説明

液体タンク

【課題】油圧等を用いたシステム全体の専有スペースを小さくできるとともに、設置作業も容易にでき、かつ気泡を確実に除去できる液体タンクの提供。
【解決手段】液体を収容する液体タンク1において、タンク1内には、液体中に含まれる気泡を除去する気泡除去装置30が設けられ、気泡除去装置30は、気泡が混じった液体に旋回流を生じさせるサイクロン室321を備えているとともに、気泡除去後の液体をサイクロン室321から流出させる流出口と、除去した気泡をサイクロン室321から排出する排出口333とを、それぞれ個別に備え、気泡除去装置30の排出口333は、サイクロン室321に対して、送出口123または送出口123に取り付けられたストレーナ125から離間した側に位置し、かつ液体タンク1内に収容された液体中に開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体タンクに係り、液体中の気泡(空気)を除去する気泡除去装置を備えた液体タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械では、作業機の一部であるシリンダ等を作動油で駆動することが一般的である。従って、建設機械はシリンダを駆動する油圧回路を備えているのであるが、この油圧回路には作動油タンクや、作動用タンクから作動油を圧送するポンプ、作動油を冷却するオイルクーラ、コントロールバルブの他、油圧回路内で発生した作動油中の気泡を除去するために、気泡除去装置を設ける場合がある。作動油中に気泡が存在すると、ポンプ内でキャビテーションを起こし、ポンプを破損させるおそれがあるため、シリンダ等からの作動油を作動油タンクに戻す途中で、気泡を気泡除去装置によって除去し、気泡が除去された作動油を再びポンプで圧送している。
【0003】
気泡除去装置としては種々の構造のものが知られている。第1には、作動油に旋回流(渦)を生じさせ、その際の遠心力によって比重の軽い気泡を中央側に寄せ、ここから専用の流路を通して気泡を分離するサイクロン型である(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、第2には、同じサイクロン型でも、気泡と作動油とをそれぞれ専用の流路を設けて分離するのではなく、共に作動油タンク内にもともと存在する作動油中に流出させ、その際に、比重の軽い気泡のみを気泡除去装置の壁面を伝って上方に排出する構造である(例えば、特許文献2)。
【0005】
第3には、気泡を含んだ作動油の流路自身を渦巻き状に形成しておき、この流路を作動油が通過する過程において、渦巻きの中心側に寄った気泡を排出する構造である(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−52013号公報
【特許文献2】実開昭61−124701号公報
【特許文献3】特開昭56−83602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の気泡除去装置は、作動油タンクの外部に設けられるため、作動油タンクの設置スペースの他に気泡除去装置用の設置スペースを確保する必要があり、油圧システムの専有スペースが大きくなるという問題がある。また、気泡除去装置を配管途中に個別に設置する必要があり、設置作業に手間がかかるという問題がある。
【0008】
特許文献2記載の気泡除去装置では、気泡と気泡を除去した作動油とが、タンク内にもともとある作動油中に流出されるため、例えば建設機械の姿勢変化によって作動油タンクが大きく揺れた場合には、分離した気泡と作動油とがその揺れによって掻き混ぜられてしまい、再度混じり合って除去性能が低下するという問題がある。
【0009】
特許文献3記載の気泡除去装置では、気泡が混じった作動油の流路が渦巻き状に形成されているので、十分な遠心力を生じさせて気泡を確実に除去するためには、渦巻きの径をより大きくする必要がある。従って、気泡除去装置全体が渦巻きの径方向に向かって大きくなってしまい、やはり大きな専有スペースが必要になるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、油圧等を用いたシステム全体の専有スペースを小さくできるとともに、設置作業も容易にでき、かつ気泡を確実に除去できる液体タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、液体を収容する液体タンクにおいて、当該タンク内には、液体中に含まれる気泡を除去する気泡除去装置が設けられており、この気泡除去装置は、気泡が混じった液体に旋回流を生じさせるサイクロン室を備えているとともに、気泡除去後の液体をサイクロン室から流出させる流出口と、除去した気泡をサイクロン室から排出する排出口とを、それぞれ個別に備え、前記気泡除去装置の排出口は、前記サイクロン室に対して、送出口または送出口に取り付けられたストレーナから離間した側に位置し、かつ当該液体タンク内に収容された液体中に開口していることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の液体タンクにおいて、前記排出口は上向きに開口していることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3は、請求項1または請求項2に記載の液体タンクにおいて、前記気泡除去装置は、液体を前記サイクロン室へ導くための一対の導入流路と、上方からの液体を前記一対の導入流路に向けて分流する流れ方向変換部とを備え、かつ前記気泡除去装置は、前記送出口または前記ストレーナの近傍であって、気泡を含んだ液体を濾過するフィルタの直下に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上において、請求項1の液体タンクによれば、この液体タンク内に気泡除去装置が設けられているので、前記特許文献1記載の気泡除去装置とは異なり、液体タンクの設置スペースの他に気泡除去装置用の設置スペースを別途確保する必要がなく、その分油圧システムの専有スペースが小さくなる。また、気泡除去装置を予め液体タンク内に取り付けておくことで、配管途中に個別に設置する必要がないから、設置作業が迅速に行える。
【0015】
そして、気泡を除いた液体を流出させる流出口と、気泡を排出する排出口とを個別に設けるため、前記特許文献2記載の気泡除去装置に比して、例えば液体タンクの揺れ等を考慮し、流出直後の液体と混ざらない位置に気泡の排出口を引き出して開口させることが可能であり、気泡が液体と再度混じり合う心配がなく、確実に除去される。
さらに、気泡除去装置がサイクロン室を備えた構造であるから、渦巻き状の流路を備えた前記特許文献3記載の気泡除去装置よりも、小径化を図ることが可能であり、この点でも専有スペースの狭小化が促進される。
【0016】
また、サイクロン室が何らかの理由によって負圧(気泡の排出先よりも低い圧力のこと)になると、気泡の排出先にある空気を排出口を通して逆にサイクロン室内に吸い込むといった現象が生じ、気泡を除去するはずの気泡除去装置でかえって気泡を混在させるといった問題を引き起こす場合がある。
これに対して、請求項1の液体タンクによれば、排出口は、当該液体タンク内に収容された液体中に開口しているので、サイクロン室が負圧になった際には、サイクロン室から排出口までの流路内に存在する気体(気泡)が逆流するだけであるから、逆流する気体の量が確実に軽減され、液体に気泡が再度混入するといった心配がなくなる。特に気泡除去装置をタンク内に設ける場合には、サイクロン室から排出口までの長さが極めて短くなるので、流路内の気体の流れも小さくなり、より効果的である。
