説明

液体供給システム及びインクジェット記録装置

【課題】 顔料粒子等を含有する液体を長期間にわたって収納する場合でも、顔料粒子等の沈降を防いで液体の濃度を均一に保つことができる液体供給システムを提供する。この液体供給システムをインクジェット記録装置で使用する場合に、所望濃度で良好な画像記録を可能ならしめる。
【解決手段】 液体を収容する液体収容部と、該液体収容部の底部に設けられた第1の連通孔及び第2の連通孔と、を備える。液体収容部内の気体を第2の連通孔をから導出するとともに、第1の連通孔から該液体収容部内へ気体を押し込み、第2の連通孔から導出される気体を第1の連通孔から液体収容部内へ押し込む気体循環モードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給システムに関し、特に、インクジェット記録装置などの記録ヘッドにインクを供給するシステムとして使用するのに好適な液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する画像形成装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどにおける画像データの出力機器として広く使用されている。これらの記録装置は、画像情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を形成していくように構成されている。この記録装置における記録方式にはシリアルタイプとラインタイプがある。シリアルタイプは、記録ヘッドを記録シートに沿って移動させる主走査と記録シートを所定ピッチで紙送りする副走査とを交互に繰り返しながら画像を記録していく方式である。一方、ラインタイプは、記録シートの幅方向に延びる長尺の記録ヘッドを用いることにより、一括して1ライン分を記録しながら記録シートの紙送り(副走査)のみで画像を記録していく方式である。記録装置は、記録方法によって、インクジェット記録装置、熱転写記録装置、レーザー記録装置、感熱記録装置、ワイヤドット記録装置などに分けることができる。
【0003】
インクジェット記録装置は、記録ヘッドに設けられた微細な吐出口かちインク滴を飛翔させ、該インク滴を記録媒体に着弾させることにより所望の画像を形成するものである。インクジェット記録装置では、主に染料を用いるインクが使用されてきた。しかしながら、染料を用いるインクを使用して記録した記録物は、耐光性や耐候性などが不十分であり、屋外掲示プリント物等の耐光性及び耐候性を求められる用途には不向きであった。そのため、染料に代えて顔料を用いるインクが使用されている。一方、顔料は溶解系ではなく分散系であるため、顔料を用いるインクの場合、インクタンク中において顔料粒子の沈降を生じることがあった。
【0004】
従って、特に、記録ヘッドを移動させながら記録するシリアルタイプのインクジェット記録装置において、装置本体に顔料インクを収容したインクタンクを静置する構成では、不都合が生じやすい。つまり、記録装置の使用頻度、使用間隔、印刷枚数等によって、無視できないほどの顔料の沈降現象が大きく生じることがある。また、インクタンクを記録ヘッドから離れた位置に個別配置するアウトキャリッジタンクの場合は、装置の使用頻度の高いユーザーにおいてもタンクの交換頻度を減らす目的でインク容量を大容量にすることがある。大容量のタンクにおいても顔料沈降が発生することがあった。
【0005】
例えば、インクタンクをインクジェット記録装置に装着された状態のまま長期間放置すると、該インクタンクの内部で顔料粒子が徐々に沈降する。その結果、インクタンクの内部で底部から上部の方向に顔料粒子の濃度傾斜が発生し、底部では顔料粒子濃度が高いために過度に色の濃い層が生じ、上部では顔料粒子濃度が低いために過度に色の薄い層が生じる。そして、インクタンクの底部よりインクを導出する構成のインクタンクからインクを供給すると、最初に顔料粒子濃度の高い層からインクが供給されるので、過度に色の濃い印刷物が生じる。このため、インクタンクの使用初期と使用後期で記録物に容易に視認されるような濃度差が生じてしまうことがある。
【0006】
この現象は、色の濃淡によって画像を形成するカラ−印刷において顕著となり、このような課題を解決するための技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。これらの特許文献には、インクタンクのインク供給口からインクタンク内に複数の孔が空いた管状パイプを設ける技術が開示されている。この技術は、インクを吸引する際に、インクタンク内部のインク供給口近くの部分からのみ吸引するのではなく、インクタンク内の上下方向にわたって多数箇所(孔)からインクを吸引するものである。上下方向の複数箇所から吸引された異なった濃度のインクを一時的に滞留させる貯留部を設けた構成とする。この貯留部からインクを供給することによって、インク濃度が均一化される。長期間にわたる放置によるインクタンク内での顔料の沈降に起因する濃度むらの軽減を可能としている。
【特許文献1】特開2001−270131号公報
【特許文献2】特開2001−293880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されているインクタンク内の顔料インクの攪拌処理は、記録装置の回復処理時におけるインク吸引などの動作を利用して行なわれている。例えば、沈降した顔料インクをインクタンク外へ導出する動作、記録ヘッド内の気泡を抜くときの回復動作、あるいは、記録ヘッドへインクを充填するための動作などである。これらの動作を行う度に、顔料粒子は攪拌されるものの、タンク内のインクが無駄に消費されることになる。特に、顔料の沈降特性が悪いインクなどでは、所望の顔料濃度に平準化されるまで攪拌動作を何度も行なうことになる。その結果、相当量のインクが排出されることになり、本来印刷に使用できるインクを無駄に排出してしまうことになる。
