流量計
【課題】接続される配管部材を含む配管構成による流量の精度悪化を防止することができる流量計を提供する。
【解決手段】分流式流量計1は、配管部材P1,P2に接続され、接続された配管部材P1,P2と連通する主流路11が設けられた主流路保持体10と、接続された配管部材P1,P2に関する情報が入力される入出力装置35と、分流路25を流れる流体の流量を検出する流れセンサ8と、入力された情報に基づいて、検出された流体の流量を補正する補正処理301と、を備える。
【解決手段】分流式流量計1は、配管部材P1,P2に接続され、接続された配管部材P1,P2と連通する主流路11が設けられた主流路保持体10と、接続された配管部材P1,P2に関する情報が入力される入出力装置35と、分流路25を流れる流体の流量を検出する流れセンサ8と、入力された情報に基づいて、検出された流体の流量を補正する補正処理301と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、例えば気体、液体などの流体の流量を検出する流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主流路及びバイパス流路を備え、バイパス流路に熱式流量センサが配置された分流式流量センサ装置において、整流手段を備えたものが知られている。この分流式流量センサ装置は、主流路を形成する主流路モジュールの上流側に備えられた整流手段によって、分流前の主流路における流路断面内の流量分布が均一になり、測定精度が向上する。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−300365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、流量計では、所定範囲の精度で流量を検出するためには、十分に長い直線状の部分(以下、直管部という)を有し、かつ、所定の内径を有する配管部材に接続されることが推奨されている。
【0005】
一方、近年、流量計を様々な配管構成に設ける要望が高まっており、流量計は必ずしも推奨される配管構成に接続されるとは限らなかった。その結果、推奨される配管構成に設置されなかった場合に、流量の精度が悪化するという問題があった。特に、分流式流量計において検出される流量の精度悪化が顕著であった。例えば、推奨される配管部材より小さい内径の配管部材に接続されると、主流路から分流路に分流するために設けられる差圧発生構造(例えば、オリフィスなど)によって、分流路へ分流される流量が少なくなり、分流路に設けられた流れセンサへの影響が大きかった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、接続される配管部材を含む配管構成による流量の精度悪化を防止することができる流量計を提供することを目的の1つとする。
尚、ここで接続された配管部材を含む配管構成とは、精度影響を及ぼす配管仕様、接続機器、配管レイアウト等を含む。配管仕様とは、配管の内径等があり、接続機器ではエルボ、整流部材、フィルタ、レギュレータ、弁、継手等があり、配管レイアウトでは直管部の長さや、L型などの配管等がある。また、蛇腹配管等の脈動を起こす配管部材、機器も含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流量計は、配管部材に接続され、該接続された配管部材と連通する流路が設けられた流路保持体と、該接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力される入力手段と、流路を流れる流体の流量を検出する流量検出手段と、入力された情報に基づいて、前記検出された流体の流量を補正する補正手段と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力され、当該入力された情報に基づいて、検出された流体の流量(検出流量)が補正される。一般に、流量検出手段により検出された流路を流れる流体の流量(検出流量)は、当該流路が設けられた流路保持体に接続され、当該流路と連通する配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、検出された流体の流量(検出流量)を補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流量計によれば、流路保持体に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、検出された流量(検出流量)を補正することが可能となる。これにより、接続される配管構成による検出された流量(検出流量)の精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態における分流式流量計の斜視図である。
【図2】図1に示した分流式流量計の側方断面図である。
【図3】配管部材が接続された分流式流量計の一例を示す側方断面図である。
【図4】図1に示した主流路保持体の上面図である。
【図5】図4に示したIV−IV線矢視方向断面図である。
【図6】図4に示したV−V線矢視方向断面図である。
【図7】図2に示した流れセンサの斜視図である。
【図8】図7に示したVIII−VIII線矢視方向断面図である。
【図9】配管部材が接続された分流式流量計の他の例を示す側方断面図である。
【図10】図2に示した補正処理の前後における流体の流量を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態における分流式流量計の側方断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態の変形例における分流式流量計の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1実施形態)
図1乃至図10は、本発明に係る流量計の第1実施形態を示すものである。図1は、本発明の第1実施形態における分流式流量計の斜視図である。図1に示すように、第1実施形態における流量計は、例えば分流式流量計1である。分流式流量計1は、主流路11が設けられた主流路保持体10と、主流路保持体10に対して着脱可能な分流路保持体30とを備える。分流路保持体30の上部には、入出力装置35が配置される。入出力装置35は、例えばLEDなどの発光体や液晶ディスプレイなどから構成される出力部(図示せず)と、入力キーなどを有しており、各種設定や情報、特に後述の配管部材に関する情報を入力可能な入力部(図示せず)とを備える。
【0013】
図2は、図1に示した分流式流量計の側方断面図である。図2に示すように、主流路保持体10には、主流路11に通じる一対の分流孔4a,4bと、一対の分流孔4a,4bの間の主流路11内に配置された差圧発生構造12と、が設けられている。分流路保持体30には、一対の分流孔4a,4bを介して主流路11と連通する分流路25が設けられている。
