説明

浸出水の浄化方法および浄化装置

【課題】 管理型最終処分場から浸出する水(浸出水)を水処理施設で水処理を行い、処理水とともに生成する不純物を含む液体(濃縮液)の処理。
【解決手段】 浸出水の浄化方法であって、該浸出水のpHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去することを特徴とする浸出液の浄化方法および装置。ケイ酸含有無機物が、フライアッシュである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質、金属イオン等を含有する産業廃棄物処分場等から排出される浸出水やこれに類する環境有害物質含有排水を処理する方法およびその装置に関するものであり、さらに詳しくは、管理型最終処分場の浸出汚水等を脱塩、高度処理するための浄化方法および浄化処理装置に関し、浸出汚水等に含まれるマグネシウム、カルシウム、鉄などの金属類を沈殿除去することにより、浸出水の浄化ならびに浸出水から有価物回収の前処理とも成るべき有用な方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、経済成長、国民生活の向上等にともない廃棄物の排出量は増大し、その廃棄物処理はその廃棄物に応じて安定型最終処分場、管理型最終処分場、しゃ断型最終処分場への処理または海洋投棄が行なわれている。しかし、海洋投棄については国際的な規制が強化され、投棄できるものは非常に限定されるようになった。また、従来問題が少ないと考えられていた廃棄物類については、構造が簡単で建設費も安い安定型最終処分場での処理が認められていたが、最近、安定型最終処分場での処理の規制が強化されたことにより、ますます管理型最終処分場へ処理される廃棄物が多くなってきている。
【0003】
管理型最終処分場はその構造上その排水処理をするために浸出水集排水設備を必要とし、浸出水集排水設備を備えた管理型最終処分場である。通常、コンクリート製のえん堤とゴムシート等からなる遮水層とで囲まれた廃棄物貯留部を有し、これらの周囲には廃棄物の飛散を防止する囲いを設けた貯留施設である。廃棄物貯留部の底部には、この底部に達した浸出水を滞留することなく自然流下して集水でき浸出水処理施設へ導くための浸出水集排水設備が設けられている。
【0004】
えん堤は埋め立て廃棄物の所要量を安全に貯留するために、廃棄物の圧力、積載荷重、水圧等に対して十分な強度を有している。遮水溝は浸出水による公共水域や地下水の汚染、ならびにこれらに起因する周辺環境への悪影響を防止するものである。浸出水集排水設備の構造は、例えば、透水管の周囲を栗石等の被覆充填材で被覆充填し、外周は水が透過しやすくするため、金網等で覆った管渠である。
【0005】
このように、管理型廃棄物処分場では、処分場底面に遮蔽用のゴムシートを敷いてその上に廃棄物を埋立て処分したり、あるいは土壌の中に、コンクリート製の格納設備を設けてこの中に廃棄物を埋立て処分しており、廃棄物より漏出する浸出水は上記ゴムシート隔膜内あるいはコンクリート製の格納設備内の底部に設けられた集水管により処分場端末の浸出水処理設備に移送される。管理型処分場からの浸出水は、全有機炭素量(TOC)や全窒素量(TN)が高い上に有害な無機あるいは有機化学物質など各種の環境有害物質によって汚染されていることが多いので、処分場末端部の処理施設に集められ、無害化処理が施された後に処分場外に排出される。このようにして廃棄物から浸出する危険物質、有害物質等を含む浸出水は上記遮蔽シート内又は遮蔽コンクリート内に遮蔽された内側から集水され、無害化処理されるので、有害な状態のまま環境中には流出しないが、その無害化処理は、多様な汚染物質のために単一の手段では困難であり、多大のコストがかかってしまう問題がある。
【0006】
一般産業廃棄物の処分場でも、その周辺が廃棄物の浸出水でしばしば汚染されてしまうことがあり、そのような場合には地下水汚染を防止するために上記同様の浸出水無害化処理が必要となる。この種の環境有害物質を含む浸出水を化学的及び/又は物理化学的分解手段と生物処理手段とを組み合せて無害化する方法が提示されている。こうした文献などから判るように、最終処分場からの浸出水の無害化には複雑な組み合せ処理が必要であり、かつそれでもなお満足なレベルまでの浄化を行なうには極めて高コストを要している(特許文献1)。
【0007】
また、廃棄物処分場の周辺の汚染された土壌の含有水を広域電解処理によって浄化する方法が提示されている(特許文献2)。しかしながら、電解酸化処理で環境に無害な形態に変化しうる物質は限られている。より基本的には、汚染が周辺土壌に拡散してから汚染土壌を広域にわたって除害するよりは、土壌汚染に至る前に廃棄物浸出水を無害化処理することが本来の対応であり、かつ実際的である。
【0008】
