浄化槽
【課題】制御部材の隔壁への組み付手間を軽減できるようにする。
【解決手段】槽本体内を区画する隔壁5に、被処理水の流動状態を制御する制御部材14を取り付けてある浄化槽であって、制御部材又は隔壁の少なくとも一方に貫通孔34を設け、その貫通孔に係合部材35を挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて、制御部材を隔壁に取り付けてある。
【解決手段】槽本体内を区画する隔壁5に、被処理水の流動状態を制御する制御部材14を取り付けてある浄化槽であって、制御部材又は隔壁の少なくとも一方に貫通孔34を設け、その貫通孔に係合部材35を挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて、制御部材を隔壁に取り付けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
上記浄化槽では、従来、被処理水の流動方向を規制するバッフルプレートなどの、被処理水の流動状態を制御する制御部材は、例えば、金属製ボルト・ナットや金属製ビスを使用して、制御部材の取付け部と隔壁とにボルト孔を形成して、それらのボルト孔に挿通したボルトにナットを締め込んだり、制御部材の取付け部と隔壁との何れかに雌ねじ孔を形成して、その雌ねじ孔にビスを締め込んで、隔壁に取り付けてある(周知慣用技術であり、先行技術文献情報を開示できない)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、制御部材を隔壁に組み付けるにあたって、ボルトやビスの工具を使う装着作業やその締め込み作業が必要で、制御部材の隔壁への組み付けに手間が掛かる欠点があり、また、制御部材を取り付けた後は、被処理水に含まれている塩素剤などによって金属製のボルトやナット,ビスが腐食するおそれがあって、浄化槽の保守点検作業が煩雑化する欠点もある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、制御部材の隔壁への組み付手間を軽減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1特徴構成は、槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽であって、前記制御部材又は前記隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、前記貫通孔に係合部材を挿入することにより前記制御部材と前記隔壁とを互いに係合させて、前記制御部材を前記隔壁に取り付けてある点にある。
【0005】
〔作用及び効果〕
制御部材又は隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、貫通孔に係合部材を挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて、制御部材を隔壁に取り付けてあるので、制御部材を隔壁に組み付けるにあたって、従来のような締め込んで使用するボルトやナット,ビスを特に使用することなく、係合部材を貫通孔に挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて工具を用いずに簡便に取り付けることができ、制御部材の隔壁への組み付手間を軽減できる。
【0006】
本発明の第2特徴構成は、前記係合部材を前記制御部材又は前記隔壁に樹脂で一体成型してある点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
係合部材を制御部材又は隔壁に樹脂で一体成型してあるので、制御部材を隔壁に取り付けるにあたって、制御部材又は隔壁に樹脂で一体成型してある係合部材を貫通孔に挿入することにより互いに係合させる作業だけで簡便に取り付けることができ、制御部材を取り付けた後は、被処理水に含まれている塩素剤などによって、係合部材が腐食するおそれも少なく、浄化槽の保守点検作業を簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図6は、生活排水(汚水)を被処理水として浄化処理するための本発明による浄化槽を示し、図1,図2に示すように、マンホール1などを備えた槽本体2の内側を第1隔壁3と第2隔壁4とで区画して、被処理水を嫌気処理する嫌気槽Aと、嫌気槽Aで嫌気処理した被処理水を好気処理する好気槽Bと、好気槽Bで好気処理した被処理水を沈殿処理する沈殿槽Cとに区画し、沈殿槽Cの被処理水をオーバーフローで流入させて消毒処理する消毒槽Dを設けて、沈殿槽Cで固形分を沈殿させた被処理水を、消毒槽Dを介して、流出口としての流出管6から外部に排出可能に構成してある。
【0009】
前記嫌気槽Aは、被処理水が流入管7を通して外部から流入する固液分離槽A1と、固液分離槽A1で固液分離された被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽A2とに樹脂製第3隔壁5で区画して、嫌気処理槽A2で嫌気処理した被処理水を第1隔壁3に設けてある流入口8からオーバーフローで好気槽Bに流入させるように構成してあり、固液分離槽A1で固液分離された被処理水を嫌気処理槽A2に移流させる移流口9の複数(本実施形態では二つ)を第3隔壁5に開口させてある。
【0010】
前記固液分離槽A1には、水平断面形状が略コの字状の第1バッフル10を、その上端部分で流入管7の出口側を取り囲む状態で槽壁に固定して、流入管7を通して固液分離槽A1に流入する被処理水の流動方向を下向きに規制してある。
