シリンダ21は、前述の入口弁要素17によってそこを通る流れを制御する入口オリフィス25と、出口弁要素27によってそこを通る流れを制御する出口オリフィス26とを有する。
【0025】
シリンダ21に最も近い出口弁要素27の端部は比較的狭く、リテーナ28内で摺動するように配置される。この時点で、弁要素27には、液体の通過を可能にするように、複数の細長い溝29が設けられる。反対端においては、出口弁要素27はより広く、出口チャネル30内で摺動するような寸法になっている。この時点で、弁要素は、同じく液体の流れを可能にする複数のノッチ31を有する。出口を封止するために円錐形の座部33上に載っているO形リング32が、拡大部分の下方にある。
【0026】
出口弁要素27は、ばね34によって、シリンダ21の方向へ(図2Aに示される左側へ)付勢される。出口チャンバ30は、出口35を有する吐出管4に通じる。再び図1に関連させると、この出口35は、吐出ヘッド6を効果的に提供する。
【0027】
ここでシステムの動作を説明する。
【0028】
図2Aにおいて、ピストンは、最初の使用前であり、ピストン22が一番上の位置にあり、注入口17及び出口27の両方が開いた、呼水注入が行われていない状態で示される。これは、下記に説明されるような、ピストンがサイクルの終わりに戻る通常の位置ではないことに留意すべきである。
【0029】
ピストンがこの呼水注入が行われていない状態で、図1に示されるように、リフィル1が、基部ユニット2に挿入される。センサ7A、7Bが、吐出ヘッド6の近くに動きの存在を検出すると、図2Bに示されるように、モータ5は、ピストンを下方に駆動する。この位置において、液体は、入口弁17を通り過ぎて下方に引かれ、シリンダ21内に入る。この最初の動きの間、出口弁要素27は開いたままであるので、液体は、出口弁要素を囲むチャンバ36を満たし、さらに出口チャンバ30に流入することさえ可能である。
【0030】
ピストン22が、出口弁要素27より下である、図2Bに示される位置に到達するとすぐに、ばね34は、シール・リング32が座部33上に載って出口を封止する、図2Bに示されるような閉鎖位置に、出口弁要素27を付勢する。さらに、図2Cに示される位置を介する、図2Dに示される位置までのピストンの下降運動により、シリンダ21が液体で満たされる。
【0031】
ピストン22は、下死点に到達し、その後、図2Eに示されるように逆行する。図2Eに示されるように、これによりもたらされる流圧の増大により、入口弁17が閉じられる。図2Fに示されるように、ピストンはその上り行程を継続するので、出口弁27にかかる液圧が、ばね34により与えられる付勢力に打ち勝ち、液体Lが出口ハウジング30に入る。ピストン22の上昇運動の継続により、液体Lは、図2Gに示されるように吐出管4を上昇させられ、最終的には、ピストンが上死点に到達するまで、図2Hに示されるように出口35から外に押し出される。
【0032】
ここでポンプは呼水注入が行われた状態となる。次に、ピストン22は、図2Iに示されるように逆行する。この時点で、閉鎖位置まで移動する間、弁要素の先端部がピストン22の側壁に阻まれるので、出口弁要素27は、閉じることができない。図2Jに示されるように、このピストン22の下降運動により、入口弁要素17が再び開き、液体が入口25を通して吸い込まれ、かつ、吐出管4を下がって弁要素27の周囲に吸い戻される。
【0033】
ピストン22が出口弁要素27を通り過ぎると、弁要素27が閉じ、液体は、ピストンが図2Kに示される位置のすぐ上の下死点に接近するまで(下り行程の約75%)、シリンダ21内に引き込まれる。これは、通常の使用中のポンプの停止位置Lである。この位置において、シリンダ21は液体で満たされ、吐出管4は、吐出管の下面の最上部の下であるレベルまで、液体Lで満ちている。このように、液体は、重力下では出口を通って流れることができない位置まで吸い戻される。センサ7A、7Bにより動きが検出され、次の定量吐出動作がトリガされると、液体を定量吐出するための全上り行程、及び、図2Kの「停止」位置に戻るための下り行程の75%を終了する前に、ピストンは最初に下死点まで下がり(行程の残りの25%)、シリンダに呼水注入が十分に行われる。
【符号の説明】
【0034】
1:リフィル
2:基部ユニット
4:吐出管
5:モータ
6:吐出ヘッド
7A、7B:センサ
8:ウィンドウ
10:カウリング
11:スピゴット
12:ボトル
13:カップ
14:出口
15:弁要素
16:空気入口弁
17:注入弁要素
18:弁座
19:シリンダ・ハウジング
20:O形リング
21:シリンダ
22:ピストン
23:環状シール・リング
24:ピストン棒
25:注入オリフィス
26:出口オリフィス
27:出口弁要素
28:リテーナ
