液体を分類するための方法、デバイス及びコンピュータ・プログラム・プロダクト
【課題】液体試料が容易に分類されかつ必要に応じて分注されることを可能にする代替方法を提案する。
【解決手段】本発明は、液体を上記液体用の既知の分注システムにおいて分類するための方法であって、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動は上記液体に典型的なデータ・セットとして検出され、上記選択される仮想パラメータの上記典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体はこの比較に基づいて分類される。
【解決手段】本発明は、液体を上記液体用の既知の分注システムにおいて分類するための方法であって、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動は上記液体に典型的なデータ・セットとして検出され、上記選択される仮想パラメータの上記典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体はこの比較に基づいて分類される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連の特許出願)
本特許出願は、2005年7月22日に出願されたスイス国特許出願第CH01223/05号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体があらゆる目的に関して本開示に含まれる。
【0002】
本発明は、液体を分類するための方法に関し、本方法において、流体室は測定室へ接続され、この測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料と流体接続されることになる。本発明は、追加的に、液体を分類するための対応するデバイス及びコンピュータ・プログラム・プロダクトに関する。本発明による方法及び/または本発明によるデバイスの特に好適な実施形態は、液体試料を液体処理するための分注デバイスに関する。
【0003】
従って本発明は、人体液の試料等の液体容量を吸引しかつ計量分配するための分注デバイス内の液体を分類する方法を含む。このような分注デバイスは、ポンプへ接続されるピペット・チップを備える。
【0004】
例えば生化学技術を使用する薬学研究または臨床診断に関連する産業部門は、液体容積及び液体試料を処理するための設備を必要とする。自動化された設備は、典型的には、ワークステーションのワークテーブル上に位置決めされる液体容器の上で使用される単一の分注デバイスまたは複数の分注デバイスを備える。このようなワークステーションは、これらの液体試料に、光学測定、ピペット操作、洗浄、遠心処理、培養及び濾過等の極めて多様な作業を実行する能力を有する場合が多い。このようなワークステーションでは、デカルト座標または極座標に従って動作する1つまたは複数のロボットを使用して試料処理を行ってもよい。このようなロボットは、試料管またはマイクロプレート等の液体容器を運んで、再配置してもよい。またこのようなロボットは、吸引及び計量分配用分注デバイス等の「ロボティック・サンプル・プロセッサ」(RSP)として、または液体試料を分配するためのディスペンサとして使用されてもよい。好適には、このような設備はコンピュータによって監視されかつ制御される。このような設備の決定的優位点は、人間であるオペレータが処理プロセスに携わる必要なしに、多数の液体試料を何時間及び何日にも及ぶ長期的なタイムスパンで自動的に処理できることにある。
【背景技術】
【0005】
先行技術(例えば、米国特許第4,675,301号、米国特許第4,794,085号及び米国特許第5,723,795号参照)から知られる分注デバイスは、ポンプへ接続されるピペット・チップを備える。これらのデバイスの中には流体室を備えるものがあり、流体室へは、圧力センサを有する圧力トランスデューサがガス充填室を介して接続される。この流体室は、ピペット・チップ、上記ピペット・チップをポンプへ接続する第1のライン及びこのポンプの作動部分によって画定される。
【0006】
液体をピペットで操作する場合には、液体のタイプ、即ちこの液体の物理的特徴または物理定数、が問題となることが多い。従って、液体を表面張力、粘性または蒸気圧等のその物理定数を基礎として分類することが先行技術から知られている。次には、対応する分類を基礎として適切な分注パラメータが決定されることが可能であり、かつこれらの液体は向上された精度で分注されることが可能である。
【0007】
分注デバイスを使用して液体試料の粘性を測定することは、欧州特許第0 608 425号から知られる。この場合では、測定は、特定量の液体を吸引するために使用されるピペット・チップを介して適用される画定された原初の部分真空を変更するために必要なタイムスパンから進められる。この時間値はテーブル内のこのような時間値に関連して知られる粘性データと比較され、こうして液体のその時点の粘性が確認される。この方法が遠心処理された血液試料を使用して適用される場合、赤血球を有する残りの画分は血漿から個々に収集されることが可能である。
【0008】
しかしながら、先に説明したように、ピペット操作では他のパラメータも重要な役割を果たす。従って、蒸気圧が相違することに起因して、水またはアセトンの試料は完全に異なる方法で分注されなければならないことが知られている。これらの溶媒の表面張力も、同じく大幅に相違する。例示として表1に、幾つかの典型的な溶媒の粘性、蒸気圧及び表面張力を明記する。
【0009】
【表1】
【0010】
表1から、アセトン及びエタノールの表面張力が極めて似ていることは明らかである。しかし、その粘性及び/または蒸気圧のパラメータ値が大幅に異なることから、これらの2つの溶媒はピペット操作の間、同一に扱われるべきではない。従って、全ての生化学実験室で日常的に使用されるこのような異なる溶剤を自動的かつ確実に分注できるようにするために唯一のパラメータを決定すれば足りるということはほとんどない点は明らかである。しかしながら、これらのパラメータを(及びおそらくは、分注されるべき液体及び/またはピペット・チップに使用される材料の関数としてのピペット・チップの湿潤性等のさらなるパラメータすらも)全て検出することは、必要なマシン及び時間が多くなりすぎる。これはとりわけ、自動化されたワークステーションの場合において、可能な限り最短時間内に何百何千もの試料のスループットを確保しなければならない場合にそうである。溶剤及び/または液体試料が、同じく可能な限り大量に自動分注されなければならない、未知の物理パラメータを有する未知の組成であれば、これがより困難になることは確実である。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,675,301号
【特許文献2】米国特許第4,794,085号
【特許文献3】米国特許第5,723,795号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、液体試料が容易に分類されかつ必要に応じて分注されることを可能にする代替方法を提案するという目的を基礎とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、例えば、流体室が測定室へ接続され、この測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分は液体の試料と流体接続されるに至る、液体を分類するための方法が提案されることにおいて達成される。この場合、本発明による方法は、圧力変動が流体室に位置づけられかつ本質的にコヒーレントである流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータにより処理されて圧力曲線として再現され、この圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする。
【0014】
従って本発明による方法は、分注されるべき液体はこの液体に典型的なデータ・セットとしての選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動を基礎として検出され、選択される仮想パラメータのこの典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、液体はこの比較に基づいて分類される、という基本的考察を基礎とする。但し、この選択される仮想パラメータは粘性、蒸気圧または表面張力等の古典的なパラメータではない。とはいえ、これは、とりわけこうした古典的パラメータの全てに影響される。実際、「実験者の経験による概算」のタイプでは、既知の分注システムにおいて液体がどのように作用するかが即座に確定される。これについては先に、ピペットの内圧の変動を検出することにより説明した。本発明によれば、この方法は、分注されるべき液体内への浸漬に際して、またはこの液体の吸引の間に既に実行されている可能性がある。
【0015】
最終的に比較可能な結果となる、本発明により選択されるさらなる仮想パラメータは、分注されるべき液体の吸引の間にこの選択される仮想パラメータの変動を下記の形式で検出することを含む。
・ システム液またはピペット内の分注されるべき液体のカレント・フロー、
・ 分注されるべき液体が吸引されるもとの容器の総重量、
・ 分注されるべき液体の吸引の間にポンプのピストンを動かすために使用されるDCモータの電力消費量、
・ 分注されるべき液体の吸引の間にピペット・チップに部分真空を生成すべく使用されるマイクロダイアフラム・ポンプのピエゾ駆動装置の電力消費量。
【0016】
最終的に比較可能な結果となる、本発明により選択されるさらなる仮想パラメータは、分注されるべき液体における浸漬に際して、またはこの液体の吸引の間にこの選択される仮想パラメータの変動を下記の形式で検出することを含む。
・ ピペット内の気体室へと結合される音波のトーン・ピッチ。音波は、例えばピペットの壁を介して、またはマイクロホンを介して、ピペットの内側に位置決めされるこの気体室内において直接導かれることが可能である。
・ ピペット内に位置決めされるシステム液、または分注されるべき液体の界面位置。この界面位置は、例えば光波のカップリングまたは散乱等の光学手段を使用して検出されかつ記録されてもよい。
【0017】
従って、この目的は第1の態様により、液体を上記液体のための既知の分注システムにおいて分類するための方法によって達成される。本方法は、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動がこの当該液体に典型的なデータ・セットとして検出されることと、選択される仮想パラメータのこの典型的なデータ・セットが既知の液体の対応するデータ・セットと比較されることと、この比較を基礎として液体が分類されること、を特徴とする。
【0018】
この目的は、特に好適な方法が提案される第2の態様によって達成される。流体室が測定室へ接続され、この測定室の内圧が圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料と流体接続されることになる、液体を分類するためのこの方法は、圧力変動が、流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサにより処理されて圧力曲線として再現され、この圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする。
【0019】
この目的は、液体を分類するためのデバイスを提案する第3の態様によって達成される。このデバイスは流体室を備え、上記流体室には測定室が接続され、上記流体室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料へ流体接続されることになる能力を有する。本発明によるデバイスは、それがパルス・ユニットを備え、上記パルス・ユニットを使用して流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に圧力変動が生成されることが可能であり、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換されることと、本デバイスはコンピュータまたはマイクロプロセッサを備え、これを使用して圧力トランスデューサの測定信号は処理されかつ圧力曲線として再現されることが可能であり、よってこの圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能であり、液体はこの比較を基礎として分類され得ること、を特徴とする。
【0020】
本発明による追加の好適な特徴は、従属クレームからもたらされる。
【0021】
このようにして分類される液体は、続いて正しく分注される、即ちピペットを使用して特定量及び/または特定の容積を、例えばマイクロプレートのウェルである容器内へ計量分配されることが可能である。この目的に沿って、分注デバイスによる液体試料の計量分配を起動させるためのパラメータ・セットが液体の本発明による分類を基礎として選択される。選択は手動または自動的に実行され、設定された要件に最も近いパラメータ・セットがパラメータ・セット・ライブラリから一定の許容範囲を基礎として選択される。
【0022】
次に、例示的な実施形態の略図に基づいて、本発明による方法を詳しく説明する。但し、上記例示的な実施形態は本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明による方法を実行する能力を有する、第1の実施形態及び第1の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。本図においてこの接続は、2つの室2、3間の直接開路として実装されている。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ある代替実施形態では、圧力トランスデューサは流体室へ直に接続されてもよい(図2参照)。ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体を占める流体室の第1の部分5は、この場合は気体で満たされる。ピペット・チップは、容器13内に試料6として供給される液体1の表面に接触する。このような容器は任意の形状及び容量を有してもよく、例えば試料管、マイクロプレートのウェル、トラフまたはペトリ皿として実装される。ピペット・チップが試料液6内へ浸漬されると、ここでは全体が気体で形成される流体カラム7の圧力は変動しかつ/または圧力が振動する。
【0024】
図2は、本発明による方法を実行する能力を有する、第2の実施形態及び第2の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。実際には、この場合、流体室2は同時に測定室3をも形成する。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ピペットまたはピペット・チップの流体室2は、液体1の表面に接触する。ピペット・チップが液体1内へ浸漬されると、ここでは全体がシステム液11で形成される流体カラム7の圧力は変動しかつ/または圧力が振動する。
