説明

液体の吐出制御方法、及び、液体吐出装置

【課題】第1制御部と第2制御部との間の通信に関する負担を軽減する。
【解決手段】第1制御部は、複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する残量検出ステップと、液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する情報送信ステップとを行う。第2制御部は、送信された情報に基づき、代替カートリッジを定め、代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する液体吐出データ生成ステップと、少残量カートリッジに関する情報の受信後、液体吐出データを送信する処理が実行される都度、代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を第1制御部から取得する残量情報取得ステップとを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吐出制御方法、及び、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置としてインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、紙などの媒体に向けてシアン(C)やマゼンダ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)などのインクを吐出する。吐出されたインクにより、媒体には画像が印刷される。シアン(C)やマゼンダ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)といった各色のインクは、インクジェットプリンタに装着されたカートリッジにそれぞれ個別に収容されている。カートリッジに収容したインクが無くなった場合には、そのインクを収容したカートリッジを新しいものと交換することで、再び印刷を行うことができる。
【0003】
ところで、このようなインクジェットプリンタとしては、同じ色のインクを収容したカートリッジが複数個装着されるプリンタが提案されている。具体的には、例えば、ブラック(K)のインクを収容したカートリッジを2つ装着することができるインクジェットプリンタがある。このようなインクジェットプリンタでは、同じ色のインクを収容した2つのカートリッジのうち、一方のカートリッジに収容されたインクの残量が少なくなった場合に、同じ色のインクを収容した他方のカートリッジを用いることが提案されている(特許文献1参照)。この他に、1つのカートリッジのインクの残量が少なくなった場合に、他の色のインクを収容したカートリッジを用いて代用する方法も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−1842号公報
【特許文献2】特開2003−291324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなインクジェットプリンタにあっては、装着された各カートリッジに収容されたインクの残量を確認するために、インクジェットプリンタに接続されたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ側からインクジェットプリンタに対してインクの残量を逐次問い合わせていた。これは、インクジェットプリンタにて印刷処理を実行する際に、コンピュータ側にて、使用するカートリッジに応じた印刷データを作成する必要があるからである。つまり、インク残量が少ないカートリッジに代えて他のカートリッジを使用する場合には、コンピュータ側にてそれに応じた印刷データを作成する必要がある。
【0005】
しかし、このようにインクジェットプリンタにて印刷処理が実行される都度、コンピュータ側が各カートリッジのインク残量を問い合わせていたのでは、コンピュータとインクジェットプリンタとの間の通信が煩雑になる他、コンピュータ側での処理が滞る虞があり、問題となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、通信に関する負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)第1制御部によって行われ、ノズルから吐出される液体が収容された複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する、残量検出ステップと、
(B)前記第1制御部によって行われ、少なくとも1つのカートリッジにおける前記液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する、情報送信ステップと、
(C)第2制御部によって行われ、送信された前記少残量カートリッジに関する情報に基づき、前記少残量カートリッジを除く他のカートリッジのうちの、少なくとも1つのカートリッジを代替カートリッジとして定め、前記代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、液体吐出データ生成ステップと、
(D)前記第2制御部によって行われ、前記少残量カートリッジに関する情報の受信後、前記液体吐出データを送信する処理が実行される都度、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得する、残量情報取得ステップと、
(E)を有する液体の吐出制御方法である。
【0008】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
すなわち、(A)第1制御部によって行われ、ノズルから吐出される液体が収容された複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する、残量検出ステップと、(B)前記第1制御部によって行われ、少なくとも1つのカートリッジにおける前記液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する、情報送信ステップと、(C)第2制御部によって行われ、送信された前記少残量カートリッジに関する情報に基づき、前記少残量カートリッジを除く他のカートリッジのうちの、少なくとも1つのカートリッジを代替カートリッジとして定め、前記代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、液体吐出データ生成ステップと、(D)前記第2制御部によって行われ、前記少残量カートリッジに関する情報の受信後、前記液体吐出データを送信する処理が実行される都度、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得する、残量情報取得ステップと、(E)を有する液体の吐出制御方法を実現できることが明らかにされる。
このような液体の吐出制御方法よれば、複数のカートリッジのうちの少なくともどれか1つの液体の残量が所定量以下であると検出されるまでの間、第2制御部は、第1制御部から液体の残量に関する情報を取得せずに済む。これにより、通信に関する負担が軽減される。また、少残量カートリッジが検出された後は、その少残量カートリッジの液体の代わりに、代替カートリッジの液体を用いることで、少残量カートリッジの液体の消費量を抑制できる。また、少残量カートリッジが検出された後、第2制御部は、第1制御部から代替カートリッジの液体の残量に関する情報を取得することで、代替カートリッジの残量を簡単に管理することができる。
【0011】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記残量情報取得ステップでは、前記少残量カートリッジに関する情報を受信するまで、前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得しないことが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、第1制御部と第2制御部との間における通信に関する負担を軽減できる。
【0012】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記代替カートリッジに収容された前記液体は、前記少残量カートリッジに収容された前記液体と同じ種類の液体であることが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、少残量カートリッジに収容された液体に代えて、代替カートリッジに収容された液体を簡単に使用できる。
【0013】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記液体は、インクであることが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、画像の印刷時において、第1制御部と第2制御部との間における通信に関する負担を軽減できる。
【0014】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記代替カートリッジは、前記少残量カートリッジに収容されたインクと同じ色のインクを収容することが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、少残量カートリッジに収容されたインクに代えて、代替カートリッジに収容されたインクを簡単に使用できる。
