説明

消臭性ポリウレタンフォーム

【課題】
ポリウレタンフォームにアルデヒド系ガス消臭効果を付与させるものおよび/またはポリウレタンフォームから発生するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド量を抑制させるものを提供することである。また、このポリウレタンフォームを用いた自動車内装部品などの製品を提供することである。更にこのポリウレタンフォームにアルデヒドの揮発抑制効果の耐久性を付与すること、および長期間効果が持続するものの提供。
【解決手段】
アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤をポリウレタンフォームの表面に添着あるいはポリウレタンフォームの原料に添加して成型することにより、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどのアルデヒド系ガスの放出が少ないポリウレタンフォームを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド系ガスに対して優れた消臭性能を有する消臭剤を含有するポリウレタンフォームに関する。更にこのウレタンフォームを使用した自動車用内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シックハウス/シックビル症候群などに見られるように、住宅内のホルムアルデヒドによる健康障害が注目をされている。また、住宅空間以外でも自動車内空間においてもホルムアルデヒド、アセトアルデヒドをはじめとする揮発性有機化合物(VOC)の低減を求める要求が高まっている。ところで、自動車内装には多く部品が使用されている。その中でもポリウレタンフォームはシート材、フロアー材等に使用されている。これらの中にはポリウレタンフォームには原料中に含まれるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの揮発性有機化合物が原因となり、成型、発泡後に揮発性有機化合物が放散してしまうものがあり、また、ウレタン反応中に副生成物としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が発生、放散する場合があり、その対策が求められていた。
アルデヒド系ガスの除去剤として、アミン化合物からなるアルデヒド除去剤が主に検討されている。アミン化合物はアルデヒド系ガスと親和性が高く、アルデヒド系ガスを含有する排ガスをアミン化合物が溶解した液と接触させることにより、排ガス中のアルデヒド系ガスを除去できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、液状のアミン化合物は、強い不快臭を放つため生活空間、例えば居間や台所を始めとする日常生活に応用するには不適であった。
【0003】
また、アミン化合物を無機物に担持させたガス吸収剤が知られており、このガス吸収剤は樹脂や抄紙、フィルムへ添加する際の加熱処理に耐えうる特徴を有している。
例えば、活性炭にアンモニウム塩やアニリンなどを担持させたり(例えば、特許文献2参照、特許文献3参照)、ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物に分子内に第1級アミノ基を有する化合物を担持させたり(例えば、特許文献4参照)、層状燐酸塩(α燐酸ジルコニウム)の層間にポリアミン化合物を担持させたガス吸収剤が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、水に対する溶解度性が25℃で5g/リットル以下であるヒドラジン誘導体(例えば、特許文献5参照)や、ケイ酸マグネシウム粘土鉱物と分子内に第1級アミノ基を有する化合物からなる消臭剤(例えば、特許文献6参照)、合成樹脂中にヒドラジド化合物を含む組成物(例えば、特許文献7参照)がアルデヒド系ガス消臭剤として知られている。しかし、これらのガス吸収剤は、アルデヒド系ガスに対する吸収能が実用的水準にないばかりか、繊維や塗料に添加することによって、更にアルデヒド吸着能力が低下してしまう。
【0005】
また、シリカの表面にアミノ基を含有する有機ケイ素化合物を担持させることによりアセトアルデヒドの消臭性能を発現させたものが知られている(例えば、特許文献8参照)。この材料についても、塩基性ガスや硫黄系ガスに効果の高い消臭剤を併用すると本来発揮されるはずの消臭性能が十分に発揮されないことが明らかになった。
【0006】
また、空気清浄用に用いられるフィルターをアルデヒド類除去用の薬剤を活性炭などの担持体に担持したもので形成するものが示され、アルデヒド類除去用の薬剤としてアミノグアニジン硫酸塩が示されている(例えば、特許文献9参照)。しかし、アミノグアニジン硫酸塩はそれ自体はアルデヒド吸収性が高いものの、耐久性能については、開示も示唆もされていない。また、空気清浄用のように多量の吸着量を課題にする場合と、微量の揮発量を継続的に吸着する場合とは異なる作用である。
【0007】
また、軟質ポリウレタンフォームからなるシート用パッドの表面にアルデヒド化合物を捕捉するキャッチャーを塗布したものが報告されている(例えば、特許文献10参照)。
【0008】
また、アルデヒド補足剤として水溶性の還元剤をポリウレタンフォーム製造時に添加するものが例示されている(例えば、特許文献11参照)。
【0009】
また、ホルムアルデヒドを補足する機能を有する化合物をウレタン系組成物が示され、ホルムアルデヒド補足剤としてジヒドラジド、エチレン尿素、β−ジケトン化合物及びパーオキサイド化合物等が例示されている(例えば、特許文献12参照)
【0010】
また。使用済みのポリウレタンフォームを粉砕したチップにアルデヒドとシッフ反応を起こす吸着剤を添加するものが示されている(例えば、特許文献13参照)。一時的に揮発アルデヒドを低減するためには消臭剤の増量などでも対応が可能な場合もあるが、ポリウレタンフォームの物性を低下させないような微量で長期間に渡りアルデヒド揮発抑制効果を継続する耐久性を有する材料については開示も示唆もされていない。
○先行文献
【特許文献1】特開昭51−44587号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭53−29292号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭56−53744号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平9−28778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開平8−280781号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平9−28778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開平10−36681号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】特開平9−173830号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】特開平10−235129号公報(特許請求の範囲)
【特許文献10】特開2005−124743号公報(特許請求の範囲)
【特許文献11】特開2005−154599号公報(特許請求の範囲)
【特許文献12】特開2005−179423号公報(特許請求の範囲)
【特許文献13】特開2005−194299号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】津波古ら,PHARM.TECH.JAPAN,1996年,12巻,12号,p.77−87
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ポリウレタンフォームにアルデヒド系ガス消臭効果を付与させるものおよび/またはポリウレタンフォームから発生するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド量を抑制させるものを提供することである。また、このポリウレタンフォームを用いた自動車内装部品などの製品を提供することである。更にこのポリウレタンフォームにアルデヒドの揮発抑制効果の耐久性を付与すること、および長期間効果が持続するものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が鋭意検討した結果、アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤をポリウレタンフォームの表面に添着あるいはポリウレタンフォームの原料に添加して成型することにより、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどのアルデヒド系ガスの放出が少ないポリウレタンフォームを見出し本発明を完成させたのである。また少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で、前記混合物の水懸濁液のpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭剤をポリウレタンフォームの表面に添着または含有させることによりアルデヒド系ガスの放出が少ないポリウレタンフォームを見出し本発明を完成させたのである。なお、当該ポリウレタンフォームは、アルデヒド系ガスに対して消臭効果をも有するものである。即ち、本発明は、
