説明

液体ろ過のためのろ材

1000ナノメートル未満の平均直径を有するナノファイバーの少なくとも1つの層を、場合によりスクリム層と共に含むろ材が、液体中の微粒子物質をろ過するために開示されている。ろ材は、少なくとも0.055L/分/cmの流量を、比較的高レベルの容積で達成する。ろ材はまた、差圧が2psi(14kPa)〜15psi(100kPa)の間で増加する際に流量を低減させないことが有利に見出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバーの1つもしくはそれ以上の層を含んでなるろ材に関する。ろ材は、汚染物を液体からろ過するのに特に好適である。
【背景技術】
【0002】
液体ろ材は、一般的には、2つのタイプの一方に分類される。一タイプは、繊維状不織ろ材であり、特に限定されないが、連続繊維から形成されるスパンボンド、メルトブローンまたはスパンレース不織ろ材、カードステープル繊維から形成される水流交絡不織ろ材、および上記技術の併用から形成されるろ材が挙げられる。液体ろ過用の不織ろ材は、1μmを超える孔径を有する。液体ろ材の第2のタイプは、非支持状態でまたは支持層と併せて用いられることができる多孔性フィルムメンブランである。ろ過メンブランは、0.01μm未満の孔径を有し、および典型的には、約0.1μm〜約10μmの範囲の微粒子が液体からろ過される精密ろ過、約50nm〜約0.5μmの範囲の微粒子がろ過される限外ろ過および約1Å〜約1nmの範囲の物体がろ過される逆浸透法などの微細なろ過作業を達成するために用いられる。不織ろ材およびメンブランは共に、精密ろ過における使用に好適である。
【0003】
1μm未満の孔径に等しい粒子の不織ろ材での保持を達成するために、不織ろ材は、繊維材料の層の数を増やすことにより、大きい深さで形成されてきた。これは、汚染物粒子がろ材による捕獲から逃れるために通らなければならない障害経路の高い屈曲係数、およびろ材の高い汚染物保持能を望ましくもたらす。不織ろ材における繊維層の数の増加はまた、フィルタ使用者に対するエネルギーの増加および短いフィルタ寿命に反映される、圧力低下または用いるろ材を隔てた差圧を不要に高める。他方で、メンブランは、良好な粒子保持、圧力低下およびフラックスの組み合わせを呈することが可能であるが、費用がきわめて高い傾向にあり、および圧力低下の全範囲にわたって良好な汚染物保持能を提供せず、従って、メンブランを用いるフィルタの需要を制限している。
【0004】
(特許文献1)は、汚染物を空気または液体からろ過する不織ろ材を開示し、このろ材は、微細繊維の単一層または多層を含んでなる。微細繊維は、それらの間に高電圧静電界が維持された放射デバイスおよびグリッドを含む装置を利用する静電紡糸プロセスにより形成される。ポリマーの溶剤中の溶液が、そこから溶液の小滴が静電界によりグリッドに向かって加速される放射デバイスに送られ、ここで、溶剤が蒸発してポリマーが微細繊維に延伸され、および乾燥繊維として、放射デバイスおよびグリッドの間に位置された収集基材上に収集される。
【0005】
合成ポリマーは、きわめて小さい直径繊維(すなわち、約数マイクロメートルまたは1μm未満)のウェブに、メルトブローイング、静電紡糸およびエレクトロブローイングを含む種々のプロセスを用いて形成されてきた。このようなウェブは、液体バリア材料およびフィルタとして有用である。度々、これらは、より強固なシートと組み合わされて複合体が形成され、より強固なシートは、最終フィルタ製品の要求を満たす強度を提供する。
【0006】
圧力低下および流量の向上した組み合わせを提供する、汚染物を液体からろ過するために好適である不織ろ材を有することが望ましいであろう。このようなろ材は、増加したフィルタ耐用寿命を提供するであろうと考えられている。
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0038014 A号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の実施形態において、本発明は、高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を含んでなるろ材に関し、ここで、ナノファイバーは、約1μm未満の平均繊維直径を有し、ろ材は、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および、10psi(69kPa)差圧における約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有する。
【0009】
