説明

海底ドリルシステム及びドリルシステムの操縦方法

海底ドリルシステムは、水の中又は外で取外し可能且つ交換可能なツールカルーセルを有するドリルモジュールと、スキッドモジュールと、及び水の中又は外で前記スキッドモジュールと接続及び切断されるROVとを備え、該ROVは、前記海底ドリルシステムを作動するため用いられる。海底ドリルシステムを作動させる方法は、水の中又は外で、ツールカルーセルをドリルモジュールから取外して該ツールカルーセルを他のツールカルーセルに交換するステップを含む。ROVは、水の中又は外で、スキッドモジュールに接続され、前記スキッドモジュールから切断される。前記海底ドリルシステムは、前記ROVを用いて作動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底ドリルシステム、より詳しくは、ROV(Remote Operated Vehicle:遠隔操縦車両)を有するようなシステムに関する。本発明は、また、海底ドリルシステムの操縦方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モントレー研究所(Monterey Research Institute)のために製造された或る既存の装置は、2つのROVに搭載され操作される水平削孔ドリルを有する。さらに、モントレーベイ研究所(Monterey Bay Research Institute)のために製造された他の装置は、スキッドを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この装置においては、カルーセルは固定されており、水平に取付けられる。海底ドリルシステムは、垂直に取付けられる取外し可能なカルーセルを有する。
【0004】
従って、本発明の目的は、この通常の方式の従来の装置及び方法の、ここに前述した不利な点を克服することであって、すなわち、カルーセルを、水面又は海底上で取外し可能とし、カルーセルをピンおよびガイド用レセプタクルにより所定場所にガイドして他のROVを使用して水中で取外し又は交換可能とし、また、ROVを海底ドリルシステムに接続して海底ドリルシステムを操縦できるように、システムを水中でROVに結合可能とし、さらに、ROVを水中で海底ドリルシステムスキッドパッケージから切り離し可能とするとともに、ROVを、ROVが支援船のデッキ上にある間、海底ドリルシステムに速やかに取り外し又は搭載可能とする、海底ドリルシステム及び海底ドリルシステムの操縦方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の及び他の目的を視野に入れ、本発明によれば、海底ドリルシステムが提供される。本システムは、水の中又は外で取外し可能且つ交換可能なツールカルーセルを有するドリルモジュールと、スキッドモジュールと、水の中又は外で前記スキッドモジュールに接続され及びスキットモジュールから切り離される、海底ドリルシステムを操縦するためのROVとを備える。
【0006】
本発明の目的を視野に入れ、海底ドリルシステムの操縦方法もまた提供される。この方法は、水の中又は外で、ツールカルーセルをドリルモジュールから除去して該ツールカルーセルを他のツールカルーセルに交換するステップ、水の中又は外で、ROVをスキッドモジュールに接続し、前記ROVを前記スキッドモジュールから切断するステップ、及び前記海底ドリルシステムを、前記ROVを用いて作動させるステップを含む。
【0007】
本発明に従う海底ドリルシステムは、水深3000m又は9840フィートで従来のダイヤモンドドリル技術を使用することにより、地質学的なコアのサンプルを採取するために構成される。システムは、好適な重量クラスのROVに関連して形成され、且つ陸上の削孔及びコアリング技術を利用する。従来のコアリングのツール及びドリルシステムは、逆循環ドリルシステムとともに使用される。
【0008】
2つの主なアセンブリ又はパッケージ、即ち海底ドリルパッケージおよび表面制御パッケージが海底ドリルシステムに設けられる。本発明に従う海底ドリルシステムは、例えばTriton ST200 class ROVのような好適なROVにインターフェースで接続する。海底ドリルシステムは、油圧源および電源のための通信回線を供給するため好適なROVを採用することによって作動する。海底ドリルシステムは、供給、サービス及び作動を画定するため、ST200 class ROVまたは任意の重量クラスのROVを使用する。
【0009】
ベースライン海底ドリルシステムのための機能系統性能要件は、12m又は39.4フィートのコアリング深さと、3.5の比重と推定されるコア密度である。コア直径及び長さは、それぞれ51.8mm又は2.04インチ、及び1バレル当たり1.5m又は59インチである。ドリルの打込み力は0から40kN(9000ポンド/フィート)であり、引抜き力も同様である。
【0010】
