説明

浸透圧活性剤及び血管収縮剤を含む眼けん腫脹の治療及び防止のための組成物

眼けん腫脹及び眼けん炎症は、組織への影響、患者の生活の質、及び全般的な患者の快適さの点で長期的にも短期的にも深刻である。ヒトの眼けんは、体の最も薄い皮膚層、組織及び筋肉の最も明確な層、並びに最も脆弱なコラーゲン線維で構成される。これらの繊細な皮膚層のために、眼けんは、腫脹、急性炎症、及び起こり得る長期損傷に極めて影響されやすい。本発明は、眼けん腫脹の治療及び防止のための浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬を含む局所製剤、及びその使用方法を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年11月8日に出願された米国仮特許出願第61/007,511号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第61/007,511号の内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、眼けん腫脹の防止及び治療に有用である新規眼科用組成物及び方法に関する。特に、本発明は、眼けん腫脹の防止及び治療に有用である、浸透圧活性剤、収れん薬、血管収縮剤又はその組合せを含む眼科用組成物に関する。本発明は、さらに、かかる組成物をそれを必要とする対象に投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
眼けん腫脹及び眼けん炎症は、組織への影響、患者の生活の質、及び全般的な患者の快適さの点で長期的にも短期的にも深刻である。ヒトの眼けんは、体の最も薄い皮膚層、組織及び筋肉の最も明確な層、並びに最も脆弱なコラーゲン線維で構成される。これらの繊細な皮膚層のために、眼けんは、腫脹、急性炎症、及び起こり得る長期損傷に極めて影響されやすい。
【0004】
眼けんは、眼がその機能を果たすように幾つかの重要な役割を有する。眼けんは、反射的閉鎖によって眼を保護し、角膜を覆う。眼への粒子又は異物の侵入及び起こり得る損傷をしばしば防止するのはこの機構である。眼けんは、ちょうどカメラのシャッターのように、眼に入る光量も調節する。眼けんは、さらに、(眼けん縁を介して)涙液膜の成分を足していき、まばたき中の延展作用によって眼全体での滑らかな液体の分布を維持する。眼けんは、眼の健康だけでなく、眼球システムの機能全体を維持するのに極めて大きな役割を果たす。この極めて重要な保護機構の炎症が起こると、個体の眼球の健康が損なわれる。
【0005】
繰り返しの伸張、及び様々な病因の腫脹の結果としての眼けん損傷によって、たるみが一時的に発生することがあり、皮膚層が眼の上下に垂れ下がる。この眼けん腫脹は、極めて望ましくない外見になることがあり、視野を制限することさえあり得る。これらの徴候は一時的なものにすぎないことが多いが、生理学的及び解剖学的レベルで生じる実際の損傷は、再発ごとに蓄積するので、最終的に恒久的変化をもたらし得る。
【0006】
眼けん腫脹のこの症候は、眼球の健康を評価するときに主要な関心事とはめったにみなされないが、多数の患者、医師及び研究者には重大な関心事である。朝の眼けん腫脹は、極めて一般的である。これについては、患者の健康上関心がもたれているほか、広く社会的にも関心がもたれている。腫れてたるんだ眼けんに伴う患者の不快感及び全般的不耐性は、眼けん手術(229,092)及びボツリヌス毒素注射(1,658,667)が米国において2002年に形成外科医によって行われた最も一般的な手技の二つであったことから明白である。眼けん浮腫の存在を減少させたいというこの大きな願望にもかかわらず、この症候に対して注意が払われてこなかった。眼けん腫脹は、別の徴候及び症候の中で分類されることが多いが、歴史的には正確に測定することが困難であったので、臨床試験では主要評価変数であることはめったにない。アレルギー性結膜炎に関連した眼けん腫脹を減少させるために0.1%オロパタジン(Patanol)のような種々の眼アレルギー薬が使われ始めたが、直接的かつ有効にこの症候と特異的に闘うのに利用可能な薬物はない。社会には極めて多数の形態のかかる強力な存在があり、眼けん腫脹の症状に直接影響を及ぼす治療が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
眼けん腫脹、特に非アレルギー性眼けん腫脹を治療及び防止する新規組成物及び方法を提供する。ある実施形態においては、浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬を含む新規局所眼科用製剤を提供する。特に本発明は、相乗的に作用して、眼けん腫脹を治療及び防止する、浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬の組合せを含む、許容される局所眼科用製剤を提供する。この製剤の並外れた効力は、とりわけ、その中の各成分の組合せの相乗効果に起因する。浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬の組合せは、相乗的に作用して、眼けん腫脹の徴候及び症候を治療する。これは、これら別々の成分の各々を含む一製品において実現されるようにはこれまで企図されてこなかった。
【0008】
一実施形態においては、本発明は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、許容される(すなわち、耐えられる)快適プロファイルを有する有効な眼科用組成物を処方するための目標容量オスモル濃度及び/又は重量オスモル濃度範囲を提供する。浸透圧活性であるためには、溶液の容量オスモル濃度及び/又は重量オスモル濃度は、その周囲環境の容量オスモル濃度及び/又は重量オスモル濃度よりも高くなければならない。容量オスモル濃度は、溶液1リットル当たりの溶質のオスモルの尺度であり、重量オスモル濃度は、溶媒1キログラム当たりの溶質のオスモルの尺度である。容量モル濃度及び容量オスモル濃度は、温度に依存するので、すなわち、水はその体積が温度とともに変化するので、浸透圧測定には一般に使用されない。当業者は、(本発明の組成物の濃度など)濃度が極めて低い場合、容量オスモル濃度と重量オスモル濃度という用語は、本発明の組成物に適用されるように、等価とみなされ、本明細書では区別なく使用されることを容易に認識するであろう。
【0009】
ヒト涙液膜の重量オスモル濃度は、平均的なヒトの眼における約250〜350mOsm/Kgから(700mOsm/Kgを超える最大値を有する)ドライアイ疾患を含めて、ただしそれだけに限定されない眼疾患の個体における平均約450mOsm/Kgまで及ぶ。したがって、治療効果を発揮し、浮腫を減少させるために、眼科用液剤の重量オスモル濃度は、最小値がヒトの眼の環境の重量オスモル濃度(すなわち、約250から450mOsm/Kg)に限定されなければならない。しかし、重量オスモル濃度の増加に伴って、点眼後の不快感が増大する。高濃度のイオンは、神経終末を活性化し、ひいては眼球の刺すような痛みを生じ得る。快適さの試験を通して、ここで発見されたのは、許容される、すなわち耐えられる、快適プロファイルを有するために、眼科用液剤は2000mOsm/Kg未満、より好ましくは1050mOsm/Kg未満からの重量オスモル濃度を有するべきであることである。したがって、眼けん腫脹の治療用に処方された滴薬の目標重量オスモル濃度範囲は、好ましくは、200及び2000mOsm/Kg以内、好ましくは250mOsm/Kg〜1500mOsm/Kg、より好ましくは260mOsm/Kg〜1250mOsm/Kg、より好ましくは265mOsm/Kgから1200mOsm/Kg、より好ましくは400mOsm/Kgから1150mOsm/Kg、より好ましくは500mOsm/Kgから1100mOsm/Kgである。
【0010】
一部の実施形態においては、本発明の組成物は、コロイド状浸透圧剤及び結晶状浸透圧剤を含めて、ただしそれだけに限定されない浸透圧活性剤を含む。本発明の組成物における使用に適した結晶状浸透圧剤としては、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、スクロース、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール3350NF、クエン酸マグネシウム及びラクツロースが挙げられるが、それだけに限定されない。ある実施形態においては、有効量の結晶状浸透圧剤は、約1%から約10%w/v 塩化ナトリウム、約1%から約10%w/v デキストロース、約1%から約20%w/v グリセロール、約1%から約20%w/v マンニトール、約1%から約95%w/v スクロース、及び約1%から約95%w/v ソルビトールからなる群から選択される。好ましくは、結晶状浸透圧剤は塩化ナトリウムであり、有効量は約1%から約10%w/v、より好ましくは約2%から約5%w/vである。
【0011】
本発明の組成物における使用に適したコロイド状浸透圧剤としては、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素で架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、MgAlシリカートNFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶セルロース及びCMC NF、カルボマー、並びにジェランガムが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0012】
ある実施形態においては、有効量のコロイド状浸透圧剤は、約1%から約10%w/v ヘタスターチ、約1%から約20%w/v ペンタスターチ、約1%から約10%w/v デキストラン70、約1%から約10%w/v デキストラン40、約1%から約50%w/v アルブミン、及び約1%から約50%w/v 微結晶セルロースからなる群から選択される。
【0013】
本発明の方法における使用に適した別の浸透圧剤としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、炭酸水素カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カリウム酸リン酸塩(potassium acid phosphate)、乳酸カルシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸、及びラフィノース、グルコース、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン−40,000、イヌリン、メントール、ポリソルベート80、その混合物などの可溶性炭水化物が挙げられるが、それだけに限定されない。ある実施形態においては、有効量の浸透圧剤は、約0.001%から約10%w/v カフェイン、約0.001%から約10%w/v カルボマー934P、約0.001%から約10%w/v タンニン酸、約0.001%から約10%w/v アスコルビン酸、約0.001%から約10%w/v デキストラン−40,000、約0.001%から約10%w/v イヌリン、約0.001%から約10%w/v メントール、約0.001%から約10%w/v ポリソルベート−80、又はその混合物である。
【0014】
一部の実施形態においては、本発明の組成物は血管収縮剤を含む。本発明の組成物における使用に適した血管収縮剤としては、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、テトラヒドロゾリン、及び血管作動性のアルファ受容体作動物質である他の薬剤が挙げられるが、それだけに限定されない。好ましい一実施形態においては、血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.01%から約0.2%w/v、更により好ましくは約0.09%から約0.1%w/vの範囲である。別の好ましい一実施形態においては、本発明における使用に適した血管収縮剤はオキシメタゾリンであり、有効量は約0.01%から約0.2%w/v、より好ましくは0.01%から約0.1%w/v、更により好ましくは約0.03%から約0.05%w/vの範囲である。更に別の好ましい一実施形態においては、本発明における使用に適した血管収縮剤はフェニレフリンであり、有効量は約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.05%から約0.2%w/vの範囲である。
【0015】
更に別の実施形態においては、本発明の組成物は収れん薬を含む。本発明の組成物における使用に適した収れん薬としては、ウイッチヘーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、Burow液、サンザシ抽出物、ウワミズザクラ抽出物及び天然フラバノイド(flavanoid)が挙げられるが、それだけに限定されない。好ましくは、収れん薬はウイッチヘーゼル及び/又は硫酸亜鉛であり、有効量は約0.001%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約5%w/v、より好ましくは約0.1%から約1%w/v、更により好ましくは約0.2%から約0.75%w/vの範囲である。
【0016】
ある一実施形態においては、本発明の組成物は、浸透圧活性剤と血管収縮剤の組合せを含む。一実施形態においては、浸透圧活性剤はNaCl又はグリセロールであり、血管収縮剤はナファゾリン又はオキシメタゾリンである。好ましくは、塩化ナトリウムは、約1%から約10%w/v、より好ましくは約2%から約5%w/vの範囲で存在し、グリセロールは、約1%から約30%w/v、好ましくは1%から約20%w/v、より好ましくは約1%から約10%w/v、更により好ましくは約5%から約8%w/vの範囲で存在し、ナファゾリンは、約0.01%から約0.5%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.2%w/vの範囲で存在し、オキシメタゾリンは、約0.01%から約0.2%w/v、より好ましくは0.01%から約0.1%w/v、更により好ましくは約0.03%から約0.05%w/vの範囲で存在する。
【0017】
例えば、浸透圧活性剤は3%w/v NaCl又は7.5%w/v グリセロールであり、血管収縮剤はナファゾリン0.09%w/v 又は0.05%w/v オキシメタゾリンである。一実施形態においては、浸透圧剤は7.5%w/v グリセロールであり、血管収縮剤は0.09%w/v ナファゾリンである。別の一実施形態においては、浸透圧剤は7.5%w/v グリセロールであり、血管収縮剤は0.05%w/v オキシメタゾリンである。更に別の一実施形態においては、浸透圧剤は3%w/v NaClであり、血管収縮剤は0.09%w/v ナファゾリンである。更に別の一実施形態においては、浸透圧剤は3%w/v NaClであり、血管収縮剤は0.05%w/v オキシメタゾリンである。
【0018】
特定の一実施形態においては、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体と塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、組成物のpHは6.0である。
【0019】
別の特定の一実施形態においては、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体と塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLを含み、組成物のpHは6.0である。
【0020】
更に別の特定の一実施形態においては、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体とオキシメタゾリン(oxymetzoline)塩酸塩0.5mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、組成物のpHは6.0である。
【0021】
更に別の特定の一実施形態においては、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体と塩酸オキシメタゾリン0.5mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、組成物のpHは6.0である。