【0015】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記液体吐出データ生成ステップでは、前記少残量カートリッジに関する情報を受信するまで、前記代替カートリッジとなるカートリッジと前記少残量カートリッジとなるカートリッジとを交互に使用するように、これらのカートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信することが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、一方のカートリッジの残量が他方のカートリッジの残量と比べて偏って減ることを抑制できる。
【0016】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記第2制御部によって行われ、前記第1制御部から取得した液体の残量に関する情報に基づき、前記少残量カートリッジに収容された液体の残量と、前記代替カートリッジに収容された液体の残量との差分を算出する、差分算出ステップと、前記第2制御部によって行われ、算出された前記差分が所定値以下か否かを判定する、差分判定ステップとを有することが好ましい。
このような液体の吐出制御方法によれば、少残量カートリッジの残量と代替カートリッジの残量とが等しくなりつつあるか否かを認識できる。
【0017】
かかる液体の吐出制御方法であって、前記残量情報取得ステップでは、前記差分が前記所定値以下であると判定された場合に、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報と、前記少残量カートリッジの前記液体の残量に関する情報とを前記第1制御部から取得し、前記液体吐出データ生成ステップでは、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報と、前記少残量カートリッジの前記液体の残量に関する情報とに基づいて、前記代替カートリッジおよび前記少残量カートリッジのうちの、残量の多い方のカートリッジを判定し、残量の多い方のカートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信することが好ましい。
このような液体の吐出制御方法よれば、残量が少なくなった両カートリッジを均等に使用できる。
【0018】
また、次の液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
すなわち、(A)互いに通信可能な第1制御部と第2制御部とを有する液体吐出装置であって、(B)前記第1制御部は、ノズルから吐出される液体が収容された複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する、残量検出ステップと、
少なくとも1つのカートリッジにおける前記液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する、情報送信ステップとを行い、(C)前記第2制御部は、送信された前記少残量カートリッジに関する情報に基づき、前記少残量カートリッジを除く他のカートリッジのうちの、少なくとも1つのカートリッジを代替カートリッジとして定め、前記代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、液体吐出データ生成ステップと、前記少残量カートリッジに関する情報の受信後、前記液体吐出データを送信する処理が実行される都度、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得する、残量情報取得ステップとを行う、(D)液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
【0019】
===液体吐出システムの概要===
液体吐出システム100は、インクジェットプリンタ1とコンピュータ110とを有する(図1を参照)。ここで、プリンタ1は、液体状のインクを、媒体の一種である用紙に向けて吐出するので、狭義の液体吐出装置に相当する。また、コンピュータ110は、印刷データを送信する等により、プリンタ1の動作を制御している。このため、液体吐出システム100は、広義の液体吐出装置に相当する。以下、この液体吐出システム100を例に挙げて説明をする。
【0020】
<全体構成>
図1は、液体吐出システム100の構成を説明する図である。例示した液体吐出システム100は、印刷装置の一種であるインクジェットプリンタ1と、コンピュータ110とを有している。コンピュータ110には、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とが、通信可能に接続されている。コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1とも通信可能に接続されている。そして、コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1に画像を印刷させるために、その画像に応じた印刷データを生成して、この印刷データをインクジェットプリンタ1に送信する。なお、この印刷データは、「液体吐出データ」に相当する。
【0021】
このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等により構成される。この表示装置120には、例えば、コンピュータ110にインストールされたアプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムのユーザーインターフェースが表示される。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132等により構成される。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142などにより構成される。
【0022】
<インクジェットプリンタの内部構成>
図2は、インクジェットプリンタの内部構成について説明したものである。インクジェットプリンタ1の内部には、同図に示すように、キャリッジ41が設けられている。このキャリッジ41は、プリンタ1の正面から見て左右方向(キャリッジ移動方向)へ往復移動可能に設けられている。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とが設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って移動させるための駆動源である。タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるとともに、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転駆動によってキャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って案内する。
【0023】
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ移動方向と交差する搬送方向に沿って搬送するための搬送ローラ17と、この搬送ローラ17を回転駆動させる搬送モータ15とが設けられている。
【0024】
一方、キャリッジ41には、各種インクを収容したインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cと、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21が設けられている。インクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cは、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容している。なお、本実施形態では、ブラック(K)のインクカートリッジとして2つのインクカートリッジ24A、24Bを有している。これらのインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cは、キャリッジ41に設けられた各カートリッジ装着部25A、25B、27A、27B、27Cにそれぞれ着脱可能に装着されている。
【0025】
また、ヘッド21は、本実施形態では、媒体Sに対してインクを吐出して印刷を施す。このために、ヘッド21には、インクを吐出するためのノズルが多数設けられている。
【0026】
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するためにノズルからインクを吸い出すポンプ装置31や、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するために、印刷を行わないとき(待機時など)にヘッド21のノズルを封止するキャッピング装置35などが設けられている。
【0027】
<ヘッドの構成>