【0008】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、顔料粒子等を含有する液体を長期間にわたって使用する場合でも、顔料粒子等の沈降を防いで液体の濃度を均一に保つことができる液体供給システムを提供することである。
他の本発明の目的は、この液体供給システムを使用することにより、所望濃度で良好な画像記録を可能ならしめるインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による液体供給システムは、液体を収容する液体収容部と、該液体収容部の底部に設けられた第1の連通孔及び第2の連通孔と、該第2の連通孔に接続され該液体収容部内に設けられた筒状部材とを有する液体収納容器が着脱可能に装着されるシステムである。
第1の連通孔は記録ヘッドにつながる第1の流路と接続され、第2の連通孔は外気を導入可能な第2の流路と接続される。
第1の連通孔と第2の連通孔を接続する第3の流路並びに液体又は気体の供給駆動手段が設けられる。
第1の流路は第3の流路を経由して第2の流路と接続可能である。
供給駆動手段によって液体収納容器内部の気体を第3の流路を経由して該液体収納容器外部へ取り出した後、再び該液体収納容器内部へ循環可能とした気体循環モードを有する。
【0010】
本発明によるインクジェット記録装置は、画像情報に基づいて記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置である。この記録ヘッドへインクを供給するために、前述の本発明による液体供給システムを使用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、顔料粒子等を含有する液体を長期間にわたって使用する場合でも、顔料粒子等の沈降を防いで液体の濃度を均一に保つことができる液体供給システムが提供される。
別の本発明によれば、この液体供給システムを使用することにより、所望濃度で良好な画像記録が可能なインクジェット記録装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図9は本発明による液体供給システムを使用するのに好適なインクジェット記録装置の斜視図である。図9において、インクジェット記録装置は、画像情報に基づいて記録ヘッド524から記録媒体Sへインクを吐出して画像(文字や記号等を含む)を記録するように構成されている。記録ヘッド524はキャリッジ2に搭載されている。記録動作においては、記録媒体Sを搬送ローラ3によって搬送方向A(副走査方向)に搬送するとともに、キャリッジ2を副走査方向に交差する方向B(主走査方向)に往復移動させる。このキャリッジの移動に同期して記録ヘッド524を画像情報に基づいて駆動することにより、該記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出する。記録媒体Sは搬送ローラ3によって所定ピッチずつ搬送され、所定ピッチの搬送と1ライン分の記録を交互に繰り返すことにより、記録媒体全体の記録が行われる。記録媒体Sとしては、前述のような種々の材質のものを使用可能であり、通常、記録紙やプラスチックシート等のシート状のものが使用される。
【0013】
記録ヘッド524の記録媒体Sと対向する吐出面には、副走査方向に直列配置された複数の吐出口から成る吐出口列が形成されている。吐出口列は使用されるインクの種類数に対応して複数列設けられており、カラー記録や階調記録においては吐出口列ごとに異なるインクを吐出することで所望の画像が形成される。記録ヘッド524に対するインク供給は、各色インクごとの複数のインクタンク1000が着脱可能に装着されたインク供給ユニット525からチューブ等のインク供給路626を通して行われる。
【0014】
図1は本発明の第1の実施形態に係る液体供給システムをインクジェット記録装置で使用する場合を例に挙げて示す概略構成図である。図2は図1中の液体収納容器を示す斜視図である。図3は図2の液体収納容器の分解斜視図である。図4は図3の分解斜視図においてさらに接続ユニットを分解して示す分解斜視図である。図5は図1中の液体収納容器の接続ユニットの詳細構造を示す拡大縦断面図である。
【0015】
図1〜図5において、液体収納容器1000は接続ユニット100の接続口150、151を下方に向けた姿勢で装着されて使用されるものである。従って、接続口150、151を有する接続ユニット100側が液体収納容器1000の底部になる。つまり、図1のように液体収納容器1000がインクジェット記録装置のインクタンクである場合には、接続口150、151を下側にした状態でインクジェット記録装置のインク供給ユニット525等のタンク装着部に着脱可能に装着される。そして、記録手段としてのインクジェット記録ヘッド524にインクを供給するために使用される。
【0016】
