説明

浮体の係留金物架台の取付構造

【課題】浮体を係留する係留金物架台の取付作業に、海中作業を要することがあり、その作業の安全性を確保して、作業の煩雑性や長時間化をなくすよう、簡便な操作で作業できるようにした浮体の係留金物架台の取付構造を提供する。
【解決手段】浮桟橋2の係留金物架台15を取り付ける位置にテンプレート10を固定し、該テンプレート10の表面に一対のキープレート11a、11bによる楔型キープレートを配する。係留金物架台15にこの一対のキープレート11a、11bと係合する形状の端部を有する架台ベースプレート16を具備させる。これらキープレート11a、11bでアリミゾを形成し、架台ベースプレート16の端部で該アリミゾと係合するアリガタを形成する。浮桟橋2を係留現場に位置させて、係留金物架台15を上方から吊り込んで、架台ベースプレート16を楔型キープレートに係合させて、係留金物架台15を浮桟橋2に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶を係留させる浮桟橋や、汚水池に汚水処理装置を浮遊させて設置させる浮体等のように、海面や水面の変動に応じて昇降する浮体を、海底等に固定した支柱に係留させるための係留金物架台を浮体に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶を岸壁に係留する場合、岸壁の高さは一定であるのに対して、海面の昇降により船舶の高さ位置は潮位に応じて変動し、あるいは波高によっても常時変動している。このため、船舶を浮桟橋に係留させて、この浮桟橋と岸壁との間に渡橋を配することにより、船員や船客等の乗員の船舶からの乗降を円滑に行えるようにしている。すなわち、図4に示すように、岸壁1に対して適宜に離隔した位置に浮桟橋2を配し、岸壁1と浮桟橋2との間を渡橋3で連絡させてある。船舶Sは浮桟橋2に係留される。浮桟橋2は海面に浮遊しているために、潮位や波高の変動によって昇降して、その上面が常に海面と一定の高さの位置にある。したがって、船舶Sの乗員は浮桟橋2との間で円滑に乗降できる。この浮桟橋2と岸壁1との間には渡橋3が掛け渡されており、渡橋3の浮桟橋2側の端部は浮桟橋3と共に昇降しながら、岸壁1との架設状態が維持されるようにしてあり、乗員はこの渡橋3により岸壁1と浮桟橋2との間を往来することができるようにしてある。
【0003】
渡橋3が岸壁1と浮桟橋2とから外れてしまっては不都合であるから、前記浮桟橋2は岸壁1に対して一定位置になければならない。このため、浮桟橋2は、浮桟橋2の角部に対応させて配するように、海底に固定して設置させた4本の支柱4に連繋させて配されている。このための係留装置として、特許文献1〜特許文献5に記載されている種々の装置がある。この種の係留装置は、前記支柱4と連繋させて浮体に取り付けられる。
【0004】
すなわち、浮桟橋2の端部に係留金物架台2aを側方を指向させて突設し、この係留金物架台2aを前記2本の支柱4の間に位置させることにより、浮桟橋2が4本の支柱4により拘束されて水平面内での移動が阻止される。また、潮位の変化等による海面の昇降に対しては、支柱4が浮桟橋2の昇降を案内するようにしてある。例えば、図5に示すように、係留金物架台2aの上面にガイドローラ5aを有する係留金物5が取り付けられる。そして、ガイドローラ5aの外周面が支柱4に接触する状態となるように、係留金物5の取付位置を調整する。これにより、浮桟橋2が昇降すると、ガイドローラ5aが支柱4に沿って回転しながら係留金物架台2aが昇降して、浮桟橋2の昇降が許容される。
【0005】
ところで、前記係留金物架台2aは2本の支柱4に挟まれた位置に配されるため、浮桟橋2の設置現場にて当該浮桟橋2に取り付けることになる。図5に示すように、係留金物架台2aが取り付けられる位置には、テンプレート6が浮桟橋2の内部鋼桁2bに溶接により取り付けられ、このテンプレート6に係留金物架台2aが取り付けられる。なお、浮桟橋2は前記内部鋼桁2bの周囲に鉄筋を配してコンクリートを打ち込んで形成されている。
【0006】
図6は前記テンプレート6の取付状態を示すもので、同図の(a)が正面図、(b)が平面図である。ほぼ矩形に形成されたテンプレート6は、内部鋼桁2bに溶接された箇所以外はコンクリート壁2cが背面側に配されている。このコンクリート壁2cに雌ボルト7aが埋設され、その開口部7bがテンプレート6に露呈させてある。また、テンプレート6の下部の角部には、台形に形成されて、その斜辺を内側に配したキープレート8aが溶接されて固着されている。