そこで、金属電極を用いた電気分解装置を用いて、埋め立て地浸出排水中のダイオキシン、PCB等の難分解性の有機化合物を分解する方法が提示されている(特許文献3)。本発明者らの検討では、金属電極による電解効率は十分高いとは言えず改良が必要であり、実際には、これら難分解性生物の分解物が電解処理済み廃液中に残存しておりそのまま排出することは出来ないため、二次的な排水処理を必要としている。
【0009】
また、管理型最終処分場の浸出汚水等を脱塩、高度処理する水処理方法及び水処理装置において、浸出水を逆浸透法による浄化により生成した濃縮液を処理する技術としては、例えば、濃縮液の後処理を容易に行なうために、有機物を含む浸出水を、膜分離処理装置で分離した後、分離された濃縮液を蒸発装置で蒸発乾固するとともに、該蒸発装置からの排ガスを凝縮装置で凝縮し、その後、該凝縮装置により凝縮された凝縮液を生物処理する技術(特許文献4)や、廃棄物埋立処分地からの浸出水を無害化処理するとともに、純度の高いNaCl塩及びKCl塩を分離精製するにあたり浸出水を逆浸透膜ろ過装置に導入してろ過し、逆浸透膜ろ過装置のからの過水を放流し、逆浸透膜ろ過装置からの濃縮液をNFろ過装置に導入してNFろ過装置の透過水をキレート吸着塔に導入してキレート吸着処理した後、加熱型晶析装置で加熱してNaCl塩を晶析させ、ついで冷却型晶析装置で冷却してKCl塩を晶析させる装置(特許文献5)などが提案されている。
【0010】
さらに塩類の回収に関しては、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水等から、簡易かつコンパクトな設備で、効率よく再利用に適した塩を回収するにあたり、塩を含有した被処理水を逆浸透膜装置に供して濃縮液を得、次いで、該濃縮液と活性炭とを接触させた処理水から塩の回収技術が提案されている(特許文献6)。
【0011】
【特許文献1】特開2000−354892号公報
【特許文献2】特開2000−167559号公報
【特許文献3】特開2003−126860号公報
【特許文献4】特開平11−188389号公報
【特許文献5】特開2001−321768号公報
【特許文献6】特開2007−209919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、特に、管理型最終処分場に設置される浸出水処理技術に関し、浸出水や浸出水を浄化する際に生成した濃縮液の処理装置または処理方法を提供することを課題とするものである。
従来の水処理装置で浸出水を処理した場合に、カルシウム等の一部の塩類、一部の有機物は除去できるものの、それらの塩以外のNaCl等および生物難分解性の有機物、活性炭吸着の難しい有機物等を完全に除去することはできない。したがって、このまま処理水として河川等に排出した場合には、これらの塩類及び未分解の有機物によって河川や土壌が汚染されるおそれがあるという問題が生じていた。そこで、この種の水処理装置で除去できない原水中の塩類及び難分解性有機物を除去することのできる膜流下式蒸発装置や逆浸透膜装置等により汚水処理をすることが提案された。
【0013】
しかしながら、これらの装置では、塩類と有機物を含んだ原水を処理すると、原水は塩類および有機物を濃縮した濃縮液と塩類が除去された処理水とに分離される。この分離された処理水は、再利用またはそのまま放流されるにしてもその処理が容易であるが、原水中に有機物が含まれていると、有機物は分解されずに濃縮液に混入され、塩類を高濃度で含む濃縮液はそのままでは排出、再利用のいずれも困難であり、この後処理をいかに行うかは、重要な課題となっていた。
【0014】
本発明は、管理型最終処分場からの浸出水の処理には、従来の無害化手段を組み合せても、コストや目的充足性の点で満足な方法が得られていないという従来技術の問題に鑑みて発明者らが鋭意研究を積み重ねることにより開発されたものであり、その目的は、産業廃棄物処分場、特に管理型最終処分場からの浸出水やこれに類する汚染した排水(以下,両者を含めて浸出水と呼ぶ)を低コストでかつ高度に無害化できる無害化手段を提供することである。
【0015】
より具体的には、管理型最終処分場から浸出する水(浸出水)を水処理施設で水処理を行い、処理水とともに生成する不純物を含む液体(濃縮液)の処理を目的とするものである。この濃縮液の成分は、主に塩化ナトリウムを主体とする無機塩類であり処理するのには相当なリスクを伴うことが知られている。そこで、本発明者らは、濃縮液中に含まれるマグネシウム、カルシウム、鉄などの金属を除去する技術を提供して濃縮液の浄化を目的とするものである。さらに、本発明は、濃縮液中の不純物を除去することにより、濃縮液の主成分である塩化ナトリウムを利用して、アルカリ液(主成分苛性ソーダ)、酸液(主成分塩酸)を製造し、再利用する技術に係る新しい技術の開発を促すことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための浸出液の浄化方法に係る本発明は以下の技術的手段から構成される。
(1) 浸出水の浄化方法であって、該浸出水のpHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去することを特徴とする浸出液の浄化方法。
