説明

流水検知装置

【課題】弁体を開方向へ付勢せずに、大口径にも適用可能な作動弁型の流水検知装置の提供。
【解決手段】 流水検知装置は弁体と係合しながら変位可能な検知棒を備えており、検知棒の一端側は閉弁状態において弁体と係合した状態で保持されている。弁体の他端側にはスイッチ装置が配置され、弁体の開方向への回動により弁体と係合しながら変位する検知棒の変位によってスイッチ装置がオン/オフとなる。弁体と係合している検知棒は弁体の回動とともに変位するが、所定の位置まで変位すると弁体との係合を解除して開弁時保持手段により検知棒はその位置で保持される。弁体が開放状態から閉弁状態に戻る際には、開弁時保持手段に保持された検知棒を係合しながら弁体が閉弁状態に戻り、検知棒は元の閉弁時の位置に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備配管に設置され、充水されている配管内部の流水を検知して信号を出力する流水検知装置に関し、特に流水発生時に弁体の一次側と二次側との間で生じる差圧を機械的に検知して火災信号、警報等の信号を出力する作動弁型の流水検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流水検知装置は、スプリンクラー設備や泡消火設備等の消火設備配管に設置され、配管内部の流水を検知して所定の信号(火災信号、警報)を出力する。流水検知装置の内部は逆止弁構造となっており、弁体により内部が一次側室と二次側室とに分けられており、弁体は常時それらを隔てる閉止状態にある。一次側室と二次側室は常時充水されており、一次側室に接続された配管は貯水槽等の水源に接続され、二次側室に接続された配管はスプリンクラーヘッドや泡ヘッド等の散布ヘッドに接続されている。
【0003】
この流水検知装置には検知方式に応じて様々なものがあり、例えば流水発生時に弁体の一次側と二次側との間で生じる差圧を機械的に検知して火災信号、警報等の信号を出力する作動弁型のものが知られている。この作動弁型の流水検知装置は、警報を出力する作動流量が一定で安定していること、自動警報弁型の警報水路のように他系統と繋がる水路が皆無で他系統からの逆流等の影響を全く受けないこと、機器をシンプルに構成できる等の様々なメリットがある(従来の作動弁型の流水検知装置の一例として特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2009−136432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、一般ビルやショッピングセンターの消火設備に設置されるバルブ口径が大きいサイズに対応した作動弁型の流水検知装置が記載されている。この流水検知装置は弁体を開方向に付勢するロッドを備えており、弁体が開放した際にロッドが二次側方向へ回動する際の変位をスイッチ手段により検知して信号を出力するものである。
【0006】
上記の流水検知装置は、弁体が開放した際にロッドを回動させるためロッドを開方向に付勢している。この付勢力はロッドを変位させるための必須要素であるが、ロッドを介して弁体を開方向に付勢しているので、閉弁状態から開弁状態に動作する際は弁体の動作が機敏となり、さらに回動による変位量も増加するというメリットを有する。一方、平時において弁体を弁座に安定して着座させるために弁体の閉止方向へ作用する力を増やさなければならなかった。弁体の閉止方向への力を増やすために、弁体に錘を設置したが重量が増えるとともにコストも増加し、弁体のコストダウンを推進することが困難であった。
【0007】
以上のような従来技術を背景としてなされたのが本発明である。その目的は弁体を開方向へ付勢せずに、大口径にも適用可能な作動弁型の流水検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく本発明は以下の流水検知装置を提供する。
【0009】
本発明の流水検知装置は、消火設備配管に接続する筒状の本体と、本体の内部に設ける逆止弁構造の弁体と、弁体の回動による流水を検知して所定の信号を出力するスイッチ装置とを備える流水検知装置について、
弁体と係合しながら変位可能な検知棒が弁体の近傍に設置されており、検知棒の一端側は閉弁状態において弁体と係合して保持され、他端側にはスイッチ装置が配置され検知棒の変位によりオン/オフ可能であり、弁体が開放した際に検知棒は弁体と係合しながら所定の位置まで変位すると、弁体との係合が解除され開弁時保持手段により検知棒がその位置で保持されることを特徴とする。
