説明

流体面高さ測定装置

本発明は、タンク(18)中の液体(16)の高さの気体組成補償音響測定値を供給するための装置(10)に関する。本装置は、音響信号を送受信するために前記液体の外部に配置された変換器(14)と、前記変換器に連結され、且つ液体の中へ延びる導波管(12)とを備える。本装置は、一定量の流体を前記タンクから液面高さよりの上に位置する前記導波管部分の中へ送出する手段を更に備える。これは気体組成が液面高さよりも上に位置する導波管の全体を通じて本質的に同様になる結果をもたらし、それによって導波管中の音速(それは気体組成に左右される)を使用する高さ測定が非常に正確になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク中の流体面高さの音響測定値を供給するための改良装置に関し、本装置は、音響信号を送受信するために前記液体の外部に配置した変換器と、前記変換器に連結され、且つ液体の中へ延びる導波管とを備える。本発明は、タンク中の液面高さを音響的に測定する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
音響信号を使用する測定装置及び方法が当業ではよく知られている。例えば、音響測定を使用して距離、深度、容積、流速、又は測定対象の音響特性(減衰及び同様のものなど)を測定することができる。例えば、測定対象までの距離を計算するための基準として、しばしば音響パルスが媒質を通過する移動時間又は音響パルスが反射測定対象を往復する移動時間が使用される。このような距離は、基本的に非常によく知られている公式、即ち、距離=速度×時間から算出される。
【0003】
しかし、音速は、例えば、温度に左右され、それは測定に誤差を与える恐れがある。このような問題を克服するために、多くの音響測定システムは基準システムを備え、そこでは音響パルスは、現時点の音速を測定するために既知の距離を移動し、それによって、次にこの現時点の音速を使用して測定対象の未知の距離又は容積等々を算出する。基準システムが、例えば、英国特許出願第2164151号に開示されている。
【0004】
しかし、音速は信号が通過する気体の組成にも左右される。気体の組成は、しばしば測定装置全体に亘って変化し、それによって音速は測定装置の様々な部分で異なるが、それは測定精度にかなりの影響を与える恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、知られた音響測定装置に較べて改良されている音響測定装置を提供することである。
【0006】
1つの特定の目的は、測定値が気体組成に関して補償される音響測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の説明で明白になるこれらの及び他の目的は、序論として述べた種類の音響測定装置によってここに実現されているが、本装置は、流体をタンクから液面高さより上に位置する導波管部分の中へ送出する手段を更に備える。
【0008】
本発明は、流体をタンクから送出して導波管に通すことによって、液面高さより上の導波管全体を通じて本質的に等しい導波管中の雰囲気が実現可能であるという認識に基づく。これは、導波管中の音速(それは気体組成に左右される)が気体組成に関して補償されることになる。したがって、タンク中の液面高さを求めるために、液面高さより上に位置する導波管部分に関連して算出された気体組成補償音速を使用するとき、このような面高さ測定全体が非常に正確になる。
【0009】
流体をタンクから導波管の中へ送出することに関する別の利点は、導波管中の温度が流体面高さより上の導波管全体を通じて同様になり得ることである。したがって、導波管中の音速は温度に関して追加的に補償されるが、それも液面高さの測定全体を向上させる。
【0010】
本発明の1つの実施例では、流体がタンクから導波管の基準部分の中へ送出される。この基準部分は、変換器と基準要素との間の導波管の部分として画定される。基準要素は、例えば、導波管内部に配置された突起であり得る。次いで、基準部分の中へ送出される流体は、液面よりも上に位置する導波管のすべてを通過し得る。この流体の流れは、基準部分及び導波管の他の部分を通じて気体組成が一定になり、それによって他のすべてが等しくなり、音速も一定になる結果をもたらす。これはタンク中の液面高さの非常に正確な測定を可能にする。
【0011】
測定装置の導波管に通して送出される流体の流量は、音響信号、例えば、音響パルスが前記導波管の中を移動できるほどに十分に小さいことが好ましい。したがって、導波管を通って伝播する音響パルスは、流動する流体によってほとんど影響を受けることはなく、他方では同時に蒸気が流体から放出されて導波管全体を通じて同様の気体組成を創出するが、それは上で論じたように非常に正確な測定値をもたらす。
【0012】
本発明の別の実施例では、タンクから導波管の中へ送出すべき流体は液体である。液体の使用に関する利点は、タンクからの液体は容易に導波管の中へ送出できることである。あるいは、タンクから導波管の中へ送出すべき流体は気体であり、それは、例えば、タンク中の液面より上の雰囲気から採取することができる。
【0013】
他の実施例では、測定装置はタンクの中に配置され、そのタンクは乗用車の燃料タンクのように燃料ポンプを更に備え、導波管中の一定量の流体は燃料ポンプによって送出される。例えば、燃料ポンプに由来する燃料環流の一部を導波管の中へ導くことができる。これは導波管を通る安定した燃料の流れを可能にするが、それは上で説明したように正確な測定値をもたらす。燃料ポンプの使用に関する別の利点は、余分な送出装置が一切不要なことであり、それは測定装置の製作を容易にする。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、序論として述べた種類の測定装置の基準部分は、複数の排液穴を更に備える。排液穴に関する1つの利点は、例えば、測定すべき液体を収容するタンクが傾斜した場合に、測定装置の基準部分に偶発的に進入する過剰な流体を除去できることである。排液穴に関する別の利点は、導波管に送出された流体の流れに由来する過剰な流体を排出できることである。また、導波管中の凝縮の結果である過剰な流体も等しく排液穴を介して排出可能である。