図3は、ヘッド21の下面におけるノズルの配列を示したものである。ヘッド21の下面には、同図に示すように、各色のインクを吐出する複数種類のノズル群が設けられている。本実施形態では、ノズル群として、イエロ(Y)のインクを吐出するイエロノズル群211Yと、マゼンダ(M)のインクを吐出するマゼンダノズル群211Mと、シアン(C)のインクを吐出するシアンノズル群211Cと、ブラック(K)のインクを吐出する2つのブラックノズル群(即ち第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2)が、ヘッド21に設けられている。これら各ノズル群211Y、211M、211C、211K1、211K2は、各色のインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cにそれぞれ対応して設けられている。なお、これらのインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cは、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部25A、25B、27A、27B、27Cに、それぞれ対応して装着されている。
【0028】
各ノズル群211Y、211M、211C、211K1、211K2は、インクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個備えている。本実施形態では、180個のノズル♯1〜♯180を備えている。各ノズル群211Y、211M、211C、211K1、211K2の各ノズル♯1〜♯180は、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)にてそれぞれ直線状に配列されている。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、媒体Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが120dpi(1/120インチ)であって、搬送方向のドットピッチが360dpi(1/360インチ)である場合、k=3である。
【0029】
また、本実施形態では、第2ブラックノズル群211K2が、第1ブラックノズル群211K1に対して、半分のノズルピッチ、即ち『(k/2)・D』だけ、搬送方向にずれた位置に配置されている。なお、第1ブラックノズル群211K1は、他のノズル群、即ちイエロノズル群211Yやマゼンダノズル群211M、シアンノズル群211Cと並んで配置されている。第2ブラックノズル群211K2だけが、第1ブラックノズル群211K1やイエロノズル群211Y、マゼンダノズル群211M、シアンノズル群211Cに対してずれた位置に配置されている。
【0030】
各ノズル群211Y、211M、211C、211K1、211K2の各ノズル♯1〜♯180は、媒体Sの搬送方向に対して、下流側のノズルほど若い番号が付されている。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向に下流側に位置している。各ノズル♯1〜♯180に対応してピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、インクを吐出させるための駆動素子に相当する。このピエゾ素子は、圧電体を挟む電極間に所定時間幅の電圧が与えられることで変形する。ピエゾ素子の変形に伴って、インクの流路の側壁も変形する。そして、インクの流路の一部がピエゾ素子の変形に応じて収縮し、対応するノズル♯1〜♯180からインク滴が吐出される。
【0031】
<システム構成>
図4は、コンピュータ110及びインクジェットプリンタ1の構成を説明するブロック図である。コンピュータ110は、外部インターフェース部(I/F)112と、CPU113と、メモリ114とを有している。外部インターフェース部(I/F)112は、インクジェットプリンタ1との間に介設されてデータの通信を行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。このメモリ114は、例えば、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したアプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
【0032】
印刷データは、インクジェットプリンタ1が解釈できる形式のデータである。印刷データには、各種のコマンドデータや画素データが含まれている。ここで、コマンドデータとは、インクジェットプリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータや、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータなどがある。
【0033】
また、画素データは、印刷される画像を構成する画素に関するデータである。ここでは、画素データは、印刷される画像を構成する各画素に対応して用紙上に形成されるドットに関するデータ(例えば、ドット階調値)により構成されている。本実施形態では、画素データは2ビットのデータにより構成されている。詳しくは、この画素データには、ドット無し(インクの非吐出)に対応するデータ[00]と、小ドットの形成に対応するデータ[01]と、中ドットの形成に対応するデータ[10]と、大ドットの形成に対応するデータ[11]とがある。すなわち、このインクジェットプリンタ1では、1画素について4階調を有する画像を印刷できる。
【0034】
そして、コンピュータ110は、この印刷データ(液体吐出データ)を生成する。また、後述するように、コンピュータ110は、インクの残量が所定量以下となった少残量インクカートリッジが検出された場合に、代わりとなる代替インクカートリッジを定め、このインクカートリッジ用の印刷データを生成する。加えて、コンピュータ110は、少残量インクカートリッジのインク残量と代替インクカートリッジのインク残量との差分を算出したり、この差分に基づく判定をしたりする。このような動作をするコンピュータ110は、第2制御部に相当する。
【0035】
一方、インクジェットプリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路50、検出器群60、およびコントローラ70を有する。コントローラ70は、CPU72と、外部インターフェース部(I/F)71と、メモリ73と、制御ユニット74とを有する。制御ユニット74は、CPU72からの命令により用紙搬送機構20およびキャリッジ移動機構30を制御する。外部インターフェース部(I/F)71は、コンピュータ110の外部インターフェース部(I/F)112との間でデータの通信を行う。メモリ73には、CPU72により実行されるプログラムや各種データが格納される。CPU72は、制御ユニット74や駆動信号生成回路50、ヘッドユニット40などを制御する。後述するように、本実施形態におけるコントローラ70は、インクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cに収容されたインクの残量を検出する。また、コントローラ70は、インクの残量が所定量以下であると検出されたときに、対応するインクカートリッジに関する情報を生成し、コンピュータ110に送信する。このような動作をするコントローラ70は、第1制御部に相当する。
【0036】
また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド21とを有している。ヘッド制御部HCは、CPU72からの命令によりヘッド21を制御する。ヘッド21は、複数のノズルを備え、各ノズルからそれぞれ媒体に向けてインクを吐出して印刷を施す。
【0037】
また、検出器群60は、インクジェットプリンタ1内の各部の状態を検出して、その検出結果をコントローラ70に伝達する。この検出器群60には、リニア式エンコーダ51などが含まれている。検出器群60からの検出結果を受けたコントローラ70は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
【0038】
===プリンタドライバ===
次に、プリンタドライバについて説明する。このプリンタドライバは、コンピュータ110にインストールされた、インクジェットプリンタ1を制御するためのプログラムである。図5は、このプリンタドライバの処理の概略を説明したものである。
【0039】
コンピュータ110では、このコンピュータ110に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ162、アプリケーションプログラム160、及び、プリンタドライバ164などの、各種のコンピュータプログラムが実行されている。ビデオドライバ162は、アプリケーションプログラム160やプリンタドライバ164からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェースを表示装置120に表示させる機能を有する。アプリケーションプログラム160は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム160のユーザーインターフェースを介して、アプリケーションプログラム160により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム160は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ164に画像データを出力する。
【0040】