【0011】
前記移流口9の各々は、図3に示すように、直線部を上下方向に沿わせ、かつ、円弧部を槽中央側に配置してある半円形に形成して、固液分離槽A1における被処理水の通常運転状態での最高液面Eと固液分離槽A1の内底面最下部との間の略中央の中間高さ位置に水平方向に並べて配置してあり、固液分離槽A1における被処理水の各移流口9への流入経路を第3隔壁5の壁面に沿わせる案内部材11を、各移流口9毎に各別に設けてある。
【0012】
前記案内部材11は、第3隔壁5の左右方向中心側から移流口9を覆う半割椀状に形成してあり、第3隔壁5の壁面に沿った略水平方向に槽壁側に向けて開口する開口部12を設けて、固液分離槽A1における被処理水が槽壁側から第3隔壁5に沿って開口部12に流入した後、案内部材11の内周面に沿って案内されて移流口9に流入するように構成してある。
【0013】
前記嫌気処理槽A2は、被処理水中に含まれる溶解性有機物質を嫌気性濾床13の濾材に付着生息している嫌気性微生物によって分解処理する嫌気性濾床槽で構成してあり、左右の移流口9を左右両側に亘って一連に囲む平面視で略コの字状の樹脂製囲い板14を、第3隔壁5の嫌気処理槽A2側に固定し、その囲い板14を嫌気処理槽A2における被処理水の通常運転状態での最高液面Eよりも高い位置に延設して、囲い板14の下端側を通過した被処理水が嫌気性濾床13に流入して嫌気処理された後、第1隔壁3に設けてある流入口8からオーバーフローで好気槽Bに流入するように構成してある。
【0014】
前記囲い板14は、図7に示すように、帯板状の複数のリブ23,24,25と第3隔壁5に対する左右の取付け部26とを一体成型し、各取付け部26を介して第3隔壁5の壁面に取り付けることによって、第3隔壁5の嫌気処理槽A2側の壁面を半割矩形筒状に囲んで、その囲み空間27内に壁面に沿った被処理水の流路を形成できるように設けてあり、この囲い板14が被処理水の流動状態の一例としての流動方向を制御する制御部材の一例を構成している。
【0015】
図8は、第3隔壁5に取り付ける前の囲い板14を示し、略扁平に展開した矩形の板状部材28に、他の板部分よりも薄肉で剛性が小さい二つの互いに平行な易可撓部29を、板状部材28の左右側辺に平行な一定方向に沿って左右対称に一連に設けるとともに、板状部材28の左右側辺の各端面に取付け部26を一体に設けてあり、図7に示すように、各易可撓部29を一連に屈曲させて、中央板部分30と左右の側板部分31とで囲む半割矩形筒状に変形した状態で、各易可撓部29を上下方向に沿わせて、第3隔壁5に取り付け自在に構成してある。
【0016】
前記板状部材28における各易可撓部29の両側を挟む板面部分のうちの、図8(ロ)に仮想線で示すように、その易可撓部29を一連に屈曲させることによって外隅部を形成する板面部分の夫々に、易可撓部29との境界に沿って略一連に突出する帯板状の第1リブ23を設けてあるとともに、左右の側板部分31の外側辺に沿って略一連に突出する帯板状の第3リブ25を設けてある。
【0017】
また、各易可撓部29に対して略直角に交差する方向に沿って、中央板部分30の左右の第1リブ23に亘って略一連に突出する帯板状の複数の第2リブ24と、各側板部分31の第1リブ23と第3リブ25とに亘って略一連に突出する帯板状の複数の第2リブ24と、各第2リブ24の倒れ止め部材33の複数とを、板状部材28に一体成型してある。
【0018】
前記倒れ止め部材33の各々は、図8(ニ)に示すように、槽内側に臨ませる外周形状が、第2リブ24の突出端部側と板状部材28の板面側とに亘って、板面側ほど第2リブ24から離れるように一連に傾斜している、側面視で略三角形の板材を第2リブ24と板状部材28とに一体成型して設けてあり、板状部材28の上下方向中間位置の第2リブ24にはその上下両面に設けてある。
【0019】
前記取付け部26は、図9,図10に示すように、第3隔壁5に複数の円形の隔壁貫通孔34を形成して、係合部材35を隔壁貫通孔34の外周部に係合させる被係合部42を設けるとともに、その隔壁貫通孔34の外周部に係合する一対の係合片36を備えた複数の係合部材35を各側板部分31の第3リブ25に一体成型して構成してあり、各係合部材35は、第3リブ25を挟んで第2リブ24に対向する箇所の各々に設けてある。
【0020】
前記係合部材35の各々は、図9に示すように、隔壁貫通孔34に挿通した状態でその隔壁貫通孔34の内側に入り込ませる円柱状基部37と、隔壁貫通孔34から突出させる軸部38とを同芯状に設けるとともに、軸部38の先端頭部39に一対の係合片36を設けて構成してある。
【0021】
前記一対の係合片36は、隔壁貫通孔34に対する挿通方向で後方側端部どうしが隔壁貫通孔34の径よりも大きく離間するように、挿通方向上手側に向けてハの字状に拡げた姿勢で先端頭部39に設けてあり、正面視で隔壁貫通孔34よりも小径の先端頭部39を隔壁貫通孔34に押し込むことにより、後方側端部どうしが互いに近接するように係合片36を強制的に弾性変形させて、隔壁貫通孔34から抜け出た係合片36の復帰変形で、図10に示すように、隔壁貫通孔34の外周部に抜け止め状態で係合させるように構成してある。
【0022】
前記隔壁貫通孔34周りには、その隔壁貫通孔34の外周部に係合している係合片36を囲んで、メンテナンス用のバキュームホースなどの他物との引っ掛かりや衝突などから保護する円筒状の保護部材40を一体成型してあり、また、各係合部材35における円柱状基部37の軸部38側外周面には、隔壁貫通孔34を通した被処理水の通流を防止できるように、円柱状基部37と隔壁貫通孔34の内周面との隙間を塞ぐ円環状の止水フィン41を薄肉鍔状に一体形成してある。