【0015】
このような本発明の態様は特定の種類の測定装置のいずれにも限定される必要がなく、流体表面よりも上の部分を有する導波管を備える任意の測定装置に応用可能であることに留意されたい。
【0016】
本発明のこのような第2の態様に係る1つの実施例では、測定装置が、前記排液穴に隣接して配置された吸収構造を更に備える。この吸収構造は、例えば、吸収布であり得る。排液穴に関連して吸収構造を使用することによって、さもないと排液穴によって引き起こされる恐れのある、導波管中の音響パルスの外乱を低減し、したがってより確固とした測定値を得ることが可能である。
【0017】
吸収構造は主要部分と少なくとも1つの端部分とを備え得るが、その場合に端部分は主要部分よりも下方に位置決めされる。これは、サイホン効果のために、吸収構造によって吸収された流体を前記端部の中に貯溜可能にする。このように貯溜された流体は、次に吸収構造の端部から滴下し、例えば、タンクの中へ戻り得る。
【0018】
本発明の別の実施例では、液面高さよりも上に位置する導波管の部分、例えば、基準部分がタンクの外部に位置決めされる。更には測定装置が漏斗構造を備え、その構造の底端部にタンクと連結している開口を有する。この漏斗構造は、測定対象の導波管が開口を通過してタンクの中に進入するように配置される。動作時に、漏斗構造は、導波管の排液穴から抜け出る流体を回収し、漏斗構造の底にある通路を介して流体がタンクに戻っていくように導く。
【0019】
漏斗構造は、水平な平面から見た漏斗構造の内壁の角度がタンクの選択許容最大傾斜角よりも大きいように設計可能である。これは、タンクが最大許容タンク傾斜角よりも小さい角度を与える限り、漏斗構造の側壁は、基準部分からの流体が内部側壁に沿って流れ落ちて、タンクに再び移送されるような傾斜を有することを意味する。したがって、測定装置は、たとえタンクが傾斜しても(一定の限度まで)適切に動作することになり、それは測定装置の信頼性を高める。最大許容タンク傾斜角は10°〜35°の範囲内であることが好ましい。
【0020】
ここで、添付の図面を参照して本発明の現時点における好ましい実施例を説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明に係る測定装置の好ましい実施例を示す。本測定装置は、タンク中の液面高さを求めるように配置されている。タンクは、例えば、船舶又は車両(乗用車若しくは貨物自動車など)の燃料タンクであり得る。測定すべき液体は、例えば、水、ガソリン、又はディーゼル油若しくは同様物であり得る。図1に示すタンクは燃料ポンプ11も内蔵する。
【0022】
図1では、本発明に係る測定装置10は導波管12を備え、その導波管の一端が変換器14に連結され、その他端がタンク18の中に収容されている流体16の中へ延びている。流体16の中へ延びている導波管12の端部20は、流体を導波管に進入させるための開口を有する。また、流体の中へ延びている導波管の端部20は、一部がタンク18の底部分に固定されていることが好ましい。これによって、導波管12の端部20が確実に位置決めされ、且つタンクのまさに底から液面高さを測定することが可能になる。
【0023】
上述の変換器14は、例えば、低コストの圧電素子でもよいし、又は別体の音響送信器及び受信器から構成されていてもよい。この変換器は、電子制御器22に接続した状態で配置されるが、この制御器は変換器を制御すると共に、変換器によって送受信された信号に基づいて液面高さを計算するように配置されている。
【0024】
更には、導波管12は基準要素26、例えば、導波管の内部に配置された突起を含む。基準要素26は、例えば、環形状であってもよいし、又は導波管壁の中に配置されたピンを含んでもよい。変換器14と連結された端部から基準要素26まで延びる導波管12の部分を以降では導波管の基準部分28と呼ぶ。タンク20の底から最大タンク高さ30、即ち、最高想定流体面高さまでの導波管12の部分を以降では導波管12の測定部分32と呼ぶ。基準部分と測定部分との間の導波管12の部分を「デッド」部分34と呼ぶ。
【0025】
図1の基準部分は、つる巻き形状を有するが、この基準部分は平坦な螺旋形状又はもっと細長い形状などの他の形状を有してもよい。
【0026】
変換器14は、液面高さを測定するとき、音響パルスを発生させるために制御器22から電気信号が供給される。この音響パルスは、変換器14から送出され、導波管12を通して案内されて液体表面36に向かう。音響パルスは、一部が導波管の基準部分28の端部にある基準要素26によって反射される。音響パルスの残部は、デッド部分34を通過し、測定部分32を通って、それが液体の表面36によって反射されるまで進む。したがって、2つの反射パルスが変換器14に戻ってくる。一方の反射パルスは基準要素に関連し、他方反射のパルスは液体の表面に関連する。受信された音響パルスに対する応答として、変換器14は対応する電気信号を発生させて、それを制御器22に送り返す。
【0027】
導波管12のデッド部分34は、基準要素26及び流体表面36からそれぞれ反射された2つのパルスが、たとえタンクが頂部まで満杯であり、したがってこれらのパルスが相対的に近接して変換器14に戻ってきても区別可能であるように、これらの2つのパルスを確実に十分に分離するほどの長さである。
【0028】
それぞれのパルス間の時間間隔、即ち、それぞれの音響パルスごとの移動時間、基準部分28の長さ、デッド部分34の長さ、及び測定部分32の長さを知ることによって、制御器22は、次の公式に従ってタンク中の液面高さ又は液体容積を算出することが可能である。
高さ=(基準部分+デッド部分+測定部分)−(基準部分/REF)×SURF
【0029】
上式で、「基準部分」、「デッド部分」、及び「測定部分」は各部分のそれぞれの長さを指し、REF及びSURFは、基準要素及び液体表面によってそれぞれ反射されたパルスに関する移動時間を指す。
【0030】
したがって、液面高さは、導波管の全長を表面より上の導波管の長さで減じることによって算出されるが、その場合に表面より上の導波管の長さは、音速(=基準部分/REF)と時間SURFとの積として算出される。
【0031】
