流量制御バルブおよびその製造方法
【課題】ハウジングのガス通路の径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】流量制御バルブ1は、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22と径方向段差部23とを有するガス通路20が形成されたハウジング2と、第一筒部材収容部21に収容される第一筒部材3と、第二筒部材収容部22に収容される第二筒部材4と、第一筒部材3および第二筒部材4の径方向内側に回転可能に配置される弁体5と、を備える。ハウジング2は、鋳鉄製である。第一筒部材3および第二筒部材4の少なくとも表面は高耐食材製である。第一軸方向端面30および第二軸方向端面40のうち少なくとも一方は、径方向段差部23と軸方向に対向する対向部401を有している。対向部401と径方向段差部23との間には、ガスシール構造61が配置されている。
【解決手段】流量制御バルブ1は、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22と径方向段差部23とを有するガス通路20が形成されたハウジング2と、第一筒部材収容部21に収容される第一筒部材3と、第二筒部材収容部22に収容される第二筒部材4と、第一筒部材3および第二筒部材4の径方向内側に回転可能に配置される弁体5と、を備える。ハウジング2は、鋳鉄製である。第一筒部材3および第二筒部材4の少なくとも表面は高耐食材製である。第一軸方向端面30および第二軸方向端面40のうち少なくとも一方は、径方向段差部23と軸方向に対向する対向部401を有している。対向部401と径方向段差部23との間には、ガスシール構造61が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の排気ガス再循環システム(Exhaust Gas Recirculation System。以下、「EGRシステム」と称す。)などに用いられる流量制御バルブおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EGRシステムに用いられる流量制御バルブの中には、ガス通路に圧入された二つの筒部材の界面に、弁座を形成するタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。図26に、同タイプの流量制御バルブの断面図を示す。図26に示すように、流量制御バルブ100は、ハウジング101と、第一筒部材102と、第二筒部材103と、弁体111と、を備えている。これらの部材は、全てステンレス鋼製である。ハウジング101の内部には、ガス通路107が形成されている。ガス通路107は、第一筒部材収容部109と、第二筒部材収容部110と、径方向段差部108と、を備えている。
【0003】
第一筒部材102は、第一筒部材収容部109に収容されている。第二筒部材103は、第二筒部材収容部110に収容されている。第一筒部材102と第二筒部材103とは、径方向段差部108付近で、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、軸方向に連なっている。第一筒部材102と第二筒部材103との界面には、全周的に弁座104が形成されている。弁座104は、第一区間105と第二区間106とを備えている。第一区間105は、第一筒部材102の内周縁に略180°に亘って配置されている。第二区間106は、第二筒部材103の内周縁に略180°に亘って配置されている。弁体111が、第一区間105および第二区間106(つまり弁座104)に対して、離座、着座することにより、ガス通路107が開閉される。また、ガス通路107において、弁体111が回動することにより、排気ガスの流量が調整される。
【特許文献1】特開2004−263723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図27に、図26の円XXVII内の拡大図を示す。図27に示すように、ハウジング101のガス通路107には、径方向段差部108が形成されている。径方向段差部108により、第一筒部材102および第二筒部材103が、ガス通路107における所定の位置に、位置決めされている。
【0005】
ここで、第一筒部材102と第二筒部材103とは、軸方向に当接している。しかしながら、第二筒部材103と径方向段差部108との間には、軸方向に隙間C100が形成されている。
【0006】
以下、隙間C100が形成される理由について説明する。すなわち、第一筒部材102および第二筒部材103をハウジング101に取り付ける場合、まず、第一筒部材102を第一筒部材収容部109に圧入する。次いで、第二筒部材103を第二筒部材収容部110に圧入する。ここで、弁座104は、第一筒部材102と第二筒部材103との界面を互いに径方向にずらすことにより、形成される。すなわち、弁座104は、第一筒部材102と第二筒部材103との界面に形成される。このため、弁座104を確実に形成するためには、第一筒部材102と第二筒部材103とを軸方向に突き当てる必要がある。
【0007】
しかしながら、第二筒部材103の圧入量は、径方向段差部108により、規制されている。このため、仮に、第一筒部材102の径方向段差部側の端部(右端部)が、径方向段差部108よりも、軸方向右側に突出していない場合、第一筒部材102と第二筒部材103とが、軸方向に突き当たらないことになる。すなわち、弁座104が形成されないことになる。
【0008】
そこで、第一筒部材102の軸方向全長は、第一筒部材収容部109の軸方向全長よりも、若干長く設定されている。当該軸方向全長の差により、第一筒部材102の右端部は、径方向段差部108よりも、軸方向右側に突出する。そして、第一筒部材102と第二筒部材103とが、確実に当接する。すなわち、弁座104が確実に形成される。ところが、その反面、第二筒部材103と径方向段差部108との間に、軸方向に隙間C100が形成されてしまう。このように、隙間C100は、弁座104を確実に形成するために、言わば不可避的に形成されるものである。
【0009】
ところで、近年、流量制御バルブの製造コスト削減の観点から、ハウジング101の材質の見直しが検討されている。具体的には、ハウジング101の材質として、高価なステンレス鋼の代わりに、安価な鋳鉄を使用することが検討されている。
【0010】
しかしながら、EGRシステムが利用されるディーゼルエンジンの場合、軽油中の硫黄分を含む硫酸系の凝縮液が、ガス通路107の排気ガスから生成される。また、排気ガスは非常に高温である。
【0011】
このため、仮に、従来の流量制御バルブ100のハウジング101を鋳鉄製とすると、図27中に矢印A100で示すように、ガス通路107から隙間C100に高温の硫酸系の凝縮液が進入するおそれがある。そして、当該凝縮液により、ハウジング101の径方向段差部108付近が、腐食するおそれがある。径方向段差部108付近が腐食すると、第一筒部材102の第一筒部材収容部109に対する締め代、あるいは第二筒部材103の第二筒部材収容部110に対する締め代が減少するおそれがある。締め代が減少すると、第一筒部材102あるいは第二筒部材103がハウジング101から脱落するおそれがある。その結果、シール性が低下するおそれがある。
【0012】
本発明の流量制御バルブおよびその製造方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、ハウジングのガス通路の径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブは、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路が形成されたハウジングと、該第一筒部材収容部に収容され、第一軸方向端面を有する第一筒部材と、該第二筒部材収容部に収容され、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、該第一軸方向端面に軸方向に当接する第二軸方向端面を有する第二筒部材と、該第一筒部材および該第二筒部材の径方向内側に回転可能に配置され、一対の該内周縁に配置された弁座に対して離着することにより、該ガス通路を開閉可能な弁体と、を備えてなる流量制御バルブであって、前記ハウジングは、鋳鉄製であり、前記第一筒部材および前記第二筒部材の少なくとも表面は、前記腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製であり、前記第一軸方向端面および前記第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、前記径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有しており、該対向部と該径方向段差部との間には、該対向部と該径方向段差部との間に該腐食性物質が進入するのを抑制するガスシール構造が配置されていることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0014】
本発明の流量制御バルブによると、第一軸方向端面および第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有している。対向部と径方向段差部との間には、ガスシール構造が配置されている。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。このように、本発明の流量制御バルブによると、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい。このため、第一筒部材の第一筒部材収容部に対する締め代、あるいは第二筒部材の第二筒部材収容部に対する締め代が減少しにくい。したがって、第一筒部材あるいは第二筒部材がハウジングから脱落しにくい。その結果、シール性が低下しにくい。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を略0にする面接触構造である構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0016】
本構成によると、対向部と径方向段差部との間の隙間を、略0にすることができる。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0017】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を充填材により埋める充填構造である構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0018】
本構成によると、充填材により、対向部と径方向段差部との間の隙間を埋めることができる。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0019】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブの製造方法は、鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、少なくとも該第一筒部材収容部を切削加工する第一切削工程と、切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、該第一軸方向端面および該径方向段差部および該第二筒部材収容部のうち、少なくとも該第一軸方向端面および該径方向段差部を、一度に切削加工することにより、該第一軸方向端面と該径方向段差部とを略面一に削り揃える第二切削工程と、切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該径方向段差部に突き当てる第二筒部材圧入工程と、を有することを特徴とする(請求項4に対応)。ここで、「切削加工」とは、加工の対象となる面を、所望の形状になるように、削り整えることをいう。
【0020】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第二切削工程において、第一軸方向端面および径方向段差部を、一度に切削加工している。このため、第一軸方向端面と径方向段差部とを略面一に削り揃えることができる。したがって、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材の第二軸方向端面を、互いに略面一の第一軸方向端面および径方向段差部に、当接させることができる。すなわち、第二軸方向端面と、第一軸方向端面および径方向段差部と、の間の隙間を略0にすることができる。このため、第二軸方向端面と、第一軸方向端面および径方向段差部と、の間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0021】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第一軸方向端面と径方向段差部とを一度に切削加工するという簡単な作業により、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブを製造することができる。