(2)ケイ酸含有無機物が、フライアッシュである上記(1)に記載の浸出液の浄化方法。
(3)金属類が、アルカリ土類金属およびまたは鉄である上記(1)または(2)に記載の浸出水の浄化方法。
(4)浸出水が、濃縮液である上記(1)から(3)のいずれかに記載の浸出水の浄化方法。
(5)pHを調整した浸出液のpH値が10以上である上記(1)から(4)のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
(6)pHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去した後の浸出水に炭酸ガスまたは炭酸塩を投入する工程を設けた上記(1)から(5)のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
(7)浸出液のpHをアルカリ側に調整する際に揮散する窒素含有物を回収する工程を設けた上記(1)から(6)のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
(8)窒素含有物の回収が空気の吹き込みと加熱下に行なわれる上記(7)に記載の浸出液の浄化方法。
【0017】
また、本発明の浸出液の浄化装置は以下の技術的手段から構成される。
(9)浸出水をアルカリ性に調整するpH調整装置、pH調整後の浸出液にケイ酸含有無機物を投入する混和装置、生成した沈殿およびケイ酸含有無機物を浸出液から分離するろ過装置からなる該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去することを特徴とする浸出液の浄化装置。
(10)ケイ酸含有無機物がフライアッシュである上記(9)に記載の浸出液の浄化装置。
(11)該浸出水が、濃縮液である上記(9)または(10)に記載の浸出水の浄化装置。
(12)pHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去した後の浸出水に炭酸ガスまたは炭酸塩を投入する装置を設けた上記(9)から(11)のいずれかに記載の浸出液の浄化装置。
(13)浸出液のpHをアルカリ側に調整する際に揮散する窒素含有物の回収装置を設けた上記(9)から(12)のいずれかに記載の浸出液の浄化装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の効果を奏するものである。
(1)有害物質等を含有する産業廃棄物処分場等から排出される浸出水やこれに類する環境有害物質含有排水を処理する方法およびその装置を提供することができる。
(2)浸出汚水等に含まれるマグネシウム、カルシウム、鉄などの金属類を沈殿除去することにより、浸出水の浄化ならびに浸出水から有価物回収の前処理とも成るべき有用な方法および装置を提供することができる。
(3)中和操作および沈殿ろ過操作からなる簡便な工程により浸出液中の金属類を除去する簡便な浸出液の浄化方法およびその装置を提供することができる。
(4)本発明で処理した浸出液は含有されている有価物の回収を容易に効率よく実施することができる。
(5)約1,000万トンに達するものと予測されているフライアッシュの処理が問題とされている中で本発明はフライアッシュの新規な用途として有用な技術を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
現在、廃棄物は全量又は焼却処理等の中間処理後に最終処分場に埋め立て処分することが一般的に行われている。この最終処分場において発生する浸出水は、例えば、表1に示す水質分析結果を示し、廃棄物から浸出される塩類、有機物等の汚染物が含まれているため高度な水処理を必要としていた。かかる最終処分場においては、埋め立てられた廃棄物から浸出してくる種々の塩を含む浸出水が、電気透析、逆浸透膜、薄膜流下式蒸発装置等により脱塩されまた各種処理されているが、なかでも、逆浸透膜、薄膜流下式蒸発装置を用いた脱塩によれば、浸出水を効率よく処理することができ水質が極めて良好な処理水を得ることができる。
本発明において浸出水とは、「埋立処分場などにおいて雨水などの水が浸透し、廃棄物に触れてしみ出した廃水のこと」であり、本発明では、浸出水を何らかの処理に付して生成した液状物、例えば、濃縮液などをも含む。以下、浸出水を処理して生成した濃縮液を具体例としてについて本発明を説明する。浸出水の分析値の一例を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
しかしながら、浸出水を処理した場合、水質が極めて良好な処理水が得られるものの、有機物、種々の金属類等が濃縮液中に濃縮されるため、その処理には高度な水処理技術が必要とされるばかりか、多大な処理設備や処理用の吸着剤、薬品類を必要としていた。本発明はこうした従来技術の問題点を解決し、特に、浸出液を処理することにより生成した濃縮液中に含有される金属類を除去することにより濃縮液を浄化、精製する技術に関するものであり、また、濃縮液をさらに処理して有用物質の回収工程や自然界への放出を可能とする技術の開発に大きく貢献するものである。
