説明

流速または流量計測装置と器具判別装置

【課題】器具判別装置では複数のセンサ類が必要で、さらに複雑な推論計算をメータ内部で行うが、メータ内部には電源容量が限られているため大規模で長時間の演算は難しい。
【解決手段】流体計測手段41で流路を流れる流体の流速または流量を計測し、その情報を第1の通信手段12で外部に送る。外部の電力事情の良い環境で器具判別手段15は演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に動作している器具を判定する。判定した器具データは再度通信手段を用いて流速または流量計測装置に返送する動作を行うことも可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子などを用い、超音波を利用して気体や液体などの流量を計測する流速または流量計測装置に関し、またその流路に接続されている使用している器具の判別を行う器具判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の判別装置としてガスメータに内蔵されたものがあり、各種演算を行うことにより器具の推定をおこなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は一般的なガス配管の構成を示すブロック図である。図8において、1はガス器具判別装置、2はガスメータ、3はガス配管,4はガス器具である。ガス器具判別装置のブロック図を図9に示す。
【0004】
図9において5はガスメータの通過ガス量に応じて信号を発生する流量測定装置、6は流量測定装置から送られてくる流量信号でガスメータ通過ガス量の変化流量を算出し、個別ガス器具ごとのガス量に分離する個別ガス器具流量演算手段、8は変化流量以外の入力信号を得るセンサ手段である。例えば81、82,83,84,85の5種類の検出手段から構成される。81はガスメータの本体に取り付けられ現在の外気温度を常時検出する気温検出手段である。82は現在の季節情報を常時得ることのできる計時機構を備えたカレンダー検出手段である。83,84,85は個別ガス器具流量演算手段6とも接続されている。
【0005】
83は各ガス器具が使用され始めた時刻情報を計時・記憶する機構を備えた使用開始時刻検知手段である。84は各ガス器具の最大ガス流量の継続時間を計時する最大流量継続時間検出手段であり、最大ガス量を使用し続ける(ピークホールド)時間を測定・記憶する。85は個別ガス器具ごとの点火時または燃焼時の流量パターンの時間変化をサンプリングする流量変化認識手段であり、各器具特有の流量消費パターンの過渡現象を捕らえるものである。9は個別ガス器具流量演算手段6およびセンサ手段8から得られる情報を複合化して使用されているガス器具の判別を行う複合演算手段である。このガス器具判別装置はガスメータ2に内蔵され、ガス配管3を介してのみ各ガス器具4と接続されている。
【0006】
この構成で複合演算手段9は個別ガス器具流量演算手段6、気温検出手段81、カレンダー検出手段82、使用開始時刻検出手段83、最大流量継続時間検出手段84、流量変化認識手段85から得られる情報を複合化してガス器具の種類を判別するのにファジー推論を採用している。そして各検出手段から得られる情報をもとに前件部で用いるメンバーシップ関数を作成し、同様に後件部で用いるメンバーシップ関数も作成する。それらの関数を元に推論するルールを複数組み立てて器具を判別する。例えば、演算結果から暖房機らしさないし調理器らしさが非常に高ければ、該当するガス器具は暖房機ないし調理器具とみなして良いと言える。メンバーシップ関数やルールの組み立て方については詳しい説明を省略する。
【特許文献1】特開平3−236513号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のガス器具判別装置では複数のセンサ類が必要で、さらに複雑な推論計算をメータ内部で行う必要がある。また、複雑な演算を用いても推論までである。それにメータ内部には電源容量が限られているため大規模で長時間の演算は難しい。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するもので、流量データを流体計測装置から外部に通信し、電力容量の問題にならない場所で演算を行うことで器具判別の精度を高めるとともに、通常の流量計測への負荷を軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流速または流量計測装置と器具判別方法は、流体計測手段で流路を流れる流体の流速または流量を計測し、その情報を通信手段で外部に送る。外部の電力事情の良い環境で演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に動作している器具を判定する。判定した器具データは再度通信手段を用いて流速または流量計測装置に返送する動作を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、流速または流量計測装置は、流速または流量の情報を外部に通信し、そこで演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に動作している器具を判定可能な情報を装置外部へ送信するものである。