【0022】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、さらに、前記第二切削工程と前記第二筒部材圧入工程との間に、少なくとも前記径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程を有する構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0023】
本構成によると、第二軸方向端面と径方向段差部との間の隙間を略0にした上で、当該隙間に充填材を配置することができる。このため、第二軸方向端面と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0024】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブの製造方法は、鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、該第一筒部材収容部、該第二筒部材収容部、該径方向段差部を切削加工する全面切削工程と、切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、少なくとも該径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程と、切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該充填材に突き当てる第二筒部材圧入工程と、を有することを特徴とする(請求項6に対応)。ここで、「切削加工」とは、加工の対象となる面を、所望の形状になるように、削り整えることをいう。
【0025】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材と第一筒部材とを当接させることにより、第二軸方向端面と径方向段差部との間に、充填材を充填することができる。すなわち、第二軸方向端面と径方向段差部との間の隙間を埋めることができる。このため、第二軸方向端面と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0026】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、径方向段差部と第一軸方向端面とを略面一に削り揃える必要がない。このため、切削加工が容易である。また、煩雑な切削工程を複数回に分割して行う必要がない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、ハウジングのガス通路の径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の流量制御バルブおよびその製造方法を、EGRシステムに用いられる流量制御バルブおよびその製造方法として具現化した実施の形態について説明する。
【0029】
<第一実施形態>
[流量制御バルブの配置]
まず、本実施形態のバルブアセンブリの配置について簡単に説明する。図示しない車両(ディーゼルエンジン車)には、エキゾーストマニホールドとインテークマニホールドとを連結するEGRパイプが配置されている。バルブアセンブリは、当該EGRパイプに装着されている。バルブアセンブリを開閉することにより、EGRパイプを流れる排気ガスの流量を制御することができる。
【0030】
[流量制御バルブの構成]
次に、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図1に、本実施形態の流量制御バルブの斜視図を示す。図2に、同流量制御バルブの分解斜視図を示す。図3に、図1のIII−III方向断面図を示す。図4に、図3の円IV内の拡大図を示す。図1〜図4に示すように、本実施形態の流量制御バルブ1は、ハウジング2と、第一筒部材3と、第二筒部材4と、弁体5と、面接触構造61と、を備えている。
【0031】
ハウジング2は、球状黒鉛鋳鉄(FCD)製である。ハウジング2には、ガス通路20と、シャフト挿通孔24と、が形成されている。ガス通路20は、ハウジング2の下面と右面とを、L字状に貫通している。ガス通路20の右側開口付近には、第一筒部材収容部21と、第二筒部材収容部22と径方向段差部23とが形成されている。
【0032】
第二筒部材収容部22は、円孔状を呈している。第二筒部材収容部22は、ガス通路20の右側開口から、左方に延在している。第一筒部材収容部21は、円孔状を呈している。第一筒部材収容部21は、第二筒部材収容部22の左端から、左方に延在している。第一筒部材収容部21は、第二筒部材収容部22よりも、小径である。また、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに径方向(上下方向)にずれている。具体的には、第一筒部材収容部21の軸線は、第二筒部材収容部22の軸線に対して、上方にずれている。
【0033】
径方向段差部23は、第一筒部材収容部21の右端と、第二筒部材収容部22の左端と、の間に介在している。径方向段差部23は、径方向に延在する略平面状を呈している。シャフト挿通孔24は、ガス通路20を直径方向(前後方向)に貫通している。シャフト挿通孔24は、径方向段差部23に配置されている。
【0034】
第一筒部材3は、ステンレス鋼製であって、短軸円筒状を呈している。第一筒部材3は、第一筒部材収容部21に収容されている。第一筒部材3の右端には、略平面状の第一軸方向端面30が配置されている。第一軸方向端面30には、一対の切欠部303が形成されている。一対の切欠部303は、前後方向に離間して配置されている。切欠部303は、右方に開口する略C字状を呈している。また、第一軸方向端面30は、径方向段差部23と、略面一である。
【0035】
第二筒部材4は、ステンレス鋼製であって、短軸円筒状を呈している。第二筒部材4は、第二筒部材収容部22に収容されている。第二筒部材4の左端には、略平面状の第二軸方向端面40が配置されている。第二軸方向端面40には、一対の切欠部403が形成されている。一対の切欠部403は、前後方向に離間して配置されている。切欠部403は、左方に開口する略C字状を呈している。
【0036】
第二筒部材4の一対の切欠部403は、第一筒部材3の一対の切欠部303と、軸方向(左右方向)に連なっている。すなわち、一対の切欠部303と一対の切欠部403とにより、一対の合体孔が形成される。一対の合体孔は、前記シャフト挿通孔24と、前後方向に連なっている。
【0037】
また、第二筒部材4の第二軸方向端面40は、第一筒部材3の第一軸方向端面30と、左右方向に面接触している。前述したように、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに上下方向にずれている。このため、第一軸方向端面30の内周縁と第二軸方向端面40の内周縁とは、互いに上下方向にずれている。第一軸方向端面30の内周縁には、弁座60の第一区間300が配置されている。第一区間300は、内周縁の下半分、略180°に亘って配置されている。これに対して、第二軸方向端面40の内周縁には、弁座60の第二区間400が配置されている。第二区間400は、内周縁の上半分、略180°に亘って配置されている。すなわち、これら第一区間300および第二区間400により、弁座60が形成されている。
【0038】
また、第二軸方向端面40は、対向部401を有している。対向部401は、径方向段差部23と、左右方向に面接触している。すなわち、第二軸方向端面40は、径方向段差部23および第一軸方向端面30と、左右方向に面接触している。このように、本実施形態の流量制御バルブ1は、対向部401と径方向段差部23とが面接触することにより、面接触構造61を確保している。
【0039】
弁体5は、弁本体50とシャフト51とを備えている。シャフト51は、ステンレス鋼製であって、丸棒状を呈している。シャフト51は、前記シャフト挿通孔24および一対の合体孔(一対の切欠部303と一対の切欠部403とにより形成される)に、挿通されている。また、シャフト51は、ガス通路20を前後方向に横切っている。
【0040】
弁本体50は、ステンレス鋼製であって、円板状を呈している。弁本体50は、シャフト51に固定されている。図3に示すように、弁本体50は、ガス通路20に配置されている。弁本体50は、シャフト51の軸周りに、回動可能である。弁本体50の外周縁が、弁座60(第一区間300、第二区間400)に対して、離着することにより、ガス通路20を開閉することができる。また、弁本体50の回動角度を変えることにより、ガス通路20の通路断面積つまり排気ガスの流量を、調整することができる。
【0041】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、第一切削工程と、第一筒部材圧入工程と、第二切削工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0042】
図5に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図を示す。図6に、同製造方法の第一切削工程の模式図を示す。図7に、同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図を示す。図8に、同製造方法の第二切削工程の模式図を示す。図9に、図8の円IX内の拡大図を示す。図10に、同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図を示す。
【0043】
ガス通路形成工程においては、図5に示すように、鋳造により、ハウジング2を作製する。また、鋳造の際、ハウジング2に、ガス通路20と、シャフト挿通孔24と、を形成する。
【0044】
第一切削工程においては、図6に太線で示すように、隣接部材に対するハウジング2の取付面(上面、下面、右面)を切削加工する。並びに、ガス通路20内周面を切削加工する。具体的には、第二筒部材収容部22の右端開口から、ガス通路20内に、フライスカッター90を挿入する。そして、フライスカッター90により、第一筒部材収容部21の内周面を切削加工する。なお、フライスカッター90を移動させる際、第二筒部材収容部22の内周面および径方向段差部23の表面も、切削加工される。第一筒部材圧入工程においては、図7に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第一筒部材収容部21に、第一筒部材3を圧入する。
【0045】
第二切削工程においては、図8に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22内に、フライスカッター91を挿入する。そして、図8に太線で示すように、フライスカッター91により、第二筒部材収容部22の内周面を切削加工する。また、図9に示すように、第一筒部材3の第一軸方向端面30、径方向段差部23の表面を、フライスカッター91により、一度に切削加工する。図9に点線で示すように、第二切削工程前においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23とは、面一ではない。これに対して、図9に実線で示すように、第二切削工程後においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23とが、略面一に削り揃えられる。
【0046】
第二筒部材圧入工程においては、図10に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22に、第二筒部材4を圧入する。前述したように、径方向段差部23と第一軸方向端面30とは、略面一に削り揃えられている。このため、前出図4に示すように、第二筒部材4の第二軸方向端面40は、径方向段差部23および第一軸方向端面30に、面接触する。
【0047】
その後、前出図2に示すように、第一筒部材3に切欠部303を、第二筒部材4に切欠部403を、各々形成する。それから、シャフト51を、シャフト挿通孔24に挿通する。そして、シャフト51に、第二筒部材収容部22の右端開口から、弁本体50を装着する。このようにして、弁体5を、ハウジング2に取り付ける。以上説明した工程を経て、本実施形態の流量制御バルブ1は製造される。
