液体収容体及び液体噴射装置
【課題】 簡単な構成で、内部に収容された液体を効率良く攪拌することができる液体収容体及びその液体収容体を搭載した液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 プリンタのキャリッジに搭載されるカートリッジCは、ケース10内に形成した貯留室13に顔料インクを収容している。貯留室13内には、インクを送出する攪拌部材27と、攪拌部材27から送出されたインクを貯留室13内で循環させる循環流路とを備えている。
【解決手段】 プリンタのキャリッジに搭載されるカートリッジCは、ケース10内に形成した貯留室13に顔料インクを収容している。貯留室13内には、インクを送出する攪拌部材27と、攪拌部材27から送出されたインクを貯留室13内で循環させる循環流路とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容体及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドから液体を吐出する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。このプリンタは、液体収容体としてのカートリッジ又はインクタンクに貯留された染料インク又は顔料インクを記録ヘッドから吐出して印刷を行う。顔料インクは、耐ガス性、耐水性に優れるが、溶媒に色材を溶解した染料インクとは異なり、分散媒に顔料を分散させて製造されている。このため、長期間放置すると、顔料及び分散媒の比重差により顔料が沈降し、インクの濃度差が発生してしまう問題がある。
【0003】
この問題に対し、顔料インクを攪拌する機構が多数提案されている。この機構として、例えば、球状に形成された金属製の攪拌子を内部に配設するカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この攪拌子は、キャリッジの動力に従って転がることでインクを攪拌するので、攪拌機構を駆動するモータ等を省略できる。
【特許文献1】特開平9−309212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記したような攪拌子を使用する場合、攪拌子は主にキャリッジの移動方向と平行な方向のみに転がるので、カートリッジ内のインクを鉛直方向及び水平方向に移動させてインク全体を攪拌することができなかった。このため、カートリッジに顔料インクが貯留されている場合には、底部に沈降した顔料をインク全体に分散させることが困難だった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、内部に収容された液体を効率良く攪拌することができる液体収容体及びその液体収容体を搭載した液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記仕切部によって形成された前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えた。
【0007】
これによれば、液体収容体は、ケース内に貯留室を備え、貯留室内には、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備える。このため、ポンプ手段により循環流路に液体を送り出し、循環させることができるので、貯留室内の液体全体を効率よく攪拌できる。従って、液体の各成分の濃度分布を均一化することができる。また、循環流路は、貯留室内に設けられた仕切部によって構成されるので、液体収容体を簡単な構成にすることができる。
【0008】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えた。
これによれば、ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部が回転軸を中心に回動し、循環流路内に液体を送出することができる。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる
。また、ポンプ手段は、慣性力等を利用して回転するので、駆動モータ等が必要ない。
【0009】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。
【0010】
これによれば、ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内に摺動可能に設けられた摺動部材と、吐出孔から筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。このため、摺動部材の移動により、導入孔側から吐出孔側に向かって液体を押し出すことができるので、一方向に液体を送り出すことができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して摺動部材が摺動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0011】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、攪拌部の一端部側に設けられた錘部と、同錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成される。
これによれば、ポンプ手段は、本体の一端部側に設けられた錘部と、錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成される。このため、錘部側の攪拌部の回動により一方向に送られた液体を、柄杓部により上方又は反対側に送り出すので、貯留室内の液体を移送することができる。従って、この液体の流れにより、液体を攪拌することができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部材が回動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0012】
この液体収容体において、前記ポンプ手段又は前記攪拌部は、複数設けられている。
これによれば、ポンプ手段又は攪拌部は複数設けられているので、液体を短時間で攪拌できる。
【0013】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されている。
これによれば、ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されている。このため、液体収容体が加速又は減速されると、液面より上に配置されたポンプ手段の一部は液体からの抵抗を受けずに回動するので、ポンプ手段を効率的に回動させることができる。また、ポンプ手段の一部が液面より上に配置されることで、ポンプ手段を構成する材質の比重が、液体の比重と同じである場合にも、ポンプ手段を回動させることができる。
【0014】
この液体収容体において、前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室の底部に設けられる。
これによれば、ポンプ手段及び循環流路は、貯留室の底部に設けられているので、貯留室の底面に沈降又は分離した成分を容易に攪拌できる。また、液体の残量が残りわずかとなった場合においても、攪拌効果を得ることができる。
【0015】
この液体収容体において、前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられている。
これによれば、ポンプ手段及び循環流路は、貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられている。このため、外部に吐出される直前に、液体を攪拌することができるので、濃度が比較的均一な液体を吐出することができる。
【0016】
この液体収容体において、前記仕切部は、複数形成され、前記貯留室内に鉛直方向に並べて設けられるとともに、前記ポンプ手段は、前記循環流路のうち、鉛直方向における下方位置に設けられている。
【0017】
これによれば、仕切部は、鉛直方向に並べて複数設けられている。このため、循環流路は、各仕切部の間や、仕切部とケースとの間に、鉛直方向に沿った複数の流路から構成される。また、ポンプ手段は、循環流路のうち、鉛直方向の下方位置に設けられる。このため、貯留室内の液体が初期量より減少して、液面が下がっても、下側の循環流路により液体を循環させることができる。
【0018】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内を回流する液体の流れを発生させるポンプ手段を前記貯留室内に設け、前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えている。
【0019】
これによれば、液体収容体には、貯留室内を回流する液体の流れを生成するポンプ手段が設けられる。ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部が回転軸を中心に回動し、貯留室内を回流する流れを生成することにより、液体を攪拌することができる。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる。また、ポンプ手段は、液体収容体に加わる外力を利用するので、駆動モータ等が必要ない。
【0020】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内に、液体を攪拌するポンプ手段を設け、前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。
【0021】
これによれば、ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内に摺動可能に設けられた摺動部材と、吐出孔から筒状部内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。このため、摺動部材の移動により、導入孔側から吐出孔側に向かって液体を押し出すことができるので、一方向に液体を送出して液体の流れを発生し、液体を攪拌することができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して摺動部材が摺動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0022】
本発明は、主走査方向に沿って往復移動するキャリッジに液体収容体及び液体噴射ヘッドを搭載し、前記液体収容体から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体噴射装置において、前記液体収容体は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容し、前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記仕切部によって形成された前記循環流路内に設けられ、前記キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えている。
【0023】
これによれば、液体噴射装置は、キャリッジと、キャリッジに搭載された液体収容体及び液体噴射ヘッドとを備える。また、液体収容体は、ケース内の貯留室に液体を収容し、貯留室内の液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部を備える。さらに、液体収容体は、循環流路内に設けられ、キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、循環流路に液体を送り出すポンプ手段を備える。このため、貯留室内の液体をポンプ手段から送り出し、発生した液体の流れを循環流路によって循環させることができるので、貯留室内の液体全体を効率よく攪拌できる。従って、濃度の偏りのない液体を液体噴射ヘッドから吐出できる。また、ポンプ手段は、キャリッジの加速動作又は減速動作に従動するので、キャリッジの動力を有効利用し、ポンプ手段を駆動するためのモータを省略できる。
【0024】
この液体噴射装置において、前記液体収容体に設けられた前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部
とを備えた。
【0025】
これによれば、ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、液体収容体に外力が加えられた際に、攪拌部が回転軸を中心に回動し、循環流路内に液体を送り出す。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる。
【0026】
この液体噴射装置において、前記液体収容体の前記回転軸は、その軸線が、前記キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられている。
これによれば、ポンプ手段の回転軸は、その軸線が、キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられている。このため、キャリッジが加速又は減速した際には、ポンプ手段に対して発生したキャリッジの主走査方向と平行な慣性力を有効に利用して、ポンプ手段を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ1とする)の要部を説明する斜視図である。