【0011】
これによって、流速または流量計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、流速または流量計測装置において、被測定流体の流れる流路に配置した流速または流量を計測する流体計測手段と、前記流体計測手段で計測された流速データまたは流量データを入力し使用されている器具を判別可能な情報を送信する第1の通信手段を備えることにより、使用されている器具を判別可能な情報を送信し、この情報の受信先で演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に、動作している器具を判定することにより、流速または流量計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、流体計測手段は被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する一対の振動子と、振動子を駆動する送信手段と、受信側振動子の出力信号を電気信号に変換する受信手段と、前記受信手段の信号を用いて流量を算出する流量演算手段を有することにより、流体計測手段が被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する一対の振動子と、振動子を駆動する送信手段と、受信側振動子の出力信号を電気信号に変換する受信手段と、前記受信手段の信号を用いて流量を算出する流量演算手段を有する構成にすることで、短いサンプリング間隔でその時の瞬時流速を検出することができるため、器具の使用開始時などにおける特徴ある流量変化を器具判別手段に情報として伝達することが可能になる。
【0014】
第3の発明は、器具判別装置において、器具の使用にともなって計測される流速データまたは流量データを受信する第2の通信手段を有し、受信された流速データまたは流量データに基づいて使用されている器具を判別することにより、流速または流量計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【0015】
第4発明は、流速データまたは流量データを受信することにより、初めて器具判別動作を開始するので、器具判定装置が無駄な動作をせず、被計測流体の流れがあったときのみにその流体を使用している器具を判定する動作を行うことで省電力と、器具判定装置の動作負荷を軽減することが可能になる。
【0016】
第5の発明は、特に第3の発明の第2の通信手段が情報端末を利用することにより、例えばネットワーク端末であるパソコンや携帯電話やPDAなどの持ち運び可能な端末によっても通信手段を有しているためソフトを導入すること等で簡易に便利良く器具判別を行うことが可能になる。
【0017】
第6の発明は、被測定流体の流れる流路に配置した流速または流量を計測する流体計測手段と、前記流体計測手段で計測された流速データまたは流量データを入力し送信する第1の通信手段と、前記第1の通信手段から流速データまたは流量データを受信する第2の通信手段と、前記第2の通信手段から流速データまたは流量データを受信し、各器具固有の流速データまたは流量データと比較することにより使用されている器具を判別することにより、流路内部を流れる流体の流速または流量の情報を外部に通信し、そこで演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に動作している器具を判定することにより、計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【0018】
第7の発明は、特に第6の発明の通信方法が電気的な手段を用いることにより、有線による情報伝送や無線による情報伝送を安価に信頼性が高く行うとともに、低電力で情報のやりとりを行うことができ、計測装置側の電力供給部分を小型省電力で構成することが可能になる。
【0019】
第8の発明は、特に第6の発明の通信方法が光学的な手段を用いることにより、電気的な通信手段に比べて外来ノイズによる計測装置の誤動作などを無くすることができるとともに、電力を使用しにくい環境でも情報伝達を行うことが可能になる。