【0014】
また、分流式流量計1は、分流路25を流れる流体の流量を検出するために分流路保持体30に配置された流れセンサ8と、流れセンサ8に電気的に接続され、分流路保持体30に配置された中央演算処理装置(以下、CPUという)300を備える。CPU300には、例えばDRAMなどの揮発性メモリから構成され、入出力装置35が接続され、各種情報、例えば、流体の流量を補正するための計算式を記憶する計算式記憶装置400とが接続されている。なお、図2に示すCPU300及び計算式記憶装置400は模式的に描かれており、実際には、マイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、I/O回路などを含んで構成される。
【0015】
図3は、配管部材が接続された分流式流量計の一例を示す側方断面図である。図1及び図2に示す六面体の主流路保持体10において、対向する二面に注入口13及び排出口14が設けられている。図2に示す注入口13及び排出口14のそれぞれには、図3に示すように、ガスや液体などの流体を通す配管部材P1,P2が挿入される。これにより、主流路保持体10の上流側(図3における左側)及び下流側(図3における右側)に配管部材P1,P2が接続される。主流路保持体10の内部に設けられた主流路11は、注入口13から排出口14に貫通しており、配管部材P1,P2と連通する。主流路保持体10に接続される配管部材P1,P2のそれぞれは、分流式流量計1に推奨される配管部材であり、所定の長さの直管部(図示せず)を有するとともに、所定の内径r1,r2を有する。
【0016】
主流路11の一部に、主流路11の内径を狭める差圧発生構造12が設けられている。差圧発生構造12によって、主流路11の注入口13側と排出口14側の間で、流体の流速に応じた差圧が発生する。差圧発生構造12は、例えばオリフィス又はベンチュリーである。
【0017】
図4は図1に示した主流路保持体の上面図であり、図5は図4に示したIV−IV線矢視方向断面図であり、図6は図4に示したV−V線矢視方向断面図である。図4乃至図6に示すように、主流路保持体10の主流路11と平行な面には、凹部16が設けられている。凹部16から主流路11の上流に分流孔4aが貫通するとともに、凹部16から主流路11の下流に分流孔4bが貫通している。主流路保持体10の材料としては、例えば、金属又は樹脂などが使用可能である。
【0018】
主流路保持体10の凹部16を覆うように、図1及び図2に示した分流路保持体30が着脱自在に配置される。このとき、分流路保持体30で覆われた凹部16が、分流孔4a,4bを接続する分流路25の一部をなしてもよい。主流路11の上流から流れてきた流体は、差圧発生構造12によって一部が分流孔4aに流入する。分流孔4aに流入した流体は、分流路25を流れ、分流孔4bから主流路11に流出する。
【0019】
ここで、分流孔4a,4bの断面積が相対的に小さい場合、主流路11を流れる流体の流量に対する、分流孔4a、分流路25、及び分流孔4bを流れる流体の流量の比率、すなわち、分流比は大きくなる。これに対し、分流孔4a,4bの断面積が相対的に大きい場合、主流路11を流れる流体の流量に対する、分流孔4a、分流路25、及び分流孔4bを流れる流体の流量の比率、すなわち、分流比は小さくなる。
【0020】
図7は、図2に示した流れセンサの斜視図であり、図8は、図7に示したVIII−VIII線矢視方向断面図である。図2に示す分流路25における流体の流速又は流量を検出する流れセンサ8は、分流路保持体30の凹部16を覆う面に配置されている。図7及び図8に示すように、流れセンサ8は、キャビティ66が設けられた基板60、基板60上にキャビティ66を覆うように配置された絶縁膜65、絶縁膜65に設けられたヒータ61、ヒータ61より上流側に設けられた上流側測温抵抗素子62、ヒータ61より下流側に設けられた下流側測温抵抗素子63、及び上流側測温抵抗素子62より上流側に設けられた周囲温度センサ64を備える。
【0021】
図8に示すように、絶縁膜65のキャビティ66を覆う部分は、熱容量が小さく、基板60に対して断熱性を有するダイアフラムを構成している。周囲温度センサ64は、図2に示す分流路25に流入してきた流体の温度を測定する。図7及び図8に示すヒータ61は、キャビティ66を覆う絶縁膜65の中心に配置されており、分流路25に流れる流体を、周囲温度センサ64が計測した流体の温度よりも一定温度、例えば10℃高くなるよう、加熱する。上流側測温抵抗素子62はヒータ61より上流側の温度を検出するために用いられ、下流側測温抵抗素子63はヒータ61より下流側の温度を検出するために用いられる。
【0022】
ここで、図2に示す分流路25中の流体が静止している場合、図7及び図8に示すヒータ61で加えられた熱は、上流方向と下流方向へ対称的に拡散する。したがって、上流側測温抵抗素子62及び下流側測温抵抗素子63の温度は等しくなり、上流側測温抵抗素子62及び下流側測温抵抗素子63の電気抵抗は等しくなる。これに対し、図2に示す分流路25中の流体が上流から下流に流れている場合、図7及び図8に示すヒータ61で加えられた熱は、下流方向に運ばれる。したがって、上流側測温抵抗素子62の温度よりも、下流側測温抵抗素子63の温度が高くなる。そのため、上流側測温抵抗素子62の電気抵抗と、下流側測温抵抗素子63の電気抵抗に差が生じる。下流側測温抵抗素子63の電気抵抗と上流側測温抵抗素子62の電気抵抗の差は、図2に示す分流路25中の流体の速度と相関関係がある。そのため、下流側測温抵抗素子63の電気抵抗と上流側測温抵抗素子62の電気抵抗の差から、分流路25を流れる流体の流量が求められる。
【0023】
図7及び図8に示す基板60の材料としては、シリコン(Si)などが使用可能である。絶縁膜65の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)などが使用可能である。キャビティ66は、異方性エッチングなどにより形成される。また、ヒータ61、上流側測温抵抗素子62、下流側測温抵抗素子63、及び周囲温度センサ64のそれぞれの材料には白金(Pt)などが使用可能であり、リソグラフィ法などにより形成可能である。
【0024】
図2に示すように、流れセンサ8は、分流路保持体30内部に配置されたCPU300に接続されている。CPU300は、ROM(図示せず)にあらかじめ書き込まれた各種制御プログラムや各種情報などを読み込み、種々の情報処理(演算処理)を実行したり、流量計1の各種電子機器を制御したりする。具体的には、CPU300は、算出処理301、及び補正処理301などを実行する。