【0048】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。ディーゼルエンジンの場合、軽油中の硫黄分を含む硫酸系の凝縮液が、ガス通路20の排気ガスから生成される。なお、凝縮液は、本発明の腐食性物質に含まれる。
【0049】
この点、本実施形態の流量制御バルブ1によると、図4に示すように、第二軸方向端面40が、径方向段差部23と軸方向に対向する対向部401を有している。対向部401と径方向段差部23との間には、面接触構造61が配置されている。このため、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、略0にすることができる。
【0050】
また、本実施形態の流量制御バルブ1によると、対向部401と径方向段差部23との間に、排気ガスから生成される凝縮液が、進入しにくい。したがって、ハウジング2の径方向段差部23付近が、凝縮液に曝されにくい。このように、本実施形態の流量制御バルブ1によると、ハウジング2の径方向段差部23付近が腐食しにくい。このため、第一筒部材3の第一筒部材収容部21に対する締め代、あるいは第二筒部材4の第二筒部材収容部22に対する締め代が減少しにくい。したがって、第一筒部材3あるいは第二筒部材4がハウジング2から脱落しにくい。よって、シール性が低下しにくい。
【0051】
また、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、図9に示すように、第二切削工程において、第一軸方向端面30および径方向段差部23を一度に切削加工することで、第一軸方向端面30と径方向段差部23とを、略面一に削り揃えることができる。このため、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4の第二軸方向端面40を、径方向段差部23および第一軸方向端面30に、当接させることができる。すなわち、第二軸方向端面40と、径方向段差部23および第一軸方向端面30と、の間の隙間を略0にすることができる。このように、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、簡単に、径方向段差部23付近が腐食しにくい流量制御バルブ1を製造することができる。
【0052】
<第二実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、ガス通路が直線状に延在している点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第一筒部材圧入工程における第一筒部材の圧入方向と、第二筒部材圧入工程における第二筒部材の圧入方向と、が反対になっている点である。したがって、ここでは、主に相違点についてのみ説明する。
【0053】
[流量制御バルブの構成]
まず、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図11に、本実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0054】
図11に示すように、ガス通路20は、左右方向に延在する直線状を呈している。第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、略同径である。第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに径方向(上下方向)にずれている。具体的には、第一筒部材収容部21の軸線は、第二筒部材収容部22の軸線に対して、上方にずれている。
【0055】
径方向段差部23U、23Dは、第一筒部材収容部21の右端と、第二筒部材収容部22の左端と、の間に介在している。径方向段差部23Uは、上半分、略180°に亘って延在している。径方向段差部23Uは、左方を向いている。これに対して、径方向段差部23Dは、下半分、略180°に亘って延在している。径方向段差部23Dは、右方を向いている。
【0056】
第一筒部材3は、第一筒部材収容部21に収容されている。第一筒部材3の右端には、第一軸方向端面30が配置されている。第一軸方向端面30には、上半分、略180°に亘って、対向部302が配置されている。対向部302は、径方向段差部23Uと面接触している。すなわち、対向部302と径方向段差部23Uとが面接触することにより、対向部302と径方向段差部23Uとの間に、面接触構造62Uが確保されている。
【0057】
第二筒部材4は、第二筒部材収容部22に収容されている。第二筒部材4の左端には、第二軸方向端面40が配置されている。第二軸方向端面40には、下半分、略180°に亘って、対向部401が配置されている。対向部401は、径方向段差部23Dと面接触している。すなわち、対向部401と径方向段差部23Dとが面接触することにより、対向部401と径方向段差部23Dとの間に、面接触構造62Dが確保されている。
【0058】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、第一切削工程と、第一筒部材圧入工程と、第二切削工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0059】
図12に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図を示す。図13に、同製造方法の第一切削工程の模式図を示す。図14に、同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図を示す。図15に、同製造方法の第二切削工程の模式図を示す。図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。図17に、図15の円XVII内の拡大図を示す。図18に、同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図を示す。なお、これらの図において、図5〜図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0060】
ガス通路形成工程においては、図12に示すように、鋳造により、ハウジング2を作製する。第一切削工程においては、図13に太線で示すように、隣接部材に対するハウジング2の取付面(上面、左面、右面)を切削加工する。並びに、フライスカッター92により、第一筒部材収容部21の内周面を切削加工する。フライスカッター92は、第一筒部材収容部21の左端開口から、第一筒部材収容部21内に挿入する。第一筒部材圧入工程においては、図14に示すように、第一筒部材収容部21の左端開口から、第一筒部材収容部21に、第一筒部材3を圧入する。第一筒部材3は、第一軸方向端面30が径方向段差部23Uに当接するまで、圧入される。
【0061】
第二切削工程においては、図15に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22内に、フライスカッター93を挿入する。そして、図15に太線で示すように、フライスカッター93により、第二筒部材収容部22の内周面を切削加工する。また、図16に示すように、第一軸方向端面30、径方向段差部23Dの表面を、フライスカッター93により、切削加工する。第二切削工程後においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23Dとが、略面一に削り揃えられる。並びに、図17に示すように、第一軸方向端面30のうち、径方向段差部23Uから径方向内側に張り出した部分を、フライスカッター93により、切削加工する。当該切削加工により、第一軸方向端面30に凹部304が形成される。なお、凹部304の深さ(左右方向全長)は、径方向段差部23Dに対するフライスカッター93の切削量(図16参照)に対応している。
【0062】
第二筒部材圧入工程においては、図18に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22に、第二筒部材4を圧入する。第二筒部材4の第二軸方向端面40は、図16に示す径方向段差部23D、および第一軸方向端面30に、面接触する。並びに、第二軸方向端面40は、図17に示す凹部304の右向きの底面(つまり第一軸方向端面30)に、面接触する。
【0063】
その後、第一筒部材3、第二筒部材4に、各々、切欠部を形成する(前出図2参照)。それから、シャフト51を、シャフト挿通孔24に挿通する。そして、シャフト51に、ガス通路20の左端開口あるいは右端開口から、弁本体50を装着する。このようにして、本実施形態の流量制御バルブ1は製造される。
【0064】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0065】
また、本実施形態の流量制御バルブ1のように、ガス通路20に対する、第一筒部材3の圧入方向と、第二筒部材4の圧入方向とが、反対であっても、対向部302と径方向段差部23Uとの間に、面接触構造62Uを確保することができる。並びに、対向部401と径方向段差部23Dとの間に、面接触構造62Dを確保することができる。
【0066】
また、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、図17に示すように、第二切削工程において、第一筒部材3に凹部304が形成される。このため、径方向段差部23U、23Dの左右方向位置のずれを吸収することができる。したがって、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4の第二軸方向端面40を、図16に示す径方向段差部23Dおよび第一軸方向端面30に、面接触させることができる。並びに、第二軸方向端面40を、図17に示す凹部304の右向きの底面(第一軸方向端面30)に、面接触させることができる。
【0067】
<第三実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、面接触構造の代わりに、充填構造が配置されている点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第一筒部材収容部、第二筒部材収容部、径方向段差部の切削加工が、単一の工程で行われる点である。したがって、ここでは、主に相違点についてのみ説明する。
【0068】
[流量制御バルブの構成]
まず、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図19に、本実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図を示す。図20に、図19の円XX内の拡大図を示す。なお、図19、図20において、図3、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0069】
図19、図20に示すように、対向部401と径方向段差部23との間の隙間には、液状の充填材630(日本ペイント株式会社製テツゾール600)が介在している。このように、本実施形態の流量制御バルブ1は、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、充填材630で埋めることで、充填構造63を確保している。
【0070】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、全面切削工程と、第一筒部材圧入工程と、充填材配置工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0071】
図21に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図を示す。図22に、図21の円XXII内の拡大図を示す。なお、図21、図22において、図5〜図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0072】
ガス通路形成工程においては、図5同様に、鋳造により、ハウジング2を作製する。全面切削工程においては、図6同様に、フライスカッターにより、第一筒部材収容部21の内周面、径方向段差部23の表面、第二筒部材収容部22の内周面を、切削加工する。第一筒部材圧入工程においては、図7同様に、第一筒部材3を第一筒部材収容部21に圧入する。充填材配置工程においては、図21、図22に示すように、径方向段差部23の表面に充填材630を塗布する。第二筒部材圧入工程においては、図10同様に、第二筒部材4を第二筒部材収容部22に圧入する。そして、図20に示すように、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、充填材630により埋める。