【0020】
第9の発明は、特に第1の発明の通信方法が超音波を用いることにより、例えば超音波素子による流体計測を行っていいる場合には、その測定手段である超音波を情報伝達手段としても用いるで、別途通信手段を設けずに配管内部や配管部材に直接に情報を伝達して外部の器具判別手段との通信を行うことが可能になる。
【0021】
(実施の形態1)
実施の形態1に関する本発明の流速または流量計測装置と器具判別装置について説明する。流速または流量計測装置の説明としては超音波を用いた計測方法を用いるが、別にこの方式に制限されるものではない。
【0022】
図1は本実施の形態1の構成を示す流速または流量計測装置のブロック図である。
【0023】
図1おいて、2はガスメータ、3はガス配管、4はガス器具である。ガスメータ2の内部には流体の速度または流量を計測する流体計測手段11と、前記流体計測手段11の情報を外部に通信する第1の通信手段12と、前記流体計測手段11と前記第1の通信手段12を制御する制御手段を備えている。またガスメータ2外部には第2の通信手段14と前記第2の通信手段に接続されてガス配管につながって使用している器具を判定する器具判別手段15を備えている。図2は流体計測手段11の動作を示すブロック図である。
【0024】
被測定流体、ここではガスの流れる流路3と、前記流路3に配置された超音波を送受信する第1の振動子32、第2の振動子33を設置し、前記第1の振動子32を駆動する送信手段34と、前記第2の振動子33の受信信号を受け受信タイミングを決定する受信手段35と、前記送信手段34と第1の振動子32、および第2の振動子33と受信手段35の間に切換手段36を設け、超音波の送受信を第1の振動子32と第2の振動子33の間で交互に行うようにしている。
【0025】
そして、流量演算手段41は、受信手段35の出力を受け送信手段34を介して再度超音波の送受信を繰り返すという動作回数を計測し所定の回数で動作を停止する繰返し手段37と、前記繰返し手段37の信号を受け所定の遅延時間遅れて前記送信手段34のトリガ信号として出力する遅延手段38と、少なくとも送信手段34による第1の振動子32の駆動開始から前記繰返し手段37の動作停止までの超音波の伝搬時間を測定する計時手段39と、前記計時手段39の値から前記一対の振動子間の流速を演算し、それから流量を求める演算手段40とを有するものである。
【0026】
さらに計測制御手段42を設け、前記送信手段34を動作する計測スタート信号を出力する。さらに電力の供給を行う電源43と、電源より高電圧の負荷を駆動するための昇圧手段44と、前記電源43と前記昇圧手段44を制御する電源制御手段45を備えている。
【0027】
また送信手段34、受信手段35、切換手段36、流量演算手段41の設定値を記憶している記憶手段46と、電源43を投入後に記憶手段46の設定値を各手段に送出する制御手段47を備えている。
【0028】
通常の流速または流量計測の動作を説明する。計測制御手段42からスタート信号を受けた送信手段34が第1の振動子32を一定時間パルス駆動行うと同時に計時手段39は計測制御手段41からの信号によって時間計測始める。パルス駆動された第1の振動子32からは超音波が送信される。第1の振動子32から送信した超音波は被測定流体中を伝搬し、第2の振動子33で受信される。第2の振動子33の受信出力は、受信手段35で信号を増幅された後、予め定められている受信タイミングの信号レベルで超音波の受信を決定する。繰返し動作を行わない場合はこの超音波の受信を決定した時点で計時手段39の動作を停止し、その時間情報tから(式1)によって流速を求める。
【0029】
(計時手段39から得た測定時間をt、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする。)
v=(L/t)−c ・・・(式1)
受信手段35は通常コンパレータによって基準電圧と受信信号を比較するようになっていることが多い。
【0030】
繰返し手段37を用いる今回の動作は受信手段35の判定結果を遅延手段38で一定時間遅延させた後に送信手段34に返し、再度送信を行う。繰返し動作を決められた回数行い、その時間を計時手段39で測定し、計時手段39の測定時間を元に(式2)の計算によって流速を求める。
【0031】
(遅延手段の遅延時間をTd、繰返しの回数をn、測定時間をts、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする。)
v=L/(ts/n−Td)−c・・・(式2)
この方法によれば(式1)の方法に比べ精度よく測定することができる。
【0032】