本発明の第2の実施形態は、紡糸ノズル、ブローイングガス射出ノズルおよびコレクタを含んでなる少なくとも1つの紡糸ビームを含んでなる紡糸ビームを含んでなる微細繊維紡糸装置であって、紡糸ビームおよびコレクタがそれらの間に高電圧静電界を維持する装置を提供し、紡糸ノズルにポリマーおよび溶剤を含んでなるポリマー溶液を供給し、ポリマー溶液を紡糸ノズルから圧力をかけながら吐出し、かつ前記溶液を前記ガス射出ノズルから吐出されるブローイングガスと共に吹出して、ナノファイバーの繊維状ウェブを形成し、そして乾量基準で計測した場合約2g/m〜約100g/mの間の坪量を有する繊維状ウェブを、単一の紡糸ビーム下で単一パスにおいて移動収集装置上に収集すること、を含んでなるろ材の製造方法に関する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を有するろ材を含んでなるフィルタに関し、ここで、ナノファイバーは約1μm未満の平均繊維直径を有し、およびろ材は、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および10psi(69kPa)差圧における約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有する。
【0011】
本発明の他の実施形態は、微粒子を含有する液体を、高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を含んでなるろ材に通過させることを含んでなる液体から微粒子を除去する方法に関し、ここで、ナノファイバーは、約1μm未満の平均繊維直径を有し、ろ材は、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および10psi(69kPa)差圧における約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有する。
【0012】
この明細書に組み込まれ、一部を構成する添付の図面は、本発明の現在想達される実施形態を図示し、本明細書と一緒に、本発明の原理の説明に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、汚損物質または汚染物を液体から除去するためのろ材であって、少なくとも1つのナノファイバー層を含むろ材、ろ材の製造方法、および微粒子を液体から除去する方法に関する。
【0014】
用語「ナノファイバー」は、数十ナノメートルから、数百ナノメートル以下で異なるが、一般的には1マイクロメートル未満の直径を有する繊維を指す。
【0015】
用語「ろ材」は、微粒子材料の材料中または上での同時のおよび少なくとも一時的な滞積を伴って、微粒子担持流体が通過する材料または材料の集合を指す。
【0016】
用語「フラックス」および「流量」は、体積量の流体が所与の面積のろ材を通過する流量を指すために同義的に用いられる。
【0017】
本発明のろ材は、高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を含む。ナノファイバーは、約1μm未満、好ましくは約0.1μm〜約1μmの間の平均繊維直径を有する。ろ材は、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズを有する。ろ材は、少なくとも約15容量%、さらには、約15容量%〜約90容量%の間、およびさらには、約30容量%〜約75容量%の間の容積を有する。ろ材は、10psi(69kPa)差圧での約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有する。ろ材は、約10μm〜約600μmの間の、さらには、約30μm〜約130μmの間の厚さを有する。ろ材は、約2g/m〜約100g/mの間の、さらには、約15g/m〜約90g/mの間の坪量を有する。
【0018】
ろ材は、単に、ナノファイバーから構成されることが可能であり、またはナノファイバー層と構造的支持のための多孔性基材(スクリムとしても称される)との組み合わせであることが可能である。
【0019】
本発明における使用に好適であるポリマーとしては、熱可塑性および熱硬化性ポリマーが挙げられる。本発明における使用に好適であるポリマーとしては、限定されないが、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)、これらのコポリマーまたは誘導体化合物、およびこれらの組み合わせ。
【0020】
ろ材のナノファイバー層の製造方法は、本願明細書において参照により援用される国際公開第2003/080905号パンフレット(米国特許出願第10/822,325号明細書)に開示されている。図1は、国際公開第2003/080905号パンフレットに記載のとおり、エレクトロブローイング(または「エレクトロブロー紡糸」)を用いる本発明の方法を実施するために有用であるエレクトロブローイング装置の概略図である。この従来技術エレクトロブローイング方法は、溶剤中のポリマーの溶液を混合チャンバ100から、紡糸ビーム102を介して、高電圧が印加される紡糸ノズル104に供給する一方で、ノズルから吐出される、ブローイングガス流106中のポリマー溶液に向けて圧縮ガスを指向して、ナノファイバーを形成し、接地したコレクタ110上に、減圧チャンバ114およびブロア112によって形成された減圧下でナノファイバーをウェブに収集することを含んでなる。