本発明の流水検知装置では、弁体と係合しながら変位可能な検知棒を備えており、検知棒の一端側は閉弁状態において弁体と係合した状態で保持されている。弁体の他端側にはスイッチ装置が配置され、弁体の開方向への回動により弁体と係合しながら変位する検知棒の変位によってスイッチ装置がオン/オフとなる。
スイッチ装置がオン/オフになり流水検知装置の一次側に設置されたポンプ装置が起動して一次側から大量の水が送られてくると、弁体は全開位置まで回動する。弁体と係合している検知棒は弁体の回動とともに変位するが、所定の位置まで変位すると弁体との係合を解除して開弁時保持手段により検知棒はその位置で保持される。ポンプ停止後、弁体が自重によって閉弁状態に戻る際には、開弁時保持手段に保持された検知棒を係合しながら弁体が閉弁状態に戻り、検知棒は元の閉弁時の位置に戻ることができる。
また、検知棒は弁体の軸受けと対向する部分、つまり弁体の軸受けから離れた部分に設置すると、弁体が開放動作した際に弁体の軸受け部分の変位量よりも弁体の軸受けと対向する部分の変位量の方が大きくなり、スイッチ装置による変位の検出が容易になる。さらに検知棒の動作は弁体の回動動作とは独立しているので、弁体の回動による変位量が大きい部分に検知棒を設置することで弁体開放時における検知棒の変位量をコントロールすることが可能となる。
【0010】
前記本発明の流水検知装置については、開弁時保持手段が、弁体の回動動作の軌跡より内側の位置にて検知棒を保持する。
弁体が全開放した際に、検知棒は開弁時保持手段により弁体の軌跡より内側の位置、つまり弁体の回動軸から弁体の縁部の軌跡の内側の範囲内で係留される。弁体が全開放状態から閉止状態に戻る際に検知棒を付勢して係止しながら閉弁状態に戻るので、検知棒も元の位置に戻ることができる。
検知棒が係合する弁体の縁部として、弁体が着座する弁座面より外方に突出した当接部を弁体に形成しておくと、弁体が開放状態から閉止する動作の際に検知棒が弁体と弁座の間に挟まってしまうことを防止できる。
【0011】
前記本発明の流水検知装置については、閉弁状態において検知棒は閉弁時保持手段により弁体と係合した状態で保持する。
閉弁時において、検知棒が何らかの事由により動作・変位すると弁体に不要な力が加わり非火災時において弁体を開放させてしまうおそれがあるが、それを防止するために閉弁時保持手段により検知棒を保持して動作・変位できないように構成した。
また、弁体が閉弁状態から開放動作する際には、検知棒と弁体とが閉弁状態の段階で係合していると弁体の回動動作に係合しながら検知棒も変位するとともに閉弁時保持手段による保持を解除できる。
【0012】
前記本発明の流水検知装置については、開弁時保持手段または閉弁時保持手段は磁力により検知棒を保持する。
開弁時保持手段または閉弁時保持手段を磁石により構成し、検知棒を鉄等の磁石に吸着可能な部材にて構成することで、検知棒を各々の所定位置にて保持することが可能であり、さらに弁体の回動により検知棒の保持状態を解除する際にも磁石から検知棒を引き離すだけで容易に解除することができる。
【0013】
前記本発明の流水検知装置については、検知棒の一端側が磁力により弁体と係合している。
検知棒の先端に磁石を設置し、弁体を鉄等の磁石に吸着可能な部材にて構成することで、検知棒を弁体に吸着させた状態で弁体が回動動作することができる。検知棒が開弁時保持手段まで変位した際には磁力による弁体と検知棒の吸着は、検知棒が開弁時保持手段に保持され弁体から離れることで弁体と検知棒の吸着が解除され、その際弁体の回動動作に支障をきたすことはない。また、本構成にすることで閉弁時保持手段を省くことができる。
【0014】
前記本発明の流水検知装置については、検知棒は中間部で軸支されており、検知棒の揺動動作の変位によりスイッチ装置をオンオフ可能である。
検知棒の変位を、検知棒を中間部で軸支して該中間部を支点とした検知棒の揺動による変位によりスイッチ装置をオン/オフできる。
【0015】
前記本発明の流水検知装置については、検知棒が検知棒の長手方向への直線動作の変位によりスイッチ装置をオン/オフ可能である。
検知棒の変位を、検知棒の長手方向への直線動作による変位によりスイッチ装置をオンオフできる。
【0016】