【0023】
前記好気槽Bは、輪郭形状が略球形の多数の樹脂製担体15を槽内に流動可能に充填するとともに、ばっ気用散気管16を設けて、散気管16から吹き込んだ空気でそれらの担体15を攪拌しながらばっ気することにより、担体15の表面に付着生成している生物膜と被処理水とを繰り返し接触させて、被処理水中の有機物の分解除去や窒素化合物の酸化を行う担体流動槽で構成してあり、担体流出防止用の多孔板17を槽上部に設けてある。
【0024】
そして、第2隔壁4の下端側を沈殿槽C側に屈曲させて、好気処理した被処理水を第2隔壁4の下端と槽内底面との間の流出口18から沈殿槽Cに流出させるように構成し、槽底部に溜まった固形分を嫌気槽Aに返送する返送装置19を設けてある。
【0025】
前記嫌気処理槽A2内の被処理水を上向きに流動させて流入口8からオーバーフローさせる第2バッフル20を、第1隔壁3の嫌気処理槽A2側に設けてある。
【0026】
前記返送装置19は、エアリフトポンプ式の吸入管21を返送管22に連通接続するとともに、その吸入口を槽底部近くに開口させて、槽底部に溜まった固形分を、返送管22を通して、固液分離槽A1の第1バッフル10の内側から嫌気槽Aに返送できるように構成してある。
【0027】
〔第2実施形態〕
図11〜図14は、本発明による浄化槽における囲い板14の取り付け構造の別実施形態を示し、円形の隔壁貫通孔34を形成してある複数のボス43を第3隔壁5の固液分離槽A1側に一体形成して、隔壁貫通孔34の固液分離槽A1側端部に被係合部としての環状段部42を形成し、その環状段部42に係合する複数の係合部材35(35a,35b)を各第3リブ25に一体形成して取付け部26を構成してある。
【0028】
前記係合部材35の各々は、図12,図13に示すように、環状段部42に対して係合させる係合爪51を先端に備えた一対の係合片36を、係合爪51が第3リブ25の長手方向に沿って隔壁貫通孔34の径よりも外方に拡がるように、隔壁貫通孔34への挿通方向に向けてU字状に分かれる状態で一体形成して構成してある。
【0029】
前記第3リブ25毎に設けてある複数の係合部材35のうちの一つ(本実施形態では上から2番目)の係合部材35aは、図12に示すように、第3リブ25に一体に固定してあり、残りの係合部材35bは、図13に示すように、第3リブ25に凹入部44を形成するとともにその凹入部44の奥側から軸部材45を突設して、その軸部材45の先端部に一体に固定し、軸部材45を第3リブ25の幅方向に沿って扁平な帯板状に形成して、側板部分31の板面に沿う方向に弾性変形自在に設けてある。
【0030】
従って、囲い板14の成型時や変形時、或いは、第3隔壁5の成型時において、樹脂材料の成形収縮等による係合部材35やボス43の位置ずれ或いは姿勢のずれといった製作誤差が生じ、その結果、囲い板14を第3隔壁5に取り付けると反りや変形が生じるおそれがある場合でも、固定の係合部材35aを対応する隔壁貫通孔34に挿通して、囲い板14を第3隔壁5に対して位置決めした状態で、残りの係合部材35bを、軸部材45の弾性変形で製作誤差を吸収しながら、対応する隔壁貫通孔34に挿通できるので、囲い板14を反りや変形が生じ難い状態で取り付けることができる。
【0031】
尚、46は、軸部材45と凹入部44との隙間47を通して被処理水が通流しないようにその隙間47を塞ぐ塞ぎ板で、この塞ぎ板46を第3隔壁5に一体成型して、囲い板14の第3隔壁5に対する位置決め部材を兼用している。
【0032】
また、図14(イ)に示すように、第3リブ25を略全長に亘って第3隔壁5側に向けて反った形状に成型して、図14(ロ)に示すように、第3リブ25を第3隔壁5に対して強く押し付けて弾性変形させた状態で囲い板14を取り付けることにより、囲い板14のがたつきを抑制できると共に、第3リブ25と第3隔壁5との間に被処理水が通流し易い隙間ができないように構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0033】
〔第3実施形態〕
図15〜図17は、本発明による浄化槽における囲い板14の取り付け構造の別実施形態を示し、第3隔壁5が傾斜壁部48を挟んで垂直壁部49a,49bを上下に備え、囲い板14を上側垂直壁部49aと傾斜壁部48と亘って取り付ける場合を示している。
【0034】
つまり、傾斜壁部48と上側垂直壁部49aとに沿う形状の取り付け用リブ50を囲い板14に一体成型するとともに、取り付け用リブ50の上部側に係合片36を備えた係合部材35を一体成型し、取り付け用リブ50の下部側にはリブ貫通孔52を形成してある。
【0035】
また、上側垂直壁部49aに隔壁貫通孔34を形成して、係合部材35の係合片36を隔壁貫通孔周りの板面に係合させる被係合部42を設け、傾斜壁部48にはリブ貫通孔52に挿通する軸部材53を一体成型してある。
【0036】
そして、リブ貫通孔52に軸部材53を挿通しながら、係合部材35を隔壁貫通孔34に押し込んで、隔壁貫通孔34から抜け出た係合片36を隔壁貫通孔周りの板面に係合させることにより、囲い板14の左右両側を上側垂直壁部49aと傾斜壁部48とに亘って取り付けてある。
【0037】
前記係合片36は係合部材35の片側にのみ備え、図16にも示すように、係合片36の被係合部42に接当する先端部に、係合片36と囲い板14(取り付け用リブ50)との間隔を調整可能な間隔調整部54を設けてある。