【0025】
<算出処理>
所定の状態、例えば分流式流量計1が起動している状態において、流れセンサ8が検出した流体の流量が入力されると、CPU300は算出処理301を実行する。すなわち、CPU300は、流れセンサ8で検出した分流路25を流れる流体の流量と、RAM(図示せず)などにあらかじめ記憶された分流比とに基づいて、主流路11を流れる流体の流量(以下、検出流量という)を算出する。
【0026】
算出処理301により算出される検出流量は、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2が主流路保持体10に接続された場合に、所定範囲の精度を満たす。これに対し、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2以外の配管部材が主流路保持体10に接続された場合に、検出流量は所定範囲の精度を満たさず、精度が悪化するおそれがある。
【0027】
図9は、配管部材が接続された分流式流量計の他の例を示す側方断面図である。例えば図2に示す注入口13に、すなわち主流路保持体10の上流側(図2及び図9において左側)に、図9に示すように、配管部材P1に代えて配管部材P3が接続される。配管部材P3の内径r3は、配管部材P1の内径r1より小さい(r3<r1)。ここで、上流側の配管部材の内径が小さくなると、差圧発生構造で分流する差圧が小さくなり、主流路11を流れる流体が差圧発生構造12によって分流され難くなる。この場合、分流比が低下(変化)してしまい、算出処理301により算出される検出流量の精度が悪化する。一般に、算出処理301により算出された検出流量は、主流路11が設けられた流路保持体10に接続され、主流路11と連通する配管部材を含む配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体10に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、算出処理301により算出された検出流量を補正することが可能となる。
【0028】
すなわち、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2以外の複数の配管部材について、それぞれ、主流路保持体10に接続し、検出流量を算出処理301により算出する実験などを行う。当該実験の結果から、例えば、算出処理301により算出される検出流量を補正するための計算式を導き出す。そして、導き出した計算式を計算式記憶装置400に記憶しておく。図9の例では、あらかじめ行った実験結果から、例えば、以下の一次関数の式(1)を得て計算式記憶装置400に記憶させておく。
f(x)=a×x+b ・・・(1)
但し、xは算出処理301により算出される検出流量、f(x)は補正後の検出流量、a及びbは係数を表す。
【0029】
なお、図9の例では、主流路保持体10の上流側に接続された図3に示す配管部材P1を配管部材P3に代えたが、これに限定されない。算出処理301により算出された検出流量xは、主流路保持体10の上流側に接続された配管部材の方が顕著ではあるが、主流路保持体10の下流側に接続された配管部材にも影響を受ける。また、図9の例では、推奨される配管部材P1と異なる内径を有する配管部材P3を接続したが、これに限定されない。算出処理301により算出された検出流量xは、例えば、直管部の長さや、L型などの配管レイアウトなどによっても影響を受ける。
【0030】
また、主流路保持体10に接続される配管部材は、整流板や整流ユニットなどの整流部材、フィルタ、弁(バルブ)、エルボ、レギュレータ、継手などを有していてもよい。それぞれの配管部材を含む配管構成が主流路11を流れる流体の流量に及ぼす影響は、前述の場合と同様に、実験などを行うことにより知ることができる。また、蛇腹配管等の脈動を起こす配管部材、機器についても同様である。
【0031】
配管部材P1,P2以外の配管部材が主流路保持体10に接続されたときに、分流式流量計1の利用者(ユーザ)は、接続された配管部材を含む配管構成に関する情報、例えば当該配管部材に対応するコード、型番、内径の大きさなどを、入出力装置35の入力部を介して入力する。入出力装置35の入力部を介して入力された情報は、CPU300によってRAM(図示せず)などに記憶される。入出力装置35の入力部を介して入力された情報が記憶された状態において、算出処理301が終了すると、CPU300は補正処理302を実行する。
【0032】
<補正処理>
すなわち、CPU300は、計算式記憶装置400から式(1)を読み出し、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、式(1)における係数a,bを決定する。次に、CPU300は、算出処理301により算出された検出流量xを、式(1)に代入して補正後の検出流量f(x)を算出し、補正処理302を終了する。
【0033】
図10は、図2に示した補正処理の前後における流体の流量を示すグラフである。同図は、上流側に接続される配管部材として9.4mmの内径を有する配管部材が推奨される分流式流量計1において、7.8mmの内径を有する配管部材を接続したときの結果を示す。図10に示すように、従来の分流式流量計のようにCPU300が補正処理302を行わない場合に、算出処理301で算出された検出流量xは、流量(L/min)が増加するにつれて一定の割合で線形的に精度が悪化している。これに対し、本発明の分流式流量計1のように補正処理302を行う場合に、補正後の検出流量f(x)は、略一定の範囲内の精度になる。なお、図10における精度は、パーセントフルスケールで表したものである。
【0034】
補正処理302の終了後、CPU300は、式(1)で算出した補正後の検出流量f(x)を、入出力装置35の出力部に表示させる。
【0035】
本実施形態では、一次関数である式(1)を計算式記憶装置400に記憶するようにしたが、これに限定されない。実験などにより導き出される限り、二次関数など他の計算式であってもよい。また、計算式記憶装置400に記憶される計算式は1つに限定されず、複数であってもよい。この場合、CPU300は、入力装置35の入力部を介して入力された情報に基づいて、計算式記憶装置400に記憶された複数の計算式から1つを読み出す。
【0036】
また、本実施形態では、本発明に係る流量計として分流式流量計1を示したが、これに限定されず、他の方式の流量計でもあってもよい。分流式以外の流量計においても、流路に設けられた流量検出手段(例えば流れセンサ)によって検出された流体の流量は、当該流路が設けられた流路保持体に接続され、当該流路と連通する配管を含む配管構成の影響を受けるからである。
【0037】