また、第1の超音波振動子32と第2の超音波振動子33とを切り替え、被測定流体の上流から下流と下流から上流へのそれぞれの伝搬時間を測定し、(式3)より速度vを求める。
【0033】
(上流から下流への測定時間時間をt1、下流から上流への測定時間時間をt2とする)
v=L/2((1/t1)−(1/t2))・・・(式3)
この方法によれば音速の変化の影響を受けずに流度を測定することが出来るので、流速・流量・距離などの測定に広く利用されている。流速vが求まると、それに流路1の断面積を乗ずることにより流量を導くことができる。
【0034】
通常の動作は図3に示すタイミング図のようになる。すなわち、計測制御手段42による時刻t0における開始信号から計測を開始し、t1で送信手段34を介して第1の超音波振動子32を駆動する。そこで発生した超音波信号は流路内を伝搬し時刻t2で第2の超音波振動子33に到達し、受信手段35で受信点を検知すると繰返し手段37は設定回数に達していない場合、遅延手段38に信号を送出する。そして時刻t3から遅延手段38が動作し、予め定めた時間だけ動作した後時刻t4で送信手段34に信号を送出し、再び第1の超音波振動子32を駆動する。以下、この繰返しを行っている。
【0035】
繰返し手段37で決められた回数動作すると図2時刻t5で送受信動作は停止し、その時間は図に示すTとなる。その後、切換え手段36が送受信を切換える。すなわち第1の超音波振動子32が受信側、第2の超音波振動子33が送信側になる。そして同様な繰返し動作を行う。
【0036】
このようにして流速や流量を求めることはできるが、下流側で使用されている器具が何であるかは流体計測手段11の出力信号だけではわからない。
【0037】
そこで、次に流量が流れた場合の使用されている器具を判定する方法を説明する。
流量が流れると流量演算手段41から制御手段13に信号が入り、制御手段13は第1の通信手段12を介して外部に流量データを通信する。第1の通信手段からの信号をうけた外部に設置されている第2の通信手段は送られてきた流量データを器具判別手段15に渡す。このデータは流速の立ち上がり変化、積算流量、最大流量などいろいろと設定は可能である。
【0038】
また、本実施の形態で説明している超音波を用いた流速または流量計測装置では従来の膜式計測のような体積を測定しているのでは無く、瞬時流速を検出できているために流速の変化をサンプリング時間で規定する時間で計測できる。サンプリング時間はメータ内部に設置している電力容量を使用時間により秒単位に設定されるのが標準であるが、場合によっては秒以下でのサンプリングも原理的には可能である。この方式により流速の変化や流量の立ち上がりなどの見極めが容易になっている。
【0039】
さらに、流路内部を流れる流体の流速または流量の情報を第1の通信手段12を介して外部に通信し、そこで演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基にメータ1の下流側で使用されている器具4を判定することにより、計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【0040】
第2の通信手段14を有する器具判別手段15はガス供給元の大型通信センタのようなものでも良い。その場合は供給している地域の種々のデータ、例えば気温や風速、天候から各家庭の年間を通してのガス使用パターン、設置器具、器具毎の流量消費変化データなど大規模なデータベースを有することもあり、それらのデータと各第1の通信手段12から送られてきた流量情報を用い、大型の演算装置を用いて器具の判定を行うことができる。
【0041】
その場合、演算時の電力の問題はなくなるし、高速のシミュレーションやその係数の変更も容易にできる。また演算結果は瞬時に出す必要も無く、数分の遅れはもちろん、次の検針時までにわかれば良い場合もある。そのような場合は高価な高速演算装置の空き時間を有効に利用して精度の高い器具判別を行うことが可能になる。
【0042】
図4に流量が流れてから第1の通信手段12が動作するタイミング例を示す。図4(a)のように流量が発生すると、通常流量計測は(b)のようにサンプリング間隔をもって動作している。時刻t0で流量のあることを流量演算手段41の結果より制御手段13が認識すると(c)のように第1の通信手段をその時点から流量が無くなるt2まで動作し続けるように制御して、外部に設けた第2の通信手段に情報を送りだしても良い。また図4(d)のように時刻t0、t1、t2とう流量が変化した時のみ、その情報を外部に送信するために制御手段13が第1の通信手段12を動作してもよい。
【0043】