【0038】
前記間隔調整部54は、係合片36の先端部を径が異なる半割円柱状の階段部分を形成して、上側垂直壁部49aの板厚が、設計上や製造上の理由で、図17に示す板厚T1,T2,T3(但し、T1<T2<T3)というように、異なっていていたりばらつきが生じていても、その板厚T1〜T3に応じた段部を被係合部42に接当させることにより、係合部材35の貫通孔34への挿入方向に沿う方向での囲い板14のがたつきの発生を極力抑制できるようにしてある。
尚、同様の効果は、被係合部42(隔壁5)に同様の間隔調整部54を形成しても得られる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0039】
〔第4実施形態〕
図18,図19は、係合部材35を囲い板14及び第3隔壁5とは別体に形成して、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある実施形態を示し、囲い板14の取り付け用フランジ部55と第3隔壁5との夫々に、貫通孔34a,34b(34)を形成し、これらの貫通孔34a,34bに亘って挿通した樹脂製の係合部材35で、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある。
【0040】
前記係合部材35は、フランジ部55に形成してある貫通孔34aよりも大径の基部56に、一方の貫通孔34、例えば囲い板14側の貫通孔34aに入り込む軸部57と、他方の貫通孔34、例えば第3隔壁5側の貫通孔34bに入り込む係合片58とを樹脂で一体成型して構成してある。
【0041】
前記係合片58は、菱形の外枠部59の内側に、その外枠部59の対角線方向に沿う連結部60を一体に備えた形状に形成してあり、連結部材60を軸部57と同芯状に配置して設けてある。
【0042】
そして、外枠部59を縮径方向に弾性変形させながら、係合部材35を囲い板14側から貫通孔34aと貫通孔34bとに亘って挿通して、貫通孔34bから突出している外枠部分61の復帰変形で、貫通孔34b周りの被係合部42に係合片58を係合させて、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある。
【0043】
本実施形態では、外枠部59の軸部57側に向けて傾斜している傾斜面部62を、囲い板14のフランジ部55の厚さと第3隔壁5の厚さとの合計厚さに応じて、基部56と係合片58との間隔を調整可能な間隔調整部54に構成してある。
【0044】
尚、菱形外枠部59の内側に連結部60を備えた上述の係合片58に代えて、図20に示すように、挿入方向先端部において間隔を隔てて離間している側面視で略楕円形のC形に形成してある係合片58を軸部57に一体形成してある係合部材35を使用し、その係合部材35を貫通孔34aと貫通孔34bとに亘って挿通して、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてあっても良い。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による浄化槽は、係合部材と制御部材とを別体に設け、接着や螺合することなどによって互いに一体化してあっても良い。
2.本発明による浄化槽は、被係合部と隔壁とを別体に設け、接着や螺合することなどによって互いに一体化してあっても良い。
3.本発明による浄化槽は、予め横断面形状がコの字状に樹脂成型してある囲い板を制御部材として取り付けてあっても良い。
4.本発明による浄化槽は、被処理水の移流管や被処理水を通過させる濾床部材、汚泥引き抜き管,バッフル板などを制御部材として取り付けてあっても良い。
5.第1〜第3実施形態では係合部材を制御部材に設けてあるが、隔壁に係合部材を設けてあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】浄化槽の内部を示す平面図
【図2】浄化槽の内部を示す側面図
【図3】図2のIII−III線矢視図
【図4】図2のIV−IV線矢視図
【図5】図2のV−V線矢視図
【図6】図2のVI−VI線矢視図
【図7】要部の斜視図
【図8】(イ)要部正面図,(ロ)要部一部断面上面図,(ハ)要部一部断面側面図,(ニ)要部一部断面側面図
【図9】要部側面図
【図10】(イ)要部側面図,(ロ)要部一部断面側面図,(ハ)要部一部断面平面図
【図11】第2実施形態の要部斜視図
【図12】(イ)第2実施形態の要部側面図,(ロ)第2実施形態の要部一部断面側面図
【図13】(イ)第2実施形態の要部側面図,(ロ)第2実施形態の要部一部断面側面図,(ハ)第2実施形態の要部一部断面側面図
【図14】第2実施形態の要部断面図
【図15】(イ)第3実施形態の要部斜視図,(ロ)第3実施形態の要部断面図
【図16】第3実施形態の要部斜視図
【図17】第3実施形態の説明図
【図18】第4実施形態を示す要部の一部断面側面図
【図19】第4実施形態を示す要部斜視図
【図20】第4実施形態の変形例を示す要部斜視図
【符号の説明】
【0047】
2 槽本体
5 隔壁
14 制御部材
34 貫通孔
35 係合部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