プリンタドライバ164は、アプリケーションプログラム160から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをインクジェットプリンタ1に出力する。ここで、印刷データとは、インクジェットプリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。また、コマンドデータとは、インクジェットプリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータである。例えば、ある画素に対応する媒体S上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。ここで、ドットの大きさは、各ノズル♯1〜♯180から吐出されるインクの量に応じて定められる。このため、画素データは、各ノズル♯1〜♯180から吐出されるインクの量を、ドット階調値毎に示すといえる。従って、印刷データ(画素データ)は、液体の吐出制御を行うための液体吐出データに相当する。
【0041】
プリンタドライバ164は、アプリケーションプログラム160から出力された画像データを印刷データに変換する。このため、プリンタドライバ164は、解像度変換処理部166と、色変換処理部168と、ハーフトーン処理部170と、ラスタライズ処理部172とを備えている。以下に、プリンタドライバ164の各処理部166、168、170、172が行う各種の処理について説明する。
【0042】
解像度変換処理部166は、アプリケーションプログラム160から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体Sに印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。解像度変換処理では、例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム160から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0043】
色変換処理部168は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する色変換処理を行う。なお、CMYKデータは、インクジェットプリンタ1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ164が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0044】
ハーフトーン処理部170は、高階調数のデータを、インクジェットプリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、例えば、256階調を示すデータを、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換する処理のことである。このハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、インクジェットプリンタ1がドットを分散して形成できるように画素データを作成する。ハーフトーン処理部170は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば、720dpi×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。以下、ハーフトーン処理されたデータのうち、1ビットデータのものを2値データと呼び、2ビットデータのものを多値データと呼ぶ。
【0045】
ラスタライズ処理部172は、ハーフトーン処理部170によってハーフトーン処理されて得られた2値データや多値データ等のデータを、インクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これによりラスタライズ処理されたデータは、インクジェットプリンタ1に出力される。
【0046】
<ヘッド制御部>
図6は、ヘッド制御部HCについて説明したものである。ヘッド制御部HCは、同図に示すように、複数のマスク回路222を備えている。マスク回路222は、ヘッド21のノズル♯1〜♯180から個別にインクを吐出させる複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路222には、それぞれ駆動信号生成回路50により生成されて出力された駆動信号ODRVが入力されている。この駆動信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)において、図中下部に示すように、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを有する信号である。
【0047】
また、各マスク回路222には、それぞれ印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、CPU72から出力されたヘッド制御信号に基づき生成される信号であり、画素に対応する画素データである。この印刷信号PRT(i)は、例えば、一画素に対して2ビットの情報を有する2値信号である。その各ビットは、それぞれ第1パルスW1と第2パルスW2とに対応している。マスク回路222は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりするためのゲートである。すなわち、印刷信号PRT(i)がレベル『0』のときには、原駆動信号ODRVのパルスを遮断する一方、印刷信号PRT(i)がレベル『1』のときには、原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて実駆動信号DRVとして、各ノズル♯1〜♯180のピエゾ素子に向けて出力する。各ノズル♯1〜♯180のピエゾ素子は、マスク回路222からの実駆動信号DRVに基づき駆動し、対応するノズルからインクを吐出させる。
【0048】
<各信号波形>
図7は、ヘッド制御部HCの動作について説明するための駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、実駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。同図に示すように、駆動信号ODRVは、各1画素区間において、第1パルスW1と第2パルスW2とを順に発生する。ここで、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『10』に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズル♯1〜♯180から小さいインク滴が吐出され、媒体Sには小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『01』に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズル♯1〜♯180から中サイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『11』に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズル♯1〜♯180から大きいサイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。
【0049】
以上説明したとおり、一画素区間における実駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形され、これらの信号に基づいて、ヘッド21は、3種類のサイズのドットを形成し、また画素区間内にて吐出するインク量を調整することが可能である。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『00』に対応しているときには、ノズル♯1〜♯180からインク滴が吐出されず、媒体Sには、ドットが形成されないことになる。
【0050】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、このようなノズル♯1〜♯180のヘッド駆動部HCが、各ノズル列211C、211M、211Y、211K1、211K2ごとに各々個別に設けられ、各ノズル列211C、211M、211Y、211K1、211K2の各ノズル♯1〜180ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。
【0051】
===従来の問題点および解決方法===
<従来の問題点>
ところで、このようなインクジェットプリンタでは、同じ色のインクを収容した2つのインクカートリッジ24A、24Bのうち、一方のインクカートリッジに収容されたインクの残量が少なくなった場合に、同じ色のインクを収容した他方のカートリッジを用いるようになっている。このため、装着された各インクカートリッジ24A、24Bに収容されたインクの残量を確認するために、印刷処理が実行される都度、コンピュータ110側からインクジェットプリンタ1に対してインクの残量の問い合わせが逐次行われていた。
しかし、このようにインクジェットプリンタ1にて印刷処理が実行される都度、コンピュータ110側が各カートリッジのインク残量を問い合わせていたのでは、コンピュータとインクジェットプリンタとの間の通信が煩雑になる他、コンピュータ側での処理が滞る虞があり、問題となっていた。