パイプロッド取扱性能は、2.0m又は79インチの長さのロッドで、毎分1つのジョイントの形成又は分解に対応する。ロッドの打込み及び引き抜きのための稼動速度は、無負荷状態で0から0.2m又は0.66フィート毎秒であり、40kN又は9000ポンド/フィートの荷重負荷状態で0から0.025m又は1インチ毎秒である。ドリルヘッドは、15.2m又は50フィート毎分の速度で打ち込まれ、10.7m又は35フィート毎分の速度で引き抜かれる。ドリルトルクの範囲は、15Nmから250Nmまで、又は11フィートポンドから185フィートポンドまでである。ドリル速度の範囲は0から900rpm、連続可変であり、2速モータを使用し、最大ドリルスピンドル速度は1200rpmである。
【0011】
海底ドリルシステム構造は、Det Norske VeritasないしDNVのRules for Certification of Lifting Appliancesに従い、負荷試験がDNVの立会いにより行われた。
【0012】
本発明に特有と考えられる他の特徴は、特許請求の範囲において規定される。
【0013】
本発明は、海底ドリルシステム、及び海底ドリルシステムを作動させる方法における実施形態としてここに図示及び説明されるが、それでもやはり、本発明の技術思想から逸脱することなく、特許請求の範囲の均等の範囲内で、種々の応用と構造上の変更がなされ得ることから、示された詳細に限定することは意図されていない。
【0014】
しかしながら、本発明の構成及び作動の方法とそれらの追加の目的及び利点は、添付の図面と関連して読まれる時、以下の、特定の実施形態の説明から最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従う海底ドリルシステムの構成要素を示す図である。
【図2A】ドリルモジュール及びスキッドモジュールを含む海底スキッドパッケージの前面側面斜視線図である。
【図2B】ROVの前方及び側方からの斜視図である。
【図2C】ROVを搭載したドリルモジュール及びスキッドモジュールの前方及び側方からの斜視図である。
【図3】脚部を伸ばし、かつドリルヘッドアセンブリとツールカルーセルを搭載した図2Cに類似する、前方及び側方からの斜視図である。
【図4】ドリルヘッドアセンブリの拡大立面図である。
【図5】ドリルヘッドアセンブリの更に拡大した断面図である。
【図6】ドリルヘッドアセンブリのより一層更に拡大した断面図である。
【図7】ドリルモジュールのツールカルーセルの上面斜視図である。
【図8】ツールカルーセルの立面図である。
【図9】図8と異なる大きさに拡大したツールカルーセルの立面図である。
【図10】カルーセルピンレセプタクルを備えたツールカルーセルの立面図である。
【図11】駆動機構の斜視図である。
【図12】フットクランプの斜視図である。
【図13】引込位置におけるツールアームの斜視図である。
【図14】延伸位置におけるツールアームの斜視図である。
【図15】ツールアームのグリッパの拡大斜視図である。
【図16】レベリング脚部の外側斜視図である。
【図17】レベリング脚部の内側立面図である。
【図18】レベリング脚部の拡大部分内側立面図である。
【図19】ドリルモジュール用構造フレームの前面側面斜視図である。
【図20】ドリルウォータポンプの斜視図である。
【図21】ドリルモジュールマニホールドの油圧系の略図である。
【図22】ドリルモジュールマニホールドの油圧系の略図である。
【図23】ドリルモジュールマニホールドの油圧系の略図である。
【図24】電気ケーブルと海底制御装置の略図である。
【図25】スキッドモジュール用構造フレームの斜視図である。
【図26】表面制御ステーションの斜視図である。
【図27A】主ドリルスクリーンを示す図である。
【図27B】ツール変更スクリーンを示す図である。
【図28】データロガーを示す図である。
【図29】逆循環ドリルヘッドの斜視図である。
【図30】循環ドリルビットの部分斜視図である。
【図31】循環ドリルビットの一部の、拡大部分斜視図である。
【図32】循環ドリルビットの一部の、拡大部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで添付図面の図を詳細に、そしてまずは特にその図1を参照すると、海底スキッドパッケージ及び表面制御パッケージを含み、以下に詳細に説明される、本発明に従う海底ドリルシステムの構成要素を示すチャートが示される。
【0017】
