液体にプラズマ粒子を当てるための方法及び装置、並びに水を殺菌するための使用
本発明は、プラズマ粒子を発生させ、液体にプラズマ粒子を当てるための方法及び装置を提供する。液体供給原料(例えば、バイオマスで混合される水及び/または炭化水素)は、パイプラインを通り、吸い上げられる。単一相水流は、その後、二相の液体及び気体水流にチャンバ内で変換される。変換は、高圧域から低圧域まで水流を遷移することにより成し遂げられる。液体の噴霧のために水流がさらに装置を通過する際に、圧力低下が発生する。チャンバ内では、電界が、プラズマ状態の発生を導く二相媒体の分解電圧の閾値を超える強度レベルで発生する。さらに、本発明は、エネルギーの効率の適応性が高く、多目的に使用できる、水を汚染する生物学的因子を不活性化するためにプラズマ粒子を用いて、水を衛生化する方法及び装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と気体との混合物中にプラズマを発生させる方法、及びそのための装置に関する。より詳細には、本発明は、様々な化学的及び物理的相互作用を促進させるために、プラズマを発生させ、気体環境に浮遊する液滴にプラズマ粒子を当てるための方法及び装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、物質の粒子が、高エネルギー条件下においてイオン形態で自由に流動できる物質の状態である。プラズマ状態は、小さな空間に閉じ込め、多量な電気エネルギーを放電することにより、人工的に発生させることができる。
【0003】
高エネルギーの局所的適用が要求されるいくつかの工業上の利用は、プラズマを利用する。例えば、海水中での溶接に用いられるような水溶性電解質中のアーク放電は、広く技術及び建築に使用される。
【0004】
プラズマを用いて利用され得るエネルギーをかなりの量、及びそのような適用において、空間を制御するレベルを付与すると、期待され得るプラズマを使用する工業上の利用の数は、かなりの量となる。しかしながら、現在は、液体媒質での定常プラズマ放電の唯一既知な形態は、液状の水中でのアーク放電である。
【0005】
近年、水中の電気アーク放電は、いくつかの物理化学実験、及び様々な物質の合成において使用されている。液体媒体におけるアーク放電に特有の特徴は、電極末端の近くのプラズマ領域の局在性及び電流電圧特性の「低下」形態である。
【0006】
従来技術は、液体内にプラズマを発生させる試みのいくつかの例を提案している。米国には、気体及び相状の気泡が存在する液相内にプラズマ放電を発生させるための、及び、例えば、解毒に使用され得る、化合物の分解、物質の熱分解のような化学的過程を引き起こすこの放電を使用するための方法及び装置を記載する多くの特許及び公開済みの特許出願がある。
【0007】
野村らの米国特許第7,067,204号明細書(2006年)において、「水中式プラズマ発生装置、液中プラズマ発生方法、及び液中プラズマによる有害物質分解方法」が提案されている。液中にプラズマを発生させる方法及び装置が記載される。装置は、プラズマを発生させるために、液中に気泡を発生させるための超音波発生装置と、液中から液体に電磁波を継続的に照射する電磁波発生装置を含む。液中にプラズマを発生させる方法は、液中に超音波を照射することにより液中に気泡を発生させる工程と、液中から気泡へ継続して電磁波を照射することにより、液中にプラズマを発生させる工程とを含む。本発明は、加熱機器、減圧機器、または超音波発生装置のような液体媒体内に気泡を発生させる様々な方法を含む。この場合に記載される気泡発生方法により成し遂げられる気体−液体比率は、小さい。基本的に、液相は媒体に広がる。従って、放電の安定した燃焼域は、非常に小さく、その結果、機器を適用する用途が非常に狭くなっている。
【0008】
ロング及びレイモンドの米国特許第5,270,515号明細書(1993年)において、「マイクロ波プラズマ解毒反応装置及び危険廃棄物の処理」が提案されている。ダイオキシン、フラン及び他の毒性物質の元の位置での解毒のための大量のマイクロ波プラズマ処理を開示する。低誘電損失な配管である、ヘリカルコイル及びシリンダーを、交差分極流体注入口から交差分極蒸気排気口まで延在するマイクロ波共振空胴内に同軸に配置する。コイルシリンダーを通過する流体は、空胴内に導入されるマイクロ波エネルギーによって、プラズマ状態に直接分極される。シリンダーに関連するコイルのジオメトリーは、シリンダーの中央にプラズマを圧縮する磁場をプラズマに誘導し、そのため、シリンダー壁の炭化を防ぐ。上述のジオメトリーは、また、液体及び固体廃棄物の処理のための全体の落下速度がより遅くもなる。処理過程及び装置は、移動式の適用、有害な廃棄物の現地処理に特に適している。この場合の装置において、液体媒体は、分極のため、マイクロ波照射によって処理される。しかし、この場合の方法は、複雑な機器及び高エネルギーなマイクロ波照射を要求し、液体の限られた範囲にのみ適用され得る。この場合の発明において、マイクロ波は、プラズマを作製するコイルシリンダーを通過する流体を分極させるために使用され、大量のエネルギーを消費する。
【0009】
チャンらの米国特許第4,886,001号明細書「液体廃棄物のプラズマ熱分解のための方法及び装置」において、廃棄物質を熱分解するための方法及び装置が開示されている。方法は、生成気体及び固体微粒子の混合物を形成するため、5000℃を超える動作温度を有するプラズマトーチに廃棄物及び水の混合物を挿入することを特徴とする。気体及び微粒子は、サイクロン分離器で分離される。第2サイクロン分離器及び部分真空は、微粒子からキャリーオーバー気体を分離する。キャリーオーバー気体及び微粒子は、気体からキャリーオーバー微粒子を除くため、及び気体中に存在する塩酸(HCl)を中性化するためスクラッバで苛性アルカリ溶液及び水を用いて処理される。最後に、気体がスクラッバから除去される。最近の装置では、プラズマは、高温源としてのみ、物体の分解のために使用される。
【0010】
米国特許出願第2004/0265137号明細書(12/2004)、及び米国特許第7,384,619号明細書、共にBar−Gaddaによる「プラズマで水またはスチームから水素を発生させる方法」において、アーク放電を用いた場合と同様に、極超高周波または低周波に励起されるプラズマ放電を使用して水またはスチームから水素を産するための方法が提案されている。Bar−Gaddaは、給湯ボイラによって通常作製されるスチームの形態で、プラズマ放電に水分子を挿入することを記載しており、そのため、全体の処理過程の効率が低下する。
【0011】
米国特許第7,070,634号明細書(4/2006)、ワンによる、「水及び燃料から水素を産するためのプラズマリフォーマー」は、水蒸気と炭化水素の混合気体を水素に変換するプラズマ装置を記載している。反応チャンバは、エミッター電極として作用する外壁及び集電極として作用する内壁からなる。水蒸気と炭化水素の混合物は、非平衡熱プラズマ環境内のそれら2つの層間に導入される。非燃焼熱分解工程は、この環境を生成するために使用される。
【0012】
発行物「超音波キャビテーション場にて、電気プラズマ放電により、ベンゼン溶液中にアモルファスカーボンナノ粒子及び炭素カプセル化金属ナノ粒子の合成」(超音波化学 13(2006)、6−12、東北大学、多元物質科学研究所(IMRAM))に関する、柴田らによる日本出願、特開2006−273707号明細書がある。この刊行物は、ナノカーボン材料を作製するための方法および機器を図示し、これは、通常の乾燥処理に要求されるような高価な作製設備を必要としない。高電圧を印加する必要がなく、作製の前提として稼働環境を悪化させることも質を低下させることもなく、同時に安全性を考慮するため、ナノカーボン材料は、容易に作製される。この方法は、継続的な作製及び回復のため作製効率を改善すること及び大量作製の選択肢を提供することにより作製費用を著しく低下させることができる。方法は、(A)電源に接続される1つのカソード、及び1つのアノードの電極、容器を満たす有機溶媒内の超音波発生器に接続される超音波ホーンを配置する工程、及び(B)超音波ホーンの頭部の周囲に、有機溶媒内に超音波の波により超音波キャビテーション場を発生させ、ナノカーボン材料を作製するのに十分な超音波キャビテーション場内にプラズマ放電を発生させるよう、電極に電圧を印加することにより有機溶媒中の分子の熱分解をもたらす工程を含む。
【0013】
山崎らの米国特許第6,835,523号明細書は、「超音波振動を用いて、カーボン膜を加工するための方法」を記載しており、この方法は、高周波電力供給器に接続される電極の片側に配置される媒体に被膜する炭素を加工する工程である。ここで、超音波振動が目的物に供給される。
【0014】
先行技術(上記引用)は、継続的な動作の制御に欠け、大量の電力を必要とし、産業上実行不可能となり得る。従って、化合物の分解及び新しい化合物の合成を共に行う化学反応を発生させるため、プラズマの使用において実質的に予期される利益を付与するよう、費用対効果レベルで継続的な動作、及び大規模に実現可能な産業上の適用のためのモジュール性を提供する方法及び装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、プラズマを発生させ、液体にプラズマ粒子を当てる方法及び装置を提供する。本発明に係るプラズマ粒子を液体に当てる方法は、液体を気相に浮遊する液滴の混合物に変換すること、及び気相でプラズマ状態を発生させることの基本的概念に依存する。プラズマ粒子は、液体の滴下を通して拡散することが可能である。液体の滴下は、数十マイクロメーター(またはそれ以下)の直径を有し、それにより、液滴のサイズは小さく、気体と液相間の比率は大きくなり、拡散工程は、より効率的で、要求する時間が短い。
【0016】
次の段階は、通常、液相に混合物を戻すことを含む。しかし、プラズマの存在下で行われる1つまたは複数の反応の生成物が1つまたは複数の気体、固体粒子、または他の副生成物を含み得るため、生成物を分離する1つまたは複数の手段が実施され得る。
【0017】
本発明の実施に係る方法は、単一相の水流を二相の液体と気体または液体と蒸気の水流に変換することを含み、高圧域(例えば、パイプラインの内部)から低圧域(例えば、プラズマチャンバ)に蒸気を遷移させることにより成し遂げられ得る。加えて、遷移は、隔壁、超音波流体力学変換器または液体を噴霧することが可能な他の手段を介して行われ得る。
【0018】
方法は、混合物内でプラズマ状態を発生させる。この場合、通常、低圧域内の二相の分解電圧の閾値を超えるレベルで電界を生成することにより、二相媒体の水流を介して行われる。
【0019】
エネルギー消費率は、液体にプラズマ粒子を当てるため、プラズマを発生させ、維持する従来技術と比べ、かなり低下する。本発明に記載の工程の効率が高いことは、本発明の実施に、適応性、拡張性、及びそれゆえのモジュール性を与え、全ての特徴は、大量作製の産業上の実施を容易にする。
【0020】
反応は通常、入口で液体を噴霧するノズル、及び出口にある背圧システムを有する反応装置で行われる。放電を作製する二相水流は、気体と液相間の大きな接点(すなわち、気相水流の液滴)を有する動的なクラスター構造を有する。ノズルの注入口における圧力及び排出口パイプラインにおける対圧を変えることにより、水流の気体と液相の比率、放電の安定した燃焼の体制、従って、プラズマチャンバで作製される化学反応の方向及び速度を変化させることが可能である。
【0021】
本発明に係る装置は、いくつかの適用を実行するための様々なシステムで利用され得る。本開示は、プラズマ粒子の適用を使用し、供給する水を殺菌するための適用を記載する。台風、季節風、地震、洪水、テロリスト攻撃、戦争、または他の種の疫病の余波のような多くの緊急の状況において、供給する水は、有害な生物学的因子で、汚染され得る。これらの場合、水衛生化システムは、水を殺菌する場所に設置され得る。場所は、住宅の建物、工場、病院、または、例えば、危険な生物学的因子を含むテロリスト攻撃の標的となり得る種の建物を含み得る。本発明で具現化される水衛生化システムは、水の殺菌を提供するために、水の発生後、各建物の付属部内に配置され得る。
【0022】
プラズマに生成する様々なイオン粒子、新たに合成される分子(例えばオゾン)、及び大きな分子の分解から生じる分子は、水流を汚染する生物学的因子の不活性化に効果があり得る。本発明で実施する水衛生化装置は、適応性が高く及び多目的に使用できる。例えば、複数の装置は、衛生化スループットを増加させるように組み合わせられ得る。また、注入パラメータを制御する能力は装置の使用者に水に対して発生する各効果(すなわち、UV、IR、オゾン、音波の周波数)を管理することを可能にする。加えて、動作のために必要なエネルギーが少ないため、装置は、太陽エネルギーを動力とすることに適し得る。従って、装置を、必要とする遠隔地に配置することが可能となる。
【0023】
さらには、処理された水は、殺菌レベルが高いことが保証されるため、同一の装置及び/または(例えば、一連に搭載される)複数の装置内で再利用され得る。例えば、供給原料がいくつかの汚染を含むことがあり、それぞれに特定の処理が要求される際には、再循環の段階は、特定の汚染の水を除去するために必要であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る、二相媒体にプラズマ状態を生成するための全体のステップを表すフローチャートを示す。
【図2】液体にプラズマを当てるための本発明を実施するシステムの基本的な構成要素を表すブロック図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るプラズマを液体に当てるためのシステムの一部を表す断面図である。
【図4】流体力学における変換器を利用する本発明の実施形態に係る、液体にプラズマを当てるためのシステムの一部を表す断面図を示す。
【図5】電界を発生させるマイクロ波電源を利用する本発明の実施形態に係る、液体にプラズマを当てるためのシステムの一部を表す断面図を示す。
【図6】本発明の実施形態に係る水を殺菌するステップを表すフローチャートを示す。
【図7】水の衛生化を提供する本発明を具現化するシステムの構成要素を表すブロック図を示す。