(1)アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォームであり、
(2)少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で、前記混合物の水懸濁液のpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭剤を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォームであり、
(3)アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤または少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で前記混合物の水懸濁液のpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭剤と、硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤および有機酸性ガス消臭剤から選ばれる少なくとも1種以上の消臭剤とを含有するアルデヒド系ガス消臭剤組成物を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォームであり、
(4)前記1若しくは2に記載のアルデヒド系ガス消臭剤または前記3記載のアルデヒド系ガス消臭剤組成物と分散剤とを含有する分散液を用いてポリウレタンフォームに塗布して作製することを特徴とする消臭ポリウレタンフォームの製造方法であり、
(5)前記1〜4のいずれかに記載の消臭ポリウレタンフォームを使用した自動車用内装部品である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の消臭ポリウレタンフォームは、これから放出されるアルデヒド系ガスが少ないことおよびアルデヒド系ガスに対する消臭性能に優れることから、室内や車内などのような密閉空間において使用することができる。また、当該ポリウレタンフォームは、アルデヒド系ガスに対して消臭効果をも有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を詳細に説明する。
【0015】
○アルデヒド系ガス消臭剤
本発明においてアルデヒド系ガス消臭剤とは、アミノグアニジン塩またはアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で、当該溶液または混合物の分散液のpHが1〜7の物である。即ち、アルデヒド系ガス消臭剤は、アミノグアニジン塩、アミノグアニジン塩溶液、アミノグアニジン塩懸濁液、アミノグアニジン塩と無機粉体との混合物、アミノグアニジン塩と無機粉体との混合物の分散液、アミノグアニジン塩と無機粉体との分散液である。このアミノグアニジン塩は、精製水に分散または溶解させた時のpH1〜7であるものであものが好ましい。またこの無機粉体は、精製水に分散させた時のpH2〜8であるものが好ましい。
本発明において用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、室温において精製水に5重量%で分散させた時のpHが7以下であり、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.7以下であり、pH1以上であり、好ましくは1.5以上である。
【0016】
○ポリウレタンフォーム
本発明におけるポリウレタンフォームは、軟質、半硬質、硬質のいずれであっても良い。また、本発明におけるポリウレタンフォームは、使用済みのポリウレタンフォームを粉砕した再生ポリウレタンチップフォーム、またはこの再生ポリウレタンチップフォームを接着剤等を用いて成型した再生ポリウレタンフォームであっても良い。当該ポリウレタンフォームは、公知の製造方法のいずれを用いることができる。例えば、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、製泡剤等を含有するポリウレタンフォーム原料を金型内部に注入して発泡成形させる方法がある。ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、製泡剤は公知のものはいずれも用いることができる。
【0017】
本発明においてポリウレタンフォームにアルデヒド系ガス消臭剤を含有させる方法としては、ポリウレタンフォーム、再生ポリウレタンフォームの成型後の表面にアルデヒド系ガス消臭剤の溶液または水分散液を噴霧し、自然乾燥または温風で乾燥することにより表面へ添着することできる。この際、アルデヒド系ガス消臭剤をポリウレタンフォームに接着させるため、公知のバインダー樹脂を添加することが可能である。バインダー樹脂の具体例としてはアクリル酸共重合体、ウレタン樹脂、酢酸ビニル等がある。また、再生ポリウレタンチップの表面にアルデヒド系ガス消臭剤の溶液または水分散液を噴霧して乾燥した後、この再生ポリウレタンチップを成型してもよい。
【0018】
本発明において、当該バインダー樹脂の添加量は、バインダー樹脂の固形分としてアルデヒド系ガス消臭剤の固形部100部に対して、5〜300部が好ましく、より好ましくは10〜100部である。このバインダー樹脂の添着量が5部より少ないと、ポリウレタンフォームへのアルデヒド系ガス消臭剤の接着が十分ではなく、また、300部を越えるとアルデヒド系ガス消臭剤がバインダー樹脂に覆われるため揮発アルデヒドの抑制効果が低下することがあるので好ましくない。また、ポリウレタンフォームを反応させる工程でアルデヒド系ガス消臭剤を添加することも可能である。具体的にはポリオール化合物またはイソシアネート化合物の一方または両方にアルデヒド系ガス消臭剤を予め分散させて製造することも可能である。ポリオール化合物またはイソシアネート化合物にアルデヒド系ガス消臭剤を添加する際の当該消臭剤添加量は、ポリオール化合物またはイソシアネート化合物100部に対して、アルデヒド系ガス消臭剤を好ましくは0.001〜10部、より好ましくは0.01〜5部である。当該消臭剤添加量が0.001部より少ないと揮発アルデヒド抑制効果が十分得られないことがあり、また、10部より多いとポリウレタンフォームを成型する場合に成型不良が発生することがあるので好ましくない。
【0019】
○アミノグアニジン塩
本発明におけるアミノグアニジン塩とは、モノアミノグアニジン塩、ジアミノグアニジン塩、およびトリアミノグアニジン塩である。当該アミノグアニジン塩としては、アミノグアニジン硫酸塩、アミノグアニジン塩酸塩、ジアミノグアンニジン塩酸塩、ジアミノグアニジン硫酸塩、およびトリアミノグアニジン塩酸塩などが例示できる。これらは単独または混合していずれも用いることができる。これら例示した内、ジアミノグアンニジン塩酸塩、またはトリアミノグアニジン塩酸塩がポリウレタンフォームに含有させた場合の微量の揮発アルデヒド抑制効果の持続性が高いため好ましい。また、アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジン硫酸塩、ジアミノグアンニジン塩酸塩、またはトリアミノグアニジン塩酸塩などと無機粉体との混合物は、アミノグアニジン塩単独のものに比べポリウレタンフォームからの揮発アルデヒド抑制効果が高いため好ましい。当該混合物において、ジアミノグアニジン塩酸塩、またはトリアミノグアニジン塩酸塩と無機粉体とのものがより好ましい。なお、化合物の安全性を考慮した場合にはアミノグアニジン塩酸塩またはアミノグアニジン硫酸塩が特に好ましい。また、アミノグアニジン塩とケイ酸マグネシウム質粘土とを混合して用いることにより消臭性を向上させることができる。
【0020】
○無機粉体
本発明において無機粉体とは、アミノグアニジン塩との混合物とし、これを用いてポリウレタンフォームに塗布または含有させて、これから揮発アルデヒド抑制効果が得られるものであれば制限はない。当該無機粉体は、アミノグアニジン塩と無機粉体との分散液において、この分散液のpHが1〜7になるものであれば如何様な物でもよい。更に当該無機粉体は、この5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものであり、より好ましくはpH3.0〜7.5であり、更に好ましくはpH4.0〜7.0である。当該無機粉体を5重量%分散させた時のpHが上記範囲であると、アミノグアニジン塩のアルデヒド消臭性能がより以上に発現できるため更に好ましい。
【0021】
本発明における無機粉体は、アミノグアニジン塩と分散ができ、上記pH内であれば成分や形状に限定はなく、本発明の混合物の耐水性が向上できるものが更に好ましい。具体的な無機粉体は、ケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、ゼオライト、シリカゲル、および5重量%で分散させた時のpHを上記の範囲に調整した無機粉体などを例示することができ、特にケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、シリカゲル、pH調整した雲母などが消臭性能を向上できるため好ましい。この5重量%で分散させた時のpHを上記の範囲に調整した無機粉体とは、雲母、ハイドロタルサイト、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、ゼオライトY型などが例示できる。このpH調整に用いる酸としては、無機酸であることが好ましく、より好ましくは硫酸またはリン酸である。
