説明

浄水器用継手及び据置型浄水器

【課題】蛇口直結型浄水器に用いられる流路切換器を据置型浄水器の流路切換器として兼用させることができる浄水器用継手及び該浄水器用継手を用いて原水をろ過する据置型浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器用継手10は、蛇口直結型浄水器12aに用いられる流路切換器14の浄化用水の吐出口28に着脱可能に接続される流入口32と、ホース18が接続され、該ホース18へと流入口32から流入した浄化用水を流通させる流出口30と、これら流入口32と流出口30とを連通する流路34とを備えることで、蛇口直結型浄水器12a用の流路切換器14に対してホース18を接続するホースジョイントを構成し、この流路切換器14の据置型浄水器12用としての使用を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇口直結型浄水器に用いられる流路切換器に対してホースを接続するための浄水器用継手及び該浄水器用継手を用いた据置型浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や職場等で使用され、水道水をろ過する浄水器としては、例えば、主にろ材を収納した浄水器本体をシンク周りに設置し、蛇口からホースを介して浄化用水を供給する方式(据置型浄水器)と、カートリッジ型の浄水器本体を蛇口に直結する方式(蛇口直結型浄水器)とが知られている。
【0003】
このような浄水器に関し、本出願人は、特許文献1において、蛇口に接続される流路切換器と、内部に吸着剤や中空糸膜等のろ材を収納した浄水器本体とをホースによって連結した据置型浄水器を提案している。さらに、特許文献2において、蛇口に接続した流路切換器に対し、ろ材を収納したカートリッジ型の浄水器本体を着脱するコンパクトな構成からなる蛇口直結型浄水器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−47731号公報
【特許文献2】特開平7−204636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の据置型浄水器では、ホースを接続する継手(ジョイント)が流路切換器に一体的に成形されている。このため、流路切換器が当該据置型浄水器専用のものとなっており、購入したユーザは、その据置型浄水器よりコンパクトな浄水器が必要となった場合や浄水器本体だけが故障した場合等には、新たな浄水器一式を購入する必要があり、不便な点があった。
【0006】
一方、蛇口直結型浄水器については、コンパクトなカートリッジ型の浄水器本体を流路切換器に直結する使用形態でしか用いることができず、ろ材寿命が長く、大きなろ過流量が得られる大容量の浄水器本体を流路切換器に接続して、据置型浄水器として使用することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、蛇口直結型浄水器に用いられる流路切換器を据置型浄水器の流路切換器として兼用させることができる浄水器用継手及び該浄水器用継手を用いて原水をろ過する据置型浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る浄水器用継手は、蛇口直結型浄水器に用いられる流路切換器の浄化用水の吐出口に着脱可能に接続される流入口と、ホースが接続され、該ホースへと前記流入口から流入した浄化用水を流通させる流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する流路とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、蛇口直結型浄水器の流路切換器から浄水カートリッジである浄水器本体を取り外した後、この流路切換器に対して当該浄水器用継手を接続し、さらに、この浄水器用継手にホースを接続することができる。従って、例えばこのホースの他端に据置型の浄水器本体を接続することにより、蛇口直結型浄水器用の流路切換器を据置型浄水器の形態としても使用することが可能となる。つまり、当該浄水器用継手を用いることにより、ユーザは、その後の使用目的の変化や好みに応じて、同一の流路切換器をそのまま利用して浄水器の使用形態を選択、変更することができ、浄水器使用の自由度が広がると共に、流路切換器の汎用性を高めることができる。
【0010】