【図8】水源が大きな分配網であり、本発明を具体化する装置が消費者の近くで利用されるような地域レベルにおいて、本発明の実施形態を使用するためのシステムを表すブロック図を示す。
【図9】水の衛生化を提供するため、太陽光に依存する本発明を実施するシステムの構成要素を表すブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、液体にプラズマを当てる方法及び装置を提供する。本発明は、気体中に高い電気伝導率を生成し、従来技術が教示するものに比べ、実質的に低いエネルギー要求を使用し、プラズマ状態を起こし、維持することを促す。本発明の実施形態は、気体中に浮遊する液滴の二相媒体を効果的に作製することにより、この場合、成し遂げる。本発明は、プラズマの強度と同様に、当業者が様々な適用に本発明を適用することを可能にする、水滴の大きさ、気体への液体の割合、その局在的に多数の他のパラメータを制御するための手段を提供する。
【0026】
以下の記載において、本発明のより全体にわたる記載を提供するために多くの詳細が明記される。しかし、当業者が、本発明をそれらのさらなる詳細なしに実施し得ることは明らかとなるであろう。他の例において、周知の特徴を本発明を曖昧にしないように詳細に記載されることはなかったであろう。この明細書に続く、特許請求の範囲は、本発明の境界及び範囲を定義するものである。
【0027】
本開示は、他の例示的な適用、及び本発明の実施形態に沿って記載され、本発明を実施するシステムは、生物学的因子での感染が知られる(または潜在的であり得る)水を取り除くことができる。適切な技術を有する専門家は、多数のシステム及び方法が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実行されるよう、本発明の教示に続き、設計され得ることを理解するであろう。
【0028】
専門用語
本開示において「気体」に関しては、物質がその一般の形態(例えば空気)で発見される際の物質の状態を称するため使用され得ることがあるが、他の場合、いくらかのまたは全ての気体特性(例えば、蒸気)を一時的に得た物質に関して使用され得る。同様に、液体に関しては、通常、その液体形態で発見される物質に関して使用されてもよく、及び/または液体一時的に形成しているもの(例えば、濃縮物)、または他の物質(例えば、希釈を介する)と組み合わせた、及び液体を一時的に形成するものに関して使用され得る。それらの状態及び/または状態遷移は、例えば、所定の物質を混合物から分離する遷移状態を使用するため、本発明の実施形態に対し、非常に利益があり得る。
【0029】
一般的な概念
通常の状況下で、気体中の荷電担体(電子及びイオン)の濃度は、非常に低く、気体は非常によい誘電体である。気体は、大量の荷電担体の存在を必要とし、それら荷電担体は、著しい電気誘導性を取るために分極を介して生成され得る。荷電の発生から消滅の間の平衡があると、気体は安定した電気誘導性を取得する。
【0030】
プラズマを人工的に生成する最も一般的な方法は、高電圧下で一組の電極間に電気アークを生成ることを介する。気体中、放電電圧は、気体粒子を分極するため、所定のレベル、すなわち分解電圧に達する必要がある。そこでプラズマ状態は、プラズマを通り維持される電流の通過を介して保たれ得る。
【0031】
気相中の放電の出現または閾値は、著しく気体圧に依存する。従って、分解電圧が一様な場(自立型放電開始電圧)の場合、閾値は、パッシェンの法則に従い、電極管の距離による圧力の生成により決定される。パッシェンは、分極電圧が以下の数式によって決定されることを決定した。
【数1】
ここで、「V」は、電圧における分解電圧であり、「p」は、大気圧であり、「d」は、メートル単位の間隙距離であり、「a」及び「b」は、電極間の特定の気体に特徴づけられる定数である。従って、相対的に非圧縮性である液体と比較して、電気放電の異なる形態は、電極間の気体圧が変わることにより気体において実施され得る。
【0032】
気相において、プラズマを作製する異なる種類の放電が、実施され得る。外部表示、及び電気的パラメータは、各実行と気体を介した電流の通過の状態を決定する様々な基本的工程で使用される機器の広い範囲の技術的特徴と関係がある。
【0033】
本発明に記載の方法は、超高圧域から低圧域に液体を遷移する。従って、液体は、一種の「蒸発」(または気化)現象で、膨張する。この場合の本質的な性質に加えて、本発明の実施形態では、液体を噴霧する1つまたは複数の手段により液体の気化を補助する。例えば、本発明を実行するシステムは、ノズル、隔壁、流体力学変換器、または液滴を作製することが可能な他の手段を利用し得る。遷移により、液体の相の化合物及び物理的特性は、液体のみから液体と気体の二相状態に急激に変化する。この場合の状態は、液体と気体との混合物内で電気放電の生成を容易にする。
【0034】
本発明の実施形態において、気体から液体への比率が増加すると、プラズマ状態の発生が望まれる際に、電気分解を容易にする状態が生成される。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る二相媒体におけるプラズマ状態を生成するための全体のステップを表すフローチャートである。ステップ110において、本発明を具現化するシステムは、供給原料である液体混合物を取得する。供給原料は、1つまたは複数の希釈、懸濁、及び/または乳化物質と任意に混合される、いくつかの数及び種類の液体を含み得る。供給原料の組成物は、使用者により本発明の実施形態を使用する特定の適用を目的とし選択され得る。供給原料は、本発明の出願に記載の反応において、水、電解物、及び分解、合成または促進(例えば触媒)のため標的とされ得る他の物質(例えば油)を含有し得る。
【0036】
ステップ120において、本発明を具現化するシステムは、液相から液体と気体を含有する二相状態に供給原料を遷移する機器を通り、供給原料を流す。この場合、ノズル、隔壁、流体力学変換器、または噴霧器のような液滴を作製することが可能な他の手段を介して液体を流すことにより、成し遂げられ得る。
【0037】
各供給原料のために、液体を二相状態に遷移するパラメータ及び手段が調整され得る。例えば、ノズル開口の大きさ、及び圧力、流体力学変換器の調節のような他の多くのパラメータ、または他のパラメータは、供給原料の密度及び/または組成、または本発明の実施形態を使用する所定の適用の他の要求に従い、調整され得る。
【0038】
本発明の実施において、液体から液体と気体状態への供給原料の遷移は、反応装置への通路で発生するよう設計され得る。反応装置(詳細は以下を参照)は、通常、プラズマを起こし維持する電極を有する槽を含む。
【0039】
ステップ130において、供給原料は、プラズマを起こし、維持する反応チャンバ(単に反応装置と称する)を介して流される。プラズマ粒子の存在、温度、圧力、供給原料の組成は、反応装置で行われる化学反応の種類を決定する。プラズマ状態は、局所的な温度、及び圧力を増加させ、発光、赤外線(IR)放射及び紫外線(UV)放射のような他の効果を発生する。化学結合の切断及び遊離基の遊離を以下に示し得る。例えば、流体が水であった場合、プラズマ状態は、流体に重要な効果を有する、オゾン及びOH遊離基を発生し、極めて反応性がある酸化的雰囲気を負う。
【0040】
反応チャンバにおいて、安定で変化しない電気プラズマ放電が実現され得る。それら安定な特性は、各媒体のために計測されてもよく、それゆえ、所望の適用に係る特定の技術的役割を果たすよう、データを制御し、パラメータを調節することにより、燃焼パラメータを最適化することが可能になる。燃焼特性の安定が付与されると、本発明は、要求または電力を容易に調節することが可能となる。
【0041】
ステップ130において、反応生成物によって分離される他のステップは、本発明の実施形態において、開始される。
【0042】
ステップ140において、液体と気体の供給原料の水流は、液体状態に戻るよう変換される。しかし、他の固体及び/または気体化合物が、反応装置内で行われる反応から得られ得るため、それら化合物は、液相への変換を要求しない他の手段(以下参照)を介して分離され得る。
【0043】
図2は、液体にプラズマを当てるための、本発明を実施するシステムの基本的な構成要素を表すブロック図である。ブロック220は、1つまたは複数の供給原料源(供給原料槽とも称する)を表し、供給原料を保存する及び/または供給原料の混合物を調整するためのタンクであり得る。加えて、ブロック220は、供給原料を継続的に供給するためのパイプラインを表し得る。供給原料槽220は、ブロック230で表される事前処理システムを供給する。供給原料は、ポンプ、パイプライン、及び供給原料を運ぶために要求される他の機器を使用して、供給原料源220から事前処理システムまで運ばれ得る。
【0044】
ブロック230は、加熱器、冷却システム、バキューム及び/または圧縮機器及び本発明の実施形態に記載のプラズマでの液体の処理の前に供給原料を処理することに有益となり得る他のシステムを含み得る、1つまたは複数の事前処理システムを表す。本発明を実施する装置は、事前処理システムが提供する高い多用性のため、温度、圧力、密度及び他との濃度のような動作パラメータを容易に変化し得る。多くの方法で構成される事前処理システムの能力は、供給原料にプラズマを当てること及び/または供給原料の種類の各々に所望の結果のために、本発明の実施形態が安定したプラズマ放電を起こし維持するパラメータの最適な設定を提供することを可能にする。
【0045】
ブロック240は、データ収集・処理・制御システムを表す。本発明を具現化するシステムのいずれかの構成要素は、システムを制御するためのデータを収集し送信するよう構成され得る。例えば、温度及び圧力のような環境パラメータは、動作のいずれかの段階で計測されてもよく、データは収集され、処理される。さらに、制御システムは、システムの機器を制御し、動作を最適化するためにフィードバックデータを使用するよう構成され得る。例えば、制御システムは、反応装置内の圧力を上昇または低下させるため、所定の化学反応によって要求される圧力レベルを、及び反応装置、事前処理システム、後処理システムまたは本発明を具現化するシステムの他の構成要素を通る流量を最適化するためにポンプを制御し得る。
【0046】
圧力をかけた水流を事前処理システム230を通して、高圧パイプライン235を通り、
反応装置260へ流す。設計により、反応装置260の大きさは、液体の浸入により、液体が反応装置内に広がるように設定され得る。
【0047】
本発明の実施形態において、反応装置前の媒体の圧力は、例えば、1〜100atmの範囲であり得、一方、反応装置内の圧力は、0.1〜0.8atmの範囲であり得、反応装置後の圧力は、0.5〜4atmの範囲であり得る。ノズル領域で計測される圧力は、通常0.1atmであり得、反応装置前の液体の圧力は、100atmであり得る。
【0048】
本発明の実施形態において、プラズマチャンバ260は、誘電材料から作成され、放電電極の役割を行う金属封入プラグがある間の2つの部分を含む。第2電極は、部材のパイプライン電機子に接続され得る。
【0049】
放電の体制は、複数の結果を成し遂げるために適切であり得、以下に様々な放電の励起の例を示す。
・放電は、安定抵抗を通り、整流装置からの一定電圧で存在し得る。
・放電は、分解電圧に荷電されるエネルギー保存機器(例えば、蓄電器)から存在し得る。
・放電は、代替電圧源(例えば、30〜50kHzの周波数を有する)から存在し得る。試験的な場合において、プラズマは、100atmの圧力(すなわち、先の反応装置の圧力)、及び10KVの放電電圧または上述のものを用いて誘発される。定常な体制において、65atmまたはそれ以下に下げられてもよく、チャンバのジオメトリーに依存する電極間の電圧は、500〜4000V(またはそれ以上)の間であった。放電電流は、数百mA〜数Aの間にあった。
【0050】
反応装置260は、反応装置内に生成される環境を制御するための複数の機器を含み得る。例えば、反応装置は、圧力計、温度計、真空計、または他のセンサのようなセキュリティーセンサ一式によって始動され得るエネルギー放出弁を含む。反応装置は、反応装置内に試薬を添加するため、1つまたは複数のノズルを含む。
【0051】
二相媒体の気体/液体比率を改善するために、開示される方法を利用する適用に従い、ノズル、隔壁、流体力学変換器は、さらに気体と液体混合物の生成を強化するため使用され得る。本発明の実施形態において、いくつかの異なる種類のプラズマは、反応チャンバに最小の変化を用いて作製され得る。この場合、例えば、電源供給部(例えば、ブロック250)の動作パラメータを修正することにより成し遂げられ得る。
【0052】
ブロック250は、1つまたは複数の電力供給システムを表す。電力供給部250は、電気放電を制御するために使用されてもよく、また、本発明を具現化するシステムを最適に使用するための動作パラメータを調整するため、制御システム240によって制御されるよう構成され得る。
【0053】
反応装置260を通過した後、水流は、狭いパイプライン265を通り、ブロック270によって表される1つまたは複数の後処理システム内に流れる。反応装置後の圧力レベルは、狭いパイプラインの直径を用いて設定され得る。
【0054】
ブロック270は、液体水流を液体の単一相水流に戻し変換するために、二相水流を濃縮する1つまたは複数の手段を含む1つまたは複数の後処理システムを表す。本発明の実施形態に記載の後処理システムは、少なくとも1つの冷却機器、少なくとも1つの圧縮機器、少なくとも1つの濃縮機器、及び本発明の特定の実施に利益を生み得る他の機器の組み合わせを含む。供給原料が2つ以上の物質の組み合わせを含有する、または一般的にプラズマ処理の生成物が1つ以上の物質を含有する液体となる場合において、後処理システムは、いくつかのステーションを含み得る。例えば、本発明に記載の後処理システムは、それぞれ別に独立した物質を収集するいくつかの後処理ステーションを含み得る。この場合は、各ステーションが目的物質またはその組み合わせの濃縮を可能にする温度及び/または圧力を提供する複合濃縮ステーションを提供することにより、明確な濃縮温度を所有する物質の場合において成し遂げられ得る。
【0055】
生成物及び/または残存する液体は、流しタンク280に収集される。未使用の供給原料を完全に利用するために、タンク280及び210はシステムの閉ループ動作に接続され得る。