【0022】
○ケイ酸塩化合物
本発明において、ケイ酸塩化合物としては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものが好ましく、アミノグアニジン塩との混合物の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
具体的には、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸マグネシウムが好ましく、非晶質ケイ酸アルミニウムまたは非晶質ケイ酸マグネシウムが耐水性の向上の点からより好ましく、非晶質ケイ酸アルミニウムがアミノグアニジン塩と混合した混合物の高温の雰囲気下でのアルデヒド消臭性能が高いためより好ましい。また、これらは天然物あるいは合成物であっても良い。例えば合成のケイ酸アルミニウムは下記式(1)で表されるものである。
Al23・nSiO2・mH2O (1)
但し、式(1)中のnは6以上の正数であり、より好ましくはnが6〜50で且つmが1〜20の正数であり、特に好ましくはnが8〜15でmが3〜15である。
またケイ酸マグネシウムは下記式(2)で表されるものである。
MgO・nSiO2・mH2O (2)
但し、式(2)中のnは1以上の正数であり、より好ましくはnが1〜20で且つmが0.1〜20の正数であり、更に好ましくはnが1〜15でmが0.3〜10であり、特に好ましくはnが3〜15でmが1〜8である。
【0023】
合成品のケイ酸塩化合物は、例えば以下のような手段によって合成することができる。アルミニウム塩またはマグネシウム塩の水溶液とケイ酸アルカリ金属塩の水溶液とを混合し、室温、大気圧条件下に必要に応じて酸もしくはアルカリを加えて、pH約3〜約7の条件に維持して共沈せしめ、これを、例えば約40℃〜約100℃程度において熟成し、もしくは熟成せずに共沈物を水洗、脱水、乾燥することにより合成することができる。
【0024】
ケイ酸アルミニウムの合成におけるアルミニウムの水溶性塩とケイ酸アルカリ金属塩との使用量は、SiO2/Al23のモル比が6以上、例えば6〜50の範囲、より好ましくは8〜15の範囲となるように選択することができる。
ケイ酸マグネシウムの合成におけるマグネシウムの水溶性塩とケイ酸アルカリ金属塩との使用量は、SiO2/MgOのモル比が1以上、例えば1〜20の範囲、より好ましくは1〜15の範囲となるように選択することができる。
また、他の合成手段としては、例えば、シリカゾルに、アルミニウムまたはマグネシウムの水溶液を加え、更に、酸またはアルカリにより、系のpHを約3〜7に維持して、十分に均一に混合し、更に、例えば約40℃〜約100℃程度に加温して、熟成しまたは熟成しないで、その後、水洗、脱水、乾燥することにより、形成することができる。この際、シリカゾルとアルミニウムまたはマグネシウムの水溶性塩の使用量は、上記SiO2/Al23、SiO2/MgOと同じように選択することができる。いままでの説明は、非晶質ケイ酸アルミニウムおよび非晶質ケイ酸マグネシウムを各々単独で合成する例のものであるが、アルミニウムまたはマグネシウムの水溶性塩の混合水溶液から両金属を含有した化合物を合成することもできる。
上記水溶性塩としては、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化塩、沃化塩、臭化塩のごとき水溶性塩を例示することができる。
更に、上記合成で用いるアルカリまたは酸の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア水などのアルカリ類、塩酸、硫酸、硝酸などの酸類を例示することができる。
【0025】
○4価金属リン酸塩化合物
本発明において、4価金属リン酸塩化合物としては、水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩化合物であり、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、7.0以下のものが好ましく、本発明の消臭剤の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
好ましいこの具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも使用できる。なかでも、α型結晶質化合物は耐水性を向上できる度合いが高く、また、アミノグアニジン塩と混合した混合物の高温の雰囲気下でのアルデヒド消臭性能が高く、且つアンモニア消臭性も有しているため好ましい。
【0026】
○シリカゲル
本発明において、シリカゲルとしては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、7.0以下のものが好ましく、本発明の消臭剤の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
シリカゲルは製造方法により表面積、細孔径を調整し様々な特徴を有するものがあるが、上記pH範囲以内であれば公知のものはいずれも使用できる。この製造例としては水ガラスに硫酸を添加し得られたゲルを水洗し、乾燥後粉砕することで得られる。
【0027】
○ゼオライト
本発明において、ゼオライトとしては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものであり、pHが7.0以下がより好ましい。また、本発明の消臭剤の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
当該ゼオライトは、天然物あるいは合成物であっても良い。ゼオライトの構造は多様であるが公知のものはいずれのものも使用できる。この構造として例えば、A型、X型、Y型、α型、β型、ZSM−5等があるが、分散液のpHが2〜8以外のものは、この範囲内に調整して使用することもできる。
【0028】
○アルデヒド系ガス消臭剤の製造方法
本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤の製造法の概略について説明する。アルデヒド系ガス消臭剤の製造方法は、アミノグアニジン塩、アミノグアニジン塩溶液、アミノグアニジン塩懸濁液、アミノグアニジン塩と無機粉体との混合物、アミノグアニジン塩と無機粉体との混合物の分散液、アミノグアニジン塩と無機粉体との分散液が得られれば如何様な方法も用いることができる。
【0029】
本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、無機粉体を室温から60℃程度において攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合して製造することができる。または、無機粉体をアミノグアニジン塩の分解温度以下で攪拌しながらアミノグアニジン塩を添加し、良く混合して製造することもできる。これらの製造方法において、室温から60℃程度の温度で本発明においてはより好ましい。
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、無機粉体を室温から60℃程度で攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液を滴下あるいは噴霧して添加し、良く混合して製造することもできる。当該混合物は、更に乾燥を行っても良い。この乾燥は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃であり、減圧下に行っても良い。なお、乾燥工程の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
【0030】
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合して製造することもできる。当該混合物は、更に乾燥を行っても良い。この乾燥は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃であり、減圧下に行っても良い。なお、乾燥工程の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液またはこの分散液を添加し、良く混合して製造することもできる。当該混合物は、更に乾燥を行っても良い。この乾燥は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃であり、減圧下に行っても良い。なお、乾燥工程の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
【0031】
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、無機粉体を室温から60℃程度において攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することができる。または、無機粉体をアミノグアニジン塩の分解温度以下で攪拌しながらアミノグアニジン塩を添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することもできる。これらの製造方法において、室温から60℃程度の温度で本発明の消臭分散液を製造することがより好ましい。