図2Aは、ドリルモジュール1及びスキッドモジュール100を含む海底スキッドパッケージを示す。図2Bは、海底スキッドパッケージに使用されるROV3を示し、図2Cは、海底スキッドパッケージに搭載されたROV3を示す。ここで図示する好適なROVは、XLXS125であるが、他のものを代わりに使用してもよい。ドリルモジュール1は、2つの安定水平化脚部80を有し、スキッドモジュール100は、1つの安定水平化脚部80を有して、これらは改良された三脚構造をなす。脚部80は、図2Aに示すとおり延伸することができ、図2Cに示すとおり引込むことができ、又は、海底の凹凸に対応するため部分的に延伸することができる。脚部80は、最大延伸長53”を有するが、より長いまたは短い最大延伸長をもつよう構成することもできる。以下により詳細に説明される2つのツールアーム70及びドリルヘッド10は、図2Cにも見ることができる。延伸された脚部80も示す図3は、下方に配置されたドリルヘッド10を示す一方、ドリルヘッド10は図2Cにおいて上方に配置される。最後に、図2A、2C及び3は、ドリルモジュール1のための構造フレーム90及びスキッドモジュール100のための構造フレーム130も示す。
【0018】
図2B、2C及び3に示すROVは、海底で海底ドリルシステムと結合することができる好適なROVである。海底ドリルシステム自体は、単独では操作されることができないが、代わりにROVにより操作される。また、一の海底ドリルシステムから他の海底ドリルシステムへと移動でき、それらを様々な設定で操作することができる1つのROVを用いて、水底上の複数海底ドリルを操作するようにしてもよい。ROVは、海底ドリルシステムを操縦するために車両との電気的、油圧的及び通信的な接続をもたらし得る結合ピン及び湿式の結合コネクタを位置12に有する。
【0019】
海底ドリルシステムは、掘削及びコアリングするシステムである。システムの一般的な要求事項は、ROVが油圧動力、電力、遠隔操作(テレメトリ)及びスペアファイバを供給することである。システムは、図示の構造及びダイヤモンドドリルツールを用いて20m(メートル)のコアを堀り回収することができる。ROV275コア・バレル・アンド・ロッド・アセンブリ(ROV275 Core Barrel and Rod Assembly)と称される特別なコアバレルシステムが使用される。XLS125ROVがベースラインシステムとして使用されるが、他の多くの種類の重量クラスのROVが本発明に従う海底ドリルシステムとともに使用できる。システムは、2つのパッケージ、即ち、表面制御パッケージと、図1に見られるとおりドリルモジュール1をもつ海底スキッドパッケージを使用する。
【0020】
図4は、ドリルモジュール1のドリルヘッド10の更なる詳細を示す拡大図であり、アルミニウム製のクロスビーム14と、2本の油圧昇降シリンダ15、16と、スピンドルアセンブリ18と、油圧スピンドル駆動モータ19と、非金属製のスピンドル駆動ベルト20とを含むのが分かる。
【0021】
ドリルヘッド10に関するより一層更なる詳細が図5の断面図により与えられる。図5には、スピンドルアセンブリ18が、スピンドル21、スピンドルロックシリンダ22、ウォータスイベル23及びセーバーサブ24を有することが示される。スピンドルロックシリンダ22は、シリンダがトルク伝達に使用されるようシリンダをロックする。ウォータスイベル23は、削孔される孔の潤滑と削り屑の除去のために水がドリルヘッド10に入ってドリルパイプ内へ流れ落ちる場所である。セーバーサブ24は、削孔のためのドリルパイプ又はコアバレルに接続される。油圧スピンドル駆動モータ19は、吊りモータアダプタ26及び駆動スプロケット27に非金属スピンドル駆動ベルト20を使用して接続される。
【0022】
図6に再び示されるスピンドルアセンブリ18の更なる拡大図は、スピンドル21、スピンドルロックシリンダ22、ウォータスイベル23及び交換可能なセーバーサブ24を示す。スピンドル21は、4つのスピンドル戻止部29、8つのスピンドル駆動ボール30、並びに、スピンドルスプロケット25及びスピンドルロックスプリング28をもつスピンドルロックシリンダを有する。ボール作動回路31は、加圧されることができ、かつ、ボールを内方へ押してボールをスピンドル21に対してロックするため摺り上げることができるスライド36を有する部分に通じている。ドリルヘッド10は、ドリルの適用から生ずるいずれかの方向の荷重を受容する上側ボールベアリング32と下側ボールベアリング33も含む。上側ベアリング補正回路34が、ベアリング内に油を加えて海水が入らないようにするため設けられる。位置35に搭載される図示されないRPMセンサが、ドリルヘッド10のRPMを測定する。
【0023】
図7は、ドリルモジュール1の一部であるツールカルーセル40を示す。ツールカルーセル40は、ドリルモジュールフレーム90に支持され、ドリルモジュールフレーム90はまた、ドリルヘッド10をも、上側又は上昇位置に保持する。ツールカルーセル40は、ツールを運ぶことができる12個のスロットを有する円筒形状を成している。各スロットは、2つのツールを運ぶことができ、ツールカルーセル40内に24個のツールまで使用する可能性を与える。
【0024】