上の計算は制御器22によって行われる。
【0032】
本測定装置は、導波管の基準部分28と、燃料ポンプ11に由来する燃料環流40との間の連結部38を更に含む。連結部38は、ガソリンなどの流体を導くことができる管である。また、基準部分28は複数の排液穴42を備える。基準部分28は、つる巻き螺旋の1巻き当たりに約8個の排液穴を含むことが好ましい。
【0033】
上で説明したように音響パルスが導波管12を通過すると同時に、流体(この場合は燃料)が、燃料ポンプ11によって、タンクから連結管38を介して基準部分28の中へ送り込まれる。したがって、一定量の燃料が、測定過程時に導波管12を通過するように絶えず送り込まれる。導波管12を通過する燃料は、排液穴42及び導波管12自体を介してタンク18に戻される。
【0034】
一方では、導波管12を絶えず通過する流量の程度は、燃料流から気体を放出するほどに十分な大きさであり、それによって測定装置中の気体の組成が導波管全体を通じて本質的に同一になる。他方では、この流量の程度は、基準部分28中の音響パルスが流体自体によってほとんど影響を受けないほどに十分に小さい。
【0035】
基準部分28中の気体の組成は、本発明によって流体が導波管及び基準部分を同時に通過するので、液面高さより上に位置する導波管全体を通じて本質的に同様である。これは、導波管中の音速(それは気体の組成に応じて変化する)が気体の組成に対して補償されることを意味する。
【0036】
上の公式は、タンク18内の液面高さを算出するために基準測定値に準拠する音速を使用するので、液面高さの非常に正確な気体組成補償測定値が得られる。
【0037】
以上の実施例では、測定部分32が本質的に垂直であり、したがって液面高さの絶対測定値が得られる。しかし、異なる高さを有する様々なタンクに測定部分を適合させるために、この部分を傾斜させることも可能である。そのような場合には、更なる較正を回避するために、液面高さとタンクの最大高さとの間の関係を算出することが有利である。
関係=高さ/測定部分
【0038】
図1に示した本発明の実施例では、平面波伝播を利用する。平面波伝播を実現するために、波長は導波管の直径よりも遙かに長い。波長は直径の約2倍よりも長くすべきである。音響パルスの波長は約2cm〜10cmの間隔にあることが好ましく、それは約3、4kHz〜17kHzの周波数(即ち、超音波ではない)に対応する。波長が相対的に長いので、導波管も長くなければならない。基準部分の長さは約70cmに達し、且つデッド部分の長さは約30cmに達することが好ましい。
【0039】
図1の導波管12は、第1の基準要素26から既知の距離に位置する追加的な基準要素も含み得る。例えば、1つの追加的な基準要素を使用するとき、更にもう1つの音響パルスが受信器に戻ってくるが、その場合にこのパルスの移動時間を使用して現時点の音速を算出する。追加的な基準要素は、例えば、測定部分の中に、又は変換器と第1の基準要素との間に位置決め可能である。前者の場合には、液面高さが低いときに、基準部分がより液体に近接することになる。
【0040】
図2及び図3は、基準部分28がタンクの外部に位置する本発明の実施例を示す。図2及び図3の本装置は、図1に示した装置と同じ基本構造及び特徴を有し、すべての図で同じ構造には同一の参照符号を使用した。
【0041】
図2は、基準部分28が、例えば、船舶におけるタンク18の外部に配置されている測定装置を示す。基準部分28は、複数の排液穴42を備える。この測定装置は、内部に基準部分28が配置されている漏斗状構造44を更に備える。基準部分28は螺旋として形作られ、それは図2では漏斗44の内壁46に整合されている。あるいは、この基準部分は、例えば、漏斗44の内部に位置決めされる平坦な螺旋として形成されてもよい。漏斗44の底端部の開口48はタンク18に連結され、導波管12は開口48を介してタンク18の中へ入っている。
【0042】
タンク中の液面高さの測定は、図1に関して上で説明したものと同様の態様で行われる。
【0043】
図2に示す装置では、基準部分28中の流体の流れからの過剰な流体が排液穴42を介して外に導かれ、漏斗44を経由してタンク18に戻る。また、例えば、凝縮に由来する過剰な流体及び/又はタンク18が傾斜する場合にタンクから基準導波管28に入る流体は、排液穴42及び関連する漏斗44を介して外に導かれ得る。漏斗の角度Aがタンクの傾斜角Bよりも大きい限り、流体は漏斗44によってタンク18の中に戻るように導かれることになる。したがって、測定装置を設計するときに、漏斗44の傾斜は、タンク測定装置がタンクの所定最大許容傾斜角まで測定を首尾よく行えるように選択可能である。例えば、船舶では、この最大許容傾斜角が約25°程度の大きさであり得るが、その場合に漏斗の角度Aは、選択された最大許容傾斜角を少し超えたところに設定される。
【0044】
本発明の別の実施例が図3に示されている。図3では、測定装置の基準部分28が平坦螺旋状に形作られ、且つタンクの外部に位置決めされている。この測定装置は容器50を更に備え、その内部に平坦螺旋形状の基準部分が配置されている。容器50は、ほぼ円形の基部板52と、この基部板の縁から立ち上がる壁54とを有する。容器50は、基部板52の開口56を介してタンクに連結し、その場合に導波管12が開口56を通過してタンクの中へ入る。容器50は、この容器の基部板52の上を覆い、開口56の中を下ってタンクまで達する吸収層58を更に備える。この吸収層58の下端60がタンクの通路の中に位置決めされていることに留意されたい。吸収層58は、例えば、スポンジ布のような吸収布でよい。
【0045】
測定時に、例えば、基準部分28を通過する流れ及び/又は凝縮に由来する過剰な流体は、排液穴42から抜け出て吸収布58によって吸収される。吸収布58の端部60は、容器50の基部板52における吸収布部分よりも低い高さに位置決めされているので、流体は端部60の中に貯溜され、且つサイホンの原理のために滴下してタンク18の中に戻っていく。また、容器50をタンク18の頂部表面から距離Cだけ高めることによって、たとえタンク全体が傾斜しても、図3のDで示す距離が零よりも大きい限り、サイホン機能を、よって本測定装置を使用することが可能である。したがって、測定装置を設計するときに、容器50の高さは、タンク測定装置がタンクの望ましい傾斜角まで測定を首尾よく行えるように選択可能である。