【0052】
<解決方法>
そこで、本実施形態では、インクジェットプリンタ1とコンピュータ110との間の通信を軽減するために、インクジェットプリンタ1に装着されたインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cについて、収容されたインクの残量が所定量以下になるまで、コンピュータ110からインクジェットプリンタ1に対して、インクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cのインクの残量についての問い合わせは行わないようにする。つまり、インクジェットプリンタ1のインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cのインク残量が所定量以下になってからはじめて、インクジェットプリンタ1からコンピュータ110に対してインク残量の通知がなされるようにする。
【0053】
また、インクジェットプリンタ1に装着されたインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cのうち、同じ色のインクが収容された2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bについては、一方のインクカートリッジのインク残量が所定量以下になったとき、他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして利用する。
【0054】
そして、インクジェットプリンタ1からインク残量が所定量以下のインクカートリッジがある旨の通知があった後、コンピュータ110は、印刷データを生成してインクジェットプリンタ1に向けて送信する都度、インクジェットプリンタ1に対して代替カートリッジのインク残量に関する情報を要求して、インクジェットプリンタ1から代替カートリッジのインク残量に関する情報を取得する。これにより、コンピュータ110が代替カートリッジのインク残量を管理する。
【0055】
===コンピュータとプリンタの間のやり取り===
図8は、インクジェットプリンタ1とコンピュータ110との間のやり取りについて、概略的に説明したものである。
【0056】
コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1に装着されたブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bにインクが十分にある場合には、プリンタドライバにより通常の印刷データを生成して、インクジェットプリンタ1に向けて送信する(S1〜S2)。
【0057】
そして、インクジェットプリンタ1に装着された2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのうちのどちらか一方のインクカートリッジに収容されたブラック(K)のインクの残量が所定量以下になったときには、インクジェットプリンタ1からコンピュータ110に対して、インク残量が所定量以下になったインクカートリッジがある旨の通知がなされる(S3)。このとき、インクジェットプリンタ1(第1制御部としてのコントローラ70)は、インク残量が所定量以下になったインクカートリッジに関する情報をコンピュータ110に伝達する。つまり、インクジェットプリンタ1は、ブラック(K)の2つのインクカートリッジ24A、24Bのうち、どちらのインクカートリッジのインク残量が所定量以下になったのかをコンピュータ110に通知する。
【0058】
なお、ここで、所定量としては、インク残量が必ずしも残り僅かな場合に限られるわけではなく、例えば、インクカートリッジ24A、24Bが収容することができるインクの量の半分ぐらいに設定されてもよく、また1/3や1/4などに設定されていても構わない。また、インクジェットプリンタ1における2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのインク残量の検出方法については、後で説明する。また、ここでは、インク残量が所定量以下になったインクカートリッジについては、以下において「少残量カートリッジ」ともいうこととする。そして、所定量以下になったインクカートリッジに関する情報は、「少残量カートリッジに関する情報」に相当する。
【0059】
コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1から、2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのうち、どちらか一方のインクカートリッジのインク残量が所定量以下になったとの通知を受けると、その後、インクジェットプリンタに印刷データを送信して印刷処理を実行させる際に、インク残量が所定量以下になった少残量カートリッジの代わりに、他のインクカートリッジ、即ちここでは、他方のブラック(K)のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用する。すなわち、コンピュータ110(第2制御部)は、少残量カートリッジを使用する印刷データに代わって、他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用するための印刷データを生成する。これにより、インク残量が所定量以下になった少残量カートリッジに残っているインクの消耗が抑制される。なお、ここで実行される他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用するための印刷データの生成方法について後で詳しく説明する。
【0060】
そして、コンピュータ110(第2制御部)は、他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用するために生成した印刷データをインクジェットプリンタ1に向けて送信する(S4・S6)。このとき、コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1に対して代替カートリッジとして使用されるインクカートリッジのインク残量に関する情報を要求する(S4・S6)。
【0061】
インクジェットプリンタ1(第1制御部としてのコントローラ70)は、コンピュータ110からの、代替カートリッジのインク残量に関する情報の要求に応じて、代替カートリッジとなる他方のインクカートリッジのインク残量に関する情報をコンピュータ110に向けて送信する(S5・S7)。
【0062】
コンピュータ110(第2制御部)は、インクジェットプリンタ1から送信された代替カートリッジのインク残量に関する情報に基づき、代替カートリッジのインク残量を管理することができる。すなわち、例えば、コンピュータ110は、代替カートリッジに収容されたインクの残量と、少残量カートリッジのインク残量とを比較して、代替カートリッジのインク残量と、少残量カートリッジのインク残量との差分を求め、代替カートリッジのインク残量がどれくらい少残量カートリッジのインク残量に近付いたかを調べる。ここでは、代替カートリッジのインク残量と、少残量カートリッジのインク残量との差分が所定値以下であるか否かをチェックすることで、代替カートリッジのインク残量が少残量カートリッジのインク残量に近付いたか否かを簡単に調べることができる。また、チェックを、インク残量に関する情報を受信する毎に行うので、残量管理を精度良く行うことができる。なお、この場合、コンピュータ110は、「残量情報取得部」に相当する。
【0063】
ここで、所定値としては、例えば、ゼロに近い値などに設定される。所定値がゼロに近い値に設定されれば、代替カートリッジのインク残量が少残量カートリッジのインク残量に近づいたことを検出することができる。また、所定値として、ゼロよりも小さい値が設定されれば、代替カートリッジのインク残量が少残量カートリッジのインク残量よりも少なくなったことを検出することができる。
【0064】
そして、コンピュータ110(第2制御部)は、算出した差分が所定値以下であった場合には、その後、例えば、インクジェットプリンタに印刷処理を実行させるときに、少残量カートリッジの代わりに、他方のインクカートリッジ(ここではブラック(K)のインクカートリッジ)を代替カートリッジとして使用するのを中止することができる。すなわち、コンピュータ110は、少残量カートリッジに収容されたインクを使用する印刷データに代わって、代替カートリッジに収容されたインクを使用するための印刷データを生成するのを中止することができる。これにより、コンピュータ110は、その後、例えば、インクジェットプリンタ1に対して印刷処理を実行させる際に、少残量カートリッジに収容されたインクをも用いた通常の印刷データを生成する。
【0065】
一方、その算出した差分が所定値以下ではなかった場合には、そのままコンピュータ110により代替カートリッジを使用するための印刷データの生成が継続して実行されても良い。
【0066】
===インク残量の検出===
ここで、インクジェットプリンタ1におけるブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのインク残量の検出方法の一例について説明する。
【0067】