【0028】
図1に示すように、プリンタ1は、上側が開口する略直方体形状のフレーム2を備えている。フレーム2には、プラテン3が架設されており、図示しない紙送り機構により、このプラテン3上をターゲットとしての紙Pが副走査方向(図1中Y軸方向)に給送されるようになっている。そして、フレーム2にはプラテン3と平行にガイド部材4が架設されており、このガイド部材4には、キャリッジ5がガイド部材4の軸線方向に移動可能に挿通支持されている。また、このキャリッジ5は、タイミングベルトTBを介してキャリッジモータCMに駆動連結されており、キャリッジモータCMの駆動によってガイド部材4に沿って主走査方向(図1中X軸方向)に往復移動されるようになっている。
【0029】
また、キャリッジ5には、液体収容体としての第1〜第4カートリッジC1〜C4が着脱可能に装着されている。第1カートリッジC1は、内部に、液体としてのブラックインクを収容している。第2〜第4カートリッジC2〜C4は、内部に、液体としての各種カラーインクを収容している。各種インクは、分散媒に色材である顔料を分散させた、いわゆる顔料インクである。尚、第1〜第4カートリッジC1〜C4を互いに区別しないで説明する場合には、単にカートリッジCとして説明する。
【0030】
キャリッジ5のプラテン3に対向する面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド6が搭載されている。記録ヘッド6の下面には図示しないノズル列の開口が形成されている。各ノズル列は、各インクにそれぞれ対応しており、図示しない圧電素子の駆動により、紙P上にインク滴が吐出されるようになっている。
【0031】
また、フレーム2内には、メンテナンスユニット7が備えられている。メンテナンスユニット7は、キャリッジ5の移動範囲内であって、紙Pの搬送経路外の領域である非印刷領域に設けられており、本実施形態では図1中右側に設けられたホームポジションに配設されている。このメンテナンスユニット7は、非印刷状態のときに記録ヘッド6をキャップ8にて封止し、ノズル内の乾燥を防止したり、印刷不良を防止するためのヘッドクリーニングを行う。
【0032】
次に、カートリッジCについて、図2〜図6に従って説明する。図2は、カートリッジCの斜視図、図3〜図5はカートリッジCの断面図である。
図2に示すように、カートリッジCは、略直方体状に形成されたケース10を備えている。ケース10は、一側面が開口した箱体状に形成されたケース本体11と蓋部12とから構成されている。図3に示すように、ケース本体11の内部には、貯留室13が備えられており、ケース本体11の開口を蓋部12により封止することにより、貯留室13が密閉されるようになっている。
【0033】
蓋部12には、インク注入孔14が貫通形成されている。このインク注入孔14からは、インクが貯留室13内に注入されるようになっている。また、蓋部12には、大気連通孔15a及び連通溝15bが形成されている。大気連通孔15aは、蓋部12に貫通形成され、貯留室13と外部とを連通している。連通溝15bは、蓋部12を蛇行するように形成され、大気連通孔15aに連通している。インク注入孔14、大気連通孔15a及び連通溝15bの一部は、蓋部12に貼着された封止フィルム16によって封止される。そして、貯留室13内は、封止された大気連通孔15a及び連通溝15bを介して、大気開放された連通溝15bの端部によって、大気に開放される。
【0034】
また、図3に示すように、ケース本体11の底壁部11bには、インク吐出孔17が貫通形成されている。このインク吐出孔17は、図4中鎖線で示すように、底壁部11bの外側面に突出形成された供給部18内に連続して形成され、供給部18の下面にて開口している。供給部18内には、図示しない弁機構が備えられ、カートリッジCをキャリッジ5に装着すると、キャリッジ5に設けられた図示しないインク針が供給部18内に貫挿されて前記弁機構を開弁し、貯留室13内のインクをインク針に供給するようになっている。
【0035】
図3に示すように、ケース本体11の左壁部11eと右壁部11f(図2参照)との間には、板状の仕切部19が、高さ方向(Z軸方向)に沿って立設されている。この仕切部19は、その高さ(Z軸方向の長さ)が、貯留室13の高さよりも短く、幅(X軸方向の長さ)が、貯留室13の幅とほぼ同じになるように形成され、貯留室13の略中央位置に配置されている。従って、図3及び図4に示すように、仕切部19は、その上端及び下端が、蓋部12及びケース本体11の底壁部11bと離間するように設けられている。また、貯留室13内は、仕切部19によって、第1インク室21及び第2インク室22に区画されている。これらの第1及び第2インク室21,22は、仕切部19の上端側及び下端側に設けられた、上側及び下側通路23,24によって互いに連通されている。
【0036】
さらに、ケース本体11の左壁部11eであって、第1インク室21内には、一対の軸受25が立設されている。各軸受25は、第1インク室21の高さ方向(Z軸方向)及び奥行き方向(Y軸方向)において、略中央に配設されている。これらの軸受25には、図6に示す、ポンプ手段としての攪拌部材27が回動可能に軸支されている。この攪拌部材27は、インクの比重より大きい比重を有する合成樹脂又は金属等から構成されている。
【0037】
図6に示すように、攪拌部材27は、回転軸28を有している。回転軸28は、円柱状の大径部30を備えている。この大径部30の両端には、一対の小径部31が外側に向かって突出するように形成されている。また、大径部30の側面からは、板状の攪拌部29が一体に形成されている。
【0038】
この攪拌部材27は、図4に示すように、各小径部31が各軸受25に軸支されることにより、第1インク室21内に取着される。すると、攪拌部材27の攪拌部29は、重力によって鉛直方向に垂下した状態になる。この構成により、攪拌部材27は、図5中、2点鎖線及び矢印で示すように、回転軸28を中心として、左壁部11eと右壁部11fとの間において、所定の角度範囲を回動可能となる。そして、カートリッジCに外力が加えられ、カートリッジCがX軸方向と平行な方向に、所定の加速度又は減速度以上で加速又
は減速されると、攪拌部材27に対して加わった慣性力及び重力の合力が、軸受25との摩擦力、インクから受ける圧力等を上回り、その攪拌部29が回転軸28を中心に振子運動を行うようになっている。
【0039】
次に、カートリッジCの作用について説明する。各カートリッジCには、インク注入孔14から、インクが予め決められた初期充填量だけ注入される。すると、図4及び図5に示すように、インクの液面は、仕切部19の上端よりも上方の位置になる。このカートリッジCをキャリッジ5に装着する前に、各カートリッジCを幅方向等に振ると、図5に示すように、貯留室13内の攪拌部材27が、回転軸28を中心に回動する。すると、図4中矢印方向に示すように、回動する攪拌部29によって、貯留部13底面側のインクが煽られ、その先端部分の近傍に設けられた下側通路24を介して、第2インク室22に送出される。このとき、貯留室13の底部には、インクに含有される顔料が沈降している場合があるが、攪拌部29に煽られることによって浮遊し、第2インク室22側に送り出される。
【0040】
下側通路24を介して送出されたインクは、仕切部19及び背壁部11dに沿って、上昇する。即ち、第2インク室22においては、インクは図4中矢印方向に示すように、貯留室13の底面側から上方へ向かって流れる。
【0041】
底面側から上方へ向かうインクの流れは、上側通路23を介して、再び第1インク室21に流入する。つまり、インクは、第1インク室21から、下側通路24を介して第2インク室22に流入し、上側通路23を介して第1インク室21に戻る回転流となり、貯留室13内を循環する。即ち、第1及び第2インク室21,22と、上側通路23及び下側通路24とは、インクが循環する循環流路を構成する。攪拌部材27は、循環流路内にインクを圧送するポンプの役割を有し、攪拌部材27の回動により循環流路に送出されたインクは、貯留室13全体を循環する回転流となる。その結果、貯留室13内のインクが攪拌され、顔料の濃度分布が均一になる。また、攪拌部材27は、攪拌部29が垂下するように設けられたことで、小さな外力で容易に回動し、しかも何度も往復移動する。
【0042】
キャリッジ5にカートリッジCを装着すると、図1に示すように、カートリッジCの幅方向が、キャリッジ5の主走査方向(X軸方向)と平行になるように配設される。また、貯留室13内の回転軸28の軸線は、キャリッジ5の主走査方向と直交する方向になる。インク攪拌又は印刷を行う目的で、キャリッジ5が主走査方向に沿って加速又は減速すると、カートリッジC内に設けられた攪拌部材27は、キャリッジ5の移動動作に従って回動する。すると、前記したように、貯留室13内に回転及び循環するインクの流れが発生する。その結果、貯留室13内のインクは、顔料濃度分布が偏りのない状態となり、顔料濃度が均一なインクが、供給部18を介して記録ヘッド6に供給される。このため、比較的長い印刷休止期間の後に印刷を行っても、色濃度の偏りのない印刷物が作成される。
【0043】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、キャリッジ5に搭載されるカートリッジCの貯留室13に、仕切部19を形成し、貯留室13内を第1及び第2インク室21,22に区画した。そして、第1及び第2インク室21,22と上側及び下側通路23,24とにより、循環流路を構成した。また、循環流路内に、カートリッジCの加速又は減速に従って回動し、インクを循環流路内の一方向に送り出す攪拌部材27を備えた。このため、貯留室13内に鉛直方向及び水平方向に向かうインクの流れを発生させることができるので、インクを効率よく攪拌できる。従って、貯留室13の底面に沈降しやすい顔料をインク全体に分散させることができる。また、貯留室13内に、チューブ、複雑な流路部材等を設けずに循環流路が構成されるので、カートリッジCの構成を簡単にすることができる。
【0044】
(2)第1の実施形態では、攪拌部材27を、ケース10に支持され、貯留室13内に配置された回転軸28と、回転軸28を中心に回動する攪拌部29とから構成した。そして、カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速した際に、攪拌部材27が慣性力等により回転軸28を中心に回動するようにした。このため、攪拌部材27を簡単な構成とし、しかも、カートリッジCに加えられた外力を有効に利用して回動させることができる。
【0045】
(3)第1の実施形態では、攪拌部材27を、攪拌部29が垂下するように配設した。このため、キャリッジ5の加速度又は減速度が比較的小さくても、攪拌部29が慣性力及び重力に従って振子運動を開始するので、キャリッジ5の動力を効率よく利用することができる。しかも、攪拌部材27は、振子運動をすることにより、攪拌部29が水平に設けられた場合よりも、往復移動回数が多くなり、回動動作の継続時間も長くなる。このため、カートリッジCに加えられた外力に対するインク攪拌効率を向上できる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図7に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fの間には、板状の第1仕切部40が奥行方向(Y軸方向)に沿って立設されている。第1仕切部40は、その奥行(Y軸方向の長さ)が、貯留室13の奥行よりも短くなるように形成され、一端が、背壁部11dに連続して設けられ、他端が前壁部11cと離間するように設けられている。この第1仕切部40により、貯留室13は、第1インク室41及び第2インク室42に区画され、第1仕切部40と前壁部11cとの通路40aにより、第1及び第2インク室41,42が連通される。
【0048】
また、左壁部11eであって、第2インク室42側には、第2仕切部43が立設されている。第2仕切部43は、その奥行が、貯留室13の奥行よりも短くなるように形成され、その両端が、前壁部11c及び背壁部11dと離間するように設けられている。その結果、第2インク室42は、上側インク室44及び下側インク室45に区画され、前側通路46及び後側通路47を介して連通される。
【0049】
左壁部11eであって、下側インク室45側には、一対の軸受48が設けられ、軸受48にはポンプ手段としての攪拌部材49が軸支されている。攪拌部材49は、その攪拌部51が、回転軸50を中心に左壁部11e及び右壁部11fとのとの間を所定の角度範囲だけ回動可能になっている。この攪拌部材49の構成は、図6に示す攪拌部材27の構成と同一の構成になっている。
【0050】
カートリッジCを手で振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部51が、慣性力により、加わった加速度又は減速度と反対の方向に回動する。そして、キャリッジ5が往復移動する等して、この攪拌部材27の回動動作が繰り返されると、図7中矢印方向に示すように、下側インク室45内のインクが背壁部11d側に送られる。さらに、インクは、背壁部11dに沿って上昇し、後側通路47を介して、上側インク室44に流入する。上側インク室44に流入したインクは、第1仕切部40及び第2仕切部43に沿って前壁部11c側に流れ、その大部分は前側通路46を介して下側インク室45に流入する。即ち、これらの上側インク室44、下側インク室45、前側通路46及び後側通路47は、インクが循環する循環流路を構成する。このため、記録ヘッド6に供給する直前のインクが攪拌されるので、顔料濃度の偏りのない状態のインクが記録ヘッド6に供給される。