【0056】
本発明を具現化するするシステムの構成要素は、上述したように、平行に及び/または一連に拡張され、搭載され得る。適用を産業レベルに調整するために、システムの変形は、また1つの段階が1つの場所で行われることを許可し、使用及び/またはさらなる処理のために他の場所に液体及び/または気体が運ばれる。
【0057】
二相媒体及びプラズマ粒子を発生させるための手段
各種供給原料のために適用に応じて、最適なパラメータ一式がある。けれども、反応装置内で安定したプラズマ放電となるためのパラメータの組み合わせの範囲は広い。純粋な液体においては、それら最適なパラメータを計算すること、また実験的に決定されるべき混合物においてはそれらを理論上予測することが、可能である。
【0058】
放電の電力源のパラメータ及び反応容器の特性を変えることにより、気体/液体比水流内で光を放つプラズマの工程に影響を及ぼすことが可能である。
【0059】
さらなる超音波器具が、いくつかの他の適用の可能性を提供し、しかし欠くことができない特定の適用において使用され得る。さらに、注入口にある部材は二相媒体を発生させるほかに、超音波を発生させる機能をも有する。
【0060】
本発明の実施形態において、単一相水流はノズル、隔壁または流体力学変換器を介して、高圧域から局所的な温度で上述の水流の蒸気圧よりも低い圧力の場所へ押し込まれる。単一相水流は液体として加速する。その後、ノズル、隔壁または流体力学変換器の展開領域で、蒸気圧よりも低い圧力でジェット水流の急速通過が行われる。急速通過現象は、急な断熱相の変化であり、そのため、急速通過現象は、この場において、不連続であるように思われ、蒸発波工程を介してノズルから上昇する、液体の中心の表面に現れる。
【0061】
不連続な蒸発の下降水流は、継続相が液滴を分散した気体である二相水流を形成する。この水流は、局所的な音波速度を超えて、非常に早く届き、詰まった流れを得、背圧(すなわち、チャンバ内)が低下すると、流量に上昇は起こり得ないことを意味する。
【0062】
一般的に、二相水流における音波の速度は、液体(水)における音波の速度のみならず、気体(蒸気)における音波の速度よりも十分に遅い。
【0063】
例えば、一般的な状況下において、水における音の速度は、約1500m/sであり、空気における音の速度は、約340m/sである。部分的な体積の比率が0.2〜0.9の範囲にある、空気と水の二相混合物において、音波の速度は、20〜100m/sの制限内にある。混合した相の部分的な体積「β」の比率は、
β=Vg・(Vg+Vw)−1
によって付与され、ここで、「Vg」は、気体/空気の体積であり、「Vw」は、水の体積である。音の速度の最小値は、0.5の体積比率「β」において20m/sである。真空度が高い場合、音波の速度は、毎秒数メートルに減少し得る。
【0064】
本発明の実施形態において、その後、発展工程は、衝撃波を用いて行われてもよく、流水圧は、流体における所望の効果に対して、背圧により急激に安定化する。
【0065】
図3は、本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるシステムの部分断面図を示す。パイプライン302の液体301は、高圧Pの領域からプラズマチャンバ303にある低圧域に流れる。高圧から低圧への遷移は、パイプライン内の単一相水流をプラズマチャンバ303内で二相気体/液体高比率水流へと変換する。電極304及び305は、意図される適用の必要性に応じ、プラズマチャンバ303内に配置される。電極は、安定したプラズマ放電の燃焼の発生及び維持を提供する電圧源に接続される。放電域315を通過した後、二相水流は、単一相水流に戻し濃縮する、パイプライン317の狭い領域内を流れる。弁314は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0066】
図4は、流体力学変換器を利用する本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるためのシステムの部分断面図を示す。本発明の実施形態において、流体力学変換器は、隔壁416及びより大きな直径のパイプライン402の領域であり得、隔壁416を通り通過する水流の気体/液体比率の上昇により、二相水流の発生を改善する。電極404及び405は、本発明の特定に意図される適用の必要性に応じて、プラズマチャンバ403内に配置される。電極は、電圧源に接続され、安定したプラズマ放電の燃焼の発生及び維持を提供する。放電域415を通過した後、二相水流は、単一相水流に戻し濃縮する、パイプライン417の狭い領域を流れる。弁414は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0067】
金属電極の使用が望まれていない適用において、例えば、液体内で電極の金属から金属イオンの遷移を避けるために。本発明の実施形態は、高周波(HF、UHF)及び/またはマイクロ波(MW)放電を利用してもよく、さらに、安定性を損失することなく、高電力の放電を伝達することを可能にする。
【0068】
図5は、電界を発生させるマイクロ波電力源を利用する本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるためのシステムの部分断面図を示す。図5に表す例において、流体力学変換器516が利用されてもよく、より大きな直径のパイプライン502がある。放電域515は、マイクロ波電源507に接続される、振動子によって放射される。マイクロ波電源のように、例えば、フェライト弁508を介して接続されるマグネトロンを使用することが可能である。図5はさらに、膜状の形態で、反応チャンバ503内に配置され、さらに、二相水流の均質化を促進する流体力学的放射体518を示す。放電域515を通過した後、二相水流は、単一相水流に濃縮するパイプライン517の狭い領域に流れる。弁514は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0069】
本発明は、複数の適用を行い、それぞれ、特定の到達点に達するよう設計され得る、基本的な方法及び装置を提供する。プラズマ粒子を液体に当てる到達点は、多数あり、各特定の適用は、1つまたは複数の物質の分解に至る化学反応を発生させ作製るよう設計され得る。他の実施形態において、到達点は、供給原料に存在する初期生成物から開始される新規生成物の合成であり得る。しかし、他の実施形態において、到達点は、他の生成物が合成される一方、化合物一式の両分解物の組み合わせであり得る。プラズマ物理学、工学、化学、及び生化学のような1つまたは複数の専門技術領域を有する当業者は、液体の周囲の高く制御することが可能な環境において、プラズマを発生する手段を提供することにより、本発明は、それら到達点が、例えば、廃水から毒素を除去するために、いくつかの物質を分解すべきであり得る多数の適用への方法、水素分子の形成のような分子の合成、またはそれらの組み合わせを開示することを理解するであろう。
【0070】
水を衛生化するための方法及び装置
本発明は、水を殺菌するための方法及びシステムを提供する。本発明が以下に教示するような、プラズマの液体への適用の組み合わせにおけるプラズマが存在する反応装置内で生じる状況(上述の説明を参照)は、消費者に危険を提起し得る生物学的因子を水からの除去することに適した環境を提供する。
【0071】
図6は、本発明の実施形態に記載の水を殺菌するステップを表すフローチャートである。ステップ610において、有害な生物学的因子を潜在的に含有する供給する水を本発明を具現化する殺菌システムに齎す。ステップ610は、ろ過、デカント、化学物質の混合及び/または前処理の他のステップを備える、前処理の他のステップを含む。
【0072】
ステップ620において、水は、気体中に浮遊する液滴を含有する二相混合物を生成するため反応装置内に挿入される。反応装置は、反応チャンバ内にプラズマを発生させるために使用される一組の電極を含む。ステップ630において、プラズマは例えば、高圧電流を、電極を通り通過させることにより生成される。複合水殺菌因子は、プラズマの生成に伴う。殺菌因子の中には、紫外線放射(UV)、赤外線放射(IR)、オゾン、及び超音波振動の衝撃がある。例えば、上記に特定されるパラメータ(200〜2000ボルト/cm)を使用して、波長約320nmのUV、及び波長840nmのIRをプラズマチャンバ内に発生させる。
【0073】
以下の表1は、プラズマの存在下で産する殺菌の概要、及び水中の生物学的因子に適用する殺菌の予期される効果を記録する。
【表1】
表1:プラズマの存在下で反応チャンバ内に存在する因子、及びそれらの生物学的因子における殺菌効果
【0074】
本発明により提供される液相に含有される生物学的因子へのプラズマの接近により、殺菌効果を有する既知のいくつかの因子が直接、生物学的汚染にも最も近い媒体内に発生する。
【0075】
曲がりにくいUV光(短波長)は、生物学的因子の破壊に最も効果的である。電界の圧力が上昇すると(すなわち、上述の圧力の範囲(200〜2000ボルト/cm)の上限への推移)、200ナノメートル及びそれ以下のUVの波長は、着実に低下する傾向にある。この場合において、高濃度のオゾンをプラズマチャンバ内に発生させる。
【0076】
周波数15〜40kHzの超音波(US)は、生物学的因子を不活性化させることが可能である。この場合、最初の水は、流体力学変換器を通り、プラズマチャンバ内へ移動する。流体力学変換器は、上述の範囲の周波数に準備段階で、調節されてもよく、またプラズマチャンバに入口ノズルの機能をさせる。
【0077】
本発明の実施形態は、処理の抗菌特性を増加させ得る銀またはチタンのような金属から製造される電極を利用する。放電域へのロッド状の電極の導入は、オゾンによる水の衛生化となる。その高い酸化特性及び生物学的因子の生化学における影響により、オゾンは、細菌及び多くの種類の微生物の不活化に極めて効果的である。
【0078】
放電の電流の量が大きい場合、紫外線から赤外線までの波長の広い範囲の激しい放射が観察される。この場合は、プラズマ及び液体の化学的に活性な粒子の形成を促進する。音波及び電気のパラメータを変えることにより、発せられる放射の波長を制御することが可能であり、すなわち、放射スペクトルが300〜600ナノメートルに設定される広いスペクトルの紫外線放射を発生する。この場合は、また、紫外線が、遺伝子物質を破壊し、生物細胞壁に浸透するため、水の衛生化に有利である。
【0079】
流体力学変換器は、超音波場を媒体に発生させ、微生物及び汚染物質へのプラズマ放電生成物(オゾン、酸素原子、酸素イオン、及び他の酸化物)の加速した大量の運搬を提供する。この場合、プラズマ放電生成物は、微生物及び汚染物質に短期間で影響を及ぼし、衛生化は効率的である。
【0080】
本発明に記載の反応装置は、殺菌因子のみ(例えば、オゾン、紫外線、及び超音波など)の作製に加えて、2つ以上の後者の因子を同時に作製し得る。2つ以上のそれら因子の組み合わせは、効果が重複するため、より効果的である。
【0081】
紫外線(UV)光は、10nm〜400nmの範囲内の電磁的放射のスペクトルである。水の衛生化にUV光を使用する可能性は、数十年間で既知である。UV光は、細胞体に浸透し、生物において、すべての遺伝子情報の保存及び発現を補助するデオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を破壊し、そのため、再生を妨げるか、細胞を死滅させる。UV処理は、水の化学特性を変更させない。エネルギーを除いて、付加されるものはない。理想状況下で、UV処理は、すべての細菌の99%より多くの減少を提供する。
【0082】
オゾンは、酸素(O2)分子がエネルギー源によって酸素原子内に解離され、水を殺菌するために使用される不安定な気体、オゾン(O3)を形成するために、酸素分子を実質的に衝突させる際に作製され得る。オゾンは不安定で生成後短期間で元素である酸素に分解されるため、施設内で生成される。オゾンは、非常に強い酸化剤であり、殺菌剤である。オゾンを使用する殺菌の機構は、
・細胞の外側の細胞成分の漏出を用いて、細胞壁の直接の酸化/破壊
・オゾン分解のラジカル副生成物との反応
・核酸の成分(プリン及びピリミジン)への損傷
【0083】
水中のオゾン分解の際に、ヒドロぺルオキシ基(HO2)及び水酸基(OH)のような遊離ラジカルが形成され、優れた酸化能力を有し、殺菌工程において、活性剤の役割を担う。細菌は、細胞壁の崩壊による原形質の酸化のため破壊されると一般的に信じられる。
【0084】
オゾン殺菌の主な利点は、オゾンが、ウイルス及び細菌を破壊する点において、塩素よりもより効果的であることである。オゾンが急速に分解されるため、酸化後除去されるべき有害な残渣はない。酸化後、廃水流の粒子によってそれらが保護される場合を除いて、微生物の再成長はない。
【0085】
レーザーのような赤外線放射(IR)は、金属物質上の細菌の胞子を滅菌するため使用され得る。例えば、Baca(米国特許第6,740,244号明細書)は、歯科用ハンドピースに使用される近点近赤外レーザー水処理装置が開示されたことを開示する。
【0086】
本発明の実施形態において、IR衛生化は、プラズマ放電によって熱的に成し遂げられ、水流に遠赤外光線を含有する赤外光線を照射し、それにより、急速に衛生化される目的物表面が細菌の致死温度まで加熱される。
【0087】
「液体の殺菌のためのミクロブラストを導入したレーザーの適用」(オーストラリア及びニュージーランドのモデリング&シミュレーション学会、1997年)において、S.Gribin、V.Assaoul及びB.Spesivtsevinは、100MPaを上限とする圧力の状態で微生物が生存することを示す。しかし、脈動圧力においては、この値は、劇的に低下する。例えば、50Hzの周波数で、5〜10秒間に7MPaの振幅で、重要な細菌学的効果を有する。破壊波の大きさは、およそ1〜30mmであり、微生物の大きさである特徴よりも大きく1000倍を超えると細菌の機械的な破壊が可能になることを意味する。微生物に影響を及ぼすよう要求される圧力振幅(△P)の最小値があり、それらのうち1つにそれぞれ特徴があり、実験的に決定される。
【0088】