【0007】
前記係留金物架台2aは、図7と図8に示すように、前記テンプレート6に重畳されるフランジ部2dが形成されている。このフランジ部2dの下部の角部は、図8に示すように、前記キープレート8aの斜辺に合致する形状に面取りされている。また、前記開口部7bに合致する位置に挿通孔が形成されており、この挿通孔を挿通させて雄ボルト7cを前記雌ボルト7aに螺合させるようにしてある。さらに、係留金物架台2aがテンプレート6に取り付けられた状態でフランジ部2dの上部の角部を臨む位置には、図8に示すように、ほぼL字形に形成されたせん断キー8bがテンプレート6に溶接されて固着される。
【0008】
前述したように、浮桟橋2に係留金物架台2aを取り付けるには、該浮桟橋2を係留させる現場における作業となる。他方、浮桟橋2や係留金物架台2aを製作する際に、例えば寸法精度を高くしてしまっては製作コストを上昇させてしまうから、さほど高精度では製作せず、予め工場や製作ヤードで浮桟橋2と係留金物架台2aとを組み付けておき、その組み付けの組み合わせにより現場において係留金物架台2aを浮桟橋2に組み付ける作業となる。
【0009】
浮桟橋2を係留させるには、前述したように、工場等において浮桟橋2に予め係留金物架台2aを組み付けた状態で製作したものを、係留現場に搬入する。係留現場には前記4本の支柱4が海底に固定されて配されており、係留金物架台2aを取り外した浮桟橋2を4本の支柱4の中央部に位置させる。この状態で、係留金物架台2aを予め組み付けられていた元の位置に組み付けることになる。すなわち、係留金物架台2aを上方からつり込みながら、フランジ部2dの前記面取りがキープレート8aの斜辺に合致する位置に配する。この状態で、フランジ部2dの挿通孔が前記雌ボルト7aのテンプレート6に露呈させた開口部7dに一致することになるから、雄ボルト7cをこの挿通孔を通して雌ボルト7aに螺合させて締め付ける。これにより、係留金物架台2aが浮桟橋2に組み付けられることになる。そして、上方から前記せん断キー8bをフランジ部2dの上部の角部に望ませて、テンプレート6に溶接して固着する。
【0010】
浮桟橋2に組み付けられた係留金物架台2aに前記係留金物5を載置させて、前記ガイドローラ5aが支柱4の側面に接触して適宜に案内される位置で、該係留金物5を固定すれば、浮桟橋2が支柱4の中央部に係留された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−309287
【特許文献2】特開平8−2480
【特許文献3】特開平8−40354
【特許文献4】特開平11−293625
【特許文献5】特開平11−350456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8は浮桟橋2を海水面に浮遊させた状態を示しており、海面の位置を符号Lで示す。係留金物架台2aをテンプレート6に固定するための雄ボルト7cの一部は海面下に位置しているため、この雄ボルト7cの締め付け作業は海中での作業となる。このため、海中での作業を行える作業員、すなわちダイバーによる作業となる。また、前記せん断キー8bをテンプレート6に固着させる溶接作業も、海水がかかる位置での作業となり、海中溶接の作業が要求される。すなわち、ダイバーによる雄ボルトの締め付け作業や海中での溶接作業等の特殊な作業が要求される。
【0013】
上述のように、従来の浮桟橋2等の浮体の係留金物架台の取付構造では、テンプレートにボルト締めして固着させるため、ボルトの締め付け作業に時間や労力を要していた。しかも、工場等で仮組み付けし、現場で分解、締め付けの作業を行うために、手間数が多くなり、浮体の製作から設置までに煩雑な作業が繰り返されている。しかも、現場における溶接作業に特殊な作業が要求されることから、より時間と労力を要して、浮体の設置までに要するコストを上昇させてしまっている。
【0014】
そこで、この発明は、極力簡単な作業で浮体に取り付けることができて、時間や労力の軽減を図り、また、現場における取付作業の簡便化と安全性を向上させることができる浮体の係留金物架台の取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造は、水中に固定された支柱に係留される浮体であって、係留金物架台を現地にて浮遊している浮体に取り付けることを要する浮体の係留金物架台の取付構造において、浮体に固着させたテンプレートの左右に、一対のキープレートからなり下方側が接近させてある楔型キープレートを固着し、前記テンプレートに取り付ける係留金物架台に前記楔型キープレートに係合する側端部を備えた架台ベースプレートを設け、前記架台ベースプレートを上方からつり込んで前記楔型キープレートに係合させて係留金物架台を取り付けることを特徴としている。