ここで、液体収納容器1000の各構成要素について説明する。図3のように液体収納容器1000は、液体(インク)を収容する容器本体である液体収容部(インク収容部)200と、液体収容部200内の液体を取り出すための接続ユニット100とを備えている。さらに、液体収納容器1000に関する種々の情報を取り出すための情報記憶媒体ユニット300と、キャップ400とを備えている。液体収容部200はプラスチック材をブロー成形で成形された中空容器である。接続ユニット100は、第1の連通孔を形成する液体供給用中空針(インク供給針)528と、第2の連通孔を形成する大気導入用中空針(空気導入針)529が挿通される第1及び第2の接続部を有する。接続ユニット100は、液体収容部200の開口部201に対しシール部材101を介して気密状態で押圧挟持されている。キャップ400は、開口部201に対し接続ユニット100を押圧挟持するために、該開口部201の外周雄ねじ部にねじ締結される。情報記憶媒体ユニット300は、液体収容部200の側面に超音波溶着等により位置決め固定される。
【0017】
次に、図4及び図5を用いて、接続ユニット100の詳細を説明する。接続ユニット100は、複数の接続部を有し、各接続部に通じる接続口150、151に対応する開口153、154が形成されたハウジング102を有する。接続ユニット100は、さらに、2個の弾性部材103と、押圧部材104と、2つの吸収体105と、吸収体カバー106と、筒107と、を一体化して構成されている。2個のゴム状の弾性部材103は、ハウジング102の連通孔153、154に対応する位置に装着されている。押圧部材104は、接続口150、151に対応する開口155、156を有する。2つの吸収体105は、押圧部材104に配されている。吸収体カバー106は、2つの吸収体105の外側に装着されている。筒状部材107は、上下端が開口した筒体であり、下端部でハウジング102上に固定される。
【0018】
こうして、液体収容部200と接続ユニット100とを組み合わせてなる液体収納容器1000が構成されている。接続ユニット100は液体収容部200の開口部201に装着される。接続ユニット100は、液体収容部から液体を導出するための第1の接続部と液体収容部に気体(空気)を導入するための第2の接続部を有する。第1の接続部には、液体収容部200から液体を導出するための第1の連通孔を形成する液体供給用中空針(インク供給針)528が挿通されている。また、第2の接続部には、液体収容部200内へ気体(空気)を導入するための第2の連通孔を形成する大気導入用中空針(空気導入針)529が挿通されている。また、これらの接続部には弾性部材103が圧縮された状態で保持されている。接続口150、151は吸収体カバー106に形成されている。また、押圧部材104はハウジング102に対して超音波溶着又は係止爪等(不図示)により固定されている。
【0019】
各弾性部材103はドーム形状のゴム状部材である。各弾性部材103は、ハウジング102の2箇所の凹部のそれぞれに装着されるとともに押圧部材104で圧縮固定されている。これによって、弾性部材103は、径方向の圧縮反力を発生し、気密密封状態を維持している。また、押圧部材104に配された2つの吸収体105は、吸収体カバー106によって挟持されている。吸収体カバー106は押圧部材104又はハウジング102に対して超音波溶着又は係止爪等により固定されている。ハウジング102の上面であって、第2の連通孔を形成する空気導入針529が挿通される連通孔154を囲む部位には、液体収容部200内(液体収納容器1000の内部でもある)の上部まで延びる長さの筒状部材107が固着されている。筒状部材107の上端は液体収容部200内の液面上の空間に開口している。従って、筒状部材107の内部は空気が存在する空間となっており、空気導入針529はこの空気の空間との第2の連通孔を形成している。なお、筒状部材107内の底部には、空気導入針529の空気連通を阻害しない程度の若干の液体が滞留してもかまわない。この筒状部材107もハウジング102に超音波溶着、係止爪(不図示)、又ははめ込み等により固定されている。以上により、接続ユニット100が構成されている。
【0020】
接続ユニット100は、図5に示すように、液体収容部(容器本体)200の開口部201に、シール部材101を介在させて、キャップ400を開口部201の外周にねじ締結することで密封状態で固定される。液体収納容器1000を使用するに際しては、図5に示すように、液体供給用の中空針528は直接的に液体収容部200内へ通じている。一方、空気導入針529の方は、容器本体200内に設置された筒状部材107の内部へ突出している。この液体供給針528及び空気導入針529は、接続口150、151、吸収体105、105、連通孔155、156、弾性部材103、103、連通孔153、154を突き通して、容器本体200内へ突出している。液体供給針528は液体を導出するための第1の連通孔を構成し、気体導入針529は気体(外気)を導入するための第2の連通孔を構成している。
【0021】
図5において、キャップ400は、全体として両端開放の円筒形状をしている。そのため、接続ユニット100に形成された接続口150、151は、液体収容部200にキャップ400で固定した状態でも露出している。開口部201にねじ締結されるキャップ400の内径部には、接続ユニット100を開口部201とキャップ400との間で挟持するための係合部401が形成されている。シール部材101は、キャップ400のねじ締結によって、ハウジング102の外周に形成された環状段付き部157と液体収容部200の開口部201の端面との間で所定量だけ圧縮されている。これにより、インクタンク1000内部を外気から気密状態に保つ。
【0022】