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、無機粉体を室温から60℃程度で攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液を滴下あるいは噴霧して添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することもできる。なお、この混合物は、乾燥を行っても良い。この乾燥は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃であり、減圧下に行っても良い。なお、乾燥工程の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
【0032】
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合して製造することもできる。
また、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液またはこの分散液を添加し、良く混合して製造することもできる。
【0033】
これら例示した製造方法において、中間原料として無機粉体とアミノグアニジン塩との乾燥した混合物を用いた場合、この混合物の耐水性を向上させるために140〜240℃で加熱処理を行っても良い。この加熱処理の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
これら例示した製造方法において、無機粉体とアミノグアニジン塩との添加方法を逆にしても良い。即ち、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、アミノグアニジン塩の溶液またはこの分散液を室温から60℃程度で攪拌し、これに無機粉体を添加し、良く混合して製造することもできる。この例示した他の製造方法についても同様に行うことができる。
これらの製造方法において、アミノグアニジン塩の溶液を用いる製造方法が、本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤としては、更に好ましい。
【0034】
本発明に用いるこのアミノグアニジン塩の溶液は、水溶液でもアルコールやメタノールなどの有機溶媒を用いてもよいが、好ましくは水溶液である。無機粉体の分散液は、水溶液でもアルコールやメタノールなどの有機溶媒を用いてもよいが、好ましくは水溶液である。
【0035】
本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤における無機粉体とアミノグアンニジン塩との割合は、無機粉末100重量部に対してアミノグアニジン塩が0.1〜800重量部であり、好ましくは3〜100重量部であり、更に好ましくは10〜50重量部である。アミノグアニジン塩の混合比が0.1重量部より少ないと十分な消臭効果が得られない。またアミノグアニジン塩の混合比が800重量部より多いと、80℃の雰囲気下におけるアセトアルデヒド消臭性能が十分得られないことがあるので好ましく、アミノグアニジン塩が無機粉体に十分に担持されないため、添加量に応じた消臭効果が期待できないことがあるので好ましくない。
【0036】
上述した無機粉体を有する消臭剤の好ましい平均粒径は0.01〜50μmであり、より好ましくは0.02〜20μmである。平均粒径が0.01μm未満では取扱いが困難である、再凝集しやすいといった問題があり好ましくない。また、50μmより大きいと、バインダーなどの表面処理剤に分散させポリウレタンフォームの表面に後加工する場合に表面処理剤中で均一に分散させにくいため好ましくない。
また、使用目的により本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤または消臭剤組成物を粒状化してもよい。この場合、消臭剤組成物の場合、これらの成分ごとに粒状化しても、あるいは、複数を粒状化しても構わない。粒状体の製造方法は通常粉体を粒状化する方法はいずれも用いることができる。例えば、アルミナゾル、粘土などをバインダーとして用い、粒状体とする方法がある。粒径は粒状体の硬さや、密度、粉砕強度のなどにより様々に調整することができるが、取り扱いのし易さから0.1〜3mmとすることが好ましい。
【0037】
アルデヒド系ガス消臭剤と混合または併用する具体的な例としては、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性ガスを消臭するための塩基性ガス消臭剤がある。塩基性ガス消臭剤としては、水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩化合物が例示できる。当該4価金属リン酸塩化合物の好ましい具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、ガス吸着性を有するものは、いずれも混合または併用することができる。
【0038】
また、硫化水素、メチルメルカプタンなどの硫黄系ガスを消臭するための硫黄性ガス消臭剤とアルデヒド系ガス消臭剤とを混合または併用して用いることができる。例えば、銅、亜鉛、マンガンから選ばれる少なくとも1種以上の金属イオンを担持した4価金属リン酸塩化合物、酸化亜鉛、またはケイ酸亜鉛とアルデヒド系ガス消臭剤と混合または併用することができる。当該4価金属リン酸塩化合物に担持する金属イオンの中でも特に銅イオンが硫化水素などの消臭効果が高いことから好ましい。
【0039】
4価金属リン酸塩化合物に金属イオンを担持させるには、4価金属リン酸塩化合物を、金属イオンの塩溶液に接触させ、イオン交換などにより担持させればよい。
金属イオンの担持量は、4価金属リン酸塩化合物のイオン交換容量内であれば、100%まで所望により自由に調整することができる。
また、酸化亜鉛、ケイ酸銅およびケイ酸亜鉛については比表面積の大きいものが消臭性能が高く好ましい。
【0040】
また、酢酸、イソ吉草酸、酪酸などの悪臭を消臭するための有機酸性ガス消臭剤とアルデヒド系ガス消臭剤とを混合または併用して用いることができる。例えば、水和酸化ジルコニウム、水和酸化チタンと本発明の消臭分散液とを混合することにより消臭組成分散液とすることができる。
水和酸化ジルコニウムは、オキシ塩化ジルコニウム水溶液などのジルコニウム含有溶液を、水やアルカリ溶液で加水分解することにより作製することができる。なお、水和酸化ジルコニウムは、オキシ水酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物など、いろいろな言い方がなされる場合があるが、水和酸化ジルコニウムと同じである。
【0041】
ケイ酸マグネシウム質粘土は、ケイ酸マグネシウムを主成分とする粘土鉱物で、孔径約1nm細孔を有することからガス吸着性能を有する。ケイ酸マグネシウム質粘土を添加したものは、塩基性悪臭ガス、酸性悪臭ガス、含硫黄悪臭ガス、アルデヒドガスに対する消臭性能を更に向上させることができる。このことから、ケイ酸マグネシウム質粘土をアルデヒド系ガス消臭剤に添加することが好ましい。特に、ケイ酸マグネシウム質粘土を添加することによりタバコ臭の主成分の一つであるピリジン、ニコチンなどに対する消臭性能が向上する。
本発明に用いるケイ酸マグネシウム質粘土の具体例として、セピオライト、シロタイル、ラフリナイト、およびアタパルジャイト等が挙げられる。
分散液中の固形分100重量部に対して、ケイ酸マグネシウム質粘土を0.2〜20重量部配合することが好ましく、更に0.5〜10重量部配合することが好ましい。ケイ酸マグネシウム質粘土が0.2重量部より少ないと、消臭性能の向上が期待できないことがあり、20重量部より多く配合しても消臭性能の向上ができないことがあるかまたは他の悪臭ガスに対する消臭性能が悪くなることがある。
【0042】
○高温消臭性
本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤は、高温の雰囲気下でアルデヒド系ガスの消臭性能が高いことも特長のひとつである。高温の雰囲気下での消臭性能とは、例えば本発明で用いるアルデヒド系ガス消臭剤で処理した繊維や樹脂成型品などを加熱した際に発生するアルデヒド系ガスを抑制できることである。ここでいう高温の雰囲気下での消臭性能が高いとは、40℃〜90℃の環境下での消臭性が確保され、問題ないレベルまでアルデヒド系ガス濃度が低下できることである。言い換えると、室温での消臭性能に比べ大きく低下しないものである。
【0043】
○分散液
本発明で用いる分散液は、通常無機粉末の分散液を作製する方法のいずれをも用いることができる。例えば、当該分散液の製造は、水などの分散媒にアミノグアニジン塩、無機粉体および必要に応じて分散剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、粘度調整剤等を添加し、サンドミル、ディスパー、ボールミルなどにより攪拌し分散させればよい。
【0044】
当該分散媒は、水溶性、親水性を有するものであれば制限なく用いることができる。この具体的にはプロトン性溶媒としては水、アルコールが挙げられる。また、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、アセトンなどが挙げられる。これらを単独で用いても複数混合させても良い。当該分散媒としては、水および/またはアルコールが好ましく、より好ましくは水である。
【0045】