前記本発明の流水検知装置については、検知棒の一端側に弁体と係合可能な第1のレバーが設けられ、他端側にはスイッチ装置をオン/オフする第2のレバーが設けられており、検知棒の軸まわりの回転動作による第1のレバーおよび第2のレバーの回動の変位によりスイッチ装置をオン/オフ可能である。
検知棒の変位を、検知棒の一端側に弁体と係合可能な第1のレバーを設け、他端側にスイッチ装置をオン/オフする第2のレバーを設け、検知棒の軸まわりの回転動作による第1のレバーおよび第2のレバーの回動の変位によりスイッチ装置をオン/オフできる。
【0017】
前記本発明の流水検知装置については、検知棒の他端側が本体外部に突出して設置されており、開弁時保持手段または閉弁時保持手段が検知棒の他端側に設置されている。
【0018】
閉弁時保持手段および開弁時保持手段は、検知棒または第1のレバーを所定の位置に保持するものであり、検知棒の一端側または第1のレバーの変位範囲の近傍に設置することができるが、本体外部に突出して設置された検知棒の他端側に閉弁時保持手段および開弁時保持手段を設置しても同様の効果を得ることができる。

【発明の効果】
【0019】
本発明の流水検知装置によれば、特に一般ビルに設置されることの多い大きさの呼び(流水検知装置の検定細則に記載されている「大きさの呼び」)が65A(2−1/2”)〜200A(8”)程度の比較的大口径にも適用することかできる作動弁型構造であり、弁体の開方向への付勢が不要な流水検知装置を実現することができる。
さらに、上記の弁体の開方向への付勢を不要としたことで、弁体を軽くすることが可能となり軽量化にともなう弁体のコストダウンが実現可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による流水検知装置の断面図。
【図2】図1のX−X断面図。
【図3】図2のY−Y断面図。
【図4】図2の矢視Z方向から見た筐体の内部構成の説明図。
【図5】図3における弁体が開放した状態を示す説明図。
【図6】図4における弁体が開放した状態を示す説明図。
【図7】図1の流水検知装置の変形例を示す断面図。
【図8】図7の流水検知装置の変形例を示す断面図。
【図9】図8の流水検知装置の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の第1実施形態を図1から図6を参照して説明する。
【0022】
図1から図3に示す本発明の流水検知装置Aは、本体1、筐体2、排水弁3を備えている。
【0023】
本体1は中空筒状であり内部は隔壁4によって一次側室Iと二次側室IIに分けられている。本体1の正面にはメンテナンス用の開口1aが形成されており、該開口1aはカバー1bによって閉塞されている。隔壁4には連通穴5が形成されており、その二次側室IIの側には環状の弁座6が設置されている。
【0024】
弁座6の上には円盤状の弁体7が着座しており、弁体7の周縁の一部には円筒状の軸受け8が形成されており、軸受け8には弁棒9が挿通されている。弁棒9は本体1の内部で水平に架け渡されるとともに本体1に保持されている。弁体7は弁棒9を軸として二次側室IIの方向へ回動自在な逆止弁構造となっており、弁体7が二次側室IIの方向へ回動して弁座6から離れることで、一次側室Iの流体が環状の弁座6の中を通って二次側室IIに通過可能となる。
【0025】
弁体7は、弁本体7aと、弁本体7aの一次側にある凹部に収容した凸部7bと、弁本体7aに凸部7bを固定するボルトとナットによる締結部材7cを備えている。弁本体7aは金属製、具体的には鉄製であり、その表面全面には防錆被覆層として電着塗装層が形成されている(図示略)。凸部7bも同様に電着塗装層が形成された鉄製とされている。なお、ここでは弁体7を弁本体7aと凸部7bとを別部品として組み合わせているが、弁体7そのものについて弁本体7aと凸部7bとを一体に一部品とした形状とすることもできる。凸部7bは弁体7が弁座6に着座した状態で弁座6の内側に入り込んで収容されるようになっている。本実施形態の凸部7bは流水検知装置Aの本体1の内部にオリフィスを形成する突起状のスカート部として機能するものである。また、凸部7bは非火災時に一時的に弁体7が開放することがあった際に、直ちに閉弁状態に復帰させて閉止時のシール性を確保する錘部としても機能するものである。
【0026】