上記浄化槽では、従来、被処理水の流動方向を規制するバッフルプレートなどの、被処理水の流動状態を制御する制御部材は、例えば、金属製ボルト・ナットや金属製ビスを使用して、制御部材の取付け部と隔壁とにボルト孔を形成して、それらのボルト孔に挿通したボルトにナットを締め込んだり、制御部材の取付け部と隔壁との何れかに雌ねじ孔を形成して、その雌ねじ孔にビスを締め込んで、隔壁に取り付けてある(周知慣用技術であり、先行技術文献情報を開示できない)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、制御部材を隔壁に組み付けるにあたって、ボルトやビスの工具を使う装着作業やその締め込み作業が必要で、制御部材の隔壁への組み付けに手間が掛かる欠点があり、また、制御部材を取り付けた後は、被処理水に含まれている塩素剤などによって金属製のボルトやナット,ビスが腐食するおそれがあって、浄化槽の保守点検作業が煩雑化する欠点もある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、制御部材の隔壁への組み付手間を軽減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1特徴構成は、槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽であって、前記制御部材又は前記隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、前記貫通孔に係合部材を挿入することにより前記制御部材と前記隔壁とを互いに係合させて、前記制御部材を前記隔壁に取り付けてある点にある。
【0005】
〔作用及び効果〕
制御部材又は隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、貫通孔に係合部材を挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて、制御部材を隔壁に取り付けてあるので、制御部材を隔壁に組み付けるにあたって、従来のような締め込んで使用するボルトやナット,ビスを特に使用することなく、係合部材を貫通孔に挿入することにより制御部材と隔壁とを互いに係合させて工具を用いずに簡便に取り付けることができ、制御部材の隔壁への組み付手間を軽減できる。
【0006】
本発明の第2特徴構成は、前記係合部材を前記制御部材又は前記隔壁に樹脂で一体成型してある点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
係合部材を制御部材又は隔壁に樹脂で一体成型してあるので、制御部材を隔壁に取り付けるにあたって、制御部材又は隔壁に樹脂で一体成型してある係合部材を貫通孔に挿入することにより互いに係合させる作業だけで簡便に取り付けることができ、制御部材を取り付けた後は、被処理水に含まれている塩素剤などによって、係合部材が腐食するおそれも少なく、浄化槽の保守点検作業を簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図6は、生活排水(汚水)を被処理水として浄化処理するための本発明による浄化槽を示し、図1,図2に示すように、マンホール1などを備えた槽本体2の内側を第1隔壁3と第2隔壁4とで区画して、被処理水を嫌気処理する嫌気槽Aと、嫌気槽Aで嫌気処理した被処理水を好気処理する好気槽Bと、好気槽Bで好気処理した被処理水を沈殿処理する沈殿槽Cとに区画し、沈殿槽Cの被処理水をオーバーフローで流入させて消毒処理する消毒槽Dを設けて、沈殿槽Cで固形分を沈殿させた被処理水を、消毒槽Dを介して、流出口としての流出管6から外部に排出可能に構成してある。
【0009】
前記嫌気槽Aは、被処理水が流入管7を通して外部から流入する固液分離槽A1と、固液分離槽A1で固液分離された被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽A2とに樹脂製第3隔壁5で区画して、嫌気処理槽A2で嫌気処理した被処理水を第1隔壁3に設けてある流入口8からオーバーフローで好気槽Bに流入させるように構成してあり、固液分離槽A1で固液分離された被処理水を嫌気処理槽A2に移流させる移流口9の複数(本実施形態では二つ)を第3隔壁5に開口させてある。
【0010】
前記固液分離槽A1には、水平断面形状が略コの字状の第1バッフル10を、その上端部分で流入管7の出口側を取り囲む状態で槽壁に固定して、流入管7を通して固液分離槽A1に流入する被処理水の流動方向を下向きに規制してある。
【0011】
前記移流口9の各々は、図3に示すように、直線部を上下方向に沿わせ、かつ、円弧部を槽中央側に配置してある半円形に形成して、固液分離槽A1における被処理水の通常運転状態での最高液面Eと固液分離槽A1の内底面最下部との間の略中央の中間高さ位置に水平方向に並べて配置してあり、固液分離槽A1における被処理水の各移流口9への流入経路を第3隔壁5の壁面に沿わせる案内部材11を、各移流口9毎に各別に設けてある。
【0012】
前記案内部材11は、第3隔壁5の左右方向中心側から移流口9を覆う半割椀状に形成してあり、第3隔壁5の壁面に沿った略水平方向に槽壁側に向けて開口する開口部12を設けて、固液分離槽A1における被処理水が槽壁側から第3隔壁5に沿って開口部12に流入した後、案内部材11の内周面に沿って案内されて移流口9に流入するように構成してある。
【0013】