【0022】
浸出水は、例えば、蒸発法(多重効用法、多段フラッシュ蒸発法、蒸気圧濃縮法)冷凍法、透析気化法、逆浸透法など、具体的には、薄膜流下式蒸発装置、逆浸透膜装置などによって処理され、浄化水と残液(濃縮液)に転換されるが、薄膜流下式蒸発装置としては、例えば、内部に多数の円形チューブを有し、該円形チューブの内壁を廃水が流下している間にチューブの外部より蒸気で加熱する蒸発缶から構成される。廃水は原水槽に一旦貯留された後、原水ポンプにて薄膜流下式蒸発缶に至る。廃水は薄膜流下式蒸発缶内の円形チューブの内壁を伝わりながら流下する間に、チューブ外部の蒸気により加熱されて水分は蒸発し、発生した蒸気は気液分離器に入る。気液分離器では、流下した蒸気と一緒に持ち込まれた濃縮液を分離する。蒸発缶下部に留った濃縮液と気液分離器で分離された濃縮液は排出される。気液分離器より出た蒸気は、凝縮器で冷却水と熱交換し凝縮液となる。
【0023】
また、逆浸透膜装置は、例えば、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に平膜状の逆浸透膜が介装された逆浸透膜モジュールを用いたものが挙げられ、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に逆浸透膜(平膜)が介装された逆浸透膜モジュール挙げられる。逆浸透膜モジュールは、ディスクタイプの平膜と、ディンプルの付いたスペーサーとが、交互に積層された構造からなるものである。逆浸透膜モジュールは、円筒状の逆浸透膜モジュール本体内に、円板状の平膜(逆浸透膜)が同じく円板状のスペーサーの間に設けられた逆浸透膜部が複数組積層されて構成されている。逆浸透膜モジュールのモジュール本体の内周面には被処理水を導入する被処理水流路が設けられ、被処理水流路から逆浸透膜の表面に被処理水が導入される。透過水パイプにより、逆浸透膜によって分離された処理水が排出される。また、濃縮液パイプにより、各逆浸透膜によって濃縮された濃縮液がモジュール本体外へ排出される。
【0024】
次の表2及び表3に、薄膜流下式蒸発装置により処理された浄化水および処理に伴って生成した濃縮液の水質分析結果の一例を示す。
【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
表3に記載されているように、濃縮液には各種の化合物が含有されていて、なかでも、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどは高濃度で存在している。濃縮液における金属含有量は、廃棄物の種類、廃棄施設の運転方法などにより変動するが、金属含有量の上限値は、カルシウムが約1800ppm、マグネシウムが約7500ppm、鉄が約20ppmであり、通常は、カルシウム約800ppm以内、マグネシウム約1000ppm以内、鉄約10ppm以内の範囲にあることが多い。これらの金属イオンを回収して有効利用したり、無害化するには特殊な処理が必要となる。例えば、濃縮液のような各種の不純物を有する溶液を電気透析法により処理し、塩化物イオンとアルカリ金属イオンを酸とアルカリに分離するには、濃縮液中に存在する、マグネシウム、カルシウムおよび鉄成分などの無機物が存在すると電気透析装置内にスケールング成分として付着し、膜自体に大きな負荷を与え、たとえ分離ができても製品自体の品質が悪化するため、装置の維持管理費が通常の何倍もかかるなど経済的ではない。本発明は、濃縮液中のマグネシウム、カルシウム、鉄成分など金属イオン成分を効率よく除去する技術を開発し提案するものである。
【0028】
一般に溶液中に存在する金属成分のほとんどは溶液のpHをアルカリ側に調整することにより、水酸化物として沈殿除去することが考えられるが、濃縮液に水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリを加えて、溶液を単にアルカリ側に調整することによっては、濃縮液から金属類を完全には除去することはできない。すなわち、濃縮液中に溶存または懸濁などの状態で存在しているカルシウム、マグネシウム、鉄などの金属類は、アルカリの添加により水酸化物の形に変化するが、これらの水酸化物を、溶液から効率よく除去することが困難であるものと考えられる。そこで、金属類の水酸化物の沈殿、ろ過操作を効率よく行うためにはケイ酸含有無機物を添加することが好適であり、例えば、ケイ酸含有物質であるフライアッシュが用いられる。特に、フライアッシュを共存させることにより沈殿ろ過操作が迅速に行なえることが判明した。フライアッシュは火力発電所などで大量に生成する一種の廃棄物であるが、本発明はこの有効利用技術を提供するものである。
【0029】