【0025】
図3は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第3の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。本図において、この接続は、2つの室2、3間に位置づけられてシールを形成するフレキシブルなダイアフラム29として実装されている。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ここではピペットまたはピペット・チップの流体室2の下部のみを占める流体室の第1の部分5は、この場合は空隙39及びシステム液11で満たされる。ここでは、システム液11は除外されてもよい。好適には、とりわけこの接続が2つの室2、3間の直接開路として実装される第1の実施形態(図1参照)では、空隙39は測定室3の領域に位置づけられる。しかしながら、ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3による試料液またはシステム液への浸透を防止することから、その必要はない。ピペット・チップは液体1内へ幾分か浸漬され、試料液6は既にピペット・チップ内へ吸い込まれている。試料液6が吸い込まれる、または吸引されると、ここでは試料液6、気体及び恐らくシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0026】
図4は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第4の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは、図3に示すものと同様に実装される。ここでは、ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体は、チップの領域が空隙39で、その他がシステム液11で満たされる。ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3によるシステム液11への浸透を防止する。ピペット・チップは、液体1へ幾分か浸漬される。試料液6が浸漬されると、ここでは気体及びシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0027】
図5は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第5の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは、図3及び4に示すものと同様に実装される。ここでは、ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体は、チップの領域が試料液6で既に満たされ、試料液6は、小さい空隙39を使用してシステム液11から分離される。ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3によるシステム液11への浸透を防止する。測定室3は、気体(例えば空気またはN2)で満たされてもよい。測定室が液体(例えばオイル、水)で満たされる場合は、センサを液体から分離する気泡を追加的に含んでもよい。ピペット・チップは、やはり液体1へ幾分か浸漬される。試料液6が吸引されると、ここでは気体及びシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0028】
ここまでに説明した図1乃至5では、ピペットはラインを介してポンプへ(どちらも図示されていない)接続される。このようなポンプは任意に選択されてもよく、マイクロリットル領域のより大きい容積またはナノリットル乃至ピコリットル領域のより小さい容積を送出するために実装される。上述の圧力変動はまた、流体カラム7へ空気圧で接続される測定室3内にも圧力変動をもたらし、これは圧力トランスデューサ4によって記録され、測定信号へ変換される。これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサ8によって処理され、圧力曲線9(例えば図7参照)として再現される。この圧力曲線9の推移は、次に既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能である。これらの圧力曲線の各々は特定の試料液6の特徴を表わすものであることから、この比較を基礎として、その時点で供給されている液体1を分類することができる。従って、本発明の本質的優位点は、今まで知られていなかった試料液が、試料液の多数のパラメータを相応に多くの実験において個々に決定する必要なしに、1回の検査及び1回の比較によって特徴づけられ、かつ液体クラスに帰属されることが可能である、という事実を基礎とする。
【0029】
図6は、本発明による方法を実行する能力のある、ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。本実施形態及び用途は、図4に関して説明したものに一致する。ピペット・チップの領域に空隙39を含む流体カラム7は、ここでは本質的にシステム液11により形成される。同じくシステム液で満たされる、デバイスの構造に依存してより長い、またはより短い第1のライン19を介して、流体カラム7はピストン・ポンプ20のピストン21まで伸長される。このピストン・ポンプ20は、液体試料6を吸引するために流体室2内に部分真空(partial vacuum)を生成しかつ液体試料6を計量分配するために流体室2内に超過圧力(over pressure)を生成すべく使用される。さらに、このピストン・ポンプ20はパルス・ユニット17としても使用され、空隙39まで伸長する本質的に均質である流体カラム7は、パルス・ユニット17を使用して振動されることが可能である。ダイアフラム29は、測定室3がシステム液へ浸透することを防止する。この時点で、ピペット・チップは試料液6から離隔位置にあり、よって本図に示す状況は、ピペット・チップがシステム液及び空隙を使用する試料の吸引用に準備されると発生する。この段階で、圧力トランスデューサ4は流体カラム内の任意の気泡の検出に使用され、これは、パルス・ユニット17によって引き起こされる圧力振動の特徴的変化を介して発見されることが可能である。
【0030】
デバイス、即ち、特には本発明による方法を実行することに適するウエルである分注デバイスに関連して、本特許出願の出願人は、2004年12月10日に米国特許商標庁(USPTO)へ優先権主張番号US11/009,247で優先権の基礎出願を提出している。引用したこの基礎出願に記述されているこれらの分注デバイスは、これらが米国特許第4,675,301号、米国特許第4,794,085号及び米国特許第5,723,795号に関連して既に引用されている特徴に加えて流体室内部に位置決めされる液体カラムへ機能的に連結されるパルス発生ユニットを備えることにおいて、既知の技術とは異なる。パルス発生ユニットは、これが液体カラムの垂直動作を引き起こし、次いでこれにより、流体室へ空気圧で接続される気体室において圧力差が生じるように実装される。これらの圧力差は圧力センサによって検出され、圧力トランスデューサにより対応する信号の形式で、これに接続されるコンピュータへ送出される。この時点でコンピュータにより供給されるデータを基礎として、容器内の液面への到達(「液体レベルの検出」)、流体室に位置決めされるシステム液内の気泡の存在及び/またはピペット・チップにおけるフィルタの存在または不在を決定することができる。本発明による分類方法(classification method)の実行において使用するための、本参照によりその全体が開示に含まれる米国特許出願第11/009,247号による分注デバイスの特に好適な実施形態を、図8及び/または9に示す。
【0031】
原則として、分注デバイスの流体カラム7を含む部分の突然または急激な動作は全て、本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムの測定室3内に圧力変動を発生させる。このような圧力変動は、例えば個々の圧力スパイクとして、または圧力振動として発生する可能性があり、あらゆる特定の流体カラム7に特徴的な振動動作を帰属させることができる。
【0032】
図7は、圧力測定値(単位ボルト)を時間軸(単位ミリ秒)でプロットした圧力曲線9を示す。圧力曲線9は、この場合はシステム液11として水で満たされた流体カラム内に発生している特徴的な圧力変動を表わしている。試料液6も同じく、空隙39によりシステム液11から分離される水であった(図1に示すダイアフラム29のない実施形態、図3に示す用途を参照)。吸引の開始である、ポンプ20のピストン21が動作状態に設定された時点は、符号31で示される。この突然のシングルサイド・パルスは流体カラムへ送達され、流体カラムの振動を発生させ、これが測定室3において圧力変動として検出される。吸引の終わりは、符号31aで示される。反対側へ方向づけられるこの突然のパルスは流体カラムへ送達され、同じく流体カラムの振動を発生させ、同じく測定室3において圧力変動として検出される。圧力曲線9の上側及び下側の包絡曲線37、38の図示された特定の推移は、水に特徴的なものである。約2秒間に渡る吸引は、値にしてほぼ0.2Vに相当する圧力降下をもたらした。
【0033】
図8は、分注デバイスの縦断面図である。本発明による方法を実行する能力のある第3の実施形態によるこのデバイスまたはシステムは、ピストン・ポンプ20を備える(図6参照)。このポンプは、好適には「CAVRO XP3000プラス−モジュール・デジタル・ポンプ」(Tecan Systems社、米国カリフォルニア州95138、サンノゼ市ザンカーロード2450所在)、または例えば米国特許第5,638,986号から知られるようなベローズ・ポンプである。ピストン21は、モータMにより駆動される。このデバイスはさらに、流体カラム7を含む管状ピペット上へ差し込まれる、それ自体既知である使い捨てのピペット・チップ12を備える。ピペット・チップ12は、ホルダ12aへ取り付けられる。流体カラム7は、システム液11によって形成される。流体室2は、ポンプの作動部分から、即ちピストン21から、デバイス要件に従って実装されるライン19、流体室2及び空隙39を介してピペット・チップ12のチップまで伸長する。使い捨てのピペット・チップ12全体は気体(典型的には空気)で満たされ、容器13内に位置決めされる試料液6に僅かに浸漬される。試料液6内のピペット・チップ12の浸漬は、流体カラム7における圧力変動及び/または圧力振動を引き起こす。これらの圧力変動は、流体カラム7へ(好適にはフレキシブルなダイアフラム29により分離されて)空気圧で接続される測定室3においても圧力変動を引き起こし、これが圧力トランスデューサ4により記録され、測定信号へ変換される。これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサ8により処理されてディスプレイ画面14またはプリンタ18に圧力曲線9(例えば図7参照)として再現され、こうしてオペレータへ表示されることが可能である。この第1の圧力曲線は、ピペット・チップ12による液体1への侵入を示し、よって、液面1を検出するための(=液体レベル検出)手段を表わす。従ってこれは、圧力測定を使用する液面検出である。故にこのような検出は、吸引されるべき液体1が導電性であるかないかとは無関係である。本デバイスは、これで吸引プロセスを開始する準備が整う。このデバイスは、好適には、ピペットをピストン・ポンプ20へ「チュービング(tubing)」として接続するライン19の領域内に追加の圧力トランスデューサ4'を備える。この追加の圧力トランスデューサ4'は、好適にはコンピュータまたはマイクロプロセッサ8(図示されていない)へも接続される。代替ピペット・チップは、不活性のプラスチック材料で製造される、例えば費用効果のあるポリプロピレンで製造される図示された使い捨てのチップを備える。鋼針(チップが例えばチタン、プラチナまたはテフロン(登録商標)の誘導体でコーティングされている場合もされていない場合もある)も使用可能であり、この場合は、好適には永久的に設置される使い捨てでないピペット・チップとして使用される。
【0034】
図9は、ポンプに依存しない代替パルス・ユニット17の電気機械の変形例を示す部分断面図であり、流体室2における圧力変動はこれを使用することによっても生成されることが可能である。ライン19は、円筒40を介して案内される。ライン19の閉面に対して事実上垂直に移動可能なウェッジ43を有するピストン41は、この円筒40の内側に位置づけられる。ウェッジ43は、好適には軟性のプラスチック材料で製造され、かつ/またはライン19が損傷されないように丸みのあるエッジを有する。また、ウェッジ43としては、平坦な、または曲った面を有するボールまたはボディ等の他の形態が選ばれてもよい。好適には固定式のフロア44は、ピストン41とは直径方向の反対側で円筒40を終わらせる。この動作はライン19を可逆的に変形させ、これにより、前掲のパルスがトリガされる。トリガされるパルスは個々である場合も連続性である場合もあり、流体カラムはほんの短時間移動される、または振動状態にされることが可能である。このパルス・ユニットは、好適にはピペットのX、YまたはZ方向への移動に関係なく、かつポンプ20の動作に関係なく動作されることが可能である。このパルス・ユニット17は、流体室2に位置決めされるシステム液11内の気泡の検出を好適な方法でサポートする。コイル42は、例えば駆動装置として使用される。
【0035】
アプリケーション例
以下で説明する全ての図は、圧力測定値(単位ボルト)が時間軸(単位ミリ秒)でプロットされている圧力曲線9または複数の圧力曲線9、9'、9''を示す。全ての場合において、圧力曲線は、システム液11としての水で満たされた流体カラムにおいて発生したものである。全ての場合で、試料液6は空隙39によりシステム液11から分離されていた(図3参照)。図10乃至21の全てを通じて、重要な手順は、下記のような同じ参照番号で示されている。
30 試料液へのピペット・チップの浸漬
31 吸引/31a吸引の終わり/31b吸引後の遅延/31c泡の突出し
32 計量分配
33 試料液からのピペット・チップの抜取り開始
34 試料液からのピペット・チップの抜取りの終わり
35 その後の行程移動またはピペット・チップの廃棄に起因する干渉信号
【0036】
試料液6の吸引は、液体1における浸漬の後、約2秒のタイムスパンの間に算出流速180μl/秒により10のステップで発生する。
【0037】