このように、本実施形態の分流式流量計1によれば、接続された配管部材P1,P2に関する情報が入出力装置35の入力部を介して入力され、入力された情報に基づいて、算出処理301により算出された流体の流量(検出流量)xが補正される。一般に、算出処理301により算出された主流路11の流体の流量(検出流量)は、主流路11が設けられた流路保持体10に接続され、主流路11と連通する配管部材を含む配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体10に接続された配管部材に関する情報に基づいて、算出処理301により算出された流体の流量(検出流量)xを補正することが可能となる。これにより、接続される配管部材を含む配管構成による流量(検出流量)xの精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図11は、本発明に係る流量計の第2実施形態を示すものである。同図は、本発明の第2実施形態における分流式流量計の側方断面図である。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0039】
第2実施形態と第1実施形態との相違点は、分流式流量計1が、計算式記憶装置400に代えて、テーブル記憶装置401を、その補正手段の構成要素として備えたことである。
【0040】
すなわち、図11に示すように、テーブル記憶装置401は、例えばDRAMなどの揮発性メモリから構成され、CPU300に接続されている。テーブル記憶装置401は、検出流量xを補正するための複数の補正値(以下、テーブルという)を記憶する。テーブルは、主流路保持体10に接続される配管部材ごとに作成され、各テーブルは、算出処理301により算出された検出流量xごとに補正値を有している。なお、各テーブルの各補正値は、第1実施形態と同様に、あらかじめ実験などを行うことより求められ、テーブル記憶装置401に記憶されている。
【0041】
補正処理302におけるCPU300は、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、算出処理301により算出された検出流量xと、入出力装置35を介して入力された情報とに基づいて、テーブル記憶装置401から該当する補正値を読み出す。次に、CPU300は、算出処理301により算出された検出流量xに、読み出した補正値を加算(又は減算)して補正後の検出流量f(x)を算出し、補正処理302を終了する。
【0042】
本実施形態では、テーブル記憶装置401に記憶した補正値を読み出し、算出処理301により算出された検出流量xに加算(又は減算)して補正後の検出流量f(x)を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、あらかじめ実験などを行うことにより求められた補正後の検出流量f(x)自体を、補正値としてテーブル記憶装置401に記憶しておく。CPU300は、入出力装置35を介して入力された情報と、算出処理301により算出された検出流量xとに基づいて、テーブル記憶装置401から該当する補正値を読み出して、当該補正値を入出力装置35の出力部に表示させるようにしてもよい。
【0043】
このように、本実施形態の分流式流量計1によれば、テーブル記憶装置401に記憶された補正値と、入出力装置35の入力部を介して入力された情報と、算出処理301により算出された主流路を流れる流体の流量(検出流量)xとに基づいて、補正後の流体の検出流量f(x)が算出されるので、第1実施形態と同様に、接続される配管部材を含む配管構成による流量(検出流量)xの精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【0044】
(第2実施形態の変形例)
図12は、本発明の第2実施形態の変形例における分流式流量計の側方断面図である。図12に示すように、分流式流量計1は、計算式記憶装置400及びテーブル記憶装置401の両方を備えていてもよい。この場合、補正処理302におけるCPU300は、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、計算式記憶装置400から計算式を読み出したり、テーブル記憶装置401から補正値を読み出したりすることが可能となる。これにより、例えば、主流路保持体10に接続される配管部材によって、計算式による補正と、補正値による補正とを使い分けることができる。
【0045】
なお、前述の各実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…分流式流量計
8…流れセンサ
10…主流路保持体
11…主流路
25…分流路
30…分流路保持体
35…入出力装置
300…CPU
301…算出処理
302…補正処理
400…計算式記憶装置
401…テーブル記憶装置
P1,P2,P3…配管部材。
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、例えば気体、液体などの流体の流量を検出する流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主流路及びバイパス流路を備え、バイパス流路に熱式流量センサが配置された分流式流量センサ装置において、整流手段を備えたものが知られている。この分流式流量センサ装置は、主流路を形成する主流路モジュールの上流側に備えられた整流手段によって、分流前の主流路における流路断面内の流量分布が均一になり、測定精度が向上する。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−300365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、流量計では、所定範囲の精度で流量を検出するためには、十分に長い直線状の部分(以下、直管部という)を有し、かつ、所定の内径を有する配管部材に接続されることが推奨されている。
【0005】
一方、近年、流量計を様々な配管構成に設ける要望が高まっており、流量計は必ずしも推奨される配管構成に接続されるとは限らなかった。その結果、推奨される配管構成に設置されなかった場合に、流量の精度が悪化するという問題があった。特に、分流式流量計において検出される流量の精度悪化が顕著であった。例えば、推奨される配管部材より小さい内径の配管部材に接続されると、主流路から分流路に分流するために設けられる差圧発生構造(例えば、オリフィスなど)によって、分流路へ分流される流量が少なくなり、分流路に設けられた流れセンサへの影響が大きかった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、接続される配管部材を含む配管構成による流量の精度悪化を防止することができる流量計を提供することを目的の1つとする。