【0073】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0074】
本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4と第一筒部材3とを当接させることにより、対向部401と径方向段差部23との間に、充填材630を充填することができる。すなわち、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を埋めることができる。このため、対向部401と径方向段差部23との間に、排気ガスから生成される硫酸系の凝縮液が、進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジング2の径方向段差部23付近が、凝縮液に曝されにくい。
【0075】
<第四実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、面接触構造の代わりに、面接触−充填構造が配置されている点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第二切削工程と第二筒部材圧入工程との間に、充填材配置工程を有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0076】
図23に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。第二切削工程においては、前出図9に示すように、径方向段差部23に切削加工を施す。充填材配置工程においては、図23に示すように、切削加工後の径方向段差部23に、液状の充填材610(日本ペイント株式会社製テツゾール600)を塗布する。第二筒部材圧入工程においては、前出図10に示すように、第二筒部材収容部に第二筒部材を圧入する。
【0077】
本実施形態の流量制御バルブによると、前出図4に示す対向部401と径方向段差部23との間には、液状の充填材610が介在している。すなわち、本実施形態の流量制御バルブは、対向部401と径方向段差部23とを、充填材610を介して、面接触させることにより、面接触−充填構造を確保している。
【0078】
本実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の流量制御バルブによると、対向部401と径方向段差部23との間に、液状の充填材610が介在している。このため、より確実に、対向部401と径方向段差部23との間を封止することができる。
【0079】
<その他>
以上、本発明の流量制御バルブ1およびその製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。例えば、上記実施形態の流量制御バルブ1においては、ハウジング2を球状黒鉛鋳鉄製としたが、ねずみ鋳鉄(FC)製としてもよい。また、上記実施形態の流量制御バルブ1においては、第一筒部材3、第二筒部材4をステンレス鋼製としたが、アルミニウム合金製としてもよい。また、鋳鉄製の第一筒部材3、第二筒部材4の表面を、鋳鉄よりも耐食性の高いめっきやコート材などで、被覆してもよい。
【0080】
また、充填材610、630の材質も特に限定しない。液状の他、ゲル状、固体状の充填材を用いてもよい。また、充填材610、630として、塗料を用いてもよい。一例として、シリコーン系耐熱塗料(例えば株式会社スリーボンド製TB1207)などを用いてもよい。
【実施例】
【0081】
以下、本発明の流量制御バルブについて行った耐食性実験について説明する。実施例サンプル、つまり実験に用いた流量制御バルブは、図1〜図4に示す第一実施形態の流量制御バルブ1である。すなわち、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、略0にした流量制御バルブである。第二切削工程における、径方向段差部23と第一軸方向端面30との軸方向切削量(図9の点線部分の左右方向全長)は、1mmとした。
【0082】
なお、参考例(ただし公知ではない)サンプルとして、球状黒鉛鋳鉄製のハウジング2、ステンレス鋼製の第一筒部材3、第二筒部材4を有するものの、対向部401と径方向段差部23との間に隙間が形成されている流量制御バルブを用いた。
【0083】
耐食性実験は、流量制御バルブの実車使用状況を想定して行った。腐食性物質としては、ディーゼルエンジンの排気ガスの凝縮液を想定して、硫酸腐食液(PH2.3±0.1)を用いた。耐食性実験は、(A)まず超音波振動させた常温の硫酸腐食液に15分間サンプルを浸漬し、(B)次に80℃の硫酸腐食液に25分間サンプルを浸漬し、(C)続いて200℃の空気中で60分間サンプルを乾燥させ、(D)その後10℃の空気中で20分間サンプルを冷却する、という一連のサイクル(A)〜(D)を、6サイクル繰り返し、(E)最後に常温の空気中で12時間サンプル放置することにより、行った(つまり([(A)→(B)→(C)→(D))]×6→(E))。
【0084】
図24に、耐食性実験後の実施例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真を示す。図25に、耐食性実験後の参考例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真を示す。図25に示すように、参考例サンプルの場合、第二筒部材の第二軸方向端面と径方向段差部との間に、隙間が形成されている。このため、径方向段差部が腐食している。具体的には、径方向段差部に、最大0.13mmの腐食が確認できる。また、ガス通路の第一筒部材収容部にも、最大0.06mmの腐食が確認できる。
【0085】
これに対して、図24に示すように、実施例サンプルの場合、第二筒部材の第二軸方向端面と径方向段差部との間に、隙間が形成されていない。このため、径方向段差部が腐食していない。また、ガス通路の第一筒部材収容部も腐食していない。このように、実施例サンプルは、参考例サンプルよりも、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第一実施形態の流量制御バルブの斜視図である。
【図2】同流量制御バルブの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III方向断面図である。
【図4】図3の円IV内の拡大図である。
【図5】第一実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図である。
【図6】同製造方法の第一切削工程の模式図である。
【図7】同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図である。
【図8】同製造方法の第二切削工程の模式図である。
【図9】図8の円IX内の拡大図である。
【図10】同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図である。
【図11】第二実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図である。
【図12】同流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図である。
【図13】同製造方法の第一切削工程の模式図である。
【図14】同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図である。
【図15】同製造方法の第二切削工程の模式図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【図17】図15の円XVII内の拡大図である。
【図18】同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図である。
【図19】第三実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図である。
【図20】図19の円XX内の拡大図である。
【図21】第三実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図である。
【図22】図21の円XXII内の拡大図である。
【図23】第四実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図である。
【図24】耐食性実験後の実施例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真である。
【図25】耐食性実験後の参考例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真である。
【図26】従来の流量制御バルブの断面図である。
【図27】図26の円XXVII内の拡大図である。
【符号の説明】
【0087】
1:流量制御バルブ、2:ハウジング、3:第一筒部材、4:第二筒部材、5:弁体。
20:ガス通路、21:第一筒部材収容部、22:第二筒部材収容部、23:径方向段差部、23D:径方向段差部、23U:径方向段差部、24:シャフト挿通孔、30:第一軸方向端面、40:第二軸方向端面、50:弁本体、51:シャフト、60:弁座、61:面接触構造、62D:面接触構造、62U:面接触構造、63:充填構造、90:フライスカッター、91:フライスカッター、92:フライスカッター、93:フライスカッター。
300:第一区間、302:対向部、303:切欠部、304:凹部、400:第二区間、401:対向部、403:切欠部、610:充填材、630:充填材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の排気ガス再循環システム(Exhaust Gas Recirculation System。以下、「EGRシステム」と称す。)などに用いられる流量制御バルブおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EGRシステムに用いられる流量制御バルブの中には、ガス通路に圧入された二つの筒部材の界面に、弁座を形成するタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。図26に、同タイプの流量制御バルブの断面図を示す。図26に示すように、流量制御バルブ100は、ハウジング101と、第一筒部材102と、第二筒部材103と、弁体111と、を備えている。これらの部材は、全てステンレス鋼製である。ハウジング101の内部には、ガス通路107が形成されている。ガス通路107は、第一筒部材収容部109と、第二筒部材収容部110と、径方向段差部108と、を備えている。
【0003】
第一筒部材102は、第一筒部材収容部109に収容されている。第二筒部材103は、第二筒部材収容部110に収容されている。第一筒部材102と第二筒部材103とは、径方向段差部108付近で、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、軸方向に連なっている。第一筒部材102と第二筒部材103との界面には、全周的に弁座104が形成されている。弁座104は、第一区間105と第二区間106とを備えている。第一区間105は、第一筒部材102の内周縁に略180°に亘って配置されている。第二区間106は、第二筒部材103の内周縁に略180°に亘って配置されている。弁体111が、第一区間105および第二区間106(つまり弁座104)に対して、離座、着座することにより、ガス通路107が開閉される。また、ガス通路107において、弁体111が回動することにより、排気ガスの流量が調整される。
【特許文献1】特開2004−263723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図27に、図26の円XXVII内の拡大図を示す。図27に示すように、ハウジング101のガス通路107には、径方向段差部108が形成されている。径方向段差部108により、第一筒部材102および第二筒部材103が、ガス通路107における所定の位置に、位置決めされている。
【0005】
ここで、第一筒部材102と第二筒部材103とは、軸方向に当接している。しかしながら、第二筒部材103と径方向段差部108との間には、軸方向に隙間C100が形成されている。
【0006】
以下、隙間C100が形成される理由について説明する。すなわち、第一筒部材102および第二筒部材103をハウジング101に取り付ける場合、まず、第一筒部材102を第一筒部材収容部109に圧入する。次いで、第二筒部材103を第二筒部材収容部110に圧入する。ここで、弁座104は、第一筒部材102と第二筒部材103との界面を互いに径方向にずらすことにより、形成される。すなわち、弁座104は、第一筒部材102と第二筒部材103との界面に形成される。このため、弁座104を確実に形成するためには、第一筒部材102と第二筒部材103とを軸方向に突き当てる必要がある。