図10は、試料液である水の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30後、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はゆっくりと継続的に上昇するが、これは、ピペット・チップひいてはこれに浸透していく水による毛管現象によるものである可能性がある。吸引31の間、圧力はまずほぼ0.1V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.05Vである辺りで対称的に振動する。休止31bの後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.05Vである辺りで対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。初期に認められた継続的な圧力上昇は、上述の諸活動の終了点間の同一の勾配でも継続されることは注目に値する。
【0038】
図11は、試料液である水の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0039】
図12は、水/DMSO混合体を有する試料液の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。水とジメチルスルホキシドとの割合は、1:1である。ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は、浸漬30から大幅には上昇しない。吸引31の間、圧力はまず0.08V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.025Vである辺りで非対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.015Vである辺りで非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。上述の諸活動の終了点間の圧力が一定であることは、注目に値する。
【0040】
図13は、混合比1:1の水/DMSO混合体を有する試料液の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。最も大きい変動は、ピペット・チップの取替え35の瞬間に関連している。
【0041】
図14は、試料液であるDMSOの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は、浸漬30から大幅に0.015V上昇する。吸引31の間、圧力はまず0.066V降下し、次いでほぼ開始圧力の辺りで対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで圧力上昇がほぼ0.02Vである辺りで非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。上述の諸活動の終了点間の圧力は一定であるが、複数回の異なる勾配で僅かに下がることは、注目に値する。
【0042】
図15は、試料液であるDMSOの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0043】
図16は、水/ポリエチレングリコール混合体(水中にPEG7%)を有する試料液の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はゆっくりと継続的に上昇するが、これは、ピペット・チップひいてはこれに浸透していく水/PEG混合体による毛管現象によるものである可能性がある。吸引31の間、圧力はまずほぼ0.11V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.037Vである辺りで極めて非対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.13V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.037Vである辺りで極めて非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅かに上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。初期に認められた継続的な圧力上昇は、上述の諸活動の終了点間の同一の勾配でも継続されることは注目に値する。
【0044】
図17は、水/PEG混合体(水中にPEG7%)を有する試料液の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0045】
図18は、試料液であるアセトニトリルの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は急速に0.027V上昇し、さらに圧力上昇がほぼ0.04Vになるまでゆっくりと上昇する。吸引31の間、圧力はまず0.09V降下し、次いで圧力降下が僅かにほぼ0.02Vである辺りでほぼ対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間に急激に0.08V上昇し、次いで圧力上昇が僅かにほぼ0.035Vである中間レベル33a辺りで極めて不均衡に振動する。圧力は次に、試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で0.017V低下して変向点33bに至り、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34まで上昇し、ここで僅かな絶対量だけ下がる。
【0046】
図19は、試料液であるアセトニトリルの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。複雑な圧力曲線であるにも関わらず、再現精度が高いという結果は明白である。
【0047】
図20は、試料液であるアセトンの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はまず急速に0.03V上昇し、次いで圧力がさらにほぼ0.023V上昇されるまで継続的かつ急激に上昇する。吸引31の開始において、圧力はまず0.076V降下し、次いで圧力上昇がほぼ0.04Vである辺りで対称的に振動し、次に即時、吸引31の開始前の値になるまで再び継続的かつ急激に上昇する。各場合における、浸漬及び吸引後の圧力上昇は、試料液の高い蒸気圧に帰属するべきものである。この場合、吸引物によって受入れられる試料液は、計量分配より前であってもピペットによって圧迫され、泡が生じる。この泡の突出31cは、0.026Vの圧力低下をもたらす。計量分配時32には、圧力は再び急速に上昇し、計量分配直後にはさらに上昇して再度吸引31より前の値に到達する。泡はここでも蒸気圧によって突き出され、これにより圧力は下がり、同時にピペット・チップの引抜きが開始され、これにより圧力はもとの開始圧力まで下がる。
【0048】
図21は、試料液であるアセトンの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。少なくとも32の時点に至るまでの極めて複雑な圧力曲線にも関わらず、再現精度が高いという結果は明白である。この後、曲線9は異なる動作を表わすが、その原因は試料から引き抜いた後のピペット・チップの出口における液膜の存在にある。この場合では、この膜はピペット・チップを閉止し、よってピペット内部の圧力は試料液の高い蒸気圧に起因して再び上昇する。特定の超過圧力に到達すると膜は破れ、再形成のために過圧33bは部分的に解放される。しかしながら、この時点のピペットには試料液がほとんど存在せず、そのため圧力はもはやそれ以上上昇しない。この場合も、ピペットが廃棄される時点で圧力は再び開始レベルまで下がる。
【0049】
図示されている例は、液体クラスにおいて測定の再現精度がもたらされることを明白に示している。上述の圧力変動は全て、特性基準として使用されてもよい。さらに、過渡応答は、過小評価されるべきでない役割を果たす。また、典型的な圧力曲線の辺りに置かれる許容限度の確立も重要である。これらの許容限度は、圧力曲線の高い再現精度のおかげで極めて狭い範囲に維持されることが可能である。未知の液体の圧力曲線が先に確立された許容範囲内にあれば、ほとんどの場合にこの未知の試料液の帰属は可能である。これがうまくいかない場合でも、未知の試料液は新たなクラスを確立することができる。この場合、既に知られている液体クラスとの関連づけは、後に確立される許容範囲を使用して排除されてもよい。
【0050】
図22及び23は、本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、各々水試料及び空気試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。各場合で、フロー値[φ]は、時間[t]の関数として示される。フロー値は正規化されており、無名数で明記されない。時間値は、ミリ秒で明記される。
【0051】
各場合において、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動[フロー]がこの液体(水)またはこの流体(空気)に典型的なデータ・セットとして検出された。図5に相当する基本構造を有する分注デバイスのシステム液11において、フロー値[φ]が常時測定された。流量センサでは、システム液11のフローの値または方向及び速度が記録された。この流量センサは、ピペット・チップの近く、但し試料液で常時満たされる領域に位置づけられた。空隙39はシステム液11を、吸引または計量分配される液体(水)から、もしくは吸引または計量分配される流体(空気)から分離した。
【0052】
図22及び23における曲線は共に、水(試料液)に典型的なフロー値の対称性の振動動作を示す。この振動動作は、水試料を使用するシステムにおいて測定された圧力振動(図10参照)を連想させるものであるが、この場合は対照的に、測定値のドリフト動作は確立されていない。水及び空気に関して測定された2つのフロー曲線は極めて類似していて、グラフによる比較(図24参照)または数学的処理(図25参照)による以外に明確な相違を示すことができない。
【0053】
図24は、図22における「水」及び図23における「空気」のフロー変化曲線の重畳を示す。「空気」のフロー曲線(太線)は、「水」のフロー曲線(細線)より急速に振動し、また平衡状態へもより急速に移行する。
【0054】
図25は、図22における「水」のフロー変化曲線から図23における「空気」のフロー変化曲線をマイナスする減算図を示す。ここにおける減算は、「水」及び「空気」の2つの比較曲線の数学的処理として選択されたものであり、2曲線の印象的な区別的表象が得られる。従って、異なる試料もまた異なるフロー曲線をもたらすことが明白に示されている。これで、試料の特徴的なフロー曲線を直接分析し、これを例えば図24のような重畳を介して既知の試料の格納されたフロー曲線と比較することを希望するかどうかが個々のユーザに委ねられる。所望されれば、直接的な比較の代わりに、または直接的な比較と組み合わせて、例えば図25におけるような数学的演算を比較目的での補助として使用してもよい。
【0055】
図26は、その全体が本願の開示に含まれるドイツ国出願第102 38 564 A1号の図1から知られる、液体試料を吸引するためにピペット・チップ内に部分真空を生成しかつ液体試料を計量分配するためにピペット・チップ内に過圧を生成するためのマイクロダイアフラム・ポンプを示す断面図である。上記先行技術から知られるこの分注デバイスは、受動フラップ弁を有する2つのマイクロポンプを有する。この分注デバイスは、ドイツ国出願第102 38 564 A1号にその作動モードが詳述されている第1及び第2のマイクロポンプ110a及び110bを有する。両マイクロポンプは圧電作動エレメント126を備え、これは、薄膜として実装されてポンプ室116の縮小または拡大に使用されるダイアフラム128上に広い面積を覆う圧電セラミック層として位置づけられる。図26における参照番号は全てドイツ国出願第102 38 564 A1号から引用したものであり、同文書において説明されている。
【0056】
この圧電セラミック層の電力消費量は、分注されるべき液体がピペット・チップにおいて生成する静水圧の関数である。但し、液体試料の吸引または計量分配の間は、発生する毛管効果、表面張力及び分注されるべき液体の蒸気圧もまた圧電セラミック層の電力消費量に影響を与える。従って、本発明による試料液の分類には、この電力消費量の推移の測定及び記録も使用してもよい。この既知のマイクロポンプを使用する代わりに、ドイツ国出願第102 38 564 A1号において図2及び3との関連で開示されているようにアクティブ・バルブを有するマイクロポンプを同じ目的で使用してもよい。
【0057】
何れにしても、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動はこうしてこの液体1に典型的なデータ・セットとして検出されることから、本発明によるこの液体の分類には、試料液の吸引の間の圧電セラミック層の電力消費量が使用される。するとこの仮想パラメータの変動を有するデータ・セットは、説明した他の全ての実施形態におけるように、分注されるべきこの液体の物理的「フィンガープリント」のタイプまたはパラメータ「F」を表わす。従ってこのパラメータ「F」は、吸引されて計量分配される際に液体に作用する全ての古典的物理パラメータの和を表わす。ピペット・チップ134は、鋼チップであっても、チップ・アダプタと、その上に置く使い捨てのピペット・チップとの組合わせであってもよい。マイクロポンプは(本開示に含まれるドイツ国出願第102 38 564 A1号にも開示されているように)空気等の気体の運搬に、またシステム液の運搬にも使用されることが可能であり、このシステム液は、好適には空隙により分注されるべき試料液から分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による方法を実行する能力を有する、第1の実施形態及び第1の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図2】本発明による方法を実行する能力を有する、第2の実施形態及び第2の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図3】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第3の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図4】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第4の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図5】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第5の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図6】本発明による方法を実行する能力のある、ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図7】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムの測定室における、特定の流体カラムに特徴的な(この場合は水の)振動動作により生成されることが可能な圧力変動を示す。