【0022】
一部の実施形態においては、本発明の組成物は、浸透圧活性剤と血管収縮剤の組合せを含み、浸透圧活性剤は、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン40,000、イヌリン、マンニトール、メントール及びポリソルベート80からなる群から選択され、血管収縮剤は、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン及びテトラヒドロゾリンからなる群から選択される。
【0023】
場合によっては、浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬は、追加の血管収縮剤、涙液代替物、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、肥満細胞安定剤、NSAID、ステロイド、抗炎症剤、抗酸化剤、抗感染薬、コリン作動薬及びその組合せを含めて、ただしそれだけに限定されない、眼けん腫脹を治療及び防止するのに使用される種々の別の薬剤と組み合わせられる。
【0024】
本発明の組成物は、溶液、懸濁液、オイル、粘ちゅう性若しくは半粘ちゅう性ゲル、乳濁液、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、蝋膏、粉末、徐放性若しくは緩効性の製剤若しくは移植片、眼けんローション、又は別のタイプの固体若しくは半固体組成物として、さらに、噴霧可能な形態又はネブライザー形態で、局所投与用に処方することができる。本発明の組成物は、眼けん腫脹の治療及び/又は防止のための急性又は慢性投与用に処方することができる。
【0025】
本発明は、これらの製剤を用いて眼けん腫脹を治療及び防止する新規方法も特徴とする。一部の実施形態においては、対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法は、本発明の組成物を対象の眼球表面に局所投与して、眼けん腫脹を治療及び防止することを含む。別の実施形態においては、本発明の方法は、本発明の組成物を対象の内側及び/又は外側の眼けんに局所投与して、眼けん腫脹を治療及び防止することを含む。
【0026】
一部の実施形態においては、対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法は、浸透圧活性剤、血管収縮剤及び収れん薬からなる群から選択される、有効量の少なくとも1種類の活性薬剤を対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0027】
別の一実施形態においては、対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法は、浸透圧活性剤、血管収縮剤及び収れん薬から選択される、有効量の少なくとも2種類の薬剤の組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。特定の一実施形態においては、有効量の浸透圧剤と血管収縮剤の組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与する。例えば、浸透圧活性剤はNaCl又はグリセロールであり、血管収縮剤はナファゾリン又はオキシメタゾリンである。
【0028】
一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、7.5%w/v グリセロールと0.09%w/v ナファゾリンの組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。別の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、7.5%w/v グリセロールと0.05%w/v オキシメタゾリンの組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。更に別の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、3%w/v NaClと0.09%w/v ナファゾリンの組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。更に別の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、3%w/v NaClと0.05%w/v オキシメタゾリンの組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0029】
特定の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLと薬学的に許容される担体との組合せ、pH6.0を対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0030】
別の特定の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLと薬学的に許容される担体との組合せ(全体のpH=6.0)を対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0031】
更に別の特定の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、塩酸オキシメタゾリン0.5mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLと薬学的に許容される担体との組合せ(全体のpH=6.0)を対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0032】
更に別の特定の一実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、塩酸オキシメタゾリン0.5mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLと薬学的に許容される担体との組合せ(全体のpH=6.0)を対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含む。
【0033】
一部の実施形態においては、本発明の方法は、眼けん腫脹を治療及び防止するために、浸透圧活性剤と血管収縮剤の組合せを対象の内側又は外側の眼球/眼けん表面に投与することを含み、浸透圧活性剤は、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン40,000、イヌリン、マンニトール、メントール及びポリソルベート80からなる群から選択され、血管収縮剤は、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン及びテトラヒドロゾリンからなる群から選択される。
【0034】
かかる製剤は、昼間、夜間、就寝直前及び/又は覚醒直後に、薬物の吸収、失活及び排せつ速度と化合物の送達速度に応じた適切な投与量で投与して、眼けん腫脹を治療及び防止することができる。かかる製剤を短期又は長期使用のために投与して、眼けん腫脹を治療及び防止することもできる。
【0035】
さらに、本発明は、走査型画像化技術(例えば、3D走査技術)を利用した制御された客観的技術を使用して眼けん腫脹の変化を測定する方法を特徴とする。かかる方法は、眼けん腫脹の毎日の変動を客観的かつ正確に定量化することができる。
【0036】
さらに、本発明は、方法の実施と同様に、製剤の輸送、貯蔵又は使用のためのキットを特徴とする。本発明の他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】眼けん腫脹を呈する病状、各症状のかかる呈示の詳細、及びかかる症状の他の症候の一部の表である。
【図2】眼けん腫脹に対する浸透圧剤の効果を示した図である。
【図3A】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3B】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3C】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3D】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3E】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3F】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3G】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3H】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3I】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3J】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3K】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図3L】11名の対象における朝の眼けん腫脹の治療に0.1%ナファゾリンを使用した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、右眼(丸、「OD」とも表す。)は塩酸ナファゾリン(0.1%)で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4A】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4B】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4C】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4D】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4E】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4F】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図4G】6名の対象における朝の眼けん浮腫の治療のための5%NaCl眼科用液剤を評価した試験の結果を示した線グラフである。値はベースラインに対して表され、エラーバーは1標準誤差を表し、時点は試験薬物点眼後の時間を表す。各対象に対して、治療はベースラインにおいてはどちらの眼にも施されず、右眼(丸、「OD」とも表す。)は5%NaCl眼科用液剤で処置され、左眼(四角、「OS」とも表す。)は無処置であった。
【図5】朝の眼けん腫脹の治療のために、0.1%ナファゾリンと5%NaCl溶液の組合せの効力を0.1%ナファゾリン又は5%NaCl(及び無処置対照)と個々に比較した試験の結果を示した線グラフである。
【図6】図5に示した試験の0.1%ナファゾリンと5%NaClの組合せの結果を示した棒グラフである。
【図7】図7Aは、朝の眼けん腫脹の減少効力について試験した、個々の成分単独と比較した5%NaClと0.1%ナファゾリンの混合製剤(第1列)、各被験物質の重量オスモル濃度(第2列)、対応する被験物質による朝の眼けん腫脹の減少率(第3列)、対照の眼における眼けん腫脹の減少率(被験物質なし、第4列)、眼けん腫脹の正規化減少率(第5列)、及び偏差の標準誤差(第6列)を要約した表である。図7Bは、各被験物質による眼けん腫脹の減少率を示した棒グラフである。
【図8】4名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、5%NaCl眼軟膏に溶解させた塩酸ナファゾリン(0.05%)の組合せの効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。
【図9】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、2.5%NaCl眼科用液剤に溶解させた塩酸ナファゾリン(0.1%)の組合せの効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図10】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、50%スクロース溶液中の塩酸ナファゾリン(0.1%)の組合せの効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図11】図11Aは、朝の眼けん腫脹の減少効力について試験した、個々の成分単独と比較した50%スクロースと0.1%ナファゾリンの混合製剤(第1列)、各被験物質の重量オスモル濃度(第2列)、対応する被験物質による朝の眼けん腫脹の減少率(第3列)、対照の眼における眼けん腫脹の減少率(被験物質なし、第4列)、眼けん腫脹の正規化減少率(第5列)、及び偏差の標準誤差(第6列)を要約した表である。図11Bは、各被験物質による眼けん腫脹の減少率を示した棒グラフである。
【図12】被験者の右眼(OD)、左眼(OS)及び両眼(OU)における朝の眼けん腫脹の自然進行を示した線グラフである。この実験では治療は施されなかった。
【図13】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、局所0.1%フェニレフリン軟膏剤の効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図14A】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、5%NaClと12.5%マンニトールの眼科用液剤に溶解させた塩酸ナファゾリン(0.1%)の組合せの効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図14B】個々の成分単独と比較した、朝の眼けん腫脹の治療のために5%NaClと12.5%マンニトールの眼科用液剤に溶解させた塩酸ナファゾリン(0.1%)の混合製剤(第1列)、各被験物質の重量オスモル濃度(第2列)、対応する被験物質による朝の眼けん腫脹の減少率(第3列)、対照の眼における眼けん腫脹の減少率(被験物質なし、第4列)、眼けん腫脹の正規化減少率(第5列)、及び偏差の標準誤差(第6列)を要約した表である。
【図14C】各被験物質による眼けん腫脹の減少率を示した棒グラフである。
【図15】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、12.5%マンニトール眼科用液剤の効力を評価した試験の結果を示した線グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図16】図16Aは、朝の眼けん腫脹の減少効力について試験した、個々の成分単独と比較した、5%NaClと0.1%ナファゾリン、50%スクロースと0.1%ナファゾリン、並びに5%NaCl、12.5%マンニトール及び0.1%ナファゾリンの各混合製剤(第1列)、各被験物質の重量オスモル濃度(第2列)、対応する被験物質による朝の眼けん腫脹の減少率(第3列)、対照の眼における眼けん腫脹の減少率(被験物質なし、第4列)、眼けん腫脹の正規化減少率(第5列)、及び偏差の標準誤差(第6列)を要約した表である。図16Bは、各被験物質による眼けん腫脹の減少率を示した棒グラフである。
【図17】6名の対象における朝の眼けん腫脹の治療について、50%スクロース眼科用液剤の効力を評価した試験の結果を示した棒グラフである。エラーバーは1標準誤差を表す。
【図18】図18Aは、種々の眼科用液剤の重量オスモル濃度及び平均快適レベルを示した表である。図18Bは、重量オスモル濃度約800mOsm/Kgから2400mOsm/Kgの6種類の眼科用製剤について、重量オスモル濃度と快適さの相関を(0〜10等級で(0は最も快適を示し、10は最も不快を示す)示した線グラフである。