この場合、前記吐出口と前記流入口とは、バヨネット方式で接続されることが好ましい。そうすると、当該浄水器用継手の流路切換器への着脱を簡単にワンタッチで行うことができ、蛇口直結型浄水器から据置型浄水器への変更等、浄水器の使用形態の選択や変更を容易に行うことができる。
【0011】
前記流出口は、外面に形成された雄ねじ部と、該雄ねじ部よりも前記ホースの取付側に突出した突出部とを有し、前記ホースと前記流出口とは、前記ホースの開口端に前記突出部を挿入し、前記ホースを挿通させたナットを前記雄ねじ部に螺着させることで着脱可能に接続されると、ホースを簡便な方法で且つ水漏れを防止した状態で流出口に接続することができ、接続後のホースの脱落等も有効に回避することができる。
【0012】
前記流路には、所定水圧以上で開放される安全弁が接続されることが好ましい。すなわち、流入口から流出口への流路を途中で分岐させ、ここに安全弁を設けておくことで、前記流路の過水圧を防止でき、据置型浄水器として使用した場合に過水圧によって、浄水器本体のろ材収納容器が破損することや、ホースが脱落等を生じ、水が飛散することを防止できる。
【0013】
前記流路は、略L字形に曲がっていると、浄水器用継手を流路切換器に接続した際、この浄水器用継手を流路切換器の接続面に沿ってコンパクトに配置することができ、蛇口周りで浄水器用継手が邪魔になることが防止される。
【0014】
また、本発明に係る据置型浄水器は、上記のような浄水器用継手と、前記流路切換器と、前記ホースと、前記浄水器用継手の流出口に一端が接続される前記ホースの他端が接続され、内部にろ材が収納される浄水器本体とを備えることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、流路切換器に対して着脱可能な浄水器用継手を据置型浄水器に用いることにより、ユーザの使用目的や好みに応じて、流路切換器を変更したり、浄水器用継手を取り外してカートリッジ型の浄水器本体を接続して、蛇口直結型浄水器の形態として使用したりすることが可能となり、汎用性と利便性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蛇口直結型浄水器の流路切換器から浄水カートリッジである浄水器本体を取り外した後、この流路切換器に対して当該浄水器用継手を接続し、さらに、この浄水器用継手にホースを接続することができる。従って、例えば、このホースの他端に据置型の浄水器本体を接続することにより、蛇口直結型浄水器用の流路切換器を据置型浄水器用の流路切換器としても兼用することが可能となり、汎用性や利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る浄水器用継手を備えた据置型浄水器の全体構成図である。
【図2】図2は、図1に示す据置型浄水器の流路切換器及びその周辺部の底面図である。
【図3】図3は、図1に示す浄水器用継手の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す浄水器用継手の正面図である。
【図5】図5は、図3に示す浄水器用継手の底面図である。
【図6】図6は、図3に示す浄水器用継手の長手方向に沿った一部分解断面図である。
【図7】図7は、流路切換器の吐出口周辺の構造を示す斜視図である。
【図8】図8は、浄水器用継手の流路切換器への接続手順を示す動作図であり、図8(A)は、浄水器用継手の流入口を流路切換器の吐出口に挿入した状態を示す側面図であり、図8(B)は、図8(A)に示す状態から浄水器用継手を90°回転させた状態を示す側面図である。
【図9】図9は、図1に示す流路切換器の蛇口直結型浄水器への適用例を示す全体構成図である。
【図10】図10は、図9に示す蛇口直結型浄水器の浄水器本体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る浄水器用継手について、この継手を備えた据置型浄水器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る浄水器用継手10を備えた据置型浄水器12の全体構成図であり、図2は、図1に示す据置型浄水器12の流路切換器14及びその周辺部の底面図である。この据置型浄水器12は、主に家庭や職場の水道等の蛇口16からの水道水等の原水をろ過して浄水を生成する浄水器であり、蛇口16に接続された流路切換器14から浄水器用継手10を介してホース18へと流通された原水(浄化用水)を、浄水器本体20に収納したろ材22でろ過し、浄水ノズル24先端の浄水出口24aから浄水として排出するものである。