【0021】
本発明の一実施形態において、ろ材は、プロセスを通して、紡糸ビームおよびコレクタの間に位置された移動収集装置の単一パスによって形成される単一のナノファイバー層を含んでなる。繊維状ウェブは、同一の移動収集装置上で同時に操作される1つもしくはそれ以上の紡糸ビームによって形成されることが可能であることは、理解されるであろう。
【0022】
本発明の一実施形態において、単一のナノファイバー層は、単一の紡糸ビームからのナノファイバーを、移動収集装置の単一パスで堆積させることにより形成され、ナノファイバー層は、乾量基準(すなわち、残存溶剤が蒸発し、または除去された)で計測して、約2g/m〜約100g/mの間の、さらには、約10g/m〜約90g/mの間の、およびさらには、約20g/m〜約70g/mの間の坪量を有する。
【0023】
移動収集装置は、好ましくは、静電界内において、紡糸ビーム102およびコレクタ110の間に位置された移動収集ベルトである。収集された後、単一のナノファイバー層は、紡糸ビームの下流側の巻取ロールに向けられ、および巻かれる。
【0024】
本発明の一実施形態においては、得られるナノファイバー層および多孔性基材の複合体が本発明のろ材として用いられるよう、多様な多孔性基材のいずれも、移動収集ベルト上に配置されて、収集されると共に基材上にスパンされたナノファイバーウェブと組み合わされることが可能である。多孔性基材の実施例としては、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂接合不織布、織布、メリヤス生地、開孔フィルム、紙、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
収集されたナノファイバー層は、有利には、接合される。接合は、特に限定されないが、加熱された平滑なニップロール間での熱カレンダ加工、超音波接合、およびガス中接合を含む公知の方法によって達成され得る。接合は、ろ材が、取り扱い、有用なフィルタへの形成、およびフィルタにおける使用に関連する力に耐え得るようろ材の強度および耐圧縮性を増加させ、および用いられる接合方法に応じて、厚さ、密度、および孔のサイズおよび形状などの物理特性を調整する。例えば、熱カレンダ加工を用いて、ろ材の厚さを低減させ、密度および容積を増加させ、ならびに孔のサイズを低減させることが可能である。これは、次いで、所与の適用された差圧でのろ材通過流量を低減させる。一般には、超音波接合は、ろ材を熱カレンダ加工より小さい面積で接合し、従って厚さ、密度および孔径により小さい影響を有する。ガス中結合は、一般的には、厚さ、密度および孔径に最低の影響を有し、従って、この結合法が高流量の維持が最も重要である用途において好ましい場合がある。
【0026】
熱カレンダ加工を用いる場合、ナノファイバーが溶融し、および個別の繊維としてのそれらの構造をもはや維持しなくなるまで、材料を過度に接合しないよう注意をしなければならない。極端な場合には、過剰な接合は、フィルムが形成されることとなるような微細繊維の完全な溶融をもたらすであろう。用いるニップロールの一方または両方は、約周囲温度、例えば約25℃〜約300℃の間、さらには、約50℃〜約200℃の間の温度に加熱される。ナノファイバー層は、約0 lb/in〜約1000 lb/in(178kg/cm)の間、さらには、約50 lb/in(8.9kg/cm)〜約550 lb/in(98kg/cm)の間の圧力で、ニップロールの間で圧縮される。ナノファイバー層は、有利には、少なくとも約10ft/分(3m/分)、さらには、少なくとも約30ft/分(9m/分)のライン速度で圧縮される。カレンダ加工条件(例えば、ロール温度、ニップ圧およびライン速度)は、所望の容積を達成するために調節することが可能である。一般には、より高い温度、圧力の適用、および/または、高温および/または高圧下での長い滞留時間は増加された容積をもたらす。いくつかの事例においては、収集したナノファイバー層を、約65℃以下の温度、約100 lb/in(17.8kg/cm)未満のニップ圧、約30ft/分(9m/分)を超えるライン速度、または前記条件の組み合わせで軽く圧延処理して、約15容量%〜約30容量%の間の容積を有するろ材をもたらすことが望ましい。
【0027】
試験法
坪量を、本願明細書において参照により援用されるASTM D−3776に準拠して測定し、およびg/mで報告した。
【0028】
容積を、g/mでのサンプルの坪量で、g/cmでのポリマー密度およびマイクロメートルでのサンプル厚さで除すると共に、100を乗すること、すなわち、容積=坪量/(密度×厚さ)×100により算出した。
【0029】