【0051】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第2の実施形態では、貯留室13内に設けた第1仕切部40により、貯留室13内を第1インク室41及び第2インク室42に区画した。そして、第2インク室42を、第2仕切部43により区画して、上側インク室44、下側インク室45を形成した。さらに、上側及び下側インク室44,45を、前側通路46及び後側通路47により連通して、循環流路を構成した。また、下側インク室45に、攪拌部材49を設けた。このように、貯留室13内の底部に循環流路及び攪拌部材49を設けたので、貯留室13の底面に沈降した顔料を容易に攪拌できる。しかも、循環流路及び攪拌部材49は、ケース本体11の底壁部11bに設けられたインク吐出孔17近傍に設けられているので、攪拌したインクをすぐに記録ヘッド6に供給できる。さらに、循環流路を比較的短くすることで、循環流路内の顔料濃度分布が均一になるまでにかかる時間を短縮化することができる。また、インクが消費され、インク残量が少なくなった場合においても、インクの液面が仕切部43より上の状態であれば、循環流路を形成でき、攪拌効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図8に従って説明する。尚、第3の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0052】
図8に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fとの間には、第1〜第4仕切部52a〜52dが奥行方向(Y軸方向)に沿って立設されている。最も下方に配置された第4仕切部52dは、貯留室13の底面から所定距離の位置に設けられ、第1〜第3仕切部52a〜52cは、それぞれ等間隔で順番に並べられている。最も上方に配置された第1仕切部52aは、貯留室13の上面から所定距離だけ離間した位置に設けられる。また、第1〜第4仕切部52a〜52dは、その両端が、前壁部11c及び背壁部11dと離間するように設けられている。その結果、第1〜第4仕切部52a〜52d、蓋部12、底壁部11bの間には、第1〜第5インク室R1〜R5が設けられる。また、第1〜第5インク室R1〜R5は、第1〜第4仕切部52a〜52dと前壁部11cとの間に設けられた各前側通路53a〜53d、第1〜第4仕切部52a〜52dと背壁部11dとの間に設けられた各後側通路54a〜54dを介して連通される。
【0053】
また、左壁部11eの内側であって、蓋部12寄り及び底壁部11b寄りの位置には、一対の軸受55が形成されている。各軸受55には、ポンプ手段としての攪拌部材56が軸支されている。攪拌部材56は、貯留室13の高さ(Z軸方向の長さ)とほぼ同じ長さの回転軸57を備え、この回転軸57には、第1〜第3攪拌部58〜60が形成されている。第1及び第3攪拌部58,60は、回転軸57の端部側に形成され、第2攪拌部59は、その略中央に形成されている。その結果、第1〜第3攪拌部58〜60は、第1インク室R1、第3インク室R3、第5インク室R5にそれぞれ配置される。
【0054】
貯留室13内にインクを初期充填量だけ注入すると、第1攪拌部58は、その一部がインクの液面よりも上に出た状態になる。第2及び第3攪拌部59,60は、液中に配置される。
【0055】
攪拌部材56は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂でインジェクション成形により作られる。これらの樹脂はインクと比重がほぼ同じであるが、攪拌部58の一部はインク液面より上に配置されているため、インクの抵抗を受けず、カートリッジCに印加される加速度により、攪拌部材56は回動するための慣性力を得ることができる。
【0056】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部材56が、左壁部11e及び右壁部11fの間で回動する。すると、図8中矢印方向に示すように、第1攪拌部58の回動により送り出されたインクが、後側通路54aを介して第2インク室R2に流入する。また、第2攪拌部59の回動により送り出されたインクは、各後側通路54b,54cにおいて分岐して、第2インク室R2及び第4インク室R4にそれぞれ流入する。このとき、第1インク室R1側から送出されたインクと、第3インク室R3側から送出されたインクが、後側通路54a,54bによって合流し、第2インク室R2に流入する。合流したインクは、第2インク室R2を通過し、前側通路53a,53bにおいて分岐して、第1インク室R1及び第3インク室R3にそれぞれ流入する。
【0057】
同様に、第3攪拌部60の回動により送り出されたインクは、後側通路54dを介して第4インク室R4に流入する。このとき、第3インク室R3から送出されたインクと、第5インク室R5から送出されたインクとが合流して、第4インク室R4に流入する。第4インク室R4を通過したインクは、前側通路53c,53dにて分岐し、第3インク室R3及び第5インク室R5にそれぞれ流入する。このとき、第3インク室R3には、第2インク室R2及び第4インク室R4から送出されたインクが合流する。このように、第1〜第5インク室R1〜R5、前側通路53a〜53d、後側通路54a〜54dは、インクが循環する循環流路を構成する。第1〜第3攪拌部58〜60により循環流路に送り出されたインクは、複数の回転流となる。このため、底部に沈降した顔料が攪拌され、インク全体に分散される。
【0058】
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第3の実施形態では、貯留室13内に設けた第1〜第4仕切部52a〜52dにより、第1〜第5インク室R1〜R5を形成した。そして、第1〜第5インク室R1〜R5を、前側通路53a〜53d、後側通路54a〜54dにより連通し、循環流路を構成するようにした。さらに、貯留室13内に設けられた攪拌部材56に、第1インク室R1、第3インク室R3、第5インク室R5にそれぞれ配置される第1〜第3攪拌部58〜60を備え、貯留室13内に複数の回転流を発生させるようにした。このため、短時間で、顔料濃度を均一にすることができる。
【0059】
(6)第3の実施形態では、攪拌部材56に備えられる第1攪拌部58の一部が、インクの液面から上になるように配置した。このため、攪拌部材56の比重が液体の比重と同じないし近い場合においても、攪拌部材56を回動させることができる。
【0060】
(7)第3の実施形態では、第1〜第4仕切部52a〜52dを設けることにより、第1〜第5インク室R1〜R5を鉛直方向に並べて形成した。そして、攪拌部材56は、最も下方の第5インク室R5に設けた。このため、インクが消耗されて、液面が下がっても、比較的下方の循環流路によりインクを循環させることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図9及び図10に従って説明する。尚、第4の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fの間には、板状の仕切部61が高さ方向(Z軸方向)に沿って立設されている。仕切部61は、その高さ(Z軸方向の長さ)が貯留室13の高さよりも短く形成され、左壁部11eの略中央に設けられている。その結果、貯留室13内は、第1インク室63及び第2インク室64に区画
され、上側通路66及び下側通路67を介して互いに連通されている。
【0063】
図9に示すように、ケース本体11の左壁部11eであって、第1インク室63側には、ポンプ手段としての攪拌部材68がケース本体11と一体に形成されている。図10に示すように、攪拌部材68は、略L字状に形成され、水平方向に延びた基端部68aは左壁部11eに連続して設けられている。基端部68aは、左壁部11eの高さ方向において略中央に形成されている。また、攪拌部材68は、基端部68aから、高さ方向上側に延びた板状の攪拌部69を有している。攪拌部69において、基端部68a寄りには、可撓部70が設けられている。可撓部70は、攪拌部材68の強度が損なわれない程度に、攪拌部69の厚みを部分的に薄くして形成されている。攪拌部69は、この可撓部70が撓むことにより、左壁部11eと右壁部11fとの間を所定の角度範囲だけ回動可能になっている。貯留室13内にインクが初期充填量だけ満たされると、攪拌部69の先端は液面から突出した状態となっている。
【0064】
ケース本体11および攪拌部材68は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂でインジェクション成形により作られる。これらの樹脂はインクと比重がほぼ同じであるが、攪拌部69の先端はインク液面より上に配置されているため、インクの抵抗を受けず、カートリッジCに印加される加速度により、攪拌部材68は回動するための慣性力を得ることができる。
【0065】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部材68の可撓部70が撓み、攪拌部69が回動する。その結果、第1インク室63内のインクは、攪拌部69により煽られて、第1インク室63上方に流れる。そして、上側通路66を介して、第2インク室64に流入する。第2インク室64に流入したインクは、下側通路67を介して第1インク室63に流入し、攪拌部69によって再び攪拌される。即ち、第1及び第2インク室63,64、上側及び下側通路66,67は、循環流路を構成する。従って、攪拌部材68により循環流路に送り出されたインクは、貯留室13内を回転しながら循環する。このため、底面に沈降しやすい顔料が浮遊して、インク全体に分散される。
【0066】
従って、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、第3の実施形態の(6)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)第4の実施形態では、攪拌部材68を、L字状に構成し、ケース本体11に一体に形成するようにした。このため、カートリッジCの構成を簡単にするとともに、部品組立工程を減らすことができる。
【0067】
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施形態を図11及び図12に従って説明する。尚、第5の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0068】
図11に示すように、ケース本体11の底壁部11bであって、貯留室13の底面には、ポンプ手段及び筒状部材を構成する筒状部71がケース本体11と一体に形成されている。筒状部71は、供給部18よりも前壁部11c側に設けられている。
【0069】
図12に示すように、筒状部71は、その内側にポンプ室72を備え、ポンプ室72は、導入孔72a、吐出孔72bを介して貯留室13に連通している。また、ポンプ室72内には、筒状部71の内側面を摺動する、ポンプ手段及び摺動部材を構成する摺動部73が収容されている。摺動部73は、インクの比重より大きい、合成樹脂又は金属等から形成されている。さらに、筒状部71の上壁部71aは、筒状部71の長さよりも長くなる
ように形成され、筒状部71の前側及び後側にそれぞれ突出している。
【0070】
さらに、筒状部71の外側面の吐出孔72b側には、吐出孔72bを閉塞可能な、ポンプ手段を構成する逆止弁74が配設されている。逆止弁74は、吐出孔72bからポンプ室72内のインクが吐出される際は、開弁状態となり、吐出孔72bに向かってインクが流れた際に、その流圧により閉弁状態になる。
【0071】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、摺動部73が、慣性力により、筒状部71内を加速方向(減速方向)と反対方向に摺動する。摺動部73が導入孔72a側から吐出孔72b側に向かって移動するとき、摺動部73と吐出孔72bとの間にあるインクは、摺動部73の移動によって吐出孔72bから押し出される。そして、ポンプ室72内の摺動部73と導入孔72aとの間には、導入孔72aからインクが流入する。
【0072】
反対に、摺動部73が、吐出孔72b側から導入孔72a側に向かって移動するとき、摺動部73と導入孔72aとの間にあるインクは、導入孔72aから押し出され、導入孔72aから導入されたインクは、摺動部73と筒状部71の間を通って吐出孔72b側に移動する。また、貯留室13内のインクが吐出孔72bに向かって流れると、逆止弁74が閉弁状態になる。即ち、筒状部71は、導入孔72aからインクを吸引し、吐出孔72bから吐出して、一方向にのみインクを送り出す。その結果、貯留室13内に、回転するような流れが生じ、貯留室13底面に沈降しやすい顔料が浮遊して、インク全体に分散される。
【0073】