図8及び9は、ツールカルーセル40のより詳細を示すため拡大されている。ツールカルーセル40の底部は、間欠駆動ホイールとして、カルーセルをスロットからスロットへ駆動する駆動ホイール43を有する。ドリルツール45、46は、それぞれのスロットに配置されてツール保持フィンガー76により保持される。ドリルツールは、以下に説明するとおりカルーセルに配置されるコアバレルも含む。上述のとおり、12個のスロットがあるものの、11個のスロットは22個のドリルツール45、46まで使用可能にしたままで、1つのスロットは未使用に維持される。1つのスロットは、ツール45、46が開始及び回収作業の間カルーセル40から抜け落ちることを防止するため空いたままとされる。カルーセル40は、ツール45、46をカルーセル40へ着脱可能とするアクセス容易性のためその中に形成された開口部をもつ上側保持リング42を有する。カルーセル40は、吊上げアイ43及び、1つだけが図9に示され、かつ図7に見られるとおりフレーム90上の上側案内ピンと結合するカルーセル案内レセプタクル44を有する。下側保持リングもまた設けられ、以下に説明される。カルーセルは、吊上げアイ43を用いるとともに海底ドリルシステム上に駆動アセンブリを降ろすことにより、無事にカルーセルを引き抜き、交換することができ、これにより、追加のツールを運んだりより深い孔を継続的に掘削する必要性が生じたりした場合に、カルーセルを異なるカルーセルに交換することができる。
【0025】
図10は、ツールカルーセル40の下側部分の拡大図であり、該ツールカルーセル40は、その時のシステムのオペレータによって実施される操作に従い、海底から引き抜かれて他のカルーセルと交換されることができる。参照符号48は、下側案内ピン51を受容するための下側案内ピンレセプタクル49を有する下側保持リングを示す。カルーセル40自体の一部である案内ピンレセプタクル53は、駆動機構50の一部である正方形の雄型駆動ピン54を受容する。カルーセル40が滑り降りる際、図7に見られるとおり、下側案内ピン51は、カルーセルの底部を向き、その一方で、上側案内ピンはカルーセルの頂部へ向く。カルーセルは、これら案内ピン上に載置されて駆動システムにより駆動されることができる。カルーセルが引かれる時、正方形駆動ピン54はレセプタクル53から分離され、底部上の案内ピン51はレセプタクル49から分離され、頂部の案内ピンはそのレセプタクルから分離される。
【0026】
図11は、間欠駆動のために使用される周知のジェネバ機構アセンブリを、ツールカルーセル40の駆動のために採用する駆動機構50を示す。駆動機構50は、360度回転するジェネバ駆動モータ55を有する。油補給モータ取付アダプタ56は駆動モータ55の上方に配置され、モータ55に駆動されるジェネバ駆動ホイール58は、ツールカルーセル40に接続及び切り離される駆動ピン54を持つ。駆動ホイール58は、モータ55の各回転毎に外周の1/12ずつ間欠駆動する。間欠駆動は、スロット57に噛合うシャフトを有するピン59によって実行される。
【0027】
図12は、ドリルモジュール1のフットクランプアセンブリ60を示す。フットクランプアセンブリ60は、フレームに取付けられるプレート65によって分離された、カバーを除去され示される上側フットクランプ62と、下側フットクランプ64とを含む。上側フットクランプ62は、フットクランプグリップシリンダ66、67とグリッパスライドベアリング68を有する。下側フットクランプもまた、シリンダ66、67と同一のシリンダと、スライドベアリング68と同一のスライドベアリングを使用する。フットクランプアセンブリ60は、パイプを掴んでジョイントを形成及び分解するために機能する。ベアリングに取り付けられることができ、かつ、ジョイントを形成及び分解するため使用される油圧シリンダによって100度まで回転されることができる回転シリンダ69が、上側フットクランプ62を回転させるため使用される。下側フットクランプ64は、回転しないが、代わりに静止しフレームに取り付けられる。使用されるフットクランプは、高強度の高硬度材料からなりパイプを掴むのに使用される特別なグリップである。
【0028】
フェールセーフ機構がジョーを油圧の解除で開かせる。ジョーは25から70mmの間の範囲のグリップ寸法のツールのため、89mmまでのより大きい寸法が求められる他の一組のジョーを備えて構成される。最大通過開口は108mmに設定される。トルク許容値は、1000フィートポンド(1356Nm)までである。
【0029】
図13は、図2C及び3に示すドリルモジュール1の2つのツールアーム70の1つを示す。上側ツールアーム70は採集ツールアームであり、下側ツールアーム70は調整ツールアームである。独立して又は一緒に油圧で作動される各ツールアーム70は、採集アーム72と取付ブラケット74を含む。ツールアーム70は、ドリルヘッド10により発生された最大トルクに耐えるため使用され、かつ、ツールジョイントをスピンドルで締め付け及び緩めるため使用される。ツールアーム70は、従って、グリッパ76をもつ延長部を有する。下側調整ツールアーム70は、ツールを、フットクランプアセンブリ60の中心線に関連して配置するため使用される。移動ホースのためのエネルギーチェーン73がグリッパアーム72に設けられる。図13が引込まれたグリッパアーム72を示す一方、図14は、伸長されたグリッパアーム72を示す。プラスチックのインサートが下側又は調整ツールアームに設けられる一方、グラバーツールアームのグリッパ76はカーバイドのインサート77を有することが図15の拡大図から理解される。