29:溝
30:出口チャネル(出口チャンバ、出口ハウジング)
31:ノッチ
32:O形リング
33:円錐形の座部
34:ばね
35:出口
36:チャンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この流体送出システムは、特に、家庭内の環境で用いるための自動ソープ・ディスペンサと共に用いるように設計されている。ソープ・ディスペンサは、基部ユニットの上にひっくり返した構成で配置された、ソープ等の交換可能なリザーバを備えた電池式装置である。リザーバは、該リザーバからの液体の漏れを防止する弁をその下端部に備えた出口を有する。基部は、出口に入り、これにより弁を開け、液体が基部に流入するのを可能にするスピゴットを有する。
【0003】
基部には、電池室、モータ、ポンプ・システム、吐出管(dispensing tube)及びセンサが設けられる。センサがユーザの手を感知すると、モータが作動してポンプを動作させ、吐出管から液体を定量吐出する。
【0004】
本発明は、吐出管からの望ましくない液だれを防止する又は著しく低減することができる、基部ユニットで用いるための流体送出システムに向けられる。
【0005】
流体送出システムは、こうした用途で用いるように設計されているが、液だれを防止又は低減することが必要な、吐出管を介して流体を定量吐出するためのいずれの流体送出システムにも広く適用することができる。
【0006】
これを行うことができる1つのディスペンサが、特許文献1に開示される。この特許文献は、逆止弁の下流で動作するので、ピストンの下り行程時に、補助的ピストンが流体を補助シリンダ内に吸引する補助的ピストン及びシリンダの可能性を開示する。この特許文献はまた、異なる寸法のシリンダ内で往復運動するように配置された一対の環状の可撓性ディスクを有するピストンも開示する。ピストンの下降運動により、2つのディスク間のチャンバのサイズが増大し、これにより吸引力がもたらされ、この吸引力が、定量吐出された製品の一部を吸い戻して液だれを低減又は防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1 604 600号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によると、
使用時にリザーバから流体を引き出し、これを吐出管を通して定量吐出するように配置され、ピストンが往復運動するように移動可能であるシリンダを含むポンプと、
シリンダ内への入口と、
入口を通る流れを制御するための一方向入口弁と、
シリンダから吐出管に通じる出口と、
出口を通る流れを制御する出口弁と、
を含み、ピストンは、出口弁に選択的に接触して、その下り行程の初期部分の間には出口弁を開いた状態に保持し、行程の残りの間には出口弁を解放して閉じるように配置される、流体送出システムが提供される。
【0009】
ピストンが、その下り行程の初期部分の間に出口弁を開いた状態に保持するので、液体は、出口を通って吸い戻される。従って、液体は、吐出管に沿って吸い戻され、液だれが防止又は低減される。これを行うために、既存の構成要素、即ち、ピストン及び出口弁を用いることによって、本発明は、付加的な装置、又は複雑な構造の特注の構成要素を用いる必要なく、解決策を提供する。
【0010】
出口弁は、シリンダの上壁内に存在させることができ、シリンダがピストンと共に下方に移動し、ピストンが上死点より下に所定の距離より多く移動すると、出口とだけ連通するオリフィスを有するように配置することができる。しかしながら、より好ましくは、出口弁は、シリンダの側壁のオリフィス内に配置され、弁要素がシリンダ内に突出する閉鎖位置に付勢された弁要素を含み、この弁要素は、出口弁要素を通り過ぎてシリンダ内を移動し、弾性付勢力の作用に対抗して、弁要素の突出部分をシリンダから押し出すピストンによって開けられるように配置される。入口弁要素は、所定の位置に付勢することができる。しかしながら、この入口弁要素は、浮遊弁要素であることが好ましい。
【0011】
ピストンによってもたらされる吸引が、背圧を生じさせ、それにより、吐出管内に幾分かは液体が保持されるので、吐出管は、どのような構造を有することもできる。好ましくは、吐出管は、ピストンから遠ざかるように、湾曲した移行部分内に延びる上向きの部分を含み、湾曲した移行部分は、ほぼ下方に向いた出口に通じる。ピストンは、液体が重力下で出口から流れ出ることができる地点を超えた位置まで、液体を吸い戻すように構成されることが好ましい。
【0012】