従って、第5の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(9)第5の実施形態では、カートリッジC内に、導入孔72a及び吐出孔72bを備えた筒状部71を形成し、筒状部71内に、筒状部71の内側面を摺動する摺動部73を備えるようにした。また、筒状部71に、吐出孔72bから筒状部71内へのインクの流入を規制する逆止弁74を設けるようにした。このため、カートリッジCが加速又は減速された際等に、摺動部73が慣性力により筒状部71内を移動して、インクを吐出孔72bから吐出し、貯留室13内において一方向に向かうインクの流れを発生させることができる。
【0074】
(第6の実施形態)
次に、本発明を具体化した第6の実施形態を図13に従って説明する。尚、第6の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0075】
図13に示すように、左壁部11e及び右壁部11fの間には、蓋部12及び底壁部11bと離間した仕切部75が設けられている。この仕切部75によって、貯留室13は、第1インク室76,第2インク室77に区画されている。第1及び第2インク室76,77は、上側通路78及び下側通路79を介して互いに連通されている。
【0076】
また、左壁部11eには、ポンプ手段としての攪拌部材80が回動可能に軸支されている。この攪拌部材80は、板状の第1攪拌部81及び第2攪拌部82を備えている。第1攪拌部81の先端には、円柱状に形成された錘部81aが設けられている。また、第1攪拌部81の基端部には、回転軸83が形成されている。この回転軸83は、左壁部11e及び右壁部11fとの間に架設されている。
【0077】
回転軸83には、第1攪拌部81と略直交する方向に延びるように、第2攪拌部82が形成されている。第2攪拌部82の先端には、外側(第1攪拌部81と反対側)に向かっ
て屈曲した柄杓部84が形成されている。
【0078】
この攪拌部材80は、回転軸83が仕切部75の上端近傍に形成されることにより、第1攪拌部81が第1インク室76に、第2攪拌部82が第2インク室77に配置されるように設けられている。また、第1攪拌部81は、その錘部81aにより、先端が第1インク室76の下方に配置され、第2攪拌部82は、第2インク室77の上方に配置される。また、カートリッジCにインクを初期充填量だけ収容した場合には、インクの液面は、仕切部75の上方になる。
【0079】
そして、カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、第1攪拌部81が、前壁部11cと仕切部75との間を、所定の角度範囲だけ回動する。第2攪拌部82は、第1攪拌部81に従動して同じく所定の角度範囲を回動する。すると、第1攪拌部81のインク中での回動により、図13中矢印方向に示すように、貯留室13内のインクが下側通路79側に送り出され、第2インク室77に流入する。第2インク室77に流入したインクは、上側で回動する柄杓部84によって煽られる。インク液面が仕切部75よりも上側であった場合には、インクが、第1インク室76から、下側通路79を介して第2インク室77に流入し、第2インク室77から上側通路78を介して第1インク室76に流入する。即ち、第1及び第2インク室76,77と上側及び下側通路78,79は、循環流路を構成する。また、図13に示すように、インク液面が、仕切部75の上端よりも下方になった場合には、柄杓部84ですくい上げられたインクが、第1攪拌部81及び第2攪拌部82を伝って、第1インク室76に移送される。これにより、貯留室13の底面に沈降した顔料が、インク全体に分散される。
【0080】
従って、第6の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(10)第6の実施形態では、攪拌部材80を、それぞれ直交するように設けられた第1攪拌部81及び第2攪拌部82から構成した。また、第1攪拌部81の先端に錘部81aを設けるとともに、第2攪拌部82の先端に、外側に屈曲した柄杓部84を設けた。このため、錘部81aにより、第1攪拌部81は、貯留室13の比較的下方において回動し、第2攪拌部82は、貯留室13の比較的上方で回動する。その結果、貯留室13内で回転流が発生するので、インクを効率よく攪拌できる。また、インク液面が、仕切部75上端よりも下方になった場合にも、柄杓部84によってすくい上げられたインクが、第1インク室76に送り出される。このため、インクが消耗されても、インクを攪拌できる。
【0081】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、カートリッジCのケース本体11は、右壁部11f等が取り外された状態で形成され、各部品を収容した後に、右壁部11f等を固着するようにしてもよい。また、プリンタ1に搭載されるカートリッジCの数は、4個に限定されず、1個又は4個以外の複数個でもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、本発明を、カートリッジCをキャリッジ5に搭載する、オンキャリッジタイプのプリンタ1に具体化した場合について説明したが、オフキャリッジタイプのプリンタに具体化してもよい。このプリンタでは、インクを貯留するインクタンクから、チューブ等の供給路を介して、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6にインクを供給する。そして、インクタンクは、インクタンクを加速及び減速する駆動部に搭載される。このようにすると、オフキャリッジタイプのプリンタでも、インクタンク内のインクを攪拌できる。
【0083】
・上記各実施形態では、プリンタ1は、カートリッジC内のインクを攪拌するための攪拌動作を適宜行ってもよい。具体的には、印刷開始前や、所定期間ごとに、キャリッジ5
がホームポジション近傍等で加速動作又は減速動作を行い、攪拌部材27等を回動させる。このようにすると、記録ヘッド6がインクを吐出する前にインクを攪拌できるので、常に色濃度が均一な印刷物を作成できる。
【0084】
・第2の実施形態では、第1仕切部40又は第2仕切部43を高さ方向に沿って立設しても良い。このようにすると、攪拌部材27の回動によって発生したインクの流れは、第1又は第2仕切部40,43と、ケース本体11との間に沿った流れとなるので、顔料を上方のインクに分散できる。
【0085】
・第4の実施形態では、攪拌部材68の可撓部70は、蛇腹状等の形状に形成されてもよい。また、可撓部70は、エラストマ等の別部材で形成されてもよい。
・第5の実施形態では、貯留室13内に仕切部を設けてもよい。
【0086】
・第1〜第4及び第6実施形態では、攪拌部材27,49,56,68,80が充分な攪拌能力を有している場合には、貯留室13内の仕切部によって形成される循環流路を省略してもよい。このようにすると、カートリッジCの構成をより簡単にすることができる。
【0087】
・第1及び第2実施形態、第4〜6実施形態では、攪拌部材27,49,68,80及び筒状部71を複数設けるようにしてもよい。
・第1及び第2実施形態では、攪拌部材27,49の一部がインク液面から常に上方になるように、設けてもよい。
【0088】
・上記各実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ1について説明したが、その他の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体も顔料インクに限られず、染料インクや他の液体に応用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施形態のプリンタの要部斜視図。
【図2】同プリンタに搭載されるカートリッジの斜視図。
【図3】同カートリッジの断面図。
【図4】同カートリッジの断面図。
【図5】同カートリッジの断面図。
【図6】同カートリッジの攪拌部材の斜視図。
【図7】第2の実施形態のカートリッジの断面図。
【図8】第3の実施形態のカートリッジの断面図。
【図9】第4の実施形態のカートリッジの断面図。
【図10】同カートリッジの断面図。
【図11】第5の実施形態のカートリッジの断面図。
【図12】同カートリッジの要部を説明する断面図。
【図13】第6の実施形態のカートリッジの断面図。
【符号の説明】
【0090】
1…液体噴射装置としてのプリンタ、5…キャリッジ、6…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、10…ケース、13…貯留室、17…吐出部としてのインク吐出孔、19,43,61,75…仕切部、21,41,63,76…循環流路を構成する第1インク室、
22,42,64,77…循環流路を構成する第2インク室、23,66,78…循環流路を構成する上側通路、24,67,79…循環流路を構成する下側通路、27,49,56,68,80…ポンプ手段としての攪拌部材、28,50,57,83…ポンプ手段を構成する回転軸、29,51,69…攪拌部、40…第1仕切部、40a…通路、43…第2仕切部、44…循環流路を構成する上側インク室、45…循環流路を構成する下側インク室、46,53a〜53d…循環流路を構成する前側通路、47,54a〜54d…循環流路を構成する後側通路、58〜60…攪拌部としての第1〜第3攪拌部、52a〜52d…第1〜第4仕切部、70…ポンプ手段を構成する回転軸としての可撓部、71…ポンプ手段及び筒状部材を構成する筒状部、73…ポンプ手段を構成する摺動部、72a…導入孔、72b…吐出孔、74…ポンプ手段を構成する逆止弁、81,82…攪拌部としての第1及び第2攪拌部、81a…錘部、84…柄杓部、C…液体収容体としてのカートリッジ、C1〜C4…液体収容体としての第1〜第4カートリッジ、R1〜R5…循環流路を構成する第1〜第5インク室。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容体及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドから液体を吐出する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。このプリンタは、液体収容体としてのカートリッジ又はインクタンクに貯留された染料インク又は顔料インクを記録ヘッドから吐出して印刷を行う。顔料インクは、耐ガス性、耐水性に優れるが、溶媒に色材を溶解した染料インクとは異なり、分散媒に顔料を分散させて製造されている。このため、長期間放置すると、顔料及び分散媒の比重差により顔料が沈降し、インクの濃度差が発生してしまう問題がある。
【0003】
この問題に対し、顔料インクを攪拌する機構が多数提案されている。この機構として、例えば、球状に形成された金属製の攪拌子を内部に配設するカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この攪拌子は、キャリッジの動力に従って転がることでインクを攪拌するので、攪拌機構を駆動するモータ等を省略できる。
【特許文献1】特開平9−309212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記したような攪拌子を使用する場合、攪拌子は主にキャリッジの移動方向と平行な方向のみに転がるので、カートリッジ内のインクを鉛直方向及び水平方向に移動させてインク全体を攪拌することができなかった。このため、カートリッジに顔料インクが貯留されている場合には、底部に沈降した顔料をインク全体に分散させることが困難だった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、内部に収容された液体を効率良く攪拌することができる液体収容体及びその液体収容体を搭載した液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記仕切部によって形成された前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えた。
【0007】
これによれば、液体収容体は、ケース内に貯留室を備え、貯留室内には、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備える。このため、ポンプ手段により循環流路に液体を送り出し、循環させることができるので、貯留室内の液体全体を効率よく攪拌できる。従って、液体の各成分の濃度分布を均一化することができる。また、循環流路は、貯留室内に設けられた仕切部によって構成されるので、液体収容体を簡単な構成にすることができる。
【0008】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えた。
これによれば、ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部が回転軸を中心に回動し、循環流路内に液体を送出することができる。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる
。また、ポンプ手段は、慣性力等を利用して回転するので、駆動モータ等が必要ない。
【0009】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。
【0010】