【0007】
しかしながら、第二筒部材103の圧入量は、径方向段差部108により、規制されている。このため、仮に、第一筒部材102の径方向段差部側の端部(右端部)が、径方向段差部108よりも、軸方向右側に突出していない場合、第一筒部材102と第二筒部材103とが、軸方向に突き当たらないことになる。すなわち、弁座104が形成されないことになる。
【0008】
そこで、第一筒部材102の軸方向全長は、第一筒部材収容部109の軸方向全長よりも、若干長く設定されている。当該軸方向全長の差により、第一筒部材102の右端部は、径方向段差部108よりも、軸方向右側に突出する。そして、第一筒部材102と第二筒部材103とが、確実に当接する。すなわち、弁座104が確実に形成される。ところが、その反面、第二筒部材103と径方向段差部108との間に、軸方向に隙間C100が形成されてしまう。このように、隙間C100は、弁座104を確実に形成するために、言わば不可避的に形成されるものである。
【0009】
ところで、近年、流量制御バルブの製造コスト削減の観点から、ハウジング101の材質の見直しが検討されている。具体的には、ハウジング101の材質として、高価なステンレス鋼の代わりに、安価な鋳鉄を使用することが検討されている。
【0010】
しかしながら、EGRシステムが利用されるディーゼルエンジンの場合、軽油中の硫黄分を含む硫酸系の凝縮液が、ガス通路107の排気ガスから生成される。また、排気ガスは非常に高温である。
【0011】
このため、仮に、従来の流量制御バルブ100のハウジング101を鋳鉄製とすると、図27中に矢印A100で示すように、ガス通路107から隙間C100に高温の硫酸系の凝縮液が進入するおそれがある。そして、当該凝縮液により、ハウジング101の径方向段差部108付近が、腐食するおそれがある。径方向段差部108付近が腐食すると、第一筒部材102の第一筒部材収容部109に対する締め代、あるいは第二筒部材103の第二筒部材収容部110に対する締め代が減少するおそれがある。締め代が減少すると、第一筒部材102あるいは第二筒部材103がハウジング101から脱落するおそれがある。その結果、シール性が低下するおそれがある。
【0012】
本発明の流量制御バルブおよびその製造方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、ハウジングのガス通路の径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブは、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路が形成されたハウジングと、該第一筒部材収容部に収容され、第一軸方向端面を有する第一筒部材と、該第二筒部材収容部に収容され、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、該第一軸方向端面に軸方向に当接する第二軸方向端面を有する第二筒部材と、該第一筒部材および該第二筒部材の径方向内側に回転可能に配置され、一対の該内周縁に配置された弁座に対して離着することにより、該ガス通路を開閉可能な弁体と、を備えてなる流量制御バルブであって、前記ハウジングは、鋳鉄製であり、前記第一筒部材および前記第二筒部材の少なくとも表面は、前記腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製であり、前記第一軸方向端面および前記第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、前記径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有しており、該対向部と該径方向段差部との間には、該対向部と該径方向段差部との間に該腐食性物質が進入するのを抑制するガスシール構造が配置されていることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0014】
本発明の流量制御バルブによると、第一軸方向端面および第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有している。対向部と径方向段差部との間には、ガスシール構造が配置されている。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。このように、本発明の流量制御バルブによると、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい。このため、第一筒部材の第一筒部材収容部に対する締め代、あるいは第二筒部材の第二筒部材収容部に対する締め代が減少しにくい。したがって、第一筒部材あるいは第二筒部材がハウジングから脱落しにくい。その結果、シール性が低下しにくい。
【0015】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を略0にする面接触構造である構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0016】
本構成によると、対向部と径方向段差部との間の隙間を、略0にすることができる。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0017】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を充填材により埋める充填構造である構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0018】
本構成によると、充填材により、対向部と径方向段差部との間の隙間を埋めることができる。このため、対向部と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0019】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブの製造方法は、鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、少なくとも該第一筒部材収容部を切削加工する第一切削工程と、切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、該第一軸方向端面および該径方向段差部および該第二筒部材収容部のうち、少なくとも該第一軸方向端面および該径方向段差部を、一度に切削加工することにより、該第一軸方向端面と該径方向段差部とを略面一に削り揃える第二切削工程と、切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該径方向段差部に突き当てる第二筒部材圧入工程と、を有することを特徴とする(請求項4に対応)。ここで、「切削加工」とは、加工の対象となる面を、所望の形状になるように、削り整えることをいう。
【0020】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第二切削工程において、第一軸方向端面および径方向段差部を、一度に切削加工している。このため、第一軸方向端面と径方向段差部とを略面一に削り揃えることができる。したがって、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材の第二軸方向端面を、互いに略面一の第一軸方向端面および径方向段差部に、当接させることができる。すなわち、第二軸方向端面と、第一軸方向端面および径方向段差部と、の間の隙間を略0にすることができる。このため、第二軸方向端面と、第一軸方向端面および径方向段差部と、の間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0021】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第一軸方向端面と径方向段差部とを一度に切削加工するという簡単な作業により、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブを製造することができる。
【0022】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、さらに、前記第二切削工程と前記第二筒部材圧入工程との間に、少なくとも前記径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程を有する構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0023】
本構成によると、第二軸方向端面と径方向段差部との間の隙間を略0にした上で、当該隙間に充填材を配置することができる。このため、第二軸方向端面と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0024】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明の流量制御バルブの製造方法は、鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、該第一筒部材収容部、該第二筒部材収容部、該径方向段差部を切削加工する全面切削工程と、切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、少なくとも該径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程と、切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該充填材に突き当てる第二筒部材圧入工程と、を有することを特徴とする(請求項6に対応)。ここで、「切削加工」とは、加工の対象となる面を、所望の形状になるように、削り整えることをいう。
【0025】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材と第一筒部材とを当接させることにより、第二軸方向端面と径方向段差部との間に、充填材を充填することができる。すなわち、第二軸方向端面と径方向段差部との間の隙間を埋めることができる。このため、第二軸方向端面と径方向段差部との間に腐食性物質が進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジングの径方向段差部付近が、腐食性物質に曝されにくい。
【0026】
本発明の流量制御バルブの製造方法によると、径方向段差部と第一軸方向端面とを略面一に削り揃える必要がない。このため、切削加工が容易である。また、煩雑な切削工程を複数回に分割して行う必要がない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、ハウジングのガス通路の径方向段差部付近が腐食しにくい流量制御バルブおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の流量制御バルブおよびその製造方法を、EGRシステムに用いられる流量制御バルブおよびその製造方法として具現化した実施の形態について説明する。
【0029】
<第一実施形態>
[流量制御バルブの配置]
まず、本実施形態のバルブアセンブリの配置について簡単に説明する。図示しない車両(ディーゼルエンジン車)には、エキゾーストマニホールドとインテークマニホールドとを連結するEGRパイプが配置されている。バルブアセンブリは、当該EGRパイプに装着されている。バルブアセンブリを開閉することにより、EGRパイプを流れる排気ガスの流量を制御することができる。
【0030】
[流量制御バルブの構成]
次に、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図1に、本実施形態の流量制御バルブの斜視図を示す。図2に、同流量制御バルブの分解斜視図を示す。図3に、図1のIII−III方向断面図を示す。図4に、図3の円IV内の拡大図を示す。図1〜図4に示すように、本実施形態の流量制御バルブ1は、ハウジング2と、第一筒部材3と、第二筒部材4と、弁体5と、面接触構造61と、を備えている。
【0031】
ハウジング2は、球状黒鉛鋳鉄(FCD)製である。ハウジング2には、ガス通路20と、シャフト挿通孔24と、が形成されている。ガス通路20は、ハウジング2の下面と右面とを、L字状に貫通している。ガス通路20の右側開口付近には、第一筒部材収容部21と、第二筒部材収容部22と径方向段差部23とが形成されている。
【0032】