【0030】
ツールアーム70は、アルミニウムからなり、かつ、押されてスライドしながら出し入れできるように油圧シリンダによって作動される。ジョー76の開閉により達成されるグリップ機能も油圧で作動される。アームの微調整を助けるために、アームを横方向の一方に1インチ(2.54cm)まで移動させることができる追加的なバンプ機能が設けられている。
【0031】
図16から18に示す安定水平化脚部80は、調整可能なクランプによりフレームに取付けられる外側シリンダ82と、外側シリンダ82内を油圧により伸縮可能な内側シリンダ84とを有する。内側シリンダ84は、取外し可能な脚パッド86も有する。2つのスライドベアリングリングアセンブリ87は、脚部80が伸縮する時、スライド荷重を負担する。繰り返すが、脚部80の機能は、海底作業の間、システム全体の高さを上下することである。最大20°の角度までの種々の地形状況にある海底に置かれると、脚部はシステムの高さを調整するため使用されることができる。
【0032】
図19は、取外し可能なガイドビーム92、ドリルヘッド10の移動のためのスライド及びローラを有する、ドリルモジュール1のための構造フレーム90を示す。フレーム90は、ボルト止めされた垂直部材をもつアルミニウム製の溶接された頂部及び底部からなり、3G(重力加速度の3倍)までの荷重試験がなされる。
【0033】
図20は、ドリルモジュール1とともに海底スキッドパッケージを形成するスキッドモジュール100のドリルウォータポンプ102を示す。ドリルウォータポンプ102は、油圧モータに駆動される従来の、容易に入手可能な装備品である。ドリルウォータポンプ102は、水をドリルパイプに沿って、ドリルシェービングを洗い流すため使用されることができるドリルビットへ送出するため使用される。
【0034】
図21、22及び23は、ST200ROVの油圧系統を動力源とするドリルモジュールマニホールド1、2及び3のそれぞれの油圧系統105、110及び115の略図である。即ち、ROVは、油圧液を海底ドリルシステムに供給した後再びROVへ戻すことにより、油圧機能を作動させる。海底ドリルシステムを制御するため使用される3つから9つの機能制御マニホールドが、海底ドリルシステムに取付けられる。
【0035】
更に詳しくは、図21は、マニホールド1内の油圧システム105の概略全体図を示し、マニホールド1は、左から右に見られるとおり、ドリル供給、ドリルヘッド上昇及び下降並びに昇降ドリル制御に使用される、最初の4つの動作制御を有する、3つのマニホールドのうちの第1のマニホールドである。第5の制御はカルーセルモータ用である。最後の4つの油圧制御は、フットクランプ及びスピンドルロックのため使用される。
【0036】
図22は、マニホールド2の油圧系統110を示す。再び、左から右へ見た最初の2つのバルブは、スピンドルを駆動する油圧モータの速度制御に使用される。3番目のバルブは油圧モータの高低シフトを制御するため使用されるシフトスピード用である。残りのバルブは、グリッパ又はグラバ、調整アーム及びバンプ機能のため使用され、基本的にツールアームのため使用される。
【0037】
図23は、スキッドとオプションを制御するマニホールド3の油圧系統115を示す。最初のバルブは空白とされている。2番目のバルブは、水をドリルストリングを通ってドリルビットへ送るため使用されるウォータポンプのモータを制御するため使用される。残りの3つのバルブは、調整脚部のため使用され、脚部を上下移動するため使用されることができる。
【0038】
図24は、電気ケーブル配線図120及び海底コントローラ125を示す。ケーブル配線図は、油圧系統に基本的に類似し、マニホールド1及び2並びにスキッドマニホールド3である3つの全てのマニホールドのためのコントローラを有している。略図は、種々のセンサ及び種々の応用を示す。これら各マニホールドの内側は、Perry Slingsby社のsmart valve pack controller又はLCV(local valve controller)である。各ボードは、そのマニホールド内の特定の機能を制御する。
【0039】
図25は、種々のインターフェースのため構成されるスキッドモジュール100のための構造フレーム130を示す。図示された構造フレーム130は、ST200ROVのインターフェースのため特に設けられる。構造フレーム130もやはり、アルミニウム製の溶接されたフレームからなり、3Gまでの試験がなされる。