第1の通信手段が送信を始めると、その信号を受けた第2の通信手段14は図5(a)のように受信を開始し、その受信開始から器具判別手段15が(b)のように送信されてきた流量や流速変化などの情報から器具判別を開始する。時刻などは器具判別手段15側で管理すると通信する情報量を減らすことが可能になる。
【0044】
また第2の通信手段14は図5(c)のように流量の変化時点だけの受信しか無い場合でも、同様にその受信開始から器具判別手段15が(d)のように送信されてきた流量や流速変化などの情報から器具判別を開始する。
【0045】
器具判別は流量変化の立ち上がり情報だけでも認識できる場合もあるが、その使用時間や使用流量変化などの情報があると、より判別確度が上がるため演算時間が長くなることが考えられる。
【0046】
このような場合でも、器具判別手段は常に動作しているのではなく、第1の通信手段が通信を開始すると器具判別手段は器具判別を開始することにより、外部の判定手段も無駄な動作をせずに流体の流れがあったときのみにその流体を使用している器具を判定する動作を行うことで省電力と、判定手段の動作負荷を軽減することが可能になる。
【0047】
また、外部に設けた器具判別手段15として大型の演算手段などの集中監視システムのようなものでは無く、例えば家庭無いの通信端末装置であるインターネット端末パソコンや家庭内LANとして接続されている通信端末、または携帯電話やPDAを第2の通信手段として用いてもよい。これらを用いると家庭内もしくは外出先のPDAなどに最近使用された器具の情報を表示することができる。
【0048】
そして、器具判別手段15が利用者の近くに設置できることで外部への通信の負荷も低減できるとともに、演算するデータもその家庭に関係ある情報のみであるためわりあいと早くに結果を出すことが可能になる。さらに流量や使用時間などのあまり他人に知られたくない情報を外部に出すこと無く器具判別を行うことができるようになる。
【0049】
例えば器具判別手段15内部の演算手段151として流量Qと使用時間tの関数f(Q,t)から器具を判別する場合に過去の使用パターンや器具の基本データなどを保存してある記憶手段152や利用者が記憶手段の情報を更新したり、器具の判別を演算手段に教示信号として入力できる入力手段153を有する構成としても良い。
【0050】
f(Q,t)の演算は大規模になったり、複雑な場合は演算能力の高い集中監視センタなどの設備を用い、ある程度特定された情報になってから端末として利用する家庭内の情報通信端末装置にその情報を送ることが可能である。そして情報端末は送られてきた情報を基にさらに演算を行い、配管3に接続されて使用している器具の判別を続けることが可能である。このように通信手段で送られてきた情報の複雑度などにより演算能力が不足する場合は、その処理が可能な場所にさらに情報を転送することでより精度の高い器具判別が可能になる。
【0051】
このように第2の通信手段15が情報端末を利用することにより、例えばネットワーク端末であるパソコンや携帯電話やPDAなどの持ち運び可能な端末によっても通信手段を有しているためソフトを導入すること等で簡易に便利良く器具判別を行うことが可能になる。
【0052】
本実施の流速または流量計測装置としては、ガスを計測する超音波方式の説明を行っているが、流体はガスに限定されるものではなく、水道やその他の流体に対しても同様なことをできることは十分考えられる。
【0053】
プラントや集合設備などについても同様のことを実現することも十分考えられる。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態2に関する本発明の流速または流量計測装置と器具判別装置について説明する。実施の形態1と異なるところは通信手段同士をつなぐ方法である。
【0055】
これは使用する場所に応じて色々な通信方法を用いることによって、情報伝達の精度を高める必要があるためである。
【0056】
図1、図2、図4と図7を用いて説明する。実施の形態1で示したように流速または流量計測装置はガス配管や水道配管、その他種々の流体配管の上流に接続され、下流側の器具を判別するように通信を行っている。通常このような計測装置は環境の良いところに設置されていることは珍しく、日当たりの悪いじめじめしたような場所や、鉄の容器に囲まれたメータボックス内部などである。したがって第1の通信手段12と第2の通信手段14の間の情報伝送が品質良く行われるために確実な伝送経路を設定する必要がある。また、一般家庭用などに用いる場合にはあまり高価な方法を用いても、利用普及が図れないことも考えられ、費用も重要な要素となる。
【0057】