第二筒部材収容部22は、円孔状を呈している。第二筒部材収容部22は、ガス通路20の右側開口から、左方に延在している。第一筒部材収容部21は、円孔状を呈している。第一筒部材収容部21は、第二筒部材収容部22の左端から、左方に延在している。第一筒部材収容部21は、第二筒部材収容部22よりも、小径である。また、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに径方向(上下方向)にずれている。具体的には、第一筒部材収容部21の軸線は、第二筒部材収容部22の軸線に対して、上方にずれている。
【0033】
径方向段差部23は、第一筒部材収容部21の右端と、第二筒部材収容部22の左端と、の間に介在している。径方向段差部23は、径方向に延在する略平面状を呈している。シャフト挿通孔24は、ガス通路20を直径方向(前後方向)に貫通している。シャフト挿通孔24は、径方向段差部23に配置されている。
【0034】
第一筒部材3は、ステンレス鋼製であって、短軸円筒状を呈している。第一筒部材3は、第一筒部材収容部21に収容されている。第一筒部材3の右端には、略平面状の第一軸方向端面30が配置されている。第一軸方向端面30には、一対の切欠部303が形成されている。一対の切欠部303は、前後方向に離間して配置されている。切欠部303は、右方に開口する略C字状を呈している。また、第一軸方向端面30は、径方向段差部23と、略面一である。
【0035】
第二筒部材4は、ステンレス鋼製であって、短軸円筒状を呈している。第二筒部材4は、第二筒部材収容部22に収容されている。第二筒部材4の左端には、略平面状の第二軸方向端面40が配置されている。第二軸方向端面40には、一対の切欠部403が形成されている。一対の切欠部403は、前後方向に離間して配置されている。切欠部403は、左方に開口する略C字状を呈している。
【0036】
第二筒部材4の一対の切欠部403は、第一筒部材3の一対の切欠部303と、軸方向(左右方向)に連なっている。すなわち、一対の切欠部303と一対の切欠部403とにより、一対の合体孔が形成される。一対の合体孔は、前記シャフト挿通孔24と、前後方向に連なっている。
【0037】
また、第二筒部材4の第二軸方向端面40は、第一筒部材3の第一軸方向端面30と、左右方向に面接触している。前述したように、第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに上下方向にずれている。このため、第一軸方向端面30の内周縁と第二軸方向端面40の内周縁とは、互いに上下方向にずれている。第一軸方向端面30の内周縁には、弁座60の第一区間300が配置されている。第一区間300は、内周縁の下半分、略180°に亘って配置されている。これに対して、第二軸方向端面40の内周縁には、弁座60の第二区間400が配置されている。第二区間400は、内周縁の上半分、略180°に亘って配置されている。すなわち、これら第一区間300および第二区間400により、弁座60が形成されている。
【0038】
また、第二軸方向端面40は、対向部401を有している。対向部401は、径方向段差部23と、左右方向に面接触している。すなわち、第二軸方向端面40は、径方向段差部23および第一軸方向端面30と、左右方向に面接触している。このように、本実施形態の流量制御バルブ1は、対向部401と径方向段差部23とが面接触することにより、面接触構造61を確保している。
【0039】
弁体5は、弁本体50とシャフト51とを備えている。シャフト51は、ステンレス鋼製であって、丸棒状を呈している。シャフト51は、前記シャフト挿通孔24および一対の合体孔(一対の切欠部303と一対の切欠部403とにより形成される)に、挿通されている。また、シャフト51は、ガス通路20を前後方向に横切っている。
【0040】
弁本体50は、ステンレス鋼製であって、円板状を呈している。弁本体50は、シャフト51に固定されている。図3に示すように、弁本体50は、ガス通路20に配置されている。弁本体50は、シャフト51の軸周りに、回動可能である。弁本体50の外周縁が、弁座60(第一区間300、第二区間400)に対して、離着することにより、ガス通路20を開閉することができる。また、弁本体50の回動角度を変えることにより、ガス通路20の通路断面積つまり排気ガスの流量を、調整することができる。
【0041】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、第一切削工程と、第一筒部材圧入工程と、第二切削工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0042】
図5に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図を示す。図6に、同製造方法の第一切削工程の模式図を示す。図7に、同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図を示す。図8に、同製造方法の第二切削工程の模式図を示す。図9に、図8の円IX内の拡大図を示す。図10に、同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図を示す。
【0043】
ガス通路形成工程においては、図5に示すように、鋳造により、ハウジング2を作製する。また、鋳造の際、ハウジング2に、ガス通路20と、シャフト挿通孔24と、を形成する。
【0044】
第一切削工程においては、図6に太線で示すように、隣接部材に対するハウジング2の取付面(上面、下面、右面)を切削加工する。並びに、ガス通路20内周面を切削加工する。具体的には、第二筒部材収容部22の右端開口から、ガス通路20内に、フライスカッター90を挿入する。そして、フライスカッター90により、第一筒部材収容部21の内周面を切削加工する。なお、フライスカッター90を移動させる際、第二筒部材収容部22の内周面および径方向段差部23の表面も、切削加工される。第一筒部材圧入工程においては、図7に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第一筒部材収容部21に、第一筒部材3を圧入する。
【0045】
第二切削工程においては、図8に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22内に、フライスカッター91を挿入する。そして、図8に太線で示すように、フライスカッター91により、第二筒部材収容部22の内周面を切削加工する。また、図9に示すように、第一筒部材3の第一軸方向端面30、径方向段差部23の表面を、フライスカッター91により、一度に切削加工する。図9に点線で示すように、第二切削工程前においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23とは、面一ではない。これに対して、図9に実線で示すように、第二切削工程後においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23とが、略面一に削り揃えられる。
【0046】
第二筒部材圧入工程においては、図10に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22に、第二筒部材4を圧入する。前述したように、径方向段差部23と第一軸方向端面30とは、略面一に削り揃えられている。このため、前出図4に示すように、第二筒部材4の第二軸方向端面40は、径方向段差部23および第一軸方向端面30に、面接触する。
【0047】
その後、前出図2に示すように、第一筒部材3に切欠部303を、第二筒部材4に切欠部403を、各々形成する。それから、シャフト51を、シャフト挿通孔24に挿通する。そして、シャフト51に、第二筒部材収容部22の右端開口から、弁本体50を装着する。このようにして、弁体5を、ハウジング2に取り付ける。以上説明した工程を経て、本実施形態の流量制御バルブ1は製造される。
【0048】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。ディーゼルエンジンの場合、軽油中の硫黄分を含む硫酸系の凝縮液が、ガス通路20の排気ガスから生成される。なお、凝縮液は、本発明の腐食性物質に含まれる。
【0049】
この点、本実施形態の流量制御バルブ1によると、図4に示すように、第二軸方向端面40が、径方向段差部23と軸方向に対向する対向部401を有している。対向部401と径方向段差部23との間には、面接触構造61が配置されている。このため、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、略0にすることができる。
【0050】
また、本実施形態の流量制御バルブ1によると、対向部401と径方向段差部23との間に、排気ガスから生成される凝縮液が、進入しにくい。したがって、ハウジング2の径方向段差部23付近が、凝縮液に曝されにくい。このように、本実施形態の流量制御バルブ1によると、ハウジング2の径方向段差部23付近が腐食しにくい。このため、第一筒部材3の第一筒部材収容部21に対する締め代、あるいは第二筒部材4の第二筒部材収容部22に対する締め代が減少しにくい。したがって、第一筒部材3あるいは第二筒部材4がハウジング2から脱落しにくい。よって、シール性が低下しにくい。
【0051】
また、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、図9に示すように、第二切削工程において、第一軸方向端面30および径方向段差部23を一度に切削加工することで、第一軸方向端面30と径方向段差部23とを、略面一に削り揃えることができる。このため、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4の第二軸方向端面40を、径方向段差部23および第一軸方向端面30に、当接させることができる。すなわち、第二軸方向端面40と、径方向段差部23および第一軸方向端面30と、の間の隙間を略0にすることができる。このように、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、簡単に、径方向段差部23付近が腐食しにくい流量制御バルブ1を製造することができる。
【0052】
<第二実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、ガス通路が直線状に延在している点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第一筒部材圧入工程における第一筒部材の圧入方向と、第二筒部材圧入工程における第二筒部材の圧入方向と、が反対になっている点である。したがって、ここでは、主に相違点についてのみ説明する。
【0053】
[流量制御バルブの構成]
まず、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図11に、本実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0054】
図11に示すように、ガス通路20は、左右方向に延在する直線状を呈している。第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、略同径である。第一筒部材収容部21と第二筒部材収容部22とは、互いに径方向(上下方向)にずれている。具体的には、第一筒部材収容部21の軸線は、第二筒部材収容部22の軸線に対して、上方にずれている。
【0055】
径方向段差部23U、23Dは、第一筒部材収容部21の右端と、第二筒部材収容部22の左端と、の間に介在している。径方向段差部23Uは、上半分、略180°に亘って延在している。径方向段差部23Uは、左方を向いている。これに対して、径方向段差部23Dは、下半分、略180°に亘って延在している。径方向段差部23Dは、右方を向いている。
【0056】
第一筒部材3は、第一筒部材収容部21に収容されている。第一筒部材3の右端には、第一軸方向端面30が配置されている。第一軸方向端面30には、上半分、略180°に亘って、対向部302が配置されている。対向部302は、径方向段差部23Uと面接触している。すなわち、対向部302と径方向段差部23Uとが面接触することにより、対向部302と径方向段差部23Uとの間に、面接触構造62Uが確保されている。
【0057】
第二筒部材4は、第二筒部材収容部22に収容されている。第二筒部材4の左端には、第二軸方向端面40が配置されている。第二軸方向端面40には、下半分、略180°に亘って、対向部401が配置されている。対向部401は、径方向段差部23Dと面接触している。すなわち、対向部401と径方向段差部23Dとが面接触することにより、対向部401と径方向段差部23Dとの間に、面接触構造62Dが確保されている。