【図8】本発明による方法を実行する能力のある、電動式ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図9】ポンプに依存しない代替パルス・ユニットの電気機械の変形例を示す部分断面図であり、流体室における圧力変動はこれを使用して生成されることが可能である。
【図10】試料液としての水の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図11】水を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図12】試料液としての水/DMSO混合体の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図13】水/DMSO混合体(1:1)を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図14】試料液としてのDMSOの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図15】DMSOを使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図16】試料液としての水/PEG混合体(水中にPEG7%)の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図17】水/PEG混合体を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図18】試料液としてのアセトニトリルの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図19】アセトニトリルを使用して達成される個々の4圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図20】試料液としてのアセトンの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図21】アセトンを使用して達成される個々の4圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図22】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、水試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。
【図23】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、空気試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。
【図24】図22における「水」及び図23における「空気」のフロー変化曲線の重畳を示す。
【図25】図22における「水」のフロー変化曲線から図23における「空気」のフロー変化曲線をマイナスする減算図を示す。
【図26】液体試料を吸引するためにピペット・チップ内に部分真空を生成しかつ液体試料を計量分配するためにピペット・チップ内に過圧を生成するためのマイクロダイアフラム・ポンプを示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
(関連の特許出願)
本特許出願は、2005年7月22日に出願されたスイス国特許出願第CH01223/05号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体があらゆる目的に関して本開示に含まれる。
【0002】
本発明は、液体を分類するための方法に関し、本方法において、流体室は測定室へ接続され、この測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料と流体接続されることになる。本発明は、追加的に、液体を分類するための対応するデバイス及びコンピュータ・プログラム・プロダクトに関する。本発明による方法及び/または本発明によるデバイスの特に好適な実施形態は、液体試料を液体処理するための分注デバイスに関する。
【0003】
従って本発明は、人体液の試料等の液体容量を吸引しかつ計量分配するための分注デバイス内の液体を分類する方法を含む。このような分注デバイスは、ポンプへ接続されるピペット・チップを備える。
【0004】
例えば生化学技術を使用する薬学研究または臨床診断に関連する産業部門は、液体容積及び液体試料を処理するための設備を必要とする。自動化された設備は、典型的には、ワークステーションのワークテーブル上に位置決めされる液体容器の上で使用される単一の分注デバイスまたは複数の分注デバイスを備える。このようなワークステーションは、これらの液体試料に、光学測定、ピペット操作、洗浄、遠心処理、培養及び濾過等の極めて多様な作業を実行する能力を有する場合が多い。このようなワークステーションでは、デカルト座標または極座標に従って動作する1つまたは複数のロボットを使用して試料処理を行ってもよい。このようなロボットは、試料管またはマイクロプレート等の液体容器を運んで、再配置してもよい。またこのようなロボットは、吸引及び計量分配用分注デバイス等の「ロボティック・サンプル・プロセッサ」(RSP)として、または液体試料を分配するためのディスペンサとして使用されてもよい。好適には、このような設備はコンピュータによって監視されかつ制御される。このような設備の決定的優位点は、人間であるオペレータが処理プロセスに携わる必要なしに、多数の液体試料を何時間及び何日にも及ぶ長期的なタイムスパンで自動的に処理できることにある。
【背景技術】
【0005】
先行技術(例えば、米国特許第4,675,301号、米国特許第4,794,085号及び米国特許第5,723,795号参照)から知られる分注デバイスは、ポンプへ接続されるピペット・チップを備える。これらのデバイスの中には流体室を備えるものがあり、流体室へは、圧力センサを有する圧力トランスデューサがガス充填室を介して接続される。この流体室は、ピペット・チップ、上記ピペット・チップをポンプへ接続する第1のライン及びこのポンプの作動部分によって画定される。
【0006】
液体をピペットで操作する場合には、液体のタイプ、即ちこの液体の物理的特徴または物理定数、が問題となることが多い。従って、液体を表面張力、粘性または蒸気圧等のその物理定数を基礎として分類することが先行技術から知られている。次には、対応する分類を基礎として適切な分注パラメータが決定されることが可能であり、かつこれらの液体は向上された精度で分注されることが可能である。
【0007】
分注デバイスを使用して液体試料の粘性を測定することは、欧州特許第0 608 425号から知られる。この場合では、測定は、特定量の液体を吸引するために使用されるピペット・チップを介して適用される画定された原初の部分真空を変更するために必要なタイムスパンから進められる。この時間値はテーブル内のこのような時間値に関連して知られる粘性データと比較され、こうして液体のその時点の粘性が確認される。この方法が遠心処理された血液試料を使用して適用される場合、赤血球を有する残りの画分は血漿から個々に収集されることが可能である。
【0008】
しかしながら、先に説明したように、ピペット操作では他のパラメータも重要な役割を果たす。従って、蒸気圧が相違することに起因して、水またはアセトンの試料は完全に異なる方法で分注されなければならないことが知られている。これらの溶媒の表面張力も、同じく大幅に相違する。例示として表1に、幾つかの典型的な溶媒の粘性、蒸気圧及び表面張力を明記する。
【0009】
【表1】
【0010】
表1から、アセトン及びエタノールの表面張力が極めて似ていることは明らかである。しかし、その粘性及び/または蒸気圧のパラメータ値が大幅に異なることから、これらの2つの溶媒はピペット操作の間、同一に扱われるべきではない。従って、全ての生化学実験室で日常的に使用されるこのような異なる溶剤を自動的かつ確実に分注できるようにするために唯一のパラメータを決定すれば足りるということはほとんどない点は明らかである。しかしながら、これらのパラメータを(及びおそらくは、分注されるべき液体及び/またはピペット・チップに使用される材料の関数としてのピペット・チップの湿潤性等のさらなるパラメータすらも)全て検出することは、必要なマシン及び時間が多くなりすぎる。これはとりわけ、自動化されたワークステーションの場合において、可能な限り最短時間内に何百何千もの試料のスループットを確保しなければならない場合にそうである。溶剤及び/または液体試料が、同じく可能な限り大量に自動分注されなければならない、未知の物理パラメータを有する未知の組成であれば、これがより困難になることは確実である。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,675,301号
【特許文献2】米国特許第4,794,085号
【特許文献3】米国特許第5,723,795号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、液体試料が容易に分類されかつ必要に応じて分注されることを可能にする代替方法を提案するという目的を基礎とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、例えば、流体室が測定室へ接続され、この測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分は液体の試料と流体接続されるに至る、液体を分類するための方法が提案されることにおいて達成される。この場合、本発明による方法は、圧力変動が流体室に位置づけられかつ本質的にコヒーレントである流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータにより処理されて圧力曲線として再現され、この圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする。
【0014】
従って本発明による方法は、分注されるべき液体はこの液体に典型的なデータ・セットとしての選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動を基礎として検出され、選択される仮想パラメータのこの典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、液体はこの比較に基づいて分類される、という基本的考察を基礎とする。但し、この選択される仮想パラメータは粘性、蒸気圧または表面張力等の古典的なパラメータではない。とはいえ、これは、とりわけこうした古典的パラメータの全てに影響される。実際、「実験者の経験による概算」のタイプでは、既知の分注システムにおいて液体がどのように作用するかが即座に確定される。これについては先に、ピペットの内圧の変動を検出することにより説明した。本発明によれば、この方法は、分注されるべき液体内への浸漬に際して、またはこの液体の吸引の間に既に実行されている可能性がある。
【0015】
最終的に比較可能な結果となる、本発明により選択されるさらなる仮想パラメータは、分注されるべき液体の吸引の間にこの選択される仮想パラメータの変動を下記の形式で検出することを含む。
・ システム液またはピペット内の分注されるべき液体のカレント・フロー、
・ 分注されるべき液体が吸引されるもとの容器の総重量、
・ 分注されるべき液体の吸引の間にポンプのピストンを動かすために使用されるDCモータの電力消費量、
・ 分注されるべき液体の吸引の間にピペット・チップに部分真空を生成すべく使用されるマイクロダイアフラム・ポンプのピエゾ駆動装置の電力消費量。
【0016】
最終的に比較可能な結果となる、本発明により選択されるさらなる仮想パラメータは、分注されるべき液体における浸漬に際して、またはこの液体の吸引の間にこの選択される仮想パラメータの変動を下記の形式で検出することを含む。
・ ピペット内の気体室へと結合される音波のトーン・ピッチ。音波は、例えばピペットの壁を介して、またはマイクロホンを介して、ピペットの内側に位置決めされるこの気体室内において直接導かれることが可能である。
・ ピペット内に位置決めされるシステム液、または分注されるべき液体の界面位置。この界面位置は、例えば光波のカップリングまたは散乱等の光学手段を使用して検出されかつ記録されてもよい。
【0017】
従って、この目的は第1の態様により、液体を上記液体のための既知の分注システムにおいて分類するための方法によって達成される。本方法は、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動がこの当該液体に典型的なデータ・セットとして検出されることと、選択される仮想パラメータのこの典型的なデータ・セットが既知の液体の対応するデータ・セットと比較されることと、この比較を基礎として液体が分類されること、を特徴とする。
【0018】
この目的は、特に好適な方法が提案される第2の態様によって達成される。流体室が測定室へ接続され、この測定室の内圧が圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料と流体接続されることになる、液体を分類するためのこの方法は、圧力変動が、流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサにより処理されて圧力曲線として再現され、この圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする。
【0019】
この目的は、液体を分類するためのデバイスを提案する第3の態様によって達成される。このデバイスは流体室を備え、上記流体室には測定室が接続され、上記流体室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、この流体室の少なくとも第1の部分はこの液体の試料へ流体接続されることになる能力を有する。本発明によるデバイスは、それがパルス・ユニットを備え、上記パルス・ユニットを使用して流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に圧力変動が生成されることが可能であり、これらの圧力変動は流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換されることと、本デバイスはコンピュータまたはマイクロプロセッサを備え、これを使用して圧力トランスデューサの測定信号は処理されかつ圧力曲線として再現されることが可能であり、よってこの圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能であり、液体はこの比較を基礎として分類され得ること、を特徴とする。
【0020】
本発明による追加の好適な特徴は、従属クレームからもたらされる。
【0021】