【図19】種々の眼科用製剤の平均快適レベルを示した棒グラフである(「Oxy」はオキシメタゾリンを意味し、「Naph」はナファゾリンを意味する。)。
【図20】主観的な領域的/全体的眼けん腫脹等級に基づいて、20名の対象に対する平均ベースライン眼けん腫脹スコアを示した線グラフである。眼けん腫脹を夕方及び翌朝覚醒後(ベースライン)、続いて10分間隔で最高1時間評価した。
【図21】19名の対象について6日間の夕方及び朝の眼けん腫脹の平均の全体的スコアを示した線グラフである。全体的眼けん腫脹を0〜3の等級で主観的に評価した(0=なし、3=明確な腫脹)。
【図22】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、プラセボを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)のヒトの眼けんの領域1における平均眼けん腫脹を示した線である(N=12)。眼けん腫脹を60分間評価した。
【図23】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、プラセボを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)のヒトの眼けんの領域2における平均眼けん腫脹を示した線グラフである(N=10)。眼けん腫脹を60分間評価した。
【図24】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、プラセボを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)のヒトの眼けんの領域3における平均眼けん腫脹を示した線グラフである(N=15)。眼けん腫脹を60分間評価した。
【図25】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、プラセボを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)のヒトの眼けんの領域4における平均眼けん腫脹を示した線グラフである(N=16)。眼けん腫脹を60分間評価した。
【図26】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、プラセボを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼後の平均の全体的眼けん腫脹を示した線グラフである(N=10)。
【図27】0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用製剤及びプラセボの平均快適スコアを示した棒グラフである。
【図28】1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、0.05%オキシメタゾリン/3%NaClを次の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)の平均の全体的眼けん腫脹スコアを示した線グラフである。眼けん腫脹を6時間(360分間)評価した。
【図29】1滴の0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロールを一方の眼に、0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールを他方の眼に点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)の平均の全体的眼けん腫脹スコアを示した線グラフである。眼けん腫脹を6時間(360分間)評価した。
【図30】0.09%ナファゾリン/3%NaCl、0.05%オキシメタゾリン/3%NaCl、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールを点眼する前(ベースライン)と点眼直後(時間=0)の平均の全体的眼けん腫脹スコアを比較した線グラフである。眼けん腫脹を6時間(360分間)評価した。
【図31】0.09%ナファゾリン/3%NaCl、0.05%オキシメタゾリン/3%NaCl、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールの平均快適スコアを比較した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.定義
便宜上、本発明を更に説明する前に、本明細書、実施例及び添付された特許請求の範囲で使用する特定の用語をここでまとめる。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして読むべきであり、当業者によって理解されるべきである。
【0039】
本明細書では「許容される快適プロファイル」という用語は、眼に投与するときの眼科用製剤の耐容性を指し、かかる眼科用製剤を眼に投与して、眼疾患を軽減、緩和、治療及び/又は防止することの利点は、前記眼科用製剤を眼に投与する患者の服薬遵守が増加するなど、前記製剤の眼への投与に付随するいかなる不快感のリスクをも凌ぐ。
【0040】
「抗アレルギー剤」という用語は、眼アレルギーを治療する、又は眼アレルギーの症候を軽減する、分子又は組成物を指す。抗アレルギー剤の例としては、「抗ヒスタミン剤」、すなわちヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのを遮断する薬物、「肥満細胞安定剤」、すなわち肥満細胞からのヒスタミン及び他の物質の放出を遮断する薬物、「複数の作用様式を有する薬物」、すなわち複数の作用様式を有する抗アレルギー剤である薬物(例えば、抗ヒスタミン剤と肥満細胞安定剤である薬物、抗ヒスタミン、肥満細胞安定化及び抗炎症活性を有する薬物など)、非ステロイド性抗炎症薬、すなわち「NSAID」、並びにステロイドが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0041】
「水溶液」という用語は、典型的には、担体が>50重量%、より好ましくは>75重量%、特に>90重量%の水の範囲までである水溶液組成物を意味する。
【0042】
「有効量」という句は、当分野で認知された用語であり、本発明の薬剤組成物に含まれたときに、任意の薬物療法に適用可能な妥当な利点/リスク比で何らかの所望の効果をもたらす薬剤の量を指す。ある実施形態においては、この用語は、眼けん腫脹を解消、軽減若しくは維持する(例えば、拡散を防止する)のに、又は眼けん腫脹を防止若しくは治療するのに、必要な又は十分な量を指す。有効量は、治療する疾患又は症状、投与する特定の組成物、疾患又は症状の重症度などの因子に応じて変わり得る。当業者は、過度の実験を必要とせずに、特定の薬剤の有効量を経験的に決定することができる。眼けん腫脹の治療の場合、有効量とは、物差し、すなわち眼けん腫脹を評価する主観的等級(例えば、それだけに限定されないが、腫脹を軽度、中度、重度又は0、1、2若しくは3と判定する主観的臨床等級、又は他の適切な等級)、及び/又は3D走査技術によって測定して、好ましくは、眼けん腫脹を少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85% 少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも100%軽減する治療薬の量を指す。
【0043】
「眼けん腫脹」という用語は、眼か周囲浮腫を含めて、眼けんの腫脹又は炎症を含む任意の非アレルギー又はアレルギー症状を指す。例えば、それだけに限定されないが、図1に示す症状のすべては、非アレルギー性「眼けん腫脹」という用語に包含される。したがって、本明細書に定義された「眼けん腫脹」は、眼けん皮膚弛緩症のような珍しい障害から、「眼の下のたるみ」を特徴とするより一般的な皮膚弛緩症までの眼けん腫脹のあらゆる原因を包含する。これらの腫脹感染症に加えて、酒さ、化粧品又は局所医薬品に起因する皮膚炎、リンパ腫、腎臓及び内分泌機能障害(甲状腺)、さらには慢性眼周囲浮腫が極めて有用な診断上の徴候であり得る感染症である旋毛虫症を含めて、ただしそれだけに限定されない、眼けん腫脹をもたらし得る多数の他の非アレルギー症状が存在する。眼けん腫脹のより一般的な原因としては、年齢、アルコール使用、コンピュータ使用、読書、疲労及び日内変動(朝の眼けん腫脹)が挙げられる。朝の眼けん腫脹は夜間に起こり、朝の覚醒と同時に眼けん腫脹を生じる。さらに、眼アレルギーは、眼けん炎症の最も一般的な原因の一つであり、一般集団のほぼ20%が罹患している。この場合、IgEによって刺激された肥満細胞脱顆粒の結果として放出される一連の前もって形成された媒介物質は、脈管構造の血管拡張及び血流から組織への体液の漏出を引き起こすアレルギー反応の臨床徴候及び症候の原因である。
【0044】
本明細書では「高浸透液」という用語は、他の流体よりも高い重量オスモル濃度を有する、例えば他の流体よりも高濃度の浸透圧活性成分を含む、任意の溶液を指す。
【0045】
本明細書では「眼アレルギー」という用語は、眼の任意のアレルギー疾患を指す。かかる眼アレルギーの例としては、季節性/通年性アレルギー性結膜炎、春季角結膜炎、巨大乳頭性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎及びアトピー性角結膜炎が挙げられるが、それだけに限定されない。眼アレルギーの徴候及び症候としては、結膜浮腫、眼のかゆみ、発赤、流涙及び眼けん腫脹が挙げられる。
【0046】
「浸透圧活性剤」という用語は、親水性薬剤、例えば、吸湿剤、水中透視(hydroscopic)剤又は他の薬剤を指し、高浸透液中で浸透性の流れを起こす。浸透圧活性であるためには、溶液の重量オスモル濃度は、その周囲環境の重量オスモル濃度よりも高くなければならない。
【0047】
主題の方法によって治療される「患者」、「対象」又は「宿主」とは、ヒト、又は霊長目、ほ乳動物、脊椎動物などの非ヒト動物を指す。
【0048】
「薬学的に許容される」という句は、当分野で認知されており、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは障害がなく、妥当な利点/リスク比に相応して、健全な医学的判断の範囲内で適切である組成物、ポリマー及び他の材料及び/又は剤形を指す。
【0049】
「薬学的に許容される担体」という句は、当分野で認知されており、例えば、任意の補助剤若しくは組成物又はその成分を体の一器官又は部分から体の別の器官又は部分に運搬又は輸送するのに関与する、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、カプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各担体は、補助剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容され」なければならず、患者に無害でなければならない。ある実施形態においては、薬学的に許容される担体は非発熱性である。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の幾つかの例としては、(1)ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖、(2)コーンスターチ、ジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのその誘導体、(4)トラガカント粉末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオ脂、坐剤ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセロール、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)水溶液、懸濁液、軟膏、並びに(22)医薬製剤に使用される他の無毒適合性物質が挙げられる。
【0050】
「薬学的に許容される塩」という用語は、当分野で認知されており、治療薬、賦形剤、他の材料などを含めて、ただしそれだけに限定されない、本発明の組成物又はその任意の成分の比較的無毒の無機及び有機酸付加塩を指す。薬学的に許容される塩の例としては、塩酸、硫酸などの鉱酸から誘導された塩、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸から誘導された塩などが挙げられる。塩形成に適した無機塩基の例としては、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩が挙げられるが、それだけに限定されない。塩は、無毒かつかかる塩を形成するのに十分強い有機塩基を含めて、適切な有機塩基を用いて形成することもできる。説明のために、かかる有機塩基のクラスとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどのモノ−、ジ−及びトリアルキルアミン;モノ−、ジ−、トリエタノールアミンなどのモノ−、ジ−、トリヒドロキシアルキルアミン;アルギニン、リシンなどのアミノ酸;グアニジン;N−メチルグルコサミン;N−メチルグルカミン;L−グルタミン;N−メチルピペラジン;モルホリン;エチレンジアミン;N−ベンジルフェネチルアミン;(トリヒドロキシメチル)アミノエタンなどを挙げることができる。例えば、J.Pharm.Sci.,66:1−19(1977)を参照されたい。
【0051】
症状に関連して使用するときの「防止する」という用語は、当分野で認知されており、組成物を投与しない対象に比べて、対象における病状の症候の頻度を低減する、又はその発生を遅延させる、組成物の投与を指す。
【0052】
「治療する」という用語は、当分野で認知された用語であり、浸透圧活性剤、血管収縮剤、収れん薬、その組合せなどの眼用薬剤を含めて、ただしそれだけに限定されない1種類以上の診断薬、治療薬又は予防薬を投与することによって、任意の症状又は疾患の少なくとも1つの症候を治癒及び/又は改善することを指す。
【0053】
「血管収縮剤」という用語は、平滑筋組織中のアルファ−1受容体に作用する薬剤を含めて、ただしそれだけに限定されない、血管を収縮させる任意の薬物又は薬剤を指す。
【0054】
2.眼けん腫脹
眼けん腫脹は、アレルギー、感染、軽度の刺激/炎症、外傷、及び朝の眼けん腫脹を含めて、幾つかの異なる病的症状の結果として起こり得る。朝の眼けん腫脹は、組織の緊張度の低下及び炎症の結果として起こる。個体の加齢に従い、眼けん周囲の皮膚はその弾性を失う。真皮に剛性及び弾性を与えるコラーゲン線維が分解し始める。これは、太陽光への過剰な曝露、又は喫煙などの他の破壊的環境刺激によって悪化し得る自然なプロセスである。さらに、下にある眼か脂肪が分解し、さらにまた、弛緩した空隙のように見える組織が生成し、又は組織の緊張度が失われる。
【0055】
個体が水平に寝ているときには、体液が、下にある脈管構造から眼、特に下眼けんの周囲にある空虚で構造のない組織に漏出する。これは、涙液膜及び結膜における炎症伝達物質の蓄積に起因し得る。真皮の弾性低下によって、表層の眼けん組織は、体液の増加と伴に腫脹する。個体が覚醒したときに、分解した眼けん組織に流入した過剰の体液の結果として、眼けんは腫れて腫脹したように見える。不定の体液蓄積は、下眼けんの目尻の眼か骨の上に重なる組織において起こり得る。この体液は、濃青色又は紫色のように見えることがあり、外見又は疲れた腫れい眼を与える。個体が覚醒し、立位をとった後に、体液が眼けん組織から流出するにつれ、眼けん腫脹は徐々に減少する。しかし、この過程はかなりの時間を要し得る。
【0056】
眼けん腫脹及び眼か周囲浮腫は、角膜浮腫などの他のタイプの眼球浮腫とは識別可能である。上述したように、眼けん腫脹は、眼か及び眼か周囲の領域内の下層脈管構造から漏出した体液の結果として発生する。対照的に、角膜は血管を含まない。角膜浮腫は、典型的には、異常眼圧、角膜支質内の電解質不均衡、及び/又は内皮中の活性な代謝ポンプの存在に起因し、その各々が体液を角膜に送る。
【0057】
したがって、眼に直接滴下される、浸透圧活性剤、血管収縮剤、収れん薬又はその組合せから選択される有効量の活性薬剤を含む、眼用に処方された薬剤組成物は、下にある脈管構造を「乾燥させ」て眼けん組織及び眼か周囲領域への漏出を処置及び防止することによって眼けん腫脹を治療するのに有効である。眼球表面/眼けんの内面及び/又は外面に適用される、浸透圧活性剤、血管収縮剤、収れん薬又はその組合せから選択される有効量の活性薬剤を含む、眼用に処方された薬剤組成物は、眼けん腫脹を治療及び防止するのにも有効である。