当該分散剤に特に制限はないが、アルケニルコハク酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,高級アルコール硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩,ジアルキルスルホサクシネート塩,アルキルリン酸エステル塩,リン酸エステル系共重合体,ポリカルボン酸型高分子界面活性剤などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル,有機変性オルガノポリシロキサンなどのノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン,アミドベタインなどのベタイン型両性界面活性剤、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、トリエタノ−ネアミンなどのポリアミンなどが例示できる。
【0046】
当該分散剤は、酸性官能基を有する分散剤がよく、界面活性効果を有しても良い。この分散剤は複数使用してもよく、混合物などを分散媒に分散できるものであれば限定するものではない。酸性官能基を有する分散剤に、非イオン形の分散剤を使用しても良い。
【0047】
当該分散剤は、酸性官能基を含む共重合体を含むものがより好ましい。当該基本骨格はエステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖及びウレタン連鎖等で構成されているものが例示でき、これら分子中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの中でもアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂とポリエステル樹脂が好適である。当該酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン基およびリン酸基などが例示され、なかでもリン酸基が好ましい。
【0048】
当該酸性官能基を有する分散剤の酸価は、5〜150mgKOH/gであることが好ましく、30〜130mgKOH/gが特に好ましい。酸価が5mgKOH/g未満であると混合物粒子表面への吸着力が不足することがあるため分散安定性が低下するので好ましくない。また酸価が150mgKOH/gを超えると混合物粒子の表面に吸着した分散剤の立体的反発層の比率が少なくなり、十分な分散安定性が得られないことがある。当該酸性官能基は、樹脂の分子中に全くランダムに配置されていてもよいが、ブロック又はグラフト構造により、酸性官能基が分子中の末端部分に配置されているものが混合物粒子が吸着したときに溶媒和による粒子の分散安定化構造をとり易いため好ましい。当該カウンターカチオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩などが例示でき、特にアルキルアンモニウム塩が好適である。
【0049】
当該酸性官能基を有する分散剤の好ましい重量平均分子量は800〜100,000の範囲で、より好ましくは800〜10,000である。分子量が800未満では分散効果が低下する場合があり、また100,000を上回ると凝集作用や粘度上昇が起こる恐れがあるため好ましくない。
【0050】
分散液における分散剤の添加量は、無機粉体100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜12重量部であり、特に好ましくは1〜10重量部である。当該分散剤の添加量が0.1重量部より少ないと、分散性が十分でなく再凝集しやすいことがあり好ましくない。また、当該分散剤の添加量が15重量部より多いと過剰な分散剤の影響で分散性が低下したり、または消臭性が低下することがあるので好ましくない。
【0051】
酸性官能基を有する分散剤の具体例として、BYK−Chemie社製のDisperbyk−110、Disperbyk−170、Disperbyk−180および190など、SERVODELDEN BV社製のSER−AD FA192など、ゼネカ カラーズ製のソルスパース3000、9000、13240、13940、17000、17240、17940、21000、24000、26000および27000など、共栄社化学株式会社製のフローレンG−700、味の素株式会社製のアジスパーPA111などを挙げることができる。
【0052】
分散液における消泡剤は、破泡性、抑泡性、脱泡性のものがあるがいずれのものを用いてもよい。破泡性の例としてはポリシロキサン溶液をあげることができる。
分散液における粘度調整剤は、いずれのものも用いることができ、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、アラビアガム、トランガンガム、グアーガム等の天然多糖類、各種ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールなどがある。
【0053】
分散液における固形分は、1〜60重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。消臭剤固形分が1重量%以下であると、分散液の粘度が低いため分散安定性が悪くなることがあり、分散液の粘度を上げるために粘度調整剤などの添加剤を添加することは可能だが、添加剤により消臭性能が低下することがあるので好ましくない。消臭剤固形分が60重量%を超えると、分散液の粘度が高くなりすぎて製造が難しく、また製品のハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
【0054】
分散液には、アクリル酸系やウレタン系などの繊維、不織布、シート等の表面処理に通常使用されているバインダー樹脂を混合することもできる。このとき、バインダー樹脂と分散液中の固形分との合計は、分散液の5〜50重量%が好ましい。また、当該分散液における固形分とバインダー樹脂との混合比は、固形分100重量部に対し、バインダー樹脂固形分が10〜300重量部が好ましい。バインダー樹脂固形分が10重量部未満であると、繊維、不織布、シート等に分散液を添着させる際、固着力が十分ではないため、混合物が脱落し消臭性能が低下することがあるため好ましくない。また、バインダー樹脂固形分が300重量部を超えると、ポリウレタンフォームに加工した際に、アルデヒド系ガス消臭剤が樹脂で覆われ消臭性能が十分発現しないため好ましくない。
【0055】
○用途
本発明の消臭ポリウレタンフォームは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ノネナールなどのアルデヒド系ガスに対して消臭効果を有する消臭剤を含有することによりポリウレタンファームから揮発するアルデヒドを抑制したものである。このことから、本発明の消臭ポリウレタンフォームはポリウレタンフォームを使用した各種製品に使用することができる。特に、配合される消臭剤の特性上、使用時に熱がかかる用途には最適である。使用時に熱がかかるポリウレタンフォームでは継続的に微量の分解が生じておりアルデヒドが長期間に渡り微量発生する傾向があるためである。特に自動車用内装材のように繰り返し熱がかかる可能性が高く、しかも車内のような密閉空間が対象となる場合に有効に消臭効果を発現するものである。例えば、自動車用内装部品に使用することで自動車内の揮発アルデヒドガスを削減することができ、フロアー材、シートクッション材、ヘットレスト、アームレスト、インストルメントパネル、ドアトリム、ハンドル等の部品が例示される。また、住宅用、電化製品用の断熱パネルに、また生活用品として寝具マット、まくら、ソファー、シューソール等にも使用することもできる。
【0056】
○実施態様
アルデヒド系ガス消臭剤と酸性官能基を有する分散剤とを含有する分散液を用いてポリウレタンフォームに塗布して作製することを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
アルデヒド系ガス消臭剤組成物と酸性官能基を有する分散剤とを含有する分散液を用いてポリウレタンフォームに塗布して作製することを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
アミノグアニジン塩、無機粉体および分散剤とを含有する分散液で、この分散液のpHが1〜7のものを用いてポリウレタンフォームに塗布して作製することを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
【0057】
<実施例>
以下、本発明を更に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、%は重量%であり、部は重量部である。
【0058】
○ケイ酸アルミニウム
用いたケイ酸アルミニウムは、この合成時のSiO2:Al23のモル比が9:1のものであり、これを精製水に5%で懸濁させた時のpHが6.5であった。
【0059】
○消臭剤Aの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%アミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Aを得た。なお、精製水に消臭剤Aを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0060】