前記嫌気処理槽A2は、被処理水中に含まれる溶解性有機物質を嫌気性濾床13の濾材に付着生息している嫌気性微生物によって分解処理する嫌気性濾床槽で構成してあり、左右の移流口9を左右両側に亘って一連に囲む平面視で略コの字状の樹脂製囲い板14を、第3隔壁5の嫌気処理槽A2側に固定し、その囲い板14を嫌気処理槽A2における被処理水の通常運転状態での最高液面Eよりも高い位置に延設して、囲い板14の下端側を通過した被処理水が嫌気性濾床13に流入して嫌気処理された後、第1隔壁3に設けてある流入口8からオーバーフローで好気槽Bに流入するように構成してある。
【0014】
前記囲い板14は、図7に示すように、帯板状の複数のリブ23,24,25と第3隔壁5に対する左右の取付け部26とを一体成型し、各取付け部26を介して第3隔壁5の壁面に取り付けることによって、第3隔壁5の嫌気処理槽A2側の壁面を半割矩形筒状に囲んで、その囲み空間27内に壁面に沿った被処理水の流路を形成できるように設けてあり、この囲い板14が被処理水の流動状態の一例としての流動方向を制御する制御部材の一例を構成している。
【0015】
図8は、第3隔壁5に取り付ける前の囲い板14を示し、略扁平に展開した矩形の板状部材28に、他の板部分よりも薄肉で剛性が小さい二つの互いに平行な易可撓部29を、板状部材28の左右側辺に平行な一定方向に沿って左右対称に一連に設けるとともに、板状部材28の左右側辺の各端面に取付け部26を一体に設けてあり、図7に示すように、各易可撓部29を一連に屈曲させて、中央板部分30と左右の側板部分31とで囲む半割矩形筒状に変形した状態で、各易可撓部29を上下方向に沿わせて、第3隔壁5に取り付け自在に構成してある。
【0016】
前記板状部材28における各易可撓部29の両側を挟む板面部分のうちの、図8(ロ)に仮想線で示すように、その易可撓部29を一連に屈曲させることによって外隅部を形成する板面部分の夫々に、易可撓部29との境界に沿って略一連に突出する帯板状の第1リブ23を設けてあるとともに、左右の側板部分31の外側辺に沿って略一連に突出する帯板状の第3リブ25を設けてある。
【0017】
また、各易可撓部29に対して略直角に交差する方向に沿って、中央板部分30の左右の第1リブ23に亘って略一連に突出する帯板状の複数の第2リブ24と、各側板部分31の第1リブ23と第3リブ25とに亘って略一連に突出する帯板状の複数の第2リブ24と、各第2リブ24の倒れ止め部材33の複数とを、板状部材28に一体成型してある。
【0018】
前記倒れ止め部材33の各々は、図8(ニ)に示すように、槽内側に臨ませる外周形状が、第2リブ24の突出端部側と板状部材28の板面側とに亘って、板面側ほど第2リブ24から離れるように一連に傾斜している、側面視で略三角形の板材を第2リブ24と板状部材28とに一体成型して設けてあり、板状部材28の上下方向中間位置の第2リブ24にはその上下両面に設けてある。
【0019】
前記取付け部26は、図9,図10に示すように、第3隔壁5に複数の円形の隔壁貫通孔34を形成して、係合部材35を隔壁貫通孔34の外周部に係合させる被係合部42を設けるとともに、その隔壁貫通孔34の外周部に係合する一対の係合片36を備えた複数の係合部材35を各側板部分31の第3リブ25に一体成型して構成してあり、各係合部材35は、第3リブ25を挟んで第2リブ24に対向する箇所の各々に設けてある。
【0020】
前記係合部材35の各々は、図9に示すように、隔壁貫通孔34に挿通した状態でその隔壁貫通孔34の内側に入り込ませる円柱状基部37と、隔壁貫通孔34から突出させる軸部38とを同芯状に設けるとともに、軸部38の先端頭部39に一対の係合片36を設けて構成してある。
【0021】
前記一対の係合片36は、隔壁貫通孔34に対する挿通方向で後方側端部どうしが隔壁貫通孔34の径よりも大きく離間するように、挿通方向上手側に向けてハの字状に拡げた姿勢で先端頭部39に設けてあり、正面視で隔壁貫通孔34よりも小径の先端頭部39を隔壁貫通孔34に押し込むことにより、後方側端部どうしが互いに近接するように係合片36を強制的に弾性変形させて、隔壁貫通孔34から抜け出た係合片36の復帰変形で、図10に示すように、隔壁貫通孔34の外周部に抜け止め状態で係合させるように構成してある。
【0022】
前記隔壁貫通孔34周りには、その隔壁貫通孔34の外周部に係合している係合片36を囲んで、メンテナンス用のバキュームホースなどの他物との引っ掛かりや衝突などから保護する円筒状の保護部材40を一体成型してあり、また、各係合部材35における円柱状基部37の軸部38側外周面には、隔壁貫通孔34を通した被処理水の通流を防止できるように、円柱状基部37と隔壁貫通孔34の内周面との隙間を塞ぐ円環状の止水フィン41を薄肉鍔状に一体形成してある。
【0023】
前記好気槽Bは、輪郭形状が略球形の多数の樹脂製担体15を槽内に流動可能に充填するとともに、ばっ気用散気管16を設けて、散気管16から吹き込んだ空気でそれらの担体15を攪拌しながらばっ気することにより、担体15の表面に付着生成している生物膜と被処理水とを繰り返し接触させて、被処理水中の有機物の分解除去や窒素化合物の酸化を行う担体流動槽で構成してあり、担体流出防止用の多孔板17を槽上部に設けてある。
【0024】
そして、第2隔壁4の下端側を沈殿槽C側に屈曲させて、好気処理した被処理水を第2隔壁4の下端と槽内底面との間の流出口18から沈殿槽Cに流出させるように構成し、槽底部に溜まった固形分を嫌気槽Aに返送する返送装置19を設けてある。
【0025】
前記嫌気処理槽A2内の被処理水を上向きに流動させて流入口8からオーバーフローさせる第2バッフル20を、第1隔壁3の嫌気処理槽A2側に設けてある。
【0026】