このようにして分類される液体は、続いて正しく分注される、即ちピペットを使用して特定量及び/または特定の容積を、例えばマイクロプレートのウェルである容器内へ計量分配されることが可能である。この目的に沿って、分注デバイスによる液体試料の計量分配を起動させるためのパラメータ・セットが液体の本発明による分類を基礎として選択される。選択は手動または自動的に実行され、設定された要件に最も近いパラメータ・セットがパラメータ・セット・ライブラリから一定の許容範囲を基礎として選択される。
【0022】
次に、例示的な実施形態の略図に基づいて、本発明による方法を詳しく説明する。但し、上記例示的な実施形態は本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明による方法を実行する能力を有する、第1の実施形態及び第1の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。本図においてこの接続は、2つの室2、3間の直接開路として実装されている。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ある代替実施形態では、圧力トランスデューサは流体室へ直に接続されてもよい(図2参照)。ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体を占める流体室の第1の部分5は、この場合は気体で満たされる。ピペット・チップは、容器13内に試料6として供給される液体1の表面に接触する。このような容器は任意の形状及び容量を有してもよく、例えば試料管、マイクロプレートのウェル、トラフまたはペトリ皿として実装される。ピペット・チップが試料液6内へ浸漬されると、ここでは全体が気体で形成される流体カラム7の圧力は変動しかつ/または圧力が振動する。
【0024】
図2は、本発明による方法を実行する能力を有する、第2の実施形態及び第2の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。実際には、この場合、流体室2は同時に測定室3をも形成する。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ピペットまたはピペット・チップの流体室2は、液体1の表面に接触する。ピペット・チップが液体1内へ浸漬されると、ここでは全体がシステム液11で形成される流体カラム7の圧力は変動しかつ/または圧力が振動する。
【0025】
図3は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第3の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは流体室2を備え、流体室2は測定室3へ接続される。本図において、この接続は、2つの室2、3間に位置づけられてシールを形成するフレキシブルなダイアフラム29として実装されている。測定室3の内圧は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ8へ接続される圧力トランスデューサ4を使用して監視される。ここではピペットまたはピペット・チップの流体室2の下部のみを占める流体室の第1の部分5は、この場合は空隙39及びシステム液11で満たされる。ここでは、システム液11は除外されてもよい。好適には、とりわけこの接続が2つの室2、3間の直接開路として実装される第1の実施形態(図1参照)では、空隙39は測定室3の領域に位置づけられる。しかしながら、ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3による試料液またはシステム液への浸透を防止することから、その必要はない。ピペット・チップは液体1内へ幾分か浸漬され、試料液6は既にピペット・チップ内へ吸い込まれている。試料液6が吸い込まれる、または吸引されると、ここでは試料液6、気体及び恐らくシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0026】
図4は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第4の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは、図3に示すものと同様に実装される。ここでは、ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体は、チップの領域が空隙39で、その他がシステム液11で満たされる。ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3によるシステム液11への浸透を防止する。ピペット・チップは、液体1へ幾分か浸漬される。試料液6が浸漬されると、ここでは気体及びシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0027】
図5は、本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第5の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。このデバイスは、図3及び4に示すものと同様に実装される。ここでは、ピペットまたはピペット・チップの流体室2全体は、チップの領域が試料液6で既に満たされ、試料液6は、小さい空隙39を使用してシステム液11から分離される。ここに提示した実施形態では、ダイアフラム29が測定室3によるシステム液11への浸透を防止する。測定室3は、気体(例えば空気またはN2)で満たされてもよい。測定室が液体(例えばオイル、水)で満たされる場合は、センサを液体から分離する気泡を追加的に含んでもよい。ピペット・チップは、やはり液体1へ幾分か浸漬される。試料液6が吸引されると、ここでは気体及びシステム液11を含む流体カラム7の圧力は変わり、かつ/または圧力が振動する。
【0028】
ここまでに説明した図1乃至5では、ピペットはラインを介してポンプへ(どちらも図示されていない)接続される。このようなポンプは任意に選択されてもよく、マイクロリットル領域のより大きい容積またはナノリットル乃至ピコリットル領域のより小さい容積を送出するために実装される。上述の圧力変動はまた、流体カラム7へ空気圧で接続される測定室3内にも圧力変動をもたらし、これは圧力トランスデューサ4によって記録され、測定信号へ変換される。これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサ8によって処理され、圧力曲線9(例えば図7参照)として再現される。この圧力曲線9の推移は、次に既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能である。これらの圧力曲線の各々は特定の試料液6の特徴を表わすものであることから、この比較を基礎として、その時点で供給されている液体1を分類することができる。従って、本発明の本質的優位点は、今まで知られていなかった試料液が、試料液の多数のパラメータを相応に多くの実験において個々に決定する必要なしに、1回の検査及び1回の比較によって特徴づけられ、かつ液体クラスに帰属されることが可能である、という事実を基礎とする。
【0029】
図6は、本発明による方法を実行する能力のある、ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。本実施形態及び用途は、図4に関して説明したものに一致する。ピペット・チップの領域に空隙39を含む流体カラム7は、ここでは本質的にシステム液11により形成される。同じくシステム液で満たされる、デバイスの構造に依存してより長い、またはより短い第1のライン19を介して、流体カラム7はピストン・ポンプ20のピストン21まで伸長される。このピストン・ポンプ20は、液体試料6を吸引するために流体室2内に部分真空(partial vacuum)を生成しかつ液体試料6を計量分配するために流体室2内に超過圧力(over pressure)を生成すべく使用される。さらに、このピストン・ポンプ20はパルス・ユニット17としても使用され、空隙39まで伸長する本質的に均質である流体カラム7は、パルス・ユニット17を使用して振動されることが可能である。ダイアフラム29は、測定室3がシステム液へ浸透することを防止する。この時点で、ピペット・チップは試料液6から離隔位置にあり、よって本図に示す状況は、ピペット・チップがシステム液及び空隙を使用する試料の吸引用に準備されると発生する。この段階で、圧力トランスデューサ4は流体カラム内の任意の気泡の検出に使用され、これは、パルス・ユニット17によって引き起こされる圧力振動の特徴的変化を介して発見されることが可能である。
【0030】
デバイス、即ち、特には本発明による方法を実行することに適するウエルである分注デバイスに関連して、本特許出願の出願人は、2004年12月10日に米国特許商標庁(USPTO)へ優先権主張番号US11/009,247で優先権の基礎出願を提出している。引用したこの基礎出願に記述されているこれらの分注デバイスは、これらが米国特許第4,675,301号、米国特許第4,794,085号及び米国特許第5,723,795号に関連して既に引用されている特徴に加えて流体室内部に位置決めされる液体カラムへ機能的に連結されるパルス発生ユニットを備えることにおいて、既知の技術とは異なる。パルス発生ユニットは、これが液体カラムの垂直動作を引き起こし、次いでこれにより、流体室へ空気圧で接続される気体室において圧力差が生じるように実装される。これらの圧力差は圧力センサによって検出され、圧力トランスデューサにより対応する信号の形式で、これに接続されるコンピュータへ送出される。この時点でコンピュータにより供給されるデータを基礎として、容器内の液面への到達(「液体レベルの検出」)、流体室に位置決めされるシステム液内の気泡の存在及び/またはピペット・チップにおけるフィルタの存在または不在を決定することができる。本発明による分類方法(classification method)の実行において使用するための、本参照によりその全体が開示に含まれる米国特許出願第11/009,247号による分注デバイスの特に好適な実施形態を、図8及び/または9に示す。
【0031】
原則として、分注デバイスの流体カラム7を含む部分の突然または急激な動作は全て、本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムの測定室3内に圧力変動を発生させる。このような圧力変動は、例えば個々の圧力スパイクとして、または圧力振動として発生する可能性があり、あらゆる特定の流体カラム7に特徴的な振動動作を帰属させることができる。
【0032】
図7は、圧力測定値(単位ボルト)を時間軸(単位ミリ秒)でプロットした圧力曲線9を示す。圧力曲線9は、この場合はシステム液11として水で満たされた流体カラム内に発生している特徴的な圧力変動を表わしている。試料液6も同じく、空隙39によりシステム液11から分離される水であった(図1に示すダイアフラム29のない実施形態、図3に示す用途を参照)。吸引の開始である、ポンプ20のピストン21が動作状態に設定された時点は、符号31で示される。この突然のシングルサイド・パルスは流体カラムへ送達され、流体カラムの振動を発生させ、これが測定室3において圧力変動として検出される。吸引の終わりは、符号31aで示される。反対側へ方向づけられるこの突然のパルスは流体カラムへ送達され、同じく流体カラムの振動を発生させ、同じく測定室3において圧力変動として検出される。圧力曲線9の上側及び下側の包絡曲線37、38の図示された特定の推移は、水に特徴的なものである。約2秒間に渡る吸引は、値にしてほぼ0.2Vに相当する圧力降下をもたらした。
【0033】
図8は、分注デバイスの縦断面図である。本発明による方法を実行する能力のある第3の実施形態によるこのデバイスまたはシステムは、ピストン・ポンプ20を備える(図6参照)。このポンプは、好適には「CAVRO XP3000プラス−モジュール・デジタル・ポンプ」(Tecan Systems社、米国カリフォルニア州95138、サンノゼ市ザンカーロード2450所在)、または例えば米国特許第5,638,986号から知られるようなベローズ・ポンプである。ピストン21は、モータMにより駆動される。このデバイスはさらに、流体カラム7を含む管状ピペット上へ差し込まれる、それ自体既知である使い捨てのピペット・チップ12を備える。ピペット・チップ12は、ホルダ12aへ取り付けられる。流体カラム7は、システム液11によって形成される。流体室2は、ポンプの作動部分から、即ちピストン21から、デバイス要件に従って実装されるライン19、流体室2及び空隙39を介してピペット・チップ12のチップまで伸長する。使い捨てのピペット・チップ12全体は気体(典型的には空気)で満たされ、容器13内に位置決めされる試料液6に僅かに浸漬される。試料液6内のピペット・チップ12の浸漬は、流体カラム7における圧力変動及び/または圧力振動を引き起こす。これらの圧力変動は、流体カラム7へ(好適にはフレキシブルなダイアフラム29により分離されて)空気圧で接続される測定室3においても圧力変動を引き起こし、これが圧力トランスデューサ4により記録され、測定信号へ変換される。これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサ8により処理されてディスプレイ画面14またはプリンタ18に圧力曲線9(例えば図7参照)として再現され、こうしてオペレータへ表示されることが可能である。この第1の圧力曲線は、ピペット・チップ12による液体1への侵入を示し、よって、液面1を検出するための(=液体レベル検出)手段を表わす。従ってこれは、圧力測定を使用する液面検出である。故にこのような検出は、吸引されるべき液体1が導電性であるかないかとは無関係である。本デバイスは、これで吸引プロセスを開始する準備が整う。このデバイスは、好適には、ピペットをピストン・ポンプ20へ「チュービング(tubing)」として接続するライン19の領域内に追加の圧力トランスデューサ4'を備える。この追加の圧力トランスデューサ4'は、好適にはコンピュータまたはマイクロプロセッサ8(図示されていない)へも接続される。代替ピペット・チップは、不活性のプラスチック材料で製造される、例えば費用効果のあるポリプロピレンで製造される図示された使い捨てのチップを備える。鋼針(チップが例えばチタン、プラチナまたはテフロン(登録商標)の誘導体でコーティングされている場合もされていない場合もある)も使用可能であり、この場合は、好適には永久的に設置される使い捨てでないピペット・チップとして使用される。
【0034】