○消臭剤Bの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%アミノグアニジン硫酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、210℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Bを得た。なお、精製水に消臭剤Bを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0061】
○消臭剤Cの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%ジアミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Cを得た。なお、精製水に消臭剤Cを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0062】
○消臭剤Dの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%トリアミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Dを得た。なお、精製水に消臭剤Dを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0063】
○消臭剤Eの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウム(水に5%で分散させた時のpHは2.9。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し、消臭剤Eを得た。なお、精製水に消臭剤Eを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0064】
○消臭剤Fの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し、消臭剤Fを得た。なお、精製水に消臭剤Fを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0065】
○消臭剤Gの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し、消臭剤Gを得た。なお、精製水に消臭剤Gを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0066】
○消臭剤Hの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し、消臭剤Hを得た。なお、精製水に消臭剤Hを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0067】
○消臭剤Iの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲル(富士シリシア化学(株)サイリシア740、水に5%を分散させた時のpHは6.0。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し、消臭剤Iを得た。なお、精製水に消臭剤Iを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0068】
○消臭剤Jの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し、消臭剤Jを得た。なお、精製水に消臭剤Jを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0069】
○消臭剤Kの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し、消臭剤Kを得た。なお、精製水に消臭剤Kを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0070】
○消臭剤Lの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し、消臭剤Lを得た。なお、精製水に消臭剤Lを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0071】
○消臭剤組成物Aの作製
消臭剤Aを70重量部、α型層状リン酸ジルコニウムを10重量部、銅結合型α型層状リン酸ジルコニウムを10重量部および水和酸化ジルコニウムを10重量部、を室温で良く混合して消臭剤組成物Aを作製した。
【0072】
○消臭剤組成物Bの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Bを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Bを作製した。
【0073】
○消臭剤組成物Cの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Cを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Cを作製した。
【0074】
○消臭剤組成物Dの作製
消臭剤Aの消臭剤Dを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Dを作製した。
【0075】
○比較の試料aの作製
ケイ酸アルミニウムを用いた代わりにハイドロタルサイト KW−2100(水に5重量%を分散させた時のpHは10.5、協和化学工業(株)製。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し試料aを作製した。なお、精製水に試料aを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0076】
○比較の試料bの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し試料bを作製した。なお、精製水に試料bを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0077】
○比較の試料cの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し試料cを作製した。なお、精製水に試料cを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0078】
○比較の試料dの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し試料dを作製した。なお、精製水に試料dを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0079】
○比較の試料eの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100(コープケミカル(株)製、水に5重量%を分散させた時のpHは10.7。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し試料eを作製した。なお、精製水に試料eを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0080】
○比較の試料fの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し試料fを作製した。なお、精製水に試料fを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0081】
○比較の試料gの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し試料gを作製した。なお、精製水に試料gを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0082】
○比較の試料hの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し試料hを作製した。なお、精製水に試料hを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0083】
○消臭分散液Aの作製
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、分散剤Disperbyk−180(リン酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、平均分子量1000、BYK−Chemie社製)を2部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液Aを得た。
【0084】
○消臭分散液Bの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Bを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Bを作製した。
【0085】
○消臭分散液Cの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Cを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Cを作製した。
【0086】
○消臭分散液Dの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Dを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Dを作製した。