ステップ640において、二相水流は、上述のように水溶液に戻される。処理の有効性のための試験は、ステップ650にて実施され得る。水が衛生的なレベルに殺菌されていることが分かった場合、水は、ステップ660にてシステム(例えば、殺菌ステーション)から外へパイプを通して運ばれ、さもなくば、水は、任意にさらなる処理のために反応装置内に戻るようパイプを通して運ばれる。
【0089】
実験は、150mA〜5Aの電流の放電に続いて、同じ種類のウイルスから水が効果的に殺菌されたことと同様に、微生物の成長が完全に停止したことを示す。電力密度は、従って、およそ8kj/kgである。試験は、大腸菌(E.coli)及びルテウス菌が運び出された水溶液を用いて調べる。5Aを上限として放電電流の増加は、放電域を通る溶液の単一な通過後、細菌の成長の終了を導く。作られた作物は、直接、顕微鏡観察に対応する5分の感化後、部のコロニー形成が真に減少したことを示している。10分の処理後、サンプルに大腸菌は見つからなかった。その後、15分後、ルテウス菌も除去された。この場合、処理水は、室温で少なくとも10日間保存したが、無菌状態が維持された。上限5Aの放電電流の増加は、放電域を通る溶液の単一な通過後、細菌の成長の終了を導く。
【0090】
図7は、水の衛生化を提供する、本発明を具現化するシステムの構成要素を表すブロック図である。ブロック702は、潜在的に生物学的因子に汚染される(または汚染が既知である)真水源を表す。そのような源は、水の殺菌、欠陥があるもの(例えば、テロリスト攻撃の結果のような)の殺菌、または天然水源(例えば、泉、湖、または河川)の殺菌のグリッドの部分であり、それらの水は、細菌に汚染され、消費に適していないことを疑われ得る。
【0091】
本発明を具現化するシステムは、グリッドによって、及び/または独立した方法で分配される、水を処理するために利用され得る。例えば、本発明を具現化する装置は、エネルギーの点で、運搬でき、自立型であり(以下参照)、消費できる水を提供するために、遠隔地で稼働することが可能である。さらに、水を衛生化するシステムは、水を処理する能力を増加する、本発明を具現化する複数の装置を利用し得る。ブロック704は、本発明を具現化する複数の装置を供給するため、主水源からの水の流れを分配するシステムを表す。
【0092】
ブロック700は、図6に記載の方法のステップを実行する本発明を具現化する装置一式の構成要素を表す。装置は、水源から水を運ぶために1つまたは複数のポンプ(例えばブロック710)を含み得る。装置は、反応装置に水を挿入する前に水を加熱するために、1つまたは複数の加熱器720を含み得る。装置は、1つまたは複数の高圧パイプライン730を含み得る。上述のように、様々な機器に加えて、高圧が、液体と気体を含む混合物のみに液体から水流を変換することを齎す。
【0093】
ブロック740は、プラズマを発生させ、プラズマにより作製される殺菌因子を、生物学的因子を含有する水滴と接触させる場である反応装置を表す。上述のように、反応チャンバ内には、1つまたは複数の因子がプラズマの発生によって作製され得る。本発明を具現化する装置は、1つまたは複数の熱交換器(例えば、ブロック750)を含み得る。熱交換器は、水の温度を、水供給システムの後の段階に送達するために使用されるレベルにするために利用され得る。水が単一液相に戻ると、水は、殺菌の効果を調査され得る。プラズマ処理に晒された水(またはその一部)は、さらにそれを衛生化するために、閉ループにて、反応装置に戻され得る。例えば、閉ループ回路は、反応装置の下流にあるシステムのいずれかの構成要素と、反応装置の上流にあるいずれかの構成要素間に設計され得る。
【0094】
例えば、重複性を提供するため、及び/または処理能力を増やすため本発明を具現化する多様な装置が、水分配システムに接続され場合、装置からの水は、ブロック760によって表される1つまたは複数の流れ変換手段を介して、流される可能性がある。流れ変換手段は、処理された水を収集し、ブロック770によって表される水分配網に水を流す。ブロック770は、代替的に、1つまたは複数の水保存及び分配手段(例えば、タンク及び貯水池)である。
【0095】
図8は、水源が大きな分配網であり、本発明を具現化するための装置が消費者の近くにあるような局所レベルで本発明の実施形態を使用するシステムを表すブロック図である。本発明の装置の利点の1つは、利便性のために多くの場所で、使用者が装置を搭載でき、能力の増加及び/または冗長性を提供するために、複数の部材を設置する、その多能力さと順応性である。
【0096】
図8の図示が担い得る通常の例は、水の処置が局所レベルで望まれるか、または要求される場合(例えば、集合住宅ビルまたは戸建住宅)である。この場合において、1つまたは複数の装置が水分配の最後の段階において、各場所に設置され得る。
【0097】
ブロック810は、都市の水処理設備のような主要水供給源を表す。ブロック820は、水分配システムを表す。両段階は、水を消費者に適さないようにする生理活性因子を使用するテロリスト攻撃の場所であり得る。さらに、一度、生物学的因子が水中にあるために、それらは、再作製し、貯蔵及び分配システムから除去することが困難になり得る。
【0098】
ブロック830は、例えば、ビルに水を供給する水発生源を表す。ブロック700によって表されるような本発明で具現化される装置は、ビルへの主要な水の供給とビル内の分配網間に設置され得る。ブロック850は、水の分配網を表す。この場合、ビルで、消費者から水分配ステーションに繋がる最後の水の接続があり得る。
【0099】
図9は、水の衛生化を提供する太陽エネルギーに依存した本発明を実施するシステムの構成要素を表すブロック図である。この場合のシステムは、光を捕らえ(例えばブロック900によって表されるように)、電力に光を変換する太陽光発電パネル(例えば910)のアレイによって電力を供給する。システムは、太陽光が利用できない間の動作のために一組の予備バッテリ(例えば、ブロック940で表されるような)を含み得る。システムは、太陽からエネルギーを捕らえ、それを電力に変換する、太陽光発電パネル(例えば、京セラパネル210GH−2PH、効率16%)を利用し得る。
【0100】
ブロック920は、水の殺菌装置700への電力の供給を管理し、バッテリ一式940への電力の保存を管理し、バッテリ一式から必要時、水衛生化装置に動力を与えるため電力を戻し回復する、電力供給及び制御部を表す。電力は、システムの出力を向上し、同時に、バッテリアレイ(例えば、SGMディープサイクル、24V 480Ah)を荷電するために使用される。電力供給及び制御システム部は、電気回路とともに、水処理、電力供給、電力保存、及びバッテリからの電力回復を管理する能力を提供することが可能となる。電力供給及び制御部は、動作の最適なパラメータを正確に決定するため、複数の情報データ(例えば950)を受信し得る。例えば、システムのスループットは、使用する水の流れ、予備の水、または、システム性能を最大にするのに役立つ、他のパラメータ(例えば、低いエネルギー要求)に依存する。
【0101】
本発明の実施形態は、人道的な使命を担うよう設計され得る。例えば、電気が利用できない、及び水源が汚染され得る場所を除いて、システムは、地域社会に引用に適した水を提供することが可能となり得る。最近のシステムは、水を殺菌する主な機能に加え、他の能力を有するべきである。重要な任務の動作体制、極端な気候条件(例えば、他の中でも高温及び高湿、季節風の季節)、他の中でも自立型で無人の継続的な動作を継続することが可能であるべきである。例として、30m2の太陽光パネルアレイを用いた上述の実施形態は、衛生化され飲用に適した水を、1日に、地域社会の3000人の要求量を満たす6000リットル提供することができるであろう。
【0102】
従って、プラズマ粒子を液体に当てることを可能にする方法、システム及び装置は、水の衛生化のような複数の適用を可能にする手段を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と気体との混合物中にプラズマを発生させる方法、及びそのための装置に関する。より詳細には、本発明は、様々な化学的及び物理的相互作用を促進させるために、プラズマを発生させ、気体環境に浮遊する液滴にプラズマ粒子を当てるための方法及び装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、物質の粒子が、高エネルギー条件下においてイオン形態で自由に流動できる物質の状態である。プラズマ状態は、小さな空間に閉じ込め、多量な電気エネルギーを放電することにより、人工的に発生させることができる。
【0003】
高エネルギーの局所的適用が要求されるいくつかの工業上の利用は、プラズマを利用する。例えば、海水中での溶接に用いられるような水溶性電解質中のアーク放電は、広く技術及び建築に使用される。
【0004】
プラズマを用いて利用され得るエネルギーをかなりの量、及びそのような適用において、空間を制御するレベルを付与すると、期待され得るプラズマを使用する工業上の利用の数は、かなりの量となる。しかしながら、現在は、液体媒質での定常プラズマ放電の唯一既知な形態は、液状の水中でのアーク放電である。
【0005】
近年、水中の電気アーク放電は、いくつかの物理化学実験、及び様々な物質の合成において使用されている。液体媒体におけるアーク放電に特有の特徴は、電極末端の近くのプラズマ領域の局在性及び電流電圧特性の「低下」形態である。
【0006】
従来技術は、液体内にプラズマを発生させる試みのいくつかの例を提案している。米国には、気体及び相状の気泡が存在する液相内にプラズマ放電を発生させるための、及び、例えば、解毒に使用され得る、化合物の分解、物質の熱分解のような化学的過程を引き起こすこの放電を使用するための方法及び装置を記載する多くの特許及び公開済みの特許出願がある。
【0007】
野村らの米国特許第7,067,204号明細書(2006年)において、「水中式プラズマ発生装置、液中プラズマ発生方法、及び液中プラズマによる有害物質分解方法」が提案されている。液中にプラズマを発生させる方法及び装置が記載される。装置は、プラズマを発生させるために、液中に気泡を発生させるための超音波発生装置と、液中から液体に電磁波を継続的に照射する電磁波発生装置を含む。液中にプラズマを発生させる方法は、液中に超音波を照射することにより液中に気泡を発生させる工程と、液中から気泡へ継続して電磁波を照射することにより、液中にプラズマを発生させる工程とを含む。本発明は、加熱機器、減圧機器、または超音波発生装置のような液体媒体内に気泡を発生させる様々な方法を含む。この場合に記載される気泡発生方法により成し遂げられる気体−液体比率は、小さい。基本的に、液相は媒体に広がる。従って、放電の安定した燃焼域は、非常に小さく、その結果、機器を適用する用途が非常に狭くなっている。
【0008】
ロング及びレイモンドの米国特許第5,270,515号明細書(1993年)において、「マイクロ波プラズマ解毒反応装置及び危険廃棄物の処理」が提案されている。ダイオキシン、フラン及び他の毒性物質の元の位置での解毒のための大量のマイクロ波プラズマ処理を開示する。低誘電損失な配管である、ヘリカルコイル及びシリンダーを、交差分極流体注入口から交差分極蒸気排気口まで延在するマイクロ波共振空胴内に同軸に配置する。コイルシリンダーを通過する流体は、空胴内に導入されるマイクロ波エネルギーによって、プラズマ状態に直接分極される。シリンダーに関連するコイルのジオメトリーは、シリンダーの中央にプラズマを圧縮する磁場をプラズマに誘導し、そのため、シリンダー壁の炭化を防ぐ。上述のジオメトリーは、また、液体及び固体廃棄物の処理のための全体の落下速度がより遅くもなる。処理過程及び装置は、移動式の適用、有害な廃棄物の現地処理に特に適している。この場合の装置において、液体媒体は、分極のため、マイクロ波照射によって処理される。しかし、この場合の方法は、複雑な機器及び高エネルギーなマイクロ波照射を要求し、液体の限られた範囲にのみ適用され得る。この場合の発明において、マイクロ波は、プラズマを作製するコイルシリンダーを通過する流体を分極させるために使用され、大量のエネルギーを消費する。
【0009】
チャンらの米国特許第4,886,001号明細書「液体廃棄物のプラズマ熱分解のための方法及び装置」において、廃棄物質を熱分解するための方法及び装置が開示されている。方法は、生成気体及び固体微粒子の混合物を形成するため、5000℃を超える動作温度を有するプラズマトーチに廃棄物及び水の混合物を挿入することを特徴とする。気体及び微粒子は、サイクロン分離器で分離される。第2サイクロン分離器及び部分真空は、微粒子からキャリーオーバー気体を分離する。キャリーオーバー気体及び微粒子は、気体からキャリーオーバー微粒子を除くため、及び気体中に存在する塩酸(HCl)を中性化するためスクラッバで苛性アルカリ溶液及び水を用いて処理される。最後に、気体がスクラッバから除去される。最近の装置では、プラズマは、高温源としてのみ、物体の分解のために使用される。
【0010】
米国特許出願第2004/0265137号明細書(12/2004)、及び米国特許第7,384,619号明細書、共にBar−Gaddaによる「プラズマで水またはスチームから水素を発生させる方法」において、アーク放電を用いた場合と同様に、極超高周波または低周波に励起されるプラズマ放電を使用して水またはスチームから水素を産するための方法が提案されている。Bar−Gaddaは、給湯ボイラによって通常作製されるスチームの形態で、プラズマ放電に水分子を挿入することを記載しており、そのため、全体の処理過程の効率が低下する。
【0011】
米国特許第7,070,634号明細書(4/2006)、ワンによる、「水及び燃料から水素を産するためのプラズマリフォーマー」は、水蒸気と炭化水素の混合気体を水素に変換するプラズマ装置を記載している。反応チャンバは、エミッター電極として作用する外壁及び集電極として作用する内壁からなる。水蒸気と炭化水素の混合物は、非平衡熱プラズマ環境内のそれら2つの層間に導入される。非燃焼熱分解工程は、この環境を生成するために使用される。
【0012】