これによれば、ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内に摺動可能に設けられた摺動部材と、吐出孔から筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。このため、摺動部材の移動により、導入孔側から吐出孔側に向かって液体を押し出すことができるので、一方向に液体を送り出すことができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して摺動部材が摺動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0011】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、攪拌部の一端部側に設けられた錘部と、同錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成される。
これによれば、ポンプ手段は、本体の一端部側に設けられた錘部と、錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成される。このため、錘部側の攪拌部の回動により一方向に送られた液体を、柄杓部により上方又は反対側に送り出すので、貯留室内の液体を移送することができる。従って、この液体の流れにより、液体を攪拌することができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部材が回動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0012】
この液体収容体において、前記ポンプ手段又は前記攪拌部は、複数設けられている。
これによれば、ポンプ手段又は攪拌部は複数設けられているので、液体を短時間で攪拌できる。
【0013】
この液体収容体において、前記ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されている。
これによれば、ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されている。このため、液体収容体が加速又は減速されると、液面より上に配置されたポンプ手段の一部は液体からの抵抗を受けずに回動するので、ポンプ手段を効率的に回動させることができる。また、ポンプ手段の一部が液面より上に配置されることで、ポンプ手段を構成する材質の比重が、液体の比重と同じである場合にも、ポンプ手段を回動させることができる。
【0014】
この液体収容体において、前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室の底部に設けられる。
これによれば、ポンプ手段及び循環流路は、貯留室の底部に設けられているので、貯留室の底面に沈降又は分離した成分を容易に攪拌できる。また、液体の残量が残りわずかとなった場合においても、攪拌効果を得ることができる。
【0015】
この液体収容体において、前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられている。
これによれば、ポンプ手段及び循環流路は、貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられている。このため、外部に吐出される直前に、液体を攪拌することができるので、濃度が比較的均一な液体を吐出することができる。
【0016】
この液体収容体において、前記仕切部は、複数形成され、前記貯留室内に鉛直方向に並べて設けられるとともに、前記ポンプ手段は、前記循環流路のうち、鉛直方向における下方位置に設けられている。
【0017】
これによれば、仕切部は、鉛直方向に並べて複数設けられている。このため、循環流路は、各仕切部の間や、仕切部とケースとの間に、鉛直方向に沿った複数の流路から構成される。また、ポンプ手段は、循環流路のうち、鉛直方向の下方位置に設けられる。このため、貯留室内の液体が初期量より減少して、液面が下がっても、下側の循環流路により液体を循環させることができる。
【0018】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内を回流する液体の流れを発生させるポンプ手段を前記貯留室内に設け、前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えている。
【0019】
これによれば、液体収容体には、貯留室内を回流する液体の流れを生成するポンプ手段が設けられる。ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して攪拌部が回転軸を中心に回動し、貯留室内を回流する流れを生成することにより、液体を攪拌することができる。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる。また、ポンプ手段は、液体収容体に加わる外力を利用するので、駆動モータ等が必要ない。
【0020】
本発明は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、前記貯留室内に、液体を攪拌するポンプ手段を設け、前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。
【0021】
これによれば、ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内に摺動可能に設けられた摺動部材と、吐出孔から筒状部内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成される。このため、摺動部材の移動により、導入孔側から吐出孔側に向かって液体を押し出すことができるので、一方向に液体を送出して液体の流れを発生し、液体を攪拌することができる。また、例えば、液体収容体が加速又は減速されたりすると、慣性力を利用して摺動部材が摺動するので、駆動モータ等を省略できる。
【0022】
本発明は、主走査方向に沿って往復移動するキャリッジに液体収容体及び液体噴射ヘッドを搭載し、前記液体収容体から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体噴射装置において、前記液体収容体は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容し、前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、前記仕切部によって形成された前記循環流路内に設けられ、前記キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えている。
【0023】
これによれば、液体噴射装置は、キャリッジと、キャリッジに搭載された液体収容体及び液体噴射ヘッドとを備える。また、液体収容体は、ケース内の貯留室に液体を収容し、貯留室内の液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部を備える。さらに、液体収容体は、循環流路内に設けられ、キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、循環流路に液体を送り出すポンプ手段を備える。このため、貯留室内の液体をポンプ手段から送り出し、発生した液体の流れを循環流路によって循環させることができるので、貯留室内の液体全体を効率よく攪拌できる。従って、濃度の偏りのない液体を液体噴射ヘッドから吐出できる。また、ポンプ手段は、キャリッジの加速動作又は減速動作に従動するので、キャリッジの動力を有効利用し、ポンプ手段を駆動するためのモータを省略できる。
【0024】
この液体噴射装置において、前記液体収容体に設けられた前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部
とを備えた。
【0025】
これによれば、ポンプ手段は、ケースに支持され、貯留室内に配置された回転軸と、回転軸を中心に回動する攪拌部とから構成されている。従って、液体収容体に外力が加えられた際に、攪拌部が回転軸を中心に回動し、循環流路内に液体を送り出す。このため、ポンプ手段を簡単な構成にすることができる。
【0026】
この液体噴射装置において、前記液体収容体の前記回転軸は、その軸線が、前記キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられている。
これによれば、ポンプ手段の回転軸は、その軸線が、キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられている。このため、キャリッジが加速又は減速した際には、ポンプ手段に対して発生したキャリッジの主走査方向と平行な慣性力を有効に利用して、ポンプ手段を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ1とする)の要部を説明する斜視図である。
【0028】
図1に示すように、プリンタ1は、上側が開口する略直方体形状のフレーム2を備えている。フレーム2には、プラテン3が架設されており、図示しない紙送り機構により、このプラテン3上をターゲットとしての紙Pが副走査方向(図1中Y軸方向)に給送されるようになっている。そして、フレーム2にはプラテン3と平行にガイド部材4が架設されており、このガイド部材4には、キャリッジ5がガイド部材4の軸線方向に移動可能に挿通支持されている。また、このキャリッジ5は、タイミングベルトTBを介してキャリッジモータCMに駆動連結されており、キャリッジモータCMの駆動によってガイド部材4に沿って主走査方向(図1中X軸方向)に往復移動されるようになっている。
【0029】
また、キャリッジ5には、液体収容体としての第1〜第4カートリッジC1〜C4が着脱可能に装着されている。第1カートリッジC1は、内部に、液体としてのブラックインクを収容している。第2〜第4カートリッジC2〜C4は、内部に、液体としての各種カラーインクを収容している。各種インクは、分散媒に色材である顔料を分散させた、いわゆる顔料インクである。尚、第1〜第4カートリッジC1〜C4を互いに区別しないで説明する場合には、単にカートリッジCとして説明する。
【0030】
キャリッジ5のプラテン3に対向する面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド6が搭載されている。記録ヘッド6の下面には図示しないノズル列の開口が形成されている。各ノズル列は、各インクにそれぞれ対応しており、図示しない圧電素子の駆動により、紙P上にインク滴が吐出されるようになっている。
【0031】
また、フレーム2内には、メンテナンスユニット7が備えられている。メンテナンスユニット7は、キャリッジ5の移動範囲内であって、紙Pの搬送経路外の領域である非印刷領域に設けられており、本実施形態では図1中右側に設けられたホームポジションに配設されている。このメンテナンスユニット7は、非印刷状態のときに記録ヘッド6をキャップ8にて封止し、ノズル内の乾燥を防止したり、印刷不良を防止するためのヘッドクリーニングを行う。
【0032】
次に、カートリッジCについて、図2〜図6に従って説明する。図2は、カートリッジCの斜視図、図3〜図5はカートリッジCの断面図である。
図2に示すように、カートリッジCは、略直方体状に形成されたケース10を備えている。ケース10は、一側面が開口した箱体状に形成されたケース本体11と蓋部12とから構成されている。図3に示すように、ケース本体11の内部には、貯留室13が備えられており、ケース本体11の開口を蓋部12により封止することにより、貯留室13が密閉されるようになっている。
【0033】
蓋部12には、インク注入孔14が貫通形成されている。このインク注入孔14からは、インクが貯留室13内に注入されるようになっている。また、蓋部12には、大気連通孔15a及び連通溝15bが形成されている。大気連通孔15aは、蓋部12に貫通形成され、貯留室13と外部とを連通している。連通溝15bは、蓋部12を蛇行するように形成され、大気連通孔15aに連通している。インク注入孔14、大気連通孔15a及び連通溝15bの一部は、蓋部12に貼着された封止フィルム16によって封止される。そして、貯留室13内は、封止された大気連通孔15a及び連通溝15bを介して、大気開放された連通溝15bの端部によって、大気に開放される。
【0034】
また、図3に示すように、ケース本体11の底壁部11bには、インク吐出孔17が貫通形成されている。このインク吐出孔17は、図4中鎖線で示すように、底壁部11bの外側面に突出形成された供給部18内に連続して形成され、供給部18の下面にて開口している。供給部18内には、図示しない弁機構が備えられ、カートリッジCをキャリッジ5に装着すると、キャリッジ5に設けられた図示しないインク針が供給部18内に貫挿されて前記弁機構を開弁し、貯留室13内のインクをインク針に供給するようになっている。
【0035】
図3に示すように、ケース本体11の左壁部11eと右壁部11f(図2参照)との間には、板状の仕切部19が、高さ方向(Z軸方向)に沿って立設されている。この仕切部19は、その高さ(Z軸方向の長さ)が、貯留室13の高さよりも短く、幅(X軸方向の長さ)が、貯留室13の幅とほぼ同じになるように形成され、貯留室13の略中央位置に配置されている。従って、図3及び図4に示すように、仕切部19は、その上端及び下端が、蓋部12及びケース本体11の底壁部11bと離間するように設けられている。また、貯留室13内は、仕切部19によって、第1インク室21及び第2インク室22に区画されている。これらの第1及び第2インク室21,22は、仕切部19の上端側及び下端側に設けられた、上側及び下側通路23,24によって互いに連通されている。