【0040】
図26は、表面制御パッケージが、ディスプレイ142をもつラックマウント141、2本のドリルジョイスティックをもつ傾斜した制御パネル145、19インチタッチスクリーンLCDカラーモニター143、装備品へのUSBインターフェースをもつIBM Blade computer144、RS232からRS485へのコンバータ、キーボード及びマウスを有する独立型コンソールを含む表面制御140を備えることを示す。
【0041】
図27A及び27Bは、タッチスクリーンモニター上に表示される、表面制御140の主ドリルスクリーン及びツール変更スクリーンの例を示す。
【0042】
図28は、削孔作業の間、機能がどのようにログ記録され記憶されるかの例を示す、表面制御140のデータロガーを示す。ログ記録は、削孔の工程が首尾よく実施されたことを認証するため、孔が掘られてから地質学者に後で使用される。
【0043】
図29は、水の逆循環を使用するため従来のドリルとは異なる逆循環ドリルのため使用される構成を示す。水はドリルツール環状セクションの外側を通じて下方に送られ、中心部を通じて引き上げられる。基本的に、逆循環ドリルは、削り屑を取ってこれをコアバレルへ供給する代わりに貯水バッグアセンブリ内へ引き入れる。
【0044】
図4と図29の比較は、ドリルヘッド10を逆循環に改造するためにドリルヘッド10に何がなされるべきかを示す。第2スイベル131が試料貯水バッグに繋がる雁首形状管又は接続ホース132とともに加えられる。逆循環ドリルは、異なるドリルツール、即ち、RCD(Reverse Circulation Drilling:逆循環ドリル)ドリルロッド133及び異なるビットを使用する。
【0045】
図30は、RCDドリルロッド133とRCDドリルビット134を示す拡大図である。水が矢印の方向に流れる外側管136と内側管137が設けられることが理解される。矢印は、水が外側管136を通じて押し下げられ、その後ドリルビット134内へ押し込まれ、水はその後内側管137の中心部を通じ、かつ接続部132を通じて貯水バッグへ引き上げられることを示す。
【0046】
図31及び32は、2重チューブ、ないし逆循環チューブ構造136、137及びドリルビット134のより詳細をそれぞれ示すため更に拡大される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底ドリルシステムであって、
水の中又は外で取外し可能且つ交換可能なツールカルーセルを有するドリルモジュールと、
スキッドモジュールと、
水の中又は外で前記スキッドモジュールと接続及び切断されるROVとを備え、該ROVは、前記海底ドリルシステムを作動するため用いられる、海底ドリルシステム。
【請求項2】
前記ドリルモジュールは構造フレームを有し、前記ツールカルーセルはピンとガイドレセプタクルにより前記構造フレーム上の位置へガイドされる、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項3】
前記ツールカルーセルは他のROVにより水中で取外し可能且つ交換可能である、請求項2に記載の海底ドリルシステム。
【請求項4】
前記ピンの1つは前記ツールカルーセルを駆動する、請求項2に記載の海底ドリルシステム。
【請求項5】
前記ツールカルーセルはドリルツールを受容するためのスロットを有する、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項6】
前記ドリルモジュールは、スピンドルアセンブリと、ドリルロッドを駆動するための駆動モータとをもつドリルヘッドを有し、前記ドリルヘッドは、油圧昇降シリンダ上を昇降移動可能である、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項7】
前記ドリルモジュールは、パイプを掴んでジョイントを形成及び分解するためのフットクランプを有する、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項8】
前記ドリルモジュールは、前記ドリルツールを前記スロットへ挿入するための、及び前記ドリルツールを前記スロットから取り外すためのツールアームを有する、請求項5に記載の海底ドリルシステム。
【請求項9】
前記ドリルモジュールは構造フレームを有し、前記スキッドモジュールは構造フレームを有し、安定水平化脚部が、前記フレームに取付けられて水中の凸凹の地形に対応する、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項10】
前記スキッドモジュールは、水を、ドリルパイプに沿って、削り屑を洗い流すためのドリルビットへ送るためのウォータポンプを有する、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項11】