次に、情報記憶媒体ユニット300について説明する。図4において、情報記憶媒体ユニット300は、ホルダ301と、ホルダ301の凹部の内面に両面テープ303によって位置決め固定された記憶媒体302と、を備えている。情報記憶媒体ユニット300には、複数の突起304から成る櫛歯状のID部(機械式識別部)が設けられている。記憶媒体302は、液体収納容器1000がインクタンクとしてインクジェット記録装置に装着された状態で、該記録装置との間で情報交換が可能である。該記録装置との間で交信される情報は、例えば、インクの使用期限、インクタンク1000内のインク量、インクの色などに関する情報である。記録装置の制御部がこのような情報を取り出すことにより、使用期限切れ又はインク切れのアラームを出してユーザーにインクタンクの交換を促すなどすることができる。それによって、インクの変色や増粘による記録画像への悪影響を防止できる。また、インク切れの状態で記録したり、違う色のインクを収納したインクタンクを誤装着した状態で記録するなどの不都合を防止できる。
【0023】
記憶媒体302としては、磁気、光磁気、電気、メカなどの情報取得手段により識別情報が得られる媒体であれば、例えばフラッシュメモリやライトアットワンス的な磁気媒体など、種々のものを使用することができる。本実施形態のインクタンク1000では、電気的な書き込み消去処理可能なEEPROMが用いられている。これは、インクタンク識別情報の保持、記録装置本体側からの情報の書き込みに加えて、記録装置本体側からの記憶情報の追加、あるいは記憶情報の変更、削除などが可能な記憶媒体である。このEEPROMは、記録装置本体側に設けられた電気信号コネクタと電気的に接続される接点部を有するプリント基板上に搭載されている。
櫛歯状の突起304は、インクタンクの誤装着防止のためのIDとして使用される。インクの色毎、あるいは記録装置の機種毎など、あらかじめ決められた部分を切除されており、この切除された部分と対応する本体側の位置に突起が設けられている。これにより、正しいインクタンクのみが装着され、記憶媒体302による誤装着防止に加えて、メカ構成によっても誤装着が防止されている。
【0024】
次に、図1を用いて、本実施形態に係る液体供給システムをインクジェット記録装置で使用する場合を例に挙げて説明する。図1において、液体収納容器1000は、接続ユニット100を介して、記録手段としてのインクジェット記録ヘッド524に接続されている。記録ヘッド524は、画像情報に基づいて、吐出口から記録媒体へインクを吐出して画像を記録する。本実施形態の記録ヘッド524は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、記録ヘッド524は、電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行うものである。
【0025】
図1において、記録ヘッド524は、インク供給路526及びインク供給ユニット(タンク装着部)525を介して、インクタンク1000に接続されている。インク(液体)供給ユニット525には、中空のインク供給針(インク導出針)528及び空気導入針529が設けられている。インクを導出するためのインク供給針528は、インクタンク1000の一方の接続口150の弾性部材103を貫通して液体収容部200内へ延びている。インク供給針528の先端付近には針孔が形成されている。こうして、インクを導出するための中空針からなる第1の連通孔が構成されている。この際、弾性部材103は圧縮状態で装填されているので、インク供給針528の外周面の気密性が保持され、インクの漏れ出しを防止している。インク供給ユニット525には、インク供給針528とインク供給路526を結ぶ流路531が設けられている。この流路531の途中には、ポンプ304及び開閉バルブ302が設けられている。このポンプ304は、流路内の液体及び空気を圧送可能であり、圧送方向を矢印A及び矢印B方向のいずれかに切り換え可能である。
【0026】
また、記録ヘッドへのインク供給時に外気を導入するための空気導入針529は、インクタンク1000の他方の接続口151の弾性部材103を貫通して液体収容部200内へ延びている。空気導入針529の先端付近には針孔が形成されている。こうして、記録ヘッドへのインク供給時に、外部から空気を導入するための中空針からなる第2の連通孔が構成されている。この際も、弾性部材103は圧縮状態で装填されているので、空気導入針529の外周面の気密性が保持され、インクの漏れ出しを防止している。空気導入針529の一端は筒状部材107の内部空間(空気)に連通し、他端はインク供給ユニット525に形成された流路532を介して外気へ連通している。この流路532には、開閉バルブ303が設けられている。なお、本実施形態では、上記の流路531と上記流路532を結ぶ第3の流路533が設けられ、この流路533には開閉バルブ301が配設されている。
【0027】
次に、図1〜図5を用いて、第1の実施形態に係る液体供給システムを使用してインクジェット記録装置のインク供給動作を行う場合について説明する。このインク供給動作は、液体供給モードによって行われる。この場合の液体収納容器1000はインクジェット記録装置のインクタンクに相当する。図1において、液体(インク)供給ユニット525には、流路531、532、533が設けられている。第1の流路531は、インク供給針(第1の連通孔)528と記録ヘッド524を接続可能に配設されている。この第1の流路531の途中には、図示のような配置で、ポンプ304及び開閉バルブ302が設けられている。ポンプ304は液体又は気体の供給駆動手段を構成している。
【0028】
