説明

流路用筒体の逆止弁構造

【課題】本発明は、流路用筒体の逆止弁構造に関し、逆止弁の構造的な安定性と組立性能を良くすることが課題である。
【解決手段】流路に供給された供給液の逆流を阻止する流路用筒体の逆止弁構造であって、前記流路用筒体はボディ2とニップル3とからなり、前記ボディとニップルとは連結部における連結固定手段(2a,3a)により互いに連結固定され、前記連結部の内側空間部において前記ニップル側から、前記連結部の合わせ面に介在するリング状のフランジを有し流路を中央部に設けた筒状弾性体でなるバルブ5と、前記バルブの筒状弾性体の開口端部を蓋する平板体を有し該平板体の裏面側に前記内側空間部の壁面に沿って摺動するガイド柱が前記平板体に連結するリブを介して周方向に間隔をおいて設けられてなるガイド蓋部材6と、該ガイド蓋部材を常に閉蓋方向に付勢し中央部に流路を確保してなる弾性部材7とを配置した流路用筒体の逆止弁構造とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラス等に供給液を噴射するウオッシャノズルのボディ部に適用される流路用筒体の逆止弁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウォッシャノズルにおけるノズルボディには、洗浄液の逆流を防止する逆止弁が設けられている。例えば、従来例1として公知の特許文献1に記載され図5(A)に示すように、ロアボディ16とアッパーボディ17との嵌合部に、シール性を有するゴム性のOリングバルブ18を設け、このバルブ18を常に閉蓋するように付勢する弾性部材19が設けられている。そして、前記アッパーボディ17とロアボディ16との組み付けは、凹部と突部との枢着構造により前記Oリングバルブ18の固定部18aを挟装することでシールするようになっている。また、従来例2として特許文献2に記載され図5(B)に示すように、弁体20の下部にフィルタ21が設けられて、洗浄液内の異物が通過するのを阻止して、噴射口の目詰まりを防止するようにしているものも知られている。
【特許文献1】特開2003−211028号公報
【特許文献2】特開2004−298778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来例1のウオッシャノズルのノズルボディにおいては、ゴム製のOリングバルブ18を金属製弾性体であるコイルスプリング19が直接押圧しているので、経年経過により痛みやすいものである。また、従来例2においては、ゴム製のバルブ20を直接コイルバネ22が押圧しているのでこれもバルブ20にとって好ましいものでないばかりか、前記フィルタ21は、洗浄液の流れ方向とは逆方向にボディの嵌合部23へ圧入しているので、嵌合部23の経年変化によりこの嵌合部23からフィルタ21が脱落するおそれがある。本発明に係るウオッシャノズルは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、流路に供給された供給液の逆流を阻止する流路用筒体の逆止弁構造であって、前記流路用筒体は供給液用の流路を有する二つの筒状分割体であるボディとニップルとからなり、前記ボディとニップルとは連結部における連結固定手段により互いに連結固定され、前記連結部の内側空間部において前記ニップル側から、前記連結部の合わせ面に介在するリング状のフランジを有し流路を中央部に設けた筒状弾性体でなるバルブと、前記バルブの筒状弾性体の開口端部を蓋する平板体を有し該平板体の裏面側に前記内側空間部の壁面に沿って摺動するガイド柱が前記平板体に連結するリブを介して周方向に間隔をおいて設けられてなるガイド蓋部材と、該ガイド蓋部材を常に閉蓋方向に付勢すべく前記ボディ側に反力を取り中央部に流路を確保してなる弾性部材とを配置したことである。
【0005】
前記バルブのリング状のフランジが、ボディ及びニップルの連結固定部の合わせ面に介在し、当該合わせ面にシール用のリング状の突起が設けられていること、;
前記ガイド蓋部材のガイド柱には弾性部材の一端部が係合し、少なくとも当該ガイド蓋部材が前記弾性部材から自重で抜け落ちない程度の摩擦力で摺接して係合すること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の流路用筒体の逆止弁構造によれば、バルブは、そのフランジ部分でボディ及びニップルの合わせ面のシール材となり、また、筒状弾性体が逆止弁のリール用部材として機能する。
また、逆止弁用のガイド蓋部材により、前記バルブの開口部に直接当接してシール作用することになり、このガイド蓋部材の材質を合成樹脂製とし、前記バルブをゴム製とした場合に、前記当接面がソフトタッチになり、従来のように金属製の弾性部材で直接ゴム製のバルブを押圧するようなことが無く、逆止弁構造の安定性が向上する。