【0017】
請求項2の液体タンクでは、前記気泡除去装置の排出口が上向きに開口している。
【0018】
請求項3の液体タンクでは、液体タンク内の気泡除去装置を送出口またはこれに取り付けられたストレーナの近傍に設けるので、サイクロン室から流出した気泡除去後の液体が、スムーズに送出口またはこれに取り付けられたストレーナに向かって流れるようになる。
【0019】
また、気泡除去装置を送出口の直上または送出口に取り付けられたストレーナの直上であって、気泡を含んだ液体を濾過するフィルタの直下に設ける場合には、フィルタ、気泡除去装置、送出口またはストレーナが上下に略直線上に配置されるため、フィルタをも収容した液体タンクとしての小径化を実現できる。
【0020】
さらに、請求項3の液体タンクでは、前記気泡除去装置は、液体を前記サイクロン室へ導くための一対の導入流路と、上方からの液体を前記一対の導入流露に向けて分流する流れ方向変換部とを備えている。
なお、本発明の液体タンクにおいては、前記導入流路内には、周方向の一端側から他端側にかけて下方に傾斜した案内部が設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明の液体タンクでは、前記流出口から流出した液体の勢いを低減させる勢力低減部が設けられていることが好ましい。
サイクロン室の流出口から過剰な勢いで液体が流出すると、その勢いによっては液面が大きく盛り上がったり、あるいは噴水状に噴き上がるため、その際に液面が波立って液面上の空気等の気体を新たに巻き込んでしまったりし、気泡が生じる可能性がある。しかも、液面が大きく揺れることで液面の高さが部分的に下がってしまい、この位置で気体を巻き込むと、巻き込んだ気体が気泡となって液体タンク外に送出され易くなる。
しかし、このような構成の液体タンクによれば、気泡除去装置に勢力低減部を設けることで、流出した液体の勢いが低減するから、液面が波立って気体を巻き込むといった現象が生じにくくなり、気泡除去がより確実に行われる。
【0022】
本発明の液体タンクでは、前記サイクロン室は、筒状の周面部と、この周面部の一端側を塞ぐ端面部とを備え、前記流出口は、前記端面部の外周側近傍に沿って複数設けられていることが好ましい。
比重の小さい気泡は、サイクロン室の中央寄りに集約される関係から、液体の流出口が例えば端面部の中央寄りに設けられていると、液体の流出時の勢いによっては、その勢いが気泡の浮力よりも勝ってしまい、排出口からではなく液体と一緒になって流出口から流出されてしまうおそれがある。
これに対して、このような構成の液体タンクでは、気泡除去装置の流出口を端面部の外周側近傍に沿って設けるので、中央寄りに集約される気泡が流出口から作動油と一緒に流出する可能性が格段に低くなり、気泡がそのまま気泡除去装置外に送出される心配がなくなる。
【0023】
本発明の液体タンクでは、気泡除去後の液体を送出口側または送出口に取り付けられたストレーナ側に導くガイド部が設けられ、前記ガイド部は、前記流出口の少なくとも周囲を覆い、かつ前記ストレーナの液面側に近い部分を覆っていることが好ましい。
このような構成の液体タンクでは、ガイド部を設けるので、サイクロン室から流出した気泡除去後の液体が、排出した気泡と混じり合うことなしに、スムーズに送出口またはこれに取り付けられたストレーナに向かって流れるようになり、送出口からは気泡を含まない液体が常時送り出されることになる。また、ガイド部が流出口の少なくとも周囲を覆っているので、流出口から勢いよく流出する気泡除去後の液体がストレーナ側に良好に導かれる。
【0024】
また、液体タンクが接続されるシステムにおいては、気泡除去装置を通して液体タンクに戻る液体よりも多量の液体を作動油タンクから供給する場合がある。この場合には、気泡除去装置から戻る流量で不足する分は、液体タンクに予め収容された液体がストレーナから吸入されることとなる。このときストレーナの液体吸入位置と液面とが近いと、液面において渦が発生することがあり、これにより気泡が液体中に巻き込まれてしまう可能性がある。この渦の発生を避けるために、従来の液体タンクでは、ストレーナの吸入位置と液面との距離をある程度確保する必要があった。
【0025】
これに対して、ガイド部がストレーナの液面側に近い部分を覆っている場合、液体タンクに予め収容された液体を吸入する際には、ストレーナは液面側に遠い部分から液体を吸入する。従って、大量に液体を吸入した場合でも、液面に渦が発生することなく気泡を含まない良質の液体が吸入される。また、これにより、従来とは異なりストレーナの吸入位置と液面との距離を確保する必要がないので、液体タンクの容量が小さくなり、液体タンクの小型化が促進される。
【0026】
本発明の液体タンクでは、液体タンク内の圧力を外気圧とほぼ同じ圧力に保つブリーザが設けられていることが好ましい。
液体タンクが接続されるシステムを気圧の低い高地等で使用する場合、液体タンクから液体を吸入してシステムに送液するポンプの入口が負圧になりやすい。このような状況下で、液体に気泡が含まれているとポンプがキャビテーションを起こすことがある。そこで、従来では液体タンクに加圧装置を設け、ポンプの吸い込み圧が負圧になるのを防止していた。
これに対して、本発明の液体タンクでは、気泡除去装置により気泡を除去するので、気圧の低い高地でもポンプがキャビテーションを起こすことがなく使用可能となる。これにより、従来とは異なり、加圧装置が不要となるので、液体タンクの強度を高める必要がなく、液体タンクのコストが削減される。また、加圧装置を設置するスペースも不要となり、液体タンクを含んだシステムの小型化が促進される。
【0027】
そして、ブリーザが設けられていると、液体タンク内の空気が常に外気圧とほぼ同じ圧力に保持される。従来では、加圧装置によって液体タンク内の圧力を所定範囲内に調整していたが、加圧装置が不要となった本発明においては、ブリーザが同様の機能を有する。よって、簡単な構造で安定したシステムの作動が実現する。また、ブリーザは吸気あるいは排気が必要な時のみ外気と連通するので、液体タンク内への塵埃等の混入が防止される。
【0028】
本発明の液体タンクでは、前記気泡除去装置のサイクロン室と前記気泡の排出口とを連通させる排出流路には、当該サイクロン室から出た複数の気泡が結合する結合域部が設けられていることが好ましい。
このような構成の液体タンクによれば、気泡が通る排出流路に結合域部を設け、小さな気泡を結合させてより大きな気泡に成長させるので、その分浮力が大きくなって排出口から液面まで素早く浮上するようになり、気泡が液体タンクからより送出されにくくなって気泡除去性能がさらに向上する。なお、結合されて大きく成長した気泡は、そのまま液面に向かって浮上する場合もあるが、成長した気泡から分離して浮上する場合もある。そして、分離した場合の気泡の大きさは、結合前の気泡の大きさに比較して格段に大きいことが確認されており、やはり素早く液面まで浮上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一実施形態に係る液体タンクを断面して示す正面図。
【図2】前記液体タンク内に設けられた気泡除去装置の要部を一部断面して示す斜視図。
【図3】第一実施形態の気泡除去装置を示す断面図。
【図4】本発明の第二実施形態に係る液体タンクを断面して示す正面図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る液体タンクを断面して示す側面図。
【図6】本発明の第三実施形態に係る液体タンクを断面して示す正面図。
【図7】本発明の第三実施形態に係る液体タンクを断面して示す側面図。
【図8】第三実施形態の気泡除去装置を示す斜視図。