図9は、ポンプに依存しない代替パルス・ユニット17の電気機械の変形例を示す部分断面図であり、流体室2における圧力変動はこれを使用することによっても生成されることが可能である。ライン19は、円筒40を介して案内される。ライン19の閉面に対して事実上垂直に移動可能なウェッジ43を有するピストン41は、この円筒40の内側に位置づけられる。ウェッジ43は、好適には軟性のプラスチック材料で製造され、かつ/またはライン19が損傷されないように丸みのあるエッジを有する。また、ウェッジ43としては、平坦な、または曲った面を有するボールまたはボディ等の他の形態が選ばれてもよい。好適には固定式のフロア44は、ピストン41とは直径方向の反対側で円筒40を終わらせる。この動作はライン19を可逆的に変形させ、これにより、前掲のパルスがトリガされる。トリガされるパルスは個々である場合も連続性である場合もあり、流体カラムはほんの短時間移動される、または振動状態にされることが可能である。このパルス・ユニットは、好適にはピペットのX、YまたはZ方向への移動に関係なく、かつポンプ20の動作に関係なく動作されることが可能である。このパルス・ユニット17は、流体室2に位置決めされるシステム液11内の気泡の検出を好適な方法でサポートする。コイル42は、例えば駆動装置として使用される。
【0035】
アプリケーション例
以下で説明する全ての図は、圧力測定値(単位ボルト)が時間軸(単位ミリ秒)でプロットされている圧力曲線9または複数の圧力曲線9、9'、9''を示す。全ての場合において、圧力曲線は、システム液11としての水で満たされた流体カラムにおいて発生したものである。全ての場合で、試料液6は空隙39によりシステム液11から分離されていた(図3参照)。図10乃至21の全てを通じて、重要な手順は、下記のような同じ参照番号で示されている。
30 試料液へのピペット・チップの浸漬
31 吸引/31a吸引の終わり/31b吸引後の遅延/31c泡の突出し
32 計量分配
33 試料液からのピペット・チップの抜取り開始
34 試料液からのピペット・チップの抜取りの終わり
35 その後の行程移動またはピペット・チップの廃棄に起因する干渉信号
【0036】
試料液6の吸引は、液体1における浸漬の後、約2秒のタイムスパンの間に算出流速180μl/秒により10のステップで発生する。
【0037】
図10は、試料液である水の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30後、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はゆっくりと継続的に上昇するが、これは、ピペット・チップひいてはこれに浸透していく水による毛管現象によるものである可能性がある。吸引31の間、圧力はまずほぼ0.1V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.05Vである辺りで対称的に振動する。休止31bの後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.05Vである辺りで対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。初期に認められた継続的な圧力上昇は、上述の諸活動の終了点間の同一の勾配でも継続されることは注目に値する。
【0038】
図11は、試料液である水の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0039】
図12は、水/DMSO混合体を有する試料液の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。水とジメチルスルホキシドとの割合は、1:1である。ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は、浸漬30から大幅には上昇しない。吸引31の間、圧力はまず0.08V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.025Vである辺りで非対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.015Vである辺りで非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。上述の諸活動の終了点間の圧力が一定であることは、注目に値する。
【0040】
図13は、混合比1:1の水/DMSO混合体を有する試料液の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。最も大きい変動は、ピペット・チップの取替え35の瞬間に関連している。
【0041】
図14は、試料液であるDMSOの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は、浸漬30から大幅に0.015V上昇する。吸引31の間、圧力はまず0.066V降下し、次いでほぼ開始圧力の辺りで対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.1V上昇し、次いで圧力上昇がほぼ0.02Vである辺りで非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅か上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。上述の諸活動の終了点間の圧力は一定であるが、複数回の異なる勾配で僅かに下がることは、注目に値する。
【0042】
図15は、試料液であるDMSOの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0043】
図16は、水/ポリエチレングリコール混合体(水中にPEG7%)を有する試料液の特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はゆっくりと継続的に上昇するが、これは、ピペット・チップひいてはこれに浸透していく水/PEG混合体による毛管現象によるものである可能性がある。吸引31の間、圧力はまずほぼ0.11V降下し、次いで圧力降下がほぼ0.037Vである辺りで極めて非対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間にまず0.13V上昇し、次いで同じく圧力上昇がほぼ0.037Vである辺りで極めて非対称的に振動する。試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で圧力はほんの僅かに上昇し、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34でほぼ同じ絶対量だけ下がる。初期に認められた継続的な圧力上昇は、上述の諸活動の終了点間の同一の勾配でも継続されることは注目に値する。
【0044】
図17は、水/PEG混合体(水中にPEG7%)を有する試料液の特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。再現精度が高い、という結果は明白である。
【0045】
図18は、試料液であるアセトニトリルの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力は急速に0.027V上昇し、さらに圧力上昇がほぼ0.04Vになるまでゆっくりと上昇する。吸引31の間、圧力はまず0.09V降下し、次いで圧力降下が僅かにほぼ0.02Vである辺りでほぼ対称的に振動する。休止の後、圧力は計量分配32の間に急激に0.08V上昇し、次いで圧力上昇が僅かにほぼ0.035Vである中間レベル33a辺りで極めて不均衡に振動する。圧力は次に、試料液からのピペット・チップの引抜きが開始される時点33で0.017V低下して変向点33bに至り、試料液からのピペットの引抜きが終わる時点34まで上昇し、ここで僅かな絶対量だけ下がる。
【0046】
図19は、試料液であるアセトニトリルの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。複雑な圧力曲線であるにも関わらず、再現精度が高いという結果は明白である。
【0047】
図20は、試料液であるアセトンの特徴的な単一の圧力曲線9''を示す。浸漬30以降、ピペット内の、即ち流体室2内、ひいては測定室3内の圧力はまず急速に0.03V上昇し、次いで圧力がさらにほぼ0.023V上昇されるまで継続的かつ急激に上昇する。吸引31の開始において、圧力はまず0.076V降下し、次いで圧力上昇がほぼ0.04Vである辺りで対称的に振動し、次に即時、吸引31の開始前の値になるまで再び継続的かつ急激に上昇する。各場合における、浸漬及び吸引後の圧力上昇は、試料液の高い蒸気圧に帰属するべきものである。この場合、吸引物によって受入れられる試料液は、計量分配より前であってもピペットによって圧迫され、泡が生じる。この泡の突出31cは、0.026Vの圧力低下をもたらす。計量分配時32には、圧力は再び急速に上昇し、計量分配直後にはさらに上昇して再度吸引31より前の値に到達する。泡はここでも蒸気圧によって突き出され、これにより圧力は下がり、同時にピペット・チップの引抜きが開始され、これにより圧力はもとの開始圧力まで下がる。
【0048】
図21は、試料液であるアセトンの特徴的な3圧力曲線9、9'、9''を示す。少なくとも32の時点に至るまでの極めて複雑な圧力曲線にも関わらず、再現精度が高いという結果は明白である。この後、曲線9は異なる動作を表わすが、その原因は試料から引き抜いた後のピペット・チップの出口における液膜の存在にある。この場合では、この膜はピペット・チップを閉止し、よってピペット内部の圧力は試料液の高い蒸気圧に起因して再び上昇する。特定の超過圧力に到達すると膜は破れ、再形成のために過圧33bは部分的に解放される。しかしながら、この時点のピペットには試料液がほとんど存在せず、そのため圧力はもはやそれ以上上昇しない。この場合も、ピペットが廃棄される時点で圧力は再び開始レベルまで下がる。
【0049】
図示されている例は、液体クラスにおいて測定の再現精度がもたらされることを明白に示している。上述の圧力変動は全て、特性基準として使用されてもよい。さらに、過渡応答は、過小評価されるべきでない役割を果たす。また、典型的な圧力曲線の辺りに置かれる許容限度の確立も重要である。これらの許容限度は、圧力曲線の高い再現精度のおかげで極めて狭い範囲に維持されることが可能である。未知の液体の圧力曲線が先に確立された許容範囲内にあれば、ほとんどの場合にこの未知の試料液の帰属は可能である。これがうまくいかない場合でも、未知の試料液は新たなクラスを確立することができる。この場合、既に知られている液体クラスとの関連づけは、後に確立される許容範囲を使用して排除されてもよい。
【0050】
図22及び23は、本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、各々水試料及び空気試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。各場合で、フロー値[φ]は、時間[t]の関数として示される。フロー値は正規化されており、無名数で明記されない。時間値は、ミリ秒で明記される。
【0051】
各場合において、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動[フロー]がこの液体(水)またはこの流体(空気)に典型的なデータ・セットとして検出された。図5に相当する基本構造を有する分注デバイスのシステム液11において、フロー値[φ]が常時測定された。流量センサでは、システム液11のフローの値または方向及び速度が記録された。この流量センサは、ピペット・チップの近く、但し試料液で常時満たされる領域に位置づけられた。空隙39はシステム液11を、吸引または計量分配される液体(水)から、もしくは吸引または計量分配される流体(空気)から分離した。
【0052】
図22及び23における曲線は共に、水(試料液)に典型的なフロー値の対称性の振動動作を示す。この振動動作は、水試料を使用するシステムにおいて測定された圧力振動(図10参照)を連想させるものであるが、この場合は対照的に、測定値のドリフト動作は確立されていない。水及び空気に関して測定された2つのフロー曲線は極めて類似していて、グラフによる比較(図24参照)または数学的処理(図25参照)による以外に明確な相違を示すことができない。
【0053】
図24は、図22における「水」及び図23における「空気」のフロー変化曲線の重畳を示す。「空気」のフロー曲線(太線)は、「水」のフロー曲線(細線)より急速に振動し、また平衡状態へもより急速に移行する。
【0054】
図25は、図22における「水」のフロー変化曲線から図23における「空気」のフロー変化曲線をマイナスする減算図を示す。ここにおける減算は、「水」及び「空気」の2つの比較曲線の数学的処理として選択されたものであり、2曲線の印象的な区別的表象が得られる。従って、異なる試料もまた異なるフロー曲線をもたらすことが明白に示されている。これで、試料の特徴的なフロー曲線を直接分析し、これを例えば図24のような重畳を介して既知の試料の格納されたフロー曲線と比較することを希望するかどうかが個々のユーザに委ねられる。所望されれば、直接的な比較の代わりに、または直接的な比較と組み合わせて、例えば図25におけるような数学的演算を比較目的での補助として使用してもよい。
【0055】
図26は、その全体が本願の開示に含まれるドイツ国出願第102 38 564 A1号の図1から知られる、液体試料を吸引するためにピペット・チップ内に部分真空を生成しかつ液体試料を計量分配するためにピペット・チップ内に過圧を生成するためのマイクロダイアフラム・ポンプを示す断面図である。上記先行技術から知られるこの分注デバイスは、受動フラップ弁を有する2つのマイクロポンプを有する。この分注デバイスは、ドイツ国出願第102 38 564 A1号にその作動モードが詳述されている第1及び第2のマイクロポンプ110a及び110bを有する。両マイクロポンプは圧電作動エレメント126を備え、これは、薄膜として実装されてポンプ室116の縮小または拡大に使用されるダイアフラム128上に広い面積を覆う圧電セラミック層として位置づけられる。図26における参照番号は全てドイツ国出願第102 38 564 A1号から引用したものであり、同文書において説明されている。
【0056】
この圧電セラミック層の電力消費量は、分注されるべき液体がピペット・チップにおいて生成する静水圧の関数である。但し、液体試料の吸引または計量分配の間は、発生する毛管効果、表面張力及び分注されるべき液体の蒸気圧もまた圧電セラミック層の電力消費量に影響を与える。従って、本発明による試料液の分類には、この電力消費量の推移の測定及び記録も使用してもよい。この既知のマイクロポンプを使用する代わりに、ドイツ国出願第102 38 564 A1号において図2及び3との関連で開示されているようにアクティブ・バルブを有するマイクロポンプを同じ目的で使用してもよい。
【0057】
