説明

液体クロマトグラフ質量分析装置

【課題】LC/MSにおいて、複数のヒータで温調を行う際に必要な温調を行いつつ加熱電流を供給するためのヒータトランスの容量を抑制する。
【解決手段】ゼロクロス検出部36は商用交流電圧のゼロクロス点を検出してパルスを生成し、制御部37はこのパルス間隔を最小の単位として、2つのヒータ13、16のいずれかに駆動電力を供給するようにSSR32、33をオン・オフさせる。2つのヒータ13、16への駆動電力の配分は、温度センサ34、35により検出した実温度と目標温度との差やヒータ13、16の温度時定数などの特性情報とに基づいて、適応的に決められる。従って、2つのヒータ13、16に同時に駆動電力が供給されないのでヒータトランス31の定格容量を小さくでき、質量分析に支障をきたさないように各部が温調される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体クロマトグラフ質量分析装置に関し、さらに詳しくは、液体クロマトグラフ質量分析装置が備える複数のヒータを駆動するための制御に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大気圧化学イオン化法(APCI)を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)では、液体クロマトグラフのカラムの末端に接続されたノズルからイオン化室内に試料液を霧化するためのノズル或いはノズル出口近傍を加熱するヒータや、イオン化室で生成されたイオンを次にガス圧の低い中間真空室へと輸送するための細管を加熱するヒータなど、複数のヒータが使用されている(例えば特許文献1など参照)。
【0003】
こうした複数のヒータに加熱電力を供給する回路として、商用交流電源から供給される商用交流電力をトランス(ヒータトランス)の1次巻線に供給して降圧し、そのトランスの複数の2次巻線からそれぞれヒータに電力を供給するものが知られている。従来のLC/MSでは、複数のヒータで同時に加熱が行う場合を考慮して、ヒータトランスとして、駆動対象の複数のヒータの電力容量の総和以上の定格容量を有するものが使用されている。
【0004】
そのため、ヒータトランスのコストが高く装置のコスト低減を阻む一因となっている。また、定格容量の大きなヒータトランスは形状が大きく重いため、装置の小形・軽量化にも不利であった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−108895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、ヒータトランスの定格容量をできるだけ抑えつつ分析に支障をきたさないように各部を適切に加熱することができる液体クロマトグラフ質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された第1発明は、液体クロマトグラフ部で分離された試料成分を含む試料液を質量分析部に導入して質量分析を行う液体クロマトグラフ質量分析装置において、
a)質量分析部のイオン化部及び/又は該イオン化部で生成されたイオンを後段に輸送するイオン輸送部に配設された複数のヒータと、
b)商用交流電源から供給される商用交流電力に基づく駆動電力を前記複数のヒータの1つに供給する切替手段と、
c)商用交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
d)前記複数のヒータのそれぞれの特性及び目標温度に基づいて各ヒータへの駆動電力の分配を決定するものであって、前記ゼロクロス検出手段による検出されるゼロクロス点の位置において前記駆動電力の供給先を切り替えるように前記切替手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
また上記課題を解決するために成された第2発明は、液体クロマトグラフ部で分離された試料成分を含む試料液を質量分析部に導入して質量分析を行う液体クロマトグラフ質量分析装置において、
a)質量分析部のイオン化部及び/又は該イオン化部で生成されたイオンを後段に輸送するイオン輸送部に配設された複数のヒータと、
b)商用交流電源から供給される商用交流電力が供給される1次巻線と前記複数のヒータに対応してそれぞれ設けられた2次巻線とを有するヒータトランスと、
c)前記ヒータトランスの2次巻線に生起される駆動電力を前記複数のヒータのそれぞれに、指定された期間供給するための複数の電力開閉手段と、
d)商用交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