【0046】
述べたように、タンク、例えば、特に車両又は船舶における燃料タンクの中の流体の高さを音響的に測定するための装置は、従来技術において知られている。このような装置の1つが英国特許出願第2164151号に開示されており、それはタンク中の液面高さを求めるための音響液面高さ測定装置を開示する。この装置は管を備え、この管の一端が液体の中に沈められ、他端には変換器が配置される。この管にはまた、その両端間の管部分に沿って位置する2つの基準手段が配置される。その変換器は、音源パルスの一部が基準手段によって反射され、且つ残りのパルス・エネルギーが液体表面によって反射されて、これらの反響波の間の時間遅延を使用してタンク中の液面高さを算出することができる。
【0047】
導波管中の音響信号によって測定するとき、例えば、外乱の低減を可能にする平面波伝播を利用することが有利である。導波管中の音響信号の平面波伝播に対する1つの条件は、その信号の波長が導波管の直径よりも遙かに大きくなければならないことである。同時に、反射信号の分離を可能にするために、その導波管は数波長分の長さでなければならない。したがって、導波管が概ね1センチメートル程度の直径を有するとき、平面波伝播を利用する測定装置における導波管は非常に長くなければならず、数デシメートルから約1メートルに達する。
【0048】
しかし、このような装置は、それが非常に細長く、したがって相対的に大きな空間量が必要であるという欠点を有する。車両の燃料タンクの燃料高さを求めるために、流体面高さ測定装置を、例えば、乗用車又は貨物自動車に組み込むべきときには、測定装置が大き過ぎる空間を占有しないことが最も重要である。例えば、乗用車の燃料タンク周囲の余地は非常に限定されているのが通常である。
【0049】
したがって、本発明の別の態様の1つの目的は、知られている流体面高さ測定装置と比較して改良されている流体面高さ測定装置を提供することである。
【0050】
本発明のこのような更なる態様の特定の目的は、コンパクトであり、しかも費用対効果のある方式で実現可能な流体面高さ測定装置を提供することである。
【0051】
以下の説明で明白になるこれら及び他の目的は、低周波数の音響パルスを使用してタンク中の流体面高さを測定するための装置によって実現されているが、本装置は、音響パルスを送受信するための変換器と、一端が前記変換器に連結され、且つ他端が流体の中へ延びる導波管とを備え、その導波管は流体表面よりも上に配置された基準部分を有する。この導波管基準部分には、流体の表面に対してほぼ平行な平面内に少なくとも1つの屈曲部が設けられる。
【0052】
本発明のこのような態様は、導波管の中において低周波数パルス及び平面波伝播を使用するとき、導波管中のパルス伝播に悪影響を及ぼすことなく、一定限度内で、導波管を屈曲及び/又は湾曲させることが可能であるという認識に基づいている。
【0053】
導波管の基準部分の湾曲に関する1つの利点は、遙かによりコンパクトな態様で測定装置を実現可能にすることである。コンパクトなサイズは、例えば、燃料タンク周囲の空間が非常に限定されるのが通常である乗用車において流体面高さ測定装置を使用すべきときに基本的なことである。
【0054】
平面波伝播及び低周波数信号を使用するときの別の利点は、低製造費を可能にする低コストの標準的な電子構成要素を本装置に使用できることである。
【0055】
測定装置の基準部分は、測定すべき流体を収容する容器若しくはタンクの内部又は外部に配置可能である。本装置の基準部分はタンクの頂部表面と連結して配置されていることが好ましい。本測定装置によって測定すべき流体は、気体、ディーゼル油、又は水に限定されるものではなく、これらを含む任意の流体であり得る。
【0056】
1つの実施例では、本測定装置の導波管の基準部分には、測定すべき流体の表面に対してほぼ平行である平面内に複数の屈曲部が配置される。例えば、基準部分は往復形状を有し、流体に平行な平面に沿って往復するように屈曲して延在し得る。これによってよりコンパクトなサイズの測定装置が可能になる。
【0057】
別の実施例では、導波管基準部分が、流体表面に対してほぼ平行な平面内に複数の360°巻きとして設けられる。これらの巻きは同軸であることが好ましく、例えば、つる巻き形状又は平坦螺旋形状が得られる。基準部分をつる巻き形状に配置することによって、流体に対して平行な平面内に限定的に延在する相対的に平坦な基準部分が実現される。このようなつる巻き状の基準部分は、燃料タンク中の燃料ポンプの周囲に有利に配置可能である。平坦螺旋形状の場合では、基準部分の高さは導波管の直径のみによって限定される。これによって基準部分の非常に平坦な設計が可能になり、それは、例えば、自動車の燃料タンクに連結して測定装置を配置すべきときの大きな利点である。
【0058】
本発明の更に別の態様によれば、測定装置が第2の導波管を備え、その導波管の一端が流体の中へ延びる。これは、タンク中の2つの異なる位置における流体面高さを検出可能にし、したがって不規則な又は狭窄した幾何学的構造を有するタンク中の流体面高さのより正確な測定値を得ることが可能になる。このようなタンクは、例えば、タンク空間がその底端部の凹みによって2つの部分に分割されている所謂サドル型タンクであり得る。本測定装置の導波管は、このようなタンクのよりコンパクトで狭い部分の中に容易に延在可能であり、それによって測定点の位置決めは非常に融通性のあるものになる。例えば、通常は燃料ポンプを取り囲み、内部にはタンクの最後の燃料が存在する容器の中に一方の測定点を位置決めすることが可能であり、したがって、タンク中のまさに最後の燃料の高さ測定を可能にする。
【0059】
本発明のこのような態様は、基準部分の特定の形態のいずれにも限定されるものではなく、任意の測定装置に応用可能であるにことに留意されたい。
【0060】