【0036】
さらに、ケース本体11の左壁部11eであって、第1インク室21内には、一対の軸受25が立設されている。各軸受25は、第1インク室21の高さ方向(Z軸方向)及び奥行き方向(Y軸方向)において、略中央に配設されている。これらの軸受25には、図6に示す、ポンプ手段としての攪拌部材27が回動可能に軸支されている。この攪拌部材27は、インクの比重より大きい比重を有する合成樹脂又は金属等から構成されている。
【0037】
図6に示すように、攪拌部材27は、回転軸28を有している。回転軸28は、円柱状の大径部30を備えている。この大径部30の両端には、一対の小径部31が外側に向かって突出するように形成されている。また、大径部30の側面からは、板状の攪拌部29が一体に形成されている。
【0038】
この攪拌部材27は、図4に示すように、各小径部31が各軸受25に軸支されることにより、第1インク室21内に取着される。すると、攪拌部材27の攪拌部29は、重力によって鉛直方向に垂下した状態になる。この構成により、攪拌部材27は、図5中、2点鎖線及び矢印で示すように、回転軸28を中心として、左壁部11eと右壁部11fとの間において、所定の角度範囲を回動可能となる。そして、カートリッジCに外力が加えられ、カートリッジCがX軸方向と平行な方向に、所定の加速度又は減速度以上で加速又
は減速されると、攪拌部材27に対して加わった慣性力及び重力の合力が、軸受25との摩擦力、インクから受ける圧力等を上回り、その攪拌部29が回転軸28を中心に振子運動を行うようになっている。
【0039】
次に、カートリッジCの作用について説明する。各カートリッジCには、インク注入孔14から、インクが予め決められた初期充填量だけ注入される。すると、図4及び図5に示すように、インクの液面は、仕切部19の上端よりも上方の位置になる。このカートリッジCをキャリッジ5に装着する前に、各カートリッジCを幅方向等に振ると、図5に示すように、貯留室13内の攪拌部材27が、回転軸28を中心に回動する。すると、図4中矢印方向に示すように、回動する攪拌部29によって、貯留部13底面側のインクが煽られ、その先端部分の近傍に設けられた下側通路24を介して、第2インク室22に送出される。このとき、貯留室13の底部には、インクに含有される顔料が沈降している場合があるが、攪拌部29に煽られることによって浮遊し、第2インク室22側に送り出される。
【0040】
下側通路24を介して送出されたインクは、仕切部19及び背壁部11dに沿って、上昇する。即ち、第2インク室22においては、インクは図4中矢印方向に示すように、貯留室13の底面側から上方へ向かって流れる。
【0041】
底面側から上方へ向かうインクの流れは、上側通路23を介して、再び第1インク室21に流入する。つまり、インクは、第1インク室21から、下側通路24を介して第2インク室22に流入し、上側通路23を介して第1インク室21に戻る回転流となり、貯留室13内を循環する。即ち、第1及び第2インク室21,22と、上側通路23及び下側通路24とは、インクが循環する循環流路を構成する。攪拌部材27は、循環流路内にインクを圧送するポンプの役割を有し、攪拌部材27の回動により循環流路に送出されたインクは、貯留室13全体を循環する回転流となる。その結果、貯留室13内のインクが攪拌され、顔料の濃度分布が均一になる。また、攪拌部材27は、攪拌部29が垂下するように設けられたことで、小さな外力で容易に回動し、しかも何度も往復移動する。
【0042】
キャリッジ5にカートリッジCを装着すると、図1に示すように、カートリッジCの幅方向が、キャリッジ5の主走査方向(X軸方向)と平行になるように配設される。また、貯留室13内の回転軸28の軸線は、キャリッジ5の主走査方向と直交する方向になる。インク攪拌又は印刷を行う目的で、キャリッジ5が主走査方向に沿って加速又は減速すると、カートリッジC内に設けられた攪拌部材27は、キャリッジ5の移動動作に従って回動する。すると、前記したように、貯留室13内に回転及び循環するインクの流れが発生する。その結果、貯留室13内のインクは、顔料濃度分布が偏りのない状態となり、顔料濃度が均一なインクが、供給部18を介して記録ヘッド6に供給される。このため、比較的長い印刷休止期間の後に印刷を行っても、色濃度の偏りのない印刷物が作成される。
【0043】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、キャリッジ5に搭載されるカートリッジCの貯留室13に、仕切部19を形成し、貯留室13内を第1及び第2インク室21,22に区画した。そして、第1及び第2インク室21,22と上側及び下側通路23,24とにより、循環流路を構成した。また、循環流路内に、カートリッジCの加速又は減速に従って回動し、インクを循環流路内の一方向に送り出す攪拌部材27を備えた。このため、貯留室13内に鉛直方向及び水平方向に向かうインクの流れを発生させることができるので、インクを効率よく攪拌できる。従って、貯留室13の底面に沈降しやすい顔料をインク全体に分散させることができる。また、貯留室13内に、チューブ、複雑な流路部材等を設けずに循環流路が構成されるので、カートリッジCの構成を簡単にすることができる。
【0044】
(2)第1の実施形態では、攪拌部材27を、ケース10に支持され、貯留室13内に配置された回転軸28と、回転軸28を中心に回動する攪拌部29とから構成した。そして、カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速した際に、攪拌部材27が慣性力等により回転軸28を中心に回動するようにした。このため、攪拌部材27を簡単な構成とし、しかも、カートリッジCに加えられた外力を有効に利用して回動させることができる。
【0045】
(3)第1の実施形態では、攪拌部材27を、攪拌部29が垂下するように配設した。このため、キャリッジ5の加速度又は減速度が比較的小さくても、攪拌部29が慣性力及び重力に従って振子運動を開始するので、キャリッジ5の動力を効率よく利用することができる。しかも、攪拌部材27は、振子運動をすることにより、攪拌部29が水平に設けられた場合よりも、往復移動回数が多くなり、回動動作の継続時間も長くなる。このため、カートリッジCに加えられた外力に対するインク攪拌効率を向上できる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図7に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fの間には、板状の第1仕切部40が奥行方向(Y軸方向)に沿って立設されている。第1仕切部40は、その奥行(Y軸方向の長さ)が、貯留室13の奥行よりも短くなるように形成され、一端が、背壁部11dに連続して設けられ、他端が前壁部11cと離間するように設けられている。この第1仕切部40により、貯留室13は、第1インク室41及び第2インク室42に区画され、第1仕切部40と前壁部11cとの通路40aにより、第1及び第2インク室41,42が連通される。
【0048】
また、左壁部11eであって、第2インク室42側には、第2仕切部43が立設されている。第2仕切部43は、その奥行が、貯留室13の奥行よりも短くなるように形成され、その両端が、前壁部11c及び背壁部11dと離間するように設けられている。その結果、第2インク室42は、上側インク室44及び下側インク室45に区画され、前側通路46及び後側通路47を介して連通される。
【0049】
左壁部11eであって、下側インク室45側には、一対の軸受48が設けられ、軸受48にはポンプ手段としての攪拌部材49が軸支されている。攪拌部材49は、その攪拌部51が、回転軸50を中心に左壁部11e及び右壁部11fとのとの間を所定の角度範囲だけ回動可能になっている。この攪拌部材49の構成は、図6に示す攪拌部材27の構成と同一の構成になっている。
【0050】
カートリッジCを手で振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部51が、慣性力により、加わった加速度又は減速度と反対の方向に回動する。そして、キャリッジ5が往復移動する等して、この攪拌部材27の回動動作が繰り返されると、図7中矢印方向に示すように、下側インク室45内のインクが背壁部11d側に送られる。さらに、インクは、背壁部11dに沿って上昇し、後側通路47を介して、上側インク室44に流入する。上側インク室44に流入したインクは、第1仕切部40及び第2仕切部43に沿って前壁部11c側に流れ、その大部分は前側通路46を介して下側インク室45に流入する。即ち、これらの上側インク室44、下側インク室45、前側通路46及び後側通路47は、インクが循環する循環流路を構成する。このため、記録ヘッド6に供給する直前のインクが攪拌されるので、顔料濃度の偏りのない状態のインクが記録ヘッド6に供給される。
【0051】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第2の実施形態では、貯留室13内に設けた第1仕切部40により、貯留室13内を第1インク室41及び第2インク室42に区画した。そして、第2インク室42を、第2仕切部43により区画して、上側インク室44、下側インク室45を形成した。さらに、上側及び下側インク室44,45を、前側通路46及び後側通路47により連通して、循環流路を構成した。また、下側インク室45に、攪拌部材49を設けた。このように、貯留室13内の底部に循環流路及び攪拌部材49を設けたので、貯留室13の底面に沈降した顔料を容易に攪拌できる。しかも、循環流路及び攪拌部材49は、ケース本体11の底壁部11bに設けられたインク吐出孔17近傍に設けられているので、攪拌したインクをすぐに記録ヘッド6に供給できる。さらに、循環流路を比較的短くすることで、循環流路内の顔料濃度分布が均一になるまでにかかる時間を短縮化することができる。また、インクが消費され、インク残量が少なくなった場合においても、インクの液面が仕切部43より上の状態であれば、循環流路を形成でき、攪拌効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図8に従って説明する。尚、第3の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0052】
図8に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fとの間には、第1〜第4仕切部52a〜52dが奥行方向(Y軸方向)に沿って立設されている。最も下方に配置された第4仕切部52dは、貯留室13の底面から所定距離の位置に設けられ、第1〜第3仕切部52a〜52cは、それぞれ等間隔で順番に並べられている。最も上方に配置された第1仕切部52aは、貯留室13の上面から所定距離だけ離間した位置に設けられる。また、第1〜第4仕切部52a〜52dは、その両端が、前壁部11c及び背壁部11dと離間するように設けられている。その結果、第1〜第4仕切部52a〜52d、蓋部12、底壁部11bの間には、第1〜第5インク室R1〜R5が設けられる。また、第1〜第5インク室R1〜R5は、第1〜第4仕切部52a〜52dと前壁部11cとの間に設けられた各前側通路53a〜53d、第1〜第4仕切部52a〜52dと背壁部11dとの間に設けられた各後側通路54a〜54dを介して連通される。
【0053】
また、左壁部11eの内側であって、蓋部12寄り及び底壁部11b寄りの位置には、一対の軸受55が形成されている。各軸受55には、ポンプ手段としての攪拌部材56が軸支されている。攪拌部材56は、貯留室13の高さ(Z軸方向の長さ)とほぼ同じ長さの回転軸57を備え、この回転軸57には、第1〜第3攪拌部58〜60が形成されている。第1及び第3攪拌部58,60は、回転軸57の端部側に形成され、第2攪拌部59は、その略中央に形成されている。その結果、第1〜第3攪拌部58〜60は、第1インク室R1、第3インク室R3、第5インク室R5にそれぞれ配置される。
【0054】
貯留室13内にインクを初期充填量だけ注入すると、第1攪拌部58は、その一部がインクの液面よりも上に出た状態になる。第2及び第3攪拌部59,60は、液中に配置される。
【0055】
攪拌部材56は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂でインジェクション成形により作られる。これらの樹脂はインクと比重がほぼ同じであるが、攪拌部58の一部はインク液面より上に配置されているため、インクの抵抗を受けず、カートリッジCに印加される加速度により、攪拌部材56は回動するための慣性力を得ることができる。
【0056】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部材56が、左壁部11e及び右壁部11fの間で回動する。すると、図8中矢印方向に示すように、第1攪拌部58の回動により送り出されたインクが、後側通路54aを介して第2インク室R2に流入する。また、第2攪拌部59の回動により送り出されたインクは、各後側通路54b,54cにおいて分岐して、第2インク室R2及び第4インク室R4にそれぞれ流入する。このとき、第1インク室R1側から送出されたインクと、第3インク室R3側から送出されたインクが、後側通路54a,54bによって合流し、第2インク室R2に流入する。合流したインクは、第2インク室R2を通過し、前側通路53a,53bにおいて分岐して、第1インク室R1及び第3インク室R3にそれぞれ流入する。