濃縮液のpHは通常4付近であるが、これにアルカリ、例えば、水酸化ナトリウムを添加して、濃縮液のpHをアルカリ側に調整することにより溶存する金属類を水酸化物に転換することができる。濃縮液のpHをアルカリ側、例えばpH10以上とすることが好適であるが、さらにpH12以上の範囲に調整することで金属類の水酸化物への転換が進められる。アルカリの添加量は、濃縮液のpH、共存する化合物の種類、含有量などにより変化するが、濃縮液のpHを指標にアルカリを添加するとよい。アルカリの添加時における濃縮液の温度は高温、例えば、80℃以上とするのが沈殿形成の点では望ましいが特に限定されない。アルカリを添加して沈殿物を除去した後の濃縮液は、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオンを含有し、さらに、アンモニウムイオン、硝酸イオン含有していることが判明した。
【0030】
しかしながら、アルカリ処理した濃縮液の沈殿ろ過処理は困難であり、例えば、沈殿を含む約5Lの濃縮液のろ過に数時間を要し、場合によればろ過不能となり、これではとうてい実用化することはできなかった。そこで、フライアッシュを、濃縮液のpH調整とともに濃縮液中に添加することにより、ろ過時間が大幅に短縮されることが明らかとなった。フライアッシュを濃縮液へ添加するのは、濃縮液のpH調整の前または後、さらにはアルカリとフライアッシュの同時のどの時点でも良い。フライアッシュの濃縮液への添加混合には特殊な操作は必要ではなく、通常の混合攪拌装置が適用される。フライアッシュの添加時の液温度に関しても特に制限はないが、沈殿粒子の形成状態や、アンモニアの回収工程を設ける場合などを考慮すると70℃以上での操作が好適である。
【0031】
本発明で使用するフライアッシュには、発生箇所により、部粉炭燃焼ボイラの燃焼ガスから集塵器で採取されたもの(狭義のフライアッシュ)、微粉炭燃焼ボイラの燃焼ガスが空気予熱器、節炭器などを通過する際に落下採取されたもの(シンク)、微粉炭燃焼ボイラの炉底に落下したもの(クリンカ)などが含まれ、ボイラから発生したままの原粉、集塵機の後段集塵区で回収したものあるいは原粉を分級して粒度調整した細かい細粉や粗粉、粉砕分級処理を施した粉砕粉などが含まれる。本発明で用いるフライアッシュはこれらのものから適宜選択し、また混合して使用することができるし、市販のフライアッシュを適宜選択して使用することもできる。市販のフライアッシュとしては、例えば、ファイナッシュ(JIS1種)、四電フライアッシュ(JIS2種、エコアッシュ(JIS4種)など各地で販売されているフライアッシュが挙げられる。
典型的なフライアッシュの主成分はシリカ(SiO)とアルミナ(Al)であり、この2種の無機物質で全体の70〜80%を占め、その他少量の酸化第二鉄(Fe)、酸化マグネシウム(Mg0)、酸化カルシウム(CaO)を含むみ、粒度分布で0.1mm以下の粒径が8割以上を占める微細な球形粒子の集まりである。
【0032】
濃縮液をアルカリ側に調整しアルカリ土類金属、鉄などの各種金属類を沈殿させるためには、濃縮液のpHを約10以上に調整するのが好適であるが、pHが10付近では濃縮液中の硝酸態窒素成分が気化し難い。したがって、濃縮液からアンモニア態または硝酸態窒素成分を回収する工程を設ける場合には濃縮液のpHを12以上とすることが好適である。
【0033】
濃縮液をフライアッシュにより処理するにあたり、その最適添加量の範囲を求めるために、アルカリによりpHを12に調整した濃縮液に1.0から4.0重量%のフライアッシュを添加処理した後の濃縮液の金属含有量を測定したところ、処理後の濃縮液の金属濃度は、マグネシウムイオンでは0.48〜1.6mg/Lの範囲にまで減少し、カルシウムイオンでは265〜411mg/Lの範囲にまで減少し、鉄イオンでは0.18〜0.22mg/Lの範囲にまで減少することがわかった。こうしたフライアッシュの添加量を変えて試験を行うことによって、濃縮液に対するフライアッシュの添加量は、濃縮液に対して0.5から6重量%が好適であり、さらに好適には2から4重量%の範囲が挙げられることがわかった。フライアッシュの添加量が下限値より少なくなると沈殿促進効果が減少し実用的でなくなり、上限値を超えるとフライアッシュの均一な添加混合が困難となるばかりか、フライアッシュの価格による処理費の上昇や、処理した濃縮液への不純物の増加などの現象が生じることとなり望ましくない。
【0034】
フライアッシュの添加量と析出物の沈殿作用の関係を示したのが図1である。図1より、フライアッシュの添加量を増加するに従い析出物の沈降は早くなるが、フライアッシュを3重量%添加するのが最適であることが判明した。フライアッシュと添加しないと析出物の沈降は停止して、以後、析出物は沈降しなかった。
【0035】
フライアッシュには不純物として、砒素およびセレンを含有することは周知であり、例えば、乾燥部物1kg中に、砒素17.2mg、セレン2.2mgを含有するが、フライアッシュで処理した後の濃縮液中への残留濃度は、例えば、表4に示すごとく微量であることが判明した。
【0036】
【表4】

【0037】