【図9】第三実施形態の気泡除去装置を示す分解斜視図。
【図10】第三実施形態の気泡除去装置を示す底面図。
【図11】本発明の収容管の取付部分の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明のガイド部の変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の結合域部の変形例を示す模式図。
【図14】本発明の結合域部の他の変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第二実施形態以降において、以下に説明する第一実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
【0031】
〔第一実施形態〕
図1は、第一実施形態に係る作動油タンク(液体タンク)1を断面して示す正面図、図2は、作動油タンク1内に設けられた気泡除去装置30の要部を一部断面して示す斜視図である。
【0032】
作動油タンク1は、例えば建設機械に取り付けられ、作業機を作動させるための作動油(液体)を収容するために用いられる。従って、この作動油タンク1には、図示しないポンプの他、図示しないコントロールバルブ、作業機を構成するシリンダ、およびオイルクーラ等が作動油流路を介して連結されており、これらで油圧回路および油圧システムが構築されている。
【0033】
このような作動油タンク1は、タンク本体10と、タンク本体10内に収容されたフィルタ20と、同じくタンク本体10内に収容された前記気泡除去装置30とを含んで構成され、フィルタ20および気泡除去装置30がいわゆる宙吊り状態でタンク本体10内に収容されている。
【0034】
具体的にタンク本体10は、円筒状の筒体11の下部側に溶接等で油受部材12を固定するとともに、上部側にフランジ13を溶接等で固定し、かつフランジ13の上方から蓋部材14をボルト(図示略)で着脱自在に取り付けた構造である。
【0035】
これらの構成部材のうち、油受部材12の外フランジ121には、作動油タンク1全体を建設機械の車両部分等にボルト止めするためのボルト挿通孔122が設けられている。油受部材12の側部には、横方向に開口した送出口123が設けられ、この送出口123には、外部流路との接続を行うジョイント部材124がシール材(不図示)を介してボルト止めされている。ジョイント部材124には、サクションストレーナ(以下、単にストレーナと称す)125が一体に取り付けられており、このストレーナ125が油受部材12内に収容されている。
【0036】
また、油受部材12の内部には、前記ストレーナ125が収容された送出空間126と、油圧モータなどの油圧機器からのドレイン流路(不図示)が接続されるドレイン空間127とが設けられており、各空間126,127の間がガイド部128で仕切られている。このガイド部128により、主に送出空間126内の作動油がストレーナ125を通して油圧回路に送出され、ドレイン流路から戻った作動油がそのまま送出されることはない。
【0037】
一方、蓋部材14には、新たな作動油を給油する給油口141と、作業機のシリンダ等から作動油が戻る戻り口142とが設けられている。蓋部材14の下面には、円筒状の縦管143が溶接等で固定され、縦管143の内部と戻り口142とが連通している。縦管143内の上部側には、フィルタ20が収容され、縦管143の下部側には、気泡除去装置30が一部収容された状態で取り付けられている。
【0038】
フィルタ20は、戻り口142からの作動油が流入する筒状のコア部材21と、コア部材21の丸孔211から流出した作動油を濾過するエレメント22とで構成されている。
【0039】
コア部材21の上端は戻り口142の流出側の開口部分にねじ込まれている。コア部材21の下端には、リリーフバルブ212が設けられており、例えば低温時や流量が多くなった場合には、コア部材21の流入側の圧力が高くなり、作動油が丸孔211からではなく、リリーフバルブ212から流出し、エレメント22を通らずに下方に流れる。
【0040】
エレメント22は、円筒状とされ、コア部材21を囲むように配置されている。エレメント22の下端側は、直下に配置された気泡除去装置30の上端で支持されており、この上端とコア部材21の上端付近に設けられたL字形のブラケット21Aとの間に挟持されている。
【0041】
気泡除去装置30は、フィルタ20を通過した作動油の流れを案内する案内部材31と、案内部材31の下端にねじ込まれたカップ状部材32とを含んで構成されている。また、この気泡除去装置30は、ストレーナ125の直上に位置しているとともに、フィルタ20の直下に取り付けられており、従って、これらのフィルタ20、気泡除去装置30、およびストレーナ125は、上方から順に略一直線上に配置されていることになる。
【0042】
案内部材31の中央部分は、上部側に突出した断面略円錐台状の中実コア部311となっている。中実コア部311の上端は、フィルタ20を構成するコア部材21の下端にねじ込まれており、この上端により、前述したように、フィルタ20のエレメント22が支持されている。さらに、この上端部分には、前記リリーフバルブ212が収容される収容部311Aが設けられ、リリーフバルブ212に流出した作動油は、収容部311Aから貫通孔311Bを通って中実コア部311の外側に流れ出す。
【0043】
案内部材31の下部側には、図2にも拡大して示すように、中実コア部311の外周を囲うように筒状部312が設けられている。筒状部312の内周面は、上方に向かって拡開したテーパ面となっており、中実コア部311がコア部材21にねじ込まれると同時に、このテーパ面の上端縁部分が縦管143の下端側の外縁部分に密着するようになっている。
【0044】
この筒状部312の内側の上半分は、中実コア部311との間に形成された隙間313となっており、フィルタ20を通過した作動油がこの隙間313に流れ込む。流れ込んだ作動油は、筒状部312と縦管143との前述した密着構造により、外部に漏れ出すことはない。これに対して下半分は、基本的に中実コア部311との間も埋まっているのであるが、ここには一対の導入流路314が径方向に対向して設けられている。
【0045】
この導入流路314は、隙間313内で開口した上部開口315と、中実コア部311の下端側の凹状部316内に開口した下部開口317とを連通させる流路であり、上部開口315から入り込んだ作動油が、下方に向かいながら中実コア部311の外周に沿って略1/4周し、徐々に絞られて下部開口317から凹状部316内に入り込むようになっている。
【0046】
カップ状部材32の内部には、上方の前記凹状部316と共にサイクロン室321が形成されている。カップ状部材32の下部側は、油受部材12の送出空間126内に収容されており、その周面には、周方向に沿って複数の流出口322が設けられている。具体的に、カップ状部材32で形成されるサイクロン室321は、筒状の周面部321Aと、この周面部321Aの下端側を塞ぐ端面部321Bとを備え、流出口322は端面部321Bの外周近傍で、かつ周面部321Aの下端側に略等周間隔で複数(本実施形態は4つ)設けられている。なお、これらの流出口322は、周面部321Aに設けられる他、無底筒状のカップ部材を用いた場合など、下方の開口部分を流出口としてもよい。
【0047】
そして、下部開口317から凹状部316に対して接線方向に流入した作動油は、サイクロン室321内で旋回流を生じながら下方に向かい、流出口322から送出空間126内に流出する(実線矢印参照)。この作動油は、サイクロン室321に対して接線方向に勢いよく流出するが、直下にストレーナ125が配置されていることと、ガイド部128によって作動油の広がりが抑制されて、ストレーナ125側に導かれることにより、スムーズにストレーナ125に吸い込まれ、再送出される。