【0058】
3.薬剤組成物
眼けん腫脹及び眼か周囲浮腫の治療及び防止のために、有効量の1種類以上の活性薬剤を薬学的に許容される担体中に含む、新規局所薬剤組成物を特徴とする。1種類以上の活性薬剤としては、浸透圧活性剤、血管収縮剤、収れん薬又はその組合せを挙げることができるが、それだけに限定されない。収れん薬又は浸透圧活性剤は、腫脹組織又は炎症組織から体液を抜くのに役立ち(図2)、血管収縮剤は、下にある脈管構造から眼けん組織中への更なる漏出を防止するのに役立つ。特定の一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、浸透圧活性剤、血管収縮剤、収れん薬又はその組合せを含めて、ただしそれだけに限定されない少なくとも2種類の活性薬剤を含む。
【0059】
好ましい一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、200及び2000mOsm/Kg、好ましくは250mOsm/Kg〜1500mOsm/Kg、より好ましくは260mOsm/Kg〜1250mOsm/Kg、より好ましくは265mOsm/Kgから1200mOsm/Kg、より好ましくは400mOsm/Kgから1150mOsm/Kg、より好ましくは500mOsm/Kgから1100mOsm/Kgの重量オスモル濃度に処方される。かかる製剤は、眼に滴下されたときに、許容される快適プロファイルを有する液滴を与える。
【0060】
一実施形態においては、活性薬剤は浸透圧活性剤である。ある実施形態においては、薬剤組成物は、浸透圧活性剤を含有する高浸透液を含む。高浸透液は、周囲環境よりも高濃度の電解質を含む。
【0061】
ある実施形態においては、浸透圧活性剤は結晶状浸透圧剤である。結晶状浸透圧剤の例としては、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール3350NF、クエン酸マグネシウム及びラクツロースが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0062】
ある実施形態においては、結晶状浸透圧剤はマンニトールである。マンニトールは、多数の果実及び野菜中に天然に存在するマンノースの糖アルコール体である。
【0063】
別の実施形態においては、結晶状浸透圧剤はグリセロールである。グリセロールは、鹸化の副生物として油脂から得られ、多数の眼科用製品の溶媒として、さらに、化粧品、石鹸及び潤滑剤を含めて種々の製品の一成分として、頻繁に使用される。
【0064】
特定の一実施形態においては、結晶状浸透圧剤は塩化ナトリウム(溶液、ゲル、懸濁液、又は他の薬学的に許容されるビヒクル)である。別の特定の一実施形態においては、結晶状浸透圧剤はグリセロール(溶液、ゲル、懸濁液、又は他の薬学的に許容されるビヒクル)である。
【0065】
更に別の実施形態においては、結晶状浸透圧剤はデキストロースである。デキストロースは、電解質源、カロリー源及び水和用水源として成体及び小児患者における注射用に認可されている。
【0066】
更に別の実施形態においては、結晶状浸透圧剤はポリエチレングリコール3350NFである。
【0067】
更に別の実施形態においては、結晶状浸透圧剤はクエン酸マグネシウムである。
【0068】
更に別の実施形態においては、結晶状浸透圧剤はラクツロースである。ラクツロースは合成糖である。
【0069】
ある実施形態においては、浸透圧活性剤はコロイド状浸透圧剤である。コロイド状浸透圧剤の例としては、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素で架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、MgAlシリカートNFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶セルロース及びCMC NF、カルボマー、並びにジェランガムが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0070】
ある実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はヘタスターチである。ヘタスターチは、体液喪失によるショックの治療に必要とされる血しょう増量剤である。
【0071】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はペンタスターチである。ヘタスターチ同様、ペンタスターチも、体液喪失によるショックの治療に必要とされる血しょう増量剤である。
【0072】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤は、尿素で架橋されたゼラチンポリペプチドの組合せ生成物である。
【0073】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はデキストラン70である。
【0074】
別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はデキストラン40である。デキストラン70同様、デキストラン40は、ショックにおける補液に必要とされる。
【0075】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はアルブミンである。
【0076】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はイコデキストリンである。イコデキストラン(icodextran)は、グルコースの代替物として浸透性投与(osmotic applications)に頻繁に使用されるスクロース誘導体である。
【0077】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はMgAlシリカートNFタイプ2Aである。
【0078】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はアルギン酸である。アルギン酸は、海藻から単離される粘ちゅう性ゴムであり、浸透圧剤として使用することができる。
【0079】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)NFである。
【0080】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はジェランガムである。
【0081】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤はナトリウムカルボマーである。
【0082】
更に別の実施形態においては、コロイド状浸透圧剤は微結晶セルロースである。
【0083】
その処方においてコロイドとクリスタロイドには基本的な相違がある。クリスタロイドは、電解質を添加した滅菌水溶液に主に基づく。クリスタロイドは、血しょうに対して低張である製剤から等張又は高張である製剤まで、種々の製剤の形で提供される。コロイドは、結晶状溶液に基づくことが多く、したがって水及び電解質を含むが、コロイド状物質(例えば、半透膜を自由に拡散透過しない直径1ミリミクロンより小さい粒子の懸濁液)の添加成分を含む。
【0084】
本発明の薬剤組成物における使用が企図される他の例示的浸透圧活性剤としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、炭酸水素カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カリウム酸リン酸塩、乳酸カルシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸、及びラフィノース、グルコース、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン−40,000、イヌリン、メントール、ポリソルベート80、その混合物などの可溶性炭水化物などの化合物が挙げられる。ある実施形態においては、有効量の浸透圧剤は、約0.001%から約10%w/v カフェイン、約0.001%から約10%w/v カルボマー934P、約0.001%から約10%w/v タンニン酸、約0.001%から約10%w/v アスコルビン酸、約0.001%から約10%w/v デキストラン−40,000、約0.001%から約10%w/v イヌリン、約0.001%から約10%w/v メントール、約0.001%から約10%w/v ポリソルベート−80、又はその混合物からなる群から選択される。
【0085】
別の一実施形態においては、活性薬剤は収れん薬(すなわち、とりわけ組織を収縮させる薬剤)である。本発明の局所薬剤組成物における使用が企図される収れん薬の例としては、ウイッチヘーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、Burow液、サンザシ抽出物、ウワミズザクラ抽出物及び天然フラバノイドが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0086】
特定の一実施形態においては、収れん薬はウイッチヘーゼルである。ウイッチヘーゼルは、中央及び南ヨーロッパに見られる草本からの単離物である。
【0087】
別の特定の一実施形態においては、収れん薬は硫酸亜鉛である。
【0088】
更に別の特定の一実施形態においては、収れん薬は硫酸銀である。
【0089】
更に別の一実施形態においては、活性薬剤は血管収縮剤である。ある実施形態においては、血管収縮剤はアルファ−1アドレナリン作動薬である。別の実施形態においては、血管収縮剤は、血管直径を減少させ、かくして漏出を防止する任意の薬剤である。本発明の局所薬剤組成物における使用が企図されるアルファ−1アドレナリン作動薬としては、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン及びテトラヒドロゾリンが挙げられるが、それだけに限定されない。特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.01%から約0.2%w/v、更により好ましくは約0.09%から約0.1%w/vの範囲である。別の特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はオキシメタゾリンであり、有効量は約0.01%から約0.2%w/v、より好ましくは0.01%から約0.1%w/v、更により好ましくは約0.03%から約0.05%w/vの範囲である。更に別の特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はフェニレフリンであり、有効量は約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.05%から約0.2%w/vの範囲である。
【0090】
ある一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、血管収縮剤と浸透圧活性剤の両方を含む。特定の一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、ナファゾリンとNaClの両方を含む。別の特定の一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、オキシメタゾリンとNaClの両方を含む。更に別の特定の一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、ナファゾリンとグリセロールの両方を含む。更に別の特定の一実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、オキシメタゾリンとグリセロールの両方を含む。かかる製剤の並外れた効力は、下記実施例に記載のように、とりわけ、その中の各成分の組合せの相乗効果に起因する。
【0091】
有効量の活性薬剤は、約0.001%から約100.0%w/vの範囲の用量で組成物中に存在することができる。例えば、有効量の各活性薬剤は、約0.001%から約0.01%w/v、約0.01%から約0.100%w/v、約0.100%から約1.0%w/v、約1.00%から約10.00%w/v、又は約10%から約100%w/vの範囲とすることができる。
【0092】
本発明の製剤中に存在する活性薬剤の有効量は、使用する活性薬剤(単数又は複数)の性質に応じて、すなわち、薬物の吸収、失活及び排せつ速度、化合物の送達速度、並びに薬剤の1種類以上の組合せを含めて、ただしそれだけに限定されない因子に応じて、変わり得ることを当業者は認識するであろう。例えば、塩化ナトリウムの有効量は、約1%から約10%w/v、好ましくは約1%から約6%w/v、より好ましくは約2%から約5%w/vの範囲である。デキストロースの有効量は、約1%から約10%w/v、好ましくは約1%から約6%w/v、より好ましくは約2%から約5%w/vの範囲である。スクロースの有効量は、約1%から約95%w/v、好ましくは約10%から約90%w/v、より好ましくは約20%から約80%w/v、更により好ましくは約30%から約70%w/vである。グリセロールの有効量は、約1%から約30%w/v、好ましくは1%から約20%w/v、より好ましくは約1%から約10%w/v、更により好ましくは約5%から約8%w/vの範囲である。マンニトールの有効量は、約1%から約30%w/v、好ましくは約1%から約20%w/v、より好ましくは約10%から約15%w/vの範囲である。ソルビトールの有効量は、約1%から約100%w/v、好ましくは約10%から約90%w/v、より好ましくは約20%から約80%w/v、更により好ましくは約30%から約70%w/vの範囲である。ヘタスターチの有効量は、約1%から約20%w/v、好ましくは約1%から約10%w/v、より好ましくは約4%から約6%w/vの範囲である。ペンタスターチの有効量は、約1%から約20%w/v、好ましくは約5%から約15%w/v、より好ましくは約5%から約10%w/vの範囲である。デキストラン70の有効量は、約1%から約20%w/v、好ましくは約1%から約10%w/v、より好ましくは約4%から約6%w/vの範囲である。デキストラン40の有効量は、約1%から約20%w/v、好ましくは約1%から約10%w/v、より好ましくは約4%から約6%w/vの範囲である。アルブミンの有効量は、約10%から約50%w/v、好ましくは約15%から約30%w/v、より好ましくは約20%から30%w/v アルブミンの範囲である。
【0093】
初期に過剰に存在する固体溶質は、粒子、結晶、ペレット、錠剤、細片、フィルム、顆粒などの任意の適切な物理的形態とすることができる。
【0094】
ある実施形態においては、本発明の薬剤組成物は、浸透圧剤、血管収縮剤及び/又は収れん薬から選択される1種類以上の活性薬剤の組合せと、追加の血管収縮剤、涙液代替物、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、肥満細胞安定剤、NSAID、ステロイド、抗炎症剤、抗酸化剤、抗感染薬、コリン作動薬、又はその組合せなどの有効量の別の薬剤(単数又は複数)とを含む。薬剤の組合せは、相乗的に作用して、眼けん腫脹を減少させる。
【0095】