【0057】
同様に、第3攪拌部60の回動により送り出されたインクは、後側通路54dを介して第4インク室R4に流入する。このとき、第3インク室R3から送出されたインクと、第5インク室R5から送出されたインクとが合流して、第4インク室R4に流入する。第4インク室R4を通過したインクは、前側通路53c,53dにて分岐し、第3インク室R3及び第5インク室R5にそれぞれ流入する。このとき、第3インク室R3には、第2インク室R2及び第4インク室R4から送出されたインクが合流する。このように、第1〜第5インク室R1〜R5、前側通路53a〜53d、後側通路54a〜54dは、インクが循環する循環流路を構成する。第1〜第3攪拌部58〜60により循環流路に送り出されたインクは、複数の回転流となる。このため、底部に沈降した顔料が攪拌され、インク全体に分散される。
【0058】
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第3の実施形態では、貯留室13内に設けた第1〜第4仕切部52a〜52dにより、第1〜第5インク室R1〜R5を形成した。そして、第1〜第5インク室R1〜R5を、前側通路53a〜53d、後側通路54a〜54dにより連通し、循環流路を構成するようにした。さらに、貯留室13内に設けられた攪拌部材56に、第1インク室R1、第3インク室R3、第5インク室R5にそれぞれ配置される第1〜第3攪拌部58〜60を備え、貯留室13内に複数の回転流を発生させるようにした。このため、短時間で、顔料濃度を均一にすることができる。
【0059】
(6)第3の実施形態では、攪拌部材56に備えられる第1攪拌部58の一部が、インクの液面から上になるように配置した。このため、攪拌部材56の比重が液体の比重と同じないし近い場合においても、攪拌部材56を回動させることができる。
【0060】
(7)第3の実施形態では、第1〜第4仕切部52a〜52dを設けることにより、第1〜第5インク室R1〜R5を鉛直方向に並べて形成した。そして、攪拌部材56は、最も下方の第5インク室R5に設けた。このため、インクが消耗されて、液面が下がっても、比較的下方の循環流路によりインクを循環させることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図9及び図10に従って説明する。尚、第4の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、ケース本体11の左壁部11e及び右壁部11fの間には、板状の仕切部61が高さ方向(Z軸方向)に沿って立設されている。仕切部61は、その高さ(Z軸方向の長さ)が貯留室13の高さよりも短く形成され、左壁部11eの略中央に設けられている。その結果、貯留室13内は、第1インク室63及び第2インク室64に区画
され、上側通路66及び下側通路67を介して互いに連通されている。
【0063】
図9に示すように、ケース本体11の左壁部11eであって、第1インク室63側には、ポンプ手段としての攪拌部材68がケース本体11と一体に形成されている。図10に示すように、攪拌部材68は、略L字状に形成され、水平方向に延びた基端部68aは左壁部11eに連続して設けられている。基端部68aは、左壁部11eの高さ方向において略中央に形成されている。また、攪拌部材68は、基端部68aから、高さ方向上側に延びた板状の攪拌部69を有している。攪拌部69において、基端部68a寄りには、可撓部70が設けられている。可撓部70は、攪拌部材68の強度が損なわれない程度に、攪拌部69の厚みを部分的に薄くして形成されている。攪拌部69は、この可撓部70が撓むことにより、左壁部11eと右壁部11fとの間を所定の角度範囲だけ回動可能になっている。貯留室13内にインクが初期充填量だけ満たされると、攪拌部69の先端は液面から突出した状態となっている。
【0064】
ケース本体11および攪拌部材68は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂でインジェクション成形により作られる。これらの樹脂はインクと比重がほぼ同じであるが、攪拌部69の先端はインク液面より上に配置されているため、インクの抵抗を受けず、カートリッジCに印加される加速度により、攪拌部材68は回動するための慣性力を得ることができる。
【0065】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、攪拌部材68の可撓部70が撓み、攪拌部69が回動する。その結果、第1インク室63内のインクは、攪拌部69により煽られて、第1インク室63上方に流れる。そして、上側通路66を介して、第2インク室64に流入する。第2インク室64に流入したインクは、下側通路67を介して第1インク室63に流入し、攪拌部69によって再び攪拌される。即ち、第1及び第2インク室63,64、上側及び下側通路66,67は、循環流路を構成する。従って、攪拌部材68により循環流路に送り出されたインクは、貯留室13内を回転しながら循環する。このため、底面に沈降しやすい顔料が浮遊して、インク全体に分散される。
【0066】
従って、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、第3の実施形態の(6)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)第4の実施形態では、攪拌部材68を、L字状に構成し、ケース本体11に一体に形成するようにした。このため、カートリッジCの構成を簡単にするとともに、部品組立工程を減らすことができる。
【0067】
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施形態を図11及び図12に従って説明する。尚、第5の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0068】
図11に示すように、ケース本体11の底壁部11bであって、貯留室13の底面には、ポンプ手段及び筒状部材を構成する筒状部71がケース本体11と一体に形成されている。筒状部71は、供給部18よりも前壁部11c側に設けられている。
【0069】
図12に示すように、筒状部71は、その内側にポンプ室72を備え、ポンプ室72は、導入孔72a、吐出孔72bを介して貯留室13に連通している。また、ポンプ室72内には、筒状部71の内側面を摺動する、ポンプ手段及び摺動部材を構成する摺動部73が収容されている。摺動部73は、インクの比重より大きい、合成樹脂又は金属等から形成されている。さらに、筒状部71の上壁部71aは、筒状部71の長さよりも長くなる
ように形成され、筒状部71の前側及び後側にそれぞれ突出している。
【0070】
さらに、筒状部71の外側面の吐出孔72b側には、吐出孔72bを閉塞可能な、ポンプ手段を構成する逆止弁74が配設されている。逆止弁74は、吐出孔72bからポンプ室72内のインクが吐出される際は、開弁状態となり、吐出孔72bに向かってインクが流れた際に、その流圧により閉弁状態になる。
【0071】
カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、摺動部73が、慣性力により、筒状部71内を加速方向(減速方向)と反対方向に摺動する。摺動部73が導入孔72a側から吐出孔72b側に向かって移動するとき、摺動部73と吐出孔72bとの間にあるインクは、摺動部73の移動によって吐出孔72bから押し出される。そして、ポンプ室72内の摺動部73と導入孔72aとの間には、導入孔72aからインクが流入する。
【0072】
反対に、摺動部73が、吐出孔72b側から導入孔72a側に向かって移動するとき、摺動部73と導入孔72aとの間にあるインクは、導入孔72aから押し出され、導入孔72aから導入されたインクは、摺動部73と筒状部71の間を通って吐出孔72b側に移動する。また、貯留室13内のインクが吐出孔72bに向かって流れると、逆止弁74が閉弁状態になる。即ち、筒状部71は、導入孔72aからインクを吸引し、吐出孔72bから吐出して、一方向にのみインクを送り出す。その結果、貯留室13内に、回転するような流れが生じ、貯留室13底面に沈降しやすい顔料が浮遊して、インク全体に分散される。
【0073】
従って、第5の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(9)第5の実施形態では、カートリッジC内に、導入孔72a及び吐出孔72bを備えた筒状部71を形成し、筒状部71内に、筒状部71の内側面を摺動する摺動部73を備えるようにした。また、筒状部71に、吐出孔72bから筒状部71内へのインクの流入を規制する逆止弁74を設けるようにした。このため、カートリッジCが加速又は減速された際等に、摺動部73が慣性力により筒状部71内を移動して、インクを吐出孔72bから吐出し、貯留室13内において一方向に向かうインクの流れを発生させることができる。
【0074】
(第6の実施形態)
次に、本発明を具体化した第6の実施形態を図13に従って説明する。尚、第6の実施形態は、第1の実施形態のカートリッジCを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0075】
図13に示すように、左壁部11e及び右壁部11fの間には、蓋部12及び底壁部11bと離間した仕切部75が設けられている。この仕切部75によって、貯留室13は、第1インク室76,第2インク室77に区画されている。第1及び第2インク室76,77は、上側通路78及び下側通路79を介して互いに連通されている。
【0076】
また、左壁部11eには、ポンプ手段としての攪拌部材80が回動可能に軸支されている。この攪拌部材80は、板状の第1攪拌部81及び第2攪拌部82を備えている。第1攪拌部81の先端には、円柱状に形成された錘部81aが設けられている。また、第1攪拌部81の基端部には、回転軸83が形成されている。この回転軸83は、左壁部11e及び右壁部11fとの間に架設されている。
【0077】
回転軸83には、第1攪拌部81と略直交する方向に延びるように、第2攪拌部82が形成されている。第2攪拌部82の先端には、外側(第1攪拌部81と反対側)に向かっ
て屈曲した柄杓部84が形成されている。
【0078】
この攪拌部材80は、回転軸83が仕切部75の上端近傍に形成されることにより、第1攪拌部81が第1インク室76に、第2攪拌部82が第2インク室77に配置されるように設けられている。また、第1攪拌部81は、その錘部81aにより、先端が第1インク室76の下方に配置され、第2攪拌部82は、第2インク室77の上方に配置される。また、カートリッジCにインクを初期充填量だけ収容した場合には、インクの液面は、仕切部75の上方になる。
【0079】
そして、カートリッジCを振ったり、カートリッジCを搭載したキャリッジ5が加速又は減速すると、第1攪拌部81が、前壁部11cと仕切部75との間を、所定の角度範囲だけ回動する。第2攪拌部82は、第1攪拌部81に従動して同じく所定の角度範囲を回動する。すると、第1攪拌部81のインク中での回動により、図13中矢印方向に示すように、貯留室13内のインクが下側通路79側に送り出され、第2インク室77に流入する。第2インク室77に流入したインクは、上側で回動する柄杓部84によって煽られる。インク液面が仕切部75よりも上側であった場合には、インクが、第1インク室76から、下側通路79を介して第2インク室77に流入し、第2インク室77から上側通路78を介して第1インク室76に流入する。即ち、第1及び第2インク室76,77と上側及び下側通路78,79は、循環流路を構成する。また、図13に示すように、インク液面が、仕切部75の上端よりも下方になった場合には、柄杓部84ですくい上げられたインクが、第1攪拌部81及び第2攪拌部82を伝って、第1インク室76に移送される。これにより、貯留室13の底面に沈降した顔料が、インク全体に分散される。
【0080】
従って、第6の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(10)第6の実施形態では、攪拌部材80を、それぞれ直交するように設けられた第1攪拌部81及び第2攪拌部82から構成した。また、第1攪拌部81の先端に錘部81aを設けるとともに、第2攪拌部82の先端に、外側に屈曲した柄杓部84を設けた。このため、錘部81aにより、第1攪拌部81は、貯留室13の比較的下方において回動し、第2攪拌部82は、貯留室13の比較的上方で回動する。その結果、貯留室13内で回転流が発生するので、インクを効率よく攪拌できる。また、インク液面が、仕切部75上端よりも下方になった場合にも、柄杓部84によってすくい上げられたインクが、第1インク室76に送り出される。このため、インクが消耗されても、インクを攪拌できる。