弁体7の周縁には縁から突出して形成した突出部10が設けられている(図2、図3)。突出部10の近傍にはレバー軸11の端部に固定設置された第1のレバー11Aが設置されている。第1のレバー11Aは弁体7と係合可能な係合部Kを有しており、係合部Kは突出部10を上下から挟み込むような断面コ字型をしてをしており突出部10と係合可能である。係合部Kの端部は円弧状に形成されており、弁体7が回動動作する際に突出部10との摩擦抵抗を軽減する効果を有する。
【0027】
レバー軸11は本体1を貫通して設置されており(図2)、第1のレバー11Aはレバー軸11の回転動作により回動動作可能な構成である。このように弁体7の開放(散布ヘッドの作動)による第1のレバー11Aの回動を、三次元方向への変位(移動)が無いレバー軸11の回転動作に変換して伝達する構成となっている。第1のレバー11Aが弁体7に接触している状態では第1のレバー11Aは長手方向が略水平状態となっている(図3)。
【0028】
レバー軸11の本体1の外部側の端には第2のレバー11Bが固定設置されている。図4に示すように第2のレバー11BはL字型をしており、磁石に吸着可能な鉄等から形成される。第2のレバー11BはL字型の屈曲部でレバー軸11と接続され、両端には縁部を屈曲して形成したマグネット受け11C、11Dが形成されている。各々のマグネット受け11C、11Dの近傍にはマグネットM1、M2が設置されており、図4(a)に示す閉弁時においてはマグネットM1とマグネット受け11Cが磁力により吸着した状態にある。
【0029】
マグネットM1、M2は、第2のレバーの回動範囲を規制し、その位置で保持する作用を有するが、第2のレバー11Bとレバー軸11によって連結された第1のレバー11Aを所定位置に保持する作用も有する。具体的に説明すると図4(a)に示す閉弁時において、マグネット受け11CとマグネットM1が吸着して第2のレバー11Bを保持しているが、図3に示すように本体1内の第1のレバー11Aの係合部Kを弁体7の突出部10と係合した状態で第1のレバー11Aがその場で保持されている。
【0030】
図4(b)では、二次側IIに設置された図示しないスプリンクラーヘッドが作動して弁体7が開き、スプリンクラーヘッドから流出する水量を一次側Iから二次側IIへ補充する分だけ弁体7が回動した状態である。図4(b)は第2のレバー11Bが設置された筐体2側の状態であるが、図5には第1のレバー11Aが配置された本体1内の状態が図示されている。
【0031】
図4(b)において、第2のレバー11Bは図4(a)に示す閉弁状態の位置より僅かに反時計回りに回動した位置にある。この状態において第2のレバー11BはマグネットM1、M2の両方の磁力による影響を受けていないが、図5に示すように第1のレバー11Aの係合部Kは弁体7の突出部10と係合状態にあり、この状態から何らかの事由により弁体7が閉止した際に、第1のレバー11Aが連動して閉弁方向に動作可能となっている。また、これとは逆にリミットスイッチ17がオンとなりポンプが起動して弁体7が全開放した場合には、第1のレバー11Aは係合部Kと突出部10が係合しながら回動して、第2のレバー11Bのマグネット受け11DがマグネットM2に吸着する位置まで回動することができる。
【0032】
図4(c)では弁体7が全開した状態を示しており、マグネット受け11DとマグネットM2が吸着して第2のレバー11Bを保持していると共に、図6に示すように第1のレバー11Aを弁体7の回動動作の軌跡(二点鎖線により図示)より内側に保持した状態にしている。これによって弁体7が閉止する際には弁体7の閉止動作により第1のレバー11Aが付勢されながら元の閉弁時の位置に戻ることができ、さらに係合部Kを弁体7の突出部10と係合した状態にすることが可能である。
【0033】
第2のレバーの一端は、板状のスイッチ作動片21と係合している。スイッチ作動片21は中間部分がロータリーダンパーDの回動軸D1と接続されており、ロータリーダンパーDの回動軸d1を軸として回動可能である。スイッチ作動片21の他端側には錘Wが設置されており、スイッチ作動片21を時計回り方向へ付勢している。錘Wがスイッチ作動片21を付勢する方向にはスイッチ装置(後述するリミットスイッチ17)が配置されている。
【0034】