第2の導波管は、例えば、第1の導波管の変換器に連結可能である。この方式では、共通の変換器が使用される。このような配置に関する別の利点は、測定装置をタンクの外部の電子機器に接続するのにタンクの開口が1つのみで済むことである。これは、世界の幾つかの地域で、車両の燃料タンクは1つの開口のみを有するように法令によって要求されているので有利である。この場合には、第2の導波管を第1の導波管と同じ変換器側に、又は変換器が両方向でパルスを送受信するように配置されていれば、変換器の反対側に位置決めすることが可能である。これによって、2つの導波管を変換器に容易に装着することができる。
【0061】
あるいは、第2の導波管及び第1の導波管は共通の基準部分を有することができる。上と同様に、このような配置ではタンクに必要な開口は1つのみである。別の利点は、共通の変換器及び基準部分を使用可能にすることであり、それは製造費を削減し、且つタンク内の又は周囲の空間を節約する。
【0062】
第3の別法として、第2の導波管を第2の変換器に連結することができる。このような配置では、有利なことに、測定装置の相対的により嵩張る部分(変換器及び基準部分など)が一緒にタンクのより容積の大きい部分の中に配置可能であり、他方では導波管のみがタンクのよりコンパクトで狭い部分の中へ延びていく。
【0063】
図4及び図5は、本発明の2つの実施例に係る流体面高さ測定装置を示す。両図において、同じ構造には同一の参照符号を使用した。
【0064】
本測定装置は、容器又はタンクに結合して配置される。タンクは、例えば、船舶又は車両(乗用車若しくは貨物自動車など)の燃料タンクであり得る。測定すべき流体は、例えば、ガソリン、ディーゼル油、又は水若しくは同様物などの液体であり得る。図4及び図5に示すタンクは燃料ポンプ11も内蔵する。
【0065】
図4では、本発明に係る測定装置110は導波管112を備え、その導波管の一端が変換器114に連結され、他方ではその他端がタンク118の中に収容されている流体116の中へ延びる。流体116の中へ延びる導波管112の端部120は、流体を導波管に進入させるための開口を有する。また、流体の中へ延びる導波管の端部120は、一部がタンク118の底部分に固定されていることが好ましい。これによって、導波管112の端部120が確実に位置決めされ、且つタンクのまさに底から液面高さを測定することが可能である。
【0066】
図4の導波管は、本質的に変換器からタンクを通って真っ直ぐに下る。しかし、測定点、即ち、導波管の端部120をタンク中の任意の箇所に配置することが可能である。例えば、測定点は、たとえ変換器が、例えば、タンクの頂部角に位置決めされている場合であっても、タンクの底の中心に位置決め可能である。
【0067】
上述の変換器114は、例えば、低コストの圧電素子でもよいし、又は別体の音響送信器及び音響受信器でもよい。この変換器は、電子制御器122と接続して配置されるが、この制御器は、変換器を制御すると共に、変換器によって送受信された信号に基づいて流体面高さを算出するように配置される。
【0068】
更には、導波管112は基準要素126、例えば、導波管の内部に配置された突起を含む。基準要素126は、例えば、環形状であってもよいし、又は導波管壁の中に配置されたピンを含んでもよい。変換器114と連結された端部から基準要素126まで延びる導波管112の部分を以降では導波管の基準部分128と呼ぶ。タンク120の底から最大タンク高さ130、即ち、最高想定流体面高さまでの導波管112の部分を以降では導波管112の測定部分132と呼ぶ。基準部分と測定部分との間の導波管112の部分を「デッド」部分134と呼ぶ。
【0069】
変換器114は、流体面高さを測定するとき、音響パルスを発生させるために制御器122から電気信号が供給される。図6aを参照すると、この音響パルスAは、変換器114から送出され、導波管112を通して案内されて液体表面136に向かう。次いで、図6bに示すように、音響パルスAは、一部が基準要素126によって反射され、且つ反射パルスBが変換器に向かって戻る。音響パルスの残部A’は、デッド部分134を通過し、測定部分132を通って、それが流体の表面136によって反射されるまで進む。したがって、図6cに示すように、2つの反射パルスB及びCが変換器114に戻ってくる。一方の反射パルスBは基準要素に関連し、他方のパルスCは流体の表面に関連する。受信された音響パルスに対する応答として、変換器114は対応する電気信号を発生させて、それを制御器122に送り返す。
【0070】
デッド部分134は、2つのパルスB及びCが、たとえタンクが頂部まで満杯であり、したがってこれらのパルスB及びCが相対的に近接して変換器に戻ってきても区別可能であるように、これらの2つのパルスを確実に十分に分離するほどの長さである。
【0071】
それぞれのパルス間の時間間隔、即ち、それぞれの音響パルスごとの移動時間、基準部分128の長さ、デッド部分134の長さ、及び測定部分132の長さを知ることによって、制御器122は、次の公式に従ってタンク中の液面高さ又は液体容積を算出することが可能である。
高さ=(基準部分+デッド部分+測定部分)−(基準部分/REF)×SURF
【0072】
上式で、「基準部分」、「デッド部分」、及び「測定部分」は各部分のそれぞれの長さを指し、REF及びSURFは、基準要素及び流体表面よってそれぞれ反射されたパルスA及びBに関する移動時間を指す。
【0073】
上の公式では、流体面高さは、導波管の全長を表面より上の導波管の長さで減じることによって算出される。表面より上の導波管の長さは、音速(=基準部分/REF)と時間SURFとの積として算出される。音速は、一般に温度及び気体組成に関して変化する。しかし、上の公式は基準測定値に準拠する音速を使用するので、測定全体は温度及び気体組成に関して相対的に不感受性である。
【0074】
以上の実施例では、測定部分132が本質的に垂直であり、したがって流体面高さの絶対測定値が得られる。しかし、測定部分を異なる高さを有する様々なタンクに適合させるために、この部分を傾斜させることも可能である。そのような場合には、更なる較正を回避するために、流体面高さとタンクの最大高さとの間の関係を算出することが有利である。
関係=高さ/測定部分
【0075】