尚、ここで接続された配管部材を含む配管構成とは、精度影響を及ぼす配管仕様、接続機器、配管レイアウト等を含む。配管仕様とは、配管の内径等があり、接続機器ではエルボ、整流部材、フィルタ、レギュレータ、弁、継手等があり、配管レイアウトでは直管部の長さや、L型などの配管等がある。また、蛇腹配管等の脈動を起こす配管部材、機器も含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流量計は、配管部材に接続され、該接続された配管部材と連通する流路が設けられた流路保持体と、該接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力される入力手段と、流路を流れる流体の流量を検出する流量検出手段と、入力された情報に基づいて、前記検出された流体の流量を補正する補正手段と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力され、当該入力された情報に基づいて、検出された流体の流量(検出流量)が補正される。一般に、流量検出手段により検出された流路を流れる流体の流量(検出流量)は、当該流路が設けられた流路保持体に接続され、当該流路と連通する配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、検出された流体の流量(検出流量)を補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流量計によれば、流路保持体に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、検出された流量(検出流量)を補正することが可能となる。これにより、接続される配管構成による検出された流量(検出流量)の精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態における分流式流量計の斜視図である。
【図2】図1に示した分流式流量計の側方断面図である。
【図3】配管部材が接続された分流式流量計の一例を示す側方断面図である。
【図4】図1に示した主流路保持体の上面図である。
【図5】図4に示したIV−IV線矢視方向断面図である。
【図6】図4に示したV−V線矢視方向断面図である。
【図7】図2に示した流れセンサの斜視図である。
【図8】図7に示したVIII−VIII線矢視方向断面図である。
【図9】配管部材が接続された分流式流量計の他の例を示す側方断面図である。
【図10】図2に示した補正処理の前後における流体の流量を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態における分流式流量計の側方断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態の変形例における分流式流量計の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1実施形態)
図1乃至図10は、本発明に係る流量計の第1実施形態を示すものである。図1は、本発明の第1実施形態における分流式流量計の斜視図である。図1に示すように、第1実施形態における流量計は、例えば分流式流量計1である。分流式流量計1は、主流路11が設けられた主流路保持体10と、主流路保持体10に対して着脱可能な分流路保持体30とを備える。分流路保持体30の上部には、入出力装置35が配置される。入出力装置35は、例えばLEDなどの発光体や液晶ディスプレイなどから構成される出力部(図示せず)と、入力キーなどを有しており、各種設定や情報、特に後述の配管部材に関する情報を入力可能な入力部(図示せず)とを備える。
【0013】
図2は、図1に示した分流式流量計の側方断面図である。図2に示すように、主流路保持体10には、主流路11に通じる一対の分流孔4a,4bと、一対の分流孔4a,4bの間の主流路11内に配置された差圧発生構造12と、が設けられている。分流路保持体30には、一対の分流孔4a,4bを介して主流路11と連通する分流路25が設けられている。
【0014】
また、分流式流量計1は、分流路25を流れる流体の流量を検出するために分流路保持体30に配置された流れセンサ8と、流れセンサ8に電気的に接続され、分流路保持体30に配置された中央演算処理装置(以下、CPUという)300を備える。CPU300には、例えばDRAMなどの揮発性メモリから構成され、入出力装置35が接続され、各種情報、例えば、流体の流量を補正するための計算式を記憶する計算式記憶装置400とが接続されている。なお、図2に示すCPU300及び計算式記憶装置400は模式的に描かれており、実際には、マイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、I/O回路などを含んで構成される。
【0015】
図3は、配管部材が接続された分流式流量計の一例を示す側方断面図である。図1及び図2に示す六面体の主流路保持体10において、対向する二面に注入口13及び排出口14が設けられている。図2に示す注入口13及び排出口14のそれぞれには、図3に示すように、ガスや液体などの流体を通す配管部材P1,P2が挿入される。これにより、主流路保持体10の上流側(図3における左側)及び下流側(図3における右側)に配管部材P1,P2が接続される。主流路保持体10の内部に設けられた主流路11は、注入口13から排出口14に貫通しており、配管部材P1,P2と連通する。主流路保持体10に接続される配管部材P1,P2のそれぞれは、分流式流量計1に推奨される配管部材であり、所定の長さの直管部(図示せず)を有するとともに、所定の内径r1,r2を有する。
【0016】
主流路11の一部に、主流路11の内径を狭める差圧発生構造12が設けられている。差圧発生構造12によって、主流路11の注入口13側と排出口14側の間で、流体の流速に応じた差圧が発生する。差圧発生構造12は、例えばオリフィス又はベンチュリーである。
【0017】
図4は図1に示した主流路保持体の上面図であり、図5は図4に示したIV−IV線矢視方向断面図であり、図6は図4に示したV−V線矢視方向断面図である。図4乃至図6に示すように、主流路保持体10の主流路11と平行な面には、凹部16が設けられている。凹部16から主流路11の上流に分流孔4aが貫通するとともに、凹部16から主流路11の下流に分流孔4bが貫通している。主流路保持体10の材料としては、例えば、金属又は樹脂などが使用可能である。
【0018】
主流路保持体10の凹部16を覆うように、図1及び図2に示した分流路保持体30が着脱自在に配置される。このとき、分流路保持体30で覆われた凹部16が、分流孔4a,4bを接続する分流路25の一部をなしてもよい。主流路11の上流から流れてきた流体は、差圧発生構造12によって一部が分流孔4aに流入する。分流孔4aに流入した流体は、分流路25を流れ、分流孔4bから主流路11に流出する。