e)前記ゼロクロス検出手段により検出される時間的に隣接する2つのゼロクロス点の間の半周期期間内の或る時点で前記電力開閉手段を閉じ、次のゼロクロス点で該電力開閉手段を開くようにそれぞれの電力開閉手段を制御する制御手段であって、前記半周期期間内における全ての駆動電力の和が前記ヒータトランスに定められた規定電力以下となるような条件の下に、前記複数のヒータのそれぞれの特性及び目標温度に基づいて各ヒータへの駆動電力の分配を決定し、それに従って前記電力開閉手段をそれぞれ閉じるタイミングを決めて各電力開閉手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
第1発明における切替手段、第2発明における電力開閉手段としては、信頼性の点から、スイッチング部に電力トランジスタやトライアック(ゲート制御式半導体スイッチ)などを用いたソリッドステートリレーを用いることが好ましい。
【0010】
第1及び第2発明に係る質量分析装置ではいずれも、商用交流電圧波形のゼロクロス点から次のゼロクロス点までの期間の半周期期間を最小単位として、制御手段はこの最小単位で複数のヒータに駆動電力を分配する。即ち、例えば、複数のヒータの中で目標温度と実温度との差が大きいものほど、より大きな駆動電力を供給するようにすることができる。また、同じ温度差であっても急速に昇温したいヒータに対して、より大きな駆動電力を供給するようにしてもよい。
【0011】
第1発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置において、制御手段は、目標温度と実温度との差やヒータ自体の特性などに応じて各ヒータに供給する駆動電力を適応的に調整することができるが、任意の時点において駆動電力が供給されるヒータは最大1個のみであり、複数のヒータに同時に駆動電力が供給されることはない。
【0012】
一方、第2発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置では、制御手段は、いわゆる位相制御による電力制御を行い、或る時点では複数の電力開閉手段が同時に閉じ対応する複数のヒータに同時に駆動電力が供給されることがあり得るが、半周期期間内でみたときには全ての駆動電力の和はヒータトランスに定められた規定電力、一般的には定格電力容量以下に抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
従って、第1及び第2発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置によれば、複数のヒータでの加熱を行うために用いるヒータトランスの定格電力容量を大きくする必要がなく、コストを抑えることができるとともに小型・軽量化にも有利である。また、上述のようにその時点で分析のために最も重要であるヒータに適応的に駆動電力を分配することができるので、同時に複数のヒータに駆動電力が供給できなくても、或いは、全ての駆動電力の和の最大値に制約が設けられていても、各部をそれぞれ適切に加熱・温調して良好な分析を実現することができる。
【0014】
また特に、第1発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置によれば、切替手段の接点に掛かる交流電圧及び交流電流がほぼゼロであるときにそのオン・オフの切替え動作が行われるため、その切替えに伴う不所望に大きな突入電流が流れにくく、切替手段の故障や破損を起こりにくくすることができる。
【0015】
なお、上記のような複数のヒータの駆動制御は、液体クロマトグラフ質量分析装置が備える各種のヒータに適用することが可能であるが、特に、前記質量分析部のイオン化部は略大気圧雰囲気下で試料液を霧化させる噴霧部を含み、前記複数のヒータは、前記噴霧部に設けられたヒータと、前記イオン化部で生成されたイオンを次にガス圧の低い真空室内へと輸送するための細管に設けられたヒータと、を含む構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施例]
第1発明の一実施例(第1実施例)であるLC/MSを図面を参照して説明する。図1はこのLC/MSの要部の全体構成図である。このLC/MSは大気圧化学イオン化(APCI)インターフェイスを用いたものであるが、これに限らず、エレクトロスプレイイオン化インターフェイスなど各種のイオン化法を利用したものとすることができる。
【0017】
液体クロマトグラフ(LC)部1にあっては、送液ユニット3が移動相容器2から移動相を吸引し、一定の送液量を維持しつつカラム5へと送給する。カラム5の手前に設けられたインジェクタ4により所定のタイミングで試料を移動相中に注入すると、この試料は移動相に乗ってカラム5に導入される。そして、カラム5を通過する間に試料中の各種成分(化合物)は分離され、異なる保持時間で以てカラム5の出口から溶出して質量分析(MS)部10に導入される。
【0018】