本発明は、その下端部の出口オリフィス及び出口からの流れを制御するためのリザーバ出口弁を備えた交換可能な液体のリザーバと、リザーバ内の出口と係合して弁を開けるスピゴットを備えた基部ユニットとを有し、基部ユニットには、本発明の第1の態様による流体送出システムが備えられ、一方向入口弁が、スピゴットを通り、シリンダ内に入る液体の流れを制御するように配置された、ソープ等のためのディスペンサにまで及ぶことが好ましい。
【0013】
ディスペンサは、手動操作式にすることができ、その場合、ピストンは、手動レバー機構によって動かされる。しかしながら、基部ユニットには、モータと、制御回路と、吐出管の近くの動きの存在を検出するためのセンサとが備えられ、制御回路は、動きが検出されたときに、モータを駆動してピストンを動かすように配置されることが好ましい。ディスペンサは、壁掛け式ユニットであっても、又は、周辺ユニット内に一体に構築されたものであってもよい。しかしながら、ディスペンサは、自立型ユニットであることが好ましく、その場合、基部ユニットは、電池室も含むことが好ましい。
【0014】
ここで本発明による流体送出システムの一例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】主として流体送出システム用に設計されたディスペンサの断面図である。
【図2A】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2B】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2C】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2D】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2E】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2F】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2G】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2H】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2I】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2J】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【図2K】動作の様々な段階を示す、流体送出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本ディスペンサは、一般的に家庭での使用に適した、手を使わないで操作できる(ハンズフリーの)ディスペンサである。このディスペンサは、主として、液体ソープを定量吐出するように意図されているが、ハンドクリーム、ボディローション、保湿剤、美顔用クリーム、シャンプー、シャワー用ジェル、泡タイプのハンドソープ、ひげそり用クリーム、食器洗い用液体洗剤、歯磨き粉、又はアルコール・ジェルのような殺菌剤といった、他の液体又は半液体製品(理想的には、水よりも高い粘度を有する)を定量吐出するために用いることもできる。
【0017】
ディスペンサは、2つの主要部分、即ち、リフィル1及び基部ユニット2を含む。リフィル1は、定量吐出される液体のリザーバを提供し、下記に示されるように、基部ユニット2に嵌合される。
【0018】
残りの図面を参照して説明されるように、基部は、液体がリフィル・ユニットから定量吐出される界接面を有する。界接面は、吐出管4と流体連通している。残りの図面を参照して詳細に説明されるように、モータ5を備えた下記に説明されるようなポンプは、定量の液体を吐出管4に沿って吐出ヘッド6から吸い出すように、選択的に動作可能である。
【0019】
基部は、ディスペンサの近くにあるユーザの手の存在を感知するように、ウィンドウ8を通して赤外線ビームを受信機7Bに送る赤外線送信機7Aを有する。制御回路が、近接センサからの信号に反応して、ポンプを作動させる。図示されるセンサは、ブレイク・ビーム・センサであるが、反射式センサとすることもできる。赤外線センサが示されるが、容量センサのような任意の周知の近接センサを用いることができる。装置は、電源式であっても、又は電池式であってもよい。代替的には、装置は、ユーザがレバーを押して製品を押しのける手動操作式ポンプ装置とすることができる。
【0020】
基部ユニット2は、リフィルを保護し支持するように、リフィルのかなりの部分を囲むカップ状のハウジングを形成するカウリング10を含む。スピゴット11が、カウリング10の基部を通って突出する。
【0021】