【0081】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、カートリッジCのケース本体11は、右壁部11f等が取り外された状態で形成され、各部品を収容した後に、右壁部11f等を固着するようにしてもよい。また、プリンタ1に搭載されるカートリッジCの数は、4個に限定されず、1個又は4個以外の複数個でもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、本発明を、カートリッジCをキャリッジ5に搭載する、オンキャリッジタイプのプリンタ1に具体化した場合について説明したが、オフキャリッジタイプのプリンタに具体化してもよい。このプリンタでは、インクを貯留するインクタンクから、チューブ等の供給路を介して、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6にインクを供給する。そして、インクタンクは、インクタンクを加速及び減速する駆動部に搭載される。このようにすると、オフキャリッジタイプのプリンタでも、インクタンク内のインクを攪拌できる。
【0083】
・上記各実施形態では、プリンタ1は、カートリッジC内のインクを攪拌するための攪拌動作を適宜行ってもよい。具体的には、印刷開始前や、所定期間ごとに、キャリッジ5
がホームポジション近傍等で加速動作又は減速動作を行い、攪拌部材27等を回動させる。このようにすると、記録ヘッド6がインクを吐出する前にインクを攪拌できるので、常に色濃度が均一な印刷物を作成できる。
【0084】
・第2の実施形態では、第1仕切部40又は第2仕切部43を高さ方向に沿って立設しても良い。このようにすると、攪拌部材27の回動によって発生したインクの流れは、第1又は第2仕切部40,43と、ケース本体11との間に沿った流れとなるので、顔料を上方のインクに分散できる。
【0085】
・第4の実施形態では、攪拌部材68の可撓部70は、蛇腹状等の形状に形成されてもよい。また、可撓部70は、エラストマ等の別部材で形成されてもよい。
・第5の実施形態では、貯留室13内に仕切部を設けてもよい。
【0086】
・第1〜第4及び第6実施形態では、攪拌部材27,49,56,68,80が充分な攪拌能力を有している場合には、貯留室13内の仕切部によって形成される循環流路を省略してもよい。このようにすると、カートリッジCの構成をより簡単にすることができる。
【0087】
・第1及び第2実施形態、第4〜6実施形態では、攪拌部材27,49,68,80及び筒状部71を複数設けるようにしてもよい。
・第1及び第2実施形態では、攪拌部材27,49の一部がインク液面から常に上方になるように、設けてもよい。
【0088】
・上記各実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ1について説明したが、その他の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体も顔料インクに限られず、染料インクや他の液体に応用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施形態のプリンタの要部斜視図。
【図2】同プリンタに搭載されるカートリッジの斜視図。
【図3】同カートリッジの断面図。
【図4】同カートリッジの断面図。
【図5】同カートリッジの断面図。
【図6】同カートリッジの攪拌部材の斜視図。
【図7】第2の実施形態のカートリッジの断面図。
【図8】第3の実施形態のカートリッジの断面図。
【図9】第4の実施形態のカートリッジの断面図。
【図10】同カートリッジの断面図。
【図11】第5の実施形態のカートリッジの断面図。
【図12】同カートリッジの要部を説明する断面図。
【図13】第6の実施形態のカートリッジの断面図。
【符号の説明】
【0090】
1…液体噴射装置としてのプリンタ、5…キャリッジ、6…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、10…ケース、13…貯留室、17…吐出部としてのインク吐出孔、19,43,61,75…仕切部、21,41,63,76…循環流路を構成する第1インク室、
22,42,64,77…循環流路を構成する第2インク室、23,66,78…循環流路を構成する上側通路、24,67,79…循環流路を構成する下側通路、27,49,56,68,80…ポンプ手段としての攪拌部材、28,50,57,83…ポンプ手段を構成する回転軸、29,51,69…攪拌部、40…第1仕切部、40a…通路、43…第2仕切部、44…循環流路を構成する上側インク室、45…循環流路を構成する下側インク室、46,53a〜53d…循環流路を構成する前側通路、47,54a〜54d…循環流路を構成する後側通路、58〜60…攪拌部としての第1〜第3攪拌部、52a〜52d…第1〜第4仕切部、70…ポンプ手段を構成する回転軸としての可撓部、71…ポンプ手段及び筒状部材を構成する筒状部、73…ポンプ手段を構成する摺動部、72a…導入孔、72b…吐出孔、74…ポンプ手段を構成する逆止弁、81,82…攪拌部としての第1及び第2攪拌部、81a…錘部、84…柄杓部、C…液体収容体としてのカートリッジ、C1〜C4…液体収容体としての第1〜第4カートリッジ、R1〜R5…循環流路を構成する第1〜第5インク室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、
前記仕切部によって形成された前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えたことを特徴とする液体収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えたことを特徴とする液体収容体。
【請求項3】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成されることを特徴とする液体収容体。
【請求項4】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、攪拌部の一端部側に設けられた錘部と、同錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成されることを特徴とする液体収容体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段又は前記攪拌部は、複数設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項6】
請求項2に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されていることを特徴とする液体収容体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室の底部に設けられることを特徴とする液体収容体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記仕切部は、複数形成され、前記貯留室内に鉛直方向に並べて設けられるとともに、
前記ポンプ手段は、前記循環流路のうち、鉛直方向における下方位置に設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項10】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内を回流する液体の流れを発生させるポンプ手段を前記貯留室内に設け、
前記ポンプ手段は、
前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えていることを特徴とする液体収容体。
【請求項11】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内に、液体を攪拌するポンプ手段を設け、
前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成さ
れることを特徴とする液体収容体。
【請求項12】
主走査方向に沿って往復移動するキャリッジに液体収容体及び液体噴射ヘッドを搭載し、前記液体収容体から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体噴射装置において、
前記液体収容体は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容し、
前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、
前記仕切部によって形成された前記循環流路内に設けられ、前記キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体に設けられた前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体の前記回転軸は、その軸線が、前記キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、
前記仕切部によって形成された前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えたことを特徴とする液体収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えたことを特徴とする液体収容体。
【請求項3】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成されることを特徴とする液体収容体。
【請求項4】
請求項1に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、攪拌部の一端部側に設けられた錘部と、同錘部の反対側の端部に設けられた柄杓部とから構成されることを特徴とする液体収容体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段又は前記攪拌部は、複数設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項6】
請求項2に記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段は、その一部が液面より上に配置されていることを特徴とする液体収容体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室の底部に設けられることを特徴とする液体収容体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記ポンプ手段及び前記循環流路は、前記貯留室内の液体を外部に吐出する吐出部側に設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の液体収容体において、
前記仕切部は、複数形成され、前記貯留室内に鉛直方向に並べて設けられるとともに、
前記ポンプ手段は、前記循環流路のうち、鉛直方向における下方位置に設けられていることを特徴とする液体収容体。
【請求項10】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内を回流する液体の流れを発生させるポンプ手段を前記貯留室内に設け、
前記ポンプ手段は、
前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えていることを特徴とする液体収容体。
【請求項11】
ケース内に形成された貯留室に液体を収容する液体収容体において、
前記貯留室内に、液体を攪拌するポンプ手段を設け、
前記ポンプ手段は、導入孔及び吐出孔を備えた筒状部材と、同筒状部材内を摺動する摺動部材と、前記吐出孔から前記筒状部材内への液体の流入を規制する逆止弁とから構成さ
れることを特徴とする液体収容体。
【請求項12】
主走査方向に沿って往復移動するキャリッジに液体収容体及び液体噴射ヘッドを搭載し、前記液体収容体から前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体噴射装置において、
前記液体収容体は、ケース内に形成された貯留室に液体を収容し、
前記貯留室内に、液体を循環させる循環流路を形成するための仕切部と、
前記仕切部によって形成された前記循環流路内に設けられ、前記キャリッジの加速動作又は減速動作に従動して、前記循環流路内に液体を送り出すポンプ手段とを備えていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体に設けられた前記ポンプ手段は、前記ケースに支持され、前記貯留室内に配置された回転軸と、前記回転軸を中心に回動する攪拌部とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体噴射装置において、
前記液体収容体の前記回転軸は、その軸線が、前記キャリッジの主走査方向と直交する方向になるように設けられていることを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−44153(P2006−44153A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231120(P2004−231120)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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