MS部10において、試料液は周設されたヒータ13により加熱されたノズル12で霧化され、略大気圧雰囲気であるイオン化室11内に噴霧される。ノズル12の前方には針電極14が配設され、針電極14からのコロナ放電により試料液中の溶媒分子がイオン化され、その溶媒イオンと試料成分分子とが化学反応することで該成分分子がイオン化される。生成されたイオンは、例えばブロックヒータであるヒータ16により加熱された細径の加熱キャピラリ(脱溶媒管)15を通って第1中間真空室17へと送り込まれる。
【0019】
第1中間真空室17はロータリーポンプ25により真空排気されることで低真空雰囲気(例えば102[Pa]程度)に維持される。第1中間真空室17内に導入されたイオンは第1イオンレンズ18により収束されつつ、スキマー19の頂部のオリフィスを通して第2中間真空室20に送り込まれる。第2中間真空室20はターボ分子ポンプ26により真空排気されることで中真空雰囲気(例えば10-1〜10-2[Pa]程度)に維持され、第2中間真空室20内に導入されたイオンはオクタポール型の第2イオンレンズ21により収束されつつ分析室22に送り込まれる。
【0020】
分析室22は別のターボ分子ポンプ27により真空排気されることで高真空雰囲気(例えば10-3〜10-4[Pa]程度)に維持され、特定の質量(厳密には質量電荷比m/z)を有するイオンのみが四重極質量フィルタ23の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量を持つイオンは途中で発散する。そして、四重極質量フィルタ23を通り抜けたイオンは例えばコンバージョンダイノードと光電子増倍管との組み合わせによるイオン検出器24に到達し、イオン検出器24では到達したイオン量に応じたイオン強度信号を出力する。この出力信号は図示しないデータ処理部に入力され、そこで、マススペクトルやマスクロマトグラム、或いはトータルイオンクロマトグラムが作成され、さらに定性・定量分析が実行される。
【0021】
イオン化のためのノズル12、及び、イオンを後段に輸送するとともに微細な試料液滴から溶媒を気化させてイオンの発生を促進するための加熱キャピラリ15は、それぞれ付設されたヒータ13、16によって所定温度範囲内の任意の温度に略一定に加熱されるようになっている。次に、この2つのヒータ13、16の駆動制御のための回路構成、及びその制御動作を図2〜図4により説明する。図2はヒータ駆動回路の概略構成図である。
【0022】
外部の商用交流電源30から供給される交流電力はヒータトランス31の1次巻線L1に加えられ、ヒータトランス31の2つの2次巻線L2、L3は、それぞれソリッドステートリレー(SSR)32、33を介してヒータ13、16に接続されている。商用交流電圧はヒータトランス31の手前でゼロクロス検出部36に入力され、ゼロクロス検出部36によるゼロクロス検出信号が制御部37に与えられる。各ヒータ13、16にはそれぞれ温度センサ34、35が付設され、温度センサ34、35の各温度検出信号はいずれも温度監視部38に入力される。温度監視部38は温度検出信号に基づいて実温度を算出し、その温度値Tr1、Tr2を制御部37に与える。
【0023】
制御部37は例えばCPU等を含むマイクロコンピュータにより構成され、所定の計算アルゴリズムに基づいてPID制御等の演算処理を行う演算部を含み、その演算結果に応じて2個のSSR32、33をオン・オフする駆動信号を生成する。また、その演算のためのパラメータとして、メモリ等に格納された、各ヒータ13、16の温度に関する時定数などのヒータ特性情報39が制御部37に与えられ、また制御目標となる各ヒータ13、16の温度設定値Tp1、Tp2もユーザの設定により制御部37に与えらる。SSR32、33は例えばトライアック等のゲート制御式半導体スイッチを含んで構成される高速動作可能なスイッチである。
【0024】
次に、このヒータ駆動回路における制御動作の一例を、図3、図4を参照しつつ説明する。分析に先立って分析条件の1つとしてノズル12及び加熱キャピラリ15の目標温度がそれぞれユーザにより設定され、この目標温度が温度設定値Tp1、Tp2として制御部37に与えられる。
【0025】
外部から商用交流電力が供給されると、ゼロクロス検出部36では交流電圧のゼロクロス点付近でパルス信号を発生する(図3参照)。従って、交流電圧の1周期(周波数50Hz又は60Hz)期間に2つのパルス信号が発生する。制御部37はこのゼロクロス検出信号のパルス間隔を最小単位として、SSR駆動信号のH/Lレベルを切り替える。
【0026】
制御部37では、温度監視部38から与えられるヒータ13についての実温度Tr1と温度設定値Tp1との差ΔT1、ヒータ16についての実温度Tr2と温度設定値Tp2との差ΔT2、をそれぞれ求め、基本的には、その温度差ΔT1、ΔT2がともにゼロに近づくようにSSR32、33のオン・オフを制御することで各ヒータ13、16に供給する加熱電力を調整する。こうした制御のために、例えば周知のPID制御を利用することができる。