【0016】
前記楔型キープレートと架台ベースプレートとが合致する状態となるように、浮体の製作工場や製作ヤードで仮組み付けを行う。このとき、係留金物架台を上方からつり込んで楔形キープレートと架台ベースプレートとを係合させる。次に、この浮体を係留現場に搬入し、係留金物架台を取り外して係留用の支柱で囲まれた位置に配する。そして、取り外した係留金物架台を上方からつり込みながら架台ベースプレートを楔型キープレートに係合させる。楔型キープレートは、一対のキープレートを、下方が閉じるように傾けた楔型に形成されているから、上方からつり込むことにより架台ベースプレートと確実に係合する。このため、浮体に係留金物架台が取り付けられることになる。
【0017】
また、請求項2の発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造は、前記楔型キープレートと前記架台ベースプレートとをアリミゾ形式で係合させるを特徴としている。
【0018】
前記楔型キープレートと架台ベースプレートとが係合した状態で、架台ベースプレートが水平方向で離脱しない構造とする必要がある。このため、楔型キープレートと架台ベースプレートとをアリミゾ形式として係合させるようにしたものである。このため、係留金物架台を上方からつり込みながら、アリガタの架台ベースプレートの下端をアリミゾの楔型キープレートの上端から差し込み、係留金物架台を下降させて、摺動させることにより、これら架台ベースプレートと楔型キープレートとが係合する。
【0019】
また、請求項3の発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造は、前記楔型キープレートに前記架台ベースプレートを係合させた状態で、楔型キープレートと架台ベースプレートとの上端部を固着させる固着手段を設けたことを特徴としている。
【0020】
海水の潮位の変動によって係留金物架台が浮体から離脱することがあってはならない。このため、楔型キープレートと架台ベースプレートとが係合した状態で、係留金物架台を浮体に固定することが必要となり、そのための手段として、楔型キープレートと架台ベースプレートとの上端部を固着させるようにしたものである。例えば、楔型キープレートと架台ベースプレートのそれぞれの上端部に重畳板を取り付け、これら楔型キープレートと架台ベースプレートとが係合した状態で重畳板が重畳し、これら重畳板をボルト・ナットにより締め付けて固定するようにする。この締め付け作業は、浮体の上面から行うことができ、海中での作業とならない。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造によれば、係留金物架台を上方からつり込みながら、架台ベースプレートを楔型キープレートに係合させることにより浮体に取り付けることができる。このため、煩雑なボルトの締め付け作業を要することがない。このことは、工場等において係留金物架台を浮体に仮組み付けする際も同様であり、浮体の製作から設置までボルト締めの作業を要することがない。このため、係留現場において係留金物架台を浮体に取り付ける際の海中での作業が不要となり、取付作業の簡便性と安全性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2の発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造によれば、楔型キープレートと架台ベースプレートとの係合状態を十分に確保することができる。しかも、これらの係合によってせん断力に対して十分に対抗でき、せん断キー等のせん断応力に対向させる部材を別途に要することがない。このため、せん断キーをテンプレートに固着する溶接作業も必要がない。
【0023】
また、請求項3の発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造によれば、浮体に係留金物架台を固定するための作業を、浮体の上面から行うことができるので、簡便で安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る取付構造に係る浮体に取り付けられたテンプレートを示しており、(a)は正面図、(b)は(a)に示すA−A線で沿って切断して示す断面図である。