第2の流路532は、空気導入針(第2の連通孔)529と外気を接続可能に配設されている。この第2の流路532の途中には、図示のような配置で、開閉バルブ303が設けられている。第3の流路533は、インク供給針528と空気導入針529とをつなぐ流路である。第3の流路533は、インク供給針528とポンプ304の間の部位を含んでいる。さらに第1の流路531のポンプ304とバルブ302の間の部位を含んでいる。さらに、第3の流路533は、ポンプ304とバルブ303の間の部位を含んでおり、空気導入針529とポンプ304の間の部位を含んでいる。この第3の流路533の途中には、開閉バルブ301が設けられている。インクタンクを装着することによって、上記3つの流路はインクタンクを介して接続された構成となる。
【0029】
記録ヘッド524は、その吐出面(フロント面)に形成された吐出口からインクを吐出して紙やプラスチックシート等の記録媒体に画像を記録する。吐出により消費されたインクを補充するように、ポンプ304により、インクタンク1000内のインクがインク供給路526を通して記録ヘッド524へ供給される。このとき、バルブ302、303は開の状態であり、バルブ301は閉の状態である。インクの供給に伴って液体収容部200内のインクが減少すると、該液体収容部内の圧力が低下する。すると、外気に通じる流路532から導入される空気が空気導入針529及び筒状部材107を通して液体収容部200内の液体面上の空間へ導入される。以上の液体(インク)供給動作は、本実施形態における液体供給モードによって実行することができる。
【0030】
図6〜図8は、図1の液体供給システムにおいて、記録ヘッドへインク供給するための液体循環モードと異なり、気体(空気)を液体収容部内に循環させる気体循環モード(タンク内気体循環)を行うときの状態を示す模式図である。この気体循環モードにより、液体収容部内の液体を攪拌することができる。すなわち、図6は、図1の液体供給システムにおいて第1の連通孔から液体収容部内へ押し込まれた空気が高濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。図7は図6の液体供給システムにおいて液体収容部内へ押し込まれた空気がさらに中濃度層及び低濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。図8は図6の液体供給システムにおいて液体収容部内の空気と液体が全体的に攪拌される状態を示す模式図である。
【0031】
次に、液体収容部200に着色剤としての顔料粒子を含有する顔料インクが収容されている場合について説明する。図1及び図6〜図8において、インクジェット記録装置の液体供給システムにおいて液体収納容器であるインクタンクが1000が装着された状態(使用状態)で長期間放置されると、インクタンク1000の内部で顔料粒子が沈降する。そして、液体収容部200の内部で底部から上部の方向へ顔料粒子の濃度傾斜が発生する。この場合の濃度傾斜は、当然のことながら、底部の方が上部よりも高い濃度となる。
【0032】
顔料粒子の濃度分布は、概ね図1及び図6に示すようになる。すなわち、底部には顔料粒子の濃度が高い高濃度層603が生じ、上部には顔料粒子の濃度が低い低濃度層601が生じる。そして、これらの中間に、ほぼ当初の顔料粒子濃度を保っている中濃度層602が生じる。つまり、概ね3つの層に分かれる。ここで、開閉バルブ301を開状態とし、開閉バルブ302、303を閉状態とする。この状態では、インクタンク1000がポンプ304を経由して閉じた系となる。そして、この閉じた系の内部で供給駆動手段であるポンプ304を矢印B方向に動作させる。この場合、筒状部材107の上端開口部107aは、上部の低濃度層601の液面より高い位置にある。この状態で、ポンプ304を矢印B方向に作動させる。
【0033】
これにより、液体収容部200内の空気が筒状部材107及び空気導入針529を介してタンク外部へ導出される。同時に、この導出された空気が、流路内の第1の連通孔を構成するインク供給針528を経由して液体収容部200内へ押し込まれる(圧送される)。ポンプ304の動作によって、液体収容部200内の上部空間の空気が再び筒状部材107及び第2の連通孔を構成する空気導入針529を介してタンク外部へ導出される。そして、再び、ポンプ304の動作によってタンク外部へ導出された空気が、インク供給針528を経由して液体収容部200内へ導入される。つまり、液体収容部200内の空気が、筒状部材、空気導入針、ポンプ、インク供給針を介して循環されることになる。
【0034】
図示の構成では、インクタンク1000の上部の空気が、ポンプ304によって、インク供給ユニット(タンク装着部)525の閉じ流路を通して循環され、循環される空気によってインクタンク内のインクを攪拌するように構成されている。すなわち、液体収容部200の内部に存在する気体を、インク供給ユニット525内に形成される閉じた系を通して循環させることにより、この気体を液体収容部200内の液体に混合させる気体循環モードを実施することができる。そして、混合する際の気体及び液体の挙動によって、液体(例えば顔料粒子を含有するインク)を攪拌することができる。この循環による攪拌は、液体収納容器(インクタンク)1000内の液体(インク)を無駄に費やすことなく(廃棄することなく)行われる。
【0035】
一方、インクタンク1000は、製造されて記録装置本体に装着されるまでの流通の過程で姿勢があらゆる方向に変化する。この姿勢の変化により筒状部材107内にインクが流入することがある。そのため、ユーザーがインクタンク1000を記録装置本体に装着した直後には、筒状部材107の内部にインクが存在することがある。しかるに、前述のような空気導入針529からインク供給針528へ至る閉じた流路系を形成してポンプ304を矢印B方向に作動させることで、筒状部材107内に存在していたインクは循環して再びインクタンク1000内へ導入される。すなわち、筒状部材107内から導出されたインクは、循環して再びインクタンク内に導入されるので、この場合もインクを無駄に費やすことはない。そして、筒状部材107内から一旦導出されたインクは、再び筒状部材107内に流入することはない。