前記返送装置19は、エアリフトポンプ式の吸入管21を返送管22に連通接続するとともに、その吸入口を槽底部近くに開口させて、槽底部に溜まった固形分を、返送管22を通して、固液分離槽A1の第1バッフル10の内側から嫌気槽Aに返送できるように構成してある。
【0027】
〔第2実施形態〕
図11〜図14は、本発明による浄化槽における囲い板14の取り付け構造の別実施形態を示し、円形の隔壁貫通孔34を形成してある複数のボス43を第3隔壁5の固液分離槽A1側に一体形成して、隔壁貫通孔34の固液分離槽A1側端部に被係合部としての環状段部42を形成し、その環状段部42に係合する複数の係合部材35(35a,35b)を各第3リブ25に一体形成して取付け部26を構成してある。
【0028】
前記係合部材35の各々は、図12,図13に示すように、環状段部42に対して係合させる係合爪51を先端に備えた一対の係合片36を、係合爪51が第3リブ25の長手方向に沿って隔壁貫通孔34の径よりも外方に拡がるように、隔壁貫通孔34への挿通方向に向けてU字状に分かれる状態で一体形成して構成してある。
【0029】
前記第3リブ25毎に設けてある複数の係合部材35のうちの一つ(本実施形態では上から2番目)の係合部材35aは、図12に示すように、第3リブ25に一体に固定してあり、残りの係合部材35bは、図13に示すように、第3リブ25に凹入部44を形成するとともにその凹入部44の奥側から軸部材45を突設して、その軸部材45の先端部に一体に固定し、軸部材45を第3リブ25の幅方向に沿って扁平な帯板状に形成して、側板部分31の板面に沿う方向に弾性変形自在に設けてある。
【0030】
従って、囲い板14の成型時や変形時、或いは、第3隔壁5の成型時において、樹脂材料の成形収縮等による係合部材35やボス43の位置ずれ或いは姿勢のずれといった製作誤差が生じ、その結果、囲い板14を第3隔壁5に取り付けると反りや変形が生じるおそれがある場合でも、固定の係合部材35aを対応する隔壁貫通孔34に挿通して、囲い板14を第3隔壁5に対して位置決めした状態で、残りの係合部材35bを、軸部材45の弾性変形で製作誤差を吸収しながら、対応する隔壁貫通孔34に挿通できるので、囲い板14を反りや変形が生じ難い状態で取り付けることができる。
【0031】
尚、46は、軸部材45と凹入部44との隙間47を通して被処理水が通流しないようにその隙間47を塞ぐ塞ぎ板で、この塞ぎ板46を第3隔壁5に一体成型して、囲い板14の第3隔壁5に対する位置決め部材を兼用している。
【0032】
また、図14(イ)に示すように、第3リブ25を略全長に亘って第3隔壁5側に向けて反った形状に成型して、図14(ロ)に示すように、第3リブ25を第3隔壁5に対して強く押し付けて弾性変形させた状態で囲い板14を取り付けることにより、囲い板14のがたつきを抑制できると共に、第3リブ25と第3隔壁5との間に被処理水が通流し易い隙間ができないように構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0033】
〔第3実施形態〕
図15〜図17は、本発明による浄化槽における囲い板14の取り付け構造の別実施形態を示し、第3隔壁5が傾斜壁部48を挟んで垂直壁部49a,49bを上下に備え、囲い板14を上側垂直壁部49aと傾斜壁部48と亘って取り付ける場合を示している。
【0034】
つまり、傾斜壁部48と上側垂直壁部49aとに沿う形状の取り付け用リブ50を囲い板14に一体成型するとともに、取り付け用リブ50の上部側に係合片36を備えた係合部材35を一体成型し、取り付け用リブ50の下部側にはリブ貫通孔52を形成してある。
【0035】
また、上側垂直壁部49aに隔壁貫通孔34を形成して、係合部材35の係合片36を隔壁貫通孔周りの板面に係合させる被係合部42を設け、傾斜壁部48にはリブ貫通孔52に挿通する軸部材53を一体成型してある。
【0036】
そして、リブ貫通孔52に軸部材53を挿通しながら、係合部材35を隔壁貫通孔34に押し込んで、隔壁貫通孔34から抜け出た係合片36を隔壁貫通孔周りの板面に係合させることにより、囲い板14の左右両側を上側垂直壁部49aと傾斜壁部48とに亘って取り付けてある。
【0037】
前記係合片36は係合部材35の片側にのみ備え、図16にも示すように、係合片36の被係合部42に接当する先端部に、係合片36と囲い板14(取り付け用リブ50)との間隔を調整可能な間隔調整部54を設けてある。
【0038】
前記間隔調整部54は、係合片36の先端部を径が異なる半割円柱状の階段部分を形成して、上側垂直壁部49aの板厚が、設計上や製造上の理由で、図17に示す板厚T1,T2,T3(但し、T1<T2<T3)というように、異なっていていたりばらつきが生じていても、その板厚T1〜T3に応じた段部を被係合部42に接当させることにより、係合部材35の貫通孔34への挿入方向に沿う方向での囲い板14のがたつきの発生を極力抑制できるようにしてある。
尚、同様の効果は、被係合部42(隔壁5)に同様の間隔調整部54を形成しても得られる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0039】
〔第4実施形態〕
図18,図19は、係合部材35を囲い板14及び第3隔壁5とは別体に形成して、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある実施形態を示し、囲い板14の取り付け用フランジ部55と第3隔壁5との夫々に、貫通孔34a,34b(34)を形成し、これらの貫通孔34a,34bに亘って挿通した樹脂製の係合部材35で、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある。