【0058】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、第一切削工程と、第一筒部材圧入工程と、第二切削工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0059】
図12に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図を示す。図13に、同製造方法の第一切削工程の模式図を示す。図14に、同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図を示す。図15に、同製造方法の第二切削工程の模式図を示す。図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。図17に、図15の円XVII内の拡大図を示す。図18に、同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図を示す。なお、これらの図において、図5〜図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0060】
ガス通路形成工程においては、図12に示すように、鋳造により、ハウジング2を作製する。第一切削工程においては、図13に太線で示すように、隣接部材に対するハウジング2の取付面(上面、左面、右面)を切削加工する。並びに、フライスカッター92により、第一筒部材収容部21の内周面を切削加工する。フライスカッター92は、第一筒部材収容部21の左端開口から、第一筒部材収容部21内に挿入する。第一筒部材圧入工程においては、図14に示すように、第一筒部材収容部21の左端開口から、第一筒部材収容部21に、第一筒部材3を圧入する。第一筒部材3は、第一軸方向端面30が径方向段差部23Uに当接するまで、圧入される。
【0061】
第二切削工程においては、図15に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22内に、フライスカッター93を挿入する。そして、図15に太線で示すように、フライスカッター93により、第二筒部材収容部22の内周面を切削加工する。また、図16に示すように、第一軸方向端面30、径方向段差部23Dの表面を、フライスカッター93により、切削加工する。第二切削工程後においては、第一軸方向端面30と径方向段差部23Dとが、略面一に削り揃えられる。並びに、図17に示すように、第一軸方向端面30のうち、径方向段差部23Uから径方向内側に張り出した部分を、フライスカッター93により、切削加工する。当該切削加工により、第一軸方向端面30に凹部304が形成される。なお、凹部304の深さ(左右方向全長)は、径方向段差部23Dに対するフライスカッター93の切削量(図16参照)に対応している。
【0062】
第二筒部材圧入工程においては、図18に示すように、第二筒部材収容部22の右端開口から、第二筒部材収容部22に、第二筒部材4を圧入する。第二筒部材4の第二軸方向端面40は、図16に示す径方向段差部23D、および第一軸方向端面30に、面接触する。並びに、第二軸方向端面40は、図17に示す凹部304の右向きの底面(つまり第一軸方向端面30)に、面接触する。
【0063】
その後、第一筒部材3、第二筒部材4に、各々、切欠部を形成する(前出図2参照)。それから、シャフト51を、シャフト挿通孔24に挿通する。そして、シャフト51に、ガス通路20の左端開口あるいは右端開口から、弁本体50を装着する。このようにして、本実施形態の流量制御バルブ1は製造される。
【0064】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0065】
また、本実施形態の流量制御バルブ1のように、ガス通路20に対する、第一筒部材3の圧入方向と、第二筒部材4の圧入方向とが、反対であっても、対向部302と径方向段差部23Uとの間に、面接触構造62Uを確保することができる。並びに、対向部401と径方向段差部23Dとの間に、面接触構造62Dを確保することができる。
【0066】
また、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、図17に示すように、第二切削工程において、第一筒部材3に凹部304が形成される。このため、径方向段差部23U、23Dの左右方向位置のずれを吸収することができる。したがって、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4の第二軸方向端面40を、図16に示す径方向段差部23Dおよび第一軸方向端面30に、面接触させることができる。並びに、第二軸方向端面40を、図17に示す凹部304の右向きの底面(第一軸方向端面30)に、面接触させることができる。
【0067】
<第三実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、面接触構造の代わりに、充填構造が配置されている点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第一筒部材収容部、第二筒部材収容部、径方向段差部の切削加工が、単一の工程で行われる点である。したがって、ここでは、主に相違点についてのみ説明する。
【0068】
[流量制御バルブの構成]
まず、本実施形態の流量制御バルブの構成について説明する。図19に、本実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図を示す。図20に、図19の円XX内の拡大図を示す。なお、図19、図20において、図3、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0069】
図19、図20に示すように、対向部401と径方向段差部23との間の隙間には、液状の充填材630(日本ペイント株式会社製テツゾール600)が介在している。このように、本実施形態の流量制御バルブ1は、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、充填材630で埋めることで、充填構造63を確保している。
【0070】
[流量制御バルブの製造方法]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法は、ガス通路形成工程と、全面切削工程と、第一筒部材圧入工程と、充填材配置工程と、第二筒部材圧入工程と、を有している。
【0071】
図21に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図を示す。図22に、図21の円XXII内の拡大図を示す。なお、図21、図22において、図5〜図10と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0072】
ガス通路形成工程においては、図5同様に、鋳造により、ハウジング2を作製する。全面切削工程においては、図6同様に、フライスカッターにより、第一筒部材収容部21の内周面、径方向段差部23の表面、第二筒部材収容部22の内周面を、切削加工する。第一筒部材圧入工程においては、図7同様に、第一筒部材3を第一筒部材収容部21に圧入する。充填材配置工程においては、図21、図22に示すように、径方向段差部23の表面に充填材630を塗布する。第二筒部材圧入工程においては、図10同様に、第二筒部材4を第二筒部材収容部22に圧入する。そして、図20に示すように、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、充填材630により埋める。
【0073】
[作用効果]
次に、本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の流量制御バルブ1およびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0074】
本実施形態の流量制御バルブ1の製造方法によると、第二筒部材圧入工程において、第二筒部材4と第一筒部材3とを当接させることにより、対向部401と径方向段差部23との間に、充填材630を充填することができる。すなわち、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を埋めることができる。このため、対向部401と径方向段差部23との間に、排気ガスから生成される硫酸系の凝縮液が、進入しにくい。したがって、鋳鉄製のハウジング2の径方向段差部23付近が、凝縮液に曝されにくい。
【0075】
<第四実施形態>
本実施形態の流量制御バルブと、第一実施形態の流量制御バルブと、の相違点は、面接触構造の代わりに、面接触−充填構造が配置されている点である。また、本実施形態の流量制御バルブの製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブの製造方法と、の相違点は、第二切削工程と第二筒部材圧入工程との間に、充填材配置工程を有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0076】
図23に、本実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。第二切削工程においては、前出図9に示すように、径方向段差部23に切削加工を施す。充填材配置工程においては、図23に示すように、切削加工後の径方向段差部23に、液状の充填材610(日本ペイント株式会社製テツゾール600)を塗布する。第二筒部材圧入工程においては、前出図10に示すように、第二筒部材収容部に第二筒部材を圧入する。
【0077】
本実施形態の流量制御バルブによると、前出図4に示す対向部401と径方向段差部23との間には、液状の充填材610が介在している。すなわち、本実施形態の流量制御バルブは、対向部401と径方向段差部23とを、充填材610を介して、面接触させることにより、面接触−充填構造を確保している。
【0078】
本実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法と、第一実施形態の流量制御バルブおよびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の流量制御バルブによると、対向部401と径方向段差部23との間に、液状の充填材610が介在している。このため、より確実に、対向部401と径方向段差部23との間を封止することができる。
【0079】
<その他>
以上、本発明の流量制御バルブ1およびその製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。例えば、上記実施形態の流量制御バルブ1においては、ハウジング2を球状黒鉛鋳鉄製としたが、ねずみ鋳鉄(FC)製としてもよい。また、上記実施形態の流量制御バルブ1においては、第一筒部材3、第二筒部材4をステンレス鋼製としたが、アルミニウム合金製としてもよい。また、鋳鉄製の第一筒部材3、第二筒部材4の表面を、鋳鉄よりも耐食性の高いめっきやコート材などで、被覆してもよい。
【0080】
また、充填材610、630の材質も特に限定しない。液状の他、ゲル状、固体状の充填材を用いてもよい。また、充填材610、630として、塗料を用いてもよい。一例として、シリコーン系耐熱塗料(例えば株式会社スリーボンド製TB1207)などを用いてもよい。
【実施例】
【0081】
以下、本発明の流量制御バルブについて行った耐食性実験について説明する。実施例サンプル、つまり実験に用いた流量制御バルブは、図1〜図4に示す第一実施形態の流量制御バルブ1である。すなわち、対向部401と径方向段差部23との間の隙間を、略0にした流量制御バルブである。第二切削工程における、径方向段差部23と第一軸方向端面30との軸方向切削量(図9の点線部分の左右方向全長)は、1mmとした。
【0082】
なお、参考例(ただし公知ではない)サンプルとして、球状黒鉛鋳鉄製のハウジング2、ステンレス鋼製の第一筒部材3、第二筒部材4を有するものの、対向部401と径方向段差部23との間に隙間が形成されている流量制御バルブを用いた。
【0083】
耐食性実験は、流量制御バルブの実車使用状況を想定して行った。腐食性物質としては、ディーゼルエンジンの排気ガスの凝縮液を想定して、硫酸腐食液(PH2.3±0.1)を用いた。耐食性実験は、(A)まず超音波振動させた常温の硫酸腐食液に15分間サンプルを浸漬し、(B)次に80℃の硫酸腐食液に25分間サンプルを浸漬し、(C)続いて200℃の空気中で60分間サンプルを乾燥させ、(D)その後10℃の空気中で20分間サンプルを冷却する、という一連のサイクル(A)〜(D)を、6サイクル繰り返し、(E)最後に常温の空気中で12時間サンプル放置することにより、行った(つまり([(A)→(B)→(C)→(D))]×6→(E))。