アルカリ性に調整してフライアッシュを添加することによりアルカリ金属化合物や鉄などの金属類を沈殿除去する工程処理される濃縮液には多量の窒素含有物を含んでいる。アンモニア態窒素や硝酸態窒素などは強アルカリの添加により揮散させ回収できる。濃縮液中には、例えば、アンモニア態窒素を6960mg/L、硝酸態窒素を1390mg/L含んでいる。この濃縮液のpHを12に調整した後、容器中で86から96℃に加熱するとともに空気を吹き込むことにより空気とともに含有されている窒素成分を大気中に放出させて窒素成分を回収することができる。濃縮液中に含まれていたアンモニウム態窒素は4時間後にはその約99%が放出され、硝酸態窒素は約98%が放出されたことが判明した。このことは、濃縮液中に含まれている窒素成分の98%は従来の方法により回収できることを示している。
【0038】
濃縮液をアルカリ性とする処理によりマグネシウム、カルシウム、鉄などの金属を除去でき、濃縮液の浄化が可能であることは上記記載より明らかであるが、同時に、カルシウムイオンのうちかなりの量が除去できないで残存していることが判明した。こうしたカルシウムイオンの挙動が異なることの原因は明確ではないが、水酸化カルシウムが微細な沈殿となりろ過されにくいことも考えられる。アルカリ処理した濃縮液を次に何らかの工程で処理し有効利用するにあたり、カルシウムイオンをマグネシウムイオンと同等の濃度にする必要性のある場合には、カルシウムイオンの除去が必要となることがある。
【0039】
そこで、濃縮液をアルカリ処理してマグネシウムイオンや鉄イオンを除去処理した後の濾液(pH13:カルシウムイオン201ppm含有)に、炭酸ガスの吹き込み処理または炭酸水素ナトリウムの投入処理によるカルシウムイオン濃度の変化を検討した。その結果、炭酸ガスの吹込みによりカルシウムイオン濃度は1.2〜1.8ppmに減少することが判明した。一方、炭酸水素ナトリウムを20%過剰量添加した場合には、カルシウムイオン濃度は1.0ppmと低下したが処理後の炭酸イオンの濃度が大きな値を示した。炭酸ガス投入後の液の静置時間は30分で上澄み液中のカルシウム濃度は1.0〜2.0ppmとなり、水酸化物の沈殿は迅速に行なわれることが判明した。
【0040】
次に、本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
本実施例では濃縮液にアルカリを添加して濃縮液中の金属イオンの沈殿除去を行なった。使用する濃縮液は表2に記載の成分を有するものを使用し、この濃縮液500mLを容器に入れ水酸化ナトリウム溶液(6N)を投入してpH12に調整した後に所定量のフライアッシュ(四電ビジネス株式会社製:商品名 エコアッシュ(JIS4種)を投入して均一に分散されるよう撹拌した。フライアッシュを投入した後、濃縮液の容器を静置して所定時間ごとに液面からの沈殿の上面までの距離を測定した。また測定毎に、上澄み液を採取して含有される金属イオンの濃度を測定した。沈殿の沈降速度については表5に示し、上澄み液中の金属イオン濃度の測定値については表6に示した。なお、上記金属イオンの分析には、上澄み液をろ紙ワットマン41番によりろ過した後試料とした。
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
表5から、フライアッシュを添加することにより生成した沈殿の沈降が促進されることが明らかとなった。フライアッシュの添加量としては1重量%以上添加することにより沈降促進効果が認められたが、3時間放置した時点ではフライアッシュの添加量による効果の差はなくなっていた。フライアッシュによる沈降促進効果は約0.5重量%の添加から有効であった。表6の金属イオン分析結果からは、濃縮液中の鉄イオンおよびマグネシウムイオンの除去効果が顕著であった。カルシウムイオンについても除去効果が認められた。また、フライアッシュ含まれている砒素、セレン成分の濃縮物中への溶出はほとんど認められなかった。
以上の結果から、濃縮液のアルカリ側へのpH調整とフライアッシュの添加により、濃縮液中に含まれる金属イオン類の沈殿除去と沈殿の沈降促進が行なわれることが判明した。
【実施例2】
【0045】
濃縮液の成分分析により、濃縮液中にはアンモニウム態窒素および硝酸態窒素を多量に含有することが判明したので、本実施例では、窒素成分の除去または回収を試みた。撹拌装置とエアレーション装置を備えた5Lビーカー中に濃縮液を3L入れ水酸化ナトリウム溶液(6N)を投入しpHを12に調整した。試験装置は図2に記載した。pHを調整した濃縮液を80℃以上に加熱して窒素化合物の揮散を促進させながら1時間ごとの窒素化合物の含有量の変化を4時間に亘って測定した。試験結果を表7に示す。濃縮液中に約7000mg/L含有されていたアンモニウム態窒素4時間後には約100mg/Lに減少し、約1400mg/L含有されていた硝酸態窒素は4時間後には約34mg/Lに減少していた。この試験結果は、アンモニウム態窒素および硝酸態窒素はほぼ99%が回収可能であり、濃縮液の浄化が行なえることを示している。
【0046】
【表7】

【実施例3】