【0027】
ここで重要なこととして、上記制御では、2つのヒータ13、16に対して同時に通電を行うことは禁止する。従って、SSR32とSSR33とが同時にオンされることはなく、いずれか一方がオンされるか、或いは両方がともにオフされるか、である。また、例えば両ヒータ13、16で同じ温度差がある場合に、ヒータ13の加熱を優先的に行うように優先度を定めておく。これは、ノズル12の温度を上げることはイオン化を行うのに必須であること、及び、ヒータ13の方がヒータ16よりも熱容量が大きく温度が上昇しにくいという理由による。
【0028】
従って一般的に、装置が起動されて最初に分析を実行するまでの立ち上げ時(つまりノズル12、加熱キャピラリ15ともに初期温度が常温であるとき)には、温度差ΔT1が或る所定値以上であるときに、ヒータ13による加熱を優先的に行い、ヒータ13側の温度差ΔT1が或る程度小さくなった状態では、両ヒータ13、16への通電を許可し、その駆動電力の配分を決める。具体的には、両ヒータ13、16の温度差ΔT1、ΔT2、及びヒータ特性情報39に応じて、或る所定期間中に上記ゼロクロス間隔を単位としてヒータ13に通電を行う回数Nとヒータ16に通電を行う回数Mとを決定する。
【0029】
例えば図4に示す例では、電源電圧波形4周期分、つまり8回分のゼロクロス間隔を1つの電力配分周期とし、N+M≦8との条件の下に、ヒータ13に通電を行う回数N、及びヒータ16に通電を行う回数Mをそれぞれ決定する。図4の例では、N=3、M=5であり、ヒータ13よりもヒータ16により多くの加熱電力を供給している。温度差ΔT1、ΔT2が縮小していけば、N、Mともに値を小さくすることによりヒータ13、16に供給する電力を減らし、温度差ΔT1、ΔT2ができるだけゼロに近い状態で安定して推移するように制御を継続する。ノズル12、加熱キャピラリ15ともに実温度Tr1、Tr2が目標温度Tp1、Tp2付近に落ち着き、試料液が一定流量で供給され、周囲温度もほぼ一定に保たれているときには、ほぼ一定の制御を継続すればよい。
【0030】
但し、制御部37では各ヒータ13、16への電力の配分を適応的に決めることができる。即ち、上述のような電力配分周期は固定的なものではなく、例えば周囲温度が大きく変化したり、試料液の流量が変化したりするといった外乱により実温度が急に変化した場合には、これを迅速に修正する必要があるから、電力配分周期の途中でもそうした修正のための電力供給を優先させることができる。また、ヒータの特性によっては、最小の電力供給切替の単位を商用交流電力の半波とするのは適当ではなく、例えば半波×2又は半波×3の期間、連続して電力を供給したほうが適切な昇温が行える場合があるが、そうした場合にも、そうした制約を条件の1つとしてPID制御を行うことで対応が可能である。
【0031】
なお、上記実施例では、2つのヒータの駆動制御を行う場合について説明したが、3以上のヒータでも同様の手法が適用可能である。
【0032】
[第2実施例]
次に第2発明の一実施例(第2実施例)であるLC/MSを図面を参照して説明する。この第2実施例によるLC/MSの全体構成及びヒータ駆動回路の概略構成は上記第1実施例と基本的に同じであるので説明を省略する。この第2実施例では、制御部37の制御動作、具体的には制御のためのプログラムが第1実施例とは相違する。この制御部37の制御の下に行われるヒータ駆動回路の動作を図5により説明する。
【0033】
ここでは、各ヒータ13、16へ供給する駆動電力の制御を位相制御により行う。即ち、交流電圧の半周期期間、つまり時間的に隣接する2つのゼロクロス位置の間の期間中の或る時点でSSR32、33はオンされ、次のゼロクロス位置でSSR32、33はオフされる。SSR32、33をオンするタイミングにより、SSR32、33を通してヒータ13、16に供給される駆動電圧の波形面積が変化し、その面積がヒータ13、16への駆動電力に対応する。
【0034】
上記第1実施例と同様に、制御部37は、温度監視部38から与えられるヒータ13についての実温度Tr1と温度設定値Tp1との差ΔT1、ヒータ16についての実温度Tr2と温度設定値Tp2との差ΔT2、をそれぞれ求め、基本的には、その温度差ΔT1、ΔT2がともにゼロに近づくように各ヒータ13、16に供給する駆動電力を調整する。但し、その際に、半周期期間中にヒータ13、16に供給される駆動電力をPa、Pbとしたとき、その両者の和Pa+Pbがヒータトランス31に定められた定格電力容量P以下に収まるように、つまりP≧Pa+Pbとなるような条件を課す。そうして駆動電力Pa、Pbが決まれば、SSR32、33をそれぞれオンさせるタイミング、図5中のt1、t2が決まるから、それに応じて制御部37はSSR32、33をそれぞれ駆動する。