【0019】
ここで、分流孔4a,4bの断面積が相対的に小さい場合、主流路11を流れる流体の流量に対する、分流孔4a、分流路25、及び分流孔4bを流れる流体の流量の比率、すなわち、分流比は大きくなる。これに対し、分流孔4a,4bの断面積が相対的に大きい場合、主流路11を流れる流体の流量に対する、分流孔4a、分流路25、及び分流孔4bを流れる流体の流量の比率、すなわち、分流比は小さくなる。
【0020】
図7は、図2に示した流れセンサの斜視図であり、図8は、図7に示したVIII−VIII線矢視方向断面図である。図2に示す分流路25における流体の流速又は流量を検出する流れセンサ8は、分流路保持体30の凹部16を覆う面に配置されている。図7及び図8に示すように、流れセンサ8は、キャビティ66が設けられた基板60、基板60上にキャビティ66を覆うように配置された絶縁膜65、絶縁膜65に設けられたヒータ61、ヒータ61より上流側に設けられた上流側測温抵抗素子62、ヒータ61より下流側に設けられた下流側測温抵抗素子63、及び上流側測温抵抗素子62より上流側に設けられた周囲温度センサ64を備える。
【0021】
図8に示すように、絶縁膜65のキャビティ66を覆う部分は、熱容量が小さく、基板60に対して断熱性を有するダイアフラムを構成している。周囲温度センサ64は、図2に示す分流路25に流入してきた流体の温度を測定する。図7及び図8に示すヒータ61は、キャビティ66を覆う絶縁膜65の中心に配置されており、分流路25に流れる流体を、周囲温度センサ64が計測した流体の温度よりも一定温度、例えば10℃高くなるよう、加熱する。上流側測温抵抗素子62はヒータ61より上流側の温度を検出するために用いられ、下流側測温抵抗素子63はヒータ61より下流側の温度を検出するために用いられる。
【0022】
ここで、図2に示す分流路25中の流体が静止している場合、図7及び図8に示すヒータ61で加えられた熱は、上流方向と下流方向へ対称的に拡散する。したがって、上流側測温抵抗素子62及び下流側測温抵抗素子63の温度は等しくなり、上流側測温抵抗素子62及び下流側測温抵抗素子63の電気抵抗は等しくなる。これに対し、図2に示す分流路25中の流体が上流から下流に流れている場合、図7及び図8に示すヒータ61で加えられた熱は、下流方向に運ばれる。したがって、上流側測温抵抗素子62の温度よりも、下流側測温抵抗素子63の温度が高くなる。そのため、上流側測温抵抗素子62の電気抵抗と、下流側測温抵抗素子63の電気抵抗に差が生じる。下流側測温抵抗素子63の電気抵抗と上流側測温抵抗素子62の電気抵抗の差は、図2に示す分流路25中の流体の速度と相関関係がある。そのため、下流側測温抵抗素子63の電気抵抗と上流側測温抵抗素子62の電気抵抗の差から、分流路25を流れる流体の流量が求められる。
【0023】
図7及び図8に示す基板60の材料としては、シリコン(Si)などが使用可能である。絶縁膜65の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)などが使用可能である。キャビティ66は、異方性エッチングなどにより形成される。また、ヒータ61、上流側測温抵抗素子62、下流側測温抵抗素子63、及び周囲温度センサ64のそれぞれの材料には白金(Pt)などが使用可能であり、リソグラフィ法などにより形成可能である。
【0024】
図2に示すように、流れセンサ8は、分流路保持体30内部に配置されたCPU300に接続されている。CPU300は、ROM(図示せず)にあらかじめ書き込まれた各種制御プログラムや各種情報などを読み込み、種々の情報処理(演算処理)を実行したり、流量計1の各種電子機器を制御したりする。具体的には、CPU300は、算出処理301、及び補正処理301などを実行する。
【0025】
<算出処理>
所定の状態、例えば分流式流量計1が起動している状態において、流れセンサ8が検出した流体の流量が入力されると、CPU300は算出処理301を実行する。すなわち、CPU300は、流れセンサ8で検出した分流路25を流れる流体の流量と、RAM(図示せず)などにあらかじめ記憶された分流比とに基づいて、主流路11を流れる流体の流量(以下、検出流量という)を算出する。
【0026】
算出処理301により算出される検出流量は、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2が主流路保持体10に接続された場合に、所定範囲の精度を満たす。これに対し、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2以外の配管部材が主流路保持体10に接続された場合に、検出流量は所定範囲の精度を満たさず、精度が悪化するおそれがある。
【0027】
図9は、配管部材が接続された分流式流量計の他の例を示す側方断面図である。例えば図2に示す注入口13に、すなわち主流路保持体10の上流側(図2及び図9において左側)に、図9に示すように、配管部材P1に代えて配管部材P3が接続される。配管部材P3の内径r3は、配管部材P1の内径r1より小さい(r3<r1)。ここで、上流側の配管部材の内径が小さくなると、差圧発生構造で分流する差圧が小さくなり、主流路11を流れる流体が差圧発生構造12によって分流され難くなる。この場合、分流比が低下(変化)してしまい、算出処理301により算出される検出流量の精度が悪化する。一般に、算出処理301により算出された検出流量は、主流路11が設けられた流路保持体10に接続され、主流路11と連通する配管部材を含む配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体10に接続された配管部材を含む配管構成に関する情報に基づいて、算出処理301により算出された検出流量を補正することが可能となる。
【0028】
すなわち、分流式流量計1に推奨される配管部材P1,P2以外の複数の配管部材について、それぞれ、主流路保持体10に接続し、検出流量を算出処理301により算出する実験などを行う。当該実験の結果から、例えば、算出処理301により算出される検出流量を補正するための計算式を導き出す。そして、導き出した計算式を計算式記憶装置400に記憶しておく。図9の例では、あらかじめ行った実験結果から、例えば、以下の一次関数の式(1)を得て計算式記憶装置400に記憶させておく。
f(x)=a×x+b ・・・(1)
但し、xは算出処理301により算出される検出流量、f(x)は補正後の検出流量、a及びbは係数を表す。
【0029】