【0047】
実施例1の結果から明らかなように、濃縮液をアルカリ側にpH調整するとともに、フライアッシュを投入した処理によりカルシウムイオンが除去されるが、処理後の液中にはカルシウムイオンが約200mg/Lないし約400mg/L残存することがあることが判明した。マグネシウムイオンがほぼ完全に除去されるのに対してカルシウムイオンの異なる挙動は、如何なる理由によるかは明確ではないが、濃縮液中にカルシウムイオンが存在していることが、処理した濃縮液をさらに処理することにより濃縮液の有効利用を行うにあたり障害となることが考えられるので、カルシウムイオン濃度を低下させるための処理について試験を行った。例えば、濃縮液を電気透析処理するにあったては、濃縮液中のマグネシウムイオンおよび鉄イオンが特に障害となるが、さらに、液中のカルシウムイオン濃度を低下させておくことが好ましい。
【0048】
そこで、炭酸ガスを使用して、カルシウムイオンが炭酸カルシウムに置換され除去されることを確認をするための試験を行なった。実施例1と同様にして、濃縮液をアルカリpH調整およびフライアッシュ投入して生成した沈殿を除去した液を試料とした。試料400mLに対して以下の処理を行なった後のカルシウムイオン濃度と炭酸イオン濃度を測定した。
1:無処理
2:炭酸ガスを1リットル/min投入し、1分間隔で炭酸ガスの投入を停止し、pHの変動がなくなるまでバッチ式で通した。
3:炭酸ガスを1リットル/min投入し、pHの変動がなくなるまで炭酸ガスを連続で通した。
4:炭酸ガスを1リットル/min投入し、8分間連続投入した。
5:炭酸水素ナトリウムを40g投入し、30分間攪拌した。
処理した試料をろ紙(ワットマン41番を使用)でろ過した後ろ液を分析した結果を表8に示す。
【0049】
【表8】

【0050】
この結果、炭酸ガスを使用して濃縮液中のカルシウムイオンが炭酸カルシウムになり溶液中から除去できることが分かった。
また、カルシウムイオンを除去した後の溶液中に残る炭酸イオン濃度は、炭酸ガス投入条件によりが約2倍〜約5倍まで違いがあることも分かった。また、終了時点の、炭酸ガスの量とpHには関係があるということも分かった
【実施例4】
【0051】
炭酸ガスの投入量とカルシウムイオン除去率との関係、および溶液中に炭酸イオンの残留量を確認する実験を行った。実施例1と同様にしてマグネシウムイオンなどを除去したサンプル溶液を作成し、これを炭酸ガスで処理するにあたり、炭酸ガスの投入時間と攪拌を行う時間と静置時間とを変えて試験を行った。溶液をろ紙(ワットマン5Bを使用)でろ過した後分析に供した。その結果を表9に示す。
【0052】
【表9】

【0053】
試験の結果、炭酸ガスをアルカリ調整した濃縮液中に投入することで、間違いなくカルシウムイオンは炭酸カルシウムに変わり、固体として除去できることが分かった。そして、ある一定のpHまでは、炭酸イオンのまま存在するが、pH7.2〜pH6.7ぐらいまでで炭酸イオンが残りにくく、攪拌をすることで、カルシウムイオンは炭酸カルシウムになりやすいということも分かった。
【0054】
また、今回の実験で、炭酸ガスと炭酸塩を比較すると、あきらかに、炭酸ガスによるカルシウムイオンの沈殿分離操作のほうがメリットが大きいということが分かった。しかし、炭酸ガスで処理すると炭酸イオンは、処理前と比べると、かなりの量が溶液中には残存してしまう。濃縮液の電解処理においては、炭酸イオンとして溶液中に存在する濃度の上限は10000ppmが上限だと言われている。今回、の炭酸ガスによる処理後に溶存する炭酸イオンは10000ppm以下なので、以後問題が発生することなく電解処理が実施できるものと予想される。
【0055】
カルシウムイオン除去のランニングコストを炭酸ガスと炭酸ナトリウムとで比較すると、500mlのサンプル溶液を処理するに必要とされる炭酸塩は約100g、炭酸ガスは約60リットルであった。炭酸塩が110円/kg、炭酸ガスが50円/kgであるとすると、炭酸塩が11円では11円、炭酸ガスでは6円となり、炭酸ガスによるとランニングコストもかなり軽減できることが分かった。
【実施例5】
【0056】
本実施例では、フライアッシュの添加時点の相違による析出物の沈降状態および処理後の金属含有量の関係を試験した。試験方法は、実施例1と同様であり、濃縮液にフライアッシュを3%の割合で添加した。試験は、(1)濃縮液に直接フライアッシュを添加した場合(pH調整なし)、(2)濃縮液をpH12に調整した後にフライアッシュを添加した場合、および(3)濃縮液をアンモニア除去処理した後にフライアッシュを添加しpH調整をした場合に分けて実施した。その結果を図3に示す。(2)と(3)では析出物の沈降が始まり約20分後には安定した沈降状態となった。そのろ過作業は容易に行なうことができた。しかしながら、(1)の場合には、初期沈降速度は三者の中で一番速い結果が得られたが、生成した沈殿物はろ紙(ワットマン41)の目つまりを起こして全液のろ過作業を終了することはできなかった。したがって、フライアッシュの添加とpHの調整は必須であることが判明した。