【0084】
図24に、耐食性実験後の実施例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真を示す。図25に、耐食性実験後の参考例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真を示す。図25に示すように、参考例サンプルの場合、第二筒部材の第二軸方向端面と径方向段差部との間に、隙間が形成されている。このため、径方向段差部が腐食している。具体的には、径方向段差部に、最大0.13mmの腐食が確認できる。また、ガス通路の第一筒部材収容部にも、最大0.06mmの腐食が確認できる。
【0085】
これに対して、図24に示すように、実施例サンプルの場合、第二筒部材の第二軸方向端面と径方向段差部との間に、隙間が形成されていない。このため、径方向段差部が腐食していない。また、ガス通路の第一筒部材収容部も腐食していない。このように、実施例サンプルは、参考例サンプルよりも、ハウジングの径方向段差部付近が腐食しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第一実施形態の流量制御バルブの斜視図である。
【図2】同流量制御バルブの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III方向断面図である。
【図4】図3の円IV内の拡大図である。
【図5】第一実施形態の流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図である。
【図6】同製造方法の第一切削工程の模式図である。
【図7】同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図である。
【図8】同製造方法の第二切削工程の模式図である。
【図9】図8の円IX内の拡大図である。
【図10】同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図である。
【図11】第二実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図である。
【図12】同流量制御バルブの製造方法のガス通路形成工程の模式図である。
【図13】同製造方法の第一切削工程の模式図である。
【図14】同製造方法の第一筒部材圧入工程の模式図である。
【図15】同製造方法の第二切削工程の模式図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【図17】図15の円XVII内の拡大図である。
【図18】同製造方法の第二筒部材圧入工程の模式図である。
【図19】第三実施形態の流量制御バルブの軸方向断面図である。
【図20】図19の円XX内の拡大図である。
【図21】第三実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図である。
【図22】図21の円XXII内の拡大図である。
【図23】第四実施形態の流量制御バルブの製造方法の充填材配置工程の模式図である。
【図24】耐食性実験後の実施例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真である。
【図25】耐食性実験後の参考例サンプルの径方向段差部付近の拡大断面写真である。
【図26】従来の流量制御バルブの断面図である。
【図27】図26の円XXVII内の拡大図である。
【符号の説明】
【0087】
1:流量制御バルブ、2:ハウジング、3:第一筒部材、4:第二筒部材、5:弁体。
20:ガス通路、21:第一筒部材収容部、22:第二筒部材収容部、23:径方向段差部、23D:径方向段差部、23U:径方向段差部、24:シャフト挿通孔、30:第一軸方向端面、40:第二軸方向端面、50:弁本体、51:シャフト、60:弁座、61:面接触構造、62D:面接触構造、62U:面接触構造、63:充填構造、90:フライスカッター、91:フライスカッター、92:フライスカッター、93:フライスカッター。
300:第一区間、302:対向部、303:切欠部、304:凹部、400:第二区間、401:対向部、403:切欠部、610:充填材、630:充填材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路が形成されたハウジングと、
該第一筒部材収容部に収容され、第一軸方向端面を有する第一筒部材と、
該第二筒部材収容部に収容され、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、該第一軸方向端面に軸方向に当接する第二軸方向端面を有する第二筒部材と、
該第一筒部材および該第二筒部材の径方向内側に回転可能に配置され、一対の該内周縁に配置された弁座に対して離着することにより、該ガス通路を開閉可能な弁体と、
を備えてなる流量制御バルブであって、
前記ハウジングは、鋳鉄製であり、
前記第一筒部材および前記第二筒部材の少なくとも表面は、前記腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製であり、
前記第一軸方向端面および前記第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、前記径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有しており、
該対向部と該径方向段差部との間には、該対向部と該径方向段差部との間に該腐食性物質が進入するのを抑制するガスシール構造が配置されていることを特徴とする流量制御バルブ。
【請求項2】
前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を略0にする面接触構造である請求項1に記載の流量制御バルブ。
【請求項3】
前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を充填材により埋める充填構造である請求項1または請求項2に記載の流量制御バルブ。
【請求項4】
鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、
少なくとも該第一筒部材収容部を切削加工する第一切削工程と、
切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、
該第一軸方向端面および該径方向段差部および該第二筒部材収容部のうち、少なくとも該第一軸方向端面および該径方向段差部を、一度に切削加工することにより、該第一軸方向端面と該径方向段差部とを略面一に削り揃える第二切削工程と、
切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該径方向段差部に突き当てる第二筒部材圧入工程と、
を有する流量制御バルブの製造方法。
【請求項5】
さらに、前記第二切削工程と前記第二筒部材圧入工程との間に、少なくとも前記径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程を有する請求項4に記載の流量制御バルブの製造方法。
【請求項6】
鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、
該第一筒部材収容部、該第二筒部材収容部、該径方向段差部を切削加工する全面切削工程と、
切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、
少なくとも該径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程と、
切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該充填材に突き当てる第二筒部材圧入工程と、
を有する流量制御バルブの製造方法。
【請求項1】
第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路が形成されたハウジングと、
該第一筒部材収容部に収容され、第一軸方向端面を有する第一筒部材と、
該第二筒部材収容部に収容され、内周縁同士が互いに径方向にずれた状態で、該第一軸方向端面に軸方向に当接する第二軸方向端面を有する第二筒部材と、
該第一筒部材および該第二筒部材の径方向内側に回転可能に配置され、一対の該内周縁に配置された弁座に対して離着することにより、該ガス通路を開閉可能な弁体と、
を備えてなる流量制御バルブであって、
前記ハウジングは、鋳鉄製であり、
前記第一筒部材および前記第二筒部材の少なくとも表面は、前記腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製であり、
前記第一軸方向端面および前記第二軸方向端面のうち少なくとも一方は、前記径方向段差部と軸方向に対向する対向部を有しており、
該対向部と該径方向段差部との間には、該対向部と該径方向段差部との間に該腐食性物質が進入するのを抑制するガスシール構造が配置されていることを特徴とする流量制御バルブ。
【請求項2】
前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を略0にする面接触構造である請求項1に記載の流量制御バルブ。
【請求項3】
前記ガスシール構造は、前記対向部と前記径方向段差部との間の隙間を充填材により埋める充填構造である請求項1または請求項2に記載の流量制御バルブ。
【請求項4】
鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、
少なくとも該第一筒部材収容部を切削加工する第一切削工程と、
切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、
該第一軸方向端面および該径方向段差部および該第二筒部材収容部のうち、少なくとも該第一軸方向端面および該径方向段差部を、一度に切削加工することにより、該第一軸方向端面と該径方向段差部とを略面一に削り揃える第二切削工程と、
切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該径方向段差部に突き当てる第二筒部材圧入工程と、
を有する流量制御バルブの製造方法。
【請求項5】
さらに、前記第二切削工程と前記第二筒部材圧入工程との間に、少なくとも前記径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程を有する請求項4に記載の流量制御バルブの製造方法。
【請求項6】
鋳鉄製のハウジングに、第一筒部材収容部と、該第一筒部材収容部の軸方向に隣接して配置される第二筒部材収容部と、該第一筒部材収容部と該第二筒部材収容部との間に介在する径方向段差部と、を有し、腐食性物質を生成するガスが通過するガス通路を、形成するガス通路形成工程と、
該第一筒部材収容部、該第二筒部材収容部、該径方向段差部を切削加工する全面切削工程と、
切削加工後の該第一筒部材収容部に、該腐食性物質に対する耐食性が鋳鉄よりも高い高耐食材製の表面を有すると共に第一軸方向端面を有する第一筒部材を、軸方向から圧入する第一筒部材圧入工程と、
少なくとも該径方向段差部に充填材を配置する充填材配置工程と、
切削加工後の該第二筒部材収容部に、該高耐食材製の表面を有すると共に第二軸方向端面を有する第二筒部材を、軸方向から圧入し、該第二軸方向端面を該第一軸方向端面および該充填材に突き当てる第二筒部材圧入工程と、
を有する流量制御バルブの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図26】
【図27】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図26】
【図27】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−7776(P2010−7776A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168583(P2008−168583)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000207791)大豊工業株式会社 (152)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000207791)大豊工業株式会社 (152)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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