【0040】
前記係合部材35は、フランジ部55に形成してある貫通孔34aよりも大径の基部56に、一方の貫通孔34、例えば囲い板14側の貫通孔34aに入り込む軸部57と、他方の貫通孔34、例えば第3隔壁5側の貫通孔34bに入り込む係合片58とを樹脂で一体成型して構成してある。
【0041】
前記係合片58は、菱形の外枠部59の内側に、その外枠部59の対角線方向に沿う連結部60を一体に備えた形状に形成してあり、連結部材60を軸部57と同芯状に配置して設けてある。
【0042】
そして、外枠部59を縮径方向に弾性変形させながら、係合部材35を囲い板14側から貫通孔34aと貫通孔34bとに亘って挿通して、貫通孔34bから突出している外枠部分61の復帰変形で、貫通孔34b周りの被係合部42に係合片58を係合させて、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてある。
【0043】
本実施形態では、外枠部59の軸部57側に向けて傾斜している傾斜面部62を、囲い板14のフランジ部55の厚さと第3隔壁5の厚さとの合計厚さに応じて、基部56と係合片58との間隔を調整可能な間隔調整部54に構成してある。
【0044】
尚、菱形外枠部59の内側に連結部60を備えた上述の係合片58に代えて、図20に示すように、挿入方向先端部において間隔を隔てて離間している側面視で略楕円形のC形に形成してある係合片58を軸部57に一体形成してある係合部材35を使用し、その係合部材35を貫通孔34aと貫通孔34bとに亘って挿通して、囲い板14を第3隔壁5に取り付けてあっても良い。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による浄化槽は、係合部材と制御部材とを別体に設け、接着や螺合することなどによって互いに一体化してあっても良い。
2.本発明による浄化槽は、被係合部と隔壁とを別体に設け、接着や螺合することなどによって互いに一体化してあっても良い。
3.本発明による浄化槽は、予め横断面形状がコの字状に樹脂成型してある囲い板を制御部材として取り付けてあっても良い。
4.本発明による浄化槽は、被処理水の移流管や被処理水を通過させる濾床部材、汚泥引き抜き管,バッフル板などを制御部材として取り付けてあっても良い。
5.第1〜第3実施形態では係合部材を制御部材に設けてあるが、隔壁に係合部材を設けてあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】浄化槽の内部を示す平面図
【図2】浄化槽の内部を示す側面図
【図3】図2のIII−III線矢視図
【図4】図2のIV−IV線矢視図
【図5】図2のV−V線矢視図
【図6】図2のVI−VI線矢視図
【図7】要部の斜視図
【図8】(イ)要部正面図,(ロ)要部一部断面上面図,(ハ)要部一部断面側面図,(ニ)要部一部断面側面図
【図9】要部側面図
【図10】(イ)要部側面図,(ロ)要部一部断面側面図,(ハ)要部一部断面平面図
【図11】第2実施形態の要部斜視図
【図12】(イ)第2実施形態の要部側面図,(ロ)第2実施形態の要部一部断面側面図
【図13】(イ)第2実施形態の要部側面図,(ロ)第2実施形態の要部一部断面側面図,(ハ)第2実施形態の要部一部断面側面図
【図14】第2実施形態の要部断面図
【図15】(イ)第3実施形態の要部斜視図,(ロ)第3実施形態の要部断面図
【図16】第3実施形態の要部斜視図
【図17】第3実施形態の説明図
【図18】第4実施形態を示す要部の一部断面側面図
【図19】第4実施形態を示す要部斜視図
【図20】第4実施形態の変形例を示す要部斜視図
【符号の説明】
【0047】
2 槽本体
5 隔壁
14 制御部材
34 貫通孔
35 係合部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽であって、
前記制御部材又は前記隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、前記貫通孔に係合部材を挿入することにより前記制御部材と前記隔壁とを互いに係合させて、前記制御部材を前記隔壁に取り付けてある浄化槽。
【請求項2】
前記係合部材を前記制御部材又は前記隔壁に樹脂で一体成型してある請求項1記載の浄化槽。
【請求項1】
槽本体内を区画する隔壁に、被処理水の流動状態を制御する制御部材を取り付けてある浄化槽であって、
前記制御部材又は前記隔壁の少なくとも一方に貫通孔を設け、前記貫通孔に係合部材を挿入することにより前記制御部材と前記隔壁とを互いに係合させて、前記制御部材を前記隔壁に取り付けてある浄化槽。
【請求項2】
前記係合部材を前記制御部材又は前記隔壁に樹脂で一体成型してある請求項1記載の浄化槽。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−283213(P2007−283213A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113469(P2006−113469)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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