【0020】
詳細は後述するが、据置型浄水器12に用いられる流路切換器14は、ホース18を用いずに、カートリッジ型の浄水器本体26を蛇口16に直結する方式の蛇口直結型浄水器12aに用いられるものと兼用される(図9参照)。このような流路切換器14は、原水をそのまま排出する「原水(及び原水シャワー)」と、原水を浄化用水として浄水器本体20(26)側へと流通させる「浄水」とを選択的に切り換えることができる。
【0021】
図1及び図2に示すように、据置型浄水器12は、水道等の蛇口16に接続される流路切換器14と、流路切換器14の浄化用水の吐出口28に着脱可能に接続される浄水器用継手10と、浄水器用継手10の浄化用水の流出口30に着脱可能に接続されるホース18と、ホース18から供給される浄化用水をろ過して浄水として排出する浄水器本体20とを備える。
【0022】
先ず、浄水器用継手10について説明する。
【0023】
図3は、図1に示す浄水器用継手10の斜視図である。図4は、図3に示す浄水器用継手10の正面図であり、図5は、図3に示す浄水器用継手10の底面図である。また、図6は、図3に示す浄水器用継手10の長手方向に沿った断面図であり、安全弁40を分解図として示している。
【0024】
図3〜図6に示すように、浄水器用継手10は、流路切換器14の浄化用水の吐出口28に対して着脱可能に接続される流入口32と、ホース18が着脱可能に接続され、該ホース18へと流入口32から流入した浄化用水を流通させる流出口30と、流入口32及び流出口30が設けられ、これら流入口32と流出口30との間を連通する流路34が内部に形成された本体(ボディ)36とを備える。すなわち、浄水器用継手10は、流路切換器14とホース18(浄水器本体20)との間を、浄化用水を流通可能に連結する浄水器用ホースジョイントである。
【0025】
本体36は、略矩形扁平形状の基部36aと、基部36aの一側面(周面)から突出した円筒形状の流出管部36bと、流出管部36bの根元から直交方向に突出した円筒形状の開放管部36cとから構成されている。基部36aの一端面(流路切換器14の吐出口28への接続面)に流入口32が設けられ、流出管部36bの先端に流出口30が設けられ、これら流入口32と流出口30との間を略L字形に屈曲した流路34が連通している(図5及び図6参照)。図6に示すように、流路34は、その途中の側壁面に開口形成された分岐孔38aによって開放管部36c内の開放流路38へと分岐しており、通常、この分岐孔38a(開放流路38)は安全弁40によって閉塞されている。
【0026】
流入口32は、バヨネット方式によって流路切換器14の吐出口28に対して着脱可能に接続され、該吐出口28から吐出される原水(浄化用水)を流路34へと流入させる入口ポートであり、基部36aの端面に突出形成されている。
【0027】
図3〜図5に示すように、流入口32の外周面には、互いに対向する一対の凸部42、42が形成されている。各凸部42は、流入口32の周方向に所定のテーパ角θで形成され、所定の巻き付け長さを有するテーパねじ42aと、テーパねじ42aの終端を規定するためにテーパねじ42aの端部からねじ軸方向に延びたストッパ42bと、テーパねじ42aによって形成されるねじ溝42cの途中に該ねじ溝42cの底部を横切るように膨出形成されたリブ42d(図3及び図5参照)とから構成されている。勿論、凸部42は、二対以上設けてもよい。
【0028】
流出口30は、着脱可能に且つ液密に接続されるホース18へと、流入口32から流路34へと流入した浄化用水を流通させるための出口ポートであり、流出管部36bの先端に形成されている。流出口30の外周面には、雄ねじ部44が形成され、該雄ねじ部44よりも先端側(ホース18の取付側)には、雄ねじ部44よりも小径で先細りテーパ形状の突出部(ホース挿入凸部)46が突き出ている。
【0029】
図2及び図4から諒解されるように、流出口30にホース18を接続する場合には、ホース18の開口端に突出部46を押し込み挿入し、ホース18を挿通させたナット48を雄ねじ部44に螺着させればよい。この際、突出部46の先端はホース18の内径と略同一径又は多少小径に形成され、突出部46の基端はホース18の内径よりも大径に形成されている。従って、突出部46にホース18を奥まで外挿させると該ホース18は拡径されると共に、その内面が突出部46のテーパ状の外面に密着するため、ナット48を雄ねじ部44に螺着させると、ホース18の抜け止めとナット48の抜け止めとが図られ、水漏れも防止される。