【0007】
前記ボディ及びニップルにおける合わせ面の内の一方に、リング状の突起を設けることで、シール性が更に向上する。
前記ガイド蓋部材のガイド柱には弾性部材の一端部が係合して、このガイド蓋部材が前記弾性部材から自重で抜け落ちない程度の摩擦力で摺接して係合することで、部品組立作業がし易くなり、一体的に扱って組立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造を有して構成される、例えば、自動車のウォッシャノズル等に洗浄液を供給するウオッシャノズル(以下、ノズルという)1は、図1に示すように、供給液用の流路を有する上下二つの筒状分割体であるノズル用ボディ2とノズル用ニップル3とからなる。
【0009】
前記ノズル用ボディ2及びノズル用ニップル3の連結固定部4には、筒状壁面に嵌合対応するように設けられた係合突起3aと係合孔2aとの連結固定手段によって連結固定される。図1乃至図2に示すように、前記連結固定部4の内側空間部4aにおいて、前記ノズル用ニップル3側から、前記連結固定部4の合わせ面に介在するリング状のフランジ5aを有し流路5bを中央部に設けた筒状弾性体でなるバルブ5がある。
【0010】
そして、前記バルブ5の筒状本体の開口端部5cを蓋する平板体6aを有し該平板体6aの裏面側にリブ6cを介してガイド柱6bが、一例として4本にして設けられたガイド蓋部材6と、該ガイド蓋部材6を常に閉蓋方向に付勢すべく前記ノズル用ボディ2の内側壁面に設けられた段部2bに他端部が当接して反力を取り、一端部を前記ガイド柱6bの内側及びリブ6cの端面に係合させ中央部に流路7aを確保してなる弾性部材7とを配置した。
【0011】
前記ノズル用ボディ2及びノズル用ニップル3は、合成樹脂製であり、前記バルブ5はゴム製である。また、図2に示すように、このバルブ5は、その断面が、皿型断面の筒状成型品である。そして、バルブ5のフランジ5aは、ノズル用ボディ2の下面と、ノズル用ニップル3の上面との合わせ面に介在して圧着され、供給液の漏れを防止している。
【0012】
また、開口端部5cの位置は、図2に示すように、ノズル用ニップル3の連結用突部3bの端面位置よりも高くされ、前記開口端部5cの端面で逆止弁を受けるようになっている。これにより、逆止弁となる前記合成樹脂製のガイド蓋部材6の下面に、製造上の傾きや凹凸が多少有っても、ゴム製の開口端部5cが馴染んで密着し、供給液の漏れを防ぐものである。
【0013】
また、図3(A)に示すように、ノズル用ボディ2の合わせ面において、シール用のリング状の突起2cが設けられている。これにより、合わせ面に介在するフランジ5aの上面をリング状に強く押さえ込み、供給液の漏れを完全にシールするものである。同様に、このバルブ5のフランジ5aの下面にも、シール用の突起5cが2本、リング状にして設けられている。
【0014】
前記ガイド蓋部材6のガイド柱6bは、図3に示すように、ノズル用ボディ2の内側空間部4aの壁面に前記ガイド柱6bの外壁面が摺動するように設定されている。これにより、ガイド蓋部材6のガタ付きが解消される。
【0015】
更に、前記ガイド柱6の内側に、弾性部材であるコイルスプリング7の一端部、即ち下部位置にある係合部7bが、少なくとも当該ガイド蓋部材6が前記弾性部材7から自重で抜け落ちない程度の摩擦力で摺接して係合するように設定する。例えば、図3(B)に示すように、ガイド蓋部材6のガイド柱6bの内側壁面に、前記係合部7bの外径がほぼ等しくして摺接する状態にするものである。
【0016】
このほか、コイルスプリング7の線径に合わせて、ガイド柱6bの内側の径を設定し、互いに摺接して、係合部7bから前記ガイド蓋部材6が脱落しないようにすれば、これらを一つの部品として扱うことができて、ノズルの組立時には便宜である。
【0017】
即ち、ノズル1の組立の際に、ノズル用ボディ2側に、コイルスプリング7とガイド用蓋部材6とを予め挿着しておいて、バルブ5をノズル用ニップル3側の連結用突部3bに取り付けて、そのノズル用ニップル3を前記ノズル用ボディ2に差し込むことで完成させることができる。このように、組み立て作業が簡易になるものである。
【0018】
前記ノズル用ボディ2とノズル用ニップル3との連結は、図2に示すように、係合突起3aと係合孔2aとの圧入・嵌合により達成されるので、従来のように、手間のかかる溶着をする必要が無くなるものである。
【0019】
このような流路用筒体の逆止弁構造を採用したノズル1において、洗浄液などを高圧で供給すれば、図3(A)に示す無供給状態から、図3(B)に示すように、水圧でコイルスプリング7の付勢力に抗して、ガイド蓋部材6が図において上方に押し上げられる。それにより、洗浄液が下方の流路5bから内側空間部4aに浸入し、平板体6aの側方の隙間を通り、ガイド柱6bの内側でリブ6c間の空隙から上昇して、前記コイルプスリング7の内部を通って、上方に流出していく。