繊維直径を、以下のとおり測定した。5,000×倍率での、10の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、各ナノファイバー層サンプルについて撮った。11のはっきりと識別可能なナノファイバーの直径を各SEMイメージから計測し記録した。欠陥は含まなかった(すなわち、ナノファイバー塊、ポリマー液滴、ナノファイバーの交差部)。各サンプルについての平均繊維直径を算出した。
【0030】
厚さを本願明細書において参照により援用されるASTM D1777−64に準拠して測定し、およびマイクロメートルで報告する。
【0031】
最小孔径を、ASTM名E1294−89、「メンブランフィルタの孔径特徴に対する自動化液体ポロシメータを用いる標準試験法(Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter)」に基づいて計測し、これは、およそ、毛管流ポロシメータ(モデルナンバーCFP−34RTF8A−3−6−L4、ニューヨーク州イサカ(Ithaca,NY)のポロスマテリアルズ社(Porous Materials,Inc.)(PMI))を用いるASTM名F316からの自動化泡立ち点法を用いることにより、0.05μm〜300μmの孔径直径を有するメンブランの孔径特徴を計測する。異なるサイズの個体サンプル(8、20または30mm直径)を、低表面張力流体(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン、または16dyne/cmの表面張力を有する「ガルウィック(Galwick)」)で濡らした。各サンプルをホルダー中に置き、および空気の差圧を適用し、および流体をサンプルから除去した。最小孔径は圧縮圧力がサンプルシートに加圧された後に開く最後の孔であり、ベンダーから供給されたソフトウェアを用いて算出される。
【0032】
平均流孔サイズを、ASTM名E1294−89、「メンブランフィルタの孔径特徴に対する自動化液体ポロシメータを用いる標準試験法(Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter)」に基づいて計測した。再度、異なるサイズの個体サンプル(8、20または30mm直径)を上記の低表面張力流体で濡らし、およびホルダー中に置き、および空気の差圧を適用し、および流体をサンプルから除去した。濡れた流れが、乾燥した流れ(湿潤溶剤無しでの流れ)の半分と等しくなる差圧が、提供されたソフトウェアを用いる平均流孔サイズの算出に用いられる。
【0033】
泡立ち点を、ASTM名F316、「泡立点および平均流孔テストによるメンブランフィルタの孔径特徴に対する標準試験法(Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test)」に基づいて計測した。個体サンプル(8、20または30mm直径)を上記の低表面張力流体で濡らした。サンプルをホルダー中に置いた後、差圧(空気)が適用され、および流体がサンプルから除去される。泡立ち点は、圧縮空気圧力がサンプルシートに適用された後は、最初は開口であり、およびベンダーに提供されたソフトウェアを用いて算出される。
【0034】
流量(フラックスとしても称される)は、所与の面積のサンプルを通過する流体の量であり、および脱イオン水を、8mmの直径を有するろ材サンプルに通して計測した。水を、水圧(水頭圧)または空気圧(水上での気圧)を用いて、強制的にサンプルを通過させた。テストは、磁性フロートを含有する流体で充填したカラムを用い、およびカラムに取り付けられたセンサが磁性フロートの位置を読み取り、およびデジタルインフォメーションをコンピュータに提供する。流量は、PMIにより提供されるデータ分析ソフトウェアを用いて算出される。
【実施例】
【0035】
本願明細書中以下に、本発明を以下の実施例においてより詳細に説明する。国際公開第2003/080905号パンフレットにおいて、その図1に例示のとおり開示されている発明のナノファイバーウェブを形成するためのエレクトロブローン紡糸またはエレクトロブローイングプロセスおよび装置を用いて、以下の実施例のナノファイバー層およびウェブを製造した。
【0036】
1.14g/ccの密度を有するナイロン6,6ポリマー(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)のイーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニー(E.I.duPont de Nemours and Company)から入手可能)の(24重量パーセントでの)、ギ酸(99%純度での)(フィンランドヘルシンキ(Helsinki,Finland)のケミラオイジ(KemiraOyj)から入手可能)中の溶液をエレクトロブローイングすることにより、ナノファイバー層を形成した。ポリマーおよび溶剤を溶液混合タンク中に供給し、溶液をリザーバに移し、ギアポンプを介して、一連の紡糸ノズルおよびガス射出ノズルを有するエレクトロブローイングスピンパックへ計量した。