発行物「超音波キャビテーション場にて、電気プラズマ放電により、ベンゼン溶液中にアモルファスカーボンナノ粒子及び炭素カプセル化金属ナノ粒子の合成」(超音波化学 13(2006)、6−12、東北大学、多元物質科学研究所(IMRAM))に関する、柴田らによる日本出願、特開2006−273707号明細書がある。この刊行物は、ナノカーボン材料を作製するための方法および機器を図示し、これは、通常の乾燥処理に要求されるような高価な作製設備を必要としない。高電圧を印加する必要がなく、作製の前提として稼働環境を悪化させることも質を低下させることもなく、同時に安全性を考慮するため、ナノカーボン材料は、容易に作製される。この方法は、継続的な作製及び回復のため作製効率を改善すること及び大量作製の選択肢を提供することにより作製費用を著しく低下させることができる。方法は、(A)電源に接続される1つのカソード、及び1つのアノードの電極、容器を満たす有機溶媒内の超音波発生器に接続される超音波ホーンを配置する工程、及び(B)超音波ホーンの頭部の周囲に、有機溶媒内に超音波の波により超音波キャビテーション場を発生させ、ナノカーボン材料を作製するのに十分な超音波キャビテーション場内にプラズマ放電を発生させるよう、電極に電圧を印加することにより有機溶媒中の分子の熱分解をもたらす工程を含む。
【0013】
山崎らの米国特許第6,835,523号明細書は、「超音波振動を用いて、カーボン膜を加工するための方法」を記載しており、この方法は、高周波電力供給器に接続される電極の片側に配置される媒体に被膜する炭素を加工する工程である。ここで、超音波振動が目的物に供給される。
【0014】
先行技術(上記引用)は、継続的な動作の制御に欠け、大量の電力を必要とし、産業上実行不可能となり得る。従って、化合物の分解及び新しい化合物の合成を共に行う化学反応を発生させるため、プラズマの使用において実質的に予期される利益を付与するよう、費用対効果レベルで継続的な動作、及び大規模に実現可能な産業上の適用のためのモジュール性を提供する方法及び装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、プラズマを発生させ、液体にプラズマ粒子を当てる方法及び装置を提供する。本発明に係るプラズマ粒子を液体に当てる方法は、液体を気相に浮遊する液滴の混合物に変換すること、及び気相でプラズマ状態を発生させることの基本的概念に依存する。プラズマ粒子は、液体の滴下を通して拡散することが可能である。液体の滴下は、数十マイクロメーター(またはそれ以下)の直径を有し、それにより、液滴のサイズは小さく、気体と液相間の比率は大きくなり、拡散工程は、より効率的で、要求する時間が短い。
【0016】
次の段階は、通常、液相に混合物を戻すことを含む。しかし、プラズマの存在下で行われる1つまたは複数の反応の生成物が1つまたは複数の気体、固体粒子、または他の副生成物を含み得るため、生成物を分離する1つまたは複数の手段が実施され得る。
【0017】
本発明の実施に係る方法は、単一相の水流を二相の液体と気体または液体と蒸気の水流に変換することを含み、高圧域(例えば、パイプラインの内部)から低圧域(例えば、プラズマチャンバ)に蒸気を遷移させることにより成し遂げられ得る。加えて、遷移は、隔壁、超音波流体力学変換器または液体を噴霧することが可能な他の手段を介して行われ得る。
【0018】
方法は、混合物内でプラズマ状態を発生させる。この場合、通常、低圧域内の二相の分解電圧の閾値を超えるレベルで電界を生成することにより、二相媒体の水流を介して行われる。
【0019】
エネルギー消費率は、液体にプラズマ粒子を当てるため、プラズマを発生させ、維持する従来技術と比べ、かなり低下する。本発明に記載の工程の効率が高いことは、本発明の実施に、適応性、拡張性、及びそれゆえのモジュール性を与え、全ての特徴は、大量作製の産業上の実施を容易にする。
【0020】
反応は通常、入口で液体を噴霧するノズル、及び出口にある背圧システムを有する反応装置で行われる。放電を作製する二相水流は、気体と液相間の大きな接点(すなわち、気相水流の液滴)を有する動的なクラスター構造を有する。ノズルの注入口における圧力及び排出口パイプラインにおける対圧を変えることにより、水流の気体と液相の比率、放電の安定した燃焼の体制、従って、プラズマチャンバで作製される化学反応の方向及び速度を変化させることが可能である。
【0021】
本発明に係る装置は、いくつかの適用を実行するための様々なシステムで利用され得る。本開示は、プラズマ粒子の適用を使用し、供給する水を殺菌するための適用を記載する。台風、季節風、地震、洪水、テロリスト攻撃、戦争、または他の種の疫病の余波のような多くの緊急の状況において、供給する水は、有害な生物学的因子で、汚染され得る。これらの場合、水衛生化システムは、水を殺菌する場所に設置され得る。場所は、住宅の建物、工場、病院、または、例えば、危険な生物学的因子を含むテロリスト攻撃の標的となり得る種の建物を含み得る。本発明で具現化される水衛生化システムは、水の殺菌を提供するために、水の発生後、各建物の付属部内に配置され得る。
【0022】
プラズマに生成する様々なイオン粒子、新たに合成される分子(例えばオゾン)、及び大きな分子の分解から生じる分子は、水流を汚染する生物学的因子の不活性化に効果があり得る。本発明で実施する水衛生化装置は、適応性が高く及び多目的に使用できる。例えば、複数の装置は、衛生化スループットを増加させるように組み合わせられ得る。また、注入パラメータを制御する能力は装置の使用者に水に対して発生する各効果(すなわち、UV、IR、オゾン、音波の周波数)を管理することを可能にする。加えて、動作のために必要なエネルギーが少ないため、装置は、太陽エネルギーを動力とすることに適し得る。従って、装置を、必要とする遠隔地に配置することが可能となる。
【0023】
さらには、処理された水は、殺菌レベルが高いことが保証されるため、同一の装置及び/または(例えば、一連に搭載される)複数の装置内で再利用され得る。例えば、供給原料がいくつかの汚染を含むことがあり、それぞれに特定の処理が要求される際には、再循環の段階は、特定の汚染の水を除去するために必要であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る、二相媒体にプラズマ状態を生成するための全体のステップを表すフローチャートを示す。
【図2】液体にプラズマを当てるための本発明を実施するシステムの基本的な構成要素を表すブロック図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るプラズマを液体に当てるためのシステムの一部を表す断面図である。
【図4】流体力学における変換器を利用する本発明の実施形態に係る、液体にプラズマを当てるためのシステムの一部を表す断面図を示す。
【図5】電界を発生させるマイクロ波電源を利用する本発明の実施形態に係る、液体にプラズマを当てるためのシステムの一部を表す断面図を示す。
【図6】本発明の実施形態に係る水を殺菌するステップを表すフローチャートを示す。
【図7】水の衛生化を提供する本発明を具現化するシステムの構成要素を表すブロック図を示す。
【図8】水源が大きな分配網であり、本発明を具体化する装置が消費者の近くで利用されるような地域レベルにおいて、本発明の実施形態を使用するためのシステムを表すブロック図を示す。
【図9】水の衛生化を提供するため、太陽光に依存する本発明を実施するシステムの構成要素を表すブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、液体にプラズマを当てる方法及び装置を提供する。本発明は、気体中に高い電気伝導率を生成し、従来技術が教示するものに比べ、実質的に低いエネルギー要求を使用し、プラズマ状態を起こし、維持することを促す。本発明の実施形態は、気体中に浮遊する液滴の二相媒体を効果的に作製することにより、この場合、成し遂げる。本発明は、プラズマの強度と同様に、当業者が様々な適用に本発明を適用することを可能にする、水滴の大きさ、気体への液体の割合、その局在的に多数の他のパラメータを制御するための手段を提供する。
【0026】
以下の記載において、本発明のより全体にわたる記載を提供するために多くの詳細が明記される。しかし、当業者が、本発明をそれらのさらなる詳細なしに実施し得ることは明らかとなるであろう。他の例において、周知の特徴を本発明を曖昧にしないように詳細に記載されることはなかったであろう。この明細書に続く、特許請求の範囲は、本発明の境界及び範囲を定義するものである。
【0027】
本開示は、他の例示的な適用、及び本発明の実施形態に沿って記載され、本発明を実施するシステムは、生物学的因子での感染が知られる(または潜在的であり得る)水を取り除くことができる。適切な技術を有する専門家は、多数のシステム及び方法が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実行されるよう、本発明の教示に続き、設計され得ることを理解するであろう。
【0028】
専門用語
本開示において「気体」に関しては、物質がその一般の形態(例えば空気)で発見される際の物質の状態を称するため使用され得ることがあるが、他の場合、いくらかのまたは全ての気体特性(例えば、蒸気)を一時的に得た物質に関して使用され得る。同様に、液体に関しては、通常、その液体形態で発見される物質に関して使用されてもよく、及び/または液体一時的に形成しているもの(例えば、濃縮物)、または他の物質(例えば、希釈を介する)と組み合わせた、及び液体を一時的に形成するものに関して使用され得る。それらの状態及び/または状態遷移は、例えば、所定の物質を混合物から分離する遷移状態を使用するため、本発明の実施形態に対し、非常に利益があり得る。
【0029】
一般的な概念
通常の状況下で、気体中の荷電担体(電子及びイオン)の濃度は、非常に低く、気体は非常によい誘電体である。気体は、大量の荷電担体の存在を必要とし、それら荷電担体は、著しい電気誘導性を取るために分極を介して生成され得る。荷電の発生から消滅の間の平衡があると、気体は安定した電気誘導性を取得する。
【0030】
プラズマを人工的に生成する最も一般的な方法は、高電圧下で一組の電極間に電気アークを生成ることを介する。気体中、放電電圧は、気体粒子を分極するため、所定のレベル、すなわち分解電圧に達する必要がある。そこでプラズマ状態は、プラズマを通り維持される電流の通過を介して保たれ得る。
【0031】
気相中の放電の出現または閾値は、著しく気体圧に依存する。従って、分解電圧が一様な場(自立型放電開始電圧)の場合、閾値は、パッシェンの法則に従い、電極管の距離による圧力の生成により決定される。パッシェンは、分極電圧が以下の数式によって決定されることを決定した。
【数1】
ここで、「V」は、電圧における分解電圧であり、「p」は、大気圧であり、「d」は、メートル単位の間隙距離であり、「a」及び「b」は、電極間の特定の気体に特徴づけられる定数である。従って、相対的に非圧縮性である液体と比較して、電気放電の異なる形態は、電極間の気体圧が変わることにより気体において実施され得る。
【0032】
気相において、プラズマを作製する異なる種類の放電が、実施され得る。外部表示、及び電気的パラメータは、各実行と気体を介した電流の通過の状態を決定する様々な基本的工程で使用される機器の広い範囲の技術的特徴と関係がある。
【0033】
本発明に記載の方法は、超高圧域から低圧域に液体を遷移する。従って、液体は、一種の「蒸発」(または気化)現象で、膨張する。この場合の本質的な性質に加えて、本発明の実施形態では、液体を噴霧する1つまたは複数の手段により液体の気化を補助する。例えば、本発明を実行するシステムは、ノズル、隔壁、流体力学変換器、または液滴を作製することが可能な他の手段を利用し得る。遷移により、液体の相の化合物及び物理的特性は、液体のみから液体と気体の二相状態に急激に変化する。この場合の状態は、液体と気体との混合物内で電気放電の生成を容易にする。
【0034】
本発明の実施形態において、気体から液体への比率が増加すると、プラズマ状態の発生が望まれる際に、電気分解を容易にする状態が生成される。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る二相媒体におけるプラズマ状態を生成するための全体のステップを表すフローチャートである。ステップ110において、本発明を具現化するシステムは、供給原料である液体混合物を取得する。供給原料は、1つまたは複数の希釈、懸濁、及び/または乳化物質と任意に混合される、いくつかの数及び種類の液体を含み得る。供給原料の組成物は、使用者により本発明の実施形態を使用する特定の適用を目的とし選択され得る。供給原料は、本発明の出願に記載の反応において、水、電解物、及び分解、合成または促進(例えば触媒)のため標的とされ得る他の物質(例えば油)を含有し得る。
【0036】
ステップ120において、本発明を具現化するシステムは、液相から液体と気体を含有する二相状態に供給原料を遷移する機器を通り、供給原料を流す。この場合、ノズル、隔壁、流体力学変換器、または噴霧器のような液滴を作製することが可能な他の手段を介して液体を流すことにより、成し遂げられ得る。
【0037】
各供給原料のために、液体を二相状態に遷移するパラメータ及び手段が調整され得る。例えば、ノズル開口の大きさ、及び圧力、流体力学変換器の調節のような他の多くのパラメータ、または他のパラメータは、供給原料の密度及び/または組成、または本発明の実施形態を使用する所定の適用の他の要求に従い、調整され得る。
【0038】
本発明の実施において、液体から液体と気体状態への供給原料の遷移は、反応装置への通路で発生するよう設計され得る。反応装置(詳細は以下を参照)は、通常、プラズマを起こし維持する電極を有する槽を含む。
【0039】
ステップ130において、供給原料は、プラズマを起こし、維持する反応チャンバ(単に反応装置と称する)を介して流される。プラズマ粒子の存在、温度、圧力、供給原料の組成は、反応装置で行われる化学反応の種類を決定する。プラズマ状態は、局所的な温度、及び圧力を増加させ、発光、赤外線(IR)放射及び紫外線(UV)放射のような他の効果を発生する。化学結合の切断及び遊離基の遊離を以下に示し得る。例えば、流体が水であった場合、プラズマ状態は、流体に重要な効果を有する、オゾン及びOH遊離基を発生し、極めて反応性がある酸化的雰囲気を負う。
【0040】