【0087】
○消臭分散液Eの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Eを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Eを作製した。
【0088】
○消臭分散液Fの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Fを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Fを作製した。
【0089】
○消臭分散液Gの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Gを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Gを作製した。
【0090】
○消臭分散液Hの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Hを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Hを作製した。
【0091】
○消臭分散液Iの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Iを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Iを作製した。
【0092】
○消臭分散液Jの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Jを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Jを作製した。
【0093】
○消臭分散液Kの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Kを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Kを作製した。
【0094】
○消臭分散液Lの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Lを用いた以外は消臭分散液Aの作製と同様に操作し、消臭分散液Lを作製した。
【0095】
○消臭分散液A1の作製
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニオン系分散剤)を2部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液A1を得た。
【0096】
○消臭分散液A2の作製
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、ヘキサメタリン酸ナトリウム(無機系分散剤)を2部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液A2を得た。
【0097】
○消臭分散液A3の作製
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、分散剤Disperbyk−180(リン酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、平均分子量1000、BYK−Chemie社製)を10部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液A3を得た。
【0098】
○消臭分散液A4の作製
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、分散剤Disperbyk−180(リン酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、平均分子量1000、BYK−Chemie社製)を0.015部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液A4を得た。
【実施例1】
【0099】
○消臭性ポリウレタンフォームA
精製水100質量部に対して消臭剤Aを7質量部、ウレタン系バインダーKB−3000(東亞合成(株)製)を7質量部添加した懸濁液を作製した。再生ポリウレタンフォームチップを接着剤を用いて厚み15mmに成型したシートに、この懸濁液を50g/m2を塗布し、室内に3時間静置し自然乾燥し、消臭性ポリウレタンフォームA(消臭剤の添着量は固形分として3g/m2、ウレタンバインダーは固形分として0.9g/m2)を得た。
【実施例2】
【0100】
○消臭性ポリウレタンフォームB
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームBを得た。
【実施例3】
【0101】
○消臭性ポリウレタンフォームC
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームCを得た。
【実施例4】
【0102】
○消臭性ポリウレタンフォームD
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームDを得た。
【実施例5】
【0103】
○消臭性ポリウレタンフォームE
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームEを得た。
【実施例6】
【0104】
○消臭性ポリウレタンフォームF
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Fを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームFを得た。
【実施例7】
【0105】
○消臭性ポリウレタンフォームG
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Gを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームGを得た。
【実施例8】
【0106】
○消臭性ポリウレタンフォームH
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Hを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームHを得た。
【実施例9】
【0107】
○消臭性ポリウレタンフォームI
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Iを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームIを得た。
【実施例10】
【0108】
○消臭性ポリウレタンフォームJ
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Jを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームJを得た。
【実施例11】
【0109】
○消臭性ポリウレタンフォームK
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Kを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームKを得た。
【実施例12】
【0110】
○消臭性ポリウレタンフォームL
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤Lを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームLを得た。
【実施例13】
【0111】
○消臭性ポリウレタンフォーム2A1
精製水100重量部に対してアミノグアニジン塩酸塩6.5重量部を溶解させた溶液を作製した。再生ポリウレタンフォームチップを接着剤を用いて厚み15mmに成型したシートにこの溶液を50g/m2を塗布し、室内に3時間静置し自然乾燥し、消臭性ポリウレタンフォーム2A1(消臭剤の添着量は固形分として3g/m2)を得た。
【実施例14】
【0112】
○消臭性ポリウレタンフォーム2A2
アミノグアニジン塩酸塩を用いる代わりにアミノグアニジン硫酸塩を用いたこと以外は実施例13と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォーム2A2を得た。
【実施例15】
【0113】
○消臭性ポリウレタンフォーム2A3
アミノグアニジン塩酸塩を用いる代わりにジアミノグアニジン塩酸塩を用いたこと以外は実施例13と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォーム2A3を得た。
【実施例16】
【0114】
○消臭性ポリウレタンフォーム2A4
アミノグアニジン塩酸塩を用いる代わりにトリアミノグアニジン塩酸塩を用いたこと以外は実施例13と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォーム2A4を得た。
【実施例17】
【0115】
○消臭性ポリウレタンフォームAc
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤組成物Aを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームAcを得た。