筐体2に設置されたロータリーダンパーDは第2のレバー11Bに一端が接触しているスイッチ作動片21の動きを緩慢にするように構成されている。第2のレバー11Bがスイッチ作動片21から離れた際に、スイッチ作動片21が錘Wによって時計回りに回動するが、ロータリーダンパーDにより回動動作が緩慢となることから、第2のレバー11Bがスイッチ作動片21から離れて数秒〜数十秒が経過した後にスイッチ作動片21がリミットスイッチ17をオンすることができる。本実施形態のロータリーダンパーDは一方向のみの回転動作が緩慢となるワンウェイクラッチ式のものである。そうすることで弁体7が開放後に閉止する場合にはレバー11Bの動作が遅滞なくスムーズになることから弁体7の閉止動作を妨げない。
【0035】
筐体2は、板材をL字型に屈曲して形成したベースBを本体1の外部に設置したものであり、ベースBの内部には前述のレバー軸11や第2のレバー11B、リミットスイッチ17、端子台18、マグネットM1、M2等が配備される。ベースBは図示しない蓋部材により覆われ、ゴミや水気から内部のリミットスイッチ17等の電気部材を保護する。
【0036】
ベースB内に配置された錘Wの近傍にはストッパー19がベースBより突出して設置されている。ストッパー19はスイッチ作動片21の回動によってリミットスイッチ17とスイッチ作動片21が干渉することを防ぐものである。
【0037】
排水弁3は、点検やメンテナンス時に本体1内の流体を外部に排出するバルブである。排水弁3の内部はアングル弁構造となっており、排出口は図1において下向きに設けられている。排水弁3の開閉操作を行なうハンドルは手前側に設置され、ハンドルの操作が行ないやすい位置に設けられている(図2)。
【0038】
続いて、本実施形態の流水検知装置Aの動作について説明する。
【0039】
上記の流水検知装置Aは、消火設備配管に設置され、一次側室Iは図示しないポンプ等の給水装置および貯水槽等の水源に通じる配管に対して接続され、二次側室IIに接続された配管の末端には図示しないスプリンクラーヘッドが設置されている。
【0040】
消火設備配管内は充水された状態にあり、流水検知装置Aの本体1も一次側室Iおよび二次側室IIの中は充水状態にある。常時において、弁体7は弁座6の上に着座しており、凸部7bは弁座6の内側の流路に入り込んで収容されており、一次側室Iから二次側室IIへの通水は遮断されている。また弁体7に接触している第1のレバー11Aは略水平状態にあり、係合部Kは弁体7の突出部10と係合した状態にあり第1のレバー11Aは回動を阻止され閉弁状態の位置に保持されている。
【0041】
火災が発生して二次側室II側の配管に設置されたスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側室II側の配管内の水はスプリンクラーヘッドから放出されるので次第に減圧してくる。弁体7を閉止していた二次側室IIの水の圧力が減少したことで一次側室Iの水の圧力により弁体7が押し上げられ、弁棒9を支点に回動する。
【0042】
弁体7が弁座6から離れて開放したことにより一次側室Iの水は二次側室IIに送られる。弁体7が回動し一次側室Iの水が二次側室IIに送られたとき、弁体7の凸部7bが弁座6の内側から徐々に抜けていくことで、凸部7bの外周面と弁座6の内周面との間にオリフィス状の流路が形成され、そこを通過する流水により弁体7が押し上げられる結果、少ない流水でも弁体7は大きく回動することになる。
【0043】
そして弁体7が回動し続けると図5で示すように弁体7が開放する。それとともに弁体7と係合していた第1のレバー11Aも弁体7の突出部10と第1のレバー11Aの係合部Kが係合した状態でレバー軸11を支点として回動する。このときレバー軸11によって接続されている第2のレバーも第1のレバー11Aと共に回動する。
【0044】
一方、第2のレバー11Bは閉弁状態においてマグネットM1により保持されていたが、第1のレバー11Aの回動によりマグネットM1による保持が解除され、反時計回りに回動する。それと共に、スイッチ作動片21の一端側に接触していたレバー11Bが離れ、他端側に設置された錘Wによってスイッチ作動片21は時計回りに回動するが、スイッチ作動片21に接続されたロータリーダンパーDにより回動動作が緩慢となる。
【0045】