なお、図9の例では、主流路保持体10の上流側に接続された図3に示す配管部材P1を配管部材P3に代えたが、これに限定されない。算出処理301により算出された検出流量xは、主流路保持体10の上流側に接続された配管部材の方が顕著ではあるが、主流路保持体10の下流側に接続された配管部材にも影響を受ける。また、図9の例では、推奨される配管部材P1と異なる内径を有する配管部材P3を接続したが、これに限定されない。算出処理301により算出された検出流量xは、例えば、直管部の長さや、L型などの配管レイアウトなどによっても影響を受ける。
【0030】
また、主流路保持体10に接続される配管部材は、整流板や整流ユニットなどの整流部材、フィルタ、弁(バルブ)、エルボ、レギュレータ、継手などを有していてもよい。それぞれの配管部材を含む配管構成が主流路11を流れる流体の流量に及ぼす影響は、前述の場合と同様に、実験などを行うことにより知ることができる。また、蛇腹配管等の脈動を起こす配管部材、機器についても同様である。
【0031】
配管部材P1,P2以外の配管部材が主流路保持体10に接続されたときに、分流式流量計1の利用者(ユーザ)は、接続された配管部材を含む配管構成に関する情報、例えば当該配管部材に対応するコード、型番、内径の大きさなどを、入出力装置35の入力部を介して入力する。入出力装置35の入力部を介して入力された情報は、CPU300によってRAM(図示せず)などに記憶される。入出力装置35の入力部を介して入力された情報が記憶された状態において、算出処理301が終了すると、CPU300は補正処理302を実行する。
【0032】
<補正処理>
すなわち、CPU300は、計算式記憶装置400から式(1)を読み出し、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、式(1)における係数a,bを決定する。次に、CPU300は、算出処理301により算出された検出流量xを、式(1)に代入して補正後の検出流量f(x)を算出し、補正処理302を終了する。
【0033】
図10は、図2に示した補正処理の前後における流体の流量を示すグラフである。同図は、上流側に接続される配管部材として9.4mmの内径を有する配管部材が推奨される分流式流量計1において、7.8mmの内径を有する配管部材を接続したときの結果を示す。図10に示すように、従来の分流式流量計のようにCPU300が補正処理302を行わない場合に、算出処理301で算出された検出流量xは、流量(L/min)が増加するにつれて一定の割合で線形的に精度が悪化している。これに対し、本発明の分流式流量計1のように補正処理302を行う場合に、補正後の検出流量f(x)は、略一定の範囲内の精度になる。なお、図10における精度は、パーセントフルスケールで表したものである。
【0034】
補正処理302の終了後、CPU300は、式(1)で算出した補正後の検出流量f(x)を、入出力装置35の出力部に表示させる。
【0035】
本実施形態では、一次関数である式(1)を計算式記憶装置400に記憶するようにしたが、これに限定されない。実験などにより導き出される限り、二次関数など他の計算式であってもよい。また、計算式記憶装置400に記憶される計算式は1つに限定されず、複数であってもよい。この場合、CPU300は、入力装置35の入力部を介して入力された情報に基づいて、計算式記憶装置400に記憶された複数の計算式から1つを読み出す。
【0036】
また、本実施形態では、本発明に係る流量計として分流式流量計1を示したが、これに限定されず、他の方式の流量計でもあってもよい。分流式以外の流量計においても、流路に設けられた流量検出手段(例えば流れセンサ)によって検出された流体の流量は、当該流路が設けられた流路保持体に接続され、当該流路と連通する配管を含む配管構成の影響を受けるからである。
【0037】
このように、本実施形態の分流式流量計1によれば、接続された配管部材P1,P2に関する情報が入出力装置35の入力部を介して入力され、入力された情報に基づいて、算出処理301により算出された流体の流量(検出流量)xが補正される。一般に、算出処理301により算出された主流路11の流体の流量(検出流量)は、主流路11が設けられた流路保持体10に接続され、主流路11と連通する配管部材を含む配管構成の影響を受ける。よって、流路保持体10に接続された配管部材に関する情報に基づいて、算出処理301により算出された流体の流量(検出流量)xを補正することが可能となる。これにより、接続される配管部材を含む配管構成による流量(検出流量)xの精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図11は、本発明に係る流量計の第2実施形態を示すものである。同図は、本発明の第2実施形態における分流式流量計の側方断面図である。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0039】
第2実施形態と第1実施形態との相違点は、分流式流量計1が、計算式記憶装置400に代えて、テーブル記憶装置401を、その補正手段の構成要素として備えたことである。
【0040】
すなわち、図11に示すように、テーブル記憶装置401は、例えばDRAMなどの揮発性メモリから構成され、CPU300に接続されている。テーブル記憶装置401は、検出流量xを補正するための複数の補正値(以下、テーブルという)を記憶する。テーブルは、主流路保持体10に接続される配管部材ごとに作成され、各テーブルは、算出処理301により算出された検出流量xごとに補正値を有している。なお、各テーブルの各補正値は、第1実施形態と同様に、あらかじめ実験などを行うことより求められ、テーブル記憶装置401に記憶されている。
【0041】
補正処理302におけるCPU300は、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、算出処理301により算出された検出流量xと、入出力装置35を介して入力された情報とに基づいて、テーブル記憶装置401から該当する補正値を読み出す。次に、CPU300は、算出処理301により算出された検出流量xに、読み出した補正値を加算(又は減算)して補正後の検出流量f(x)を算出し、補正処理302を終了する。
【0042】
本実施形態では、テーブル記憶装置401に記憶した補正値を読み出し、算出処理301により算出された検出流量xに加算(又は減算)して補正後の検出流量f(x)を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、あらかじめ実験などを行うことにより求められた補正後の検出流量f(x)自体を、補正値としてテーブル記憶装置401に記憶しておく。CPU300は、入出力装置35を介して入力された情報と、算出処理301により算出された検出流量xとに基づいて、テーブル記憶装置401から該当する補正値を読み出して、当該補正値を入出力装置35の出力部に表示させるようにしてもよい。