【0048】
この際、フィルタ20を通過した作動油に気泡が含まれていると、旋回流が生じているサイクロン室321では、作動油に比べて格段に比重の小さい気泡が中央の上部側に寄せ集まり、サイクロン室321内の内部圧力によって排出流路33から排出される(点線矢印参照)。
【0049】
ここで、排出流路33は、凹状部316と油受部材12のドレイン空間127とを連通させるように設けられており、凹状部316の上部から筒状部312にかけて横方向に設けられた内部流路331と、内部流路331に挿入されたチューブ等からなる外部流路332とで形成されている。外部流路332は下方に向かって折曲されているとともに、その先端が再度上向に折曲している。そして、この先端は、ドレイン空間127内にもとから存在する作動油中で上向きに開口した排出口333となっている。
【0050】
つまり、気泡除去装置30では、気泡除去後の作動油が流出する流出口322とは別に、気泡排出用の排出口333が個別に設けられている。また、排出口333が作動油中で開口していることにより、サイクロン室321内が負圧になったときに、作動油の液面よりも上部に存在する気体が排出口333から逆流することがない。このため本実施形態では、作動油中に開口したこの排出口333自身が、気体の逆流を抑制する逆流抑制手段になっている。
【0051】
また、図3に拡大して示すように、排出口333が作動油中に開口している本実施形態によれば、排出流路33内には気泡と共に排出される作動油も存在するのであるが、内部流路331を形成する気泡の出口ポート331Aの上部および水平な横孔部331Bの上部、さらには外部流路322の基端側を形成する水平部332Aの上部は、サイクロン室321からの小さな気泡が結合して成長した大きな気泡溜まりが形成される気泡の結合域部34になっており、サイクロン室321からの小さな気泡は、成長した気泡溜まりと結合した後、排出流路33内の作動油の流れにより気泡溜まりから分離し、排出口333から排出される。そして、気泡溜まりから分離される際には、より大きな気泡となって分離し、排出口333からより素早く液面まで浮上するようになっている。
【0052】
以上の構成の作動油タンク1において、図1で示した作動油の液面レベルAは、作業機のシリンダ等がある位置にきている場合を示している。液面レベルLは、最低レベルであって、シリンダのピストンがヘッド側に移動し、作動油タンク1からシリンダのボトム側に大量の作動油が送られた場合を示している。液面レベルHは、最高レベルであって、シリンダのピストンがボトム側に移動し、シリンダのボトム側から作動油タンク1に大量の作動油が戻った場合を示している。
【0053】
また、図1から明らかなように、気泡除去装置30の流出口322、および排出流路33の排出口333は、最低の液面レベルLよりも下方に位置しており、常時作動油中に開口した状態を維持できるようになっている。
【0054】
以下、作動油タンク1を用いた場合の作動油の流れを再度まとめて説明すると、先ず、ポンプを駆動することにより、作動油タンク1内の作動油は、送出空間126からストレーナ125を通って送出され、シリンダを備えた作業機等を含む油圧回路内を廻って上部の戻り口142に戻る。ここでの作動油は、シリンダ等で混入した多くの気泡を含む場合がある。
【0055】
この後、気泡を含んだ作動油は、フィルタ20を通過して下方に流れ、気泡除去装置30の案内部材31に流れ込む。この案内部材31に流れ込んだ作動油は、サイクロン室321に接線方向から流入し、サイクロン室321内で旋回流を引き起こす。この際、作動油の流入は、径方向に対向して設けられた一対の下部開口317から行われるためにスムーズであり、サイクロン室321内での旋回流も勢いよく効果的に生じる。そして、この旋回流により、気泡が上部の中央側に寄り、ここから排出流路33を通って除去され、ドレイン空間127に溜まっている作動油中に排出される。さらに、排出された気泡は、上方の液面に向かって浮上し、作動油タンク1内の気体に混じる。一方、気泡が除去された作動油は、流出口322から送出空間126に流出し、直下のストレーナ125から再度送出される。
【0056】
ところで、シリンダのピストンがヘッド側に移動して大量の作動油が必要となり、気泡除去装置30から流出した作動油を再度送り込むだけでは足りない場合には、作動油タンク1内にもともとある作動油も送り出される。このときに、例えば液面が液面レベルLまで下がることになる。これに対して、ピストンがボトム側に移動して少量の作動油のみが作動油タンク1から送られる場合には、気泡除去装置30から流出した作動油の全てが再度送り出されるわけではなく、一旦作動油タンク1内に収容される。このときに、例えば液面が液面レベルHに達するようになる。
【0057】
また、このような作動油タンク1では、フィルタ20のエレメント22を交換する場合には、蓋部材14を外して取り出した後、気泡除去装置30を回転させてフィルタ20のコア部材21と蓋部材14との螺合を外し、このフィルタ20ごと気泡除去装置30を縦管143から取り外す。次いで、気泡除去装置30を再び回転させてコア部材21から気泡除去装置30を外し、フィルタ20をコア部材21から抜き取って交換する。交換後に組み立てる場合には、この逆の順序で組み立てればよい。
【0058】
なお、蓋部材14からフィルタ20ごと気泡除去装置30を外す場合には、気泡除去装置30を回転させることにより、コア部材21が蓋部材14からは外れるが、これよりも先に、気泡除去装置30がコア部材21から外れないようになっている。
【0059】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)作動油タンク1では、その内部に気泡除去装置30が設けられているので、作動油タンク1の設置スペースの他に気泡除去装置30用の設置スペースを別途確保する必要がなく、その分油圧システムの専有スペースを小さくでき、また、これに伴って建設機械の小型化を促進できる。
【0060】
(2)また、気泡除去装置30を予め作動油タンク1内に取り付けておくことで、作動油流路用の配管途中に個別に設置する必要がなく、設置作業を迅速に行える。
【0061】
(3)そして、気泡除去装置30では、気泡除去後の作動油を流出させる流出口322と、気泡を排出する排出口333とが個別に設けられているため、排出口333を送出空間126ではなく、別のドレイン空間127まで導いて開口させることができる。このため、例えば建設機械の傾きによって作動油タンク1が大きく揺れても、流出直後の作動油と気泡とが混じり合う心配がなく、気泡を確実に除去できる。
この際、排出口333は上向きに開口しているので、気泡の排出性を良好にでき、気泡を液面までスムーズに浮上させることができる。
【0062】
(4)さらに、気泡除去装置30は、作動油に旋回流を生じさせるサイクロン室321を備えた構造であるから、渦巻き状の流路内に作動油を流して気泡を除去する気泡除去装置よりも、より小径化を図ることができ、この点でも専有スペースの狭小化を促進できる。
【0063】
(5)油受部材12のガイド部128は、送出空間126とドレイン空間127とを仕切るだけでなく、サイクロン室321から流出した気泡除去後の液体を、排出した気泡と混じり合うことなしに、ストレーナ125に向かって流す案内機能をも有しているため、常時送出口123からは、気泡を含まない上質の作動油をスムーズに、かつ確実に送り出すことができる。
【0064】