反応チャンバにおいて、安定で変化しない電気プラズマ放電が実現され得る。それら安定な特性は、各媒体のために計測されてもよく、それゆえ、所望の適用に係る特定の技術的役割を果たすよう、データを制御し、パラメータを調節することにより、燃焼パラメータを最適化することが可能になる。燃焼特性の安定が付与されると、本発明は、要求または電力を容易に調節することが可能となる。
【0041】
ステップ130において、反応生成物によって分離される他のステップは、本発明の実施形態において、開始される。
【0042】
ステップ140において、液体と気体の供給原料の水流は、液体状態に戻るよう変換される。しかし、他の固体及び/または気体化合物が、反応装置内で行われる反応から得られ得るため、それら化合物は、液相への変換を要求しない他の手段(以下参照)を介して分離され得る。
【0043】
図2は、液体にプラズマを当てるための、本発明を実施するシステムの基本的な構成要素を表すブロック図である。ブロック220は、1つまたは複数の供給原料源(供給原料槽とも称する)を表し、供給原料を保存する及び/または供給原料の混合物を調整するためのタンクであり得る。加えて、ブロック220は、供給原料を継続的に供給するためのパイプラインを表し得る。供給原料槽220は、ブロック230で表される事前処理システムを供給する。供給原料は、ポンプ、パイプライン、及び供給原料を運ぶために要求される他の機器を使用して、供給原料源220から事前処理システムまで運ばれ得る。
【0044】
ブロック230は、加熱器、冷却システム、バキューム及び/または圧縮機器及び本発明の実施形態に記載のプラズマでの液体の処理の前に供給原料を処理することに有益となり得る他のシステムを含み得る、1つまたは複数の事前処理システムを表す。本発明を実施する装置は、事前処理システムが提供する高い多用性のため、温度、圧力、密度及び他との濃度のような動作パラメータを容易に変化し得る。多くの方法で構成される事前処理システムの能力は、供給原料にプラズマを当てること及び/または供給原料の種類の各々に所望の結果のために、本発明の実施形態が安定したプラズマ放電を起こし維持するパラメータの最適な設定を提供することを可能にする。
【0045】
ブロック240は、データ収集・処理・制御システムを表す。本発明を具現化するシステムのいずれかの構成要素は、システムを制御するためのデータを収集し送信するよう構成され得る。例えば、温度及び圧力のような環境パラメータは、動作のいずれかの段階で計測されてもよく、データは収集され、処理される。さらに、制御システムは、システムの機器を制御し、動作を最適化するためにフィードバックデータを使用するよう構成され得る。例えば、制御システムは、反応装置内の圧力を上昇または低下させるため、所定の化学反応によって要求される圧力レベルを、及び反応装置、事前処理システム、後処理システムまたは本発明を具現化するシステムの他の構成要素を通る流量を最適化するためにポンプを制御し得る。
【0046】
圧力をかけた水流を事前処理システム230を通して、高圧パイプライン235を通り、
反応装置260へ流す。設計により、反応装置260の大きさは、液体の浸入により、液体が反応装置内に広がるように設定され得る。
【0047】
本発明の実施形態において、反応装置前の媒体の圧力は、例えば、1〜100atmの範囲であり得、一方、反応装置内の圧力は、0.1〜0.8atmの範囲であり得、反応装置後の圧力は、0.5〜4atmの範囲であり得る。ノズル領域で計測される圧力は、通常0.1atmであり得、反応装置前の液体の圧力は、100atmであり得る。
【0048】
本発明の実施形態において、プラズマチャンバ260は、誘電材料から作成され、放電電極の役割を行う金属封入プラグがある間の2つの部分を含む。第2電極は、部材のパイプライン電機子に接続され得る。
【0049】
放電の体制は、複数の結果を成し遂げるために適切であり得、以下に様々な放電の励起の例を示す。
・放電は、安定抵抗を通り、整流装置からの一定電圧で存在し得る。
・放電は、分解電圧に荷電されるエネルギー保存機器(例えば、蓄電器)から存在し得る。
・放電は、代替電圧源(例えば、30〜50kHzの周波数を有する)から存在し得る。試験的な場合において、プラズマは、100atmの圧力(すなわち、先の反応装置の圧力)、及び10KVの放電電圧または上述のものを用いて誘発される。定常な体制において、65atmまたはそれ以下に下げられてもよく、チャンバのジオメトリーに依存する電極間の電圧は、500〜4000V(またはそれ以上)の間であった。放電電流は、数百mA〜数Aの間にあった。
【0050】
反応装置260は、反応装置内に生成される環境を制御するための複数の機器を含み得る。例えば、反応装置は、圧力計、温度計、真空計、または他のセンサのようなセキュリティーセンサ一式によって始動され得るエネルギー放出弁を含む。反応装置は、反応装置内に試薬を添加するため、1つまたは複数のノズルを含む。
【0051】
二相媒体の気体/液体比率を改善するために、開示される方法を利用する適用に従い、ノズル、隔壁、流体力学変換器は、さらに気体と液体混合物の生成を強化するため使用され得る。本発明の実施形態において、いくつかの異なる種類のプラズマは、反応チャンバに最小の変化を用いて作製され得る。この場合、例えば、電源供給部(例えば、ブロック250)の動作パラメータを修正することにより成し遂げられ得る。
【0052】
ブロック250は、1つまたは複数の電力供給システムを表す。電力供給部250は、電気放電を制御するために使用されてもよく、また、本発明を具現化するシステムを最適に使用するための動作パラメータを調整するため、制御システム240によって制御されるよう構成され得る。
【0053】
反応装置260を通過した後、水流は、狭いパイプライン265を通り、ブロック270によって表される1つまたは複数の後処理システム内に流れる。反応装置後の圧力レベルは、狭いパイプラインの直径を用いて設定され得る。
【0054】
ブロック270は、液体水流を液体の単一相水流に戻し変換するために、二相水流を濃縮する1つまたは複数の手段を含む1つまたは複数の後処理システムを表す。本発明の実施形態に記載の後処理システムは、少なくとも1つの冷却機器、少なくとも1つの圧縮機器、少なくとも1つの濃縮機器、及び本発明の特定の実施に利益を生み得る他の機器の組み合わせを含む。供給原料が2つ以上の物質の組み合わせを含有する、または一般的にプラズマ処理の生成物が1つ以上の物質を含有する液体となる場合において、後処理システムは、いくつかのステーションを含み得る。例えば、本発明に記載の後処理システムは、それぞれ別に独立した物質を収集するいくつかの後処理ステーションを含み得る。この場合は、各ステーションが目的物質またはその組み合わせの濃縮を可能にする温度及び/または圧力を提供する複合濃縮ステーションを提供することにより、明確な濃縮温度を所有する物質の場合において成し遂げられ得る。
【0055】
生成物及び/または残存する液体は、流しタンク280に収集される。未使用の供給原料を完全に利用するために、タンク280及び210はシステムの閉ループ動作に接続され得る。
【0056】
本発明を具現化するするシステムの構成要素は、上述したように、平行に及び/または一連に拡張され、搭載され得る。適用を産業レベルに調整するために、システムの変形は、また1つの段階が1つの場所で行われることを許可し、使用及び/またはさらなる処理のために他の場所に液体及び/または気体が運ばれる。
【0057】
二相媒体及びプラズマ粒子を発生させるための手段
各種供給原料のために適用に応じて、最適なパラメータ一式がある。けれども、反応装置内で安定したプラズマ放電となるためのパラメータの組み合わせの範囲は広い。純粋な液体においては、それら最適なパラメータを計算すること、また実験的に決定されるべき混合物においてはそれらを理論上予測することが、可能である。
【0058】
放電の電力源のパラメータ及び反応容器の特性を変えることにより、気体/液体比水流内で光を放つプラズマの工程に影響を及ぼすことが可能である。
【0059】
さらなる超音波器具が、いくつかの他の適用の可能性を提供し、しかし欠くことができない特定の適用において使用され得る。さらに、注入口にある部材は二相媒体を発生させるほかに、超音波を発生させる機能をも有する。
【0060】
本発明の実施形態において、単一相水流はノズル、隔壁または流体力学変換器を介して、高圧域から局所的な温度で上述の水流の蒸気圧よりも低い圧力の場所へ押し込まれる。単一相水流は液体として加速する。その後、ノズル、隔壁または流体力学変換器の展開領域で、蒸気圧よりも低い圧力でジェット水流の急速通過が行われる。急速通過現象は、急な断熱相の変化であり、そのため、急速通過現象は、この場において、不連続であるように思われ、蒸発波工程を介してノズルから上昇する、液体の中心の表面に現れる。
【0061】
不連続な蒸発の下降水流は、継続相が液滴を分散した気体である二相水流を形成する。この水流は、局所的な音波速度を超えて、非常に早く届き、詰まった流れを得、背圧(すなわち、チャンバ内)が低下すると、流量に上昇は起こり得ないことを意味する。
【0062】
一般的に、二相水流における音波の速度は、液体(水)における音波の速度のみならず、気体(蒸気)における音波の速度よりも十分に遅い。
【0063】
例えば、一般的な状況下において、水における音の速度は、約1500m/sであり、空気における音の速度は、約340m/sである。部分的な体積の比率が0.2〜0.9の範囲にある、空気と水の二相混合物において、音波の速度は、20〜100m/sの制限内にある。混合した相の部分的な体積「β」の比率は、
β=Vg・(Vg+Vw)−1
によって付与され、ここで、「Vg」は、気体/空気の体積であり、「Vw」は、水の体積である。音の速度の最小値は、0.5の体積比率「β」において20m/sである。真空度が高い場合、音波の速度は、毎秒数メートルに減少し得る。
【0064】
本発明の実施形態において、その後、発展工程は、衝撃波を用いて行われてもよく、流水圧は、流体における所望の効果に対して、背圧により急激に安定化する。
【0065】
図3は、本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるシステムの部分断面図を示す。パイプライン302の液体301は、高圧Pの領域からプラズマチャンバ303にある低圧域に流れる。高圧から低圧への遷移は、パイプライン内の単一相水流をプラズマチャンバ303内で二相気体/液体高比率水流へと変換する。電極304及び305は、意図される適用の必要性に応じ、プラズマチャンバ303内に配置される。電極は、安定したプラズマ放電の燃焼の発生及び維持を提供する電圧源に接続される。放電域315を通過した後、二相水流は、単一相水流に戻し濃縮する、パイプライン317の狭い領域内を流れる。弁314は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0066】
図4は、流体力学変換器を利用する本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるためのシステムの部分断面図を示す。本発明の実施形態において、流体力学変換器は、隔壁416及びより大きな直径のパイプライン402の領域であり得、隔壁416を通り通過する水流の気体/液体比率の上昇により、二相水流の発生を改善する。電極404及び405は、本発明の特定に意図される適用の必要性に応じて、プラズマチャンバ403内に配置される。電極は、電圧源に接続され、安定したプラズマ放電の燃焼の発生及び維持を提供する。放電域415を通過した後、二相水流は、単一相水流に戻し濃縮する、パイプライン417の狭い領域を流れる。弁414は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0067】
金属電極の使用が望まれていない適用において、例えば、液体内で電極の金属から金属イオンの遷移を避けるために。本発明の実施形態は、高周波(HF、UHF)及び/またはマイクロ波(MW)放電を利用してもよく、さらに、安定性を損失することなく、高電力の放電を伝達することを可能にする。
【0068】
図5は、電界を発生させるマイクロ波電力源を利用する本発明の実施形態に記載のプラズマを液体に当てるためのシステムの部分断面図を示す。図5に表す例において、流体力学変換器516が利用されてもよく、より大きな直径のパイプライン502がある。放電域515は、マイクロ波電源507に接続される、振動子によって放射される。マイクロ波電源のように、例えば、フェライト弁508を介して接続されるマグネトロンを使用することが可能である。図5はさらに、膜状の形態で、反応チャンバ503内に配置され、さらに、二相水流の均質化を促進する流体力学的放射体518を示す。放電域515を通過した後、二相水流は、単一相水流に濃縮するパイプライン517の狭い領域に流れる。弁514は、システムがチャンバ内の圧力を制御することを可能にする。
【0069】
本発明は、複数の適用を行い、それぞれ、特定の到達点に達するよう設計され得る、基本的な方法及び装置を提供する。プラズマ粒子を液体に当てる到達点は、多数あり、各特定の適用は、1つまたは複数の物質の分解に至る化学反応を発生させ作製るよう設計され得る。他の実施形態において、到達点は、供給原料に存在する初期生成物から開始される新規生成物の合成であり得る。しかし、他の実施形態において、到達点は、他の生成物が合成される一方、化合物一式の両分解物の組み合わせであり得る。プラズマ物理学、工学、化学、及び生化学のような1つまたは複数の専門技術領域を有する当業者は、液体の周囲の高く制御することが可能な環境において、プラズマを発生する手段を提供することにより、本発明は、それら到達点が、例えば、廃水から毒素を除去するために、いくつかの物質を分解すべきであり得る多数の適用への方法、水素分子の形成のような分子の合成、またはそれらの組み合わせを開示することを理解するであろう。
【0070】
水を衛生化するための方法及び装置
本発明は、水を殺菌するための方法及びシステムを提供する。本発明が以下に教示するような、プラズマの液体への適用の組み合わせにおけるプラズマが存在する反応装置内で生じる状況(上述の説明を参照)は、消費者に危険を提起し得る生物学的因子を水からの除去することに適した環境を提供する。