そこで図7(a)のように通常は第1の通信手段12と第2の通信手段14を電気的に接続する。これは最も安価に信頼性の高い方法としては有線により接続することである。この方法によれば制御手段13は第1の通信手段12を動作する際に電気信号を送るだけですむために特別な電力を必要とする伝送方式では無く、長期間にわたって少ない電力で動作することが可能である。電気的手段としては有線のみだけでなく、無線もある。図4(d)のような送信頻度の少ない通信であれば無線を用いても電力の問題はあまり大きくならない。
【0058】
簡単な接続を行うことで計測装置の外部に確実に情報を伝達することで器具判別の確度をより高めることができるようになる。
【0059】
このように通信方法が電気的な手段を用いることにより、有線による情報伝送や無線による情報伝送を安価に信頼性が高く行うとともに、低電力で情報のやりとりを行うことができ、計測装置側の電力供給部分を小型省電力で構成することが可能になる。
【0060】
また、計測装置の設置環境として水漏れや湿度が高く、液体を計測するような場合は漏電の可能性があったり、また電気通信を使用できないプラント内部などの防爆地域においては、流量情報を外部の第2の通信手段14に伝送するために工夫が必要である。
【0061】
例えば図7(b)のように第1の通信手段12の出力に電気ー光変換手段121を設け電気信号を光に変換し、光学的な伝播経路を確立する。光伝送手段17としては光ファイバなどが有用である。また大気内を直接光学的に伝送することも可能である。受信側としては第2の通信手段14の前段に光ー電気変換手段141を設け光信号を電気信号に変換してから、その情報を器具判別手段15に伝達する。
【0062】
経路途中に電磁ノイズを発生する可能性のあるバルブ類やモータなどが存在しても高品質の信号伝送が可能となる。
【0063】
このように通信方法が光学的な手段を用いることにより、電気的な通信手段に比べて外来ノイズによる計測装置の誤動作などを無くすることができるとともに、電力を使用しにくい環境でも情報伝達を行うことが可能になる。
【0064】
また、流速または流量計測装置として超音波を用いている場合は信号発生源として振動子32,33を利用できる。
【0065】
例えば図7(c)のようにガス配管3に複数の流量計測装置が存在し、その下流に図中には示していないが複数の器具が接続されている。個々の流速または流量計測装置が流れた流量を振動子で計測すると共に、計測に使用していない時間は制御手段13が振動子を利用して流量情報を超音波信号にして配管内部を伝送、もしくは配管部材自体の表面もしくは内部を固体伝播として超音波伝送する。配管3の一部に接続されている第2の通信手段14の前段に超音波振動子142を設置しておき振動子32または33から送られてきた流量情報を受けることが可能となる。その信号は器具判別手段15に送られる。
【0066】
このように通信方法が超音波を用いることにより、例えば超音波素子による流体計測を行っていいる場合には、その測定手段である超音波を情報伝達手段としても用いるで、別途通信手段を設けずに配管内部や配管部材に直接に情報を伝達して外部の器具判別手段との通信を行うことが可能になる。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態3に関する本発明の流速または流量計測装置と器具判別装置について説明する。実施の形態1と異なるところは、第1の通信手段や計測をまとめる制御手段13の動作を確実にするためのコンピュータを機能させるためのプログラムを有する記憶媒体50を用いていることである。
【0068】
図2において実施の形態1と実施の形態2で示した制御手段13の動作を行うには、予め実験等により通信状態を確立するまでの時間や、伝送のの出力変化、経年変化、温度変化、システムの安定度に関して動作タイミングなどの相関を求め、ソフトをプログラムとして記憶媒体50に格納しておく。通常マイクロコンピュータのメモリやフラッシュメモリ等電気的に書き込み可能なものにしておくと利用が便利である。
【0069】
このように制御手段13の動作をプログラムで行うことができるようになると通信において送信受信の条件設定、変更が容易にでき、また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに器具判別用の通信内容品質の精度向上を行うことができる。なお本実施例において制御手段13以外の動作もマイコン等によりプログラムで行ってもよい。
【0070】
このように制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを有する構成としたもので、これにより測定方法や通信手段の動作設定、変更が容易にでき、また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに計測の精度向上や器具判別の判定率向上を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の流速または流量計測装置と器具判別方法は計測装置に設置した第1の通信手段と、外部に設置した第2の通信手段の間で流量情報を伝達し、外部の電力や演算装置を利用して器具判別を行うものである。