本発明の薬剤組成物における使用が企図される例示的な血管収縮剤としては、ナファゾリン、アントラジン(antolazine)、テトラヒドゾリン(tetrahydozoline)、オキシメタゾリン及びフェニレフリンが挙げられるが、それだけに限定されない。血管収縮剤は、眼けん腫脹を減少させることに加えて、さらにうっ血除去薬として作用し得る。ある実施形態においては、血管収縮剤の有効量は、約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.01%から約0.2%w/vの範囲である。特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は、約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.01%から約0.2%w/v、更により好ましくは約0.09%から約0.1%w/vの範囲である。別の特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はオキシメタゾリンであり、有効量は約0.01%から約0.2%w/v、より好ましくは0.01%から約0.1%w/v、更により好ましくは約0.03%から約0.05%w/vの範囲である。更に別の特定の一実施形態においては、本発明における使用が企図される血管収縮剤はフェニレフリンであり、有効量は約0.01%から約10%w/v、好ましくは約0.01%から約1%w/v、より好ましくは約0.01%から約0.5%w/v、更により好ましくは約0.05%から約0.2%w/vの範囲である。
【0096】
以下を含めて、ただしそれだけに限定されない種々の涙液代替物が当分野で公知であり、本発明の組成物に使用することができる:グリセロール、グリセロール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、プロピレングリコール、及びエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリビニルピロリドンなどのポリオール;(ヒプロメロースとしても知られる)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;デキストラン70などのデキストラン;ゼラチンなどの水溶性タンパク質;カルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、カルボマー974Pなどのカルボマー;並びにHP−グアルなどのゴム。多数のかかる涙液代替物が市販されており、かかる涙液代替物としては、Bion Tears(登録商標)、Celluvisc(登録商標)、Genteal(登録商標)、OccuCoat(登録商標)、Refresh(登録商標)、Teargen II(登録商標)、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturale 118(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)、TheraTears(登録商標)などのセルロースエステル、及びAkwa Tears(登録商標)、HypoTears(登録商標)、Moisture Eyes(登録商標)、Murine Lubricatin(登録商標)、Visine Tears(登録商標)などのポリビニルアルコールが挙げられるが、それだけに限定されない。涙液代替物は、市販Lacri−Lube(登録商標)軟膏剤などのパラフィンでも構成され得る。涙液代替物として使用される他の市販軟膏剤としては、Lubrifresh PM(登録商標)、Moisture Eyes PM(登録商標)及びRefresh PM(登録商標)が挙げられる。
【0097】
好ましい一実施形態においては、涙液代替物又はその1種類以上の成分は、ぼやけ、眼けんケーキング(lid caking)などを最小限にしながら、涙液膜を支持する効力を最適化する範囲の粘度を有する水溶液である。好ましくは、涙液代替物又はその1種類以上の成分の粘度は、30〜150センチポアズ(cpi)、好ましくは30〜130cpi、より好ましくは50〜120cpi、更により好ましくは60〜115cpiの範囲(又は該範囲内の任意の特定の値)である。特定の一実施形態においては、涙液代替物又はその1種類以上の成分の粘度は、約70〜90cpi、又は該範囲内の任意の特定の値(例えば、それだけに限定されないが、85cpi)である。
【0098】
本発明の眼科用製剤の粘度は、粘度計又はレオメータの使用などの当分野で公知の標準方法に従って測定することができる。温度、せん断速度などの因子は、粘度測定をもたらし得ることを当業者は認識するであろう。特定の一実施形態においては、本発明の眼科用製剤の粘度は、20℃+/−1℃で、Brookfield Cone and Plate Viscometer Model VDV−III Ultraを使用して、CP40若しくは等価なスピンドルを用いて、せん断速度約22.50+/−約10(1/sec)で、又はBrookfield Viscometer Model LVDV−Eを使用して、SC4−18若しくは等価なスピンドルを用いて、せん断速度約26+/−約10(1/sec))で測定される。
【0099】
一部の実施形態においては、涙液代替物又はその1種類以上の成分は、適切な塩(例えば、リン酸塩)を用いてpH5.0から9.0、好ましくはpH5.5から8.5、より好ましくはpH6から8(又は該範囲内の任意の特定の値)に緩衝される。一部の実施形態においては、涙液代替物は、グリセロール、プロピレングリセロール、グリシン、ホウ酸ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化亜鉛を含めて、ただしそれだけに限定されない1種類以上の成分を更に含む。
【0100】
本発明の好ましい一実施形態においては、涙液代替物はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。例えば、それだけに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む涙液代替物はGenTeal(登録商標)潤滑点眼剤である。GenTeal(登録商標)(CibaVision−Novartis)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース3mg/gを含む無菌潤滑点眼剤であり、過ホウ酸ナトリウムを用いて保存される。HPMC系涙液の別の例を記述する。
【0101】
別の好ましい一実施形態においては、涙液代替物は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。例えば、それだけに限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む涙液代替物は、Refresh(登録商標)Tearsである。Refresh(登録商標)Tearsは、使用すると自然の涙液成分に最終的に変化する、穏やかな非感作防腐剤である安定化オキシクロロ複合体(Purite(商標))を含む、通常の涙液に類似した潤滑製剤である。
【0102】
本発明の組成物における使用に適した例示的なNSAIDとしては、すべてのエステル及び薬学的に許容されるその塩を含めて、アンフェナク、プロピオン酸類(ナプロキセン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェンなど);ケトロラクトロメタミン(Acular(登録商標))(及びその関連部分を参照により本明細書に援用する、1984年6月12日に発行されたWaterbury、米国特許第4,454,151号に眼科学的に有効であると記載された他の化合物);スリンダク、インドメタシン、エトドラクなどの酢酸誘導体;ジクロフェナク(Voltaren(登録商標))(及びその関連部分を参照により本明細書に援用する、1990年10月2日に発行されたNagy、米国特許第4,960,799号に眼科学的に有効であると記載された他の化合物)、ブロムフェナク、スプロフェンなどのフェニル酢酸;ネパフェナクなどのアリール酢酸プロドラッグ;アスピリン、サルサラート、ジフルニサル、コリンマグネシウムトリサリチラート(CMT)などのサリチル(salicyclic)酸;アセトアミノフェンなどのパラ−アミノフェノール誘導体;ナブメトンなどのナフチルアルカノン;ピロキシカム、メロキシカムなどのエノール酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸などのフェマナート(femanate);トルメチンなどのピロール酢酸;及びフェニルブタゾンなどのピラゾロン;セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルアリコキシブ(luaricoxib)などのCOX−2選択的阻害剤が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0103】
例示的な抗ヒスタミン剤としては、フェニラミン、アンタゾリン、フマル酸エメダスチン、エバスチン、カレバスチン、レボカバスチン、セチリジン及び薬学的に活性なその塩が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0104】
例示的な肥満細胞安定剤としては、ネドクロミル、ロドキサミド、ペミロラスト、クロモリン、クロモリンナトリウム及び薬学的に活性なその塩が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0105】
複数の作用様式を有する例示的な薬物としては、アゼラスチン、エピナスチン、オロパタジン、フマル酸ケトチフェン、ビラスチン、ベポタスチン、ミゾラスチン及び薬学的に活性なその塩が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0106】
薬剤組成物の1種類以上の活性薬剤は、薬学的に許容される塩の形とすることができる。
【0107】
薬剤組成物は、米国特許第6,806,364号に記載の製剤を含めて、溶液、懸濁液、オイル、粘ちゅう性若しくは半粘ちゅう性ゲル、乳濁液、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、蝋膏、粉末、及び徐放性若しくは緩効性、並びに眼けんローション、又は別のタイプの固体若しくは半固体組成物として、局所投与用に処方することができる。組成物は、噴霧可能な形態又はネブライザー形態で局所投与することもできる。
【0108】
好ましくは、薬剤組成物は、1種類以上の薬学的に活性な薬剤(例えば、浸透圧活性剤若しくは血管収縮剤又はその組合せ)の制御放出又は徐放のためのゲル剤である。製剤は、in situでゲル化可能な水系製剤とすることができる。かかる製剤は、眼と、又は眼の外側で涙液と、接触直後にゲル化を促進するのに有効な濃度でゲル化剤を含む。適切なゲル化剤としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの四置換エチレンジアミンブロック共重合体(例えば、ポロキサミン)などの熱硬化性ポリマー、ポリカルボフィル、及びジェラン、カラゲナン(例えば、カッパ−カラゲナン及びイオタ−カラゲナン)、キトサン、アルギン酸ゴムなどの多糖が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0109】
本明細書では「in situでゲル化可能な」という句は、眼と、又は眼の外側で涙液と、接触直後にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、眼に投与すると粘度又はゲル剛性がかなり増加する半流体ゲル、チキソトロピーゲルなどのより粘ちゅう性の液体も包含する。かかる製剤は、投与後に粘度又はゲル剛性が更に増加することが好ましいが、これは、本明細書に明示する有効滞留時間をもたらす導涙によって、初期ゲルが消失(dissipation)に対して十分に抵抗性である場合には、絶対に必要というわけではない。
【0110】
高粘ちゅう性ゲルの徐放性眼科用製剤は、米国特許第4,271,143号及び同4,407,792号に記載されている。さらに、英国特許出願公開第2007091(A)号は、カルボキシビニルポリマー、水溶性塩基性物質及び眼科用薬物の水溶液を含む、ゲルの形の眼科用組成物を記載している。あるいは、米国特許第4,615,697号は、生体接着剤及び治療薬に基づく制御放出組成物及び使用方法を開示している。
【0111】
ある実施形態においては、本発明による薬剤組成物は、局所投与用高浸透液として処方することができる。水溶液は、処方が容易であり、1、2滴の溶液を患部の眼に滴下することによって患者によって容易に投与される。
【0112】
水、水とC1からC7アルカノールなど、ただしそれだけに限定されない水混和性溶媒との混合物、0.5から5%無毒水溶性ポリマーを含む植物油又は鉱油、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天、アラビアゴムなどの天然物、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン誘導体、さらにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは中性Carbopolなどの架橋ポリアクリル酸、これらのポリマーの混合物などの他の合成生成物も含めて、種々の担体のいずれでも本発明の製剤に使用することができる。担体濃度は、典型的には、活性成分濃度の1から100,000倍である。
【0113】
製剤に含めることができる追加の成分としては、張性増強剤、防腐剤、可溶化剤、無毒賦形剤、粘滑剤、金属イオン封鎖剤、pH調節剤、共溶媒及び粘度増加剤が挙げられる。
【0114】
pH調節のために、好ましくは生理学的pHに調節するために、緩衝剤は特に有用であり得る。本溶液のpHは、4.0から8.0、より好ましくは約4.0から6.0、より好ましくは約6.5から7.8の範囲内で維持されるべきである。ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、TRIS、(NaHPO、NaHPO及びKHPOの組合せを含めた)種々の混合リン酸緩衝剤、その混合物など、ただしそれだけに限定されない適切な緩衝剤を添加することができる。一般に、緩衝剤は、約0.05から2.5重量パーセント、好ましくは0.1から1.5パーセントの量で使用される。
【0115】
張性は、典型的には張性増強剤によって、必要に応じて調節される。かかる薬剤は、例えば、イオン及び/又は非イオンタイプとすることができる。イオン性張性増強剤の例は、例えば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaI、NaBr、又はNaClなどのアルカリ金属若しくは土類金属ハロゲン化物、NaSO4又はホウ酸であるが、それだけに限定されない。非イオン性張性増強剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール又はデキストロースである。これらの薬剤は、ある実施形態においては活性薬剤としても役立ち得る。ある実施形態においては、これらの薬剤は、重量オスモル濃度の調節にも役立ち得る。
【0116】
浸透圧活性であるためには、溶液の重量オスモル濃度は、その周囲環境の重量オスモル濃度よりも高くなければならない。ヒト涙液膜の重量オスモル濃度は、平均的なヒトの眼における約250〜350mOsm/Kgから(700mOsm/Kgを超える最大値を有する)ドライアイ疾患を含めて、ただしそれだけに限定されない眼疾患の個体における平均約450mOsm/Kgまで及ぶ。したがって、治療効果を発揮し、浮腫を抑制するために、眼科用液剤の重量オスモル濃度は、最小値がヒトの眼の環境の重量オスモル濃度(すなわち、約250から450mOsm/Kg)に限定されなければならない。しかし、重量オスモル濃度の増加に伴って、点眼後の不快感が増大する。高濃度のイオンは、神経終末を活性化し、ひいては眼球の刺すような痛みを生じ得る。快適さの試験を通して、許容される、すなわち耐えられる、快適プロファイルを有するために、眼科用液剤は2000mOsm/Kg未満、より好ましくは1050mOsm/Kg未満からの重量オスモル濃度を有するべきであることが発見された。したがって、眼けん腫脹の治療用に処方された滴薬の目標重量オスモル濃度範囲は、好ましくは、200及び2000mOsm/Kg以内、好ましくは250mOsm/Kg〜1500mOsm/Kg、より好ましくは260mOsm/Kg〜1250mOsm/Kg、より好ましくは265mOsm/Kgから1200mOsm/Kg、より好ましくは400mOsm/Kgから1150mOsm/Kg、より好ましくは500mOsm/Kgから1100mOsm/Kgである。
【0117】