リフィル1は、カップ13がその下端部に取り付けられたボトル12を含む。下端部には、スピゴットが挿入される出口14がある。出口14は、該出口の環状壁の上部の上に弾性的に付勢される弁要素15によって閉じられている。弁15は、スピゴット11により、基部2への挿入時にその座部から持ち上げられる。これにより、スピゴットの上部の周囲に流路が開かれる。空気入口弁16は、ディスペンサから外に出る液体の流れを妨げることなく、ボトル内に入る空気が失われた液体に置き換わるのを可能にする通気孔を提供する。
【0022】
本発明は、基部ユニット内のポンプ機構に関係し、ここでこれを、図2A乃至図2Kを参照して説明する。
【0023】
図2Aに示されるように、入口弁要素17が、スピゴット11内に設けられる。この入口弁要素17は、相補的な弁座18上に着座する円錐形の上壁を有する。この弁要素17は、等しくボール弁とすることができる。弁要素17は、その上部がスピゴット11内に突出するシリンダ・ハウジング19によって、スピゴット11内に浮遊するように保持される。このシリンダ・ハウジング19は、O形リング20によってスピゴットに封止される。
【0024】
シリンダ・ハウジング19は、ピストン22が往復運動するように取り付けられたシリンダ21を定める。ピストン22には、環状シール・リング23と、モータ5(図1)によって駆動される回転カム(図示せず)と結合するピストン棒24とが設けられる。シリンダ21は、前述の入口弁要素17によってそこを通る流れを制御する入口オリフィス25と、出口弁要素27によってそこを通る流れを制御する出口オリフィス26とを有する。
【0025】
シリンダ21に最も近い出口弁要素27の端部は比較的狭く、リテーナ28内で摺動するように配置される。この時点で、弁要素27には、液体の通過を可能にするように、複数の細長い溝29が設けられる。反対端においては、出口弁要素27はより広く、出口チャネル30内で摺動するような寸法になっている。この時点で、弁要素は、同じく液体の流れを可能にする複数のノッチ31を有する。出口を封止するために円錐形の座部33上に載っているO形リング32が、拡大部分の下方にある。
【0026】
出口弁要素27は、ばね34によって、シリンダ21の方向へ(図2Aに示される左側へ)付勢される。出口チャンバ30は、出口35を有する吐出管4に通じる。再び図1に関連させると、この出口35は、吐出ヘッド6を効果的に提供する。
【0027】
ここでシステムの動作を説明する。
【0028】
図2Aにおいて、ピストンは、最初の使用前であり、ピストン22が一番上の位置にあり、注入口17及び出口27の両方が開いた、呼水注入が行われていない状態で示される。これは、下記に説明されるような、ピストンがサイクルの終わりに戻る通常の位置ではないことに留意すべきである。
【0029】
ピストンがこの呼水注入が行われていない状態で、図1に示されるように、リフィル1が、基部ユニット2に挿入される。センサ7A、7Bが、吐出ヘッド6の近くに動きの存在を検出すると、図2Bに示されるように、モータ5は、ピストンを下方に駆動する。この位置において、液体は、入口弁17を通り過ぎて下方に引かれ、シリンダ21内に入る。この最初の動きの間、出口弁要素27は開いたままであるので、液体は、出口弁要素を囲むチャンバ36を満たし、さらに出口チャンバ30に流入することさえ可能である。
【0030】
ピストン22が、出口弁要素27より下である、図2Bに示される位置に到達するとすぐに、ばね34は、シール・リング32が座部33上に載って出口を封止する、図2Bに示されるような閉鎖位置に、出口弁要素27を付勢する。さらに、図2Cに示される位置を介する、図2Dに示される位置までのピストンの下降運動により、シリンダ21が液体で満たされる。
【0031】
ピストン22は、下死点に到達し、その後、図2Eに示されるように逆行する。図2Eに示されるように、これによりもたらされる流圧の増大により、入口弁17が閉じられる。図2Fに示されるように、ピストンはその上り行程を継続するので、出口弁27にかかる液圧が、ばね34により与えられる付勢力に打ち勝ち、液体Lが出口ハウジング30に入る。ピストン22の上昇運動の継続により、液体Lは、図2Gに示されるように吐出管4を上昇させられ、最終的には、ピストンが上死点に到達するまで、図2Hに示されるように出口35から外に押し出される。
【0032】
ここでポンプは呼水注入が行われた状態となる。次に、ピストン22は、図2Iに示されるように逆行する。この時点で、閉鎖位置まで移動する間、弁要素の先端部がピストン22の側壁に阻まれるので、出口弁要素27は、閉じることができない。図2Jに示されるように、このピストン22の下降運動により、入口弁要素17が再び開き、液体が入口25を通して吸い込まれ、かつ、吐出管4を下がって弁要素27の周囲に吸い戻される。
【0033】