何れにしても、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動はこうしてこの液体1に典型的なデータ・セットとして検出されることから、本発明によるこの液体の分類には、試料液の吸引の間の圧電セラミック層の電力消費量が使用される。するとこの仮想パラメータの変動を有するデータ・セットは、説明した他の全ての実施形態におけるように、分注されるべきこの液体の物理的「フィンガープリント」のタイプまたはパラメータ「F」を表わす。従ってこのパラメータ「F」は、吸引されて計量分配される際に液体に作用する全ての古典的物理パラメータの和を表わす。ピペット・チップ134は、鋼チップであっても、チップ・アダプタと、その上に置く使い捨てのピペット・チップとの組合わせであってもよい。マイクロポンプは(本開示に含まれるドイツ国出願第102 38 564 A1号にも開示されているように)空気等の気体の運搬に、またシステム液の運搬にも使用されることが可能であり、このシステム液は、好適には空隙により分注されるべき試料液から分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による方法を実行する能力を有する、第1の実施形態及び第1の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図2】本発明による方法を実行する能力を有する、第2の実施形態及び第2の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図3】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第3の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図4】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第4の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図5】本発明による方法を実行する能力を有する、第3の実施形態及び第5の用途によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図6】本発明による方法を実行する能力のある、ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図7】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムの測定室における、特定の流体カラムに特徴的な(この場合は水の)振動動作により生成されることが可能な圧力変動を示す。
【図8】本発明による方法を実行する能力のある、電動式ピストン・ポンプを有する第3の実施形態によるデバイスまたはシステムを示す縦断面図である。
【図9】ポンプに依存しない代替パルス・ユニットの電気機械の変形例を示す部分断面図であり、流体室における圧力変動はこれを使用して生成されることが可能である。
【図10】試料液としての水の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図11】水を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図12】試料液としての水/DMSO混合体の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図13】水/DMSO混合体(1:1)を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図14】試料液としてのDMSOの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図15】DMSOを使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図16】試料液としての水/PEG混合体(水中にPEG7%)の典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図17】水/PEG混合体を使用して達成される個々の3圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図18】試料液としてのアセトニトリルの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図19】アセトニトリルを使用して達成される個々の4圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図20】試料液としてのアセトンの典型的な圧力曲線の推移を示す。
【図21】アセトンを使用して達成される個々の4圧力曲線の大まかな重畳を示す。
【図22】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、水試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。
【図23】本発明による方法を実行する能力を有する分注デバイスまたは分注システムのピペットにおける、空気試料の吸引及び計量分配の間のフロー変化を示す。
【図24】図22における「水」及び図23における「空気」のフロー変化曲線の重畳を示す。
【図25】図22における「水」のフロー変化曲線から図23における「空気」のフロー変化曲線をマイナスする減算図を示す。
【図26】液体試料を吸引するためにピペット・チップ内に部分真空を生成しかつ液体試料を計量分配するためにピペット・チップ内に過圧を生成するためのマイクロダイアフラム・ポンプを示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を上記液体用の既知の分注システムにおいて分類するための方法であって、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動は上記液体に典型的なデータ・セットとして検出され、上記選択される仮想パラメータの上記典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体はこの比較に基づいて分類されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも分注されるべき液体の吸引の間にその変動が検出される上記仮想パラメータは、
a) ピペットの現行内圧、
b) システム液またはピペット内の分注されるべき液体のカレント・フロー、
c) 分注されるべき液体がそこから吸引される容器の総重量、
d) 分注されるべき液体の吸引中にポンプ・ピストンを動かすために使用されるDCモータの電力消費量、
e) 上記ピペット内の気体室へと結合される音波のトーン・ピッチ、
f) 上記ピペット内に位置決めされるシステム液または分注されるべき液体の界面位置、
g) マイクロポンプを使用して試料液を吸引する間の圧電セラミック層の電力消費量、
を含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体室は測定室へ接続され、上記測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、上記流体室の少なくとも第1の部分は上記液体の試料へ流体接続されるに至る、液体を分類するための方法であって、圧力変動は上記流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は上記流体カラムに空気圧で接続される上記測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は上記圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサにより処理されて圧力曲線として再現され、上記圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、上記液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする方法。
【請求項4】
上記測定室は気体で満たされる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、これは容器に含まれる液体内へ浸漬されて上記流体カラム内に圧力変動を発生させる、請求項3記載の方法。
【請求項6】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記ピペット・チップにおいて上記流体カラム内に圧力変動を発生させる部分真空が生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
上記流体カラムは気体によって形成され、上記液体に対する突然の動きにより振動されることになる、請求項3記載の方法。
【請求項8】
上記流体カラムは、上記液体試料に対する突然の動きにより振動されることになるシステム液を含む、請求項3記載の方法。
【請求項9】
上記システム液及び上記液体試料は空隙により互いから分離される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
上記圧力曲線はディスプレイ画面に表示され、または印刷され、上記ディスプレイ画面に表示される、または印刷される既知の圧力曲線と視覚的に比較される、請求項3記載の方法。
【請求項11】
上記圧力曲線はアルゴリズムを基礎として分析され、既知の対応して分析された圧力曲線と数学的に比較される、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
上記圧力曲線は自動的に比較され、その推移が確立された許容範囲内にあれば、上記圧力曲線は既知の対応して分析された圧力曲線の液体クラスに帰属される、請求項10または11に記載された方法。
【請求項13】
上記圧力曲線は自動的に比較され、その推移が確立された許容範囲の外にあれば、上記圧力曲線は新しい液体クラスに帰属されてオペレータに表示される、請求項10または11に記載された方法。
【請求項14】
上記許容範囲は、上記圧力変動の検出及び上記圧力曲線の調製の前または後に確立される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記圧力曲線の液体クラスへの帰属は上記液体へ先に帰属された情報と比較される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記情報は、バーコード及びRFIDタグを含むグループから選択される機械読取り可能情報担体から読み取ることができる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記圧力曲線は、その帰属が上記液体に先に帰属された情報に一致する場合にのみ新しい液体クラスへ帰属される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
流体室を備える、液体を分類するためのデバイスであって、上記流体室には測定室が接続され、上記流体室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、上記流体室の少なくとも第1の部分は上記液体の試料へ流体接続されることになる能力を有し、上記デバイスはパルス・ユニットを備え、上記パルス・ユニットを使用して上記流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に圧力変動が生成されることが可能であり、これらの圧力変動は上記流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、上記デバイスはコンピュータまたはマイクロプロセッサを備え、上記圧力トランスデューサの測定信号は上記コンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して処理されかつ圧力曲線として再現されることが可能であり、よって上記圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能であり、上記液体はこの比較を基礎として分類され得ることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
上記測定室は気体で満たされる、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
上記測定室は上記流体室内に位置づけられる、請求項18記載のデバイス。
【請求項21】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記流体カラムは気体により形成される、請求項18記載のデバイス。
【請求項22】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記流体カラムは空隙を有する、または空隙のないシステム液を含む、請求項18記載のデバイス。
【請求項23】
上記システム液は、上記液体試料に対する突然の動きによって振動するように設定されるべく実装される、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサはディスプレイ画面及び/またはプリンタへ接続され、上記圧力曲線は上記ディスプレイ画面及び/またはプリンタに表示または印刷され、上記ディスプレイ画面に表示される、または印刷される既知の圧力曲線と視覚的に比較され得る、請求項18記載のデバイス。
【請求項25】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサはコンピュータ・プログラム・プロダクトを備え、上記圧力曲線は上記コンピュータ・プログラム・プロダクトを使用してアルゴリズムを基に分析され、既知の対応して分析された圧力曲線と数学的に比較される、請求項18記載のデバイス。
【請求項26】
液体試料を液体処理するための分注デバイスとして実装され、その流体室はピペット・チップと、上記ピペット・チップをポンプへ接続する第1のラインと、上記ポンプの作動部分とによって画定される、請求項18記載のデバイス。
【請求項27】
上記パルス・ユニットは電気的に制御され、かつモータにより駆動されるポンプのピストンまたはベローズ、上記ポンプから離隔されて上記第1のラインの一部として実装されるクランプ・エレメント及び上記ピストン、上記ベローズまたは上記クランプ・エレメントに統合される圧電エレメントを含むグループから選択される、請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
上記圧力トランスデューサは、上記ピペット・チップまたはそのホルダの壁または上記第1のラインの壁内に位置づけられる接続ポイントを介して上記流体室へ接続される、請求項26記載のデバイス。
【請求項29】
上記ポンプは三方弁を備え、上記三方弁から上記第1のラインは上記ピペット・チップに至りかつ第2のラインは液体容器へ至る、請求項26記載のデバイス。
【請求項30】
上記測定室はフレキシブルなダイアフラムにより上記流体室から分離されてシールを形成する請求項18記載のデバイス。
【請求項31】
液体容器を位置づけるためのワークテーブルを有する、液体試料を液体処理するための設備であって、
請求項18記載の少なくとも1つのデバイスと、
コントローラを有する液体処理ロボットと
を備えることを特徴とする設備。
【請求項32】