本実施形態では、ブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのインク残量の検出は、第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180から各々吐出されるインク滴の数をそれぞれカウントすることにより実行する。つまり、コントローラ70(第1制御部)は、第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180から各々吐出されるインク滴の数をカウントすることで、2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのインク消費量をそれぞれ算出する。そして、コントローラ70は、これらのインク消費量をインクカートリッジ24A、24Bの初期インク容量から減算することで、これら2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのインク残量をそれぞれ求める。なお、第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180から各々吐出されるインク滴の数のカウントは、例えば、コントローラ70の他、ヘッドユニット40などにより行うことができる。この場合、コントローラ70やヘッドユニット40などは、「残量検出部」に相当する。
【0068】
図9は、本実施形態における各インクカートリッジ24A、24Bのインク消費量の算出方法について説明したものである。本実施形態では、第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180からそれぞれインク滴として、図7にて説明したように、量の異なるインク滴を吐出する。つまり、「小ドット」、「中ドット」および「大ドット」を形成するためのインク滴が吐出される。なお、ここで、「大ドット」は、「小ドット」と「中ドット」を連続的に吐出したものである。
【0069】
このため、第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180からそれぞれ吐出されるインク滴のサイズによって、インクの消費量が異なる。つまり、例えば、図9に示すように、「大ドット」の場合のインク吐出量が『α』(pl:ピコリットル)であり、「中ドット」の場合のインク吐出量が『β』(pl)であり、「小ドット」の場合のインク吐出量が『γ』(pl)であるとする。
【0070】
1つのノズルから「大ドット」が1000発、「中ドット」が1500発、「小ドット」が2000発吐出されたとすると、そのノズルにおけるインク消費量Qiは次の式(1)により求めることができる。
Qi=α×1000+β×1500+γ×2000…………(1)
【0071】
このようにして第1ブラックノズル群211K1および第2ブラックノズル群211K2の各ノズル♯1〜♯180について印刷処理が実行される毎に、各ノズル♯1〜♯180からそれぞれ吐出されたインク滴の数をカウントして、各ノズル♯1〜♯180におけるインク消費量Qiを求め、そして各ノズル♯1〜♯180毎にそれぞれ求められたインク消費量Qiを加算すれば、各ノズル群211K1、211K2別にそれぞれインク消費量を簡単に算出することができる。
【0072】
そして、各ノズル群211K1、211K2別にそれぞれ得られたインク消費量を、各ブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bにそれぞれ初めから収容されていた既知のインク容量から減算することによって、各インクカートリッジ24A、24Bに収容されたインクの残量を取得することができる。
【0073】
なお、インクジェットプリンタ1では、ヘッド21のノズルの目詰まり等の不具合を解消するために各ノズル♯1〜♯180から強制的にインクを吐出する、いわゆるフラッシングと呼ばれるインク排出処理が行われる。コントローラ70(第1制御部)は、このインク排出処理においても、各ノズル♯1〜♯180から吐出されるインク滴をカウントする。このため、インクジェットプリンタ1側では、インク消費量を正確に検出することができる。
【0074】
===コンピュータの処理===
<代替カートリッジを使用するための印刷データの生成>
コンピュータ110(第2制御部)は、インクジェットプリンタ1から、インク残量が所定量以下になった少残量カートリッジがあるとの通知を受けると、インクジェットプリンタ1に対して印刷処理を実行させるときに、インク残量が所定量以下になった少残量カートリッジの代わりに、他のインクカートリッジ、即ちここでは他のブラック(K)のインクカートリッジを代替カートリッジとして利用するための印刷データを生成する。
【0075】
このような代替カートリッジを利用するための印刷データの生成方法について説明する。本実施形態では、2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのうちのいずれか一方のインク残量が所定量以下になったときに、他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして利用するための印刷データを生成する。2つのインクカートリッジ24A、24Bは、同じ色のインク、即ちブラック(K)のインクを収容したインクカートリッジであるから、図5にて説明したラスタライズ処理部172におけるラスタライズ処理を変更することで対応することが可能である。
【0076】
すなわち、ラスタライズ処理部172は、ハーフトーン処理部170によってハーフトーン処理されて得られた2値データや多値データ等のデータに対して、ラスタライズ処理、即ちインクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理を実行する際に、少残量カートリッジに対応するブラックノズル群を使用せずに、代替カートリッジに対応するブラックノズル群の方を専ら利用するように、ラスタライズ処理を実行する。このとき、本実施形態では、図3にて説明したように、第2ブラックノズル群211K2が第1ブラックノズル群211K1に対して半分のノズルピッチ、即ち『(k/2)・D』だけ、搬送方向にずれた位置に配置されていることから、この配置に応じてラスタライズ処理部172がラスタライズ処理を実行する。
【0077】
コンピュータ110は、このような代替カートリッジを利用するための印刷データの生成を、インクジェットプリンタ1に印刷処理を実行させる都度、行う。
【0078】
<全体の処理の流れ>
図10は、第2制御部としてのコンピュータ110の、全体の処理の流れについて概略的に説明したフローチャートである。ここでは、インクジェットプリンタ1(第1制御部としてのコントローラ70)から、インク残量が所定量以下になったインクカートリッジが発生した旨の通知を受けた後の処理について説明する。
【0079】
コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1から、インク残量が所定量以下になった少残量カートリッジを検出した旨の通知を受けると、この少残量カートリッジの代わりに、インク残量が所定量以下に達していない他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用すべく、当該代替カートリッジを利用するための印刷データを生成する(S102)。なお、ここでは、前述した方法により代替カートリッジを使用するための印刷データを生成する。
【0080】
そして、コンピュータ110は、このようにして生成した印刷データをインクジェットプリンタ1に向けて送信する(S104)。また、コンピュータ110は、この際に、インクジェットプリンタ1に対して代替カートリッジのインク残量に関する情報を要求する(S106)。インクジェットプリンタ1は、このような要求に応じて、コンピュータ110に対して代替カートリッジのインク残量に関する情報を送信する。コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1から送られてきたインク残量に関する情報を受信する(S108)。
【0081】
その後、コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1から取得した代替カートリッジのインク残量に関する情報に基づき、代替カートリッジのインク残量と少残量カートリッジのインク残量との差分を算出する(S110)。そして、コンピュータ110は、算出した差分が所定値以下か否かをチェックする(S112)。ここで、算出した差分が所定値以下であった場合には、コンピュータ110は、今後、生成する印刷データを代替カートリッジを利用するものから少残量カートリッジも利用するものに切り替える(S114)。その後、コンピュータ110は、処理を終了する。
【0082】
一方、算出した差分が所定値以下ではなかった場合には、ステップS102へと戻って次の印刷命令時に、再び、代替カートリッジを利用する印刷データを生成する(S102)。なお、コンピュータ110による代替カートリッジを利用した印刷データの生成は、代替カートリッジのインク残量と少残量カートリッジのインク残量との差分が所定値以下になるまで実施される。
【0083】
===他の実施形態===