ピストン22が出口弁要素27を通り過ぎると、弁要素27が閉じ、液体は、ピストンが図2Kに示される位置のすぐ上の下死点に接近するまで(下り行程の約75%)、シリンダ21内に引き込まれる。これは、通常の使用中のポンプの停止位置Lである。この位置において、シリンダ21は液体で満たされ、吐出管4は、吐出管の下面の最上部の下であるレベルまで、液体Lで満ちている。このように、液体は、重力下では出口を通って流れることができない位置まで吸い戻される。センサ7A、7Bにより動きが検出され、次の定量吐出動作がトリガされると、液体を定量吐出するための全上り行程、及び、図2Kの「停止」位置に戻るための下り行程の75%を終了する前に、ピストンは最初に下死点まで下がり(行程の残りの25%)、シリンダに呼水注入が十分に行われる。
【符号の説明】
【0034】
1:リフィル
2:基部ユニット
4:吐出管
5:モータ
6:吐出ヘッド
7A、7B:センサ
8:ウィンドウ
10:カウリング
11:スピゴット
12:ボトル
13:カップ
14:出口
15:弁要素
16:空気入口弁
17:注入弁要素
18:弁座
19:シリンダ・ハウジング
20:O形リング
21:シリンダ
22:ピストン
23:環状シール・リング
24:ピストン棒
25:注入オリフィス
26:出口オリフィス
27:出口弁要素
28:リテーナ
29:溝
30:出口チャネル(出口チャンバ、出口ハウジング)
31:ノッチ
32:O形リング
33:円錐形の座部
34:ばね
35:出口
36:チャンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時にリザーバから液体を引き出し、これを吐出管を通して定量吐出するように配置され、ピストンが往復運動するように移動可能であるシリンダを含むポンプと、
前記シリンダ内への入口と、
前記入口を通る流れを制御するための一方向入口弁と、
前記シリンダから前記吐出管に通じる出口と、
前記出口を通る流れを制御する出口弁と、
を含み、
前記ピストンは、前記出口弁に選択的に接触して、その下り行程の初期部分の間には前記出口弁を開いた状態に保持し、前記行程の残りの間には前記出口弁を解放して閉じるように配置されることを特徴とする流体送出システム。
【請求項2】
前記出口弁は、前記シリンダの側壁のオリフィス内に配置され、弁要素が前記シリンダ内に突出する閉鎖位置に付勢された弁要素を含み、前記弁要素は、前記出口弁要素を通り過ぎて前記シリンダ内を移動し、前記付勢力の作用に対抗して、前記弁要素の突出部分を前記シリンダから押し出す前記ピストンによって開けられるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入口弁は、浮遊弁要素を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記吐出管は、前記ピストンから離れるように延び、湾曲した移行部分に通じる上向きの部分を含み、前記湾曲した移行部分は、ほぼ下方に向いた出口に通じることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ピストンは、前記液体が重力下で前記出口から流れ出ることができる位置を超えた位置まで、前記液体を吸い戻すように構成されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ソープ等のためのディスペンサであって、その下端部の出口オリフィス及び出口からの流れを制御するためのリザーバ出口弁を備えた交換可能な液体のリザーバと、前記リザーバ内の前記出口と係合して前記弁を開けるスピゴットを備えた基部ユニットとを有し、前記基部ユニットには、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の流体送出システムが備えられ、一方向入口弁が、前記スピゴットを通り、シリンダ内に入る前記液体の流れを制御するように配置されることを特徴とするディスペンサ。
【請求項7】
前記基部ユニットには、モータと、制御回路と、前記吐出管の近くの動きの存在を検出するためのセンサとが備えられ、前記制御回路は、動きが検出されたときに、前記モータを駆動して前記ピストンを動かすように配置されることを特徴とする、請求項6に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ディスペンサは、自立型ユニットであることを特徴とする、請求項6〜請求項7のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ディスペンサは、電池式であることを特徴とする、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項1】