スイッチ作動片21は、第2のレバー11Bが一端側から離れてから数秒〜数十秒間遅れてリミットスイッチ17をオンにする。リミットスイッチ17がオンとなりリミットスイッチ17の信号は筐体2の中にある端子台18に接続された導線を通じて管理人室に設置された監視装置に送られる。リミットスイッチ17からの信号によって前述のポンプが起動され、水源から大量の水が作動したスプリンクラーヘッドへ送られる。
【0046】
ポンプにより送水された水の勢いで弁体7は全開位置まで回動する(図6)。弁体7が全開位置まで回動すると第1のレバー11Aとの係合が解除される。第1のレバー11Aは、筐体2側に設置された第2のレバー11BがマグネットM2に吸着した状態で保持され、第1のレバー11Aを弁体7の回動動作の軌跡(二点鎖線により図示)より内側に保持している。
【0047】
火災により作動したスプリンクラーヘッドに対して水源から水が送られてスプリンクラーヘッドからは連続して水が散布され火災を消し止める。
【0048】
消火後、ポンプを停止すると流水検知装置A内の弁体7は自重により閉弁方向へ回動する。そのとき弁体7は、回動動作の軌跡より内側に保持されていた第1のレバー11Aを付勢して係止しながら閉弁状態に戻り、第1のレバー11Aも閉弁時の位置に戻る。
【0049】
上記実施形態は本発明の実施形態の一例であり、その他の形態に変更して実施することも可能である。次にその変形例の一例を説明する。
【0050】
上記に説明した第1実施形態においては、検知棒による変位をレバー軸11の回転動作による、第1のレバー11A、第2のレバー11Bによる変位として構成したが、図7に示す流水検知装置では、弁体7の近傍に設置した検知棒が揺動することによる変位によってスイッチ装置をオン/オフ可能な構成とした。図7の流水検知装置の構成は、特開2009−136432号公報に詳細な説明が記載されているので、構造が同じ箇所の説明は省く。
【0051】
図7の流水検知装置は、検知棒31の先端に第1実施形態と同様な係合部Kが形成されている。係合部Kは検知棒31と一体に形成することが可能であるが、別体として形成することも可能である。係合部Kは鉄等の磁石に吸着する材料で形成される。係合部Kの上方にはマグネットM2が設置され、検知棒31がマグネットM2の位置まで回動すると係合部KがマグネットM2に吸着して保持される(弁開状態:図7点線にて図示)。
【0052】
一方、検知棒31のリミットスイッチ17側の端にはマグネット受け32が設置されており、前述の係合部Kと同様に鉄等の磁石に吸着する材料で形成する。マグネット受け32の近傍にはマグネットM1がベースB上に設置されており、弁体7が閉止した状態においてはマグネット受け32とマグネットM1が吸着され、検知棒31を保持している。
【0053】
上記の図7の流水検知装置において係合部Kを磁石で構成することで、マグネットM1およびマグネット受け32を省くことも可能である。それに対応させるために弁体7を鉄等の磁石に吸着する材料で形成し、マグネットM2の代わりに鉄製の係合部受け33を設置する。閉弁時において、係合部Kは鉄製の弁体7と磁力により吸着され保持状態にある。弁体7が回動すると係合部Kの磁力によって係合部Kは弁体7と吸着しながら回動する。弁体7が開方向へ回動を続け、係合部受け33の付近に達すると係合部Kと弁体7との係合が解除され、係合部Kは係合部受け33に吸着することができる。
【0054】
また、図8に示すように検知棒34を流水検知装置の一次側Iに設置して構成することも可能である。図8の流水検知装置は前述と同様に係合部Kを磁石により構成し、鉄製の弁体7に吸着しながら回動可能となっている。図8に示す係合部Kはへら状をしており、弁体7の凸部7bに磁力により吸着している。弁体7が全開放すると係合部Kは点線で示すように弁体7から離れて弁座6の内周部に接触する。弁座6の材質が鉄であれば係合部Kと弁座6が磁力により吸着して、その位置で保持される。
【0055】
さらに、他の実施形態として図9に示す流水検知装置は、検知棒35が長手方向に直線動作することによる変位によってスイッチ装置をオンオフ可能な構成となっている。尚、図9の流水検知装置は弁体7の開放により即座にスイッチ装置がオン/オフする構成としている。
【0056】
この実施形態では弁体7の周縁から突出して形成された突出部36に下方から接触している検知棒35が設置されている。検知棒35は本体1を貫通して設置されており、一端側は前述の突出部36に接触しており、その先端には磁石により形成された係合部Kが設置され、係合部Kにより検知棒35は突出部36と吸着した状態で保持されている。他端側には本体1の外部に設置されたリミットスイッチ17が設置され、閉弁状態においてリミットスイッチ17は検知棒35の他端側によってオン状態にある。検知棒35の他端側にはマグネットM2が設置されている。