コンピュータまたはマイクロプロセッサにロード可能であって、ローディング後に上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動を基礎とする測定曲線の分析を行えるようにする、液体を分類するためのコンピュータ・プログラム・プロダクトであって、上記液体に典型的なデータ・セットが検出され、上記選択される仮想パラメータの典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体は上記比較を基礎として分類されるコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項33】
コンピュータまたはマイクロプロセッサにロード可能であって、ローディング後に上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが、圧力トランスデューサにより記録される圧力変動及び上記圧力トランスデューサにより上記コンピュータまたはマイクロプロセッサへ適宜供給される測定信号を基礎とする圧力曲線の分析を行えるようにする、液体を分類するためのコンピュータ・プログラム・プロダクトであって、上記コンピュータ・プログラム・プロダクトのアルゴリズムは上記圧力曲線の推移を既知の圧力曲線の推移と比較するコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項34】
上記アルゴリズムは上記圧力曲線を自動的に比較し、その推移が確立された許容範囲内にあれば、上記圧力曲線を既知の対応して分析された圧力曲線の液体クラスに帰属する、請求項33記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項35】
上記アルゴリズムは上記圧力曲線を自動的に比較し、その推移が確立された許容範囲の外にあれば、上記圧力曲線を新しい液体クラスに帰属しかつこれをオペレータに表示する、請求項33記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項36】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが上記圧力曲線の液体クラスへの帰属を上記液体へ先に帰属された情報と比較できるようにする、請求項34または35に記載されたコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項1】
液体を上記液体用の既知の分注システムにおいて分類するための方法であって、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動は上記液体に典型的なデータ・セットとして検出され、上記選択される仮想パラメータの上記典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体はこの比較に基づいて分類されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも分注されるべき液体の吸引の間にその変動が検出される上記仮想パラメータは、
a) ピペットの現行内圧、
b) システム液またはピペット内の分注されるべき液体のカレント・フロー、
c) 分注されるべき液体がそこから吸引される容器の総重量、
d) 分注されるべき液体の吸引中にポンプ・ピストンを動かすために使用されるDCモータの電力消費量、
e) 上記ピペット内の気体室へと結合される音波のトーン・ピッチ、
f) 上記ピペット内に位置決めされるシステム液または分注されるべき液体の界面位置、
g) マイクロポンプを使用して試料液を吸引する間の圧電セラミック層の電力消費量、
を含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体室は測定室へ接続され、上記測定室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、上記流体室の少なくとも第1の部分は上記液体の試料へ流体接続されるに至る、液体を分類するための方法であって、圧力変動は上記流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に生成され、これらの圧力変動は上記流体カラムに空気圧で接続される上記測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は上記圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、これらの測定信号はコンピュータまたはマイクロプロセッサにより処理されて圧力曲線として再現され、上記圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較され、上記液体はこの比較を基礎として分類されることを特徴とする方法。
【請求項4】
上記測定室は気体で満たされる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、これは容器に含まれる液体内へ浸漬されて上記流体カラム内に圧力変動を発生させる、請求項3記載の方法。
【請求項6】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記ピペット・チップにおいて上記流体カラム内に圧力変動を発生させる部分真空が生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
上記流体カラムは気体によって形成され、上記液体に対する突然の動きにより振動されることになる、請求項3記載の方法。
【請求項8】
上記流体カラムは、上記液体試料に対する突然の動きにより振動されることになるシステム液を含む、請求項3記載の方法。
【請求項9】
上記システム液及び上記液体試料は空隙により互いから分離される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
上記圧力曲線はディスプレイ画面に表示され、または印刷され、上記ディスプレイ画面に表示される、または印刷される既知の圧力曲線と視覚的に比較される、請求項3記載の方法。
【請求項11】
上記圧力曲線はアルゴリズムを基礎として分析され、既知の対応して分析された圧力曲線と数学的に比較される、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
上記圧力曲線は自動的に比較され、その推移が確立された許容範囲内にあれば、上記圧力曲線は既知の対応して分析された圧力曲線の液体クラスに帰属される、請求項10または11に記載された方法。
【請求項13】
上記圧力曲線は自動的に比較され、その推移が確立された許容範囲の外にあれば、上記圧力曲線は新しい液体クラスに帰属されてオペレータに表示される、請求項10または11に記載された方法。
【請求項14】
上記許容範囲は、上記圧力変動の検出及び上記圧力曲線の調製の前または後に確立される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記圧力曲線の液体クラスへの帰属は上記液体へ先に帰属された情報と比較される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記情報は、バーコード及びRFIDタグを含むグループから選択される機械読取り可能情報担体から読み取ることができる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記圧力曲線は、その帰属が上記液体に先に帰属された情報に一致する場合にのみ新しい液体クラスへ帰属される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
流体室を備える、液体を分類するためのデバイスであって、上記流体室には測定室が接続され、上記流体室の内圧は圧力トランスデューサを使用して監視され、上記流体室の少なくとも第1の部分は上記液体の試料へ流体接続されることになる能力を有し、上記デバイスはパルス・ユニットを備え、上記パルス・ユニットを使用して上記流体室に位置づけられる本質的にコヒーレントな流体カラム内に圧力変動が生成されることが可能であり、これらの圧力変動は上記流体カラムに空気圧で接続される測定室において対応する圧力変動を引き起こし、上記圧力変動は圧力トランスデューサにより記録されかつ測定信号に変換され、上記デバイスはコンピュータまたはマイクロプロセッサを備え、上記圧力トランスデューサの測定信号は上記コンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して処理されかつ圧力曲線として再現されることが可能であり、よって上記圧力曲線の推移は既知の圧力曲線の推移と比較されることが可能であり、上記液体はこの比較を基礎として分類され得ることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
上記測定室は気体で満たされる、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
上記測定室は上記流体室内に位置づけられる、請求項18記載のデバイス。
【請求項21】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記流体カラムは気体により形成される、請求項18記載のデバイス。
【請求項22】
上記流体室は液体試料を液体処理するための分注デバイスのピペット・チップを備え、上記流体カラムは空隙を有する、または空隙のないシステム液を含む、請求項18記載のデバイス。
【請求項23】
上記システム液は、上記液体試料に対する突然の動きによって振動するように設定されるべく実装される、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサはディスプレイ画面及び/またはプリンタへ接続され、上記圧力曲線は上記ディスプレイ画面及び/またはプリンタに表示または印刷され、上記ディスプレイ画面に表示される、または印刷される既知の圧力曲線と視覚的に比較され得る、請求項18記載のデバイス。
【請求項25】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサはコンピュータ・プログラム・プロダクトを備え、上記圧力曲線は上記コンピュータ・プログラム・プロダクトを使用してアルゴリズムを基に分析され、既知の対応して分析された圧力曲線と数学的に比較される、請求項18記載のデバイス。
【請求項26】
液体試料を液体処理するための分注デバイスとして実装され、その流体室はピペット・チップと、上記ピペット・チップをポンプへ接続する第1のラインと、上記ポンプの作動部分とによって画定される、請求項18記載のデバイス。
【請求項27】
上記パルス・ユニットは電気的に制御され、かつモータにより駆動されるポンプのピストンまたはベローズ、上記ポンプから離隔されて上記第1のラインの一部として実装されるクランプ・エレメント及び上記ピストン、上記ベローズまたは上記クランプ・エレメントに統合される圧電エレメントを含むグループから選択される、請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
上記圧力トランスデューサは、上記ピペット・チップまたはそのホルダの壁または上記第1のラインの壁内に位置づけられる接続ポイントを介して上記流体室へ接続される、請求項26記載のデバイス。
【請求項29】
上記ポンプは三方弁を備え、上記三方弁から上記第1のラインは上記ピペット・チップに至りかつ第2のラインは液体容器へ至る、請求項26記載のデバイス。
【請求項30】
上記測定室はフレキシブルなダイアフラムにより上記流体室から分離されてシールを形成する請求項18記載のデバイス。
【請求項31】
液体容器を位置づけるためのワークテーブルを有する、液体試料を液体処理するための設備であって、
請求項18記載の少なくとも1つのデバイスと、
コントローラを有する液体処理ロボットと
を備えることを特徴とする設備。
【請求項32】
コンピュータまたはマイクロプロセッサにロード可能であって、ローディング後に上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが、選択される測定可能かつ物理的根拠のある仮想パラメータの変動を基礎とする測定曲線の分析を行えるようにする、液体を分類するためのコンピュータ・プログラム・プロダクトであって、上記液体に典型的なデータ・セットが検出され、上記選択される仮想パラメータの典型的なデータ・セットは既知の液体の対応するデータ・セットと比較され、上記液体は上記比較を基礎として分類されるコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項33】
コンピュータまたはマイクロプロセッサにロード可能であって、ローディング後に上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが、圧力トランスデューサにより記録される圧力変動及び上記圧力トランスデューサにより上記コンピュータまたはマイクロプロセッサへ適宜供給される測定信号を基礎とする圧力曲線の分析を行えるようにする、液体を分類するためのコンピュータ・プログラム・プロダクトであって、上記コンピュータ・プログラム・プロダクトのアルゴリズムは上記圧力曲線の推移を既知の圧力曲線の推移と比較するコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項34】
上記アルゴリズムは上記圧力曲線を自動的に比較し、その推移が確立された許容範囲内にあれば、上記圧力曲線を既知の対応して分析された圧力曲線の液体クラスに帰属する、請求項33記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項35】
上記アルゴリズムは上記圧力曲線を自動的に比較し、その推移が確立された許容範囲の外にあれば、上記圧力曲線を新しい液体クラスに帰属しかつこれをオペレータに表示する、請求項33記載のコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項36】
上記コンピュータまたはマイクロプロセッサが上記圧力曲線の液体クラスへの帰属を上記液体へ先に帰属された情報と比較できるようにする、請求項34または35に記載されたコンピュータ・プログラム・プロダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図22】
【図26】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図22】
【図26】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−40990(P2007−40990A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−199476(P2006−199476)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199476(P2006−199476)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】
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