使用時にリザーバから液体を引き出し、これを吐出管を通して定量吐出するように配置され、ピストンが往復運動するように移動可能であるシリンダを含むポンプと、
前記シリンダ内への入口と、
前記入口を通る流れを制御するための一方向入口弁と、
前記シリンダから前記吐出管に通じる出口と、
前記出口を通る流れを制御する出口弁と、
を含み、
前記ピストンは、前記出口弁に選択的に接触して、その下り行程の初期部分の間には前記出口弁を開いた状態に保持し、前記行程の残りの間には前記出口弁を解放して閉じるように配置されることを特徴とする流体送出システム。
【請求項2】
前記出口弁は、前記シリンダの側壁のオリフィス内に配置され、弁要素が前記シリンダ内に突出する閉鎖位置に付勢された弁要素を含み、前記弁要素は、前記出口弁要素を通り過ぎて前記シリンダ内を移動し、前記付勢力の作用に対抗して、前記弁要素の突出部分を前記シリンダから押し出す前記ピストンによって開けられるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入口弁は、浮遊弁要素を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記吐出管は、前記ピストンから離れるように延び、湾曲した移行部分に通じる上向きの部分を含み、前記湾曲した移行部分は、ほぼ下方に向いた出口に通じることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ピストンは、前記液体が重力下で前記出口から流れ出ることができる位置を超えた位置まで、前記液体を吸い戻すように構成されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ソープ等のためのディスペンサであって、その下端部の出口オリフィス及び出口からの流れを制御するためのリザーバ出口弁を備えた交換可能な液体のリザーバと、前記リザーバ内の前記出口と係合して前記弁を開けるスピゴットを備えた基部ユニットとを有し、前記基部ユニットには、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の流体送出システムが備えられ、一方向入口弁が、前記スピゴットを通り、シリンダ内に入る前記液体の流れを制御するように配置されることを特徴とするディスペンサ。
【請求項7】
前記基部ユニットには、モータと、制御回路と、前記吐出管の近くの動きの存在を検出するためのセンサとが備えられ、前記制御回路は、動きが検出されたときに、前記モータを駆動して前記ピストンを動かすように配置されることを特徴とする、請求項6に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ディスペンサは、自立型ユニットであることを特徴とする、請求項6〜請求項7のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ディスペンサは、電池式であることを特徴とする、請求項8に記載のディスペンサ。
【図1】
【図2A】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2K】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2A】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2K】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【公表番号】特表2012−532644(P2012−532644A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519062(P2012−519062)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051110
【国際公開番号】WO2011/004184
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(509134020)レキット アンド コールマン (オーヴァーシーズ) リミテッド (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051110
【国際公開番号】WO2011/004184
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(509134020)レキット アンド コールマン (オーヴァーシーズ) リミテッド (14)
【Fターム(参考)】
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