(6)気泡除去装置30はストレーナ125の近傍(好ましくは直上)に設けられているので、この点でも、サイクロン室321から流出した気泡除去後の作動油を、ストレーナ125に向かってスムーズに流すことができる。
【0065】
(7)作動油タンク1内では、フィルタ20、気泡除去装置30、およびストレーナ125が上下に略直線上に配置されているため、これらを収容した作動油タンク1の小型化を確実に実現できる。
【0066】
(8)気泡除去装置30では、作動油の流出口322側に逆流防止手段が設けられているのではなく、気泡の排出流路33側に設けられた排出口333が逆流抑制手段として機能し、これによってサイクロン室321への気体の逆流を抑制するので、作動油を流出口322から絞り等を介さずにスムーズに流出させることができ、サイクロン室321内に高い背圧が生じるのを防止できる。このため、液圧システムとしては、系内圧力がさほど高くならずに圧力損失を抑制できるうえ、小型のポンプやオイルクーラ等を使用できるとともに、システム稼働時の燃費の向上、および製造コストの削減を実現でき、よって建設機械の省エネルギー化や低コスト化を促進できる。
【0067】
(9)この際、気泡の排出口333を作動油中に開口させることで、当該排出口333自身を逆流抑制手段として機能させるから、逆流抑制手段としては大がかりな装置を不要にでき、サイクロン室321周りや作動油タンク1等の小型化をより促進でき、液圧システムの専用スペースのさらなる狭小化を図ることができる。
【0068】
(10)そして、サイクロン室321が負圧になった際には、排出流路33内に存在する気体(気泡)が逆流するだけであるから、逆流する気体の量を確実に軽減でき、作動油に気泡が再度混入するのを有効に防止できる。
【0069】
(11)特に気泡除去装置30が作動油タンク1内に設けられている本実施形態では、サイクロン室321から排出口333までの排出流路33の長さを極めて短くできるため、排出流路33内の気体の量も僅かにでき、より効果的である。
【0070】
(12)気泡除去装置30の排出流路33には結合域部34が設けられ、サイクロン室321からの小さな気泡を結合させてより大きな気泡溜まりに成長させるとともに、この気泡溜まりから大きな気泡として分離させて排出させるので、その分浮力が大きくなって排出口333から液面まで素早く浮上させることができ、気泡を作動油タンク1からより送出されにくくして気泡除去性能をさらに向上させることができる。
【0071】
(13)サイクロン室321から気泡除去後の作動油を流出させる複数の流出口322は、サイクロン室321の底部を形成する端面部321Bの外周近傍に周方向に沿って設けられているため、中央寄りに集約される気泡が流出口322から作動油と一緒に流出するのを抑制でき、気泡がそのままストレーナ125側に流出するのをより確実に防止できる。
【0072】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態でのガイド部128の形態が異なり、また作動油タンク1にブリーザが取り付けられているものである。図4には、第二実施形態に係る作動油タンク1を断面した正面図が、また、図5には側面図が示されている。ここで、図4は、図5のIV-IV断面図である。
【0073】
図4に示されるように、タンク本体10の円筒状の筒体11の下部側には、単純形状の円盤状の底板11Aが溶接等で取り付けられており、タンク本体10の内部には作動油が収容されている。また、筒体11の下部の側面には横方向に開口した送出口123が設けられ、この送出口123にストレーナ125およびジョイント部材124が取り付けられている。
なお、筒体11は円筒状の他、角筒状、楕円筒状など、任意の形状が採用できる。筒体11を円筒状に形成した場合には強度が向上するので、タンク本体10の板厚を薄くでき、従来必要としていた補強材を不要とすることが可能である。またこれによりタンク本体10を安価に製造することができる。
【0074】
縦管143の上方には、縦管143よりも大径の有底円筒状のフィルタ収容部143Aが設けられている。このフィルタ収容部143Aの底側には、縦管143の上端が貫通して一体的に取り付けられている。これにより、フィルタ収容部143Aおよび縦管143の内部が連通している。また、フィルタ収容部143Aの上端には、フランジ部143Bが一体的に形成されており、このフランジ部143Bは、タンク本体10側のフランジ13の内側に嵌合されている。フランジ部143Bは、フランジ13と蓋部材14との間にシール材を介して配置され、蓋部材14の上部からボルト(図示せず)によって固定されている。従って、戻り口142は、フィルタ収容部143Aおよび縦管143と連通している。
【0075】
フィルタ収容部143Aの内部には、円筒形のフィルタ20が配置されている。フィルタ20の下端は、フィルタ収容部143Aの底面に設置されており、フィルタ20の上端にはばね213の下端が当接されている。このばね213の上端は、蓋部材14に当接され、所定のばね力でフィルタ20をフィルタ収容部143Aの底面側に付勢している。
また、フィルタ20の中空部分の上端は、フィルタ20内に収納されたリリーフバルブ212によって塞がれている。リリーフバルブ212は、内部に図示しない弁およびばねを備え、所定のばね力によって弁が付勢されている。
ここで、フィルタ収容部143Aは、第一実施形態と異なり、蓋部材14とは別部材として設けられている。このような構成により、フィルタ20を交換する際には、蓋部材14を外すだけで簡単にフィルタ20が交換可能となっている。
【0076】
本実施形態では、図4および図5に示されるように、気泡除去装置30の周囲を覆い、かつストレーナ125の液面側に近い部分を覆っているガイド部129が設けられている。ガイド部129は、流出口322の周囲を覆う円筒状のサイクロン側ガイド129Aと、ストレーナ125の上半分を覆うストレーナ側ガイド129Bとを備えている。
サイクロン側ガイド129Aは、上端が縦管143にボルト(図示せず)で固定され、気泡除去装置30全体を覆っている。このサイクロン側ガイド129Aは、気泡除去装置30の直下に配置されたストレーナ125の一部も覆っている。
一方、ストレーナ側ガイド129Bは、一端がジョイント部材124に固定され、他端はサイクロン側ガイド129Aの内部に配置されている。
【0077】
なお、本実施形態では、気泡除去装置30に設けられた排出口333は、作動油の液面よりも高い位置に配置され、常に空気に開放されている。排出口333の先端側には、逆流を防止する例えばチェックバルブなどの逆流抑制手段334が設けられている。この逆流抑制手段334は、サイクロン室321内が負圧(気泡の排出先より低い圧力)になった時に排出口333から空気が逆流するのを防止する。これにより、気泡が除去されたサイクロン室321内の作動油に気泡が再び混入するのを抑制している。
【0078】
図5に示されるように、タンク本体10には作動油タンク1内の空気圧を外気圧とほぼ同じに保つブリーザ15が設けられている。ブリーザ15は、外気に開放した管151を備え、これにより作動油タンク1内部と外気とが連通可能とされている。ブリーザ15の内部には、作動油タンク1内部と外気とをつなぐ経路を連通・遮断可能な弁が設けられている。弁は、ばね等により付勢されており、外気圧と作動油タンク1内の圧力との差が所定範囲を超えると作動油タンク1と管151とを連通する。この弁は2種類設けられ、それぞれに開閉圧が設定されている。例えば、作動油タンク1内の圧力が一方の弁のセット圧になると、この一方の弁が開いて作動油タンク1内の空気を排出する。そして、作動油タンク1内の圧力が他方の弁のセット圧になると、この他方の弁が開いて外気を作動油タンク1内に吸入する。