ある実施形態においては、局所製剤はさらに防腐剤を含む。防腐剤は、典型的には、塩化ベンザルコニウム(N−ベンジル−N−(C−C18アルキル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、塩化ベンゾキソニウムなどの第四級アンモニウム化合物から選択することができる。第四級アンモニウム塩とは異なる防腐剤の例は、チオサリチル酸のアルキル−水銀塩、例えば、チオメルサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀若しくはホウ酸フェニル水銀、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、パラベン、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベン、アルコール、例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエタノール、グアニジン誘導体、例えば、クロロヘキシジン若しくはポリヘキサメチレンビグアナイド、過ホウ酸ナトリウム、Germal(登録商標)II、又はソルビン酸である。好ましい防腐剤は、第四級アンモニウム化合物、特に塩化ベンザルコニウム又はPolyquad(米国特許第4,407,791号参照)などのその誘導体、アルキル−水銀塩及びパラベンである。必要に応じて、十分な量の防腐剤を眼科用組成物に添加して、細菌及び真菌に起因する使用中の二次汚染に対する保護を確実にする。
【0118】
別の一実施形態においては、本発明の局所製剤は防腐剤を含まない。かかる製剤は、コンタクトレンズを装着した患者、又は幾つかの局所点眼液を使用する患者、及び/又は防腐剤への曝露を制限することがより望ましいかもしれないすでに損なわれた眼球表面(例えば、ドライアイ)を有する患者に有用であろう。
【0119】
局所製剤は、特に活性又は不活性成分が懸濁液又は乳濁液を形成する傾向にある場合、さらに可溶化剤の存在を必要とし得る。上記組成物に適切な可溶化剤は、例えば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン(例えば、アルファ−、ベータ−若しくはガンマ−シクロデキストリン、例えば、アルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化若しくはアルキルオキシカルボニル−アルキル化誘導体、又はモノ−若しくはジグリコシル−アルファ−、ベータ−若しくはガンマ−シクロデキストリン、モノ−若しくはジマルトシル−アルファ−、ベータ−若しくはガンマ−シクロデキストリン、又はパノシル−シクロデキストリン)、ポリソルベート20、ポリソルベート80又はこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。特に好ましい可溶化剤の具体例は、ヒマシ油とエチレンオキシドの反応生成物、例えば、市販品Cremophor EL(登録商標)又はCremophor RH40(登録商標)である。ヒマシ油とエチレンオキシドの反応生成物は、眼によって極めて良好に許容される、特に良好な可溶化剤であることが判明した。別の好ましい可溶化剤は、チロキサポール及びシクロデキストリンから選択される。使用濃度は、特に活性成分濃度に依存する。添加量は、典型的には、活性成分を可溶化するのに十分である。例えば、可溶化剤濃度は、活性成分濃度の0.1から5000倍である。
【0120】
製剤は、更なる無毒の賦形剤、例えば、乳化剤、湿潤剤又は充填剤、例えば、200、300、400及び600と称するポリエチレングリコール、又は1000、1500、4000、6000及び10000と称するCarbowaxを含むことができる。添加される賦形剤の量及びタイプは、個々の要件に従い、一般に約0.0001から約90重量%の範囲である。
【0121】
別の化合物を本発明の製剤に添加して、担体粘度を増加させることもできる。粘度増加剤の例としては、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマーなどの多糖、ビニルポリマー、並びにアクリル酸ポリマーが挙げられるが、それだけに限定されない
4.使用方法
本発明は、上記の新規製剤の使用を含む、対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法を特徴とする。例えば、眼けん腫脹を治療する方法は、薬学的に許容される担体中に有効量の浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬を含む薬剤組成物を対象の眼球表面に投与することを含む。別の一例として、眼けん腫脹を治療する方法は、薬学的に許容される担体中に有効量の浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬を含む薬剤組成物を対象の外側及び/又は内側の眼けん表面又は眼球表面に投与することを含み得る。特定の一実施形態においては、眼けん腫脹を治療する方法は、有効量の浸透圧活性剤と血管収縮剤の組合せを含む薬剤組成物を対象の外側及び/又は内側の眼けん表面又は眼球表面に投与することを含み得る。本発明の方法における使用に適したかかる製剤の種々の実施形態は、上に記述されている。
【0122】
種々の実施形態においては、組成物は、米国特許第6,806,364号に記載の製剤を含めて、乳濁液若しくは懸濁液、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、蝋膏又は粉末、及び徐放性若しくは緩効性、並びに眼けんローション、又は別のタイプの固体又は半固体組成物の形で投与することができる。組成物を洗眼液又はリンスとして使用して眼を潅注することもできる。組成物は、噴霧可能な形態で投与することもできる。
【0123】
製剤中の浸透圧活性剤及び/又は血管収縮剤及び/又は収れん薬の有効量は、薬物の吸収、失活及び排せつ速度、並びに製剤からの化合物の送達速度に依存する。浸透圧活性剤を含むある実施形態においては、有効量は、製剤を高浸透液にするのに必要な薬剤の濃度にも依存する。
【0124】
本発明は、眼けん腫脹を治療するための眼科用組成物の目標容量オスモル濃度及び/又は重量オスモル濃度範囲を提供する。当業者は、本発明の組成物の濃度などの組成物濃度が極めて低い場合、容量オスモル濃度と重量オスモル濃度という用語は、本発明の組成物に適用されるように、本質的に等価であり、本明細書では区別なく使用されることを容易に認識するであろう。快適さの試験を通して、許容される、すなわち耐えられる、快適プロファイルを有するために、眼科用液剤は2000mOsm/Kg未満、より好ましくは1050mOsm/Kg未満からの容量オスモル濃度及び/又は重量オスモル濃度を有するべきであることが発見された。したがって、眼けん腫脹の治療用に処方された滴薬の目標重量オスモル濃度範囲は、好ましくは、200及び2000mOsm/Kg以内、好ましくは250mOsm/Kg〜1500mOsm/Kg、より好ましくは260mOsm/Kg〜1250mOsm/Kg、より好ましくは265mOsm/Kgから1200mOsm/Kg、より好ましくは400mOsm/Kgから1150mOsm/Kg、より好ましくは500mOsm/Kgから1100mOsm/Kgである。
【0125】
投与量は、軽減すべき症状の重症度によっても変わり得ることに留意されたい。さらに、任意の特定の対象に対して、具体的投与計画は、個々の要求及び組成物の投与者又は投与管理者の専門的判断に従って経時的に調節すべきであることを理解されたい。典型的には、投薬は、当業者に公知の技術を使用して決定される。
【0126】
本発明の任意の化合物の投与量は、患者の症候、年齢及び他の身体特性、治療又は防止すべき障害の性質及び重症度、所望の快適さ、投与経路、並びに補助剤の形態に応じて変わる。主題の製剤のいずれもが単一用量でも分割用量でも投与することができる。本発明の製剤の投与量は、当業者に公知の技術によって、又は本明細書の教示に従って、容易に決定することができる。
【0127】
有効量又は量及び製剤の投与タイミングに対して考えられるあらゆる効果を、本発明の任意の特定の製剤について確認する必要がある場合もある。これは、本明細書に記載の通常の実験によって実施することができる。任意の製剤及び治療又は防止方法の有効性は、本明細書に記載のように、製剤を投与し、薬剤の効力及び患者の快適さに関連した1個以上の指数を測定して投与の効果を評価し、これらの指数の治療後の値を治療前の同じ指数の値と比較することによって、又はこれらの指数の治療後の値を異なる製剤を使用した同じ指数の値と比較することによって、評価することができる。
【0128】
所与の患者において最も有効な治療を与える任意の特定の製剤の正確な投与時間及び量は、特定の化合物の活性、薬物動態学及び生物学的利用能、(年齢、性別、疾患のタイプ及び段階、全般的体調、薬物の所与の投与量及びタイプに対する応答性を含めた)患者の生理的条件、投与経路などに依存する。本明細書に示す指針を使用して、治療を最適化する、例えば、投与の最適時間及び/又は量を決定することができる。これは、対象をモニターすること並びに投与量及び/又はタイミングを調節することからなる通常の実験しか必要としない。
【0129】
本発明の組成物に処方された幾つかの薬剤の併用は、異なる成分の効果の開始及び持続時間が賞賛(complimentary)であり得るので、任意の個々の成分の必要投与量を削減することができる。かかる併用療法においては、異なる薬剤を一緒に又は別々に、同時に又は1日の異なる時間に送達することができる。
【0130】
眼けん腫脹の治療及び防止における本発明の製剤及び組成物の効力は、定規による測定、主観的等級(例えば、それだけに限定されないが、腫脹を軽度、中度、重度、又は0、1、2若しくは3、又は別の適切な等級として判定する主観的臨床等級)、及び走査技術を含めて、ただしそれだけに限定されない種々の方法を使用して、眼けん腫脹の変化を測定することによって評価することができる。好ましい一実施形態においては、眼けん腫脹の変化を3D走査技術を使用して評価する。3D走査技術を使用することによって、以前には正確に測定されなかった眼けん腫脹の日々の変動を定量化して、本発明の種々の製剤を使用した眼けん腫脹の減少を評価することができる。
【0131】
5.包装
本発明の製剤は、単回投与製品としても多回投与製品としても包装することができる。単回投与製品は、パッケージ開封前に無菌であり、パッケージ中の組成物のすべては、患者の片眼又は両眼に単回投与で消費されるように意図される。パッケージ開封後に組成物の無菌性を維持する抗菌防腐剤の使用は、一般に不要である。
【0132】
多回投与製品もパッケージ開封前は無菌である。しかし、組成物の容器は、容器中の組成物のすべてが消費される前に何回も開封され得るので、多回投与製品は、容器を繰り返し開封及び取扱いした結果として組成物が確実に微生物で汚染されないようにするために十分な抗菌活性を持たなければならない。この目的のために必要な抗菌活性レベルは、当業者に周知であり、米国薬局方(「USP」)などの公式刊行物、米国食品医薬品局による別の刊行物、及び他の国々の対応する刊行物に明記されている。微生物汚染に対する眼科用医薬品の保存仕様書の詳細な説明、及び特定の製剤の防腐効力を評価する手順は、これらの刊行物に記載されている。米国では、防腐効力規格は一般に「USP PET」要件と称される。(頭字語「PET(preservative efficacy testing)」は、「防腐効力試験」を表す。)
単回投与包装システムを使用することによって、組成物中の抗菌防腐剤が不要になる。これは、医学的観点からはかなりの利点である。というのは、眼科用組成物の保存に利用される従来の抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)は、特にドライアイ症状又は既往の眼球炎症に罹った患者においては、眼球炎症を引き起こし得るからである。しかし、「成形、充填及び密封」として知られるプロセスによって調製される少量プラスチックバイアルなどの現在利用可能な単回投与包装システムは、製造者及び消費者にとって幾つかの欠点を有する。単回投与包装システムの主要な欠点は、はるかに多量の包装材料が必要であり、消費者にとって不便であることである。より多量の包装材料は、無駄であり、費用がかかる。さらに、消費者が、眼に1、2滴投与した後に単回投与容器を廃棄しないリスクがある。消費者は、廃棄するように指示されているが、そうせずに開封容器とその中に残った組成物を後で使用するために取っておく。単回投与製品のこの不適切な使用は、単回投与製品の微生物汚染リスク、及び汚染された組成物を眼に投与した場合の付随する眼感染症リスクを生じる。
【0133】
本発明の製剤は、好ましくは「すぐ使用できる」水溶液として処方されるが、別の製剤も本発明の範囲内で企図される。したがって、例えば、眼科用液剤の活性成分、界面活性剤、塩、キレート化剤若しくは他の成分、又はその混合物を、凍結乾燥させることができ、又は溶解(例えば、脱イオン又は蒸留)水の用意ができた乾燥粉末又は錠剤として提供することができる。溶液の自己保存性のために、滅菌水は不要である。
【0134】
6.キット
更に別の一実施形態においては、本発明は、本明細書に記載の製剤を包装及び/又は貯蔵及び/又は使用するためのキット、並びに本明細書に記載の方法を実施するためのキットを提供する。したがって、例えば、キットは、本発明の1個以上の眼科用調製物、錠剤又はカプセル剤を含む1個以上の容器を含むことができる。キットは、輸送、使用及び貯蔵の1つ以上の態様を容易にするように設計することができる。
【0135】
キットは、場合によっては、その中に用意した製剤の使用手段を示した手引(すなわち、プロトコル)を含む説明資料を含むことができる。説明資料は、典型的には、書面又は印刷資料を含むが、それだけに限定されない。かかる説明を保存し、それをエンドユーザーに伝えることができるあらゆる媒体が本発明によって企図される。かかる媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROMなど)が挙げられるが、それだけに限定されない。かかる媒体は、かかる説明資料を提供する内部サイト(interne sites)へのアドレスを含むことができる。
【実施例】
【0136】
概説した本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解することができる。以下の実施例は、本発明のある態様及び実施形態の単なる説明のためのものであって、本発明を何ら限定することを意図したものではない。
【0137】
(実施例1)
朝の眼けん浮腫の治療としての0.1%ナファゾリン眼科用液剤の使用
この試験では、眼けん浮腫の治療に対する0.1%ナファゾリン眼科用液剤の効力を評価した。この試験に参加した11名の対象の眼けん体積を第1日の午後に記録し、翌朝(第2日)診療所に到着した直後にも記録した。全対象は、来院2回目の朝のスキャンにおいて眼けん腫脹の増加を示した。3D走査技術を用いて測定した朝の眼けん腫脹の自然進行を図12に示す。増加は、14mmから659mmの範囲であった。次いで、対象の右眼に0.1%ナファゾリン(血管収縮剤)を投与し、処置後5、10、15、30及び120分に3Dスキャナーを用いて眼けん体積を評価した。図3に示したように、2滴の0.1%ナファゾリン溶液によって、大部分の対象において眼けん腫脹が減少した。11名の対象のうち9名は、30分の時点まで、処置眼(0.1%ナファゾリン)が無処置眼より大きな体積減少を示した(図3B〜E、G〜K)。120分の時点まで、11名の対象のうち7名は、右眼が左眼より大きな体積減少を示した(図3B、C、E、G〜I、K)。全患者データの要約を図3Lに示す。
【0138】
全体として、これらの結果は、罹患した眼、又は血管収縮剤が典型的には使用される進行中の血管拡張を有する眼ではなく、朝の眼けん腫脹を有する患者において眼けん腫脹を減少させる能力に対する0.1%ナファゾリンの効力を実証した。
【0139】
(実施例2)
朝の眼けん浮腫の治療のためのコロイド状浸透圧剤、5%NaCl眼科用液剤の使用
上記と類似した設計を有する予備試験において、5%NaCl眼科用液剤を眼けん浮腫の治療候補として評価した。2滴の薬物を局所投与すると、数名の患者において眼けん腫脹が減少した(図4)。処置後5、10、15、20、30及び120分に3Dスキャナーを用いて眼けん腫脹を評価した。3名の患者は、眼けん腫脹が点眼後15分間減少した。1名の対象においては、この減少が顕著であり、120分の評価時点まで存在した。残りの3名の患者においては、治療は有効でなかった。