【0043】
このように、本実施形態の分流式流量計1によれば、テーブル記憶装置401に記憶された補正値と、入出力装置35の入力部を介して入力された情報と、算出処理301により算出された主流路を流れる流体の流量(検出流量)xとに基づいて、補正後の流体の検出流量f(x)が算出されるので、第1実施形態と同様に、接続される配管部材を含む配管構成による流量(検出流量)xの精度悪化を防止することができ、様々な設置状況の配管構成に設置することができる。
【0044】
(第2実施形態の変形例)
図12は、本発明の第2実施形態の変形例における分流式流量計の側方断面図である。図12に示すように、分流式流量計1は、計算式記憶装置400及びテーブル記憶装置401の両方を備えていてもよい。この場合、補正処理302におけるCPU300は、入出力装置35を介して入力された情報に基づいて、計算式記憶装置400から計算式を読み出したり、テーブル記憶装置401から補正値を読み出したりすることが可能となる。これにより、例えば、主流路保持体10に接続される配管部材によって、計算式による補正と、補正値による補正とを使い分けることができる。
【0045】
なお、前述の各実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…分流式流量計
8…流れセンサ
10…主流路保持体
11…主流路
25…分流路
30…分流路保持体
35…入出力装置
300…CPU
301…算出処理
302…補正処理
400…計算式記憶装置
401…テーブル記憶装置
P1,P2,P3…配管部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管部材に接続され、該接続された配管部材と連通する流路が設けられた流路保持体と、
該接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力される入力手段と、
前記流路を流れる流体の流量を検出する流量検出手段と、
前記入力された情報に基づいて、前記検出された流体の流量を補正する補正手段と、を備える
流量計。
【請求項2】
前記検出された流体の流量を補正するための所定の計算式を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段は、前記記憶された所定の計算式と、前記入力された情報と、前記検出された流体の流量とに基づいて、補正後の前記流体の流量を算出する
請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記記憶された所定の計算式は、前記検出された流体の流量を独立変数とする一次関数を含む
請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
前記検出された流体の流量を補正するための所定値を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段は、前記記憶された所定値と、前記入力された情報と、前記検出された流体の流量とに基づいて、補正後の前記流体の流量を算出する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の流量計。
【請求項5】
前記入力手段により入力される情報は、前記流路保持体の上流側に接続された配管部材を含む配管構成に基づく情報である
請求項1乃至4の何れか一項に記載の流量計。
【請求項6】
前記入力手段により入力される情報は、前記接続された配管部材の内径に関する情報である
請求項1乃至5の何れか一項に記載の流量計。
【請求項7】
前記接続された配管部材を含む配管構成は、整流部材またはフィルタまたは弁(バルブ)またはエルボまたはレギュレータまたは継手を有する
請求項1乃至6の何れか一項に記載の流量計。
【請求項8】
前記接続された配管部材を含む配管構成は、脈動を起こす配管部材、機器を有する
請求項1乃至6の何れか一項に記載の流量計。
【請求項1】
配管部材に接続され、該接続された配管部材と連通する流路が設けられた流路保持体と、
該接続された配管部材を含む配管構成に関する情報が入力される入力手段と、
前記流路を流れる流体の流量を検出する流量検出手段と、
前記入力された情報に基づいて、前記検出された流体の流量を補正する補正手段と、を備える
流量計。
【請求項2】
前記検出された流体の流量を補正するための所定の計算式を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段は、前記記憶された所定の計算式と、前記入力された情報と、前記検出された流体の流量とに基づいて、補正後の前記流体の流量を算出する
請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記記憶された所定の計算式は、前記検出された流体の流量を独立変数とする一次関数を含む
請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
前記検出された流体の流量を補正するための所定値を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段は、前記記憶された所定値と、前記入力された情報と、前記検出された流体の流量とに基づいて、補正後の前記流体の流量を算出する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の流量計。
【請求項5】
前記入力手段により入力される情報は、前記流路保持体の上流側に接続された配管部材を含む配管構成に基づく情報である
請求項1乃至4の何れか一項に記載の流量計。
【請求項6】
前記入力手段により入力される情報は、前記接続された配管部材の内径に関する情報である
請求項1乃至5の何れか一項に記載の流量計。
【請求項7】
前記接続された配管部材を含む配管構成は、整流部材またはフィルタまたは弁(バルブ)またはエルボまたはレギュレータまたは継手を有する
請求項1乃至6の何れか一項に記載の流量計。
【請求項8】
前記接続された配管部材を含む配管構成は、脈動を起こす配管部材、機器を有する
請求項1乃至6の何れか一項に記載の流量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−230394(P2010−230394A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76555(P2009−76555)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]