【0030】
流出口30へのホース18の接続構造は、上記したねじ構造以外であってもよく、例えば、カプラ等のワンタッチ式継手構造や、突出部46に外挿したホース18を外周側から締め付ける締付リングを用いた接続構造等であってもよい。また、流出口30とホース18とを接着等によって接合し、又は締付リングでホース18の外周面をかしめる等、ホース18を実質的に着脱不能な状態で流出口30に接続する構造としてもよい。
【0031】
安全弁40は、通常時には分岐孔38aを閉塞する一方、流路34内が所定水圧以上になった場合に開放され、該流路34内の浄化用水を開放流路38先端の放圧口39から外部に排出(放圧)することで、浄水器本体20のろ材収納容器の破損や、ホース18の流出口30からの脱落等を防止する圧力逃がし弁である。
【0032】
図6に示すように、安全弁40は、開放流路38奥部の分岐孔38a周囲の壁面38bに着地し、該分岐孔38aを閉塞するOリング50と、ばね52による付勢力によってOリング50を壁面38bに対して押し付ける圧力弁54と、ばね52の基端を支持し、圧力弁54の開放流路38からの脱落を阻止する受け台(圧力弁止め)56とから構成されている。
【0033】
圧力弁54は、Oリング50を押圧する円板54aと、円板54aの外面から外方へと突出するピン54bとを有し、円板54aの内面にOリング50が着地することで、分岐孔38aを閉塞する。受け台56は、開放流路38の開口端を覆う円板状の蓋体56aと、蓋体56aの内面から突出し、放圧口39の内面に形成された雌ねじ部38cに螺着される雄ねじ部56bと、雌ねじ部56bの内側に形成された凹部56cと、凹部56cの中央から圧力弁54側へと突出するピン56dとを有する。なお、図2及び図5中の参照符号56eは、受け台56の雄ねじ部56bを放圧口39の雌ねじ部38cに螺入させる際に、受け台56をマイナスドライバー等の図示しない工具で回転操作するための操作溝である。
【0034】
従って、図6から諒解されるように、ばね52は、一端側が圧力弁54のピン54bに外挿されて円板54aの外面に着地し、他端側が雌ねじ部38cに雄ねじ部56bが螺着された受け台56のピン56dに外挿されて凹部56cの底部に着地することにより、圧力弁54をばね52の付勢力によって開放流路38の奥側へと押し付け、Oリング50を壁面38bに押し付けておくことができる。そして、流路34内の水圧が所定以上に上昇し、過水圧となった場合には、この水圧によって圧力弁54がばね52の付勢力に抗して後退されるため、Oリング50が壁面38bから離れて分岐孔38aが開放され、原水(浄化用水)が開放流路38へと流入し、この原水は放圧口39に配設された蓋体56aの内外面を貫通する排出孔56fから外部へと排出される。勿論、流路34内が所定の水圧以下になれば、ばね38の付勢力によって再び圧力弁54が前進し、分岐孔38aが閉塞される。
【0035】
流路34が過水圧になった際に放圧する安全弁の構成は、上記の安全弁40以外の構成であっても勿論よく、要は、ホース18が流出口30から脱落してしまう等の問題を生じる前に、流路34内の水圧を適切に開放できる構成であればよい。
【0036】
次に、流路切換器14について説明する。
【0037】
図7は、流路切換器14の吐出口28周辺の構造を示す斜視図である。図1、図2及び図7に示すように、流路切換器14は、平面視略円形状の切換器本体60を備え、この切換器本体60の上面に開口形成された原水入口62が固定具64を介して水道等の蛇口16に接続される。固定具64は、ゴムパッキン64aやナット64bによって構成される。
【0038】
さらに、切換器本体60には、その下面に、原水入口62からの原水をそのまま排出する原水出口66と原水をそのままシャワーとして排出する原水シャワー出口68とが開口形成され、その側面に、原水入口62からの原水を浄化用水として浄水器用継手10側へと供給する吐出口28が開口形成されている。切換器本体60の内部には、原水入口62から、原水出口66、原水シャワー出口68及び吐出口28へと連通する図示しない分岐流路が形成されている。
【0039】