【0079】
このような作動油タンク1では、戻り口142から戻ってきた作動油は、フィルタ収容部143A内部に流入し、フィルタ20の外周から内周へ濾過されながら通過し、縦管143へ流入する。その後気泡除去装置30において第一実施形態と同様に気泡が除去される。除去された気泡は、逆流抑制手段334および排出口333を通って作動油タンク1内の空気に排出される。一方、気泡の除去された作動油は、図4および図5の点線矢印で示されるように流出口322から勢いよく流れ出し、サイクロン側ガイド129Aによってストレーナ125に導かれ、再び油圧回路へ送られる。ここで、何らかの理由によりフィルタ収容部143A内部の圧力が所定値より高くなった場合には、リリーフバルブ212が開く。これにより、フィルタ収容部143A内の作動油は、フィルタ20をバイパスして縦管143へ流入する。
【0080】
油圧回路のシリンダの動きによって大量の作動油が必要となり、気泡除去装置30から流出した作動油を再度送り込むだけでは足りない場合には、作動油タンク1内にもともと収容されている作動油も送り込む必要がある。この場合には、図4および図5の実線矢印で示されるように、作動油はガイド部129が配置されていない側、つまり液面から離れた下方側からストレーナ125に流入する。この時、作動油の液面はLまで減少する。また、反対に、少量の作動油のみが必要な場合には、戻り口142から戻ってきた作動油は、気泡除去装置30を通って作動油タンク1へ戻り、この時液面はHまで増加する。
【0081】
従来の液体タンクとは異なり、本実施形態の作動油タンク1は、加圧装置を備えていないので、作動油タンク1内の圧力の調整はブリーザ15によって行う。作動油タンク1内の液面がH側へ上がり、作動油タンク1内の圧力が高くなると、ブリーザ15内部の弁が開き作動油タンク1と管151とを連通させて空気を外部に放出する。反対に、作動油タンク1内の液面がL側へ下がり、作動油タンク1内の圧力が低くなると、ブリーザ15内部の別の弁が開いて管151から作動油タンク1内へ空気を吸入する。
【0082】
このような第二実施形態によれば、第一実施形態における(1)、(2)、(4)、(6)、(7)、(8)、(11)、および(13)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(14)流出口322の周囲にサイクロン側ガイド129Aが設けられ、かつストレーナ125の液面側に近い部分にもストレーナ側ガイド129Bが設けられているので、気泡除去後の作動油が直接ストレーナ125にガイドされる。よって、良質の作動油を効率よく油圧回路に再送することができる。
また、作動油タンク1内に収容されている作動油を送り込んで作動油タンク1内の液面レベルがL側へ下がっても、ストレーナ側ガイド129Bが液面に近い側を覆っているので、作動油はストレーナ125の下方からのみ供給される。よって、ストレーナ125が大量に作動油を吸入しても液面の渦の発生を防止できる。渦の発生による作動油への気泡の混入がないので、どのような状況下でも良質の作動油を常にポンプに送ることができる。
【0083】
(15)ストレーナ側ガイド129Bによって渦の発生を防止できるので、作動油タンク1内の作動油の液面を低く設定することができる。よって、作動油タンク1の小型化を促進できる。
【0084】
(16)気泡除去装置30によって気泡を除去できるので、高地など気圧が低く、ポンプ入口で負圧が発生しやすい状況下での作業でもポンプのキャビテーションを防止できる。よって、ポンプの破損を防止できる。また、これにより従来必要であった加圧装置が不要となり、油圧回路のシステム全体のスペースが削減できる。そして、加圧装置が不要なので、作動油タンク1の強度を高く設定する必要がなく、作動油タンク1を安価に製造できる。
【0085】
(17)作動油タンク1にブリーザ15が設けられているので、作動油タンク1内を常に外気圧付近に調整できる。よって、作動油の移動によって作動油タンク1内の液面が増減しても、作動油タンク1内の空気の圧力変動を所定範囲内に抑えることができる。つまり、液面のレベルがLになった場合でも、作動油タンク1内の空気が負圧になるのを防止でき、ポンプに良好に作動油を送ることができる。また、液面のレベルがHになった場合でも、作動油タンク1内の空気の圧力が過剰にならないので、作動油タンク1の破損、寿命低下等を防止できる。すなわち、従来ではこのような圧力調整を大がかりな加圧装置で行っていたが、本実施形態ではブリーザ15を取り付けることで、簡単な構造で同様の効果を奏することができる。
また、必要な時にのみ弁が開閉して吸気、排気を行うので、作動油タンク1内へのゴミや埃の混入を防止できる。これは、作動油タンク1が建設機械など、外部の悪環境で使用される場合に特に有用である。
【0086】
(18)フランジ部143Bがフランジ13に嵌合され、上部から蓋部材14でボルト止めされているので、フィルタ20の交換をする際には、蓋部材14を開ければよい。つまり、気泡除去装置30が取り付けられた縦管143ごと取り外す必要がないので、フィルタ20を容易に交換できる。
【0087】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、ストレーナ125の向きが第一、第二実施形態とは異なる。また、第一、第二実施形態でのガイド部128,129に相当する部材が用いられておらず、気泡除去装置30には代わりに勢力低減部75が設けられている。ただし、そのようなガイド部128,129と勢力低減部75とを併用してもよい。
さらに、本実施形態では、気泡除去装置30の形態が第1実施形態とは大きく異なっている。図6には、第三実施形態に係る作動油タンク1を断面した正面図が、また、図7には側面図が示されている。図8ないし図10には、本実施形態で用いられる気泡除去装置30の斜視図、分解斜視図、および要部の底面図が示されている。
【0088】
図6、図7において先ず、作動油のポンプ側への送出口123は作動油タンク1の底板11Aに設けられ、これに伴ってジョイント部材124およびストレーナ125が上下方向に鉛直に取り付けられている。また、気泡除去装置30は、ストレーナ125(送出口123)の上方ではなく、横方向にずれた位置に配置され、気泡除去装置30の下部側がストレーナ125の上部よりも僅かに下方に位置している。また、気泡除去装置30の気泡の排出口333は、ストレーナ125から離間した側に位置するようになっており、排出口333から排出される気泡をストレーナ125に吸い込まれにくくしている。
【0089】
図6ないし図10において、気泡除去装置30は、第一実施形態とは異なって中実コア部311(図1)を有していないタイプであり、円筒状のフィルタ20の中空部からの戻りの作動油が気泡除去装置30の上部中央に流れ込むようになっている。
具体的に気泡除去装置30は、縦管143に設けられた下部フランジ143Cの下面にボルト止めされる第1部材60と、この第1部材60の下部側にボルト止めされて上部が当該第1部材60内に収容される第2部材70とで構成されている。
【0090】
第1部材60は有天円筒状とされ、上面部分には下方に窪んだ凹状の作動油入力ポート61が設けられている。この入力ポート61の内部上面には、径方向に沿って上方に膨出した一条の流れ方向変換部62が設けられている。流れ方向変換部62の表面はなめらかな曲面で形成されており、上方から入力ポート61に流れ落ちた作動油が流れ方向変換部62を境にして二方向に分流するようになっている。また、入力ポート61の内周面には、周方向に沿った長孔状の側部開口63が径方向に対向して一対設けられ、流れ方向変換部62で分流された作動油がこれらの側部開口63に導かれる。さらに、第1部材60全体の中空部分において、その内周面には肉厚が薄くなるように窪んだ導入流路形成部64がやはり、径方向に対向して一対設けられ、これらの導入流路形成部64と前記側部開口63とが連通している。