前記スキッドモジュールは、前記ROVを受容するための構造フレームを有する、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項12】
前記構造フレームは、前記ROVのためのピン及びコネクタを有する、請求項11に記載の海底ドリルシステム。
【請求項13】
海底ドリルシステムを遠隔制御するためのディスプレイ、モニタ、コンピュータ及びインターフェースを有する表面制御パッケージを更に備える、請求項1に記載の海底ドリルシステム。
【請求項14】
前記ドリルロッドは、逆循環ドリルロッドであり、スイベルホースが逆循環削孔のため前記スピンドルアセンブリに接続されて貯水バッグへ繋がる、請求項6に記載の海底ドリルシステム。
【請求項15】
海底ドリルシステムを操縦する方法であって、
水の中又は外で、ツールカルーセルをドリルモジュールから取り外して該ツールカルーセルを他のツールカルーセルに交換するステップと、
水の中又は外で、ROVをスキッドモジュールに接続し、前記ROVを前記スキッドモジュールから切り離すステップと、
前記海底ドリルシステムを、前記ROVを用いて操作するステップとを含む方法。
【請求項16】
前記ツールカルーセルを前記ドリルモジュールの構造フレーム上の位置にピン及びガイドレセプタクルを用いてガイドするステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ツールカルーセルを水中で他のROVを用いて取り外し及び交換するステップの実行を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ツールカルーセルを前記ピンの1つを用いて駆動するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ドリルツールを前記ツールカルーセルのスロット内に配置し、前記ドリルツールを前記ツールカルーセルのスロットから取り外すステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ドリルロッドを、前記ドリルモジュールのドリルヘッド上のスピンドルアセンブリ及び駆動モータを用いて駆動するステップと、前記ドリルヘッドを油圧昇降シリンダで昇降移動させるステップとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ドリルモジュールのフットクランプを用いて、パイプを掴んでジョイントを形成及び分解するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ドリルモジュールのツールアームを用いて、前記ドリルツールを前記スロットに挿入し、前記スロットから取り外すステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ドリルモジュール及び前記スキッドモジュールの構造フレームに取付けられた安定水平化脚部を用いて、水中の凸凹の地形に対応するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記スキッドモジュールのウォータポンプを用いて、水を、ドリルパイプに沿って、削り屑を洗い流すためのドリルビットへ送るステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記ROVを、前記スキッドモジュールの構造フレーム上のピン及びコネクタに結合させるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記海底ドリルシステムを、ディスプレイ、モニタ、コンピュータ及びインターフェースを有する表面制御パッケージを用いて遠隔制御するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
逆循環削孔のため、逆循環ドリルロッドからの削り屑を、スピンドルアセンブリとスイベルホースを通じて、貯水バッグへガイドするステップを更に含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2011−510188(P2011−510188A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542403(P2010−542403)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/030737
【国際公開番号】WO2009/089528
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510192145)ペリー シリングズビー システムズ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PERRY SLINGSBY SYSTEMS, INC.
【Fターム(参考)】