切換器本体60の内部には、図示しない流路切換弁が収納されている。この流路切換器は、切換器本体60の吐出口28側とは反対側の側面に回動可能に設けられた切換レバー70によって切換操作されるものであり、当該流路切換器14では、回動軸70aを中心として切換レバー70を3段階の角度位置に回動操作可能となっている。前記流路切換弁は、前記分岐流路の分岐点に配置されており、切換レバー70の3段階の角度位置に応じて、原水入口62からの原水を、原水出口66、原水シャワー出口68及び吐出口28のいずれか1つに選択的に流通させる機能を果たす。
【0040】
吐出口28は、浄水器用継手10の流入口32とバヨネット方式によって液密に接続され、原水入口62からの原水を浄化用水として浄水器用継手10へと流通させる出口ポートであり、切換器本体60の側面に多少突出して形成されている。
【0041】
図7に示すように、吐出口28の内部には、浄水器用継手10の流入口32に形成された凸部42と係合可能な凹部72が形成され、凹部72の底部にはリング状のゴムパッキン74が配設されている。凹部72は、その内周面から軸心方向に突出して互いに対向する一対の雌ねじ部72a、72aと、これら雌ねじ部72a、72a間に形成された一対の切欠部72b、72bとを有する。雌ねじ部72aは、流入口32の凸部42によって形成されるテーパねじ42aと係合可能な周方向長さを有し、切欠部72bは、凸部42を挿入可能な周方向長さを有する。ゴムパッキン74は、流入口32の周縁部端面が密着し、吐出口28と流入口32とを接続した際の液密性を確保するためのシール部材である。
【0042】
従って、浄水器用継手10の流入口30を流路切換器14の吐出口28に接続する際には、先ず、図8(A)に示すように、流出口30を下にして浄水器用継手10を直立させ、凸部42を凹部72の切欠部72bに挿入する。続いて、図8(B)に示すように、浄水器用継手10を例えば時計方向に90°回転させることにより、凹部72の雌ねじ部72aが凸部42のねじ溝42c内に進入し、雌ねじ部72aとテーパねじ42aとが噛み合うのに伴って浄水器用継手10が流路切換器14側に引き寄せられ、最終的には雌ねじ部72aの端部がねじ溝42c奥部のストッパ42bに当接した位置となる。これにより、凸部42と凹部72とが係合され、流入口32の周縁部端面がゴムパッキン74に密着し、浄水器用継手10の流入口30と流路切換器14の吐出口28とが接続される。
【0043】
図2及び図8(B)に示すように、流入口30と吐出口28とが接続された状態では、放圧口39(安全弁40の排出孔56f)が鉛直下向きとなるように、換言すれば、放圧口39が原水出口66や原水シャワー出口68と同一方向を向くように設定しておくことが好ましい。そうすると、流路34内が過水圧となって安全弁40が開放された場合に、放圧口39(排出孔56f)から排出される放出水(原水)がキッチンシンク等の中に落ち、シンク外に放散されることを回避できる。また、図5に示すように、ねじ溝42c内にリブ42dを設けておくことにより、浄水器用継手10を回転させている際、雌ねじ部72aの頂面がリブ42dによって外径方向に押圧されるため、雌ねじ部72aの頂面とねじ溝42cの底面との間の隙間をなくし、接続後のガタツキを防止することができる。
【0044】
このような流路切換器14としては、上記した固定具64による蛇口16への取付構造や切換レバー70及び流路切換弁による流路切換構造等を含め、従来公知の構造を用いればよく、例えば、上記特許文献1、2に記載された構造等を採用するとよい。また、浄水器用継手10の流入口30と流路切換器14の吐出口28との接続構造についても、上記例示したバヨネット方式以外の構造からなるバヨネット方式だけでなく、両者をねじ方式やスライド方式等によって接続する構造であってもよい。
【0045】
なお、図3中の参照符号41は、流路切換器14の流路切換弁を構成するスプール軸(図示せず)の端部が吐出口28内に露出した仕様の場合に(本実施形態の流路切換弁14ではこの仕様を採用していない)、このスプール軸の端部に係合し、当該浄水器用継手10を流路切換器14から取り外すために回転させた際にスプール軸も連動して回転させ、流路切換器14での流路方向を原水出口66又は原水シャワー出口68に切り換え、吐出口28からの原水の放散を防止するためのものである。
【0046】
図1に戻り、浄水器本体20は、ホース18の下流開口端が接続される接続口76を下部に設けた略円筒形状の外筒78と、外筒78の内部に収納され、図示しない吸着剤や中空糸膜等からなるろ材22と、外筒78の上部側面から水平方向に延びて下方へと屈曲し、先端に浄水出口24aが開口形成された浄水ノズル24とを備える。このような浄水器本体20としては、従来公知の構造を用いればよく、例えば、上記特許文献1に記載された構造等を採用するとよい。