【図2】この発明に係る取付構造に係る係留金物架台を示す正面図で、一部を分解して示してある。
【図3】この発明に係る取付構造によって浮体に係留金物架台を取り付けた状態を説明する図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB−B矢視図である。
【図4】浮体として浮桟橋を例示するもので、岸壁に近傍に係留された浮桟橋を示す平面図である。
【図5】係留金物架台を取り付ける従来の構造を備えた浮桟橋の一部を示す斜視図で、一部を切断して示している。
【図6】従来の取付構造に係る浮体に取り付けられたテンプレートを示しており、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】従来の取付構造により浮体に係留金物架台を取り付けた状態を示す平面図である。
【図8】従来の取付構造により浮体に係留金物架台を取り付けた状態を示す正面図であり、海面の想定位置を併記してある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造を具体的に説明する。なお、図4〜図8に示した構造に係る部位と同一の部位については、同一の符号を付してある。
【0026】
図1(a)は浮体としての浮桟橋2に取り付けられたテンプレート10の正面図であり、同図(b)は(a)におけるA−A線に沿って切断した断面図である。テンプレート10は、従来の構造と同様に、内部鋼桁に溶接等によって固定されて、このテンプレート10が浮桟橋2の側面に露呈する状態となるようにコンクリートが打ち込まれて浮桟橋2が製作される。
【0027】
前記テンプレート10はほぼ矩形に形成されており、その左右の端部に鉛直方向を長手方向とした一対のキープレート11a、11bが配されており、これら一対の左右のキープレート11a、11bにより楔形キープレート11が構成されている。この一対のキープレート11a、11bはいずれも正面形状が台形に形成され、その斜辺側同士が対向して位置し、下方に向かって一対のキープレート11a、11bの間隔が小さくなるように配されている。すなわち、これら一対のキープレート11a、11bで挟まれた空間部が逆台形となるようにしてある。そして、前記キープレート11a、11bの台形の斜辺の部分には、図1(b)に示すように、鳩尾形状に形成されたアリミゾ12a、12bが形成されている。また、このキープレート11a、11aの上端には、図1(b)上で想像線で示すように、アリミゾ12a、12bの上部を閉塞しない状態で、透孔11dが形成されている重畳受け板11cが固着されている。この重畳受け板11cに、図2及び図3(b)に示すように、重畳板11eが重ねられるようにしてある。この重畳板11eは図3(b)に示すように、重畳受け板11cに重ね合わせた状態で、アリミゾ12a、12bを閉塞するよう位置するようにしてある。また、前記透孔11dと合致する位置には、透孔11fが形成されている。
【0028】
他方、前記テンプレート10を介在させて浮桟橋2に取り付けられる係留金物架台15は図2に示すように、逆台形に形成された架台ベースプレート16に取り付けられている。この架台ベースプレート16の左右の両端部は、図3(b)に示すように、前記楔形キープレート11のアリミゾ12a、12bのそれぞれに適合するように、アリガタに形成されている。
【0029】
前記係留金物架台15の架台ベースプレート16の両側の下端部を前記左右のキープレート11a、11bの上端部でアリミゾに適合させて下降させれば、アリミゾとアリガタの係合により、架台ベースプレート16が楔形キープレート11と係合して、係留金物架台15がテンプレート10を介在させて浮桟橋2に取り付けられることになる。
【0030】
前記浮桟橋2と係留金物架台15は、いずれも工場や製作ヤードで製作され、浮桟橋2に係留金物架台15を仮組み付けする。すなわち、このときに、楔型キープレート11のアリミゾと架台ベースプレート16のアリガタとが適合するように調整する。
【0031】
以上のように工場等で製作されて係留金物架台15が仮組み付けされた浮桟橋2を係留現場に搬入する。係留位置には予め支柱4が固定されており、搬入されて係留金物架台15が取り外された浮桟橋10を支柱4で囲まれた位置に位置させる。この状態で前記取り外した係留金物架台15を元の位置に取り付ける。
【0032】