本発明によれば、導波管の基準部分128は、流体の表面136に対してほぼ平行な平面内で湾曲する。図4に示した実施例では、基準部分128は平坦螺旋状の形状を成す。これによって、タンクに連結して測定装置が占有する空間を確実に可能な限り小さくする。図4では、導波管の基準部分128が、タンク118中の隆起部138の中に、変換器114と一緒に収容され、他方では電子制御器122がタンクの外部に配置される。
【0076】
あるいは、導波管の基準部分は、図5に示すようにつる巻き形状であり得る。図5では、基準部分128は燃料ポンプ111の周囲に配置され、したがって前記燃料ポンプの周囲の空間を利用する。つる巻き状の基準部分128は、別法として、平坦螺旋形状の基準部分に関して上で論じたものと同様の態様で、即ち、燃料ポンプとは別個にタンクの中に、例えば、タンクの天井の中の隆起部の中に配置可能であるし、又はタンクの直ぐ外側に配置可能である。
【0077】
図4及び図5に示した本発明の実施例では、平面波伝播を利用する。平面波伝播を実現するために、波長が導波管の直径よりも遙かに長い。波長はその直径の約2倍よりも長くすべきである。音響パルスの波長は約2cm〜約10cmの間隔にあることが好ましく、それは約3、4kHz〜17kHzの周波数(即ち、超音波ではない)に対応する。波長が相対的に長いので、導波管も長くなければならない。基準部分の長さは約70cmに達し、且つデッド部分の長さは約30cmに達することが好ましい。
【0078】
また図4及び図5を参照すると、導波管の基準部分128は、タンク118の中に変換器114と一緒に収容され、他方では電子制御器122がタンクの外部に配置されている。別法として、制御器は変換器と一緒にタンクの内部に配置可能である。しかし、変換及び制御器を一緒にタンクの直ぐ外側に配置可能であるし、又は基準部分を、よって変換器及び制御器を、すべて一緒にタンクの直ぐ外側に配置可能である。
【0079】
図4及び図5の導波管112は、第1の基準要素126から既知の距離に位置決めされた追加的な基準要素も備え得る。例えば、1つの追加的な基準要素を使用するとき、更にもう1つの音響パルスが受信器に戻ってくるが、その場合にこのパルスの移動時間を使用して現時点の音速を算出する。追加的な基準要素は、例えば、測定部分の中に、又は変換器と第1の基準要素との間に位置決め可能である。前者の場合には、液面高さが低いときに、基準部分がより流体に近接することになる。
【0080】
図7〜図9は、流体面高さがタンク中の2つの異なる位置で測定可能な本発明の第2の態様を示す。図7〜図9の測定装置は、図4及び図5に示した装置と同じ基本構造及び特徴を有し、すべての図で同じ構造には同一の参照符号を使用した。
【0081】
図7は、図5の装置と同様の測定装置110を示し、デッド部分134の端部に連結し、且つ流体116の中へ延びる第2の導波管140を更に備える。流体の中へ延びる第2の導波管の端部142は、流体を導波管140に入れるための開口を有する。また、この端部142は、第1の導波管112の端部120とは異なる位置に配置されることが好ましく、その一部がタンク118の底部分に固定されて確実に導波管の端部を位置決めする。
【0082】
図7のタンク118は所謂サドル型タンクであり、タンクの底に凹み144を含むが、その場合に1つの導波管112、114が凹み140のそれぞれの側に配置される。このような方式で、タンク中の流体面高さのより正確な測定値が供給される。また、本測定装置は単一の基準部分128並びに単一の変換器114及び制御器122のみの周囲に構築されるが、それによって本装置のより大きな費用対効果を実現可能にするばかりでなく、たとえ本装置が2つの別個の測定点を特徴とする場合でも、本測定装置ではタンク118の中の開口を1つのみで済ますことが可能になる。
【0083】
流体面高さを測定するとき、音響パルスが、上で説明したものと全く同様に、変換器114から送出される。このパルスは、一部が基準要素126によって反射され、且つデッド部分134を通過した後で分割され、測定部分132及び第2の導波管140をそれぞれに通って進み、それぞれの導波管132、140の中で液体表面136によって反射される。したがって、3つの反射パルスが変換器114に戻ってくる。1つの反射パルスは基準要素126に関連し、1つは測定部分132における流体表面に関連し、更に1つは第2の導波管140における流体表面に関連する。測定部分132及び第2の導波管140は、相互から2つの反響波を区別できるように異なる長さであることが必要である。
【0084】
それぞれのパルスが要した時間並びに基準部分の距離、デッド部分の距離、及び流体の中へ延びる導波管の距離を知ることによって、タンク中の流体面高さ又は流体容積を算出することが可能である。この計算は電子制御器122によって行われる。
【0085】
図7の別法として、第2の導波管140が変換器114に連結されてもよく、それを図8a及び図8bに示す。図8a及び図8bでは、第2の導波管140が、第1の導波管112と同様に、基準部分148、デッド部分150、及び測定部分152を備える。第2の導波管140は、第1の導波管112と同じ変換器114の側(図8a)に位置決めされてもよいし、又は変換器114の対向側(図8b)に位置決めされてもよい。図8bでは、変換器114はパルスを両方向に送出するように配置されている。
【0086】
図8a及び図8bの流体面高さを測定するとき、音響パルスが変換器114から送出され、導波管112、140を通って案内されて流体表面136に向かう。この音響パルスは、その一部がこれらの導波管のそれぞれの基準部分の端部で基準要素126、154によって反射される。基準部分128、148は、変換器114に戻ってくる基準要素関連の反響波が分離可能であるように配置されている。パルスの残部はデッド部分134、150を通過して第1及び第2の導波管のそれぞれの測定部分132、152を通って進み、流体表面によって反射される。
【0087】
したがって、4つの反射パルスが変換器112に戻ってくる。1つの反射パルスは第1の導波管の基準要素126に関連し、1つは第2の導波管の基準要素154に関連し、1つは第1の導波管の測定部分132における流体表面に関連し、更に1つは第2の導波管の測定部分152における流体表面に関連する。第1及び第2の導波管の測定部分は、相互からこれら2つの音響波を区別できるように異なる長さであることが必要である。