【0047】
また、浄水器用継手10と浄水器本体20との間を繋ぐホース18には、一般的な水道水等の流通に適したゴムホースや樹脂ホース、金属蛇腹状のホース等を用いればよい。なお、ホース18としては、このような可撓性管状体以外のもの、例えば金属配管等のような非可撓性管状体を用いてもよい。
【0048】
図9は、図1に示す流路切換器14の蛇口直結型浄水器12aへの適用例を示す全体構成図であり、図10は、図9に示す蛇口直結型浄水器12aの浄水器本体26の構成図である。
【0049】
図9に示すように、蛇口直結型浄水器12aには、蛇口16に接続される流路切換器14と、流路切換器14の浄化用水の吐出口28に着脱可能に接続され、この吐出口28から供給される浄化用水をろ過して浄水として排出する浄水器本体26とが備えられ、流路切換器14は、図1に示す据置型浄水器12のものと同一のものが兼用される。そこで、図10に示すように、吐出口28に接続されるカートリッジ型の浄水器本体26の側面には、浄水器用継手10の流入口32と同一形状の流入口32aが設けられ、この流入口32aを吐出口28に対して係合させることにより、浄水器本体26を流路切換器14に着脱可能に接続することができる。
【0050】
蛇口直結型浄水器12aでは、ホースを用いずに浄水器本体26を流路切換器14の吐出口28に直結するため、この浄水器本体26は、図1に示す据置型浄水器12の浄水器本体20よりもコンパクトな構成となっている。勿論、浄水器本体20と略同様に、浄水器本体26にも図示しない吸着剤や中空糸膜等からなるろ材22aが収納されており、ろ材22aでろ過された浄水は、下面に開口形成されたシャワー出口80から排出される。浄水器本体26としては、従来公知の構造を用いればよく、例えば、上記特許文献2に記載された構造等を採用するとよい。
【0051】
このように、流路切換器14に着脱可能に接続できる浄水器用継手10を用いることにより、流路切換器14を、据置型浄水器12用として、或いは蛇口直結型浄水器12a用として兼用することができる。換言すれば、蛇口直結型浄水器12a用として使用されている流路切換器14を蛇口16に接続したまま、カートリッジ型の浄水器本体26を吐出口28から取り外し、今度はこの吐出口28に浄水器用継手10を接続することにより、蛇口直結型浄水器12a用の流路切換器14を据置型浄水器12用としても使用することができ、その逆の交換手順も勿論可能となっている。
【0052】
以上より、本実施形態に係る浄水器用継手10によれば、蛇口直結型浄水器12aに用いられる流路切換器14の浄化用水の吐出口28に着脱可能に接続される流入口32と、ホース18が接続され、該ホース18へと流入口32から流入した浄化用水を流通させる流出口30と、これら流入口32と流出口30とを連通する流路34とを備える。
【0053】
これにより、蛇口直結型浄水器12aの流路切換器14から浄水カートリッジである浄水器本体26を取り外した後、この流路切換器14に対して当該浄水器用継手10を接続し、さらに、この浄水器用継手10にホース18を接続することができる。従って、例えば、このホース18の他端に据置型の浄水器本体20を接続することにより、蛇口直結型浄水器12a用の流路切換器14を据置型浄水器12の形態としても使用することが可能となる。つまり、据置型浄水器12及び蛇口直結型浄水器12aのいずれか一方を購入したユーザは、その後の使用目的の変化や好みに応じて、浄水器一式を買い換えることなく、同一の流路切換器14をそのまま利用して浄水器の使用形態を選択、変更することができ、浄水器使用の自由度が広がると共に、流路切換器14の汎用性を高めることができる。
【0054】
ところで、流路切換器の浄化用水の吐出口は、浄水器メーカ毎に規格化されているのが通例である。そこで、当該浄水器用継手10の流入口32の接続構造・寸法を、流路切換器の吐出口の規格に合わせておけば、その浄水器メーカの取り扱う多くの流路切換器に適用することが可能となり、汎用性と利便性が一層向上する。
【0055】
また、流路切換器14の吐出口28と浄水器用継手10の流入口32とを、上記のようなバヨネット方式で接続するように構成すると、当該浄水器用継手10の流路切換器14への着脱を簡単にワンタッチで行うことができ、蛇口直結型浄水器12aから据置型浄水器12への変更等、浄水器の使用形態の選択や変更を容易に行うことができる。