【0140】
全体として、これらの結果は、ある患者における眼けん腫脹を減少させる能力に対する5%NaClのある程度の効力を実証した。ベースラインからの平均変化の評価(図4G)は、NaCl処理が負の対照よりも数値的に優れたが、この小規模試験ではその差は統計的に有意でなかったことを示唆している。
【0141】
さらに、5%NaClと組み合わせた0.1%ナファゾリンは、個々の成分0.1%ナファゾリン単独及び5%NaCl単独に比べて、患者における眼けん腫脹の減少に優れた効力を示す(図5〜7)。
【0142】
(実施例3)
朝の眼けん浮腫の治療のための0.05%ナファゾリン/5%NaCl軟膏剤の使用
5%NaClに溶解した0.05%塩酸ナファゾリン眼軟膏の朝の眼けん腫脹の防止における効力を4名の患者において評価した。午後4:30から5:30に各患者及び各眼を3次元スキャンした。各患者に依頼して、0.05%塩酸ナファゾリンを含む5%NaCl眼軟膏を含むバイアルを家に持ち帰らせ、軟膏剤を右眼の結膜嚢に睡眠直前に塗布させた。翌朝午前7:30から8:00に、患者の各眼を再度スキャンした。上下眼けん領域の平均体積を各患者の午後と朝の両方のスキャンについて計算した。各平均の差も計算した。その結果、処置眼は、無処置眼の約半分の腫脹であった(図8)。
【0143】
この試験で使用した最終処方は、ラノリン中の5%塩化ナトリウム、鉱油、精製水、白色ワセリン、及び0.05%塩酸ナファゾリンであった。
【0144】
(実施例4)
朝の眼けん浮腫の治療のための塩化ナトリウム(2.5%)/ナファゾリン(0.1%)及び塩化ナトリウム(5%)/ナファゾリン(0.1%)の使用
朝の眼けん腫脹の治療及び/又は防止における2.5%塩化ナトリウム溶液と組み合わせた0.1%ナファゾリンの効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0145】
2.5%塩化ナトリウムを水を用いて処方した。次いで、ナファゾリンを2.5%NaCl溶液に溶解させて、0.1%濃度のナファゾリンを処方した。
【0146】
合計6名の対象(25から29歳の男)を評価した。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0147】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を0から10の快適等級に基づいて主観的に等級付けさせた(0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。ベースライン及び治療後20分においてデジタル写真も撮影した。
【0148】
点眼直後の平均快適レベルは3.3であった。朝の平均眼けん体積増加は、右眼及び左眼それぞれ243及び309mmであった。治療後20分の平均減少は、処置眼及び無処置眼それぞれ−100及び−14mmであった。
【0149】
これらの結果は、0.1%ナファゾリンと組み合わせた2.5%NaClが朝の眼けん腫脹を確かに減少させたことを示唆している(図9)。0.1%ナファゾリンと組み合わせた5%NaClに比べて、2.5%NaClは効果が小さかった(約半分)(図6及び9参照)。これは、朝の眼けん腫脹の治療におけるNaClの効力が濃度に直接関係することを示唆している。
【0150】
快適レベルの点で、2.5%NaClは5%NaClよりも快適であった。これは、改善点である。この試験の平均快適レベル(3.3)は、5%NaCl/0.1%ナファゾリン併用(5.8)よりも快適であった。
【0151】
(実施例5)
朝の眼けん浮腫の治療のための50%スクロース及びナファゾリン(0.1%)の使用
朝の眼けん腫脹の治療及び/又は防止における50%スクロース溶液と組み合わせたナファゾリン(0.1%)の効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0152】
スクロースを水を用いて処方して、50%濃度にした。次いで、ナファゾリンをスクロース溶液に溶解させて、ナファゾリン(0.1%)濃度を処方した。
【0153】
合計6名の対象を評価した。方法は上記実験と同様であった。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0154】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を0から10の快適等級に基づいて主観的に等級付けさせた(0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。ベースライン及び治療後20分においてデジタル写真も撮影した。
【0155】
これらの結果は、50%スクロース/0.1%ナファゾリン製剤が朝の眼けん腫脹を確かに減少させたことを示唆している(図10)。さらに、0.1%ナファゾリンと組み合わせた50%スクロースは、個々の成分50%スクロース単独及び0.1%ナファゾリン単独に比べて、患者における眼けん腫脹の減少に優れた効力を示す(図11A及び11B)。試験グループの平均快適さは5.2であった。
【0156】
(実施例6)
朝の眼けん浮腫の治療のための局所0.25%フェニレフリン軟膏剤の使用
朝の眼けん腫脹を治療及び/又は防止する局所0.25%フェニレフリン軟膏剤の効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0157】
合計6名の対象を評価した。方法は上記実験と同様であった。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0158】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を等級付けさせた。ベースライン及び治療後20分においてデジタル写真も撮影した。
【0159】
これらの結果は、下眼けんに局所的に塗布された0.25%フェニレフリン軟膏剤が朝の眼けん腫脹を確かに減少させたことを示唆している(図13)。
【0160】
(実施例7)
朝の眼けん浮腫の治療のための12.5%マンニトールと0.1%ナファゾリン及び5%NaCl溶液の使用
朝の眼けん腫脹を治療及び/又は防止するための5%NaCl溶液中の12.5%マンニトールと0.1%ナファゾリンの効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0161】
合計6名の対象を評価した。方法は上記実験と同様であった。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0162】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を等級付けさせた。ベースライン及び治療後20分においてデジタル写真も撮影した。
【0163】
これらの結果は、マンニトール/ナファゾリン/NaCl併用が朝の眼けん腫脹を確かに減少させたことを示唆している(図l4)。
【0164】
(実施例8)
朝の眼けん浮腫の治療のための12.5%マンニトール溶液の使用
朝の眼けん腫脹を治療及び/又は防止するための12.5%マンニトール溶液の効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0165】
合計6名の対象を評価した。方法は上記実験と同様であった。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0166】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を等級付けさせた。ベースライン及び治療後20分においてデジタル写真も撮影した。
【0167】
これらの結果は、12.5%マンニトール溶液が朝の眼けん腫脹を確かに減少させたことを示唆している(図15)。
【0168】
図16A及び16Bは、実施例1〜8に記載の試験結果を要約したものであり、朝の眼けん腫脹の治療に単独で使用される個々の薬剤に比べて実施例1〜8に記載の混合製剤の優れた効力を示している。これらの結果によれば、上記混合製剤は、眼けん腫脹の減少に各々有効であり、ほとんどの場合、混合製剤は、個々の薬剤単独に比べて相乗効果をもたらした。
【0169】
(実施例9)
朝の眼けん浮腫の治療のための50%スクロース溶液の使用
朝の眼けん腫脹を治療及び/又は防止するためのスクロース(50%)の効力を、3D走査技術によって測定して評価した。
【0170】
合計6名の対象を評価した。方法は上記実験と同様であった。試験開始時に、対象1人及び眼1個ごとに5本のベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて実施した。翌日、次いで、対象に依頼して、来院1回目と同一の各眼5回のスキャンをとった。
【0171】
対象は、一方の眼に1分間隔で2滴(各40μl)の併用療法を受け、他方の眼は無処置であった。2回目の点眼から20分後に、来院1回目と同じく各眼を5回スキャンした。やはり対象に依頼して、治療後の眼けん腫脹を0から10の快適等級に基づいて主観的に等級付けさせた(0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。これらの結果は、50%スクロース溶液が朝の眼けん腫脹を最小限に抑えたことを示唆している(図17)。試験グループの平均快適さは4.5であった。
【0172】
(実施例10)
重量オスモル濃度及び快適さ
被験物質の重量オスモル濃度と快適さの相関を評価して、関係があればそれを求めた。図18Aに示す表は、対応する重量オスモル濃度値、及び各被験物質の点眼直後の平均快適レベルを示す(0から10の主観的等級に基づき、0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。
【0173】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、これらの結果は、重量オスモル濃度と快適さの直接関係を示唆し、重量オスモル濃度が高いほど不快感は大きくなる(図18B)。このデータに基づいて、大きな不快感を引き起こさずに朝の眼けん腫脹を減少させる被験物質の最大の理想的重量オスモル濃度は、2000mOsm/Kg未満からの範囲であり、好ましくは200mOsm/Kgから2000mOsm/Kg、より好ましくは250mOsm/Kgから1500mOsm/Kg、より好ましくは260mOsm/Kgから1250mOsm/Kg、更により好ましくは265mOsm/Kgから1200mOsm/Kgであると仮定される。
【0174】
図19は、ナファゾリン(0.1%及び0.09%)と3%NaCl、オキシメタゾリン(0.03%、0.04%、0.05%)とマンニトール(12.5%、6%及び3%)、0.05%オキシメタゾリン、6%マンニトール及び3%NaCl、0.05%オキシメタゾリンと3%NaCl、0.05%オキシメタゾリンと7.5%グリセロールの各組合せ、及び0.05%オキシメタゾリン単独を含む、更に別の眼科用製剤の快適さのデータである。前述の0〜10の主観的等級に基づいて、快適レベルを各被験物質の点眼直後に測定した。これらの製剤の各々の重量オスモル濃度は、許容される快適プロファイルの目標範囲内であると予測される(すなわち、500mOsm/Kgから1100mOsm/Kg)。
【0175】
(実施例11)
朝の眼けん浮腫の治療のためのナファゾリン(0.09%)/塩化ナトリウム(3%)の使用
ホテル環境及び家で6日間毎日覚醒後の朝の眼けん腫脹のパターンを評価し、単一用量の0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用液剤の朝の眼けん腫脹の減少における効力をプラセボと比較して評価するように、単一施設、二重盲検無作為化、反対側(contralateral)、プラセボ対照試験を設計した。
【0176】
0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用液剤を表1に示すように調製した。
【0177】
【表1】

0.5N水酸化ナトリウム又は0.5N塩酸を使用してpHを6.0に調節し、精製水(USP)を用いて製剤を1mLにした。
【0178】
平均年齢50歳の男性対象合計20名を以下のように評価した。ホテル環境で夕方(来院1回目、夕方(pm))及び翌朝覚醒後(来院2回目、ベースライン)、次いで10分間隔で最高1時間、領域的/全体的眼けん腫脹等級によって、スクリーニングを行い、ベースライン眼けん腫脹を評価した。眼けん腫脹の主観的評価の場合、眼けん及び周囲域を、上及び下眼けん(それぞれ領域1及び2)並びに上及び下眼けんのすぐ上及び下の領域(それぞれ領域3及び4)を含む4つの異なる眼球領域に分割した。対象に依頼して、各領域の眼けん腫脹を0〜3の等級で主観的にスコア化させた。対象に依頼して、眼けん腫脹を全体(すなわち総体)に基づいても主観的にスコア化させた。ゼロ(「0」)のスコアを使用して、対象が評価領域又は全体的に腫脹を検出しなかったことを示し、「3」のスコアを使用して、対象が評価領域又は全体的に明確な腫脹を検出したことを示した。来院1及び2回目におけるベースライン測定中の4つの眼けん領域各々の平均スコアを図20に示す。図20に示したように、最大量の眼けん腫脹を領域3及び全体的に検出した。
【0179】
来院1及び2回目におけるベースライン評価後、対象に日誌を持たせて6日間帰宅させ、領域的/全体的眼けん腫脹等級によって毎日朝及び夕方に眼けん腫脹を主観的に等級付けし、記録するように依頼した。6日間の時間帯ごとの平均の全体的スコアを図21に示す。図21に示したように、対象は、全6日間を通して前日の夕方に比べて翌朝に眼けん腫脹の増加を一貫して経験した。
【0180】
6日間の最後に、対象は試験の処置群のためにホテルに戻った。夕方(来院3回目)及び朝(来院4回目)に、主観的眼けん腫脹評価をホテル環境で前述の領域的/全体的眼けん腫脹等級によって再度実施した。来院4回目の朝の眼けん腫脹評価直後に、対象に1滴の0.09%ナファゾリン/3%NaClを一方の眼に、Tears Naturale II人工涙液(プラセボ)を他方の眼に投与した。領域的/全体的眼けん腫脹等級による主観的処置後眼けん腫脹評価、及びデジタル写真を用いた眼けん腫脹改善(すなわち、減少)の客観的評価を10分間隔で1時間実施した。客観的評価では、マスクされた採点者に依頼して、デジタル写真を評価し、眼けん腫脹がベースライン測定よりも良好、劣る又は同じかどうか評価した。主観的処置後眼けん腫脹評価結果を図22〜26に示す。図22〜26に示したように、0.09%ナファゾリン/NaClは、評価した4つの指定眼けん領域の各々及び全体において、朝の眼けん腫脹の減少にプラセボよりも有効であった。
【0181】
治療の平均快適さも評価した。0.09%ナファゾリン/3%NaCl点眼後、対象に依頼して、点眼の快適さを0〜10の主観的等級に基づいて等級付けさせた(0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。結果を図27に示す。図27に示したように、処置群は、より快適であったプラセボ(平均快適スコア1.5)に比べて平均快適スコア4.0であった。0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用液剤の重量オスモル濃度は、許容される快適プロファイルの目標範囲内であると予測される(すなわち、500mOsm/Kgから1100mOsm/Kg)。わずか3名の対象しか、能動的処置眼において0.09%ナファゾリン/3%NaCl点眼後に一過性の刺すような痛みを報告しなかった。
【0182】
要約すると、0.09%ナファゾリン/3%NaCl処置眼は、点眼40分後にすべての領域にわたってより低い眼けん腫脹スコアを示した。全対象が、処置眼についてプラセボに比べて同じ又は良好な全体スコアを報告した(p値=0.001)。全体的処置効果は0.4単位の減少であった。1回の0.09%ナファゾリン/3%NaClは安全で耐容性が良好であり、平均快適スコア4.0であった。日誌のデータは、一貫したパターンの朝及び夕方の眼けん腫脹をベースラインホテル環境と治療環境の間で6日間示した。
【0183】
(実施例12)