【0035】
図5から明らかなように、この場合には2つのヒータ13、16に同時に駆動電力が供給されるが、半周期期間でみた場合にはその2つの駆動電力の和はヒータトランス31の定格電力容量以下に収まるため、定格電力容量の範囲で良好な分析が行えるような加熱を行うことができる。
【0036】
また、上記実施例は本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1発明の一実施例(第1実施例)によるLC/MSの要部の全体構成図。
【図2】第1実施例のLC/MSにおけるヒータ駆動回路の概略構成図。
【図3】第1実施例においてヒータ駆動回路の動作を説明するための概略波形図。
【図4】第1実施例においてヒータ駆動回路の動作を説明するための概略波形図。
【図5】第2発明の一実施例(第2実施例)によるLC/MSにおけるヒータ駆動回路の動作を説明するための概略波形図。
【符号の説明】
【0038】
1…LC部
10…MS部
11…イオン化室
12…ノズル
13…ヒータ、16
14…針電極
15…加熱キャピラリ
17…第1中間真空室
18…第1イオンレンズ
19…スキマー
20…第2中間真空室
21…第2イオンレンズ
22…分析室
23…四重極質量フィルタ
24…イオン検出器
30…商用交流電源
31…ヒータトランス
32、33…ソリッドステートリレー(SSR)
34、35…温度センサ
36…ゼロクロス検出部
37…制御部
38…温度監視部
39…ヒータ特性情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフ部で分離された試料成分を含む試料液を質量分析部に導入して質量分析を行う液体クロマトグラフ質量分析装置において、
a)質量分析部のイオン化部及び/又は該イオン化部で生成されたイオンを後段に輸送するイオン輸送部に配設された複数のヒータと、
b)商用交流電源から供給される商用交流電力に基づく駆動電力を前記複数のヒータの1つに供給する切替手段と、
c)商用交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
d)前記複数のヒータのそれぞれの特性及び目標温度に基づいて各ヒータへの駆動電力の分配を決定するものであって、前記ゼロクロス検出手段による検出されるゼロクロス点の位置において前記駆動電力の供給先を切り替えるように前記切替手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項2】
液体クロマトグラフ部で分離された試料成分を含む試料液を質量分析部に導入して質量分析を行う液体クロマトグラフ質量分析装置において、
a)質量分析部のイオン化部及び/又は該イオン化部で生成されたイオンを後段に輸送するイオン輸送部に配設された複数のヒータと、
b)商用交流電源から供給される商用交流電力が供給される1次巻線と前記複数のヒータに対応してそれぞれ設けられた2次巻線とを有するヒータトランスと、
c)前記ヒータトランスの2次巻線に生起される駆動電力を前記複数のヒータのそれぞれに、指定された期間供給するための複数の電力開閉手段と、
d)商用交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
e)前記ゼロクロス検出手段により検出される時間的に隣接する2つのゼロクロス点の間の半周期期間内の或る時点で前記電力開閉手段を閉じ、次のゼロクロス点で該電力開閉手段を開くようにそれぞれの電力開閉手段を制御する制御手段であって、前記半周期期間内における全ての駆動電力の和が前記ヒータトランスに定められた規定電力以下となるような条件の下に、前記複数のヒータのそれぞれの特性及び目標温度に基づいて各ヒータへの駆動電力の分配を決定し、それに従って前記電力開閉手段をそれぞれ閉じるタイミングを決めて各電力開閉手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置であって、前記質量分析部のイオン化部は略大気圧雰囲気下で試料液を霧化させる噴霧部を含み、前記複数のヒータは、前記噴霧部に設けられたヒータと、前記イオン化部で生成されたイオンを次にガス圧の低い真空室内へと輸送するための細管に設けられたヒータと、を含むことを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−92524(P2009−92524A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263861(P2007−263861)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】