【0057】
ろ過した液のカルシウム、マグネシウム、および鉄の分析結果を表10に示す。その結果、試料中のこれらの金属は(2)(3)では期待どおりの除去率が得られた。(3)のケースでは、特に、カルシウムとマグネシウムの除去が優れていた。フライアッシュの添加のみの(1)では金属の除去効果は全く得られなかった。
【0058】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、有害物質等を含有する産業廃棄物処分場等から排出される浸出水やこれに類する環境有害物質含有排水を処理する方法およびその装置に係るものであり、特に、管理型最終処分場の浸出汚水等を高度処理するための浄化方法および浄化処理装置に関するものである。本発明は、産業廃棄物処理場から排出される浸出汚水を浄化することにより、処理場の健全な運営、環境汚染の防止、産業廃棄物処理の促進に貢献する有用な技術を提供するものである。さらに、本発明は、浸出水などに含まれる金属類、マグネシウム、カルシウム、鉄などの金属類を沈殿除去することによる浸出水の浄化、ならびに浸出水から有価物回収を行なう基本処理となる有用な浸出水類の処理方法および装置を提供するものであり、産業全般に亘る円滑な生産活動を行なう上で有益な技術を開発し提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】フライアッシュの添加量と沈殿形成量の時間的変化を示す。
【図2】濃縮液中の窒素化合物を飛散させる実験装置を示す。
【図3】フライアッシュの添加時期の相違による沈殿形成量の変化を示す。
【符号の説明】
【0061】
1:撹拌翼
2:空気投入口
3:アンモニア含有気体
4:モータ
5:容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸出水の浄化方法であって、該浸出水のpHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去することを特徴とする浸出液の浄化方法。
【請求項2】
ケイ酸含有無機物が、フライアッシュである請求項1に記載の浸出液の浄化方法。
【請求項3】
金属類が、アルカリ土類金属および/または鉄である請求項1または2に記載の浸出水の浄化方法。
【請求項4】
浸出水が、濃縮液である請求項1から3のいずれかに記載の浸出水の浄化方法。
【請求項5】
pHを調整した浸出液のpH値が10以上である請求項1から4のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
【請求項6】
pHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去した後の浸出水に炭酸ガスまたは炭酸塩を投入する工程を設けた請求項1から5のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
【請求項7】
浸出液のpHをアルカリ側に調整する際に揮散する窒素含有物を回収する工程を設けた請求項1から6のいずれかに記載の浸出液の浄化方法。
【請求項8】
窒素含有物の回収が空気の吹き込みと加熱下に行なわれる請求項7に記載の浸出液の浄化方法。
【請求項9】
浸出水をアルカリ性に調整するpH調整装置、pH調整後の浸出液にケイ酸含有無機物を投入する混和装置、生成した沈殿およびケイ酸含有無機物を浸出液から分離するろ過装置からなる該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去することを特徴とする浸出液の浄化装置。
【請求項10】
ケイ酸含有無機物がフライアッシュである請求項9に記載の浸出液の浄化装置。
【請求項11】
該浸出水が、濃縮液である請求項9または10に記載の浸出水の浄化装置。
【請求項12】
pHをアルカリ側に調整するとともに、ケイ酸含有無機物を混和することにより、該浸出水中に含まれる金属類を沈殿除去した後の浸出水に炭酸ガスまたは炭酸塩を投入する装置を設けた請求項9から11のいずれかに記載の浸出液の浄化装置。
【請求項13】
浸出液のpHをアルカリ側に調整する際に揮散する窒素含有物の回収装置を設けた請求項9から12のいずれかに記載の浸出液の浄化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−149076(P2010−149076A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331990(P2008−331990)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【特許番号】特許第4440323号(P4440323)
【特許公報発行日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(509002280)株式会社富士クリーン (3)
【Fターム(参考)】