【0071】
図6は、本発明の実施形態に記載の水を殺菌するステップを表すフローチャートである。ステップ610において、有害な生物学的因子を潜在的に含有する供給する水を本発明を具現化する殺菌システムに齎す。ステップ610は、ろ過、デカント、化学物質の混合及び/または前処理の他のステップを備える、前処理の他のステップを含む。
【0072】
ステップ620において、水は、気体中に浮遊する液滴を含有する二相混合物を生成するため反応装置内に挿入される。反応装置は、反応チャンバ内にプラズマを発生させるために使用される一組の電極を含む。ステップ630において、プラズマは例えば、高圧電流を、電極を通り通過させることにより生成される。複合水殺菌因子は、プラズマの生成に伴う。殺菌因子の中には、紫外線放射(UV)、赤外線放射(IR)、オゾン、及び超音波振動の衝撃がある。例えば、上記に特定されるパラメータ(200〜2000ボルト/cm)を使用して、波長約320nmのUV、及び波長840nmのIRをプラズマチャンバ内に発生させる。
【0073】
以下の表1は、プラズマの存在下で産する殺菌の概要、及び水中の生物学的因子に適用する殺菌の予期される効果を記録する。
【表1】
表1:プラズマの存在下で反応チャンバ内に存在する因子、及びそれらの生物学的因子における殺菌効果
【0074】
本発明により提供される液相に含有される生物学的因子へのプラズマの接近により、殺菌効果を有する既知のいくつかの因子が直接、生物学的汚染にも最も近い媒体内に発生する。
【0075】
曲がりにくいUV光(短波長)は、生物学的因子の破壊に最も効果的である。電界の圧力が上昇すると(すなわち、上述の圧力の範囲(200〜2000ボルト/cm)の上限への推移)、200ナノメートル及びそれ以下のUVの波長は、着実に低下する傾向にある。この場合において、高濃度のオゾンをプラズマチャンバ内に発生させる。
【0076】
周波数15〜40kHzの超音波(US)は、生物学的因子を不活性化させることが可能である。この場合、最初の水は、流体力学変換器を通り、プラズマチャンバ内へ移動する。流体力学変換器は、上述の範囲の周波数に準備段階で、調節されてもよく、またプラズマチャンバに入口ノズルの機能をさせる。
【0077】
本発明の実施形態は、処理の抗菌特性を増加させ得る銀またはチタンのような金属から製造される電極を利用する。放電域へのロッド状の電極の導入は、オゾンによる水の衛生化となる。その高い酸化特性及び生物学的因子の生化学における影響により、オゾンは、細菌及び多くの種類の微生物の不活化に極めて効果的である。
【0078】
放電の電流の量が大きい場合、紫外線から赤外線までの波長の広い範囲の激しい放射が観察される。この場合は、プラズマ及び液体の化学的に活性な粒子の形成を促進する。音波及び電気のパラメータを変えることにより、発せられる放射の波長を制御することが可能であり、すなわち、放射スペクトルが300〜600ナノメートルに設定される広いスペクトルの紫外線放射を発生する。この場合は、また、紫外線が、遺伝子物質を破壊し、生物細胞壁に浸透するため、水の衛生化に有利である。
【0079】
流体力学変換器は、超音波場を媒体に発生させ、微生物及び汚染物質へのプラズマ放電生成物(オゾン、酸素原子、酸素イオン、及び他の酸化物)の加速した大量の運搬を提供する。この場合、プラズマ放電生成物は、微生物及び汚染物質に短期間で影響を及ぼし、衛生化は効率的である。
【0080】
本発明に記載の反応装置は、殺菌因子のみ(例えば、オゾン、紫外線、及び超音波など)の作製に加えて、2つ以上の後者の因子を同時に作製し得る。2つ以上のそれら因子の組み合わせは、効果が重複するため、より効果的である。
【0081】
紫外線(UV)光は、10nm〜400nmの範囲内の電磁的放射のスペクトルである。水の衛生化にUV光を使用する可能性は、数十年間で既知である。UV光は、細胞体に浸透し、生物において、すべての遺伝子情報の保存及び発現を補助するデオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を破壊し、そのため、再生を妨げるか、細胞を死滅させる。UV処理は、水の化学特性を変更させない。エネルギーを除いて、付加されるものはない。理想状況下で、UV処理は、すべての細菌の99%より多くの減少を提供する。
【0082】
オゾンは、酸素(O2)分子がエネルギー源によって酸素原子内に解離され、水を殺菌するために使用される不安定な気体、オゾン(O3)を形成するために、酸素分子を実質的に衝突させる際に作製され得る。オゾンは不安定で生成後短期間で元素である酸素に分解されるため、施設内で生成される。オゾンは、非常に強い酸化剤であり、殺菌剤である。オゾンを使用する殺菌の機構は、
・細胞の外側の細胞成分の漏出を用いて、細胞壁の直接の酸化/破壊
・オゾン分解のラジカル副生成物との反応
・核酸の成分(プリン及びピリミジン)への損傷
【0083】
水中のオゾン分解の際に、ヒドロぺルオキシ基(HO2)及び水酸基(OH)のような遊離ラジカルが形成され、優れた酸化能力を有し、殺菌工程において、活性剤の役割を担う。細菌は、細胞壁の崩壊による原形質の酸化のため破壊されると一般的に信じられる。
【0084】
オゾン殺菌の主な利点は、オゾンが、ウイルス及び細菌を破壊する点において、塩素よりもより効果的であることである。オゾンが急速に分解されるため、酸化後除去されるべき有害な残渣はない。酸化後、廃水流の粒子によってそれらが保護される場合を除いて、微生物の再成長はない。
【0085】
レーザーのような赤外線放射(IR)は、金属物質上の細菌の胞子を滅菌するため使用され得る。例えば、Baca(米国特許第6,740,244号明細書)は、歯科用ハンドピースに使用される近点近赤外レーザー水処理装置が開示されたことを開示する。
【0086】
本発明の実施形態において、IR衛生化は、プラズマ放電によって熱的に成し遂げられ、水流に遠赤外光線を含有する赤外光線を照射し、それにより、急速に衛生化される目的物表面が細菌の致死温度まで加熱される。
【0087】
「液体の殺菌のためのミクロブラストを導入したレーザーの適用」(オーストラリア及びニュージーランドのモデリング&シミュレーション学会、1997年)において、S.Gribin、V.Assaoul及びB.Spesivtsevinは、100MPaを上限とする圧力の状態で微生物が生存することを示す。しかし、脈動圧力においては、この値は、劇的に低下する。例えば、50Hzの周波数で、5〜10秒間に7MPaの振幅で、重要な細菌学的効果を有する。破壊波の大きさは、およそ1〜30mmであり、微生物の大きさである特徴よりも大きく1000倍を超えると細菌の機械的な破壊が可能になることを意味する。微生物に影響を及ぼすよう要求される圧力振幅(△P)の最小値があり、それらのうち1つにそれぞれ特徴があり、実験的に決定される。
【0088】
ステップ640において、二相水流は、上述のように水溶液に戻される。処理の有効性のための試験は、ステップ650にて実施され得る。水が衛生的なレベルに殺菌されていることが分かった場合、水は、ステップ660にてシステム(例えば、殺菌ステーション)から外へパイプを通して運ばれ、さもなくば、水は、任意にさらなる処理のために反応装置内に戻るようパイプを通して運ばれる。
【0089】
実験は、150mA〜5Aの電流の放電に続いて、同じ種類のウイルスから水が効果的に殺菌されたことと同様に、微生物の成長が完全に停止したことを示す。電力密度は、従って、およそ8kj/kgである。試験は、大腸菌(E.coli)及びルテウス菌が運び出された水溶液を用いて調べる。5Aを上限として放電電流の増加は、放電域を通る溶液の単一な通過後、細菌の成長の終了を導く。作られた作物は、直接、顕微鏡観察に対応する5分の感化後、部のコロニー形成が真に減少したことを示している。10分の処理後、サンプルに大腸菌は見つからなかった。その後、15分後、ルテウス菌も除去された。この場合、処理水は、室温で少なくとも10日間保存したが、無菌状態が維持された。上限5Aの放電電流の増加は、放電域を通る溶液の単一な通過後、細菌の成長の終了を導く。
【0090】
図7は、水の衛生化を提供する、本発明を具現化するシステムの構成要素を表すブロック図である。ブロック702は、潜在的に生物学的因子に汚染される(または汚染が既知である)真水源を表す。そのような源は、水の殺菌、欠陥があるもの(例えば、テロリスト攻撃の結果のような)の殺菌、または天然水源(例えば、泉、湖、または河川)の殺菌のグリッドの部分であり、それらの水は、細菌に汚染され、消費に適していないことを疑われ得る。
【0091】
本発明を具現化するシステムは、グリッドによって、及び/または独立した方法で分配される、水を処理するために利用され得る。例えば、本発明を具現化する装置は、エネルギーの点で、運搬でき、自立型であり(以下参照)、消費できる水を提供するために、遠隔地で稼働することが可能である。さらに、水を衛生化するシステムは、水を処理する能力を増加する、本発明を具現化する複数の装置を利用し得る。ブロック704は、本発明を具現化する複数の装置を供給するため、主水源からの水の流れを分配するシステムを表す。
【0092】
ブロック700は、図6に記載の方法のステップを実行する本発明を具現化する装置一式の構成要素を表す。装置は、水源から水を運ぶために1つまたは複数のポンプ(例えばブロック710)を含み得る。装置は、反応装置に水を挿入する前に水を加熱するために、1つまたは複数の加熱器720を含み得る。装置は、1つまたは複数の高圧パイプライン730を含み得る。上述のように、様々な機器に加えて、高圧が、液体と気体を含む混合物のみに液体から水流を変換することを齎す。
【0093】
ブロック740は、プラズマを発生させ、プラズマにより作製される殺菌因子を、生物学的因子を含有する水滴と接触させる場である反応装置を表す。上述のように、反応チャンバ内には、1つまたは複数の因子がプラズマの発生によって作製され得る。本発明を具現化する装置は、1つまたは複数の熱交換器(例えば、ブロック750)を含み得る。熱交換器は、水の温度を、水供給システムの後の段階に送達するために使用されるレベルにするために利用され得る。水が単一液相に戻ると、水は、殺菌の効果を調査され得る。プラズマ処理に晒された水(またはその一部)は、さらにそれを衛生化するために、閉ループにて、反応装置に戻され得る。例えば、閉ループ回路は、反応装置の下流にあるシステムのいずれかの構成要素と、反応装置の上流にあるいずれかの構成要素間に設計され得る。
【0094】
例えば、重複性を提供するため、及び/または処理能力を増やすため本発明を具現化する多様な装置が、水分配システムに接続され場合、装置からの水は、ブロック760によって表される1つまたは複数の流れ変換手段を介して、流される可能性がある。流れ変換手段は、処理された水を収集し、ブロック770によって表される水分配網に水を流す。ブロック770は、代替的に、1つまたは複数の水保存及び分配手段(例えば、タンク及び貯水池)である。
【0095】
図8は、水源が大きな分配網であり、本発明を具現化するための装置が消費者の近くにあるような局所レベルで本発明の実施形態を使用するシステムを表すブロック図である。本発明の装置の利点の1つは、利便性のために多くの場所で、使用者が装置を搭載でき、能力の増加及び/または冗長性を提供するために、複数の部材を設置する、その多能力さと順応性である。
【0096】
図8の図示が担い得る通常の例は、水の処置が局所レベルで望まれるか、または要求される場合(例えば、集合住宅ビルまたは戸建住宅)である。この場合において、1つまたは複数の装置が水分配の最後の段階において、各場所に設置され得る。
【0097】
ブロック810は、都市の水処理設備のような主要水供給源を表す。ブロック820は、水分配システムを表す。両段階は、水を消費者に適さないようにする生理活性因子を使用するテロリスト攻撃の場所であり得る。さらに、一度、生物学的因子が水中にあるために、それらは、再作製し、貯蔵及び分配システムから除去することが困難になり得る。
【0098】
ブロック830は、例えば、ビルに水を供給する水発生源を表す。ブロック700によって表されるような本発明で具現化される装置は、ビルへの主要な水の供給とビル内の分配網間に設置され得る。ブロック850は、水の分配網を表す。この場合、ビルで、消費者から水分配ステーションに繋がる最後の水の接続があり得る。
【0099】
図9は、水の衛生化を提供する太陽エネルギーに依存した本発明を実施するシステムの構成要素を表すブロック図である。この場合のシステムは、光を捕らえ(例えばブロック900によって表されるように)、電力に光を変換する太陽光発電パネル(例えば910)のアレイによって電力を供給する。システムは、太陽光が利用できない間の動作のために一組の予備バッテリ(例えば、ブロック940で表されるような)を含み得る。システムは、太陽からエネルギーを捕らえ、それを電力に変換する、太陽光発電パネル(例えば、京セラパネル210GH−2PH、効率16%)を利用し得る。
【0100】
ブロック920は、水の殺菌装置700への電力の供給を管理し、バッテリ一式940への電力の保存を管理し、バッテリ一式から必要時、水衛生化装置に動力を与えるため電力を戻し回復する、電力供給及び制御部を表す。電力は、システムの出力を向上し、同時に、バッテリアレイ(例えば、SGMディープサイクル、24V 480Ah)を荷電するために使用される。電力供給及び制御システム部は、電気回路とともに、水処理、電力供給、電力保存、及びバッテリからの電力回復を管理する能力を提供することが可能となる。電力供給及び制御部は、動作の最適なパラメータを正確に決定するため、複数の情報データ(例えば950)を受信し得る。例えば、システムのスループットは、使用する水の流れ、予備の水、または、システム性能を最大にするのに役立つ、他のパラメータ(例えば、低いエネルギー要求)に依存する。
【0101】