【0091】
一方の第2部材70は有底筒状とされ、その上部には上方に突出した導入流路形成壁71を備えている。この導入流路形成壁71の外周面には、外側に膨出した案内部72が径方向に対向して一対設けられており、導入流路形成壁71が第1部材60の中空部分に挿入された際に、その案内部72が第1部材60の導入流路形成部64内に嵌め込まれる。そして、導入流路形成部64、導入流路形成壁71、および案内部72で囲まれた空間により、作動油をサイクロン室321へ導くための導入流路314が形成され、第1部材60側の側部開口63を通して導入流路314内に作動油が流れ込む。この際、案内部72の上面部分は、周方向の一端側から他端側にかけて下方に急傾斜した後、導入流路形成壁71に切欠状に設けられた流入口73に至るまで略一定の上下厚みで形成されている。従って、導入流路314内に流れ込んだ作動油は、その傾斜部分で周方向に案内されて流入口73に導かれ、サイクロン室321に接線方向から流入する。
【0092】
ところで、第1部材60には、流れ方向変換部62に対応した位置に横孔部331Bが形成され、出口ポート331Aと連通している。第1部材60の筒状部分の厚肉とされた部分には縦孔部331Cが形成され、横孔部331Bの一端側と連通している。横孔部331Bの他端側はプラグ等で封止されている。
これに対して、第2部材70の周面部321Aに上下にわたって設けられた突出部74には、取付フランジ70Aから下方に向かう縦孔部331Dと、縦孔部331Dの下端に連通するように斜め上方から下方に向かう傾斜孔部331Eとが穿設されており、第1、第2部材60,70同士を結合させた際に、縦孔部331Dの上端が第1部材60側の縦孔部331Cに連通する。また、傾斜孔部331Eの開口部分が気泡の排出口333になっている。
そして、それぞれの孔部331A〜331Eにより、気泡の排出流路33が形成されている。このような排出流路33は、全体が気泡除去装置30内に形成されており、第1実施形態のようなチューブ等からなる外部流路332(図2、図3)は設けられていない。
【0093】
第2部材70の下部側には、径方向の外側に突出した勢力低減部75が設けられている。この勢力低減部75は、作動油の流出口322を覆うように位置しており、第2部材70の周面部321Aに沿って連続した鍔部76と、鍔部76の端縁から下方に垂下した下垂片部77とを備え、下垂片部77には等周間隔で複数(本実施形態では4つ)の切欠開口78が設けられている。これらの切欠開口78は、図10に示すように、流出口322からずれた位置に複数(本実施形態では4つ)設けられており、流出口322から流出した作動油は、そのまま切欠開口78を通して拡がるのではなく、一旦下垂片部77に当たって勢いが低減し、この後に切欠開口78や下垂片部77の下方から作動油タンク1内に拡がる。この際、本実施形態では、流出口322がサイクロン室321内での旋回方向に沿った形状で、かつ周面部321Aと端面部321B(図10)とに跨って開口しており、作動油をサイクロン室321から流れを乱さずに流出させつつ、下垂片部77に確実に衝突させて流出直後の勢いを低減させている。なお、このような勢力低減部75は、気泡除去装置30に一体に設けられる他、気泡除去装置30と別体で設けられて作動油タンク1の内周面に取り付けられてもよい。
【0094】
本実施形態によれば、前記第1、第2実施形態とは異なる構成により、以下の効果がある。
(19)すなわち、気泡除去装置30には、流出口322から流出した直後の作動油の勢いを低減させる勢力低減部75が設けられているので、流出口322から流出した作動油の勢いで液面が大きく盛り上がったり、あるいは噴水状に噴き上がったりする心配がない。従って、液面が波立って液面上の空気を新たに巻き込むおそれがなく、気泡を生じにくくでき、気泡除去をより確実に行える。
【0095】
(20)この気泡除去装置30では、気泡の排出流路33が全て装置内に形成されており、第1実施形態のような外部流路322(図2、図3)を備えていないので、そのような外部流路322を形成するための別体のチューブ等を不要にでき、部品点数や組立工数を少なくしてコストを削減できる。
【0096】
(21)気泡除去装置30の第1部材60に設けられた入力ポート61には流れ方向変換部62が設けられているため、第1部材60の中央に入り込む作動油を流れ方向変換部62で二方向に確実に分流でき、作動油を導入流路314内にスムーズに導入させることができる。
【0097】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、第二、第三実施形態では、縦管143の上部にフィルタ収容部143Aを設け、蓋部材14から分離して設けたので、蓋部材14を開けるだけで上方からフィルタ20のみを交換できるようにしていたが、このような構造に限られない。
【0098】
例えば、図11に示されるように、縦管143を蓋部材14から分離してタンク本体10側に支持させる等の構造であってもよい。
この図11において、蓋部材14と縦管143とは別部材として設けられており、縦管143の上端が環状のシール材51を介して蓋部材14の下面に当接されている。また、フィルタ20のコア部材21も、蓋部材14に対してシール材52を介して当接されており、第一実施形態とは異なってねじ込まれていない。さらに、縦管143の上下方向の途中には、環状の外フランジ部53が設けられ、この外フランジ部53が筒体11の内周に設けられた内フランジ部54上に載置されている。また、内フランジ部54には、給油された作動油を下方に流すための開口部55あるいは任意な形状の切欠部等が設けられている。
以上の構造により、戻りの作動油がフィルタ20の中側から外側に向けて濾過される構造においても、蓋部材14を外すことで、縦管143内のコア部材21やエレメント22を取り外すことができ、その交換を気泡除去装置30の着脱なしに行える。
【0099】
第一実施形態では、気泡が排出される排出口333が作動油中に開口していることで、排出口333自身が気体の逆流抑制手段として機能していたが、逆流抑制手段としてはこの他、例えば第二実施形態のように排出口333側に設けられたチェックバルブ等で構成してもよく、このような場合には、逆流する気体を略完全になくすことができる。
ただし、このような逆流抑制手段は本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて設けられればよい。
【0100】
その他、タンク本体10、フィルタ20、および気泡除去装置30等の具体的な形状や構造などは、前記各実施形態に限定されるものではなく、その実施に際して、本発明の目的を達成できる範囲で任意に変更可能である。
【0101】
例えば、前記各実施形態では、フィルタ20および気泡除去装置30が作動油タンク1内に収容されていたが、フィルタ20を作動油タンク1の外部に設置した場合でも、本発明に含まれる。
【0102】
前記各実施形態でのストレーナ125は、必要に応じて設けられればよく、作動油タンクの構造によっては省略可能である。ただし、ストレーナ125が設けられない場合には、送出口123の近傍、より好ましくは直上に気泡除去装置30を設けることが望ましい。反対に、ストレーナ125を設けた場合では、このストレーナ125の近傍、より好ましくは直上に気泡除去装置30を設けることが望ましく、この際の、送出口123の位置は任意であってよい。