前述した実施形態では、2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bが装着されたインクジェットプリンタの場合を例にして説明した関係から、2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのうちのどちらか一方のインク残量が所定量以下となったときに、他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして同じ色のインクを使用することができた。これにより、カートリッジの交換時期を遅らせることができた。しかしながら、必ずしも同じ色のインクが用いられる場合には限定されない。すなわち、インク残量が所定量以下となったインクカートリッジがブラック(K)のインクを収容したインクカートリッジであった場合であっても、他の色のインクを収容したインクカートリッジ、例えば、シアン(C)やマゼンダ(M)、イエロ(Y)などといったインクを収容したインクカートリッジを代替カートリッジとして用いることができる。
【0084】
この他、インク残量が所定量以下となったインクカートリッジがブラック(K)のインクを収容したインクカートリッジではない場合であっても、色相等を考慮して、他の色のインクを収容したインクカートリッジを代替カートリッジとして適用することができる。
【0085】
具体的には、例えば、イエロ(Y)のインクを収容したインクカートリッジの代替としては、例えば、レッド(R)のインクを収容したインクカートリッジやグリーン(G)のインクを収容したインクカートリッジを用いることができる。また、マゼンダ(M)のインクを収容したインクカートリッジの代替としては、レッド(R)のインクを収容したインクカートリッジやブルー(B)のインクを収容したインクカートリッジまたはバイオレット(Vi)のインクを収容したインクカートリッジを用いることができる。また、シアン(C)のインクを収容したインクカートリッジの代替としては、例えば、グリーン(G)のインクを収容したインクカートリッジや、ブルー(B)のインクを収容したインクカートリッジまたはバイオレット(Vi)のインクを収容したインクカートリッジを用いることができる。
【0086】
===まとめ===
以上本実施形態にあっては、インクジェットプリンタ1に装着されたインクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cに収容されたインクの残量が所定量以下になるまで(すなわち、少残量カートリッジに関する情報を受信するまで)、第2制御部としてのコンピュータ110からインクジェットプリンタ1(第1制御部としてのコントローラ70)に対して、インクカートリッジ24A、24B、26A、26B、26Cのインクの残量についての問い合わせが行われないから、インクジェットプリンタ1とコンピュータ110との間の通信に関する負担を軽減することができる。
【0087】
また、インクジェットプリンタ1に装着された2つのブラック(K)のインクカートリッジ24A、24Bのうちのいずれか一方のインク残量が所定量以下となった場合には、同じ色のインクを収容した他方のインクカートリッジを代替カートリッジとして使用するから、印刷処理をそのまま継続して実行することができる。
【0088】
また、少残量カートリッジが検出された後は、コンピュータ110がインクジェットプリンタ1から代替カートリッジのインク残量に関する情報を逐次取得するため、コンピュータ110は、代替カートリッジのインク残量を簡単に管理することができる。
【0089】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0090】
<インク残量が所定量以下になる前について>
前述した実施の形態において、2つのインクカートリッジ24A及び24Bの一方のインク残量が所定量以下になる前(少残量カートリッジに関する情報を受信する前)は、一方のインクカートリッジを使用し続けるようにしても良いし、2つのインクカートリッジを交互に使用しても良い。2つのインクカートリッジを交互に使用する場合、例えば、ジョブごと又はページごとに、使用するインクカートリッジを変更する(言い換えると、ジョブごと又はページごとに、使用するインクカートリッジを変更するように、印刷データが生成される)。これにより、一方のカートリッジの残量が他方のカートリッジの残量と比べて偏って減ることを抑制できる。
【0091】
このように、2つのインクカートリッジを交互に使用する場合であっても、ジョブごと又はページごとにインク消費量が異なるので、どちらか一方のインクカートリッジのインク残量が他方のインク残量と比べて極端に減ることがあり得る。このため、2つのインクカートリッジを交互に使用する場合においても、前述した実施の形態を採用することが可能である。
【0092】
<差分が所定値以下になった後について>
前述した実施の形態では、代替カートリッジのインク残量と、少残量カートリッジのインク残量との差分が所定値以下になった場合には、通常の印刷処理を実行しているが、これに限られるものではない。
【0093】
例えば、代替カートリッジのインク残量と、少残量カートリッジのインク残量との差分が所定値以下になった場合には、両方のインクカートリッジとも残量が少ない状態なので、コンピュータ110は、ジョブごとに両方のインクカートリッジのインク残量に関する情報を要求しても良い。この場合、コンピュータ110は、インクジェットプリンタ1から送信された(取得した)両方のインクカートリッジのインク残量に関する情報に基づき、残量が多い方のインクカートリッジのみを使用するように印刷データを生成するのが良い。これにより、残量の少なくなった両カートリッジを均等に使用できる。
【0094】
若しくは、代替カートリッジのインク残量と、少残量カートリッジのインク残量との差分が所定値以下になった場合には、前回のジョブで使用したインクカートリッジのみのインク残量に関する情報を要求しても良い。つまり、両方のインクカートリッジのインク残量に関する情報を要求する形態に限られるものではない。なお、前回のジョブで使用したインクカートリッジのみのインク残量に関する情報を要求する理由は、前回のジョブで使用しなかったインクカートリッジについては、インクは減っていないため、既に取得したインク残量に関する情報をそのまま使用できるからである。但し、印刷には使用していなくても、ノズルの増粘防止のためにインクを吐出する動作(フラッシングと呼ばれる動作)を行った場合には、前回のジョブで使用しなかったインクカートリッジのインク残量に関する情報を要求しても良い。
【0095】
<液体について>
前述した実施の形態では、「液体」として、インクの場合を例にして説明したが、ここでいう「液体」にあっては、どのようなタイプの液体であっても構わない。
【0096】
<液体吐出装置について>
前述した実施の形態では、「液体吐出装置」として、媒体に向けて液体としてインクを吐出する装置を例にして説明したが、ここでいう「液体吐出装置」にあっては、液体を吐出する装置であればどのようなタイプの装置であっても構わない。具体的には、布地に模様をつけるための捺染装置(方法)、回路基板上に回路パターンを形成するための回路基板製造装置(方法)、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置(方法)、有機EL(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等のディスプレイ製造装置(方法)等であっても構わない。
【0097】
また、以上説明した技術は、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって液体を吐出させるような液体吐出装置にも適用可能である。また、ラインヘッドプリンタなどの各種印刷装置にも適用可能である。
【0098】
<コンピュータについて>
前述した実施の形態では、「コンピュータ」として、パーソナルコンピュータなどの各種コンピュータを例にして説明したが、ここでいう「コンピュータ」にあっては、液体吐出装置と通信可能に接続されるコンピュータ、即ち液体吐出装置との間でデータ通信が可能に接続されるコンピュータであれば、どのようなタイプのコンピュータであっても構わない。
【0099】
<各制御部について>
前述した実施の形態では、第1制御部としてコントローラ70を例示し、第2制御部としてコンピュータ110を例示したが、この構成に限られない。例えば、コンピュータに接続されずに、単体で画像を印刷できるプリンタ(狭義の液体吐出装置)は、コントローラ70に対応する第1制御回路と、プリンタドライバ機能を有する第2制御回路とを備えている。このプリンタでは、第1制御回路を第1制御部として機能させ、第2制御回路を第2制御部として機能させることができる。このように構成しても、同様の作用効果を奏する。
【0100】
<液体吐出データについて>
前述した実施の形態では、「液体吐出データ」として「印刷データ」がコンピュータから液体吐出装置(インクジェットプリンタ)に向けて送信されていたが、ここでいう「液体吐出データ」にあっては、このような「印刷データ」には限られない。
【0101】
<カートリッジについて>
前述した実施の形態では、「カートリッジ」として、液体としてインクを収容したカートリッジを例にして説明したが、ここでいう「カートリッジ」としては、このようなインクを収容したカートリッジには限られない。すなわち、液体を収容しかつ液体吐出装置に装着されるカートリッジであれば、どのようなカートリッジであっても構わない。
【0102】
<残量検出部について>