スピンパックを、約13℃〜約26℃の間の温度に、約9bar〜約13barの間の紡糸ノズル中の溶液の圧力で維持した。スピナレットを電気的に絶縁すると共に、65kVの電圧を印加した。約34℃〜約79℃の間の温度の圧縮空気を、ガス射出ノズルを介して、スピンパックから、約4.7m/分〜約6m/分の量および240mm HO〜約410mm HOの間の圧力で射出した。繊維を、紡糸ノズルから、大気圧、約50%〜約72%の間の相対湿度および約13℃〜約24℃の間の温度で空気中に排出させた。繊維を、パックの出口から約300mm〜約360mmの間の距離下の、約2.0m/分〜約15m/分の速度で移動する多孔性ベルト上に敷いた。多孔性ベルト下の減圧チャンバが繊維のレイダウンを補助した。
【0037】
実施例1
ナノファイバーの層を形成した。スピンパックは、10bar(1000kPa)での紡糸ノズル中の溶液の圧力で21℃の温度であった。70℃の温度の圧縮空気を、ガス射出ノズルを介して、スピンパックから5m/分の量、および400mm HOの圧力で射出した。繊維を、パックの出口から330mm下の、15m/分で移動する多孔性ベルト上に敷いた。ナノファイバー層サンプルを、スピンパック下を移動するベルトの5パスで、移動する収集ベルト上に繊維を直接的に堆積することによりスクリム無しで形成した。ナノファイバーの各層は、約5g/mの目標坪量を有していた。ナノファイバー層サンプルを、表1に示す条件に従って接合した。
【0038】
実施例2〜4
ナノファイバーの層を、スピンパックは、12bar(1200kPa)での紡糸ノズル中の溶液の圧力で、26℃の温度であり、および圧縮空気を、54℃の温度、5.7m/分の量、および320mm HOの圧力で供給したこと以外は、実質的に実施例1に規定のとおり形成した。繊維を、パックの出口から330mm下の、7.4m/分で移動する多孔性ベルト上に敷いた。ナノファイバー層サンプルを、スピンパック下を移動するベルトの4パスで、移動する収集ベルト上に繊維を直接的に堆積することによりスクリム無しで形成した。ナノファイバーの各層は、約10g/mの目標坪量を有していた。ナノファイバー層サンプルを、表1に示す条件に従って接合した。
【0039】
実施例5〜7
ナノファイバーの層を、スピンパックは、12bar(1200kPa)での紡糸ノズル中の溶液の圧力で、20℃の温度であり、および圧縮空気を、35℃の温度、5m/分の量、および280mm HOの圧力で供給したこと以外は、実質的に実施例1に規定のとおり形成した。繊維を、パックの出口から300mm下の、11.3m/分で移動する多孔性ベルト上に敷いた。ナノファイバー層サンプルを、スピンパック下を移動するベルトの5パスで、移動する収集ベルト上に繊維を直接的に堆積することによりスクリム無しで形成した。ナノファイバーの各層は、約5g/mの目標坪量を有していた。ナノファイバー層サンプルを、表1に示す条件に従って接合した。
【0040】
実施例8
ナノファイバーの層を、スピンパックは、11bar(1100kPa)での紡糸ノズル中の溶液の圧力で、24℃の温度であり、および圧縮空気を、59℃の温度、5.5m/分の量および330mm HOの圧力で供給したこと以外は、実質的に実施例1に規定のとおり形成した。繊維を、パックの出口から330mm下の、14.7m/分で移動する多孔性ベルト上に敷いた。ナノファイバー層サンプルを、スピンパック下を移動するベルトの13パスで、移動する収集ベルト上に繊維を直接的に堆積することによりスクリム無しで形成した。ナノファイバーの各層は、約5g/mの目標坪量を有していた。ナノファイバー層サンプルを、表1に示す条件に従って接合した。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例の各々において、単一のナノファイバー層を、通常の手段によっては、ナノファイバーの2つ以上の層に剥がすことはできなかった。
【0043】
液体流量は、以外にも、30容量%を超える容積レベルについてより高いことが見出された。2psi(14kPa)〜15psi(100kPa)の間で適用した差圧での特定の流量を、実施例4および8についての差圧に対してプロットした。図2のグラフに見ることが可能であるとおり、ろ材通過流量の変化対ろ材を隔てた差圧の対応する変化の比は、この差圧の範囲にわたって正である。換言すると、この範囲内で差圧が増加するに伴って、流量もまた増加する。本発明のろ材を含むフィルタを通過する流れ、従ってフィルタ寿命がこの範囲内での圧力低下によって制限されないため、これは本発明のろ材の利点である。
【0044】
本発明のろ材は、望ましくない圧力低下に達せずに高質量の微粒子を保持するために必要な嵩高性を提供することが可能であると考えられている。ろ材は、公知のメンブランと比して、より大きい流量および/またはより低い圧力低下を微粒子の所与の保持で提供することが可能である。
【0045】