【実施例18】
【0116】
○消臭性ポリウレタンフォームBc
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤組成物Bを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームBcを得た。
【実施例19】
【0117】
○消臭性ポリウレタンフォームCc
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤組成物Cを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームCcを得た。
【実施例20】
【0118】
○消臭性ポリウレタンフォームDc
消臭剤Aを用いる代わりに消臭剤組成物Dを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し消臭性ポリウレタンフォームDcを得た。
【0119】
<比較例1>
○比較用ポリウレタンフォームa
消臭剤Aを用いる代わりに試料aを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームaを得た。
【0120】
<比較例2>
○比較用ポリウレタンフォームb
消臭剤Aを用いる代わりに試料bを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームbを得た。
【0121】
<比較例3>
○比較用ポリウレタンフォームc
消臭剤Aを用いる代わりに試料cを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームcを得た。
【0122】
<比較例4>
○比較用ポリウレタンフォームd
消臭剤Aを用いる代わりに試料dを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームdを得た。
【0123】
<比較例5>
○比較用ポリウレタンフォームe
消臭剤Aを用いる代わりに試料eを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームeを得た。
【0124】
<比較例6>
○比較用ポリウレタンフォームf
消臭剤Aを用いる代わりに試料fを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームfを得た。
【0125】
<比較例7>
○比較用ポリウレタンフォームg
消臭剤Aを用いる代わりに試料gを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームgを得た。
【0126】
<比較例8>
○比較用ポリウレタンフォームh
消臭剤Aを用いる代わりに試料hを用いたこと以外は実施例1と同様に操作し比較用ポリウレタンフォームhを得た。
【0127】
<比較例9>
○比較用ポリウレタンフォーム2b
消臭剤Aを用いる代わりにアジピン酸ジヒドラジドを用いたこと以外は実施例13と同様に操作し比較用ポリウレタンフォーム2bを得た。
【0128】
<比較例10>
○比較用ポリウレタンフォーム2c
消臭剤Aを用いる代わりに精製水を用いたこと以外は実施例13と同様に操作し比較用ポリウレタンフォーム2cを得た。
【実施例21】
【0129】
○消臭性ポリウレタンフォームに対する消臭効果の測定
消臭性ポリウレタンフォームAを縦200mm×横200mm×厚み15mmに切り取り、試験片とした。この試験片をフッ化ビニル製バック(フッ化ビニル製フィルムを袋状に加工して使用、以下テドラーバックと称する)に入れ、悪臭ガス1リットル(アセトアルデヒドガスは40ppm、アンモニアガスは40ppm、硫化水素ガスは10ppmおよび酢酸ガスは40ppm含有)を注入し、室温に静置した。2時間後にテドラーバッグ中の残存ガス濃度を測定した((株)ガステック社製のガス検知管を使用して測定、以下同社製品を使用)。
他の消臭性ポリウレタンフォームおよび比較用ポリウレタンフォームについても同様に操作し、残存ガス濃度を測定した。
これらの結果を表1および2に示した。なお、表中のNDは、評価を行わなかったことを示す。以下、同様である。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【実施例22】
【0132】
○アルデヒド放散量の測定
アルデヒド放散量の測定は、縦200mm×横200mm×厚み15mmのポリウレタンフォームAの試験片をテドラーバックに封入し、更に窒素ガス4Lを注入する。このテドラーバッグを65℃で2時間加熱し、テドラーバッグ中のガスをDNPHカートリッジ(SUPELCO製)に捕集する。更にアセトニトリルで抽出し、抽出液中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを高速液体クロマトグラフィ(日立製作所製L−6000)にて分析し、1試験片あたりのアルデヒド放散量(μg/試験片)を算出した。
他の消臭性ポリウレタンフォームおよび比較用ポリウレタンフォームについても同様に操作し、残存ガス濃度を測定した。これらの結果を表3、4に示す。
【0133】
【表3】

【表4】

【実施例23】
【0134】
○耐光試験後のアルデヒド放散量の測定
消臭性ポリウレタンフォームの耐光性試験は、スガ試験機製フェードメータを使用し、温度60℃で試験片に紫外線を200時間照射した。
消臭性ポリウレタンフォームAの試験片(縦200mm×横200mm×厚み15mmに切り取ったもの)を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験後の試験片をテドラーバックに封入し、更に窒素ガス4Lを注入する。このテドラーバッグを65℃で2時間加熱し、DNPHカートリッジ(SUPELCO製)に捕集する。更にアセトニトリルで抽出し、抽出液中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを高速液体クロマトグラフィ(日立製作所製L−6000)にて分析し、1試験片あたりのアルデヒド放散量(μg/試験片)を算出した。
他の消臭性ポリウレタンフォームおよび比較用ポリウレタンフォームについても上記の試験方法と同様に行った。これらの結果を表5および6に記載した。
【0135】
【表5】

【0136】
本発明の消臭ポリウレタンフォームは比較例に比べホルムアルデヒド、アセトアルデヒド放散量が少なく、更に温度と光による耐久性試験後においても性能が低下することなく揮発アルデヒド抑制効果が発現していることがわかる。このことは、本発明の消臭ポリウレタンフォームは揮発アルデヒド抑制効果に優れ、且つその効果が長期間持続することを示している。
上記記載の消臭剤をポリウレタンフォームに塗布または含有させることにより、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒド系ガスに対する消臭効果を有することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の消臭ポリウレタンフォームは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ノネナールなどのアルデヒド系ガスに対して消臭効果を有する消臭剤を含有することによりポリウレタンフォームから揮発するアルデヒドを抑制することができる。また、アルデヒド系ガスに対する消臭効果をも有している。このことから、本発明のポリウレタンフォームは自動車内装材、住宅材、生活用品などに使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で、前記混合物の水懸濁液のpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭剤を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
アミノグアニジン塩からなるアルデヒド系ガス消臭剤または少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体との混合物で前記混合物の水懸濁液のpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭剤と、硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤および有機酸性ガス消臭剤から選ばれる少なくとも1種以上の消臭剤とを含有するアルデヒド系ガス消臭剤組成物を塗布または含有させることを特徴とする消臭ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載のアルデヒド系ガス消臭剤または請求項3記載のアルデヒド系ガス消臭剤組成物と分散剤とを含有する分散液を用いてポリウレタンフォームに塗布して作製することを特徴とする消臭ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の消臭ポリウレタンフォームを使用した自動車用内装部品。

【公開番号】特開2007−204686(P2007−204686A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27607(P2006−27607)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】