【0036】
次に、インクタンク1000内の空気を循環させて該インクタンクの底部から再び導入することによる攪拌作用について説明する。図6において、インク供給針528の第1の連通孔を通してインクタンク1000の底部より導入された空気610は、容器内の上部に向かって移動する。この空気の移動によって、顔料インクの高濃度層603が押し上げられ、高濃度層603の一部が中濃度層602の中へ混入する。ここで、高濃度層603及び中濃度層602からなる2つ液層と空気からなる1つの気体610はそれぞれ異なる性質を有する。まず、顔料粒子の高濃度層603は空気610によって上方へ押し上げられているが、この高濃度層の比重は周囲にある中濃度層602の比重より大きい(重い)。また、中濃度層602は静止しているが、この中濃度層の比重は混入してきた高濃度層603の比重より小さい。そして、空気610は上方へ移動しているが、この空気の比重は2つの液層602、603より小さい。
【0037】
このような性質の違いにより、高濃度層603は一旦空気610により押し上げられるが、この高濃度層の空気610より外れた部分のインクは中濃度層602と比較して比重が大きいために沈降する。また、空気610は他の2つの液層より軽いため、該空気の移動は周囲の液体の状況に左右される。つまり、空気610は、直線的に上昇移動するのではなく、振幅を伴いながら上昇移動する。さらに、空気610の上昇は前述の空気の循環によって連続的に発生し、複雑な空気の流れが発生する。このため、高濃度層603と空気610と中濃度層602が互いに入り乱れることになり、インク中の顔料粒子が一層拡散され、混合される。
【0038】
そして、図7に示すとおり、図6と同じように顔料インクの中濃度層602と高濃度層603が入り混じったインクが空気610により低濃度層601内へ押し上げられる。これによって、インク中の顔料粒子が攪拌される。この場合の攪拌のメカニズムは、前述した高濃度層603と空気610と中濃度層602の場合と同じである。すなわち、図8に示すとおり、ポンプ304を作動させることによって、空気610はインクタンク1000内部を上昇する間にインクと混合される。同時に、インクタンク内部の液面より上の空気は筒状部材107及び空気導入針529を通してタンク外部へ導出される。導出される空気は、ポンプ304によって再びインク供給針528を介してインクタンク1000内へ導入され、インクタンク内を上昇する間にインクと混合される。こうして、空気610は、筒状部材107を通じて循環と撹拌を繰り返す。そして、連続して空気610がインクタンク1000の底部より上部まで上昇することにより、該インクタンクの内部に図8中に矢印で示すようなインクの流れが発生し、該インクタンク内部のインクが撹拌される。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、液体収納容器1000の内部の空気を利用し、容器外部を経由して再び容器内部へ循環させることによって該液体収納容器内のインクを攪拌することができる。これによって、液体収納容器1000内の顔料インクを長期間にわたって使用する場合でも、記録媒体に記録された画像に濃度差が生じることを防ぐことができる。つまり、長期間にわたって装置を使用せず放置された場合でも、インクタンク1000から記録ヘッド524へ適した濃度のインクを供給し続けることができる。従って、着色剤として顔料を使用したインクを収納した液体収納容器1000を有する液体供給システムにおいて、インクの無駄な消費を生じることなく、濃度差の無い高画質の画像を記録することができる液体収納容器が提供される。
【0040】
図10は本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムの液体収納容器の接続ユニットの詳細構造を示す拡大縦断面図である。図11は図10中のフィルターにおける空気とインクのメニスカスの状態を示す模式図である。図12は図11のフィルーのメニスカスを破って空気がインク中を上昇移動する状態を示す模式図である。図13は本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムにおいて液体収納容器の第1の連通孔から押し込まれた気体が高濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。図14は図10中のフィルターの上にインク中の異物が堆積する状態を示す模式図である。図15は図14中のフィルターのメニスカスを破って上昇する空気によってフィルター上の異物が除去される状態を示す模式図である。次に、図10〜図15を用いて、本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムの液体収納容器について、具体的に説明する。
【0041】
液体収納容器1000をインクジェット記録装置のインクタンクとして使用する場合の液体供給システム全体の構成は、図1に示す第1の実施形態の場合の構成と実質的に同じであり、その詳細説明は省略する。図10において、本実施形態では、液体収容部200の内部であって、ハウジング102の連通孔154の上方にフィルター305が設けられている。このフィルター305は、図1中のポンプ304が同図中の矢印A方向に作動して記録ヘッド524にインクを供給するときに、液体収容部200内に存在する異物を除去するためのものである。従って、このフィルター305は、インク中の異物を遮断しながらインクのみを流通させるように構成されている。