【0057】
本体1および弁体7は鉄等の磁石に吸着する材料で形成し、前述の係合部KおよびマグネットM2と吸着可能である。
【0058】
図9の流水検知装置の動作について説明する。
閉弁状態において、検知棒35の係合部Kは弁体7と磁力によって吸着しており、その位置で保持状態にある。弁体が開放すると検知棒35は係合部Kの磁力によって弁体7に吸着しながら図中上方へ変位する。検知棒35の変位によりマグネットM2が本体1の外面部37まで達すると、マグネットM2は本体1の外面部37と吸着して検知棒35がその位置で保持される。検知棒35が変位したことでリミットスイッチ17はオンからオフとなり、非信号出力状態となったことを受けて流水検知装置が作動する。

【符号の説明】
【0059】
A 流水検知装置
1 本体
1a 開口
1b カバー
2 筐体
3 排水弁
6 弁座
7 弁体
7a 弁本体
7b 凸部(スカート部、錘部)
8 軸受け
9 弁棒
11 レバー軸(検知棒)
11A 第1のレバー
11B 第2のレバー
11C マグネット受け(閉弁時保持手段)
11D マグネット受け(開弁時保持手段)
17 リミットスイッチ(スイッチ装置)
18 端子台
19 ストッパー
21 スイッチ作動片
D ロータリーダンパー
K 係合部
M1、M2 マグネット
W 錘(付勢部材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備配管に接続する筒状の本体と、本体の内部に設ける逆止弁構造の弁体と、弁体の回動による流水を検知して所定の信号を出力するスイッチ装置とを備える流水検知装置について、
弁体と係合しながら変位可能な検知棒が弁体の近傍に設置されており、
検知棒の一端側は閉弁状態において弁体と係合して保持され、
他端側にはスイッチ装置が配置され検知棒の変位によりオン/オフ可能であり、
弁体が開放した際に検知棒は弁体と係合しながら所定の位置まで変位すると、弁体との係合が解除され開弁時保持手段により検知棒がその位置で保持されることを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
開弁時保持手段は、弁体の回動動作の軌跡より内側の位置にて検知棒を保持する請求項1記載の流水検知装置。
【請求項3】
閉弁状態において検知棒は閉弁時保持手段により弁体と係合した状態で保持されている請求項1または請求項2記載の流水検知装置。
【請求項4】
開弁時保持手段または閉弁時保持手段は磁力により検知棒を保持する請求項1〜請求項3何れか1項記載の流水検知装置。
【請求項5】
検知棒の一端側は磁力により弁体と係合している請求項1〜請求項4何れか1項記載の流水検知装置。
【請求項6】
検知棒は中間部で軸支されており、検知棒の揺動動作の変位によりスイッチ装置をオン/オフ可能である請求項1〜請求項5何れか1項記載の流水検知装置。
【請求項7】
検知棒は、検知棒の長手方向への直線動作の変位によりスイッチ装置をオン/オフ可能である請求項1〜請求項5何れか1項記載の流水検知装置。
【請求項8】
検知棒の一端側には弁体と係合可能な第1のレバーが設けられ、他端側にはスイッチ装置をオンオフする第2のレバーが設けられており、検知棒の軸まわりの回転動作による第1のレバーおよび第2のレバーの回動の変位によりスイッチ装置をオン/オフ可能である請求項1〜請求項5何れか1項記載の流水検知装置。
【請求項9】
検知棒の他端側は本体外部に突出して設置されており、開弁時保持手段または閉弁時保持手段が検知棒の他端側に設置されている請求項6〜請求項8何れか1項記載の流水検知装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−11041(P2012−11041A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151178(P2010−151178)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000199186)千住スプリンクラー株式会社 (87)
【Fターム(参考)】