朝の眼けん浮腫の治療のためのナファゾリン(0.09%)/塩化ナトリウム(3%)、0.05%オキシメタゾリン/3%NaCl、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール、及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールの比較
単一用量の0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用液剤、0.05%オキシメタゾリン/3%NaCl眼科用液剤、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール眼科用液剤及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール眼科用液剤の朝の眼けん腫脹の減少における効力を評価し、比較するように単一施設反対側試験を設計した。
【0184】
眼科用液剤を表2〜5に示したように調製した。
【0185】
【表2】

【0186】
【表3】

【0187】
【表4】

【0188】
【表5】

上記製剤の各々について、0.5N水酸化ナトリウム又は0.5N塩酸を用いてpHを6.0に調節し、精製水(USP)を用いて各製剤を1mLにした。
【0189】
実施例11に記載の試験と同様に、試験をホテル環境で実施した。対象を夕方にスクリーニングし、眼けん腫脹を主観的に評価した。朝のベースライン眼けん腫脹を、実施例11に記載の全体的眼けん腫脹等級によって覚醒直後に評価した。朝のベースライン測定を評価した直後に、薬物を各対象に以下のように点眼した。11名の対象の一方の眼に1滴の0.09%ナファゾリン/NaCl眼科用液剤、他方の眼に1滴の0.05%オキシメタゾリン/NaCl液剤を投与した。別の11名の対象の一方の眼に1滴の0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール、他方の眼に1滴の0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールを投与した。処置後最初の1時間、眼けん腫脹を全体的眼けん腫脹等級によって20分間隔で評価し、次いで処置後次の1時間、30分間隔で評価し、続いて処置後6時間まで1時間間隔で評価した。
【0190】
結果を図28〜31に示す。図28に示したように、0.09%ナファゾリン/3%NaClと0.05%オキシメタゾリン/3%NaClのどちらも、処置後6時間にわたって朝の眼けん腫脹の減少に有効であった。0.05%オキシメタゾリン/3%NaClの方が、全体的眼けん腫脹の減少がわずかに良好な減少を示した。しかしながら、0.09%ナファゾリン/3%NaClか0.05%オキシメタゾリン/3%NaClを選択するように尋ねると、両方の処置を受けた対象の66.6%が、0.09%ナファゾリン/3%NaCl眼科用液剤を好むとした。
【0191】
図29に示したように、0.09%ナファゾリン/75%グリセロールと0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロールのどちらも、処置後6時間にわたって朝の眼けん腫脹の減少に有効であり、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロールの方がわずかに良好な減少を示した。2つの眼科用液剤のどちらかを選択するように尋ねると、対象の66.6%が、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール液剤を好むとした。
【0192】
図30は、朝の眼けん腫脹の減少における、試験した全4種類の眼科用液剤の効力の比較である(比較のために、異なる処置群を同じベースライン(すなわち、点眼前の)値に対して正規化した。図30に示したように、7.5%グリセロール系液剤(すなわち、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール)は、3%NaCl系液剤(すなわち、0.09%ナファゾリン/3%NaCl及び0.05%オキシメタゾリン/3%NaCl)よりも有効であった。これは、驚くべき予想外のことであった。当業者は、グリセロールより高い張性の薬剤であるNaClの方が朝の眼けん腫脹の減少に有効であると予想するであろう。しかし、結果は、グリセロール系液剤の方が有効であった。
【0193】
やはり対象に依頼して、点眼の快適さを0〜10の主観的等級に基づいて等級付けさせた(0は最も快適であることを示し、10は最も不快であることを示す。)。結果を図31に示す。図31に示したように、7.5%グリセロール系眼科用液剤は、3%NaCl系眼科用液剤よりも快適であることが判明したが、7.5%グリセロール系及び3%NaCl系液剤の各々は、許容される快適プロファイルの目標重量オスモル濃度範囲内であった。5名の対象は、NaCl系液剤の点眼後に刺すような痛み/灼熱感を報告した。
【0194】
要約すると、7.5%グリセロール系眼科用液剤(すなわち、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール及び0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール)の方が朝の眼けん腫脹の減少に有効であり、ベースライン眼けん腫脹測定値からより大きく、より速く減少した。さらに、グリセロール系液剤の方が快適であることが判明し、有害作用は報告されなかった。試験製剤のうち、0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロールの方が、全体的な朝の眼けん腫脹の減少において数値的にわずかに有効であったが、差はわずかであった。0.09%ナファゾリン/7.5%グリセロール液剤の方が快適であることも判明し、0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール液剤よりも対象に好まれた。
【0195】
(実施例13)
朝の眼けん浮腫の治療のための0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール眼科用液剤
ホテル環境における朝の眼けん腫脹の減少において、単一用量の0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール眼科用液剤の効力を評価し、比較するように単一施設反対側試験を設計した。
【0196】
4回の来院を約1週間実施する。1回目の来院中、実施例11に記載のように、夕方のベースライン眼けん腫脹を主観的領域的/全体的眼けん腫脹等級、スコア化システム及びデジタル写真を用いて評価する。さらに、検査員によって評価される眼球発赤の等級付けを6pmから9pmまで1時間間隔で終了する。
【0197】
2回目の来院中、朝のベースライン眼けん腫脹を主観的領域的/全体的眼けん腫脹等級、スコア化システム及びデジタル写真を用いて評価する。検査員によって評価される眼球発赤の等級付けも、覚醒直後20、40及び60分に評価し、次いで1時間ごとに覚醒後6時間評価する。
【0198】
3回目の来院中に、夕方の眼けん腫脹及び眼球発赤を来院1回目と同じ手順によって評価する。
【0199】
4回目の来院中に、朝の眼けん腫脹を来院2回目に用いた手順に従って評価する。次いで、患者を処置群の1つに無作為化し、1滴の試験薬物を両眼に投与する。点眼後、来院2回目と同じ試験評価及び時間を終了する。製剤の快適さも前述のように主観的に評価する(0〜10等級、0はより快適であり、10はより不快である。)。
【0200】
処置群は以下のとおりである。
【0201】
処方1:0.05%オキシメタゾリン眼科用液剤
処方2:0.05%オキシメタゾリン/7.5%グリセロール眼科用液剤
処方3:処方1のビヒクル(オキシメタゾリンなし、グリセロールなし)
処方4:処方2のビヒクル(7.5%グリセロール、オキシメタゾリンなし)
3D走査技術も使用して、朝の眼けん腫脹の減少におけるこれら4種類の製剤の効力を評価し、比較する。対象1人及び眼1個ごとにベースラインスキャンを3Dスキャナーを用いて夕方及び翌朝、処置前に実施する。次いで、患者を処置群の1つに無作為化し、1滴の試験薬物を両眼に投与する。点眼直後、各眼の3Dスキャンを一定時間間隔でとる。
【0202】
(実施例14)
朝の眼けん浮腫の治療のための新規浸透圧剤/血管収縮剤併用製剤
以下の化学物質約0.5グラムを別々の50mLポリプロピレン管に添加した。工程を2つ組で実施した。
【0203】
1.カフェイン
2.カルボマー934P
3.タンニン酸
4.アスコルビン酸
5.デキストラン40,000
6.イヌリン
7.マンニトール
8.メントール(0.05グラム)
9.メントール(0.05グラム)、ポリソルベート80(0.50グラム)
管1〜9の各々に、塩酸オキシメタゾリン試料50mLを添加し、ボルテックス撹拌した。残り9本の管に、塩酸ナファゾリン試料50mLを添加し、ボルテックス撹拌した。各溶液のpH及び重量オスモル濃度を試験した。結果を下表6に示す。
【0204】
【表6】

上記製剤の各々を朝の眼けん腫脹の減少における効力について、上記実施例1〜9に記載のように3D走査技術によって、さらに、実施例11及び12で上述したように主観的領域的/全体的眼けん腫脹等級及びスコア化システムを用いて、試験する。製剤の快適さを前述のように主観的に評価する(0〜10等級、0はより快適であり、10はより不快である。)。
【0205】
均等形態
本発明は、一つには、眼けん腫脹の治療に使用するための局所眼科用製剤を提供する。本発明の特定の実施形態を考察したが、上記明細書は説明のためのものであって、限定的なものではない。本明細書を検討することによって、本発明の多数の変形が当業者に明白になるであろう。付随する特許請求の範囲は、すべてのかかる実施形態及び変形を請求することを意図したものではなく、本発明の全範囲は、特許請求の範囲とその包括的な等価物、及び本明細書とかかる変形を参照することによって決定されるべきである。
【0206】
以下に列挙する項目を含めて、本明細書に記載のすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許が参照により援用されるように具体的かつ個々に示されたがごとく、参照によりその全体が本明細書に援用される。矛盾が生じた場合には、本明細書のあらゆる定義を含めて、本願を基準とする。
【0207】
【数1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と有効量の浸透圧活性剤及び血管収縮剤とを含み、該浸透圧活性剤が3%w/v NaCl又は7.5%w/v グリセロールであり、該血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリン又は0.05%w/v オキシメタゾリンである、局所薬剤組成物。
【請求項2】
前記浸透圧剤が7.5%w/v グリセロールであり、前記血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記浸透圧剤が7.5%w/v グリセロールであり、前記血管収縮剤が0.05%w/v オキシメタゾリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記浸透圧剤が3%w/v NaClであり、前記血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記浸透圧剤が3%w/v NaClであり、前記血管収縮剤が0.05%w/v オキシメタゾリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物のオスモル濃度が500mOsm/Kgから1050mOsm/Kgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、該組成物のpHが6.0である、局所薬剤組成物。
【請求項8】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と塩酸ナファゾリン0.9mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、該組成物のpHが6.0である、局所薬剤組成物。
【請求項9】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と塩酸オキシメタゾリン0.5mg/mL、塩化ナトリウム30mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、該組成物のpHが6.0である、局所薬剤組成物。
【請求項10】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と塩酸オキシメタゾリン0.5mg/mL、グリセロール75mg/mL、エデト酸二ナトリウム1mg/mL、ホウ酸5mg/mL及び塩化ベンザルコニウム0.1mg/mLとを含み、該組成物のpHが6.0である、局所薬剤組成物。
【請求項11】
対象における眼けん腫脹の治療及び防止用局所薬剤組成物であって、薬学的に許容される担体と有効量の浸透圧活性剤及び血管収縮剤とを含み、該浸透圧活性剤が、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン40,000、イヌリン、マンニトール、メントール及びポリソルベート80からなる群から選択され、該血管収縮剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン及びテトラヒドロゾリンからなる群から選択される、局所薬剤組成物。
【請求項12】
対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法であって、有効量の浸透圧活性剤及び血管収縮剤を含む組成物を該対象の眼球表面に投与することを含み、該浸透圧活性剤が3%w/v NaCl又は7.5%w/v グリセロールであり、該血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリン又は0.05%w/v オキシメタゾリンである、方法。
【請求項13】
前記浸透圧剤が7.5%w/v グリセロールであり、前記血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記浸透圧剤が7.5%w/v グリセロールであり、前記血管収縮剤が0.05%w/v オキシメタゾリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記浸透圧剤が3%w/v NaClであり、前記血管収縮剤が0.09%w/v ナファゾリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記浸透圧剤が3%w/v NaClであり、前記血管収縮剤が0.05%w/v オキシメタゾリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
対象における眼けん腫脹を治療及び防止する方法であって、有効量の浸透圧活性剤及び血管収縮剤を含む組成物を該対象の眼球表面に投与することを含み、該浸透圧活性剤が、カフェイン、カルボマー934P、タンニン酸、アスコルビン酸、デキストラン40,000、イヌリン、マンニトール、メントール及びポリソルベート80からなる群から選択され、該血管収縮剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン及びテトラヒドロゾリンからなる群から選択される、方法。
【請求項18】
請求項1又は7から11のいずれかに記載の薬剤組成物を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2011−503061(P2011−503061A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533093(P2010−533093)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/012513
【国際公開番号】WO2009/061431
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508221866)アーシエックス セラピューティックス, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】