【0020】
また、前記内側空間部4aに浸入した洗浄液の一部が、バルブ5の周囲に進出するが、フランジ5aとボディ2との合わせ面にシール用の突起2cがあって、漏出を防止している。また、ニップル3とバルブ5との隙間からの洗浄液の漏出は、リング状の突起5cによって防止されている。バルブ5は、ボディ2に嵌合するニップル3によって強く上方に押圧され少し潰された状態に維持されているので、洗浄液などの漏出が防止されるものである。
【0021】
このように、本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造は、上記ウォッシャノズルの使用例に限定されることなく、このほか、高圧の供給液を一方向に圧送する各種噴射装置や、各種タンクへの供給液の供給などの流路途中に広く使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造を有するノズル1の分解斜視図である。
【図2】同本発明の流路用筒体の逆止弁構造を有するノズル1の側面図(A)と、A−A線に沿った断面図(B)とである。
【図3−A】同本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造を有するノズル1で、供給液が供給されていない状態の一部拡大断面図である。
【図3−B】同本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造を有するノズル1で、供給液が圧送され供給されている状態の一部拡大断面図である。
【図4】同本発明に係る流路用筒体の逆止弁構造を、一例として自動車等のウオッシャノズル用チェックバルブに適用した場合の断面図である。
【図5】従来例1に係るウォッシャノズルの逆止弁構造を断面にして示す説明図(A)と、従来例2に係るウォッシャノズルの逆止弁構造を断面にして示す説明図(B)とである。
【符号の説明】
【0023】
1 ウオッシャノズル、
2 ボディ、 2a 係合孔、
2b 段部、 2c 突起、
2d 段部、
3 ニップル、 3a 係合突起、
3b 連結用突部、
4 連結固定部、 4a 内側空間部、
5 バルブ、 5a フランジ、
5b 流路、 5c 突起、
6 ガイド蓋部材、 6a 平板体、
6b ガイド柱、
7 弾性部材、 7a 流路、
7b 係合部、
16 ロアボディ、
17 アッパーボディ、
18 Oリングバルブ、 18a 固定部、
19 弾性部材、
20 弁体、
21 フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路に供給された供給液の逆流を阻止する流路用筒体の逆止弁構造であって、
前記流路用筒体は供給液用の流路を有する二つの筒状分割体であるボディとニップルとからなり、
前記ボディとニップルとは連結部における連結固定手段により互いに連結固定され、
前記連結部の内側空間部において前記ニップル側から、
前記連結部の合わせ面に介在するリング状のフランジを有し流路を中央部に設けた筒状弾性体でなるバルブと、
前記バルブの筒状弾性体の開口端部を蓋する平板体を有し該平板体の裏面側に前記内側空間部の壁面に沿って摺動するガイド柱が前記平板体に連結するリブを介して周方向に間隔をおいて設けられてなるガイド蓋部材と、
該ガイド蓋部材を常に閉蓋方向に付勢すべく前記ボディ側に反力を取り中央部に流路を確保してなる弾性部材とを配置したこと、
を特徴とする流路用筒体の逆止弁構造。
【請求項2】
バルブのリング状のフランジが、ボディ及びニップルの連結固定部の合わせ面に介在し、当該合わせ面にシール用のリング状の突起が設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の流路用筒体の逆止弁構造。
【請求項3】
ガイド蓋部材のガイド柱には弾性部材の一端部が係合し、少なくとも当該ガイド蓋部材が前記弾性部材から自重で抜け落ちない程度の摩擦力で摺接して係合すること、
をとする請求項1または2に記載の流路用筒体の逆止弁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−41641(P2009−41641A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206370(P2007−206370)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000229704)日本ビニロン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】