【0072】
これによって、流路内部を流れる流体の流速または流量の情報を外部に通信し、そこで演算やデータベースなどの参照を行い、送られてきた情報を基に動作している器具を判定することにより、計測装置内部に器具判別に必要な高性能の演算手段や、それを動作するために大規模な電源を設置する必要が無くなり、小型で計測を優先した装置の実現と、外部での精度の高い器具判別を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の流速または流量計測装置の全体ブロック図
【図2】同流速または流量計測装置のブロック図
【図3】(a)同計測装置における計測制御手段の動作を示すタイミング図(b)同計測装置における送信波の動作を示すタイミング図(c)同計測装置における受信波の動作を示すタイミング図(d)同計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における流量変化を示すタイミング図(b)同計測サンプリングを示すタイミング図(c)同第1の通信手段の動作を示すタイミング図(d)同第1の通信手段の動作を示すタイミング図
【図5】(a)同第2の通信手段の動作を示すタイミング図(b)同器具判別手段の動作を示すタイミング図(c)同第2の通信手段の動作を示すタイミング図(d)同器具判別手段の動作を示すタイミング図
【図6】同器具判別手段周辺の接続を示すブロック図
【図7】(a)同第1および第2の通信手段の接続を示すブロック図(b)同第1および第2の通信手段の接続を示すブロック図(c)同第1および第2の通信手段の接続を示すブロック図
【図8】従来の器具判別装置の全体ブロック図
【図9】従来の器具判別装置のブロック図
【符号の説明】
【0074】
2 ガスメータ
3 流路
4 器具
11 流体制御手段
12 第1の通信手段
13 制御手段
14 第2の通信手段
15 器具判別手段
17 光伝送手段
32 第1の振動子
33 第2の振動子
34 送信手段
35 受信手段
41 流量演算手段
43 電源
44 昇圧手段
45 電源制御手段
48 開閉手段
50 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体の流れる流路に配置した流速または流量を計測する流体計測手段と、前記流体計測手段で計測された流速データまたは流量データを入力し使用されている器具を判別可能な情報を送信する第1の通信手段を備えた流速または流量計測装置。
【請求項2】
流体計測手段は被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する一対の振動子と、振動子を駆動する送信手段と、受信側振動子の出力信号を電気信号に変換する受信手段と、前記受信手段の信号を用いて流量を算出する流量演算手段を有する請求項1記載の流速または流量計測装置。
【請求項3】
器具の使用にともなって計測される流速データまたは流量データを受信する第2の通信手段を有し、受信された流速データまたは流量データに基づいて使用されている器具を判別する器具判別装置。
【請求項4】
流速データまたは流量データを受信することにより、器具判別動作を開始する請求項3記載の器具判別装置。
【請求項5】
第2の通信手段は情報端末を利用する請求項3記載の器具判別装置。
【請求項6】
被測定流体の流れる流路に配置した流速または流量を計測する流体計測手段と、前記流体計測手段で計測された流速データまたは流量データを入力し送信する第1の通信手段と、前記第1の通信手段から流速データまたは流量データを受信する第2の通信手段と、前記第2の通信手段から流速データまたは流量データを受信し、各器具固有の流速データまたは流量データと比較することにより使用されている器具を判別する器具判別装置。
【請求項7】
通信方法は電気的な手段を用いる請求項6記載の器具判別装置。
【請求項8】
通信方法は光学的な手段を用いる請求項6記載の器具判別装置。
【請求項9】
通信方法は超音波を用いる請求項6記載の器具判別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−200799(P2006−200799A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12284(P2005−12284)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】