前述した実施の形態では、「残量検出部」として、各ノズル♯1〜♯180から各々吐出されるインク滴の数をカウントすることにより消費量を算出して、その消費量に基づき各インクカートリッジのインク残量を検出していたが、ここでいう「残量検出部」にあっては、必ずしもこのような方法により各カートリッジの残量を検出する必要はない。すなわち、ここでいう「残量検出部」にあっては、カートリッジにそれぞれ収容されたインク等の液体の残量を検出するのであれば、どのような方法により残量を検出しても構わない。具体的には、例えば、光学センサ等の各種センサを設置してこのようなセンサにより各カートリッジの残量を検出しても良い。
【0103】
<代替カートリッジについて>
前述した実施の形態では、「代替カートリッジ」として、同じ色のインクが収容されたインクカートリッジ(ここでは、ブラック(K)のインクを収容したカートリッジ)が用いられていたが、ここでいう「代替カートリッジ」にあっては、必ずしもこのような同じ色のインクが収容されたカートリッジのみには、限定されない。すなわち、ここでいう「代替カートリッジ」にあっては、「少残量カートリッジ」に代えて利用することができるカートリッジであれば、どのようなカートリッジであっても構わない。つまり、ある色のインクが収容されたカートリッジに代えて、2種類以上の別の色のインクが収容されたカートリッジを代替することができれば、それら2種類以上の別の色のインクが収容されたカートリッジについても「代替カートリッジ」に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】液体吐出システムの構成例について説明した斜視図。
【図2】プリンタの内部構成を説明する斜視図。
【図3】ヘッドのノズル列の構成の説明図。
【図4】コンピュータ、及びプリンタの構成を説明するブロック図。
【図5】プリンタドライバの処理の説明図。
【図6】ヘッド制御部の説明図。
【図7】ヘッド制御部の各信号のタイミングチャート。
【図8】インクジェットプリンタとコンピュータの間のやり取りの説明図。
【図9】インク消費量の算出方法の説明図。
【図10】コンピュータの処理について説明したフローチャート。
【符号の説明】
【0105】
1 インクジェットプリンタ、15 搬送モータ、17A 搬送ローラ、
21 ヘッド、20 用紙搬送機構、
24A インクカートリッジ、24B インクカートリッジ、
25A カートリッジ装着部、25B カートリッジ装着部、
26A インクカートリッジ、26B インクカートリッジ、
26C インクカートリッジ、27A カートリッジ装着部、
27B カートリッジ装着部、27C カートリッジ装着部、
30 キャリッジ移動機構、40 ヘッドユニット、40 ヘッドユニット、
41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、44 プーリ、
45 タイミングベルト、46 ガイドレール、49 カートリッジ装着部、
50 駆動信号生成回路、51 リニア式エンコーダ、60 検出器群、
70 コントローラ、71 外部インターフェース部(I/F)、
74 制御ユニット、100 液体吐出システム、110 コンピュータ、
112 外部インターフェース部(I/F)、113 CPU、114 メモリ、
120 表示装置、130 入力装置、131 キーボード、132 マウス、
140 記録再生装置、141 フレキシブルディスクドライブ装置、
142 CD−ROMドライブ装置、160 アプリケーションプログラム、
162 ビデオドライバ、164 プリンタドライバ、
166 解像度変換処理部、168 色変換処理部、
170 ハーフトーン処理部、172 ラスタライズ処理部、
211Y イエロノズル群、211M マゼンダノズル群、
211C シアンノズル群、211K1 第1ブラックノズル群、
211K2 第2ブラックノズル群、222 マスク回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1制御部によって行われ、ノズルから吐出される液体が収容された複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する、残量検出ステップと、
(B)前記第1制御部によって行われ、少なくとも1つのカートリッジにおける前記液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する、情報送信ステップと、
(C)第2制御部によって行われ、送信された前記少残量カートリッジに関する情報に基づき、前記少残量カートリッジを除く他のカートリッジのうちの、少なくとも1つのカートリッジを代替カートリッジとして定め、前記代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、液体吐出データ生成ステップと、
(D)前記第2制御部によって行われ、前記少残量カートリッジに関する情報の受信後、前記液体吐出データを送信する処理が実行される都度、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得する、残量情報取得ステップと、
(E)を有する液体の吐出制御方法。
【請求項2】
前記残量情報取得ステップでは、
前記少残量カートリッジに関する情報を受信するまで、前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得しない、
請求項1に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項3】
前記代替カートリッジに収容された前記液体は、
前記少残量カートリッジに収容された前記液体と同じ種類の液体である、
請求項1または2に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項4】
前記液体は、
インクである、
請求項1または2に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項5】
前記代替カートリッジは、
前記少残量カートリッジに収容されたインクと同じ色のインクを収容する、
請求項4に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項6】
前記液体吐出データ生成ステップでは、
前記少残量カートリッジに関する情報を受信するまで、前記代替カートリッジとなるカートリッジと前記少残量カートリッジとなるカートリッジとを交互に使用するように、これらのカートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項7】
前記第2制御部によって行われ、前記第1制御部から取得した液体の残量に関する情報に基づき、前記少残量カートリッジに収容された液体の残量と、前記代替カートリッジに収容された液体の残量との差分を算出する、差分算出ステップと、
前記第2制御部によって行われ、算出された前記差分が所定値以下か否かを判定する、差分判定ステップと、
を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項8】
前記残量情報取得ステップでは、
前記差分が前記所定値以下であると判定された場合に、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報と、前記少残量カートリッジの前記液体の残量に関する情報とを前記第1制御部から取得し、
前記液体吐出データ生成ステップでは、
前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報と、前記少残量カートリッジの前記液体の残量に関する情報とに基づいて、前記代替カートリッジおよび前記少残量カートリッジのうちの、残量の多い方のカートリッジを判定し、残量の多い方のカートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、
請求項7に記載の液体の吐出制御方法。
【請求項9】
(A)互いに通信可能な第1制御部と第2制御部とを有する液体吐出装置であって、
(B)前記第1制御部は、
ノズルから吐出される液体が収容された複数のカートリッジのそれぞれについて、収容された液体の残量を検出する、残量検出ステップと、
少なくとも1つのカートリッジにおける前記液体の残量が所定量以下であると検出されたときに、対応する少残量カートリッジについて少残量カートリッジに関する情報を送信する、情報送信ステップとを行い、
(C)前記第2制御部は、
送信された前記少残量カートリッジに関する情報に基づき、前記少残量カートリッジを除く他のカートリッジのうちの、少なくとも1つのカートリッジを代替カートリッジとして定め、前記代替カートリッジに収容された液体の吐出制御を行うための液体吐出データを生成して送信する、液体吐出データ生成ステップと、
前記少残量カートリッジに関する情報の受信後、前記液体吐出データを送信する処理が実行される都度、前記代替カートリッジの前記液体の残量に関する情報を前記第1制御部から取得する、残量情報取得ステップとを行う、
(D)液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−195063(P2008−195063A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307772(P2007−307772)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】