すなわち、気泡除去装置30は、送出口123やストレーナ125の直上に位置していることが、作動油の流れの観点からはより好ましいのであるが、送出口123やストレーナ125に対して直上ではなく、若干ずれた近傍位置に配置された場合でも、作動油の流れが妨げられない程度であれば、前述の(5)の効果を略同様に得ることができる。
【0103】
第一実施形態ではガイド部128が、また、第二実施形態ではガイド部129が案内機能を有しており、気泡除去装置30から流出した作動油をストレーナ125側に案内していたが、ガイド部としてはこれに限らない。
例えば、図12に示されるように、ガイド部128は、送出空間126とドレイン空間127とを仕切る仕切部128Aと、油受部材12に一体的に形成され、気泡除去装置30の流出口322よりも上方で、液面と略平行に設けられた別の仕切部128Bとを備えている。また、仕切部128Aの下部側には、送出空間126とドレイン空間127とを連通する連通孔128Cが設けられている。この場合には、排出口333は第二実施形態と同様に常に空気に開放となっており、先端側にチェックバルブなどの逆流抑制手段334を備えている。
【0104】
このような構造においても、第二実施形態と同様に、気泡除去後の作動油が仕切部128Aおよび別の仕切部128Bによってストレーナ125側に案内される。そして、除去された気泡は逆流抑制手段334および排出口333を通って空気に排出される。作動油を大量に必要とする場合には、送出空間126の上部側が別の仕切部128Bで仕切られているために、作動油が主に連通孔128Cを通ってドレイン空間127の下方からストレーナ125に補填されるので、液面の渦の発生を防止できる。この時、第一実施形態とは異なり、除去された気泡は排出口333から液面より上の空気に排出され、ドレイン空間127の作動油とは混じらない。よって常に良質な作動油がストレーナ125に案内される。
【0105】
前記第一、第二実施形態では、ストレーナ125および送出口123は、気泡除去装置30の軸に対して直角に設けられていたが、これに限らない。例えば、送出口123を気泡除去装置30の真下に設け、ストレーナ125をフィルタ20およびサイクロン室321と同軸上に配置してもよい。この場合には第二実施形態において、ストレーナ側ガイド129Bを設けず、サイクロン側ガイド129Aが流出口322の周囲を覆うと同時にストレーナ125の上部の液面に近い部分を覆っていてもよい。このような構造では、サイクロン側ガイド129Aが気泡除去後の作動油をストレーナ125に導くと同時に、作動油を大量に必要とする時にはサイクロン側ガイド129Aの下端から吸入するので、第二実施形態と同様に液面の渦の発生を防止できる。
【0106】
前記第一、第二実施形態では、気泡除去装置30の排出流路33を形成している出口ポート331Aや、横孔部331B、あるいは水平部332Aにわたって気泡の結合域部34が設けられていたが、この結合域部34の設けられる位置等は、図13(A)〜(H)および図14(A)〜(I)に示すように、排出流路33の形状や形成位置等を勘案して任意に決められてよい。なお、図13、図14においては、サイクロン室内への作動油の流入口(上部開口)やサイクロン室からの流出口の図示を省略してあるが、基本的には前記各実施形態と同様な位置に設けられているものである。また、図14では、気泡がサイクロン室の底側の端面部から排出される構造である。そして、以上においては特に、図13(B)、(C)、(D)、(H)、および図14(C)、(E)に示す結合域部34が、気泡溜まりを積極的に形成でき、より効果的である。
さらに、図を省略するが、結合域部34が設けられる排出流路33としては、排出口333が作動油中に開口しているものに限定されず、作動油タンク1内の気体中に開放しているものであってもよい。すなわち、例えば、図13(C)のような排出流路33の形状で、かつ先端がより上方まで延びて排出口333(図中での符号は省略)が気体中に開放していてもよく、このような場合でも、排出流路33内で大きくなった気泡を、当該排出流路33内をよりスムーズに浮上させて気体中に放出できる。
【0107】
前記各実施形態としては、本発明に係る液体が建設機械の油圧システムに用いられる作動油であったが、本発明の液体タンクで扱う液体としてはこれに限定されず、水やその他の任意の液体を適用できる。勿論、液体タンクが用いられるシステムについても、油圧等の油圧システムの他、廃液タンクを備えた廃液貯蔵システムや廃液浄化システム、燃料タンクから噴射燃料を圧送する燃料噴射システム等、任意のシステムに本発明の液体タンクを適用できる。
【0108】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1…液体タンクである作動油タンク、15…ブリーザ、20…フィルタ、30…気泡除去装置、33…排出流路、34…結合域部、75…勢力低減部、123…送出口、125…ストレーナ、128,129…ガイド部、128A…仕切部、128B…別の仕切部、129…ガイド部、129A…サイクロン側ガイド、129B…ストレーナ側ガイド、321…サイクロン室、321A…周面部、321B…端面部、322…流出口、333…排出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体タンク(1)において、
当該タンク(1)内には、液体中に含まれる気泡を除去する気泡除去装置(30)が設けられており、
この気泡除去装置(30)は、気泡が混じった液体に旋回流を生じさせるサイクロン室(321)を備えているとともに、気泡除去後の液体をサイクロン室(321)から流出させる流出口(322)と、除去した気泡をサイクロン室(321)から排出する排出口(333)とを、それぞれ個別に備え、
前記気泡除去装置(30)の排出口(333)は、前記サイクロン室に対して、送出口(123)または送出口(123)に取り付けられたストレーナ(125)から離間した側に位置し、かつ当該液体タンク(1)内に収容された液体中に開口している
ことを特徴とする液体タンク(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の液体タンク(1)において、
前記排出口(333)は上向きに開口している
ことを特徴とする液体タンク(1)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体タンク(1)において、
前記気泡除去装置(30)は、液体を前記サイクロン室(321)へ導くための一対の導入流路(314)と、上方からの液体を前記一対の導入流路(314)に向けて分流する流れ方向変換部(62)とを備え、
かつ前記気泡除去装置(30)は、前記送出口(123)または前記ストレーナ(125)の近傍であって、気泡を含んだ液体を濾過するフィルタ(20)の直下に設けられている
ことを特徴とする液体タンク(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−19426(P2010−19426A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245459(P2009−245459)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【分割の表示】特願2006−350341(P2006−350341)の分割
【原出願日】平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】