本発明によるろ材は、食品および飲料、医薬品、バイオテクノロジー、マイクロエレクトロニクス、化学処理、水処理、および他の液体処理産業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるろ材を調製する従来技術のナノファイバーウェブ調製装置の概略図である。
【図2】特定の流量対、本発明によるろ材を隔てた差圧のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を含んでなるろ材であって、ナノファイバーが約1μm未満の平均繊維直径を有し、ろ材が、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および10psi(69kPa)差圧において約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有するろ材。
【請求項2】
容積が約30容量%〜約70容量%の間である請求項1に記載のろ材。
【請求項3】
ろ材が約10μm〜約600μmの間の厚さを有する請求項1に記載のろ材。
【請求項4】
ろ材が約2g/m〜約100g/mの間の坪量を有する請求項1に記載のろ材。
【請求項5】
ろ材通過流量の変化対ろ材を隔てた差圧の対応する変化の比が、2psi(14kPa)〜15psi(100kPa)の間の範囲の差圧において正である請求項1に記載のろ材。
【請求項6】
支持スクリム層をさらに含んでなる請求項1に記載のろ材。
【請求項7】
支持スクリム層がスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂接合不織布、織布、メリヤス生地、開孔フィルム、紙、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項6に記載のろ材。
【請求項8】
ナノファイバーが約0.10μm〜約1μmの平均繊維直径を有する請求項1に記載のろ材。
【請求項9】
高分子ナノファイバーがポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)およびこれらのコポリマーまたは誘導体化合物よりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項1に記載のろ材。
【請求項10】
紡糸ノズル、ブローイングガス射出ノズルおよびコレクタを含んでなる少なくとも1つの紡糸ビームを含んでなる紡糸ビームを含んでなる微細繊維紡糸装置であって、紡糸ビームおよびコレクタがそれらの間に高電圧静電界を維持する装置を提供し、
紡糸ノズルに、ポリマーおよび溶剤を含んでなるポリマー溶液を供給し、
ポリマー溶液を紡糸ノズルから圧力をかけながら吐出し、かつ前記溶液を前記ガス射出ノズルから吐出されるブローイングガスと共に吹出して、ナノファイバーの繊維状ウェブを形成し、そして
乾量基準で計測した場合約2g/m〜約100g/mの間の坪量を有する繊維状ウェブを、単一の紡糸ビーム下で単一パスにおいて移動収集装置上に収集すること
を含んでなるろ材の製造方法。
【請求項11】
約25℃〜約300℃の間の温度および約0 lb/in〜約1000 lb/in(178kg/cm)の間の圧力で、平滑なニップロール間で繊維状ウェブをカレンダ加工することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を有するろ材を含んでなるフィルタであって、ナノファイバーが、約1μm未満の平均繊維直径を有し、ろ材が、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および10psi(69kPa)差圧において約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有するフィルタ。
【請求項13】
液体から微粒子を除去する方法であって、微粒子を含有する液体を、高分子ナノファイバーの少なくとも1つのナノファイバー層を含んでなるろ材に通過させることを含んでなり、ナノファイバーが、約1μm未満の平均繊維直径を有し、ろ材が、約0.5μm〜約5.0μmの間の平均流孔サイズ、約15容量%〜約90容量%の間の容積および10psi(69kPa)差圧において約0.055L/分/cmを超える水のろ材通過流量を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−509754(P2009−509754A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533669(P2008−533669)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/038096
【国際公開番号】WO2007/041311
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】