本発明の実施形態は、人道的な使命を担うよう設計され得る。例えば、電気が利用できない、及び水源が汚染され得る場所を除いて、システムは、地域社会に引用に適した水を提供することが可能となり得る。最近のシステムは、水を殺菌する主な機能に加え、他の能力を有するべきである。重要な任務の動作体制、極端な気候条件(例えば、他の中でも高温及び高湿、季節風の季節)、他の中でも自立型で無人の継続的な動作を継続することが可能であるべきである。例として、30m2の太陽光パネルアレイを用いた上述の実施形態は、衛生化され飲用に適した水を、1日に、地域社会の3000人の要求量を満たす6000リットル提供することができるであろう。
【0102】
従って、プラズマ粒子を液体に当てることを可能にする方法、システム及び装置は、水の衛生化のような複数の適用を可能にする手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体にプラズマ粒子を当てるための方法であって、
液体の第1水流を取得するステップと、
気体部分と液体部分とを含む二相混合物を前記液体の第1水流から取得するステップと、
前記二相混合物の前記気体部分でプラズマ状態を発生させるステップと、及び
前記プラズマ状態を発生させた後に、前記二相混合物を濃縮することによって液体の第2水流を取得するステップを含む方法。
【請求項2】
前記液体の第1水流を取得するステップは、水溶液の水流を取得することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体の第1水流を取得するステップは、液状炭化水素の水流を取得することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体の第1水流を取得するステップは、前記液体の第1水流を圧縮することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体の第1水流を取得するステップは、前記液体の第1水流を加熱することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液体の第1水流を加熱することをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記二相混合物を取得するステップは、ノズルを通し、前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二相混合物を取得するステップは、前記第1水流を噴霧するための機器を通し、前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記二相混合物を取得するステップは、前記第1水流の周囲の圧力を降下させる拡張した容量を有するチャンバに前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プラズマ状態を発生させるステップは、前記二相混合物内に配置される電極の組に高圧電流を印加することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物で、前記プラズマ状態を維持することをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体の第2水流を取得するステップは、前記第2水流を冷却することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記液体の第2水流を取得するステップは、前記混合物から少なくとも1つの気体を分離することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
液体にプラズマ粒子を当てるための装置であって、
供給原料注入手段と、
と液滴部分気体部分とを含む二相混合物を液相供給原料から作製するための液体噴霧器と、
1組の電極を有する反応装置と、
前記二相混合物を液体状態に戻すための液体凝縮器とを含む装置。
【請求項15】
前記供給原料注入手段は、少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの高圧パイプをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記液体噴霧器は、ノズルをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記液体噴霧器は、隔壁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記液体噴霧器は、流体力学変換器をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記反応装置は、緊急弁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記反応装置は、緊急弁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記反応装置は、圧力と温度を計測する複数のセンサをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記反応装置は、少なくとも1つの副生成物気体を前記反応装置から分離するパイプラインをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記反応装置は、少なくとも1つの化合物を直接、前記反応装置内へ添加するノズルをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記電極は、高周波電界を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項25】
前記電極は、超高周波電界を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記反応装置は、マイクロ波を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項27】
前記凝縮器は、冷却装置をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項28】
水を衛生化するための方法であって、
噴霧器を通り、電気放電を印加する手段を有する反応装置の入口に水を供給することを含む、前記水の二相水流を取得するステップと
前記電気放電が印加されることにより、前記反応装置内の前記二相水流でプラズマ状態を発生させるステップと、
前記反応装置の出口で液相に前記水の前記二相水流を濃縮するステップとを含む方法。
【請求項29】
水を衛生化する太陽電池装置であって、
太陽エネルギーを受け、前記太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する手段と、
前記電力を保存する手段と、
前記電気エネルギーを動力とし、水を処理する手段とを含み、さらに
液体部分と気体部分とを含む二相混合物を生成するよう前記水を噴霧する手段と、
前記二相混合物にプラズマ状態を当てる手段と、
液体状態に前記混合物を濃縮する手段とを含む装置。
【請求項1】
液体にプラズマ粒子を当てるための方法であって、
液体の第1水流を取得するステップと、
気体部分と液体部分とを含む二相混合物を前記液体の第1水流から取得するステップと、
前記二相混合物の前記気体部分でプラズマ状態を発生させるステップと、及び
前記プラズマ状態を発生させた後に、前記二相混合物を濃縮することによって液体の第2水流を取得するステップを含む方法。
【請求項2】
前記液体の第1水流を取得するステップは、水溶液の水流を取得することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体の第1水流を取得するステップは、液状炭化水素の水流を取得することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体の第1水流を取得するステップは、前記液体の第1水流を圧縮することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体の第1水流を取得するステップは、前記液体の第1水流を加熱することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液体の第1水流を加熱することをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記二相混合物を取得するステップは、ノズルを通し、前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二相混合物を取得するステップは、前記第1水流を噴霧するための機器を通し、前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記二相混合物を取得するステップは、前記第1水流の周囲の圧力を降下させる拡張した容量を有するチャンバに前記第1水流を通過させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プラズマ状態を発生させるステップは、前記二相混合物内に配置される電極の組に高圧電流を印加することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物で、前記プラズマ状態を維持することをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体の第2水流を取得するステップは、前記第2水流を冷却することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記液体の第2水流を取得するステップは、前記混合物から少なくとも1つの気体を分離することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
液体にプラズマ粒子を当てるための装置であって、
供給原料注入手段と、
と液滴部分気体部分とを含む二相混合物を液相供給原料から作製するための液体噴霧器と、
1組の電極を有する反応装置と、
前記二相混合物を液体状態に戻すための液体凝縮器とを含む装置。
【請求項15】
前記供給原料注入手段は、少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの高圧パイプをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記液体噴霧器は、ノズルをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記液体噴霧器は、隔壁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記液体噴霧器は、流体力学変換器をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記反応装置は、緊急弁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記反応装置は、緊急弁をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記反応装置は、圧力と温度を計測する複数のセンサをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記反応装置は、少なくとも1つの副生成物気体を前記反応装置から分離するパイプラインをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記反応装置は、少なくとも1つの化合物を直接、前記反応装置内へ添加するノズルをさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記電極は、高周波電界を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項25】
前記電極は、超高周波電界を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記反応装置は、マイクロ波を発生させる手段をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項27】
前記凝縮器は、冷却装置をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項28】
水を衛生化するための方法であって、
噴霧器を通り、電気放電を印加する手段を有する反応装置の入口に水を供給することを含む、前記水の二相水流を取得するステップと
前記電気放電が印加されることにより、前記反応装置内の前記二相水流でプラズマ状態を発生させるステップと、
前記反応装置の出口で液相に前記水の前記二相水流を濃縮するステップとを含む方法。
【請求項29】
水を衛生化する太陽電池装置であって、
太陽エネルギーを受け、前記太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する手段と、
前記電力を保存する手段と、
前記電気エネルギーを動力とし、水を処理する手段とを含み、さらに
液体部分と気体部分とを含む二相混合物を生成するよう前記水を噴霧する手段と、
前記二相混合物にプラズマ状態を当てる手段と、
液体状態に前記混合物を濃縮する手段とを含む装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2013−519503(P2013−519503A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552491(P2012−552491)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000433
【国際公開番号】WO2011/098918
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512208442)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000433
【国際公開番号】WO2011/098918
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512208442)
【Fターム(参考)】
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