係留金物架台15は、取り外した元の位置に改めて取り付けることになる。この係留金物架台15を取り付けるには上方からつり込んで、架台ベースプレート16の下端の角部を楔型キープレート11の左右のキープレート11a、11bに上端部に係合させる。これらを係合させた状態で係留金物架台15を下降させれば、架台ベースプレート16が楔型キープレート11に係合する。これにより、係留金物架台15が浮桟橋10に取り付けられた状態となり、浮桟橋2が支柱4で囲まれた位置内に拘束されることになる。
【0033】
架台ベースプレート16が楔形キープレート11に対して下降すると、これらが逆台形に形成されているから、架台ベースプレート16が楔型キープレート11に拘束される位置まで下降する。この位置において、左右のキープレート11a、11bの上端に取り付けられた前記重畳受け板11cに前記重畳板11eを重ねて、これらを図示しないボルト・ナットにより固定する。これにより、係留金物架台15の架台プレート16が楔型キープレート11から離脱することがなくなり、係留金物金型15が浮桟橋2に確実に取り付けられた状態となる。そして、この係留金物架台15に係留金物5を取り付け、ガイドローラ5aが支柱4に接触した状態が保たれるように調整する。
【0034】
前述したように、架台ベースプレート16が楔型キープレート11に係合した状態では、これらの係合状態によって係留架台金物2に対して作用する引張方向の力とせん断方向の力のいずれに対しても確実に対抗することができる。
【0035】
以上説明した実施形態では、左右のキープレート11a、11bの対向している側にアリミゾを形成し、架台ベースプレート16の端部をアリガタとして、これらの係合により架台ベースプレート16と楔型キープレート11とが係合する構造として説明したが、他の構造によるものであっても構わない。例えば、架台ベースプレートの係留金物金型15を取り付ける側の面に鳩尾状のアリミゾを形成し、浮桟橋のテンプレートにこのアリミゾに係合するアリガタを備えたレール部材を取り付けた構造等、その他の構造で係合関係を構成することができる。この場合、工場等で仮組み付けした係留金物架台を浮桟橋から簡単な作業で離脱させ、再度取り付ける作業を簡便に行えるようにすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明に係る浮体の係留金物架台の取付構造は、係留金物架台の浮体への取付作業を簡便で、短時間に、しかも安全に行うことができ、浮体の係留現場への設置作業の煩雑さをなくして、設置作業時間の短縮化に寄与する。
【符号の説明】
【0037】
2 浮桟橋(浮体)
10 テンプレート
11 楔形キープレート
11a 左側キープレート
11b 右側キープレート
11c 重畳受け板
12a ガイド溝
12b ガイド溝
15 係留金物架台
16 架台ベースプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に固定された支柱に係留される浮体であって、係留金物架台を現地にて浮遊している浮体に取り付けることを要する浮体の係留金物架台の取付構造において、
浮体に固着させたテンプレートの左右に、一対のキープレートからなり下方側が接近させてある楔型キープレートを固着し、
前記テンプレートに取り付ける係留金物架台に前記楔型キープレートに係合する側端部を備えた架台ベースプレートを設け、
前記架台ベースプレートを上方からつり込んで前記楔型キープレートに係合させて係留金物架台を取り付けることを特徴とする浮体の係留金物架台の取付構造。
【請求項2】
前記楔型キープレートと前記架台ベースプレートとをアリミゾ形式で係合させるを特徴とする請求項1に記載の浮体の係留金物架台の取付構造。
【請求項3】
前記楔型キープレートに前記架台ベースプレートを係合させた状態で、楔型キープレートと架台ベースプレートとの上端部を固着させる固着手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の浮体の係留金物架台の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−116255(P2011−116255A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275974(P2009−275974)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】