【0056】
当該浄水器用継手10では、流出口30に対してホース18を着脱可能に接続できるように構成したことにより、図8(A)及び図8(B)に示すように当該浄水器用継手10を回転させて流路切換器14に接続する際にホース18が邪魔になることがなく、該接続を容易に行うことができる。
【0057】
図6に示すように、浄水器用継手10の流路34には、所定水圧以上で開放される安全弁40が接続されているため、流路34の過水圧を防止でき、据置型浄水器12として使用した場合の過水圧により、浄水器本体20のろ材収納容器(外筒78)が破損することや、ホース18の脱落等による水の飛散を防止することができる。
【0058】
浄水器用継手10の流路34は、略L字形に曲がっているため(図5及び図6参照)、浄水器用継手10を流路切換器14に接続した際、図1及び図2に示すように、この浄水器用継手10を流路切換器14の接続面に沿ってコンパクトに配置することができ、邪魔になることがない。この際、流入口32と流出口30とは、互いの軸方向が略直交しているため、ホース18の延在方向も浄水器用継手10の長手方向、つまり流路切換器14の接続面に沿った方向となり、ホース18が邪魔になることも防止できる。なお、流路34が略L字形に曲がっているとは、流路34の途中が直角に屈曲したL字形形状は当然として、屈曲部が湾曲しているものや、屈曲角度が例えば80°〜100°等、90°前後にある場合も含むものである。
【0059】
また、このような浄水器用継手10を備えた据置型浄水器12は、ユーザの使用目的や好みに応じて、流路切換器14を変更したり、浄水器用継手10を取り外してカートリッジ型の浄水器本体26を接続して、蛇口直結型浄水器12aの形態として使用したりすることが可能となり、汎用性と利便性が高い。
【0060】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
10 浄水器用継手
12 据置型浄水器
12a 蛇口直結型浄水器
14 流路切換器
16 蛇口
18 ホース
20、26 浄水器本体
28 吐出口
30 流出口
32、32a 流入口
34 流路
36 本体
38 開放流路
39 放圧口
40 安全弁
44 雄ねじ部
46 突出部
48、64b ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口直結型浄水器に用いられる流路切換器の浄化用水の吐出口に着脱可能に接続される流入口と、
ホースが接続され、該ホースへと前記流入口から流入した浄化用水を流通させる流出口と、
前記流入口と前記流出口とを連通する流路と、
を備えることを特徴とする浄水器用継手。
【請求項2】
請求項1記載の浄水器用継手において、
前記吐出口と前記流入口とは、バヨネット方式で接続されることを特徴とする浄水器用継手。
【請求項3】
請求項1又は2記載の浄水器用継手において、
前記流出口は、外面に形成された雄ねじ部と、該雄ねじ部よりも前記ホースの取付側に突出した突出部とを有し、
前記ホースと前記流出口とは、前記ホースの開口端に前記突出部を挿入し、前記ホースを挿通させたナットを前記雄ねじ部に螺着させることで着脱可能に接続されることを特徴とする浄水器用継手。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水器用継手において、
前記流路には、所定水圧以上で開放される安全弁が接続されることを特徴とする浄水器用継手。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の浄水器用継手において、
前記流路は、略L字形に曲がっていることを特徴とする浄水器用継手。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の浄水器用継手と、
前記流路切換器と、
前記ホースと、
前記浄水器用継手の流出口に一端が接続される前記ホースの他端が接続され、内部にろ材が収納される浄水器本体と、
を備えることを特徴とする据置型浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−61009(P2013−61009A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199566(P2011−199566)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】