【0088】
それぞれのパルスが要した時間並びに基準部分の距離、デッド部分の距離、及び流体の中へ延びる導波管の距離を知ることによって、タンク中の流体面高さ又は流体容積を算出することが可能である。この計算は電子制御器よって行われる。
【0089】
第3の別法として、図9に示すように、第2の導波管140が第2の変換器156に連結され得る。第2の導波管140及び第2の変換器156は、図4の第1の導波管112及び第1の変換器114と同じ構造を有し、且つ同じ動作をする。測定部分は、流体面高さをより正確に読み取りできるようにタンク中の異なる位置に配置されている。変換器は、タンクの同じ領域内に配置され、且つ単一の電子制御器122に接続されることが好ましく、この制御器は、第1及び第2の変換器114、156並びに導波管112、140の個々の読取り値に基づいて流体面高さ全体を算出する。
【0090】
図7〜図9に示した実施例では、2つの測定点を使用すると、タンクの傾斜に左右されない高さ測定値を供給することも可能になる。単一軸回りのタンクの回転運動に対して、1つの導波管がタンクのそれぞれの側に配置されるが、その場合に傾斜補償液面高さ測定値を供給するために、反響パルスを受け取る時間差が算出される。
【0091】
本発明は上に説明した実施例に限定されるものではない。添付の特許請求の範囲において請求されている本発明の範囲から逸脱することなく変形及び変更がなされ得ることを当業者は認識しよう。
【0092】
例えば、排液穴の態様は、過剰流体を導波管から排出する必要がある任意の測定装置と組合せが可能である。
【0093】
また、追加的な測定導波管は、タンクの異なる部分からの測定を可能にする測定装置に連結することが可能である。この場合には、共通の変換器及び基準部分を使用することができる。
【0094】
更には、上で論じた漏斗のような任意の構造と組み合わせて吸収布を使用してもよい。
【0095】
説明した実施例では音響パルスを使用したが、本発明の測定装置は定在波測定のような他の測定様式で使用することも可能である。
【0096】
更には、図7〜図9の測定装置の基準部分28、48はつる巻き状であり、且つタンク18の燃料ポンプ11の周囲に配置される。しかし、基準部分は、別法として、タンクの内部又は外部で、燃料ポンプとは別個の位置に配置することもできる。基準部分は異なる形状、例えば、図4におけるような平坦螺旋形状を有してもよい。
【0097】
図7〜図9の測定装置では、例えば、2つの導波管を使用したけれども、測定点の数を増やすためにそれ以上の導波管を使用することも可能である。
【0098】
また、幾つかの導波管の態様を任意の従来装置と組み合わせることも可能である。
【0099】
更には、流体の中へ延びる導波管は、導波管端部の底の直径が導波管頂部の直径よりも大きいように円錐形状にしてもよい。これによって逃げ角をより適切にすることができる。
【0100】
また、導波管は、その全部又は一部が円形、方形、又は扁平などの断面設計を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】一定量の流体を導波管の中へ送出する手段を具備する本発明の実施例を示す模式的な側面図である。
【図2】基準部分が漏斗形状の構造の中に配置されている本発明の実施例の模式的な部分側面図である。
【図3】サイホン機能を含む本発明の別の実施例を示す模式的な部分側面図である。
【図4】平坦な螺旋形状の基準部分を含む本発明の実施例の模式的な斜視図である。
【図5】つる巻き形状の基準部分を含む本発明の実施例を示す模式的な側面図である。
【図6】図1又は図2の装置に関する一連の音響パルスを示す図である。
【図7】第2の導波管及び共通の基準部分を有する本発明の実施例を示す模式的な側面図である。
【図8a】第2の導波管及び共通の変換器を有する本発明の実施例を示す模式的な側面図である。
【図8b】第2の導波管及び共通の変換器を有する本発明の実施例を示す模式的な側面図である。
【図9】第2の導波管及び第2の変換器を有する本発明の実施例を示す模式的な側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(18)中の液体(16)の高さの気体組成補償音響測定値を供給するための装置であって、
音響信号を送受信するために前記液体(16)の外部に配置された変換器(14)と、
前記変換器(14)に連結され、且つ前記液体の中へ延びる導波管(12)を備えた装置において、
前記装置が、前記タンク(18)に由来する一定量の流体を前記液面高さよりも上に位置する前記導波管(12)部分の中へ送出する手段を更に備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記導波管(12)が基準要素(26)を更に備え、前記変換器(14)と前記基準要素(26)との間の導波管(12)の部分が基準部分(28)として画定され、前記流体が前記基準部分の中へ送出される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導波管(12)中の前記流体の流量が、音響信号が前記導波管の中を移動できるほどに十分に小さい、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記タンクから送出すべき前記流体は液体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記タンクから送出すべき前記流体は気体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は燃料ポンプ(11)が設けられたタンク(18)と結合して配置され、前記導波管(12)中の前記一定量の流体は前記燃料ポンプ(11)から送出される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記導波管(12)は過剰な流体が前記導波管を退出できるように複数の排液穴(42)を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が前記排液穴(42)に隣接して配置された吸収構造(58)を更に備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記吸収構造(58)が前記吸収構造の他の部分よりも下方に位置決めされた少なくとも1つの端部(60)を有し、それによってサイホン効果を創出して、吸収された流体を前記端部の中に貯溜させる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記液体(16)の高さよりも上に位置する前記導波管の部分が前記タンク(18)の外部に位置決めされ、前記装置が漏斗構造(44)を更に備え、その構造の底端部に前記タンク(18)と連結する開口(48)を有し、前記漏斗構造(44)は前記導波管(12)が前記開口(48)を通過するように配置されている、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