【0042】
近年、インクジェット記録装置における記録画像は非常に高精細化しており、画像を構成する1つ1つのインク滴(ドット)は非常に小さくなっており、かかるインク滴を吐出する吐出口も非常に小さくなっている。そのため、記録ヘッド524に供給されるインクに異物が混入していると、吐出口に目詰まりが生じやすく、吐出不良が発生しやすい。このような技術的課題に鑑みて、本実施形態では、インク中の異物を除去することにより安定した高画質の画像を記録するために、図10中に示すフィルター305が設けられている。
【0043】
本実施形態に係る液体供給システムの液体収納容器1000は、上記フィルター305を追加して装着する点で前述の第1の実施形態と相違し、その他の点では実質的に同じである。従って、液体収納容器1000をインクジェット記録装置のインクタンクとして使用する場合のインク供給動作も、前述の第1の実施形態の場合と実質的に同じである。以下では、本実施形態において、インクタンク1000内の空気を循環させて該インクタンクの底部から再び導入することによる攪拌作用について説明する。本実施形態では、図11に示すように、インクと空気610がフィルター305の毛細管の中にメニスカスを形成し、空気610が毛細管を上方へ移動していく。そして、空気610は、やがては図12に示すように、メニスカスを破ってインク中に混入し上昇していく。
【0044】
空気610の移動とメニスカスを破るタイミングは、インクとフィルター305の表面状態によって左右される。このため、空気610がインク中に混入していく間隔はランダムになり、空気610とインクとの流れは複雑になる。この複雑な流れによって、空気とインクとの混合が促進され、インク中の顔料粒子の攪拌効果が高められる。図12で示すように、1つ1つの空気610は微細で軽く、空気610の周辺の流れの影響を受けやすいため、空気610のインク中での移動は激しくなる。このため、空気610は、より複雑な軌道を描きながら上昇していく。このとき、空気610の間にインクが入り込むことによって空気とインクの流れが複雑になり、これによって、空気とインクの混合がさらに促進され、攪拌効果をさらに高めることができる。
【0045】
また、前述のように1つ1つの空気610は微細であるが、それらの間にインクが入り込むので、図13に示すように上昇する空気610とインクの混合体が生成され、これがほぼ一体となって上昇する。このため、同じ体積の空気610であっても、より多くのインクを押し上げることができる。また、攪拌動作に伴い、フィルター305の上面から空気610が上方へ放出される。このため、図14に示すようにフィルター305上に異物611が存在したとしても、図15に示すように空気610の上昇に伴って異物611をフィルター305から除去することができる。この場合、異物611をインク中に戻すだけであるため、通常のインク供給を行なっていく際には、少しずつではあるが異物611が再びフィルター305上に堆積していく。しかし、攪拌動作を所定のタイミングで実施することで、円滑なインク供給動作を維持することができる。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、気体を循環させるだけで液体収容部内の液体を攪拌することができ、顔料粒子等を含有する液体を長期間にわたって収納する場合でも、顔料粒子等の沈降を防いで液体の濃度を均一に保つことができる液体収納容器が提供される。従って、液体収納容器をインクジェット記録装置のインクタンクに使用する場合に、所望濃度で良好な画像記録を可能ならしめる液体収納容器及びインクジェット記録装置が提供される。
【0047】
なお、以上の実施形態では、液体収納容器をインクタンクとして使用するインクジェット記録装置が、記録媒体に沿って移動する記録ヘッドを用いるシリアルタイプである場合を例に挙げて説明した。本発明は、副走査のみで記録するラインタイプのインクジェット記録装置に対しても同様に適用可能である。また、本発明は、インクジェット記録装置であれば、記録ヘッドの数や、使用するインクの種類数や性状等に関わらず、同様に適用可能である。さらに、本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、撮像画像形成装置などの単体装置に限定されるものではなく、これらを組み合わせた複合装置、あるいはコンピュータシステムなどの複合装置における記録装置としても広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体供給システムの概略構成図である。
【図2】図1中の液体収納容器の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2の液体収納容器の分解斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図においてさらに接続ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図5】図1中の液体収納容器の接続ユニットの詳細構造を示す拡大縦断面図である。
【図6】図1の液体供給システムにおいて第1の連通孔から液体収容部内へ押し込まれた空気が高濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。
【図7】図6の液体供給システムにおいて液体収容部内へ押し込まれた空気がさらに中濃度層及び低濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。