水平な平面から見た前記漏斗構造(44)の内壁(46)の角度は、前記タンクの最大傾斜角よりも大きい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
タンク(18)中の液体(16)の高さの気体組成補償音響測定値を供給するための方法であって、
前記タンク(18)の外部に配置された変換器(14)から、前記液体(16)の中へ延びる一端を有する導波管(12)の中へ、音響信号を送信する工程と、
前記導波管(12)から前記変換器(14)に反射された音響信号を受信する工程とを含む方法において、
前記方法が前記タンク(18)から一定量の流体を前記液面高さよりも上に位置する前記導波管(12)の部分の中へ供給する工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記導波管(12)が基準要素(26)を更に備え、前記変換器(14)と前記基準要素(26)との間の導波管の部分が基準部分(28)として画定され、前記流体が前記基準部分の中へ送出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導波管(12)中の前記流体の流量が、音響信号が前記導波管の中を移動できるほどに十分に小さい、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記タンク(18)には燃料ポンプ(11)が設けられ、前記導波管(12)中の前記一定量の流体が前記燃料ポンプから送出される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記導波管(12)の中に配置された複数の排液穴(42)によって過剰な流体を前記導波管から排出する工程を更に含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記排液穴(42)に隣接して配置された吸収構造(58)によって前記過剰な流体を吸収する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
低周波数の音響パルスを使用してタンク(118)中の流体(116)の高さを測定するための装置であって、
音響パルスを送受信するための変換器手段(114)と、
前記変換器(114)に連結され、且つ前記流体(116)の中へ延びる導波管(112)であって、前記流体の表面よりも上に位置する基準部分(128)を有する導波管を備えた装置において、
前記導波管基準部分(128)には、前記流体(116)の表面に対してほぼ平行な平面内に少なくとも1つの屈曲部が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項19】
前記導波管基準部分(128)には、前記平面内に複数の屈曲部が設けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記導波管基準部分(128)が、前記平面内に複数の360°巻きとして設けられている、請求項18又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記導波管基準部分(128)がつる巻き状である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記導波管基準部分(128)が平坦螺旋の形態を有する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記装置が前記流体(116)の中へ延びる第2の導波管(140)を更に備える、請求項18から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記導波管(112)及び前記第2の導波管(140)が、前記変換器(114)に前記変換器の両側でそれぞれ連結されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記導波管(112)及び前記第2の導波管(140)が共通の基準部分(128)を有する、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記装置が第2の変換器(156)を更に備え、前記第2の導波管(140)が前記第2の変換器に連結されている、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記装置が前記タンクの外部に配置された電子制御器(122)を更に備え、前記1つ又は複数の変換器が前記タンクの内部に配置されている、請求項23から26のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−510140(P2007−510140A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535312(P2006−535312)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001483
【国際公開番号】WO2005/038415
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506130089)アクセンサー エービー (6)
【Fターム(参考)】