【図8】図6の液体供給システムにおいて液体収容部内の空気と液体が全体的に攪拌される状態を示す模式図である。
【図9】本発明の液体供給システムを使用するのに好適なインクジェット記録装置の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムの液体収納容器の接続ユニットの詳細構造を示す拡大縦断面図である。
【図11】図10中のフィルターにおける空気とインクのメニスカスの状態を示す模式図である。
【図12】図11のフィルターのメニスカスを破って空気がインク中を上昇移動する状態を示す模式図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る液体供給システムをインクジェット記録装置で使用する場合に第1の連通孔から押し込まれた気体が高濃度層のインクと混合されるときの状態を示す模式図である。
【図14】図10中のフィルターの上にインク中の異物が堆積する状態を示す模式図である。
【図15】図14中のフィルターのメニスカスを破って上昇する空気によってフィルター上の異物が除去される状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
100 接続ユニット
107 筒状部材
107a 上端開口部
200 液体収容部
201 開口部
301、302、303 開閉バルブ
304 ポンプ
305 フィルター
524 記録ヘッド(インクジェット記録ヘッド)
525 液体供給ユニット(インク供給ユニット、タンク装着部)
526 インク供給路
528 第1の連通孔(液体供給針、インク供給針)
529 第2の連通孔(気体導入針、空気導入針)
531 第1の流路
532 第2の流路
533 第3の流路
601 顔料インクの低濃度層
602 顔料インクの中濃度層
603 顔料インクの高濃度層
610 気体(空気)
611 異物
1000 液体収納容器(インクタンク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、該液体収容部の底部に設けられた第1の連通孔及び第2の連通孔と、該第2の連通孔に接続され該液体収容部内に設けられた筒状部材とを有する液体収納容器が着脱可能に装着される液体供給システムであって、
前記第1の連通孔は記録ヘッドにつながる第1の流路と接続され、
前記第2の連通孔は外気を導入可能な第2の流路と接続され、
該第1の連通孔と該第2の連通孔を接続する第3の流路並びに液体又は気体の供給駆動手段が設けられ、
前記第1の流路は前記第3の流路を経由して前記第2の流路と接続可能であり、
前記供給駆動手段によって液体収納容器内部の気体を前記第3の流路を経由して該液体収納容器外部へ取り出した後、再び該液体収納容器内部へ循環可能とした気体循環モードを有することを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
前記筒状部材が、前記液体収納容器内部の液面上まで延びた構成であることを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記気体循環モード時は、前記第1の流路及び前記第2の流路と、前記第3の流路との接続が遮断されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記液体又は気体の供給駆動手段の駆動方向を切り替えることによって、前記第1の流路によって前記記録ヘッドに前記液体収納容器内の液体を供給し、かつ前記第2の流路によって前記液体収納容器内に外気を導入可能な液体供給モードを備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記気体循環モードによって、前記液体収納容器内の液体を攪拌することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記液体収容部内の底部近傍であって前記第1の連通孔と対応する位置にフィルターを配設した液体収納容器を着脱可能な請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体供給システム。
【請求項7】
前記フィルターは、下側の空気と上側のインクの境界をなすメニスカスを形成可能であり、該メニスカスを破って上昇する空気によって液体収容部内の液体を攪拌することを特徴とする液体収納容器を着脱可能な請求項6に記載の液体供給システム。
【請求項8】
前記液体収容部に収容される液体は顔料粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体供給システム。
【請求項9】
画像情報に基づいて記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置において、記録ヘッドへインクを供給するために請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体供給システムを使用することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記インクが着色剤としての顔料粒子を含有することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−296795(P2007−296795A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128136(P2006−128136)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】